JP2007046049A - 紫外線硬化型樹脂組成物および光情報記録媒体 - Google Patents

紫外線硬化型樹脂組成物および光情報記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 指紋等の汚れが付着しにくく、また、汚れが付着した場合でも容易に除去することが可能な、優れた汚れ防止機能や汚れ払拭性を有する表面保護層を形成できる紫外線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、光硬化性化合物と適度な相溶性を有し、且つ、光硬化性化合物と反応する構造を側鎖構造として有する特定構造のシリコーン化合物を含有する紫外線硬化型樹脂組成物により、硬化被膜表面全体にわたってシロキサン構造を高い存在確率で、強固に固定化された硬化皮膜を形成できる。これにより、本発明の紫外線硬化型組成物は、優れた防汚性や汚れの払拭性を実現でき、また、長期間経過後や、高温高湿環境下で放置された際にも安定した防汚性を発現することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光情報記録媒体の表面保護層として有用な紫外線硬化型樹脂組成物、及び、該紫外線硬化型樹脂組成物の硬化膜からなる表面保護層を備えた光情報記録媒体に関する。
光情報記録媒体には種々のタイプがある。例えば、基板上に形成された情報記録層上に該記録層を保護するための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化膜が形成された光ディスクや、少なくとも1枚の光ディスク用基板に情報記録層が形成された2枚の基板を活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化膜により貼り合わせた、貼り合わせ型光ディスクがある。
情報記録層とは、ポリカーボネート等の合成樹脂からなる光ディスク用基板上に形成した、ピットと称する凹凸、相変化材料又は色素等からなる層と、その上に形成された情報読み取り用のレーザー光を反射するための半透明反射膜又は完全反射膜とからなる積層体である。半透明反射膜及び完全反射膜は情報記録層の最上部に形成される層であり、一般的には金属又は金属合金の薄膜からなる層である。
貼り合わせ型光ディスクの代表例としては、DVD(ディジタルバーサタイルディスク又はディジタルビデオディスク)がある。中でも再生専用型のDVDにおいては、種々のタイプが存在する。例えば、「DVD−10」と称する光ディスクは、基板の片面に記録情報に対応するピットと称する凹凸を設け、その上に情報読み取り用のレーザー光を反射するための層として、例えばアルミニウムの層を形成した光ディスク用ポリカーボネート基板を2枚用意して、それらをアルミニウムの層を接着面として貼り合わせたものである。「DVD−5」は、「DVD−10」を製造するための前記基板と、情報記録層を設けていない通常の透明なポリカーボネート基板とを貼り合わせたものである。また、「DVD−9」は、基板の片面に設けたピット上にアルミニウムの反射膜を形成した基板と、基板の片面に設けたピット上に金又は金を主成分とする合金、銀又は銀を主成分とする合金或いはケイ素化合物等からなる半透明反射膜を形成した基板とを、反射膜同士を接着面として貼り合わせたものである。更に、「DVD−18」は、片面に2層の情報記録層を有する基板を2枚貼り合わせた構造のものである。現在では記録容量が大きく片面から2層の情報を読み取れる「DVD−9」が主流になっている。
さらに、DVDは再生専用型と記録型に大別でき、記録型のDVDにおいては、追記型のDVD−R、DVD+Rと呼ばれる方式と書き換え型のDVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMと呼ばれる方式がある。これらのDVDの内、追記型のDVD−R、DVD+Rと呼ばれるDVDは、他のDVDとは異なり、記録層に有機色素を用いるという特徴を持つ。追記型光ディスクは、透明基板上に、レーザー光の照射によって不可逆的に光学特性が変化したり凹凸形状が形成されたりすることによって記録層が形成される。この記録層としては、例えばレーザー光の照射による加熱で分解し、その光学定数が変化すると共に、体積変化によって基板の変形を生じさせるシアニン系、フタロシアニン系、アゾ系の有機色素等が用いられる。
こうした多くの方式が開発されているが、次々に開発される種々の記録方式を用いた光ディスクには、情報記録層に記録された信号が安定して読み取れること、信号の読み取りエラーの発生が極力抑えられていることが共通して求められている。特に、最近では、レーザー光が透過するポリカーボネート基板表面に付着する指紋等の汚れがレーザー光を散乱させることにより、情報記録層に記録された信号が読み取れなくなることから、ポリカーボネート基板表面に汚れをふき取りやすい保護層を設けることが検討されている。
このような問題への対策として、ハードコート剤中に非架橋型フッ素系界面活性剤を配合することが提案されている(特許文献1参照)。しかしこの方法では、フッ素系界面活性剤が保護層表面の一部にしか存在せず、十分な汚れ防止機能を果たさないため、その改善が望まれている。また、当該フッ素系界面活性剤は、単に混合されているのみであるため、長期間経過後や、高温高湿環境下で放置された際には汚れ防止機能が低下する問題があった。
