JP2007055361A - 衝突物保護装置を備えた車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 衝突物の衝突を検知または予知したときに、車体の上面にエアバッグ10を膨張展開させる衝突物保護装置2を備えた車両1であって、衝突物保護装置2のエアバッグ10には、フロントピラーに沿って膨張展開する一対のピラー部が形成されており、二枚の透明基板3a,3bの間に透明な中間膜3cが挟まれている合わせガラスによってフロントウインドガラス3が構成され、中間膜3cは遮音性を備えていることを特徴としている。
【選択図】 図2
Description
これにより、運転者は撓んだ裂傷防止膜を通して前方を見ることになり、前方の像に歪みが生じてしまうため、前方視界を確保することが困難になってしまうという問題がある。特に、裂傷防止膜の衝撃吸収性能を高めるために、その厚みや面積を増やした場合には、前方の像の歪みが大きくなるとともに、歪みが生じる領域が広くなるため、前方視界を確保することがより困難になってしまう。
また、フロントウインドガラスは、二枚の透明基板の間に透明な中間膜が挟まれた合わせガラスによって構成されており、衝突物に加えられる衝撃力を中間膜によって吸収緩和することができる。
したがって、本発明では、衝突物がエアバッグのピラー部に衝突した後に、フロントウインドガラスの上面に移動することにより、エアバッグおよびフロントウインドガラスによって、衝突物に加えられる衝撃力を確実に吸収緩和することができる。
さらに、中間膜は、透明基板の間に挟まれており、エアバッグの収縮に伴って撓むことがないため、衝突物の衝突後に前方視界を確保することができ、衝突後の回避操作を的確に行うことができる。
また、ピラー部がフロントピラーの上面でずれてしまうことを防ぐことができるため、ピラー部に衝突した衝突物を、ピラー部の外形に沿ってフロントウインドガラスの上面へ確実に移動させることができる。
また、振れ止め手段の他の構成としては、ピラー部の車幅方向における外側面部に生じる長手方向の伸びに抵抗するストラップや縫合部等を設け、ピラー部が車幅方向の内側に向かって倒れようとしたときに、外側面部に張力を生じさせ、ピラー部を車幅方向の外側に引っ張ることにより、ピラー部をフロントピラーの上面に留まらせることができる。
また、中間膜は、透明基板の間に挟まれており、エアバッグの収縮に伴って撓むことがないため、衝突物の衝突後に前方視界を確保することができ、衝突後の回避操作を的確に行うことができる。
さらに、中間膜が遮音性を備えており、車両外部から車内に伝わる音を減少させることができるため、フロントウインドガラスの防音効果を向上させることができる。すなわち、防音効果があるフロントウインドガラスを利用して、衝突物に加えられる衝撃力の吸収緩和性能を向上させているため、衝突物保護装置を簡易な構造にすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
図1は、本実施形態の車両を示した図で、(a)はエアバッグを膨張展開させる前の状態の平面図、(b)はエアバッグを膨張展開させた後の状態の平面図である。図2は、本実施形態の衝突物保護装置を示した図で、(a)は図1(a)のA−A断面図、(b)はフロントウインドガラスの拡大断面図である。図3は、本実施形態の衝突物保護装置を示した図で、エアバッグを膨張展開させた状態の側断面図である。図4は、本実施形態の衝突物保護装置を示した図で、図1(b)のB−B断面図である。
図1に示すように、本実施形態の車両1は自動車であり、この車両1が走行中に衝突物と衝突し、その衝突物が車両前部の上面に二次衝突したときに、その衝突物に加えられる衝撃力を吸収緩和するための衝突物保護装置2が車両前部に搭載されている。
図1に示す衝突物保護装置2は、車両1と衝突物との衝突を検知または予知する衝突判定装置(図示せず)と、衝突判定装置が車両1への衝突を検知または予知したときに、車両1の上面に膨張展開するエアバッグ10とを備えている。
また、リテーナ31の底部には、インフレータ20が収納されており、このインフレータ20の上方でエアバッグ10が折り畳まれている。
なお、本実施形態では、二体のインフレータ20,20がリテーナ31内に配置されている(図1(a)参照)。
これにより、膨張展開させた本体部11において、車両1の上面に重なる領域11gには、内方に引き込まれた溝状の窪み部11h,11hが長手方向に沿って形成されることになる。この窪み部11h,11hが形成されることによって、膨張展開させた本体部11の軸断面形状が幅広になり、本体部11の下面側が平坦状になるため、車両1の上面に重なる領域11gの幅が広くなっている。
これにより、膨張展開させたピラー部12において、車両1の上面に重なる領域12gには、内方に引き込まれた溝状の窪み部12hが長手方向に沿って形成されることになる。この窪み部12hが形成されることによって、膨張展開させたピラー部12の軸断面形状が幅広になり、ピラー部12の下面側が平坦状になるため、車両1の上面に重なる領域12gの幅が広くなっている。なお、窪み部12hは、フロントピラー1aの上面が入り込む位置に形成されている。
車両1のフロントウインドガラス3は、図2(b)に示すように、上下方向に配置されたガラス製の二枚の透明基板3a,3bの間に、透明な中間膜3cが挟まれている合わせガラスである。
また、中間膜3cは靭性を備えており、衝突物を貫通させることなく衝撃を吸収するように構成されている。
