JP2007046170A - ポリウレタン弾性繊維及びこの繊維を用いた混用品、布帛および繊維製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均粒子径0.1μm以上60μm以下のポリアミド微粒子を含有するポリウレタン弾性繊維、およびポリウレタン弾性繊維と酸性染料可染型繊維を含有し、酸性染料で染着されていることを特徴とする混用品。
【選択図】 選択図なし
Description
ポリウレタン弾性繊維とポリアミド繊維とを混用した布帛を酸性染料で染色する場合、ポリウレタン弾性繊維は酸性染料による染着性が低いために、ポリアミド繊維との同色性が悪いという問題や、ポリウレタン弾性繊維が染まらないことにより弾性繊維が伸縮性布帛の外側に露出する、いわゆる目剥きという問題がある。また目剥きによって布帛の外側にちらちらとポリアミド繊維とは異色の弾性繊維が顔をのぞかせたり、弾性繊維特有のぎらぎらとした光沢、いわゆるぎらつきという現象が起こり、著しく布帛の品位を落としてしまうことがある。
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.平均粒子径0.1μm以上60μm以下のポリアミド微粒子を含有することを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
2.粒子径50μm以上の成分がポリアミド微粒子全体の1%未満であることを特徴とする上記1記載のポリウレタン弾性繊維。
3.ポリアミド微粒子を0.1重量%以上30重量%以下含有することを特徴とする上記1または2記載のポリウレタン弾性繊維。
4.ポリアミド微粒子が本質的にジメチルアセトアミドに溶解しないことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
5.ポリアミド微粒子がナイロン6またはナイロン66であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
6.上記1〜5のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維と酸性染料可染型繊維を含有し、酸性染料で染着されていることを特徴とする混用品。
7.酸性染料で染色されたときに3.5級以上の堅牢度を有することを特徴とする上記6記載の混用品。
8.上記1〜5のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維が含有されていることを特徴とする布帛。
上記。1〜5のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維が含有されていることを特徴とする衣料品。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、特定粒径のポリアミド微粒子を含有することを特徴とする。ここで、ポリアミドとは、ポリマーの主鎖を構成する結合がアミド結合であるものをいい、脂肪族系や、芳香族系が挙げられる。例えば、ε−カプロラクタム重縮合ポリマー(ナイロン6)、ウンデカンラクタム重縮合ポリマー(ナイロン11)、ラウリルラクタム重縮合ポリマー(ナイロン12)、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の共縮重合ポリマー(ナイロン66)、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の共縮重合ポリマー(ナイロン610)、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の共縮重合ポリマー(ナイロン6T)、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の共縮重合ポリマー(ナイロン6I)、ノナンジアミンとテレフタル酸の共縮重合ポリマー(ナイロン9T)、メチルペンタンジアミンとテレフタル酸の共縮重合ポリマー(ナイロンM5T)である。ナイロン6およびナイロン66が好ましい。その他、公知の成分が使用できる。また、本発明のポリアミド繊維には、本発明の効果を損わない程度において各種安定剤等の添加剤が含有されていてもよい。
ポリアミド微粒子は、粒子径50μm以上の成分がポリアミド微粒子全体の1%未満であることが好ましい。40μm以上の成分が1%未満であることがさらに好ましい。粒子径の大きな微粒子成分を含んでいる弾性繊維は物理的性質が低下するばかりではなく、紡糸時の糸切れが増加する。
ポリアミド微粒子の分級方法は、メカニカル方式、エアジェット方式、細管方式等の乾式法や沈降分級、サイクロン、遠心分級などの湿式法、ふるいわけ法など公知の方法があるが、本発明の効果を損なわないならどのような方法でもよい。
