JP2007051282A - 反応性ホットメルト接着剤 - Google Patents

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Eiji Iwawaki
英次 岩脇
Tetsuya Shimada
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Abstract

【課題】 従来の抗菌性ホットメルト接着剤に比べ、抗菌性、防カビ性、耐熱性、接着性および接着耐久性に優れる抗菌性の反応性ホットメルト接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】 湿気硬化型のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(A)および一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩からなる抗菌剤(B)からなる反応性ホットメルト接着剤。
1234+・X- (1)
(式中、R1およびR2は同一又は異なる、炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基、R3は炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基又は炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、R4は炭素数が8〜22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、X-は超強酸のアニオンを表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ホットメルト接着剤に関する。さらに詳しくは、抗菌性を有する反応性ホットメルト接着剤に関する。
ホットメルト接着剤は、固体且つ無溶剤タイプであり、加温する操作を伴うだけで使用できる。また瞬間接着、高速接着が可能であることから生産性の向上に伴う経済性利点を有しているため、包装、製本、建材、自動車、繊維加工、電気・電子等の分野を中心に使用されている。特に、イソシアナト基やシリル基を有する湿気硬化型の反応性ホットメルト接着剤は、接着性に優れたものとして近年注目されている。
ホットメルト接着剤の主成分は、天然および人工の高分子であり、ほとんどの場合これらの使用部位には細菌の繁殖がみられ、カビの発生による黒ずみや強度の低下等の問題がある。これらの問題に対し、抗菌性ホットメルト接着剤が提案されている。
例えば、特許文献1には、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とするビニルモノマーとマクロモノマーからなる抗菌性ホットメルト接着剤組成物;特許文献2には、アクリルポリマーとジヨードメチル−p−トリルスルホンからなる抗菌性を有するホットメルト接着剤組成物が提案されている。
特開平10−81854号公報 特開平10−81855号公報
これらの抗菌性ホットメルト接着剤は、アクリルポリマーを主成分としたホットメルト接着剤であるが、前者は抗菌性が弱いためカビの発生の抑止効果が小さく、後者は、抗菌性はそこそこあるものの、耐熱性に劣るため、製造時や溶融塗工時の熱履歴による抗菌性の低下や着色の問題がある。また、接着強度が弱く、接着強度の耐久性も劣るという問題があった。
本発明の目的は、従来の抗菌性ホットメルト接着剤にはない抗菌性、耐熱性、接着性および接着耐久性に優れる、ホットメルト接着剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、湿気硬化型のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(A)および一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩からなる抗菌剤(B)からなる反応性ホットメルト接着剤;および、該反応性ホットメルト接着剤で被接着材料を接着させて得られる抗菌性材料である。

1234+・X- (1)

(式中、R1およびR2は同一又は異なる、炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基、R3は炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基又は炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、R4は炭素数が8〜22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、X-は超強酸のアニオンを表す。)
本発明の反応性ホットメルト接着剤は、抗菌性、防カビ性、耐熱性、接着性および接着耐久性に優れる。
本発明の反応性ホットメルト接着剤は、湿気硬化型のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(A)および一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩からなる抗菌剤(B)からなる反応性ホットメルト接着剤である。

1234+・X- (1)

(式中、R1およびR2は同一又は異なる、炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基、R3は炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基又は炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、R4は炭素数が8〜22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、X-は超強酸のアニオンを表す。)
湿気硬化型のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(A)は分子内に2個以上の水酸基を有するポリオール(C)1種以上と分子内に2個以上のイソシアナト基を有するポ
リイソシアネート(D)1種以上を反応させ、末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーを構成成分とする。
ポリオール(C)としては、分子内に2個以上の水酸基を有するものであり、従来より公知のものが使用可能である。具体例として、ポリエステルポリオール(C1)、ポリエーテルポリオール(C2)、ポリオレフィン系ポリオール(C3)、ポリカーボネートポリオール(C4)、水酸基を有する樹脂類(C5)、重合体ポリオール(C6)が挙げられる。これらのポリオールは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(C)の分子量は、凝集力および溶融粘度の観点から好ましくは数平均分子量[以下Mnと略記。測定はポリスチレンを標準としたゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]300〜100,000、さらに好ましくは500〜10,000である。