また、指紋の払拭性の良好な光記録ディスクとして、人口指紋液の付着、拭き取りを行った際のジッターの上昇率が1.15倍以下となる光記録ディスクが開示されている(特許文献2参照)。当該文献においては、撥水性や潤滑性を付与するためにハードコート層中に活性エネルギー線硬化性のシリコーン系化合物を含有することが開示されている。しかし、ここで開示されているシリコーン系化合物は、単に一般的なシリコーン系化合物が列記されているのみであり、どのような化合物を使用することでジッターの上昇率が1.15倍以下となる光記録ディスクを実現できるかが記載されていない。実施例として、末端に反応性基を有するアクリロイル基末端ポリジメチルシロキサンを使用した例が開示されているが、当該末端に反応性基を有する化合物では、充分な汚れ防止、汚れ払拭性が得られず、更なる改良が求められていた。また、列記されているシリコーン化合物には、ハードコート層を形成するアクリレート系の重合性モノマーと相溶性を有さないものも多く、これを使用する場合には、組成物中に溶剤が必須となるため、塗膜形成時に溶剤を除去する工程が必須となる問題があった。
特開平10−110118号公報 特開2004−335021号公報
本発明が解決しようとする課題は、指紋等の汚れが付着しにくく、また、汚れが付着した場合でも容易に除去することが可能な、優れた汚れ防止機能や汚れ払拭性を有する表面保護層を形成できる紫外線硬化型樹脂組成物を提供すること、さらには、優れた汚れ防止機能、汚れ払拭性を有する表面保護層を備えた光情報記録媒体を提供することにある。
本発明の紫外線硬化型組成物においては、光硬化性化合物と適度な相溶性を有し、且つ、光硬化性化合物と反応する構造を側鎖構造として有する特定構造のシリコーン化合物を含有することにより、硬化被膜表面全体にわたってシロキサン構造を高い存在確率で、強固に固定化された硬化皮膜を形成できる。これにより、本発明の紫外線硬化型組成物は、優れた防汚性や汚れの払拭性を実現でき、また、長期間経過後や、高温高湿環境下で放置された際にも安定した防汚性を発現することができる。
すなわち本発明は、 式(1)
Figure 2007046049
(式中、Aは式(2)
Figure 2007046049
(式中、Rは、(i)炭素数1〜18のアルキレン基及び(ii)炭素数2〜18の複数のアルキレン基がエーテル結合により連結された構造を有する2価の基から選択される1種又は2種以上の基を連結させた2価の基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で表されるn個の構造単位、
及び、式(3)
Figure 2007046049
で表されるm個の構造単位が、ランダム状又はブロック状に連なった構造の基を表す。但し、nは1〜15の整数であり、n/mは1/5〜1/20である。また、式(2)及び式(3)で表される構造単位は、これらの構造単位同士で、又は分子内の他の構造部分と酸素−酸素結合により連結することはない。)
で表されるシリコーン化合物と、前記シリコーン化合物と反応する光硬化性化合物とを含有する紫外線硬化型樹脂組成物、及び、該紫外線硬化型組成物の硬化膜を方面保護層として有する光情報記録媒体を提供するものである。
本発明の光情報記録媒体の表面保護層を形成する紫外線硬化型樹脂組成物は、他の紫外線硬化性化合物と反応しうる反応性基を有する特定構造のシリコーン化合物を含有しているため、優れた汚れ防止機能を示す。
特に、本発明の光情報記録媒体が、表面保護層を設けた方向から情報記録層に対する情報の記録、又は情報記録層に記録された情報の読み取りを行うタイプの光情報記録媒体である場合、以下の効果を生じる。
光情報記録媒体の情報の記録、又は情報記録層に記録された情報の読み取り面側である透明基板の表面に汚れが付着すると、透明基板側から照射されたレーザー光が散乱され、情報の記録、又は情報記録層に記録された情報の読み取りができなくなる。この散乱は、従来の紫外線硬化型樹脂組成物を使用した場合に顕著であるが、上記の特定構造を有したシリコーン化合物を添加剤として含有した組成物にあっては、表面に汚れが付着しにくく、また、付着した汚れを容易に取り除くことが可能であり、そのような散乱により情報の記録、又は情報記録層に記録された情報の読み取りが困難になることがない。
以下に本発明について詳しく説明する。なお、本明細書では、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸のことであり、アクリル酸またはメタクリル酸の誘導体についても同様である。
[紫外線硬化型樹脂組成物]
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、上記の特定構造のシリコーン化合物と、該シリコーン化合物と反応性を有する光硬化性化合物とを必須成分として含有する。これにより、得られる硬化膜は、良好な光透過性を保持しつつ、膜全体にわたって、シリコーン化合物の有する優れた防汚効果と付着した汚れの払拭性とを有する。
(シリコーン化合物)
