JP2010097007A - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
このような液晶表示素子においては、液晶分子の配向制御は、ポリアミック酸、ポリイミドなどの重合体を主成分とする液晶配向膜によりなされている。このような液晶配向膜は、良好な液晶配向性能、高い電圧保持率、残像が発生しないことなどの性能が要求される。
ところで、近年の液晶表示素子は、テレビジョン用途が主流になってきており、高速応答性の液晶が用いられている。しかしながら、従来知られている液晶配向膜を高速応答性の液晶に適用しようとすると、電圧保持率や残像特性などの電気特性に不足することが知られており、問題となっている。このため、従来のものと比較して、さらに電気特性に優れる液晶配向膜が要求されているが、かかる液晶配向膜は未だ知られていない。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
下記式(1)
で表される基であり、Zは硫黄原子または酸素原子であり、RIIは水素原子またはメチル基であり、AIはメチレン基または炭素数2〜10のアルキレン基であり、YIは水酸基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。)
で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第2に、
上記の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
<ポリオルガノシロキサン(1)>
上記式(1)におけるRIのステロイド骨格を有する基としては、炭素数17〜30のものが好ましく、その具体例としては、例えばコレスタン−3−イル基、コレスタ−5−エン−3−イル基、コレスタ−24−エン−3−イル基、コレスタ−5,24−ジエン−3−イル基、ラノスタン−3−イル基などを挙げることができる。
RIが上記式(1A)で表される基である場合、上記式(1A)におけるRとしては、例えばn−ドデシル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基などを挙げることができる。上記式(1A)におけるAIIのシクロへキシレン基およびフェニレン基は、それぞれ、1,4−シクロへキシレン基または1,4−フェニレン基であることが好ましい。
上記式(1)におけるAIとしては、例えばメチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基基などを挙げることができる。
上記式(1)におけるYIの炭素数1〜10のアルコキシル基としては、例えばメトキシル基、エトキシル基などを;
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基などを;
炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基などを、それぞれ挙げることができる。
ポリオルガノシロキサン(1)は、上記式(1)で表される構造のほかにさらに下記式(2)
で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。この場合のポリオルガノシロキサン(1)の(メタ)アクリル当量は、150〜10,000g/モルであることが好ましく、300〜3,000g/モルであることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン(1)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは2,000〜50,000である。この範囲のポリオルガノシロキサン(1)を使用することにより、液晶配向剤の保存安定性および電気特性がより優れることとなり、好ましい。
ポリオルガノシロキサン(1)の構造としては、ランダム構造、はしご型構造またはかご型構造であることが好ましい。このような構造のポリオルガノシロキサン(1)は、シラノール基の含有割合が少ないこととなるため、シラノール基同士の縮合反応が抑えられ、さらに本発明の液晶配向剤が後述の他の重合体を含有するものである場合にはシラノール基と他の重合体との縮合反応が抑えられるため、保存安定性に優れることとなり、好ましい。
[ポリオルガノシロキサン(1)の合成]
本発明におけるポリオルガノシロキサン(1)は、例えば上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)」という。)と下記式(3)
で表される化合物(以下、「化合物(3)」という。)と、を反応させることにより、得ることができる。
−(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)−
上記(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)における(メタ)アクリル当量は、100〜10,000g/モルであることが好ましく、150〜1,000g/モルであることがより好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは、500〜100,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましく、さらに1,500〜5,000であることが好ましい。
このような(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)は、例えば(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物、または(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物と他のシラン化合物との混合物を、好ましくは適当な有機溶媒、水および触媒の存在下において加水分解または加水分解・縮合することにより合成することができる。
上記(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物としては、例えば下記式(2−1)
で表される化合物を挙げることができる。
上記式(2−1)において、bは2または3であることが好ましく、bが2であるものの具体例として、例えば3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどを;
bが3であるものの具体例として、例えば3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどを、それぞれ挙げることができる。
上記式(2−1)において、bが3である化合物がより好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)を合成するにあたっては、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物と他のシラン化合物との使用割合を、得られるポリオルガノシロキサンの(メタ)アクリル当量が前述の好ましい範囲になるように調整して設定することが好ましい。
上記炭化水素としては、例えばトルエン、キシレンなどを;