ポリエステルポリオール(C1)としては、アルコール類(c111)、アルコール類(c111)のアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物(c112)および2価フェノール類のAO付加物(c113)からなる群(c11)から選ばれる少なくとも1種とジカルボン酸類(c12)から構成される1種または2種以上の縮合ポリエステルポリオール、並びにε−カプロラクトンを開環重合して得られるポリ−ε−カプロラクトンポリオールが挙げられる。
AOには、炭素数(以下Cと略記)2〜12またはそれ以上(好ましくはC2〜4)、例えばエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフランおよび3−メチル−テトラヒドロフラン(以下それぞれEO、PO、BO、THFおよびMTHFと略記)、1,3−プロピレンオキシド、イソBO、C5〜12のα−オレフィンオキシド、置換AO、例えばスチレンオキシドおよびエピハロヒドリン(エピクロルヒドリンなど)、並びにこれらの2種以上の併用(ランダム付加および/またはブロック付加)が含まれる。
アルコール類(c111)としては、C2〜20の2価以上のアルコール類が好ましく、例えば2価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなど)、環状基を有する低分子ジオール[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなど]、3価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなど)、4価以上の多価アルコール(ソルビトール、シュークローズなど)が挙げられる。
アルコール類のAO付加物(c112)としては、(c111)のAO付加物が挙げられる。AOの付加モル数は活性水素原子1個当り好ましくは1〜200である。
2価フェノール類のAO付加物(c113)としては、C6〜30の2価フェノール類(例えばカテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等)のAO付加物などが挙げられる。AOの付加モル数は活性水素原子1個当り好ましくは1〜200である。
これらのうち、接着性の観点から好ましいものは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはビスフェノールAのAO付加物である。
ジカルボン酸類(c12)としては、C2〜20のジカルボン酸、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香環含有ジカルボン酸および脂環含有ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、飽和脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、ジメチルマロン酸、β−メチルグルタル酸、エチルコハク酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸およびイコサンジカルボン酸等)、並びに不飽和脂肪族ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸およびメタコン酸等)が挙げられる。
芳香環含有ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
脂環含有ジカルボン酸としては、例えば、1,3−および1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−、1,3−および1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−、1,3−および1,2−シクロヘキサンジ酢酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等が挙げられる。
これらの内、接着性の観点から好ましいものは、脂肪族ジカルボン酸及び芳香環含有ジカルボン酸であり、より好ましいものは、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、フタル酸である。
(c11)中と(c12)との当量比(OH/COOH比)は、分子量制御の観点から好ましくは、101/100〜2/1であり、より好ましくは、51/50〜3/2である。エステル化反応は、無触媒でも、エステル化触媒を使用して行ってもよい。
エステル化触媒としては、リン酸等のプロトン酸、金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B金属、4A金属、4B金属および5B金属等)の、有機カルボン酸(C2〜4)塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、塩化物、水酸化物、アルコキシド等が挙げられる。これらの内で好ましいのは2B金属、4A金属、4B金属および5B金属の有機カルボン酸(C2〜4)塩および酸化物である。エステル化触媒の使用量は、所望の分子量が得られる量であれば特に制限はないが、反応性および色調の観点から、(c11)と(c12)の合計量に対して、0.005〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。
本エステル化反応は窒素等不活性ガス存在下または減圧下(例えば133Pa以下)に行われる。また、反応を促進するため、有機溶剤を加えて還流することもできる。反応終了後は有機溶剤を除去する。なお、有機溶剤としては、水酸基のような活性水素を有していなければ特に制限はなく、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。
反応温度は反応性と耐熱性の観点から好ましくは120〜250℃、より好ましくは150〜230℃である。反応時間は反応性の観点から好ましくは1〜40時間、より好ましくは3〜24時間である。
反応の終点は酸価(AV)を測定することにより判断できる。終点の酸価はウレタンプレポリマー合成時の反応性の観点から好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。
ポリエステルポリオール(C1)の水酸基価は接着性および熱安定性の観点から好ましくは5〜450であり、より好ましくは10〜280である。Mnは、接着性の観点から好ましくは500〜20,000であり、より好ましくは800〜10,000である。Mnは、ポリスチレンを標準としてゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法で求められる値である(以下、同様)。
ポリエーテルポリオール(C2)としては、フェノール類(c21)もしくはアルコール類(c22)に、AO(前記のもの、とくにC2〜4)を付加したもの、およびテトラヒドロフランを開環重合したものが挙げられる。
