JP2007051092A - オキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 工業的に利用できる効率的なオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法を提供すること。
【解決手段】 オキシアルキレン基含有脂肪族アミンまたはその塩酸塩を、エステル溶剤中、例えば、0〜90℃の温度範囲でホスゲンと反応させた後、さらに90〜160℃でホスゲンと反応させる等の、少なくとも2つの温度範囲で段階的にホスゲンと反応させることでイソシアネート化合物を得るオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、オキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法に関する。
オキシアルキレン基(エーテル基)を含有する脂肪族アミン化合物を、ホスゲン化反応によりイソシアネート化合物とする場合、副生塩化水素の影響で、反応時および濃縮時等にエーテル結合の解裂を伴う副反応が生じ、目的物の収率が著しく低下することが知られている。
この副反応を抑制する手法として、第3級アミンや酸化カルシウムなどの塩基性化合物を、イソシアネート化反応系内で脱酸剤として用いる方法が報告されている(特許文献1〜3参照)。
しかし、第3級アミンを脱酸剤として用いる手法では、第3級アミンが高価であることから、製造コスト増を招来してしまう。一方、酸化カルシウムを脱酸剤として用いる手法では、大過剰量の酸化カルシウムを加えないと充分な副反応抑制効果が発揮されない。
しかも、両法ともに、中和(脱酸)反応の結果、多量の固体が析出することから、反応終了後に大がかりな濾別工程が必要となる。
これらの理由から、脱酸剤を用いる手法は、工業的製法としては適していない。
また、脱酸剤を使用しないオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製法として、気化させたオキシアルキレン基含有ポリアミンとホスゲンとを、加圧条件下、アミンの沸点以上の高温で反応させる気相法が報告されている(特許文献4参照)。
しかし、この方法は、ホスゲンという毒性の高い物質を、高温,高圧の条件下で取り扱う方法であることから、従来のイソシアネート製造設備をそのまま使用することができないだけでなく、反応時に危険を伴う。このため、高温,高圧下でホスゲンを安全に取り扱うことが可能な設備が必要となり、設備コストが多大になる上、製造時の運転コストも多大になるという問題を有している。
したがって、この気相法も工業的製法としては適していない。
ところで、脂肪族ポリアミン塩酸塩とホスゲンとを反応させて脂肪族ポリイソシアネートを製造する際に、エステル系溶剤を用いることで、副反応(脱アミノ反応)が抑制され、この副反応で生成する塩素化物の量を低減し得ることが既に報告されている(特許文献5参照)。
しかしながら、この製法で対象としているポリアミンは、直鎖状脂肪族ポリアミン、分岐状脂肪族ポリアミン、アミノ酸系ポリアミンなどのオキシアルキレン基を有しないポリアミンであって、当該文献には、本発明の対象とするオキシアルキレン基含有脂肪族ポリアミンについての示唆はない。
しかも、特許文献5に記載されているホスゲン化条件をオキシアルキレン基含有脂肪族ポリアミンにそのまま適用しても、目的とするオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートを得ることはできない。
特公昭46−40275号公報 特公平5−8713号公報 特開平9−208589号公報 特開平9−216860号公報 特開平3−204851号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、工業的に利用できる効率的なオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、オキシアルキレン基含有脂肪族アミンまたはその塩酸塩をホスゲン化してイソシアネートを得る製法において、ホスゲン化反応の溶剤としてエステル系化合物を用い、少なくとも2つの温度範囲で段階的にホスゲン化を行うことで、脱酸剤を使用しなくとも副生塩化水素の作用によるエーテル結合の解裂に伴う副反応を抑制でき、効率的にオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネート化合物が得られることを見出すとともに、この製法が大規模な濾過工程や、高温,高圧条件を必要としないため、工業的製法としての利用価値が極めて高いことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1.オキシアルキレン基含有脂肪族アミンまたはその塩酸塩を、エステル溶剤中で少なくとも2つの温度範囲で段階的にホスゲンと反応させることでイソシアネート化合物を得ることを特徴とするオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法、
