[紫外線硬化型組成物]
本発明の光ディスクの光透過層を得るのに用いる紫外線硬化型組成物は、式(1)で表されるラジカル重合性化合物(I)を含有する。
また、上記式(1)に加えて、更に下記式(1−2)で表されるラジカル重合性化合物(II)を併用することが好ましい。
前記式(1)及び式(1−2)中のR1は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基である。R1は硬化性に優れる理由から水素原子が好ましい。式(1−2)中のpは2〜15である。中でも塗工性に優れる理由からpは2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。
式(1)及び(1−2)中のXは下記式(2)で表される基である。
前記式(2)中のEは、それぞれ独立してSO2−、−CH2−、−CH(CH3)−又は−C(CH3)2−である。nは0〜8の整数を表す。このような式(2)で表される基としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造、ビスフェノールS型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造、ビスフェノールF型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造等が挙げられる。式(2)中のEは柔軟性を保持しながら機械物性に優れる理由から−C(CH3)3−、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造が好ましい。式(2)中のnはさらに塗工性にも優れる理由からn=0〜6の整数がより好ましい。
更に、前記式(1)及び(1−2)中のZは、下記式(3)、式(4)及び式(5)からなる群から選ばれる一種以上の基である。
前記式(3)、式(4)及び式(5)で表される基においてAは2価の芳香族炭化水素基又は炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表す。前記2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、o−キシレン−α,α’−ジイル基、m−キシレン−α,α’−ジイル基、p−キシレン−α,α’−ジイル基等が挙げられる。前記2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等のC=1〜20のアルキレン基;シクロペンタン−ジイル基、シクロヘキサン−ジイル基等の脂環式炭化水素基等が挙げられる。Aは柔軟性に優れる理由からC=2〜10の2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、中でもC=3〜8のアルキレン基が好ましい。
また、前記2価の芳香族炭化水素基の水素原子は、アルキル基で置換されていても良い。Aとして、水素原子がアルキル基で置換された2価の芳香族炭化水素基を用いることにより樹脂組成物中の相溶性を制御できるという効果が得られる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。アルキル基の中でも炭素原子数が1〜6のアルキル基が相溶性の理由から好ましい。
尚、前記2価の脂肪族炭化水素基は直鎖状でも良いし、分岐状でも良い。
前記式(3)で表される基において、L1は炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基又は−(R2O)q−R2−(R2は炭素原子数2〜8のアルキレン基である。)である。前記炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素としては、例えば、前記Aで例示した炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基の中でも柔軟性の理由からC=2〜4のアルキレン基が好ましい。尚、炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素は分岐鎖を有していても良い。前記R2に用いられる炭素原子数2〜8のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。アルキレン基の中でも柔軟性の理由からC=2〜6アルキレン基が好ましい。また、−(R2O)q−R2−中のqは1〜10の整数である。中でも柔軟性の理由からC=2〜4のアルキレン基が好ましい。更に、L1としては、柔軟性の理由からC=2〜4のアルキレン基が好ましい。
前記式(3)で表される基において、m1は1〜20の整数である。m1は耐久性の理由から1〜10がましい。
前記式(4)で表される基において、L2は数平均分子量が250〜10000のアルキルジオール残基又はポリエーテルジオール残基を表す。
式(4)で表される基においてL3とL4は各々独立して、炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。前記脂肪族炭化水素基は、例えば、前記Aで例示した炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。尚、炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素は分岐鎖を有していても良い。また、前記m2、m3は各々独立して1〜20の整数である。
前記式(3)、式(4)及び式(5)の中でも耐久性と柔軟性に優れることから式(3)が好ましい。
本発明で用いるラジカル重合性化合物(I)としては、例えば、エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールF型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールF型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とメタクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とメタクリル酸の反応生成物、エチレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、エチレングリコールとヘキサヒドロ無水フタル酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとヘキサヒドロ無水フタル酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物等が挙げられる。