フェノール類(c21)としては、好ましくはC6〜30の2価フェノール類が使用でき、例えばカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ジヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、−Fおよび−Sおよびこれらのアルキル(C1〜10)、ハロゲン置換体等が挙げられる。接着性の観点から好ましくは、ビスフェノールAおよび−Fである。
アルコール類(c22)としては、前記(c111)のC2〜20の2価アルコール類;3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等);4価アルコール類(ペンタエリスリトール等)、5官能以上の多価アルコール類(ソルビトール等)が挙げられる。接着剤の反応硬化性の観点から好ましいのは2〜4価のアルコール類であり、より好ましくは2〜3価のアルコール類である。
AOとしては、前記のものが挙げられ、相溶性の観点から好ましいのはEOおよびPOである。AOの付加形式としては、ブロック付加(チップ型、バランス型、活性セカンダリー型等)、ランダム付加またはこれらの混合系が挙げられる。
AOの付加モル数は、接着性の観点から好ましくは活性水素原子1個当り1〜200、より好ましくは2〜50である。
(C2)のMnは、接着性の観点から好ましくは200〜15,000であり、より好ましくは400〜8,000である。
上記AOの付加は、公知の方法で行うことができ、無触媒で、または触媒(アルカリ触媒、アミン触媒、酸性触媒等)の存在下で加圧下に行なわれる。
ポリオレフィン系ポリオール(C3)としては、オレフィン類を重合して、末端に活性水素を有するポリオールが挙げられる。
(C3)の具体例としては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添化ポリブタジエンポリオール、および水添化ポリイソプレンポリオールが挙げられる。これらの内で接着性の観点から好ましいものは、ポリブタジエンポリオールおよび水添化ポリブタジエンポリオールであり、より好ましいものはポリブタジエンポリオールである。
(C3)の分子中の水酸基数は、接着剤の反応硬化性および熱安定性の観点から好ましくは1〜4であり、より好ましくは2〜3である。水酸基価は、接着性および熱安定性の観点から好ましくは5〜1,200であり、より好ましくは22〜340である。
(C3)のMnは、接着性の観点から好ましくは200〜10,000であり、より好ましくは500〜5,000である。
ポリカーボネートポリオール(C4)としては、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられる。これらの内で接着性の観点から好ましいのは、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオールである。
(C4)の分子中の水酸基数は、接着剤の反応硬化性および熱安定性の観点から好ましくは1〜4であり、より好ましくは2〜3である。接着性および熱安定性の観点から水酸基価は、接着剤の反応硬化性および熱安定性の観点から好ましくは5〜1,200であり、より好ましくは22〜340である。
(C4)のMnは、接着性の観点から好ましくは200〜10,000であり、より好ましくは500〜5,000である。
水酸基を有する樹脂類(C5)としては、水酸基含有キシレン樹脂、ロジン構造含有ポリオール、フェノール変性樹脂等が挙げられる。これらの内で接着性の観点から好ましいのは、ロジン構造含有ポリオールである。
(C5)の分子中の水酸基数は、接着剤の反応硬化性および熱安定性の観点から好ましくは1〜4であり、より好ましくは2〜3である。水酸基価は、接着性および熱安定性の観点から好ましくは1〜1,200であり、より好ましくは5〜340である。
(C5)のMnは、接着性の観点から好ましくは200〜10,000であり、より好ましくは500〜5,000である。
重合体ポリオール(C6)としては、前述(C1)、(C2)、(C3)、(C4)および(C5)から選ばれる1種以上のポリオール中でエチレン性不飽和単量体を重合して得られる重合体ポリオール等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和単量体としては、例えば、C3〜30のα−オレフィン(プロピレン、ヘキセン、オクテン等)、C8〜15の芳香族炭化水素単量体類(スチレン等)、C3〜10の不飽和ニトリル類[(メタ)アクリロニトリル等]、C4〜33の(メタ)アクリル酸エステル類{(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基はC1〜30)[メチル(メタ)アクリレート等]、C5〜23の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(アルキル基はC2〜20)エステル[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等]}、エチレン性不飽和カルボン酸およびその誘導体[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド等]、C2〜10の脂肪族炭化水素単量体(エチレン、イソブチレン等)、C5〜15のフッ素含有ビニル単量体[パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等]、C5〜15の窒素含有ビニル単量体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、C6〜15のグリシジル基含有ビニル単量体[グリシジル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
(C6)を構成するエチレン性不飽和単量体の含量は、重合体ポリオール(C6)の重量に対して接着性の観点から好ましくは0.1〜90重量%であり、より好ましくは、5〜80重量%である。
(C6)の平均官能基数は、接着剤の反応硬化性および熱安定性の観点から好ましくは2〜8であり、より好ましくは2〜4である。
(C6)のMnは接着性の観点から好ましくは500〜3,000,000であり、より好ましくは1,000〜2,000,000である。
(C6)の製造法としては、例えば、ポリオール中でエチレン性不飽和単量体を重合開
始剤(ラジカル発生剤等)の存在下に重合させる方法が挙げられる。