2.前記ホスゲンとの反応が、0〜90℃で反応させた後、90〜160℃で反応させる、少なくとも2つの温度範囲で段階的に行われる1のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法、
3.前記ホスゲンとの反応が、0〜90℃で反応させた後、90〜110℃で反応させ、さらに110〜160℃で反応させる、少なくとも3つの温度範囲で段階的に行われる2のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法、
4.前記オキシアルキレン基含有脂肪族アミン塩酸塩が、オキシアルキレン基含有脂肪族アミンと、塩化水素とを100℃未満で造塩化して得られたものである1〜3のいずれか1のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法、
5.前記造塩化の温度が、0〜50℃である4のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法、
6.前記造塩化が、エステル溶剤中で行われる4または5のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法、
7.前記オキシアルキレン基含有脂肪族アミンが、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタンである1〜6のいずれかのオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法、
8.前記エステル溶剤の沸点が、125℃以上である1〜7のいずれかのオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法、
9.前記エステル溶剤が、酪酸n−ブチルである8のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法
を提供する。
本発明のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法は、脱酸剤を使用しなくともエーテル結合の解裂に伴う副反応を抑制できるため、脱酸剤のコストを削減でき、しかも大規模な濾過工程を必要としないから、製造コストの低減化および製造工程の簡略化を図ることができる。また、本発明の製造方法は、気相法のように高温,高圧条件を必要としないため、安全性が高い上、従来の製造設備を用いることができ、設備コストおよび製造コストの面でも有利である。
このように、本発明のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法は、工業的製法としての利用価値が極めて高い。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法は、オキシアルキレン基含有脂肪族アミンまたはその塩酸塩を、エステル溶剤中で少なくとも2つの温度範囲で段階的にホスゲンと反応させる(以下、ホスゲン化反応という)ことでイソシアネート化合物を得るものである。
本発明におけるオキシアルキレン基含有脂肪族アミンの具体例としては、1,1′−ビス(アミノメチル)エーテル、1,1′−ビス(アミノエチル)エーテル、1,2′−ビス(アミノエチル)エーテル、2,2′−ビス(アミノエチル)エーテル、ビス(アミノエチル)エーテル異性体混合物、ビス(アミノプロピル)エーテル(全異性体)等のジアミノオキソアルカン(NH2−R−O−R−NH2:Rはアルキレン基)類;1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン、1,10−ジアミノ−4,7−ジオキサデカン、1,12−ジアミノ−4,9−ジオキサドデカン、1,14−ジアミノ−3,10−ジオキサテトラデカン、1,13−ジアミノ−4,7,10−トリオキサトリデカン等のジアミノ(ポリ)オキサアルカン(NH2−R−(OR)n−NH2:Rはアルキレン基,nは2以上の整数)類;1,7−ジアミノ−2,6−ジオキサ−4−アミノメトキシヘプタン、1−アミノ−2−オキサ−3,3−ビス(アミノメトキシ)ヘキサン、1,9−ジアミノ−3,7−ジオキサ−5−(1−アミノ−2−エトキシ)ノナン、1−アミノ−3−オキサ−4,4−ビス−(1−アミノ−2−エトキシ)ヘプタン、1,11−ジアミノ−4,8−ジオキサ−6−(1−アミノ−5−オキソブチル)ウンデカン、1−アミノ−4−オキサ−5,5−ビス(1−アミノ−5−オキソブチル)オクタン等のトリアミノ(ポリ)オキサアルカン類;これらジアミノ(ポリ)オキサアルカンおよびトリアミノ(ポリ)オキサアルカンの混合物などが挙げられる。