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物において使用する、上記式(1)で表されるシリコーン化合物は、側鎖構造として、光硬化性化合物と適度な相溶性を有する部位と、光硬化性化合物と反応する部位とを特定の割合で有する。これを含有する紫外線硬化型組成物を膜状に塗付すると、その塗膜表面近傍では、相分離を生じやすい主鎖のシロキサン結合部位には光硬化性化合物と相分離しようとする力が働き、相溶性を有する側鎖部位は光硬化性化合物と相溶しようとする力が働くことにより、表層近傍にシロキサン構造部位の存在確率が高くなると考えられる。当該塗膜に紫外線を照射すると、光硬化性化合物が硬化する際に、シリコーン化合物の側鎖の反応性基とも反応し、硬化膜の表層にシロキサン構造が高い確率で存在することとなる。この際、一のシリコーン化合物に対して、複数の側鎖部位がアンカーとなるため、シリコーン化合物が硬化膜に強固に固定される。これにより本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、優れた防汚性や汚れの払拭性を有する硬化膜を形成でき、また、該硬化膜は長期間経過後や、高温高湿環境下で放置された際にも安定した防汚性を発現することができる。これに対し、本願発明のような構造を有さないシリコーン化合物では、複数のアンカー効果が得られずに固定化が充分でない場合や、相溶性の異なる部位を有さず表層近傍の存在確率を高くできない場合が生じるため、防汚性や汚れの払拭性に劣るものとなる。
前記式(1)中のAは、前記式(2)で表されるn個の構造単位と前記式(3)で表されるm個の構造単位とがランダム状又はブロック状に連なった構造の基である。ランダム状とは、式(2)で表される構造単位と式(3)で表される構造単位とが順不同に、不規則な順で結合した構造を意味し、ブロック状とは、式(2)で表される構造単位が連続して結合した部分と式(3)で表される構造単位が連続して結合した部分とが交互に現れる構造を意味している。なお、前記nは1〜15の整数であり、1〜10の整数であることが好ましい。また、nに対するmの比(n/m)は1/5〜1/20であり、1/5〜1/15であることが好ましい。なお、式(2)及び式(3)で表される構造単位は、これらの構造単位同士で、又は分子内の他の構造部分と酸素−酸素結合により連結することはない。
前記式(2)中のRは、下記(i)又は(ii)に記載した基、或いは下記(i)及び(ii)に記載した基の中から選択される2種以上の基が連結した構造の基である。
(i)炭素数1〜18のアルキレン基
例えば、−CH−、−CHCHCH−、−CHCH(CH)−、−CH(CHCH−、−CHCH(CHCH)CHCHCHCH−、−CH(CH10CH−、−CH2(CH16CH−等がある。
(ii)炭素数2〜18の複数のアルキレン基がエーテル結合により連結されたポリオキシアルキレン構造を有する2価の基
(ii)の基を式で表すと、−(OR)−(式中、Rは分岐鎖を有していても良い炭素数2〜18のアルキレン基を表し、pは1以上の整数である。)となる。例えば、−(OCHCH−、−(OC−、−(OCHCHCHCH−、−(OCH(CH10CH−等がある。また、分子鎖が異なる長さの−OR−がランダムに連なった構造を有する基、例えば、−OCHCH−と−OCHCH(CH)−がランダムに結合した基であっても良い。なお、Rとして(ii)で表される基を用いる場合は、複数のエーテル結合を有するポリエーテル構造(ポリオキシアルキレン構造)の基を用いるのが好ましい。(ii)に記載した基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン、アルキル置換テトラヒドロフラン等の環状エーテルの重合体またはこれらの2種以上の共重合体から得ることができる。
上記の中でも、Rとしては、炭素数1〜6のアルキレン基、−(OR)−(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、tは2〜20の整数を表す。)で表される2価の基及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドをランダムに開環付加重合した2価の基から選択される1種の基、又はこれらから選択される2種以上の基が連結した基であることが好ましい。特に、それらの中でも、−CHCHCH−、−CHCHCH(OCHCH−(式中、pは2以上の整数)、−CHCHCHY−(式中、Yは−OC−と−OC−がランダムに結合した基)であることが好ましい。(ii)に記載した基とSi間の結合は、酸素原子を介していても構わないが、アルキレン基を介して結合した構造であることが好ましい。また、R中の(i)の基の一端は、Siと直結していてもよいし、酸素原子を介して結合していてもよいが、Siと直結していることが好ましい。また、前記式(2)中のRは水素原子又はメチル基を表すが、水素原子であることが好ましい。
式(1)で表されるシリコーン化合物は市販品として入手可能であり、例えばdegussa社製のTEGO Rad 2200Nを例示できる。
また、式(1)で表されるシリコーン化合物としては、数平均分子量が2000〜12000であることが好ましく、3000〜8000であることが更に好ましい。