上記ケトンとしては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどを;
上記エステルとしては、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチルなどを;
上記エーテルとしては、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを;
上記アルコールとしては、例えば1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルなどを、それぞれ挙げることができる。これらのうち非水溶性のものが好ましい。
これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
有機溶媒の使用量は、全シラン化合物100重量部に対して、好ましくは10〜10,000重量部、より好ましくは50〜1,000重量部である。
(メタ)アクリロイルを有するポリオルガノシロキサン(2)を合成する際の水の使用量は、全シラン化合物に対して、好ましくは0.5〜100倍モル、より好ましくは1〜30倍モルである。
上記アルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドなどを挙げることができる。
上記有機塩基としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロールの如き1〜2級有機アミン;
トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンの如き3級の有機アミン;
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級の有機アミンなどを挙げることができる。これらの有機塩基のうち、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンの如き3級の有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級の有機アミンが好ましい。
触媒としては、特に有機塩基が好ましい。有機塩基の使用量は、有機塩基の種類、温度などの反応条件などにより異なり、適宜に設定されるべきであるが、例えば全シラン化合物に対して好ましくは0.01〜3倍モルであり、より好ましくは0.05〜1倍モルである。
加水分解・縮合反応時には、加熱温度を好ましくは130℃以下、より好ましくは40〜100℃として、好ましくは0.5〜12時間、より好ましくは1〜8時間加熱することが望ましい。加熱中は、混合液を撹拌してもよいし、還流下においてもよい。
反応終了後、反応液から分取した有機溶媒層を水で洗浄することが好ましい。この洗浄に際しては、少量の塩を含む水、例えば0.2重量%程度の硝酸アンモニウム水溶液などで洗浄することにより、洗浄操作が容易になる点で好ましい。洗浄は洗浄後の水層が中性になるまで行い、その後有機溶媒層を、必要に応じて無水硫酸カルシウム、モレキュラーシーブスなどの適当な乾燥剤で乾燥した後、溶媒を除去することにより、目的とする(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)を得ることができる。
本発明においては、(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンとして市販されているものを用いてもよい。このような市販品としては、例えばAC−SQ、MC−SQなど(以上、東亞合成(株)製)を挙げることができる。
上記化合物(3)は、上記式(3)においてRIがステロイド骨格を有する基である化合物または下記式(3A)
で表される化合物である。上記RIのステロイド骨格を有する基は、上記式(1A)におけるRIのステロイド骨格を有する基の場合と同じである。
かかる化合物(3)としては、例えば下記式(3−1)〜(3−23)
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
[ポリオルガノシロキサン(1)の合成]
本発明におけるポリオルガノシロキサン(1)は、上記の如き(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)と化合物(3)との付加反応を、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは触媒の存在下に行うことにより合成することができる。この付加反応は一般にマイケル付加と呼ばれている。
上記付加反応において、化合物(3)の使用割合は、ポリオルガノシロキサン(1)における所望の(メタ)アクリロイル基の含有割合および付加反応の反応性に応じて適宜に設定されるべきであるが、例えば(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)の有する(メタ)アクリロイル基の1モルに対して、好ましくは0.01〜2.0モルであり、より好ましくは0.1〜1.0モルであり、さらに好ましくは0.2〜0.8モルである。
上記付加反応は、必要に応じて有機溶媒の存在下に行うことができる。かかる有機溶媒としては、例えば炭化水素化合物、エーテル化合物、エステル化合物、アミド化合物、ニトリル化合物などを挙げることができる。これらのうち、エーテル化合物、エステル化合物、ニトリル化合物が原料および生成物の溶解性ならびに生成物の精製のし易さの観点から好ましい。有機溶媒は、固形分濃度(反応溶液中の溶媒以外の成分の合計重量が溶液の全重量に占める割合)が、5〜100重量%となる割合で使用することが好ましい。
上記付加反応において、必要に応じて触媒を加えることができる。かかる触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンの如き3級の有機アミンや炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの如きアルカリ金属化合物を用いることができる。触媒の使用割合は、化合物(3)の1モルに対して、0.001〜1.5モルであることが好ましく、0.1〜1.1モルであることがより好ましい。
反応温度は、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは10〜100℃である。反応時間は、好ましくは0.1〜50時間であり、より好ましくは0.5〜10時間である。
ポリオルガノシロキサン(1)を合成するための(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(2)と化合物(3)との付加反応は、化合物(3)の一部を、マイケル付加しうる他の1価アルコールおよび他の1価チオールから選択される少なくとも一種の化合物で置き換えて行ってもよい。このような化合物として、例えばチオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸などを挙げることができる。他の1価アルコールおよび他の1価チオールから選択される少なくとも一種の化合物の使用割合は、化合物(3)ならびに他の1価アルコールおよび他の1価チオールの合計に対して、50モル%以下であることが好ましい。