ホスゲン化反応は、オキシアルキレン基含有脂肪族アミンまたはその塩酸塩を、エステル系溶剤中でホスゲンと反応させ、カルバミン酸クロライドを経てイソシアネートへ変換する反応である。
この反応で用いられるエステル系溶剤としては、特に限定されるものではなく、公知の各種エステル化合物を用いることができる。具体例としては、蟻酸アミル(沸点131℃)、酢酸n−ブチル(沸点124℃)、酢酸イソブチル(沸点118℃)、酢酸n−アミル(沸点149℃)、酢酸イソアミル(沸点142℃)、酢酸n−ヘキシル(沸点172℃)、酢酸第二ヘキシル(沸点147℃)、酢酸2−エチルブチル(沸点162℃)、酢酸2−エチルヘキシル(沸点199℃)、酢酸シクロヘキシル(沸点177℃)、酢酸メチルシクロヘキシル(沸点o−182℃,m−189℃,p−187℃)、プロピオン酸n−プロピル(沸点123℃)、プロピオン酸n−ブチル(沸点146℃)、プロピオン酸イソブチル(沸点137℃)、プロピオン酸イソアミル(沸点161℃)、酪酸エチル(沸点121℃)、酪酸イソプロピル(沸点130℃)、酪酸n−ブチル(沸点165℃)、酪酸イソアミル(沸点179℃)、イソ酪酸イソブチル(沸点149℃)、イソペンタン酸エチル(沸点134℃)、ヘキサン酸エチル(沸点166℃)、ヘプタン酸エチル(沸点189℃)等のカルボン酸アルキルエステル、酢酸ベンジル(沸点212℃)等のカルボン酸芳香環含有アルキルエステル、酢酸メトキシブチル(沸点171℃)、酢酸メトキシプロピル(沸点150℃)等のカルボン酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。これらのエステル系溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
オキシアルキレン基含有脂肪族アミンまたはその塩酸塩のホスゲン化反応では、最終的に110〜135℃程度以上まで加熱すると、反応速度向上および目的物の収率向上という点で有利であることから、ホスゲン化反応に用いられるエステル溶剤は、常圧での沸点が125℃以上のものが好ましく、130℃以上のものがより好ましい。具体的には、酢酸アミル(沸点149℃)、酢酸n−ヘキシル(沸点172℃)、酪酸n−ブチル(沸点165℃)、酪酸イソアミル(沸点179℃)が好ましく、中でも、酪酸n−ブチルが最適である。
反応温度は、ホスゲン化反応が進行し得る温度であれば任意であるが、上述の理由から、最終的に少なくとも110〜160℃、特に、110〜150℃程度まで加熱することが好ましい。この際、上記温度範囲に加熱した状態でホスゲンを吹き込んだり、ホスゲン吹き込みとほぼ同時に上記温度範囲まで加熱したりすると、生成したイソシアネートと原料アミンとのウレア化反応が起こる可能性があり、また、アミン塩酸塩を原料とする場合には、反応系内でアミン塩酸塩が凝集して塊を形成し、反応が進行し難くなる場合があることから、少なくとも2種類の温度範囲を用いて段階的に反応させることが好ましい。
具体的には、原料がアミンおよびアミン塩酸塩のいずれの場合においても、0〜90℃の低温域で反応させた後、90〜160℃の高温域で反応させるという少なくとも2つの温度範囲を用いて段階的に反応を行うことが好ましい。なお、反応温度の上限は特に限定されないが、高すぎると収率の低下等を招く虞があることから、高沸点の溶剤を使用した場合でも反応温度は150℃程度に抑えることが好ましい。
ホスゲン化の反応時間は、反応系内におけるアミン塩酸塩の凝集の程度や、反応の進行に伴う塩化水素の放出の程度等を確認しながら反応を行うことから一概には規定できないが、0〜90℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間、90〜160℃で通常5〜24時間、好ましくは8〜16時間程度である。
アミンを原料とする場合には、特に、0〜90℃、90〜110℃、および110〜160℃の少なくとも3つの温度範囲、好ましくは10〜50℃、50〜70℃、90〜110℃および110〜160℃の少なくとも4つの温度範囲で段階的に反応させることで、低温域(10〜90℃)の反応にて上述のウレア化を効率的に抑制しつつ、高温域(90〜160℃)の反応にてカルバミン酸クロライドの分解を速やかに進行させることができるため、純度の高いイソシアネート化合物を高収率で得ることができる。