ポリウレタン弾性繊維を乾式紡糸法で製造する場合、ポリアミド微粒子は、紡糸溶剤であるジメチルアセトアミドに本質的に溶解しないことが好ましい。全く不溶であることが、さらに好ましい。ここでいう、本質的に溶解しないとは、微粒子がジメチルアセトアミドと混合し均一にならないことを意味する。また、ジメチルアセトアミドによって膨潤しないことが好ましいが、部分的に膨潤しても平均粒子径が0.1μm以上60μm以下であれば構わない。
本発明においてポリアミド微粒子は、ポリウレタン溶液中や溶融ポリウレタン中に添加される。又はポリウレタンプレポリマー反応中や鎖伸長反応中に添加することも可能である。
このポリウレタンには、本発明のポリアミド微粒子以外に、ポリウレタン弾性繊維に通常用いられる他の化合物、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐ガス安定剤、着色剤、艶消し剤、充填剤等を添加してもよい。
得られたポリウレタン弾性繊維に、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性シリコン、ポリエーテル変性シリコン、アミノ変性シリコン、鉱物油、鉱物性微粒子、例えばシリカ、コロイダルアルミナ、タルク等、高級脂肪酸金属塩粉末、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固形状ワックス等の油剤を単独、又は必要に応じて任意に組合わせて付与してもよい。
混用される方法や混用形態は特に限定されず、交編織されたり、被覆、交絡、合撚等をした加工糸や、加工糸を含んで交編織された布帛等が挙げられる。
本発明のポリウレタン弾性繊維が含有された布帛は、水着、ガードル、ブラジャー、インティメイト商品、肌着等の各種ストレッチファンデーション、靴下用口ゴム、タイツ、パンティストッキング、ボディスーツ、スパッツ、ストレッチスポーツウエアー、ストレッチアウター、包帯、サポーター、医療用ウエア、裏地、紙オムツなどの用途に用いることができる。
本発明のポリウレタン弾性繊維が含有された布帛の形態としては、緯編物、経編物、織物等があり、緯編物ではシングルの天竺組織、鹿子組織ダブルのリム、スムース、ピッケ組織等変化組織、経編物ではトリコットのハーフ組織、サテン組織等変化組織、ラッセルのパワーネット組織、サテン組織、チュール組織等、織物では平織、斜紋織、朱子織等変化組織、等のいずれの構造でも使用目的に合わせて選択する事ができる。
[粒子径]
測定試料は、イオン交換水にヘキサメタリン酸ナトリウムを0.2重量%溶かした分散媒に、ポリアミド微粒子100ppmを添加し、超音波ホモジナイザーで1分間分散して調製した。粒子径は、日機装社製、マイクロトラック粒度分布測定装置にて粒子径分布を測定し、平均粒子径および最大粒子径を求めた。また、粒子径分布より、粒子径40μm以上および粒子径50μm以上の粒子比率を求めた。なおここで、粒子比率とは体積比率を示す。
引張試験機(オリエンテック(株)製商品名UTM−III 100型)を使用し、20℃、湿度65%の条件下で試料長5cmの試験糸を50cm/分の速度で引張破断強度、伸度の測定を行った。
丸編機(小池機械製作所製、CR−C型)を用いて、試験繊維のベア編地を作成する。試験繊維のベア編地を1.2g計量し、ポリアミド繊維からなるベア編地4.8gとを一緒に合わせてステンレス容器に入れ、酸性ミーリング染料(ブラック)4%owf、浴比1:50、ph4.0にて90℃で60分間染色処理を行う。フィックス処理、柔軟加工剤処理後、編地を水洗、風乾して染色状態を濃染5級から淡染1級の5段階評価し、これを染色編地の濃染状態評価とする。級数が高いほうが、濃く染色された状態で好ましい。
試験繊維をドラフト2.5倍下で、ナイロン66(旭化成せんい社製レオナ)44dtex/34fと撚数300T/Mでカバリングして緯糸とし、経糸はナイロン66(旭化成せんい社製レオナ)44dtex/34f(撚数1200T/M)を使用し、密度(経×緯)が130本/2.54cm×110本/2.54cmの平織物を製織した。これを60℃×20分精錬後、160℃×30秒プレセットし、染色した。
単エンド紡糸機にて、紡糸速度600m/分、熱風温度330℃で乾式紡糸して44デシテックス/4フィラメントの繊維を製造した。1時間紡糸を行い、1時間以内で糸切れ無しの場合良好と表現した。巻取りゴデットローラー上で糸切れが頻発し巻取りが不可能であった場合は、紡糸不可と判定した。
ナイロン6ペレット(宇部興産社製UBE NYLON 1015B)を液体窒素で冷却し、凍結粉砕機にて粉砕した。この紛体は平均粒子径70μm、最大粒子径414μmであった。この紛体を500メッシュの篩にて分級し、平均粒子径24μm、最大粒子径141μmであり、40μm以上の粒子比率が4%、50μm以上の粒子比率が0.9%の微粒子を得た。
エチレンジアミン23.4gおよびジエチルアミン3.7gを乾燥ジメチルアセトアミド1,570gに溶解し、これを前期プレポリマー溶液に室温で添加して、粘度2,200ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を得た。