本発明の液晶配向剤は、上記の如きポリオルガノシロキサン(1)を必須成分として含有するものであるが、このほかに、本発明の効果を損なわない限り、さらに他の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、例えばポリオルガノシロキサン(1)以外の重合体(以下、「他の重合体」という。)、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物、界面活性剤、ラジカル重合開始剤などを挙げることができる。
[他の重合体]
上記他の重合体は、本発明の液晶配向剤の溶液特性および得られる液晶配向膜の電気特性をより改善するために使用することができる。かかる他の重合体としては、例えばポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、下記式(S)
で表されるポリシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「他のポリシロキサン」という。)、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
上記ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸の合成に用いることのできるテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、下記式(T−I)および(T−II)
のそれぞれで表される化合物などの脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(T−1)〜(T−4)
ポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上記のうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(T−I)で表される化合物のうちの下記式(T−5)〜(T−7)
特に好ましくは、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物および上記式(T−5)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である。
のそれぞれで表される化合物などの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、下記式(D−I)
で表される化合物、下記式(D−II)
で表される化合物などの分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
下記式(D−III)
で表される化合物などのモノ置換フェニレンジアミン;
下記式(D−IV)
で表される化合物などのジアミノオルガノシロキサンなどを、挙げることができる。これらのジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ジアミンのベンゼン環は、1つまたは2つ以上の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されていてもよい。上記式(D−I)、(D−II)および(D−III)におけるR6、R8およびR11は、それぞれ、メチル基であることが好ましく、a1、a2およびa3は、それぞれ、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記式(D−III)におけるR10のステロイド骨格を有する基の具体例としては、例えばコレスタン−3−イル基、コレスタ−5−エン−3−イル基、コレスタ−24−エン−3−イル基、コレスタ−5,24−ジエン−3−イル基、ラノスタン−3−イル基などを挙げることができる。
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンの使用割合は、ジアミンの有するアミノ基の1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくはこの値が0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは1〜48時間、より好ましくは2〜10時間行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン性極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール性溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量(a:有機溶媒と後述の貧溶媒とを併用する場合には、これらの合計の使用量をいう。)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%となるような量であることが好ましい。
ポリアミック酸の製造に際して有機溶媒中に上記の如き貧溶媒を併用する場合、その使用割合は生成するポリアミック酸が析出しない範囲において適宜に設定することができるが、好ましくは全溶媒のうちの50重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下である。
上記ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリアミック酸を、脱水閉環してイミド化することにより合成することができる。
上記ポリイミドの合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上述したポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物と同じ化合物を挙げることができる。
本発明に用いることのできるポリイミドの合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物を含有するテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。特に好ましい脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物または4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンが挙げられる。
上記ポリイミドの合成にあたっては、脂環式テトラカルボン酸二無水物とその他のテトラカルボン酸二無水物とを併用してもよい。この場合、全テトラカルボン酸二無水物中に占める脂環式テトラカルボン酸二無水物の割合は、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは50モル%以上である。