この場合も、上述の理由から、各温度範囲における反応時間は一概には規定できないが、一例を挙げると、0〜90℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間、90〜110℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間、110〜160℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間程度である。また、4段階で昇温させる場合、0〜50℃で通常1〜5時間、好ましくは3〜5時間、50〜70℃で通常1〜8時間、好ましくは3〜5時間、90〜110℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間、110〜160℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間程度である。
アミン塩酸塩を原料とする場合には、特に、0〜90℃、90〜110℃、および110〜160℃の少なくとも3つの温度範囲、好ましくは50〜70℃、70〜90℃、90〜110℃および110〜160℃の少なくとも4つの温度範囲で段階的に反応させることで、上述のアミン塩酸塩の凝集を効率的に抑制できる上、高沸点成分等の副生物の生成を抑制できるため、純度の高いイソシアネート化合物を高収率で得ることができる。
この場合も、上述の理由から、各温度範囲における反応時間は一概には規定できないが、一例を挙げると、0〜90℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間、90〜110℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間、110〜160℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間程度である。また、4段階で昇温させる場合、0〜70℃で通常1〜5時間、好ましくは1〜3時間、70〜90℃で通常1〜8時間、好ましくは3〜5時間、90〜110℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間、110〜160℃で通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間程度である。
ホスゲン化反応時の系内の圧力は特に限定されず、通常、常圧から40〜200kPa(ゲージ圧)程度の加圧下で行われるが、常圧で行うことが好ましい。
ホスゲンの使用量は、全アミノ(塩酸塩)基に対して、通常、2〜25倍モルであるが、8〜18倍モルが好ましい。
また、エステル溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、アミン(塩酸塩)に対して、4〜49倍(質量比)が好ましく、7.3〜19倍(質量比)がより好ましい。
ホスゲン化反応終了後は、窒素ガス等の不活性ガスによる未反応ホスゲンおよび副生塩化水素ガスのパージ、溶媒留去、蒸留生成等の通常の後処理を行うことで、目的とするオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネート化合物を得ることができる。
上記製造方法において、原料としてアミン塩酸塩を用いる場合、その造塩化方法は、特に限定されるものではなく、アミンと塩化水素ガスとを反応させる公知の造塩化方法を用いることができるが、本発明では、造塩化の反応温度を、100℃未満とすることが好ましく、0〜50℃、特に5〜35℃とすることが好ましい。反応温度が100℃を超えると、アミン塩酸塩の凝集が起こり、その後の反応の進行に支障を来す場合がある。
造塩化反応時の系内の圧力は特に限定されず、通常、常圧から40〜200kPa(ゲージ圧)程度の加圧下で行われるが、常圧で行うことが好ましい。
反応時間は、反応温度にもよるため一概には規定できないが、上記の温度範囲では、通常、0.5〜4時間程度であり、0.5〜2時間程度が好ましい。
塩化水素の使用量は、アミンが有する全アミノ基に対して、通常、1.1〜3倍モルであるが、1.2〜1.5倍モルが好ましい。
造塩化反応の反応溶剤は、造塩化反応を阻害しない溶剤であれば任意であり、従来公知の各種溶剤を用いることができる。ただし、本発明では、後のホスゲン化反応においてエステル系溶剤を用いることから、造塩化反応でもホスゲン化で使用するのと同一のエステル系溶剤を用いることが好ましい。このように造塩化反応およびホスゲン化反応の溶剤を同一のものとすることで、造塩化工程と、これに続くホスゲン化工程とを1つの反応容器内で連続的に行うことができる。