紫外線硬化型樹脂組成物に含有させる式(1)で表されるシリコーン化合物の含有量は、紫外線硬化型樹脂組成物に対して、0.05〜5質量部であり、好ましくは0.1〜2.0質量部である。上記範囲であると、本発明の光情報記録媒体の表面保護層は、表面に汚れが付着しにくく、また、付着した汚れを容易にふき取ることができ、優れた汚れ防止機能を長期にわたって安定に付与することができる。
(光硬化性化合物)
本発明に使用する光硬化性化合物としては、前記シリコーン化合物と反応性を有し、紫外線を照射することにより硬化する成分であれば、不飽和ポリエステル型、アクリル型、チオール・エン型、エポキシ型など各種の光硬化性化合物を使用でき、光情報記録媒体の表面保護層用として使用する場合には、硬度や弾性率、接着する基板との接着性、塗布時の粘度等を考慮して適宜選択すればよい。
なかでも、光情報記録媒体用途としては、透明で耐侯性の良好な、アクリル型の光硬化性化合物を使用することが好ましい。このようなアクリル型の光硬化性化合物としては、例えば、下記の重合性モノマーおよび重合性オリゴマーが使用できる。
単官能(メタ)アクリレートの例としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。また、脂環式のモノマーとして、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等も使用できる。
2官能(メタ)アクリレートの例としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエーテルモノマー等が挙げられる。また、脂環式の2官能(メタ)アクリレートとして、ノルボルナンジメタノールジアクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート等も使用できる。
これら単官能及び2官能(メタ)アクリレートは、塗付時の粘度の調整や、架橋密度の調整等のために適宜使用でき、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートは、積層する基板としてポリカーボネートを使用する際に良好な接着性を付与できるため好ましく、特にテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく使用できる。
また、脂環式構造を有するものは、剛直な環構造を有することにより、得られる硬化物に高温での高い弾性率と高いガラス転移温度を与えることができる。
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等を使用できる。
これら3官能以上の(メタ)アクリレートは、硬化物に高い弾性率を付与することができる。中でもトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートは、硬化後に特に高い弾性率を与えることができるので特に好ましく使用できる。
また、上記(メタ)アクリレート以外に、剛直な構造を有するエポキシ(メタ)アクリレートを含有することも好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物と(メタ)アクリル酸との反応により合成されるビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSとエピクロルヒドリンとの反応物と(メタ)アクリル酸との反応により合成されるビスフェノールS型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応物と(メタ)アクリル酸との反応により合成されるビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応物と(メタ)アクリル酸との反応により合成されるフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらビスフェノール型のエポキシ(メタ)アクリレートは、得られる硬化物に高い弾性率、高い硬度を付与できる。なかでも、ビスフェノールA型のエポキシ(メタ)アクリレートを好ましく使用できる。
更に、重合性のオリゴマーも適宜使用でき、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート等を併用しても良い。
本発明の紫外線硬化型組成物においては、ビスフェノール型のエポキシアクリレートを含有することが好ましく、更に、3官能(メタ)アクリレート、1官能及び/又は2官能(メタ)アクリレートを併用することで、硬度や弾性率、接着する基板との接着性、塗布時の粘度等を好適に調整できる。各々の含有量は、必要とされる特性に応じて適宜調整すればよいが、紫外線硬化型組成物中にエポキシ(メタ)アクリレートを1〜30質量%含有することが好ましく、5〜15質量%含有することが好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートを当該範囲で含有することにより、得られる硬化物に高い硬度を付与できると共に、塗付する際の粘度も好適に調整できる。また、3官能(メタ)アクリレートの含有量としては、30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることが更に好ましい。更に、1官能及び/又は2官能(メタ)アクリレートの含有量としては、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることが更に好ましい。1〜3官能の(メタ)アクリレートの比率は、使用する(メタ)アクリレートの種類に応じて適宜調整する必要があるが、上記範囲内にて調整することで、塗付時の粘度や、硬化後の架橋密度を好適な範囲とすることができ、硬化物に高い硬度を付与できると共に硬化物の反りを低減できる。