上記式(1)で表されるラジカル重合性化合物(I)は、その骨格中に式(2)で表される剛直なビスフェノール型のエポキシ構造と、式(3)〜(5)で表される柔軟なポリエステル構造とを有することにより、得られる硬化膜の弾性率を低く抑えることができ、硬化時に生じた硬化膜内の歪みを緩和し、反りを抑えることができる。また、銀又は銀合金反射膜の光ディスクにおいて、該組成物を光透過層として使用した場合に、優れた耐久性や耐光性を得ることができる。
本発明の紫外線硬化型組成物中のラジカル重合性化合物(I)の製造方法は、特に制限されないが、例えば、まず式(3)〜(5)の構造を与える同一分子内に2個のカルボキシル基を有する化合物(A)と式(2)の構造を与える同一分子内に2個のグリシジル基を有する化合物(B)とを反応させた後、次いで同一分子内に1個のラジカル重合性の不飽和二重結合と1個のカルボキシル基を有する化合物(C)とを反応させて式(1)で表されるラジカル重合性化合物(I)を得る2段階合成方法、また該化合物(A)、(B)および(C)を同時に仕込み反応させラジカル重合性化合物(I)を得る1段階合成方法などが挙げられる。
2段階合成方法の具体例としては、第一段の反応として、式(3)〜(5)の構造を与える同一分子内に2個のカルボキシル基を有する化合物(A)の1分子に対し、式(2)の構造を与える同一分子内に2個のグリシジル基を有する化合物(B)を2分子反応させる。
この際、同一分子内に2個のカルボキシル基を有する化合物(A)のカルボキシル基と、同一分子内に2個のグリシジル基を有する化合物(B)とを、化合物(A)のカルボキシル基と化合物(B)のモル比が0.9〜1.1、好ましくは等モルにて反応させて末端グリシジル基化合物を得る。
次いで、第二段の反応として、先の反応で得られた末端グリシジル基化合物と同一分子内に1個のラジカル重合性の不飽和二重結合と1個のカルボキシル基を有する化合物(C)とを、末端グリシジル基化合物のグリシジル基とを、モル比が0.9〜1.1、好ましくは等モルにて反応させ、式(1)で表されるラジカル重合性化合物(I)を得る。
この第1段反応は反応温度60〜150℃、好ましくは70〜140℃で反応する事が望ましい。第2段の反応は、60℃以下では反応時間が長くなり、140℃以上では化合物(B)の不飽和二重結合の重合が起きやすくなるため、禁止剤の存在下、反応温度60〜140℃、好ましくは70〜130℃で反応する事が望ましい。グリシジル基の開環触媒として公知任意の触媒を用いる事が出来る。トリエチレンジアミン、トリnブチルアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の三級アミン類、イミダゾール類、トリフェニルフォスファイト、亜燐酸エステル、トリフェニルホスフィン、トリスー(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリートリルホスフィン等のホスフィン類、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド等のホスホニウム塩類などがその代表例として挙げる事が出来る。
式(3)〜(5)で表される構造を与える同一分子内に2個のカルボキシル基を有する化合物(A)としては、例えば、
(a)ジオールと2塩基酸とを反応させて得られる分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するポリエステルジカルボン酸
(b)或いは、長鎖アルキルジオール又はポリエーテルジオールに酸無水物を分子末端の水酸基に反応させたジカルボン酸
(c)二塩基酸にラクトン化合物を反応したジカルボン酸などの分子末端がカルボキシル基のジカルボン酸
等がある。
具体的には、上記(a)のポリエステルジカルボン酸は、ジオールより過剰な二塩基酸のモル比の割合においてその比を調製することにより(二塩基酸/ジオール=2〜1モルの範囲)任意の分子量のジカルボン酸が得られる。そのジオールとしては、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基又は−(R2O)q−R2−(R2は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜8のアルキレン基を表し、qは1〜10の整数である。)で表される基を有するジオールを使用でき、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、オクタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、オクタプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリテトラメチレングリコール、テトラテトラメチレングリコール、オクタテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキシルジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ひまし油変性ジオール等のジオール類を挙げることが出来る。
ジオールと反応させる二塩基酸としては、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を有する二塩基酸を使用でき、例えば、琥珀酸、無水琥珀酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸等の脂肪族二塩基酸、乃至は無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族多塩基酸、テトラヒドロ酸無水物及びその誘導体、乃至はヘキサヒドロフタル酸無水物及びその誘導体、ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族二塩基酸等が挙げられる。