本発明において、湿気硬化型のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(A)の構成成分であるポリイソシアネート(D)としては、分子内に2個以上のイソシアナト基を有するものが挙げられ、従来より公知のものが使用可能であり、C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート[1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等]、C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等]、C4〜15の脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)等]、C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート[m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、m−および/またはp−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等]、これらのポリイソシアネートの変性物[変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物]およびこれらの2種類以上の混合物が含まれる。
これらの内で反応性の観点から好ましいのは、HDI、IPDI、TDI、MDI、XDIおよびTMXDIであり、特に好ましいのは、HDIおよびMDIである。
ウレタンプレポリマーを製造する際には、ウレタン化触媒を使用してもよく、ウレタン化触媒としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。
金属触媒、例えば錫系触媒[トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート等]、鉛系触媒[オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛等]、その他の金属触媒[ナフテン酸コバルト等のナフテン酸金属塩等];およびアミン系触媒、例えばトリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアザビシクロアルケン類[1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7〔DBU(サンアプロ社製、登録商標)〕等];ジアルキルアミノアルキルアミン類[ジメチルアミノエチルアミン等]または複素環式アミノアルキルアミン類[2−(1−アジリジニル)エチルアミン等]の炭酸塩および有機酸塩(ギ酸塩等)等;N−メチルモルホリントリエチルアミン等;およびこれらの2種以上の併用系が挙げられる。
ウレタン化触媒の使用量は、ポリオール(C)およびポリイソシアネート(D)の合計重量を基準として、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。0.5重量%以下であると最終的に得られる接着剤の熱安定性を損なうことがない。また、反応性の観点から好ましくは0.0001重量%以上、さらに好ましくは0.0005重量%以上である。
反応条件としては例えば(C)、(D)および必要によりウレタン化触媒を温度制御機能を備えた反応槽に仕込み、30〜1,000分間にわたって好ましくは50〜200℃の温度で連続的に反応させる方法や、(C)、(D)および必要によりウレタン化触媒を2軸エクストルーダーに流し込み、好ましくは100〜220℃の温度で連続的に反応させる方法等がある。
得られるウレタンプレポリマー(A)中のイソシアナト基の含有量は、好ましくは0.2〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜7.0重量%である。0.2重量%以上であると耐久性が良好となり、10重量%以下であると加熱溶融時の熱安定性が良好となる。
本発明において、抗菌剤(B)を構成する第4級アンモニウム塩は、下記一般式(1)で表される。

1234+・X- (1)

式中、R1およびR2は同一又は異なる、C1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基、R3はC1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基又はC7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、R4はC8〜22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、X-は超強酸のアニオンを表す。
1および/またはR2がC22を超えると抗菌性が悪くなり;R3がC22を超えると抗菌性が悪くなり;R4がC8未満では(A)との相溶性が悪くなり、C22を超えると抗菌性が悪くなる。
一般式(1)におけるR1およびR2はC1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基およびアルケニル基など)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油由来のアルコールから水酸基を除いたアルキル基(以下、ヤシ油アルキル基と略記する。)、オレイル基などが挙げられ、分岐の炭化水素基としては、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、相溶性および抗菌性の観点から好ましいのはC1〜14の脂肪族炭化水素基、さらに好ましいのはC1〜8、特にC1または2、最も好ましいのはメチル基である。また、R1とR2は同一であっても異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
3はC1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基またはC7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基を表す。直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基としては、前記例示したものが挙げられ、アリールアルキル基としてはベンジル基およびフェネチル基など、アリールアルケニル基としてはスチリル基およびシンナミル基などが挙げられる。
3のうち相溶性および抗菌性の観点から好ましいのはC1〜18の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基またはC7〜15のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、さらに好ましいのはC6〜14の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基である。
4はC8〜22の直鎖また分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基など)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油アルキル基およびオレイル基などが挙げられ、分岐の脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。R4のうち相溶性および抗菌性の観点から好ましいのはC8〜18の直鎖また分岐の脂肪族炭化水素基、さらに好ましいのはC10〜16の直鎖また分岐の脂肪族炭化水素基である。