本発明のポリイミドの合成に用いられるジアミンとしては、上記式(D−III)で表されるジアミンを含有するジアミンを使用することが好ましい。好ましい具体例としては、上記式(D−III)で表される化合物のうち、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼンおよび上記式(D−8)〜(D−16)のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるポリイミドの分子量が低下することがある。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、アミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃であり、反応時間は好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは1〜10時間である。
本発明に用いることのできるポリイミドにおけるイミド化率は、好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。ここで、「イミド化率」とは、重合体におけるアミック酸構造の数とイミド環の数の合計に対する、イミド環の数の割合を百分率で表したものである。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。イミド化率はポリイミドを適当な重水素化溶媒(例えば重水素化ジメチルスルホキシド)に溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定した結果から、下記数式(i)により求めることができる。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 (i)
(数式(i)中、A1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、αはポリイミドの前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
上記のようにして得られる反応溶液は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除くには、例えば溶媒置換などの方法を適用することができる。ポリイミドの単離、精製は、ポリアミック酸の単離、精製方法と同様の方法により行うことができる。
上記ポリアミック酸およびポリイミドは、それぞれ分子量が調節された末端修飾型の重合体であってもよい。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、分子量調節剤を反応系に添加することにより合成することができる。上記分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルこはく酸無水物、n−ドデシルこはく酸無水物、n−テトラデシルこはく酸無水物、n−ヘキサデシルこはく酸無水物などを挙げることができる。モノアミン化合物としては、例えば、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
分子量調節剤は、ポリアミック酸を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの合計100重量部に対して好ましくは20重量部以下、より好ましくは5重量部以下の範囲で用いられる。
−溶液粘度−
以上のようにして得られるポリアミック酸およびポリイミドは、それぞれ濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒を用い、10重量%の濃度とした重合体溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した値である。
本発明の用いることのできる他のポリシロキサンは、上記式(S)で表される繰り返し単位を有するポリシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種である。他のポリシロキサンとしては、上記式(S)においてXIIが炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であるポリオルガノシロキサンであることが好ましい。
かかる他のポリシロキサンは、例えばアルコキシシラン化合物およびハロゲン化シラン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物(以下、「原料シラン化合物」ともいう。)を、好ましくは適当な有機溶媒中で、水および触媒の存在下において加水分解または加水分解・縮合することにより合成することができる。
ここで使用できる原料シラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラクロロシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシランなどを挙げることができる。これらのうちテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシランまたはトリメチルエトキシシランが好ましい。
上記アルコール化合物としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール化合物;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール化合物;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール化合物の部分エーテルなどを挙げることができる。これらのアルコール化合物は、1種であるいは2種以上を組合せて使用することができる。
アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン化合物などを、それぞれ挙げることができる。これらのケトン化合物は、1種であるいは2種以上を組合せて使用してもよい。
上記アミド化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどを挙げることができる。これらアミド化合物は、1種であるいは2種以上を組合せて使用することができる。
これら溶媒のうち、多価アルコール化合物、多価アルコール化合物の部分エーテルまたはエステル化合物が特に好ましい。
他のポリシロキサンの合成に際して使用する水の量としては、原料シラン化合物の有するアルコキシル基およびハロゲン原子の合計の1モルに対して、好ましくは0.5〜100モルであり、より好ましくは1〜30モルであり、さらに1〜1.5モルであることが好ましい。
上記金属キレート化合物としては、例えばトリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタンなどのチタンキレート化合物;
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などを挙げることができる。
上記無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸などを挙げることができる。
上記有機塩基としては、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどを挙げることができる。
上記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができる。