上記(b)のジカルボン酸の調製に用いる長鎖アルキルジオール又はポリエーテルジオールとしては、エチルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のアルキルモノグリシジルエーテル類等を挙げることが出来る。
上記(b)のジカルボン酸の調製に用いる酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記(c)の化合物の具体例としては、二塩基酸にβ−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加して得られるカルボキシル基末端ポリエステルポリオールが挙げられる。ここで用いる二塩基酸としては、例えば前記ポリエステルジカルボン酸の調整に用いる二塩基酸等が挙げられる。
前記化合物(A)の中でも柔軟性の理由から前記(a)で示したポリエステルジカルボン酸が好ましい。前記ポリエステルジカルボン酸の中でも、耐久性と柔軟性を両立できる理由からアジピン酸とエチレングリコールとを反応させて得られるポリエステルジカルボン酸が好ましい。
これら化合物から形成される式(3)〜(5)で表される二価の基の数平均分子量は、250〜10000とすることで、得られる硬化物に適度な柔軟性を付与することができる。
式(2)で表される構造を与える同一分子内に2個のグリシジル基を有する化合物(B)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂が好ましく使用することができる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、式(6)で表される化合物を例示することができる。中でも、式中のEが−C(CH3)2−であるビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂が銀合金等の光反射膜に対する接着力と、耐久性に優れる硬化物が得られ、また、本発明で用いる紫外線硬化型組成物のコストダウン化にも有効なことから好ましい。
(式中、Eは−SO
2−、−CH
2−、−CH(CH
3)−又は−C(CH
3)
2−を表し、nは0〜8の整数を表す。)
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量としては、塗布性に優れることから150〜1000が好ましく、150〜700がより好ましい。
1個のラジカル重合性の不飽和二重結合と1個のカルボキシル基を有する化合物(C)は、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物から得られるハーフエステル化合物、これらのカルボキシル基にラクトン化合物を付加した化合物などが挙げられる。前記化合物(C)としては、硬化性の理由からアクリル酸が好ましい。
本発明の紫外線硬化型組成物中には、ラジカル重合性化合物(I)を、紫外線硬化型組成物中のラジカル重合性化合物の総量に対して10〜80質量%含有することが好ましく、20〜70質量%含有することがより好ましい。また、紫外線硬化型組成物中には公知のラジカル重合性モノマー、オリゴマー、光重合開始剤、及び熱重合開始剤等を用いる事が出来る。更に本発明の紫外線硬化型組成物中には、公知任意の添加剤、助剤を用いることが出来る。
本発明で用いる上記式(1)で表されるラジカル重合性化合物(I)を合成すると、通常、上記式(1−2)で表されるpが2〜15の範囲にあるラジカル重合性化合物(II)を含む混合物として得られ、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等で分析すると、pが種々の値を示す化合物の分布(例えば、pが0〜50程度)が観察できる。従って、本発明の紫外線硬化型組成物を調整する際には、当該混合物を使用することが簡便である。上記式(1)で表されるラジカル重合性化合物(I)と、上記式(2)で表されるラジカル重合性化合物(II)とを含有する混合物を使用する場合には、ラジカル重合性化合物(I)とラジカル重合性化合物(II)の総量が、混合物中のラジカル重合性化合物に対して30〜90質量%含有する混合物を使用することが好ましく、35〜80質量%含有する混合物がより好ましい。また、ラジカル重合性化合物(I)と、式(2)中のpが2〜10のラジカル重合性化合物(II)とを20〜80質量%含有する混合物が好ましく、25〜80質量%含有する混合物がより好ましい。更に、ラジカル重合性化合物(I)と、式(2)中のpが2〜8のラジカル重合性化合物(II)とを15〜70質量%含有する混合物が好ましく、15〜70質量%含有する混合物がより好ましい。これら混合物を使用することで、本発明の効果を得るための紫外線硬化型組成物の調整が容易となる。本発明においては、ラジカル重合性化合物(I)を使用することで、光反射層の劣化が起こりにくい光透過層が得られる紫外線硬化型組成物となる。更に、光反射層の劣化が起こりにくい光透過層となることに加え、柔軟性に優れる光透過層となり、その結果、反りが少ない光ディスクが得られる紫外線硬化型組成物となることからラジカル重合性化合物(I)と、p=2〜15のラジカル重合性化合物(II)が混在した混合物が好ましい。
ラジカル重合性化合物(I)以外のラジカル重合性化合物としては、光ディスクに使用されている単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、あるいは(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー等を適宜組み合わせて使用できる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート、などを使用できる。
上記単官能(メタ)アクリレートのなかでは、イソアミル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。
なかでも、フェノキシエチルアクリレートは十分な柔軟性を与え、且つ耐久性が良いので好ましい。また、テトラヒドロフルフリルアクリレートは、ポリカーボネート基板に対する密着性を良好にするため好ましい。