(重合開始剤)
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物には光重合開始剤を必要に応じ使用することができる。光重合開始剤としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明で使用する光重合開始剤として好適である。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等の水素引き抜き型の光重合開始剤を使用することができる。
当該光重合開始剤としては、適用する光情報記録媒体において情報の読取や書込を行う光の波長を吸収しないものが好ましく、例えば、ブルーレーザーディスクに適用する場合には、400nm近傍の光吸収の少ないものを好ましく使用できる。
(添加剤)
また、紫外線硬化型樹脂組成物に添加する任意成分としては、次のようなものが有り、本発明の効果を損わない範囲内で使用可能である。例えば、光重合開始剤に対する増感剤として、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等があり、更に前述光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、かつ紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
また、硬化物の硬度を上げるため、シリカ粒子等の無機成分を含有してもよいが、無機粒子を分散させる溶媒を使用しなくてもよく、また、無機粒子による光散乱等の問題が生じないため、無機粒子を含有しないことが好ましい。
(粘度)
本発明の紫外線硬化型組成物は、製造工程上の利点が大きいことから、塗付により膜形成できる粘度、特にスピンコーターにより好適に膜形成できる粘度とすることが好ましい。当該粘度は、形成する膜厚により適宜調整すれば良いが、光情報記録媒体の薄い表面保護層として形成する場合には、20〜150mPa・sの範囲とすることが好ましい。
[光情報記録媒体]
本発明の光情報記録媒体は、少なくとも一つの表面に表面保護層が設けられた光情報記録媒体であって、表面保護層として上記した紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層を有するものである。
(表面保護層)
本発明の光情報記録媒体が表面に有する表面保護層は、上記紫外線硬化型組成物の硬化膜からなるため、良好に光を透過できると共に、優れた防汚性や汚れの払拭性を有し、また、長期間経過後や、高温高湿環境下で放置された際にも安定した防汚性を発現することができる。このため、本発明の光情報記録媒体は、光情報記録媒体表面の光散乱が生じにくく、光による情報の読取や書込を良好に行うことができる。
また、表面保護層としては、傷つきを低減するため高い硬度を有することが好ましく、表面鉛筆硬度で2H以上であることが好ましく、4H以上であると更に好ましい。本発明の紫外線硬化型組成物によれば、硬化膜表面近傍にシリコーン化合物の存在密度を高くできるため、滑りが良好で高い硬度の被膜を形成しやすい。
表面保護層の弾性率としては、25℃における弾性率が1000〜3000MPaの範囲であることが好ましく、1500〜2500の範囲であることが更に好ましい。弾性率が上記範囲のものは、弾性率が低い場合、膜が軟らかくなり、逆に弾性率が高いものは、膜が脆くなり好ましくない。
(層構成)
本発明の光情報記録媒体は、最表層の少なくとも一面に、上記表面保護層を有する構成であれば特に制限されず、(i)基板上に、少なくとも一層の光反射層が積層され、且つ、前記基板の光反射層が積層された面とは逆側の面に表面保護層を有する構成、(ii)基板上に、少なくとも一層の光反射層が積層され、且つ、前記基板と対向する最表層に表面保護層を有する構成等のいずれであってもよい。
上記(i)の構成の例としては、光の入射する最表層に表面保護層が設けられたDVD−RやDVD−ROM、上記(ii)の構成の例としては、光の入射する最表層に表面保護層が設けられたブルーレーザーディスクなどが挙げられる。これら光情報記録媒体としては、基板や中間層にピットが形成された再生専用の光情報記録媒体であっても、相変化型の情報記録層を有する記録・再生が可能な光情報記録媒体であってもよいが、特に再生専用の光情報記録媒体であると、特に優れた効果を有する。
以下に、本発明の好適な態様として、「DVD−5」、「DVD−10」、「DVD−9」、「DVD−18」、及び「ブルーレーザーディスク」を製造する場合の例を記載する。本発明の光情報記録媒体の例としてはこれらに限定されるものではない。
(DVD−9の製造)