これら触媒は、1種をあるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
これら触媒のうち、金属キレート化合物、有機酸または無機酸が好ましく、より好ましくはチタンキレート化合物または有機酸である。
触媒の使用量は、原料シラン化合物100重量部に対して好ましくは0.001〜10重量部であり、より好ましくは0.001〜1重量部である。
他のポリシロキサンの合成に際して添加される水は、原料であるシラン化合物中またはシラン化合物を有機溶媒に溶解した溶液中に、断続的または連続的に添加することができる。
触媒は、原料であるシラン化合物中またはシラン化合物を有機溶媒に溶解した溶液中に予め添加しておいてもよく、あるいは添加される水中に溶解または分散させておいてもよい。
他のポリシロキサンの合成の際の反応温度としては、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは15〜80℃である。反応時間は好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは1〜8時間である。
本発明の液晶配向剤が、前述のポリオルガノシロキサン(1)とともに他の重合体を含有するものである場合、他の重合体の含有割合としては、ポリオルガノシロキサン(1)の100重量部に対して10,000重量部以下であることが好ましい。他の重合体のより好ましい含有量は、他の重合体の種類により異なる。
本発明の液晶配向剤が、ポリオルガノシロキサン(1)、ならびにポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有するものである場合におけるポリアミック酸およびポリイミドの合計の使用割合は、ポリオルガノシロキサン(1)の100重量部に対して、100〜5,000重量部であることがより好ましく、さらに200〜2,000重量部であることが好ましい。
一方、本発明の液晶配向剤が、ポリオルガノシロキサン(1)および他のポリシロキサンを含有するものである場合における他のポリシロキサンの使用割合は、ポリオルガノシロキサン(1)の100重量部に対して、100〜2,000重量部であることがより好ましい。
本発明の液晶配向剤が、ポリオルガノシロキサン(1)とともに他の重合体を含有するものである場合、他の重合体の種類としては、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、または他のポリシロキサンであることが好ましい。
上記エポキシ化合物は、本発明の液晶配向剤から形成される液晶配向膜の、基板表面に対する接着性をより向上させる観点から本発明の液晶配向剤に含有されることができる。
エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサンなどを好ましいものとして挙げることができる。これらエポキシ化合物の使用割合は、重合体の合計(ポリオルガノシロキサン(1)および他の重合体の合計量をいう。以下同じ。)の100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン化合物の使用割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは4重量部以下である。
−界面活性剤−
上記界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤が界面活性剤を含有する場合、その含有割合としては、液晶配向剤の全体100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。
上記ラジカル重合開始剤は、本発明の液晶配向剤に含有されるポリオルガノシロキサン(1)が、上記式(1)で表される構造のほかにさらに上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種である場合(すなわち、(メタ)アクリロイル基を有するものである場合)に、これを架橋して、形成される液晶配向膜の耐久性をより高める目的で、本発明の液晶配向剤に含有されることができる。
かかるラジカル重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤を挙げることができ、これらのうち、熱ラジカル重合開始剤が好ましい。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、O−アシルオキシム化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、α−ジケトン化合物、多核キノン化合物、キサントン化合物、ジアゾ化合物などを挙げることができる。
上記アセトフェノン化合物の具体例としては、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタノン−1などを挙げることができ、これらのうち2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1が好ましい。上記アセトフェノン化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールなどを挙げることができ、これらのうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、特に2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましい。上記ビイミダゾール化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えばいずれも商品名で、イルガキュア369、同407(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤におけるラジカル重合開始剤の使用割合は、ポリオルガノシロキサン(1)100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは0.01〜2重量部である。
本発明の液晶配向剤は、上述の通り、ポリオルガノシロキサン(1)を必須成分として含有し、そのほかに必要に応じて他の成分を含有するものであるが、好ましくは各成分が有機溶媒に溶解された溶液状の組成物として調製される。
本発明の液晶配向剤を調製するために使用することのできる有機溶媒としては、本発明のポリオルガノシロキサンおよび任意的に使用される他の成分を溶解し、これらと反応しないものが好ましい。
本発明の液晶配向剤に好ましく使用される有機溶媒は、任意的に添加される他の重合体の種類により異なる。
本発明の液晶配向剤がポリオルガノシロキサン(1)ならびにポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有するものである場合における好ましい有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。ここで、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