本発明の紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物全量中の単官能(メタ)アクリレートの含有量としては、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることが好ましい。
二官能(メタ)アクリレートは、単独または併用して使用することができる。
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートとしては、脂環式の二官能(メタ)アクリレートとして、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、等を使用できる。
上記二官能(メタ)アクリレートのなかでは、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
なかでも、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートは、耐久性が良いので好ましい。また、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレートは、ポリカーボネート基板に対する密着性を良好にするため好ましい。
本発明の紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物全量中の二官能(メタ)アクリレートの含有量としては、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることが好ましい。
また、硬化後の弾性率を高く調整したい場合には、三官能以上の(メタ)アクリレートを使用することができる。例えば、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、等を使用できる。
なかでも、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリアクリレートは、硬化性が速く且つ硬化収縮率が低いため好ましい。
本発明の紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物全量中の三官能以上の(メタ)アクリレートの含有量としては、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることが好ましい。
また、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエーテルモノマー等のラジカル重合性化合物も必要に応じて使用できる。
本発明で使用することのできるオリゴマーとしては、例えば、ポリエーテル骨格のウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル骨格のウレタン(メタ)アクリレート、ポリカーボネート骨格のウレタン(メタ)アクリレートなどのポリウレタン(メタ)アクリレート或いは、ポリエステル骨格のポリオールに(メタ)アクリル酸をエステル化したポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル骨格のポリオールに(メタ)アクリル酸をエステル化したポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂のグリシジル基にアクリル酸を反応したエポキシアクリレート等を挙げることが出来、これらの公知汎用活性エネルギー線線硬化性オリゴマーの中から1種もしくは2種以上を用いる事が出来る。
本発明においては、エポキシ(メタ)アクリレートとしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が、500〜20000のものを使用することが好ましく、800〜15000であることがより好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートの構造、分子量を上記の範囲とすることにより、本発明の紫外線硬化型組成物を使用した光ディスクの耐久性及び耐光性がより優れたものとなる。また、本発明で使用するウレタン(メタ)アクリレートのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)としては、1000〜20000であることが好ましく、1500〜10000であることがより好ましい。これにより、本発明の紫外線硬化型組成物を使用した光ディスクの耐久性及び耐光性がより優れたものとなる。なお、GPCによる重量平均分子量は、例えば、東ソー(株)社製 HLC−8020を用い、カラムはGMHxl−GMHxl−G200Hxl−G1000Hxlwを使用し、溶媒はTHFを用い、1.0ml/minの流量でカラム温度が40℃、検出器温度が30℃、分子量は標準ポリスチレン換算で測定を行うことで特定される。
本発明の紫外線硬化型組成物中のオリゴマーの含有量は、紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物中の5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。オリゴマーの含有量を当該範囲とすることで硬化膜に適度な柔軟性を付与することが可能となり、特に湿度ショックを与えたときの反り変化が小さくなる。
光重合開始剤としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明で使用する光重合開始剤として好適である。本発明に使用する光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等の水素引き抜き型の光重合開始剤を使用することができる。
また、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用でき、更に、前記の光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、かつ紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。また、紫外線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、レベリング剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤を使用することもできる。