一般式(1)における第4級アンモニウム基の好ましい具体例としては、R3が脂肪族炭化水素基の場合は、1つの長鎖アルキル基を有するもの(トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウム、トリメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルドデシルアンモニウム、ジメチルエチルテトラデシルアンモニウム、ジメチルエチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルエチルオクタデシルアンモニウム、ジメチルエチルヤシ油アルキルアンモニウム、ジメチルエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、メチルジエチルテトラデシルアンモニウム、メチルジエチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルオクタデシルアンモニウム、メチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウムおよびメチルジエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、)、2つの長鎖アルキル基(C6〜22)を有するもの(ジメチルジヘキシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウムおよびジメチルジドデシルアンモニウム)、1つの長鎖アルケニル基(C8〜22)を有するもの(トリメチルオレイルアンモニウム、ジメチルエチルオレイルアンモニウムおよびメチルジエチルオレイルアンモニウム)が挙げられる。
また、R3がアリールアルキル基の場合は、たとえば、ジメチルデシルベンジルアンモ
ニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウムおよびジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウムが挙げられる。また、R3がアリールアルケニル基の場合は、たとえば、ジメチルドデシルスチリルアンモニウム、ジメチルテトラデシルスチリルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルスチリルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルスチリルアンモニウム、ジメチルオレイルスチリルアンモニウムおよびジメチル−2−エチルヘキシルスチリルアンモニウムが挙げられる。
これらのうち抗菌性の観点から好ましいのは、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウムおよびジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムであり、特に好ましいのはジメチルジデシルアンモニウムである。
一般式(1)におけるX-は超強酸のアニオンを表す。
超強酸は、100%硫酸より強い酸強度を有する酸(「超強酸・超強塩基」田部浩三、野依良治著、講談社サイエンティフィック刊、p1参照)であり、Hammettの酸度関数(H0)が100%硫酸の−11.93以下のものであり、プロトン酸、およびプロ
トン酸/ルイス酸の組み合わせからなる酸が挙げられる。
プロトン酸の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(H0=−14.10)
、ペンタフルオロエタンスルホン酸(H0=−14.00)などが挙げられる。
プロトン酸/ルイス酸の組み合わせに用いられるプロトン酸としては、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素など)が挙げられ、ルイス酸としては三フッ化硼素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化砒素、五フッ化タンタルなどが挙げられる。プロトン酸/ルイス酸の組み合わせは任意であるが、組み合わせて得られ
る超強酸の具体例としては、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸、六フッ化タンタルなどが挙げられる。
上記の超強酸のうち、本発明における第4級アンモニウム塩の耐熱性の観点から、好ましいのは、Hammettの酸度関数(H0)が−12.00以下のもの、例えばトリフ
ルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、四フッ化硼素酸、六フッ化リン、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン、六フッ化砒素、および六フッ化タンタルなど、さらに好ましいのは、トリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸および六フッ化リン酸、特に好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸と四フッ化硼素酸である。
一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩のうち、耐熱性と抗菌性の持続性の観点から好ましいのはジメチルジデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、トリメチルヘキサデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム四フッ化硼素酸塩およびジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸であり、特に好ましいのはジメチルジデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩である。
一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩の製造方法として限定はなく、公知の方法でよい。例えば下記の[I]および[II]の方法が挙げられる。生産性の観点から好ましいのは[II]の方法である。
[I] 第4級アンモニウム塩〔例えば、クロルアニオンからなる塩〕の水溶液(20〜70重量%)に前記超強酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩またはカリウム塩など)を加え(第4級アンモニウム塩/超強酸塩の当量比は通常1/1〜1/1.5、好ましくは1/1.05〜1/1.3)、室温で約2時間撹拌混合して得られる水溶液を70〜80℃で約1時間撹拌後、静置して分液した下層(水層)を除去し、上層中の水分を減圧留去した後、更にエタノール、アセトンなどの有機溶剤に溶解し、不溶解物である塩を濾過で除いた後、溶剤を留去して目的の第4級アンモニウム塩を得る。