この場合に使用することのできる特に好ましい有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば、スピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する。
本発明の液晶表示素子は、例えば以下の方法によって製造することができる。
(1)先ず一対の基板上に本発明の液晶配向膜を塗布し、溶媒を除去して塗膜を形成する。ここで、製造されるべき液晶表示素子の表示モードがTN型、STN型、VA型などの垂直電界方式である場合には、片面にパターニングされた透明導電膜が設けられている基板の2枚を一対の基板として用いる。一方、製造されるべき液晶表示素子の表示モードが横電界方式である場合には、櫛歯状のパターンを有する透明導電膜が設けられている基板と透明導電膜を有さない基板とを一対の基板として用いる。
上記いずれの場合においても、基板が透明導電膜を有する場合には、液晶配向剤は基板の透明導電膜を有する方の面に塗布される。透明導電膜を有さない基板の場合、液晶配向剤は該基板の片面に塗布される。ここで、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、例えば酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。また、これらのパターニングされた透明導電膜を得るには、パターンのない透明導電膜を形成した後にフォト・エッチング法によりパターンを形成する方法、透明導電膜形成の際に所望のパターンを有するマスクを用いるなどして、パターン化された透明導電膜を直接形成する方法などを採用することができる。
なお、本発明の液晶配向剤を適用する液晶表示素子がVA型の液晶表示素子である場合には、例えば特許文献3(特開2002−327058号公報)に記載されている如き突起状の建造物を基板上に形成した後に液晶配向剤を塗布し、視野角特性の改善を図ってもよい。
塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止等の目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。
本発明の液晶配向剤が熱ラジカル重合開始剤を含有しない場合におけるプレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は、好ましくは0.1〜10分であり、より好ましくは0.5〜3分である。一方、本発明の液晶配向剤が熱ラジカル重合開始剤を含有する場合におけるプレベーク温度は、上記の範囲内で、プレベークの段階で熱ラジカル重合開始剤が機能しない温度に設定することが好ましい。
ここで形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
一方、製造されるべき液晶表示素子の表示モードがVA型以外の垂直電界方式である場合および横電界方式である場合には、形成された塗膜面に対して、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。さらに、ラビング処理後の塗膜に対し、例えば特許文献4(特開平6−222366号公報)や特許文献5(特開平6−281937号公報)に示されているような液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、特許文献6(特開平5−107544号公報)に示されているような液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成したうえで先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにすることにより、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
上記いずれの方法による場合でも、次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
液晶としては、ネマチック液晶およびスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを添加して使用してもよい。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
上記の如くして製造される本発明の液晶表示素子は、特に電気特性の点で非常に優れるものであり、極めて高い表示品位を実現することができる。
本発明の液晶配向剤は、VA型の液晶表示素子の液晶配向膜に適用することが、本発明の利点を最大限に発揮することができることとなり、好ましい。
以下において測定した重合体の重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
ポリイミドのイミド化率は、ポリイミドを室温にて減圧下で十分に乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温にて測定した1H−NMRスペクトルから上記数式(i)に従って計算した。
重合体溶液の溶液粘度は、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
合成例1
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン50g、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン50g、メチルイソブチルケトン500gおよびトリエチルアミン10gを仕込み、室温で混合した。次いで、ここに脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で撹拌しつつ、80℃で6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(APS−1)を粘調な透明液体として得た。
このアクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(APS−1)の重量平均分子量Mwは2,000であった。
合成例2
原料シラン化合物を、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン80gおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン20gとした以外は上記合成例1と同様に実施して、アクリロイル基ルを有するポリオルガノシロキサン(APS−2)を粘調な透明液体として得た。
このアクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(APS−2)の重量平均分子量Mwは1,900であった。
実施例1
温度計を備えた300mLの三口フラスコに、ドデカンチオール30g、アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンとしてAC−SQ(東亞合成(株)製)50gおよびアセトニトリル80gを加えて均一に溶解した。次いでここに、トリエチルアミン7.6gを加えて50℃で3時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸ブチル500mLおよび希塩酸500mLを加え、有機層を水500mLで3回洗浄後、溶媒を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(S−1)を透明な粘調液体として得た。