更に必要に応じて、接着性、密着性を改善するシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の助剤、或いは濡れ性や表面平滑性を改善する助剤を公知任意の量加えることが出来る。
本発明の紫外線硬化型組成物中には、式(7)で表される化合物を添加することが好ましい。式(7)で表される化合物を添加することにより、光ディスクを高温高湿環境下に長時間放置した後の反射膜の外観変化、及び信号の読み取りエラーの増加を相当程度防止することができる。
(式中、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立して、(i)水素原子、(ii)ハロゲン原子、(iii)水酸基、(iv)炭素数1〜8のアルコキシル基、(v)カルボキシル基、(vi)式(8)
(式中、R
7は、ハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1〜20のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1〜20のアルケニル基を表す。)で表される基、或いは(vii)置換基としてカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシル基又はアルコキシル基を有していても良い炭素数1〜24のアルキル基若しくはアルケニル基を表すが、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6の中の少なくともひとつは水酸基である。)
前記式(7)で表される化合物としては種々の構造の化合物があるが、中でも下記式(9)、式(10)、式(11)及び式(12)で表される化合物が好ましい。
(式中、R
8は、水素原子、ハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1〜20のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1〜20のアルケニル基を表す。)
(式中、R
9、R
10、R
11及びR
12はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルコキシル基、置換基として−COOH、−COOR
13、−OCOR
14又は−OR
15を有していても良い炭素数1〜24のアルキル基、或いは置換基として−COOH、−COOR
13、−OCOR
14又は−OR
15を有していても良い炭素数1〜24のアルケニル基を表す(式中、R
13、R
14、及びR
15はそれぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルケニル基を表す。)。)
(式中、R
16、R
17、R
18及びR
19はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルコキシル基、置換基として−COOH、−COOR
13、−OCOR
14又は−OR
15を有していても良い炭素数1〜24のアルキル基、或いは置換基として−COOH、−COOR
13、−OCOR
14又は−OR
15を有していても良い炭素数1〜24のアルケニル基を表す(式中、R
13、R
14、及びR
15はそれぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルケニル基を表す。)。)
(式中、R
20、R
21、R
22及びR
23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルコキシル基、置換基として−COOH、−COOR
13、−OCOR
14又は−OR
15を有していても良い炭素数1〜24のアルキル基、或いは置換基として−COOH、−COOR
13、−OCOR
14又は−OR
15を有していても良い炭素数1〜24のアルケニル基を表す(式中、R
13、R
14、及びR
15はそれぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルケニル基を表す。)。)
上記式(9)におけるアルキル基及びアルケニル基は分岐状又は直鎖状であって良く、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。中でも、R8は水素原子、又は無置換の炭素数1〜20の分岐鎖を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は無置換の炭素数1〜8の分岐鎖を有していてもよいアルキル基であることがより好ましい。更に、水素原子、又は無置換の炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい
上記式(9)で表される没食子酸エステルとしては、具体的には、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸イソプロピル、没食子酸イソペンチル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、没食子酸テトラデシル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸オクタデシル等がある。式(9)で表される化合物としては、没食子酸を使用することが好ましい。没食子酸は、市販品として、例えば、大日本製薬(株)製が容易に入手可能である。
式(10)中、R9、R10、R11及びR12は、具体的には、(i)水素原子、(ii)フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等のハロゲン原子、(iii)メトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチロキシ等のアルコキシル基、(iv)メチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ラウリル又はオクタデシル等のアルキル基、(v)エテニル、プロペニル又は2−ブテニル等のアルケニル基、(vi)4−カルボキシブチル、2−メトキシカルボニルエチル、メトキシメチル、エトキシメチル等が挙げられる。