[II] 第3級アミンと同当量以上(好ましくは1.1〜5.0当量)の炭酸ジアルキルエステル(アルキル基はC1〜5)を溶媒(例えば、メタノール)の存在下(第3級アミンの重量に基づいて10〜1000%)または非存在下、反応温度80〜200℃、好ましくは100〜150℃で反応させて第4級アンモニウム塩を形成し、さらに前記超強酸を添加(第4級アンモニウムの当量に基づいて1.0〜1.2当量)し、10〜60℃で1時間撹拌して塩交換する。溶媒を80〜120℃で減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
炭酸ジアルキルエステルとしては、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルが挙げられ、残存する炭酸ジエステルの含量(測定法:ガスクロマトグラフィー法)は第4級アンモニウム塩の重量に基づいて好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは0〜100ppm、とくに好ましくは0〜50ppmである。
一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩は、通常は固体であり、その融点は通常30〜150℃であり、ハンドリング(作業性)の観点から好ましくは40〜120℃である。
本発明の反応性ホットメルト接着剤の重量に基づく(B)の含有量は、抗菌性及び接着強度の観点から、好ましくは0.01〜20%、さらに好ましくは0.05〜10%、特に好ましくは0.1〜3%である。
本発明の反応性ホットメルト接着剤は、製造工程あるいは製造後の任意の段階において、初期接着力を向上させる目的で水酸基を含有しない粘着付与樹脂(E)を含有させるこ
とができる。
(E)としては、公知の粘着付与樹脂{接着の技術20,(2),13(2000)等}等が使用でき、ロジン、ロジン誘導体(重合ロジン及びロジンエステル等;Mn200〜1,000)、テルペン樹脂[αピネン、βピネン及び/又はリモネン等の(共)重合体等;Mn300〜1,200]、クマロン−インデン樹脂、石油樹脂[C5留分、C9留分、C5/C9留分及び/又はジシクロペンタジエン等の(共)重合体等;Mn300〜1,200]、スチレン樹脂[スチレン、α−メチルスチレン及び/又はビニルトルエン等の(共)重合体等;Mn200〜3,000]、アクリル樹脂[アルキルまたはアルケニル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸等の(共)重合体等;Mn200〜3,000]、スチレン−アクリル共重合体樹脂(Mn200〜5,000)、キシレン樹脂(キシレンホルムアルデヒド樹脂等;Mn300〜3,000)及びこれらの樹脂の水素化体等が用いられる。上記粘着付与樹脂(E)を構成する共重合体は、ランダム、ブロック及び/又はグラフト共重合体を含む。
これらのうち、接着性の観点から好ましいのはロジン誘導体、キシレン樹脂、アクリル樹脂である。
(E)の環球法軟化点(測定法:JAI−7−1991に準拠)は、接着剤の使用温度によって選定されるが、接着性の観点から好ましくは10〜160℃、より好ましくは30〜140℃である。常温で液状のものを単独で使用すると凝集力が低下しすぎる場合があるが、常温固体のものと併用することで使用できる。
(E)の添加量は、接着剤全体に対し、70重量%以下であり、接着性および耐熱性の観点から好ましくは5〜60重量%である。
本発明の反応性ホットメルト接着剤は、製造工程あるいは製造後の任意の段階において、低粘度化、粘着力および固化速度等を調整する目的で軟化剤(F)を添加することができる。
軟化剤(F)としては、公知のプロセスオイル、可塑剤、液状樹脂、ワックス等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
(F)の添加量(重量%)は接着剤全体に対し、可塑効果の観点から0.1以上が好ましく、さらに好ましくは1以上である。また凝集力の観点から30以下が好ましく、さらに好ましくは10以下である。
さらに、本発明の反応性ホットメルト接着剤は、製造工程あるいは製造後の任意の段階において、種々の目的および用途に応じ、該組成物の特性を阻害しない範囲で他の樹脂用添加剤(G)を任意に添加することができる。
該添加剤(G)としては、顔料(例えば、酸化チタン、カーボンブラック等)、染料、充填剤(例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等)、核剤(例えば、ソルビトール、ホスフェート金属塩、安息香酸金属塩、リン酸金属塩等)、滑剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ブチル、オレイン酸アミド等)、離型剤(例えば、カルボキシル変性シリコーンオイル、ヒドロキシル変性シリコーンオイル等)、酸化防止剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等)、光安定剤/紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン、トリアジン、ベンゾエート、ベンゾフェノン等)、及び難燃剤(例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤等)等が挙げられる。 (G)の合計添加量(重量%)は接着剤全体に対し、添加効果の観点から0.002以上が好ましく、さらに好ましくは0.1以上である。また、接着性の観点から30以下が好ましく、さらに好ましくは10以下である。
本発明の反応性ホットメルト接着剤の軟化点(環球式)は、初期凝集力および溶融粘度の観点から好ましくは20〜120℃、より好ましくは30〜110℃である。
120℃における溶融粘度は、初期凝集力および塗工性の観点から好ましくは500〜200,000mPa・s、より好ましくは1,000〜100,000mPa・sである。
本発明の反応性ホットメルト接着剤の製造は、予め(B)のみを含有しない反応性ホットメルト接着剤を製造しておき、最後に(B)を配合する方法(方法−1)、または反応性ホットメルト接着剤の製造と同時に(B)も一つの成分として配合する方法(方法−2)が挙げられる。生産性の観点から好ましいのは(方法−1)である。
また、反応性ホットメルト接着剤の製造に当たっては、該接着剤の構成成分を加熱、溶融、混練が可能なものであればよく、通常のホットメルト製造設備が使用できる。
例えば、圧縮性の高い形状のスクリューまたはリボン状攪拌機を有する混合機、一軸または二軸押出機、シグマブレードミキサー、リボンブレンダー、バタフライミキサー、ニーダー等が挙げられる。混合温度は好ましくは60〜250℃であり、樹脂劣化を防ぐための窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
本発明の反応性ホットメルト接着剤は、適宜、ブロック、ペレット、粉体、シートまたはフィルム等所望の形状に成形される。成形にはペレタイザー、粉砕器、押し出し機等が用いられる。