なお、造塩化により得られたアミン塩酸塩を一旦単離してから、後のホスゲン化に用いることももちろん可能であり、この場合における造塩化の反応溶剤は、ホスゲン化で用いる溶剤と同一の溶剤でも、異なる溶剤でもよい。造塩化反応に使用可能なエステル系溶剤以外の溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルトルエン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[1]造塩化反応
還流冷却器、温度計、塩化水素およびホスゲン吹込管、並びに攪拌機を備えた2Lフラスコに、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン(ジェファーミンEDR−148、ハンツマン製)80g(0.54mol)と、溶剤である酪酸n−ブチル(東京化成工業(株)製、特級試薬)1520g(アミン濃度5質量%)とを投入した。
次に、フラスコを氷浴に入れ、反応液を撹拌しながら、塩化水素ガス60g(1.64mol、全アミノ基の1.51倍モル)を1g/分で上記吹込管を通して吹き込んだ(所要時間1時間)。このとき反応液の温度(内温)は5〜35℃に保った。塩化水素ガスの吹き込み終了後、氷浴をはずし、室温まで昇温し、生成したスラリー溶液を1時間撹拌し、アミン塩酸塩のスラリー溶液を調製した。
[2]ホスゲン化反応
続いて、得られたスラリー溶液中に、ホスゲンを50〜70℃(内温、以下同じ)で3時間、70〜90℃で5時間、90〜110℃で8時間、110〜130℃で8時間、それぞれホスゲンの還流を保つ状態で上記吹込管を通して吹き込んだところ、クリアーな溶液が得られた。この際、ホスゲンの全使用量は、1440g(14.6mol、全アミン塩酸塩基の13.5倍モル)であった。
その後、窒素ガスにて未反応ホスゲンおよび塩化水素をパージし、溶媒を留去して得られた粗生成物を減圧蒸留(118〜120℃/減圧度1.7mmHg(0.226kPa))に付し、無色液体の1,8−ジイソシアナト−3,6−ジオキサオクタン81.1g(0.41mol、収率75%)を得た。
[実施例2]
[1]造塩化反応
溶剤を、酢酸n−ブチル(東京化成工業(株)製、特級試薬)に代えた以外は、実施例1と同様にしてアミン塩酸塩のスラリー溶液を調製した。
[2]ホスゲン化反応
続いて、得られたスラリー溶液に、ホスゲンを50〜70℃で3時間、70〜90℃で5時間、90〜110℃で16時間、それぞれホスゲンの還流を保つ状態で上記吹込管を通して吹き込んだ。この際、ホスゲンの全使用量は、1440g(14.6mol、全アミン塩酸塩基の13.5倍モル)であった。なお、スラリー状の反応液は完全にはクリアーにならなかった。
その後、窒素ガスにて未反応ホスゲンおよび塩化水素をパージし、濾過により固形物を取り除いた後、溶媒を留去して得られた粗生成物を減圧蒸留(118〜120℃/減圧度1.7mmHg(0.226kPa))に付し、無色液体の1,8−ジイソシアナト−3,6−ジオキサオクタン50.7g(0.25mol、収率47%)を得た。
[実施例3]
還流冷却器、温度計、ホスゲン吹込管および攪拌機を備えた2Lフラスコに、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン80g(0.54mol)と、溶剤である酪酸n−ブチル1520g(アミン濃度5質量%)とを投入した。
その後、撹拌下、ホスゲンを10〜20℃で3時間、50〜70℃で5時間、90〜110℃で8時間、110〜130℃で8時間、それぞれホスゲンの還流を保つ状態で上記吹込管を通して吹き込んだところ、クリアーな溶液が得られた。この際、ホスゲンの全使用量は、1440g(14.6mol、全アミノ基の13.5倍モル)であった。
その後、窒素ガスにて未反応ホスゲンおよび塩化水素をパージし、溶媒を留去して得られた粗生成物を減圧蒸留(118〜120℃/減圧度1.7mmHg(0.226kPa))に付し、無色液体の1,8−ジイソシアナト−3,6−ジオキサオクタン74.5g(0.37mol、収率69%)を得た。
[比較例1]
[1]造塩化反応
実施例1と同様にしてアミン塩酸塩のスラリー溶液を調製した。
[2]ホスゲン化反応
続いて、ホスゲンを、還流を保つように上記吹込管を通して吹き込みつつ、130℃まで一気に昇温したところ、塩酸塩が凝集して塊となり、反応は進行しなかった。
[比較例2]
反応溶剤をモノクロロベンゼン(東京化成工業(株)製、特級試薬)に代えた以外は、造塩化およびホスゲン化ともに実施例1と同様にし、無色液体の1,8−ジイソシアナト−3,6−ジオキサオクタン22.7g(0.113mol、収率21%)を得た。
[比較例3]
[1]造塩化反応
反応溶剤をo−ジクロロベンゼン(東京化成工業(株)製、特級試薬)に代えた以外は、実施例1と同様にしてアミン塩酸塩のスラリー溶液を調製した。
[2]ホスゲン化反応