式(10)で表される化合物中で好ましいのは、カテコール、3−sec−ブチルカテコール、3−tert−ブチルカテコール、4−sec−ブチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール、3−sec−ブチル−4−tert−ブチルカテコール、3−tert−ブチル−5−sec−ブチルカテコール、4−オクチルカテコール及び4−ステアリルカテコールであり、より好ましいのは、カテコール及び4−tert−ブチルカテコールである。特に4−tert−ブチルカテコールを使用することが好ましい。4−tert−ブチルカテコールの市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製DIC TBC−5Pがある。
式(11)中のR16、R17、R18及びR19、及び、式(12)中のR20、R21、R22及びR23は、具体的には、水素原子、メチル基、プロピル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、iso−ヘキシル基、tert−オクチル基等が挙げられる。
式(11)で表される化合物の中で好ましいのは、ハイドロキノン、2−ヒドロキシハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノン又は2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ハイドロキノンである。また、式(11)で表される化合物中で好ましいのは、レソルシノール(benzene−1,3−diol)、オルシノール(5−methylbenzene−1,3−diol)である。式(11)で表される化合物の中でもハイドロキノン(benzene−1,4−diol)、2−ヒドロキシハイドロキノン(benzene−1,2,4−triol)を使用することがより好ましい。また、式(4)で表される化合物として、本発明で使用することが好ましいその他の化合物としてはピロガロール(1,2,3−trihydroxybenzene)がある。
上記式(9)〜式(12)で表される化合物の中で、式(9)で表される没食子酸又は没食子酸エステル及び式(11)で表されるハイドロキノン系化合物は、高温高湿環境下における耐久性を特に向上させることができ、式(6)で表される化合物の中でも特に好ましい化合物である。また、式(6)で表される化合物の中では没食子酸が最も好ましい化合物である。
式(7)で表される化合物の紫外線硬化型組成物中への添加量としては、紫外線硬化型組成物全体に対して、0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.02〜0.5質量%である。
本発明の紫外線硬化型組成物の粘度は、1000〜4000mPa・sであることが好ましい。粘度を当該範囲とすることで、光ディスクの光透過層を好適に作製できる。
本発明の紫外線硬化型組成物は、活性エネルギー線を照射した後の硬化膜の弾性率が、30〜2500MPa(25℃)となるように調整することが好ましい。中でも30〜1600MPaとなる組成であることがより好ましい。弾性率がこの範囲となる組成であると、硬化時の歪みが緩和され易く、高温高湿環境下に長時間曝されても接着力の低下が少なく光ディスクの機械的強度を高めることが容易である。
本発明の紫外線硬化型組成物には、必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、レベリング剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤を使用することもできる。また、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用でき、更に、前記の光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
[光ディスク]
本発明の光ディスクは、基板上に、少なくとも光反射層と光透過層とが形成され、前記光透過層を通してレーザー光により記録又は再生を行う光ディスクであって、前記光透過層が、上記の紫外線硬化型組成物の硬化物からなるものである。本発明の光ディスクは、光透過層として、上記した紫外線硬化型組成物を使用することにより、高温高湿下でも接着力の低下が生じにくく、銀又は銀合金を反射膜として使用した場合であっても、優れた耐久性や耐光性を得ることができるため、良好に情報の記録・再生を行うことができる。
本発明の光ディスクにおける光透過層は、レーザー光の発振波長が370〜430nmであるブルーレーザーを効率良く透過することが好ましい。光透過層の厚みは50〜150μmの範囲であり、75〜150μmであることが特に好ましい。光透過層の厚みは、通常、約100μmに設定されるが、厚みは光透過率や信号の読み取り及び記録に大きく影響を及ぼすため、十分な管理が必要である。光透過層は、当該厚さの硬化層単層で形成されていても、複数層が積層されていてもよい。
光反射層としては、レーザー光を反射し、記録・再生が可能な光ディスクを形成できるものであればよく、例えば、金、銅、アルミニウムなどの金属又はその合金、シリコンなどの無機化合物を使用できる。なかでも、400nm近傍の光の反射率が高いことから銀又は銀を主成分とする合金を使用することが好ましい。光反射層の厚さは、10〜60nm程度の厚さとすることが好ましい。
基板としては、ディスク形状の円形樹脂基板を使用でき、当該樹脂としてはポリカーボネートを好ましく使用できる。光ディスクが再生専用の場合には、基板上に情報記録を担うピットが光反射層と積層される表面に形成される。
また、書込可能な光ディスクの場合には、光反射層と光透過層との間に情報記録層が設けられる。情報記録層としては、情報の記録・再生が可能であればよく、相変化型記録層、光磁気記録層、あるいは有機色素型記録層のいずれであってもよい。