本発明の反応性ホットメルト接着剤の使用方法としては特に限定されないが、例えば、該接着剤がブロック又はペレットの形状の場合には、該接着剤を溶融させた後、貼り合わせようとする基材に塗布して使用される。
塗布に用いる装置としては、通常のホットメルト接着剤用のアプリケーター、[例えば、加熱可能な溶融槽を有するロールコーター(グラビアロール、リバースロール等)、カーテンコーター、ビード、スパイラル、スプレー、スロット]及び押出機[例えば、単軸押出機、二軸押出機、ニーダールーダー等]等である。
前者のアプリケーターの場合、被着体の一方又は両方に接着剤を塗布し、冷却固化する前に貼り合わせるか、冷却固化後、被着体を合わせ、再度加熱し貼り合わせることができる。貼り合わせる際には加圧する方がよく、冷却固化後、圧力を解除することができる。
後者の押出機の場合、被着体の一方又は両方に押出し、冷却固化後、被着体を合わせ、再度加熱し貼り合わせる。貼り合わせる際には加圧する方がよく、冷却固化後、圧力を解除することができる。 また、被着体の間に共押出しし、貼り合わせを同時に行うことができる。
被着体に適用するときの溶融温度は通常80〜200℃、接着性および熱安定性の観点から好ましくは100〜180℃であり、塗工温度における溶融粘度は通常1〜100Pa・s、接着性の観点から好ましくは2〜50Pa・sである。
該接着剤が粉体の場合、被着体に散布後、加熱し貼り合わせて使用される。加熱温度は特に制約はないが、融点(又は軟化点)より10〜20℃以上高い温度である方がよい。 貼り合わせる際には加圧する方がよく、冷却固化後、圧力を解除することができる。加圧する圧力は充分な密着力が得られる限り特に制約はなく、好ましくは10kPa〜5MPaである。粉体の目付量は所望の接着力が得られる限り特に制約はないが、好ましくは10〜500g/m2である。
該接着剤がシート又はフィルムの場合には、該接着剤を貼り合わせようとする基材同士の間に挟み込み、加熱溶融させて貼り合わせるか、一方又は両方に載せ、加熱溶融させ、冷却固化前に貼り合わせるか、冷却固化後、被着体を合わせ、再度加熱し貼り合わせる。加熱溶融時の加熱温度は特に制約はないが、融点(又は軟化点)より10〜20℃以上高い温度である方がよい。また、貼り合わせる際には加圧する方がよく、冷却固化後、圧力を解除することができる。加圧する圧力は所望の接着力が得られる限り特に制約はなく、好ましくは10kPa〜5MPaである。
シート又はフィルムの大きさは特に制限はなく所望の面積を有するものであればよい。
シート又はフィルムの厚みは特に制限はないが、好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは30〜300μmである。
本発明の反応性ホットメルト接着剤の硬化反応は、含有するイソシアネートと空気中の水分との反応が引き金となって始まる。硬化温度は通常5℃以上であり、反応性の観点から好ましくは10〜100℃である。湿度条件は反応性の観点から好ましくは20〜100%R.H.であり、特に好ましくは30〜80%R.H.である。硬化時間は数分〜200時間である。このようにして得られる硬化物は硬化物性が良好であり耐熱性、耐溶剤性等各種耐久性に優れる。
本発明の反応性ホットメルト接着剤は以下の用途の接着剤として使用でき、特に、耐久性、接着性が良好であるので、接着後の耐熱、耐水性等を必要とする材料の接着であっても好適に使用できる。
建築材料用:木材用接着剤(合板用、パーティクルボード用、ハードボード用、集成材用および木工用接着剤)およびその他建築材料用接着剤(コンクリート用、モルタル用、壁紙用、床材料用およびタイル用接着剤)、
繊維材料用:繊維材料用接着剤(不織布用、植毛用、接着布用、接着縫製用およびカーペット裏糊用接着剤)、
その他材料用:プラスチック用接着剤(硬質塩化ビニル管用、軟質塩化ビニル用および発泡プラスチック用接着剤)、ゴム用接着剤、皮革用接着剤、セラミックス用接着剤(複層ガラス用、光学レンズ用および研磨材料用)、生体接着剤(歯科用、外科手術用および貼り薬用接着剤)、(家庭用品用接着剤(紙用など)、段ボール用接着剤、製本用接着剤並びに電化製品用接着剤など。
本発明の抗菌性材料は、上記の反応性ホットメルト接着剤を用いて被接着材料を接着して得られる材料であり、必要により接着と同時または接着後に成形機で成形されたものでもよい。被接着材料としては、上記の各用途において用いられる材料が使用できる。
本発明の抗菌性材料は、抗菌性のみでなく、防カビ性、さらに防腐性(木材腐朽菌などによる腐朽を防止する)および防虫性も発揮することもできる。
以下実施例および製造例により本発明をさらに説明するが本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の部は重量部を示す。
[(A)の製造例]
製造例1
温度制御装置、撹拌装置付きのセパラブルフラスコに「ニューポール BPE−100」(三洋化成工業社製;ビスフェノールAのEO付加物、水酸基価=168.0、Mn=670)25.0部、「サンニックス PP−2000」(三洋化成工業社製;ポリオキシプロピレングリコール、水酸基価=56.9、Mn=2,000)50.0部、「パインクリスタル D−6011」(荒川化学工業社製;ロジン構造含有ポリオール、水酸基価=118.4、Mn=950)25.0部を仕込み、120℃で溶解後、減圧脱水した(120℃、133Pa、1時間)。窒素雰囲気下、MDI 44.6部を投入し、80℃で4時間熟成後、ウレタンプレポリマー(A−1)(NCO%:4.8%、120℃溶融粘度:20Pa・s)を得た。
[(B)の製造例]
製造例2
加熱冷却装置、撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、メチルジn−デシルアミン163部(0.88モル)、および炭酸ジメチル144部(1.6モル)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル)を得た。
さらに、30〜60℃の温度に保ちながら42%四フッ化硼素酸水溶液114部(0.55モル)を2時間で徐々に加えた。その後、さらに、同温度で1時間撹拌した後、静置分液した上層を分取し、メタノールと水を減圧下、80〜100℃で留去して、さらに減
圧乾燥(減圧度950hpa、105℃×3時間)した後、80℃で溶融状態にして、析出した塩を200メッシュ金網で濾過して除き、常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩からなる抗菌剤(B−1)206部を得た。
製造例3
製造例2と同様にして得られたジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル)に、室温でトリフルオロメタンスルホン酸79.5部(0.53モル)を加え、2時間撹拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、減圧乾燥(前記条件に同じ)して120℃で溶融状態にして取り出し、常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩からなる抗菌剤(B−2)250部を得た。