このポリオルガノシロキサン(S−1)のMwは14,000であった。
実施例2
温度計を備えた300mLの三口フラスコに、オクタデカンチオール43g、アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンとしてAC−SQ(東亞合成(株)製)50gおよびアセトニトリル93gを加えて均一に溶解した。次いでここに、トリエチルアミン7.6gを加えて50℃で3時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸ブチル500mLおよび希塩酸500mLを加え、有機層を水500mLで3回洗浄後、溶媒を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(S−2)を透明な粘調液体として得た。
このポリオルガノシロキサン(S−2)のMwは15,000であった。
実施例3
温度計を備えた300mLの三口フラスコに、オクタデカンチオール64g、アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンとしてAC−SQ(東亞合成(株)製)50gおよびアセトニトリル114gを加えて均一に溶解した。次いでここに、トリエチルアミン11gを加えて50℃で3時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸ブチル500mLおよび希塩酸500mLを加え、有機層を水500mLで3回洗浄後、溶媒を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(S−3)を透明な粘調液体として得た。
このポリオルガノシロキサン(S−3)のMwは16,000であった。
温度計を備えた300mLの三口フラスコに、オクタデカンチオール43g、アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンとして上記合成例1で得たAPS−1を50gおよびアセトニトリル93gを加えて均一に溶解した。次いでここに、トリエチルアミン7.6gを加えて50℃で3時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸ブチル500mLおよび希塩酸500mLを加え、有機層を水500mLで3回洗浄後、溶媒を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(S−4)を透明な粘調液体として得た。
このポリオルガノシロキサン(S−4)のMwは16,000であった。
実施例5
温度計を備えた300mLの三口フラスコに、オクタデカンチオール43g、アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンとして上記合成例2で得たAPS−2を50gおよびアセトニトリル93gを加えて均一に溶解した。次いでここに、トリエチルアミン7.6gを加えて50℃で3時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸ブチル500mLおよび希塩酸500mLを加え、有機層を水500mLで3回洗浄後、溶媒を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(S−5)を透明な粘調液体として得た。
このポリオルガノシロキサン(S−5)のMwは16,000であった。
実施例6
温度計を備えた300mLの三口フラスコに、オクタデカンチオール43g、アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンとしてAC−SQ(東亞合成(株)製)50g、チオグリコール酸5.5gおよびアセトニトリル93gを加えて均一に溶解した。次いでここに、トリエチルアミン7.6gを加えて50℃で3時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸ブチル500mLおよび希塩酸500mLを加え、有機層を水500mLで3回洗浄後、溶媒を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(S−6)を透明な粘調液体として得た。
[ポリアミック酸の合成]
合成例3
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物109g(0.50モル当量)および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物98g(0.50モル当量)ならびにジアミンとして4,4−ジアミノジフェニルエーテル200g(1.0モル当量)をN−メチル−2−ピロリドン2,290gに溶解し、40℃で3時間反応させた後、N−メチル−2−ピロリドン1,350gを追加することにより、ポリアミック酸(PA−1)を10重量%含有する溶液約3,590gを得た。
このポリアミック酸溶液の溶液粘度は210mPa・sであった。
合成例4
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196g(1.0モル当量)およびジアミン
として2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル212g(1.0モル当量)をN−メチル−2−ピロリドン3,670gに溶解し、40℃で3時間反応させることにより、ポリアミック酸(PA−2)を10重量%含有する溶液3,700gを得た。
このポリアミック酸溶液の溶液粘度は170mPa・sであった。
合成例5
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物19.9g(0.089モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン6.8g(0.063モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン3.6g(0.018モル)および上記式(D−10)で表される化合物4.7g(0.009モル)をN−メチル−2−ピロリドン140gに溶解し、60℃で4時間反応を行いポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は115mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン325gを追加し、ピリジン14gおよび無水酢酸18gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約77%のポリイミド(PI−1)を15.4重量%含有する溶液約220gを得た。
このポリイミド溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は84mPa・sであった。
[他のポリシロキサンの合成]