本実施形態では、フロントウインドガラス3に中間膜3cを設けることにより、エアバッグ10よりもフロントウインドガラス3の方が衝撃を吸収するように構成されており、フロントウインドガラス3はエアバッグ10よりも衝撃吸収性能が高まっている。
以上のように構成された車両1は、次のような作用効果を奏する。
衝突判定装置(図示せず)が、図1(a)に示す車両1に搭載されたセンサやレーダ(図示せず)からの信号に基づいて、車両1への衝突を検知または予知したときには、衝突判定装置は各インフレータ20,20を作動させることになり、各インフレータ20,20で発生したガスによって、図1(b)に示すように、エアバッグ10が車両1の上面に膨張展開することになる。
また、ピラー部12の窪み部12hには、フロントピラー1aの上面が入り込むことになるため、ピラー部12をフロントピラー1aに係止させることができるとともに、ピラー部12と車両1の上面との接触面積を十分に確保することができる。
また、ピラー部12がフロントピラー1aの上面でずれてしまうことを防ぐことができるため、ピラー部12に衝突した衝突物を、ピラー部12の外形に沿ってフロントウインドガラス3の上面へ確実に移動させることができる。
例えば、ピラー部12の外側面部にストラップや縫合部等を設け、ピラー部12が車幅方向の内側に向かって倒れようとしたときに、ピラー部12の外側面部に張力を生じさせ、ピラー部12を車幅方向の外側に引っ張ることにより、ピラー部12をフロントピラー1aの上面に留まらせるように構成することができる。
図5は、本実施例における実験結果を示しており、(a)は本発明におけるフロントピラーのHICとエアバッグのピラー部のHICを示した表、(b)は従来のフロントウインドガラスと本発明におけるフロントウインドガラスのHICを示した表である。
また、従来のフロントウインドガラスは、本発明のフロントウインドガラスと同じ厚みに形成されている。
衝突試験では、重さ4.8kg、直径165mmの球状体であるインパクタを車両に対して40km/hで衝突させたときのフロントウインドガラスおよびフロントピラーのHIC(Head Injury Criterion 頭部障害度)を測定している。
さらに、図5(b)の表に示すように、従来のフロントウインドガラスではHICが350となっていたが、本発明のフロントウインドガラスでは、HICが192となっている。
このような実施例によって、本発明の車両では、エアバッグおよびフロントウインドガラスによって、衝突物に加えられる衝撃力を確実に吸収緩和することができることが分かった。
1a フロントピラー
2 衝突物保護装置
3 フロントウインドガラス
3a 透明基板
3b 透明基板
3c 中間膜
10 エアバッグ
11 本体部
12 ピラー部
30 エアバッグモジュール
31 リテーナ
32 リッド
40 カウルトップ
Claims (4)
- 衝突物の衝突を検知または予知したときに、車体の上面にエアバッグを膨張展開させる衝突物保護装置を備えた車両であって、
前記衝突物保護装置の前記エアバッグには、フロントピラーに沿って膨張展開する一対のピラー部が形成されており、
二枚の透明基板の間に透明な中間膜が挟まれている合わせガラスによってフロントウインドガラスが構成され、
前記中間膜は遮音性を備えていることを特徴とする衝突物保護装置を備えた車両。 - 前記エアバッグには、前記ピラー部のずれを防ぐ振れ止め手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の衝突物保護装置を備えた車両。
- 前記中間膜は靭性を備えており、前記衝突物が前記フロントウインドガラスに衝突したときに、前記衝突物を貫通させることなく衝撃を吸収するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衝突物保護装置を備えた車両。
- 前記フロントウインドガラスは、前記エアバッグよりも衝撃を吸収するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の衝突物保護装置を備えた車両。
Priority Applications (3)
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---|---|---|---|
JP2005241246A JP2007055361A (ja) | 2005-08-23 | 2005-08-23 | 衝突物保護装置を備えた車両 |
DE102006033670A DE102006033670B4 (de) | 2005-07-26 | 2006-07-20 | Fahrzeug mit Kollisionsobjekt-Schutzeinrichtung |
US11/459,686 US20070023223A1 (en) | 2005-07-26 | 2006-07-25 | Vehicle with collision object protection device |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005241246A JP2007055361A (ja) | 2005-08-23 | 2005-08-23 | 衝突物保護装置を備えた車両 |
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---|---|
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