記録情報を担うピットと称する凹凸の上に40〜60nmの金属薄膜(反射層)が積層された光ディスク用基板(A)1枚と、記録情報を担うピットと称する凹凸の上に10〜30nmの銀または銀を主成分とする合金の半透明膜(半透明反射層)が積層された光ディスク用基板(B)1枚を用意する。
なお、前記反射層としては、例えばアルミニウムを主成分とするものや銀または銀を主成分とする合金を使用することができる。また、前記光ディスク用基板としては、光ディスク用基板として公知のものが使用できる。例えば、アモルファスポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等が挙げられるが、特にポリカーボネート基板を使用することが好ましい。
次いで、紫外線硬化型組成物を前記基板(A)の金属薄膜上に塗布し、更に、半透明膜が積層された前記基板(B)を、半透明膜の膜面が接着面となるように、金属薄膜面に塗布された紫外線硬化型組成物を介して基板(A)と貼り合わせ、この貼り合わせた2枚の基板の片面又は両面から紫外線を照射して、両者を接着させ「DVD−9」とする。更に、レーザー光が透過する透明基板表面に、式(1)で表される化合物を含有した紫外線硬化組成物の硬化膜からなる表面保護層を膜厚2〜5μmで形成させることにより、本発明の光ディスクを得る。
また、グルーブの形成された基板を使用して、情報記録層と光反射層とが積層された記録・再生が可能な光ディスクとしてもよい。情報記録層としては、情報の記録・再生が可能であればよく、相変化型記録層、光磁気記録層、あるいは有機色素型記録層のいずれであってもよい。
情報記録層が相変化型記録層である場合には、当該情報記録層は通常、誘電体層と相変化膜から構成される。誘電体層は、相変化層に発生する熱を緩衝する機能、ディスクの反射率を調整する機能を求められ、ZnSとSiO2の混合組成が用いられる。相変化膜は、膜の相変化により非晶状態と結晶状態で反射率差を生じるものであり、Ge−Sb−Te系、Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系合金を用いることができる。
有機色素型記録層に用いる有機色素としては、アゾ系色素以外に、記録に用いるレーザー光によってピットを形成することができるものであれば特に制限なく使用でき、例えば、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系、ピリリウムないしチアピリリウム塩系、スクワリリウム系、クロコニウム系、ホルマザン系、金属錯体色素系等が挙げられる。また、色素に一重項酸素クエンチャーを混合して用いるのもよい。クエンチャーとしては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケトン系やビスフェニルジチオール系などのビスジチオール系、チオカテコール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビスフェノレート系等の金属錯体が好ましい。また、窒素のラジカルカチオンを有するアミン系化合物やヒンダードアミン等のアミン系のクエンチャーも好適である。各々の情報記録層に用いる材料は同じでも良いし異なっていてもよい。
(DVD−18の製造)
更に、前記記載のDVD−9を製造した後に、基板(A)上に形成された金属薄膜(反射層)を基板(B)側に残したまま、基板(A)のみを剥離することにより、基板(B)/半透明膜(半透明反射層)/紫外線硬化型組成物の硬化膜/金属薄膜(反射層)が順次積層されたディスク中間体を作製する。そのようなディスク中間体を2枚用意する。次いで、この2枚のディスク中間体の金属薄膜(反射層)を接着面として、それらが対向するように接着することにより「DVD−18」が得られる。同様にして、式(1)で表される化合物を含有した紫外線硬化組成物の硬化膜からなる表面保護層を膜厚2〜5μmで形成させることにより、本発明の光ディスクを得る。
(DVD−10の製造)
記録情報を担うピットと称する凹凸の上に、銀または銀を主成分とする合金による40〜60nmの薄膜が積層された光ディスク用基板2枚(C1)及び(C2)を用意する。片方の基板(C1)の前記薄膜上に紫外線硬化型組成物を塗布し、もう片方の基板(C2)を薄膜の膜面が接着面となるように、基板(C1)の薄膜面に塗布された本発明の紫外線硬化型組成物を介して基板(C1)と貼り合わせ、この貼り合わせた2枚の基板の片面又は両面から紫外線を照射して、両者を接着させ「DVD−10」とする。同様にして、式(1)で表される化合物を含有した紫外線硬化組成物の硬化膜からなる表面保護層を膜厚2〜5μmで形成させることにより、本発明の光ディスクを得る。
(DVD−5の製造)
記録情報を担うピットと称する凹凸の上に、銀または銀を主成分とする合金による40〜60nmの薄膜が積層された光ディスク用基板(D)を用意する。別に、ピットを有さない光ディスク用基板(E)を用意する。基板(D)の前記薄膜上に紫外線硬化型組成物を塗布し、該組成物を介して基板(D)と基板(E)を貼り合わせ、この貼り合わせた2枚の基板の片面又は両面から紫外線を照射して、両者を接着させ「DVD−5」とする。同様にして、式(1)で表される化合物を含有した紫外線硬化組成物の硬化膜からなる表面保護層を膜厚2〜5μmで形成させることにより、本発明の光ディスクを得る。