合成例6
冷却管を備えた200mLの三口フラスコにテトラエトキシシラン20.8gおよび1−エトキシ−2−プロパノール28.2gを仕込み、60℃に加熱し攪拌した。ここに、容量20mLの別のフラスコに調製した、無水マレイン酸0.26gを水10.8gに溶解した無水マレイン酸水溶液を加え、60℃でさらに4時間加熱、攪拌して反応を行った。得られた反応混合物から溶媒を留去し、1−エトキシ−2−プロパノールを加えて、再度濃縮することにより、ポリオルガノシロキサン(PS−1)を10重量%含有する重合体溶液を得た。
このポリオルガノシロキサン(PS−1)の重量平均分子量Mwは5,100であった。
実施例7
上記実施例1で得たポリオルガノシロキサン(S−1)の100重量部と、他の重合体として上記合成例3で得たポリアミック酸PA−1を含有する溶液をPA−1に換算して1,000重量部に相当する量とを合わせ、これにN−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを加え、溶媒組成がN−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=50:50(重量比)、固形分濃度が3.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤(A−1)を調製した。
この液晶配向剤(A−1)の一部をとり、−15℃で6か月間保管した。保管の前および後にそれぞれ25℃においてE型粘度計により測定した粘度を測定した。保管前後の溶液粘度の変化率が10%未満のものを保存安定性「良好」、10%以上のものを保存安定性「不良」として評価したところ、液晶配向剤(A−1)の保存安定性は「良好」であった。
実施例8〜14
上記実施例7において、ポリオルガノシロキサン(1)の種類ならびに他の重合体の種類および量を、それぞれ表1に記載の通りとしたほかは実施例7と同様に実施して、液晶配向剤(A−2)〜(A−8)を、それぞれ調製した。
各液晶配向剤について実施例7と同様にして調べた保存安定性の評価結果を表1に示した。
実施例15
上記実施例6で得たポリオルガノシロキサン(S−6)の100重量部と、他の重合体として上記合成例4で得たポリアミック酸(PA−2)を含有する溶液を(PA−1)に換算して1,000重量部に相当する量とを合わせ、さらにエポキシ化合物として下記式(E−1)
この液晶配向剤(A−9)について実施例7と同様にして調べた保存安定性の評価結果を表1に示した。
実施例16
他の重合体として上記合成例6で得た他のポリシロキサン(PS−1)を含有する溶液をPS−1に換算して500重量部に相当する量をとり、これに上記実施例2で得たポリオルガノシロキサン(S−2)の100重量部を加え、さらに1−エトキシ−2−プロパノールを加えて固形分濃度4.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤(A−10)を調製した。
この液晶配向剤(A−10)について実施例7と同様にして調べた保存安定性の評価結果を表1に示した。
実施例17
[VA型液晶セルの製造]
上記実施例7で調製した液晶配向剤(A−1)を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上にスピンナーを用いて塗布し、ホットプレートにて80℃で1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換したオーブン中で200℃で1時間加熱して膜厚0.1μmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。
この操作を繰り返し、透明導電膜上に液晶配向膜を有する基板を1対(2枚)製造した。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、1対の基板の液晶配向膜面を対向して圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板間の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で10分間加熱してから室温まで徐冷することにより、VA型液晶セルを製造した。
この液晶セルにつき、以下の方法により評価した。評価結果は表2に示した。
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶セルを、互いに直交する2枚の偏光板にはさみ、顕微鏡により観察し、光漏れがない場合を「良好」として評価した。
(2)電圧保持率の評価
上記で製造した液晶セルに、60℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。
なお、測定装置としては(株)東陽テクニカ製、型式「VHR−1」を使用した。
(3)焼き付きの評価(残留DC電圧の測定)
上記で製造した液晶セルに、直流4Vを重畳した30Hz、3Vの矩形波を60℃の環境温度で5時間印加し、直流電圧を切った直後の液晶セル内に残留した電圧(残留DC電圧)を、フリッカ−消去法により求めた。
上記実施例17において、液晶配向剤として表2に摘示したものを使用したほかは実施例17と同様にして、それぞれVA型液晶セルを製造して評価した。
評価結果は表2に示した。
比較例1
合成例5で得たポリイミド(PI−1)を含有する溶液にN−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを加え、溶媒組成がN−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=50:50(重量比)、固形分濃度が3.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤(R−1)を調製した。
液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤(R−1)を使用したほかは上記実施例17と同様にしてVA型液晶セルを製造して評価した。
評価結果は表2に示した。
Claims (7)
- 下記式(1)
で表される基であり、Zは硫黄原子または酸素原子であり、RIIは水素原子またはメチル基であり、AIはメチレン基または炭素数2〜10のアルキレン基であり、YIは水酸基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。)
で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする、液晶配向剤。 - 上記反応における上記式(3)で表される化合物の使用割合が、上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種の有する(メタ)アクリロイル基に対して0.2〜0.8モル%である、請求項2に記載の液晶配向剤。
- さらに、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
- 上記式(1)で表されるポリオルガノシロキサン。
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