(B−1)及び(B−2)の各々において残存する炭酸ジメチルエステルは検出限界(10ppm)以下であった。
製造例4
硝酸銀水溶液[0.01M(モル/Lを表す。)]に100部のゼオライト(Atype、1.6μm)を入れて3時間撹拌し、ゼオライトを濾過して100℃で乾燥し、粉砕機で粉砕して銀ゼオライト粉末(B−3)を得た。
実施例1〜5および比較例1〜4
表1に示す配合処方(重量部)で混合した混合物をステンレス製加圧反応器に投入し、容器内を窒素置換した後、密閉下で120℃まで昇温し、2時間撹拌下で溶融混合を行うことにより、本発明の反応性ホットメルト接着剤及び比較のホットメルト接着剤を得た。
(記号等の説明)
B−4:ジヨードメチル−p−トリルスルホン
E−1:ロジンエステル(荒川化学工業社製;商品名 パインクリスタル KE−31
1、水酸基価 0、酸価 5、軟化点 95℃)
H−1:エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製;商品名
エバフレックス EV 205W、酢酸ビニル含量 28%、融点 73℃)
上記のホットメルト接着剤について、以下の試験方法で120℃溶融粘度、抗菌性、防カビ性、耐熱性、接着強度及び接着耐久性を評価した。結果を表2に示す。
<120℃溶融粘度測定方法>
JIS K7117−1987に準拠して(SB型粘度計、SB4号スピンドル回転数6rpmの条件)、120℃での溶融粘度を測定した。
<抗菌性評価方法>
JIS Z2801(抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)に従って評価した。即ち、長さ5cm×幅5cm×厚さ100μmのPETフィルム上に実施例または比較例のホットメルト接着剤を50μmの厚さで均一に塗布し(塗布温度120℃)、23℃、50%R.H.雰囲気下で72時間養生した試験片を作成し、試験片表面に試験菌液(大腸菌)を35℃で24時間接触させ、さらに35℃で48時間培養した後に大腸菌数を測定した。培養後大腸菌数/培養前大腸菌数を算出し、抗菌性を評価した。
<防カビ性評価方法>
JIS Z2801に準じた上記抗菌性評価方法と同様にして得た試験片表面に黒カビ試験液を35℃で24時間接触させ、さらに35℃で48時間培養した後に黒カビ数を測定した。培養後黒カビ数/培養前黒カビ数を算出し、防カビ性を評価した。
<耐熱性評価方法>
上記抗菌性評価方法と同様にして試験片を作成し、窒素雰囲気下200℃で1時間放置した後、試験片表面に試験菌液(大腸菌)を35℃で24時間接触させ、さらに35℃で48時間培養した後に大腸菌数を測定した。培養後大腸菌数/培養前大腸菌数を算出し、耐熱性を評価した。
<接着強度評価方法>
実施例または比較例のホットメルト接着剤を、温度120℃で溶融し、23℃雰囲気下で、カーテンスプレー塗工機を用いて(ホットエアー圧力1.5kg/cm2、ホットエ
アー温度140℃、ガンヘッド温度130℃、ガンヘッドと被着体との距離10cm)、塗布量50g/m2でMDF(ミディアムデンシティファイバーボード、長さ10cm、幅2.5cm、厚さ1cm)上に塗布し、1分後、オレフィンシート(長さ30cm、幅2.5cm、厚さ150μm)を合わせ、23℃雰囲気下、プレス圧5kgf/cm2
プレス時間1分の条件で貼り合わせた。その後、プレスを解き、23℃、50%RH雰囲気下で72時間養生した後、JIS K6854−1999に準じオートグラフ(AGS−500B;島津製作所社製)を用いて、引張速度200mm/minの条件で180°剥離強度を測定し、この最大値を接着強度とした(単位:N/25mm)。
<接着耐久性評価方法>
実施例または比較例のホットメルト接着剤を、温度120℃で溶融し、23℃雰囲気下で、カーテンスプレー塗工機を用いて(ホットエアー圧力1.5kg/cm2、ホットエ
アー温度140℃、ガンヘッド温度130℃、ガンヘッドと被着体との距離10cm)、塗布量50g/m2でMDF(ミディアムデンシティファイバーボード、長さ7.5cm
、幅7.5cm、厚さ1cm)上に塗布し、1分後、オレフィンシート(長さ7.5cm、幅7.5cm、厚さ150μm)を合わせ、23℃雰囲気下、プレス圧5kgf/cm2、プレス時間1分の条件で貼り合わせた。その後、プレスを解き、23℃、50%RH
雰囲気下で72時間養生して、試験片を作成した。本試験片を日本農林規格(JAS)浸漬剥離試験1類(沸騰水4時間浸漬、60℃20時間乾燥、さらに沸騰水4時間浸漬し、60℃3時間乾燥後の状態観察)の適合基準(剥離しない部分が各接着層で5cm以上ならば合格)に準じ合否を判定した(○:合格、×:不合格)。
本発明の反応性ホットメルト接着剤は下記の用途に使用できる。
(1)建築材料用:木材用接着剤(合板用、パーティクルボード用、ハードボード用、集成材用および木工用接着剤)およびその他建築材料用接着剤(コンクリート用、モルタル用、壁紙用、床材料用およびタイル用接着剤)
(2)繊維材料用:繊維材料用接着剤(不織布用、植毛用、接着布用、接着縫製用およびカーペット裏糊用接着剤)
(3)その他材料用:プラスチック用接着剤(硬質塩化ビニル管用、軟質塩化ビニル用および発泡プラスチック用接着剤)、ゴム用接着剤、皮革用接着剤、セラミックス用接着剤(複層ガラス用、光学レンズ用および研磨材料用)、(家庭用品用接着剤(紙用など)、段ボール用接着剤、製本用接着剤並びに電化製品用接着剤など。

Claims (4)

  1. 湿気硬化型のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(A)および一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩からなる抗菌剤(B)からなる反応性ホットメルト接着剤。

    1234+・X- (1)

    (式中、R1およびR2は同一又は異なる、炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基、R3は炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基又は炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、R4は炭素数が8〜22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、X-は超強酸のアニオンを表す。)
  2. さらに、粘着付与樹脂を含有させてなる請求項1記載の接着剤。
  3. 反応性ホットメルト接着剤の重量に基づいて(B)を0.01〜20重量%含有する請求項1または2記載の接着剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の接着剤を用いて被接着材料を接着させて得られる抗菌性材料。
JP2006196509A 2005-07-21 2006-07-19 反応性ホットメルト接着剤 Pending JP2007051282A (ja)

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