ナイロン6微粒子200gおよび重合原液640gをジメチルアセトアミド1,100gに加えて、ホモミキサーで分散しナイロン6微粒子を含有したマスターバッチ溶液を得た。紡糸工程中で重合原液に、マスターバッチ原液を直接添加しスタティックミキサーにて混合して紡糸原液とした。ポリウレタン固形分に対して、ナイロン6微粒子の含有量が1重量%、5重量%、10重量%となるようにマスターバッチ溶液の添加比率を変えた。
得られたポリウレタン弾性繊維のベア編地を作成し染色性および堅牢度を評価した。結果を表1に示す。ネイビーに染着し、堅牢度も良好であることを示している。
得られたポリウレタン弾性繊維とナイロン66繊維にて混用布帛を作成し、染色後、目剥き評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1のポリウレタン重合原液に、ポリアミド微粒子を含有したマスターバッチ原液を添加せずに、実施例1と同様の条件で44dT/4フィラメントのポリウレタン繊維を製造した。得られたポリウレタン繊維のベア編地を作成し発色性を測定した。結果を表1に示す。実施例1と同様にナイロン66繊維との混用布帛を作製し、染色後の目剥き評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の凍結粉砕機したポリアミド紛体をそのまま使用した。平均粒子径70μm、最大粒子径414μmであり、40μm以上の粒子比率が40%、50μm以上の粒子比率が30%の微粒子を得た。実施例1と同様の条件でマスターバッチ原液を調製した。ポリウレタン固形分に対して、ポリエステル微粒子の添加量が5重量%となるようにマスターバッチ溶液の添加量を調整した紡糸原液で、実施例1と同様の条件で44dT/4フィラメントのポリウレタン繊維を製造した。巻取りゴデットローラー上で糸切れが頻発し紡糸不可であった。
実施例1の分級したポリアミド微粒子の含有量が、ポリウレタン固形分に対して35重量%になるように添加量を調整し紡糸原液を調製した。この紡糸原液を使用し、実施例と同様の条件で44dT/36フィラメントのポリウレタン弾性繊維を製造した。紡糸安定性は良好であった。この繊維の引張破断強度25cN、破断伸度350%と低かった。
実施例1の微粒子を、さらにエアジェット式分級器で分級し、平均粒子径10μm、最大粒子径30μmであり、40μm以上の粒子比率が0.2%、50μm以上の粒子比率が0%の微粒子を得た。この微粒子を使用し、実施例1と同様の条件でマスターバッチ原液を調製した。ポリウレタン固形分に対して、ポリエステル微粒子の含有量が5重量%となるようにマスターバッチ溶液の添加量を調整した紡糸原液で、実施例1と同様の条件で44dT/4フィラメントのポリウレタン繊維を製造した。紡糸安定性は良好であった。得られたポリウレタン繊維のベア編地を作成し発色性を測定した。結果を表1に示す。実施例1と同様の条件で44dT/4フィラメントのポリウレタン繊維を製造した。得られたポリウレタン繊維のベア編地を作製し発色性を測定した。また、実施例1と同様にナイロン66繊維との混用布帛を作製し、染色後の洗濯堅牢度および目剥き評価を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (9)
- 平均粒子径0.1μm以上60μm以下のポリアミド微粒子を含有することを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
- 粒子径50μm以上の成分がポリアミド微粒子全体の1%未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン弾性繊維。
- ポリアミド微粒子を0.1重量%以上30重量%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタン弾性繊維。
- ポリアミド微粒子が本質的にジメチルアセトアミドに溶解しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
- ポリアミド微粒子がナイロン6またはナイロン66であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維と酸性染料可染型繊維を含有し、酸性染料で染着されていることを特徴とする混用品。
- 酸性染料で染色されたときに3.5級以上の堅牢度を有することを特徴とする請求項6記載の混用品。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維が含有されていることを特徴とする布帛。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維が含有されていることを特徴とする衣料品。
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