続いて、得られたスラリー溶液に、ホスゲンを50〜70℃で3時間、70〜90℃で5時間、90〜110℃で8時間、110〜130℃で4時間、130〜150℃で4時間、それぞれホスゲンの還流を保つように上記吹込管を通して吹き込んだ。この際、ホスゲンの全使用量は、1440g(14.6mol、全アミン塩酸塩基の13.5倍モル)であった。
その後、窒素ガスにて未反応ホスゲンおよび塩化水素をパージし、溶媒を留去して得られた粗生成物を減圧蒸留(118〜120℃/減圧度1.7mmHg(0.226kPa))に付し、無色液体の1,8−ジイソシアナト−3,6−ジオキサオクタン16.2g(0.08mol、収率15%)を得た。
[比較例4]
反応溶剤をモノクロロベンゼンに代えた以外は、実施例3と同様にして、無色液体の1,8−ジイソシアナト−3,6−ジオキサオクタン21.6g(0.108mol、収率20%)を得た。
[参考例1]
[1]造塩化反応
還流冷却器、温度計、塩化水素およびホスゲン吹込管、並びに攪拌機を備えた2Lフラスコに、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン80g(0.54mol)と、溶剤である酪酸n−ブチル1520g(アミン濃度5質量%)とを投入した。
次に、反応液を撹拌しながら105℃(内温)まで昇温した後、塩化水素ガス60g(1.64mol、全アミノ基の1.51倍モル)を1g/分で上記吹込管を通して吹き込んだ。塩素ガス吹き込み直後から反応熱により反応液の温度が上昇し始め、吹き込み開始後30分経過後には120℃に達し、この時点でアミン塩酸塩が飴状に凝集して二層分離を起こしたため、通常の反応時間である1時間を待たずに反応を停止した。
上記各実施例および比較例に示されるように、溶剤として酪酸n−ブチル等のエステル溶剤を用い、少なくとも2つの温度範囲を用いて段階的に反応させる本発明の製造方法を用いた実施例1〜3では、段階的な反応を行わない場合(比較例1)や、エステル系溶剤を使用しない場合(比較例2〜4)に比べ、目的とする1,8−ジイソシアナト−3,6−ジオキサオクタンが高収率で得られていることがわかる。また、参考例1に示されるように、100℃以上で造塩化を行うと、アミン塩酸塩が凝集する等で反応がスムーズに進行しないことがわかる。

Claims (9)

  1. オキシアルキレン基含有脂肪族アミンまたはその塩酸塩を、エステル溶剤中で少なくとも2つの温度範囲で段階的にホスゲンと反応させることでイソシアネート化合物を得ることを特徴とするオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
  2. 前記ホスゲンとの反応が、0〜90℃で反応させた後、90〜160℃で反応させる、少なくとも2つの温度範囲で段階的に行われる請求項1記載のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
  3. 前記ホスゲンとの反応が、0〜90℃で反応させた後、90〜110℃で反応させ、さらに110〜160℃で反応させる、少なくとも3つの温度範囲で段階的に行われる請求項2記載のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
  4. 前記オキシアルキレン基含有脂肪族アミン塩酸塩が、オキシアルキレン基含有脂肪族アミンと、塩化水素とを100℃未満で造塩化して得られたものである請求項1〜3のいずれか1項記載のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
  5. 前記造塩化の温度が、0〜50℃である請求項4記載のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
  6. 前記造塩化が、エステル溶剤中で行われる請求項4または5記載のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
  7. 前記オキシアルキレン基含有脂肪族アミンが、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタンである請求項1〜6のいずれか1項記載のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
  8. 前記エステル溶剤の沸点が、125℃以上である請求項1〜7のいずれか1項記載のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
  9. 前記エステル溶剤が、酪酸n−ブチルである請求項8記載のオキシアルキレン基含有脂肪族イソシアネートの製造方法。
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