紫外線照射にあたっては、例えばメタルハライドランプ、高圧水銀灯などを用いた連続光照射方式で行うこともできるし、USP5904795記載の閃光照射方式で行うこともできる。効率よく硬化出来る点で閃光照射方式がより好ましい
ここで、紫外線を照射する手段としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の連続照射方式の紫外線照射装置または、キセノンフラッシュ等の閃光照射方式の紫外線照射装置を使用することができる。
(ブルーレーザーディスクの製造)
再生専用のブルーレーザーディスクの場合には、記録情報を担うピットと称する凹凸上に、銀又は銀を主成分とする合金による40〜60nmの薄膜が積層された、厚さが1.1mm程度の光ディスク基板(F)と、ポリカーボネート等のシート(G)とを紫外線硬化型組成物により張り合わせ、この貼り合わせた2枚の基板の片面又は両面から紫外線を照射して、両者を接着させた後、式(1)で表される化合物を含有した紫外線硬化組成物の硬化膜からなる表面保護層を膜厚2〜5μmで形成させることにより、ディスクを形成できる。また、上記シート(G)部分を紫外線硬化型組成物の硬化膜により形成し、その表面に式(1)で表される化合物を含有した紫外線硬化組成物の硬化膜からなる表面保護層を形成してもよい。また、記録層を2層以上形成した多層構造であっても、グルーブが形成された基板を使用して、相変化型の情報記録層と光反射層とを形成した光ディスクとしてもよい。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例中の「部」は「質量部」を表す
(実施例1〜2および比較例1〜3)
<光ディスクサンプルの作製>
厚さ1.2mm、直径120mmの光ディスク用ポリカーボネート基板上に、実施例及び比較例の各組成物を硬化後の保護層硬化膜の厚みが5〜8μmになるよう塗布し、120W/cmの集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製、H03−L31)を使用して光量0.5J/cm(同社積算光量計UVPF−36)の紫外線を照射して硬化膜とし、評価用の各光ディスクサンプルを調製した。
<人工指紋液の調製>
希釈剤メトキシプロパノール10部に対し、トリオレイン1部を添加し、更にJIS Z8901に定められた試験用粉体1第11種の関東ローム0.4部を加えて撹拌し、人工指紋液を調製した。
<疑似指紋パターン転写用原版の作製>
人工指紋液を撹拌しながら約1ml採取し、ポリカーボネート製基板(直径120mm、厚さ1.2mm)上にスピンコート法により塗布した。この基板を60℃で3分間加熱し、メトキシプロパノールを除去し、疑似指紋パターン転写用原版を得た。
<疑似指紋パターンの転写及びふき取り>
No.7のシリコーンゴム栓の小さい方の端面(直径20mm)を研磨紙(日本研紙製CC 150−Cw)で一様に研磨したものを疑似指紋転写材として用いた。疑似指紋転写材端面を上記原版に荷重52Nで10秒間押し当てて、人工指紋液成分を転写材の前記端面に移行させた。紫外線硬化型樹脂組成物を形成させたディスク表面の中心から半径方向37mm付近のところに、人工指紋液成分が付着された転写材の前記端面を荷重52Nで10秒間押し当てて人工指紋液成分を転写させた。
次に、各ディスクサンプル表面に付着した人工指紋液成分を、以下の手順でふき取った。市販のティッシュペーパー(コアレックス(株)製)を8枚重ねたものを、No.7のシリコーンゴム栓の大きい方の端面(直径25mm)と、人工指紋液成分が付着したディスク表面との間に挟み、5Nの力で押圧した。この状態でディスクサンプルの中央から外周にかけてゆっくりとゴム栓を移動させて、付着した人工指紋液成分をふき取った。
<PIエラーの測定>
各ディスクサンプルに対し、人工指紋液付着前(初期)及びふき取り操作2回後のそれぞれの時点で、記録済み信号のPIエラーを測定した。得られた結果を表1に示す。
PIエラーは、Audio Development 社製 「SA−300」により測定した。またPIエラー比(試験後のエラー数/試験前のエラー数)を計算により求め、評価した。
PIエラーの判定の欄は、
PIエラー比が2未満である場合を◎
PIエラー比が2以上であり、5未満である場合を○
PIエラー比が5以上であり、6未満である場合を△
PIエラー比が6以上である場合を×とした。
<高温高湿環境下での耐久性試験>
実施例1、比較例2および比較例4と同様にして作製したディスクサンプルに対し、エスペック(株)社製 PR−2PK を使用して80℃85%RH240時間の高温高湿環境下での暴露試験を行った後、人工指紋液付着前及びふき取り操作2回後のそれぞれの時点で、記録済み信号のPIエラーを測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2007046049
表1中の略号は、以下の化合物を示す。
・PETA:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
・NPGDA:ネオペンチルグリコールジアクリレート
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
・HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・TEGO Rad 2200N:反応性ポリシロキサン、degussa製、
*式(1)におけるnが3、n/mが1/10、Rが−CHCHCH−(式中、Xは平均20個の−OC−と平均6個の−OC−がランダムに結合した基を表す。なお、Xは式(1)中のアクリロイル基と結合する。)、Rが水素原子である化合物であり、数平均分子量4000である化合物。
・L−7002:ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサン、日本ユニカー製
・BY−16−152D:下記式(4)で表されるメタクリレート変性シリコーンオイル、東レダウコーニング社製、
−(CH−SiO(CH)n−Si(CH−(CH−Y (4)
はメタクリロイルオキシ基を表す。質量平均分子量386
・BY−16−152:上記式(4)で表されるメタクリレート変性シリコーンオイル、東レダウコーニング社製、質量平均分子量5600
Figure 2007046049
上記表1から明らかなように、本発明に係わる実施例1〜2で得られた紫外線硬化型樹脂組成物からなる硬化膜を保護層として用いた光ディスクは、レーザー光が透過するディスク表面に付着した人工指紋液を取り除けば、初期とほぼ同等のPIエラーを示す。また、表2より明らかなように、高温高湿環境下の暴露試験後においてもエラーの増加が極めて少ない。
一方、比較例1〜4の光ディスクでは、ディスク表面に人工指紋液を付着させると、光ディスク保護層の汚れ防止機能、汚れの払拭性が不十分なため、PIエラーが大幅に上昇することがわかる。また、比較例5においては、シリコーン化合物が光硬化性化合物と相溶しなかった。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、特定構造のシリコーン化合物を含有しているため、光情報記録媒体の表面保護層に用いることで、優れた汚れ防止機能および汚れ払拭性を発揮する。これにより、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いた光情報記録媒体では、透明基板側から照射されたレーザー光の散乱により、情報の記録、又は情報記録層に記録された情報の読み取りが困難になることがない。したがって、本発明の光情報記録媒体は、長期間経過後や、高温高湿環境下で放置された際にも安定した防汚性を発現するものであり、産業上極めて有用である。


Claims (7)

  1. 式(1)
    Figure 2007046049
    (式中、Aは式(2)
    Figure 2007046049
    (式中、Rは、(i)炭素数1〜18のアルキレン基及び(ii)炭素数2〜18の複数のアルキレン基がエーテル結合により連結された構造を有する2価の基から選択される1種又は2種以上の基を連結させた2価の基を表し、RはSiと直結していてもよいし、酸素原子を介して結合していてもよく、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
    で表されるn個の構造単位、
    及び、式(3)
    Figure 2007046049
    で表されるm個の構造単位が、ランダム状又はブロック状に連なった構造の基を表す。但し、nは1〜15の整数であり、n/mは1/5〜1/20である。また、式(2)及び式(3)で表される構造単位は、これらの構造単位同士で、又は分子内の他の構造部分と酸素−酸素結合により連結することはない。)
    で表されるシリコーン化合物と、前記シリコーン化合物と反応する光硬化性化合物とを含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物。
  2. 前記シリコーン化合物を0.05〜5質量%含有する請求項1に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
  3. 前記シリコーン化合物の数平均分子量が200〜12000である請求項1又は2に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
  4. 前記光硬化性化合物が、アクリル系の光硬化性化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
  5. 少なくとも一つの表面に表面保護層が設けられた光情報記録媒体であって、前記表面保護層が、請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化膜からなる層であることを特徴とする光情報記録媒体。
  6. 基板上に、少なくとも一層の光反射層が積層され、且つ、前記基板の光反射層が積層された面とは逆側の面に表面保護層を有する請求項5に記載の光情報記録媒体。
  7. 基板上に、少なくとも一層の光反射層が積層され、且つ、前記基板と対向する最表層に表面保護層を有する請求項5に記載の光情報記録媒体。
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