情報記録層が相変化型記録層である場合には、当該情報記録層は通常、誘電体層と相変化膜から構成される。誘電体層は、相変化層に発生する熱を緩衝する機能、ディスクの反射率を調整する機能を求められ、ZnSとSiO2の混合組成が用いられる。相変化膜は、膜の相変化により非晶状態と結晶状態で反射率差を生じるものであり、Ge−Sb−Te系、Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系合金を用いることができる。
本願発明の光ディスクは、情報記録部位が二つ以上形成されていても良い。例えば、再生専用光ディスクの場合には、ピットを有する基板上に、第一の光反射層、第一の光透過層が積層され、当該第一の光透過層上又は他の層を積層し、当該層上に第二の光反射層、第二の光透過層を形成してもよい。この場合には第一の光透過層やこれに積層する他の層上にピットが形成される。また、記録・再生可能な光ディスクの場合は、基板上に、情報記録層、光反射層及び光透過層とが積層された構成を有するものであるが、当該光透過層上に更に、第二の光反射層、第二の情報記録層、第二の光透過層を形成して二層の情報記録層を有する構成、あるいは、同様に層を積層して三層以上の情報記録層を有する構成としてもよい。複数層を積層する場合には、各層の層厚さの和が上記の厚さになるように適宜調整すればよい。
また、本発明の光ディスクにおいては、光透過層が最表面の層であってもよいが、更にその表層に表面コート層を設けてもよい。
本発明の光ディスクには、再生専用のディスクと、記録・再生可能なディスクがある。再生専用のディスクは、1枚の円形樹脂基板を射出成形する際に、情報記録層であるピットを設け、次いで該情報記録層上に光反射層を形成し、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。また、記録・再生可能なディスクは、1枚の円形樹脂基板上に光反射層を形成し、次いで相変化膜、又は光磁気記録膜等の情報記録層を設け、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。
光反射層上に塗布した紫外線硬化型組成物を紫外線照射することにより硬化させる場合、例えばメタルハライドランプ、高圧水銀灯などを用いた連続光照射方式で行うこともできるし、USP5904795記載の閃光照射方式で行うこともできる。効率よく硬化出来る点で閃光照射方式がより好ましい。
紫外線を照射する場合、積算光量は0.05〜1J/cm2となるようにコントロールするのが好ましい。積算光量は0.05〜0.8J/cm2であることがより好ましく、0.05〜0.6J/cm2であることが特に好ましい。本発明の光ディスクに使用する紫外線硬化型組成物は、積算光量が少量であっても、十分に硬化し、光ディスク端面や表面のタックが発生せず、更に光ディスクの反りや歪みが発生しない。
[実施態様]
以下、本発明の光ディスクの具体例として、単層型光ディスク及び二層型光ディスクの具体的構成の一例を以下に示す。
本発明の光ディスクのうち、単層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図1に示したように、基板1上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う構成が例示できる。図中の凹凸は、記録トラック(グルーブ)を模式的に表したものである。光透過層3は、本発明の紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、その厚さは100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
図2は図1に示した構成の最表層にハードコート層4を設けた構成である。ハードコート層は、高硬度で、耐摩耗性に優れる層であることが好ましい。ハードコート層の厚さは、1〜10μmであることが好ましく、3〜5μmであることがより好ましい
多層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図3に示したように、基板1上に、光反射層5と、光透過層6とが積層され、さらにその上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層3側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う二層型光ディスクの構成が例示できる。光透過層3及び光透過層6は、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、少なくともいずれかの層が本発明の紫外線硬化型組成物からなる層である。層の厚さとしては、光透過層3の厚さと光透過層6の厚さの和が100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
当該構成の二層型光ディスクにおいては、記録トラック(グルーブ)が、光透過層6の表面にも形成されるため、光透過層6は、接着性に優れる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層の上に、記録トラックを好適に形成できる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層を積層した複層で形成されていてもよい。また当該構成においても最表層にハードコート層が設けられていてもよい。
図1に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形することによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜する。この上に本発明の紫外線硬化型組成物を塗布し、ディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させ、光透過層3を形成し、図1の光ディスクを作製する。図2の光ディスクの場合には、この上に更にスピンコート等によりハードコート層4を形成する。
図3に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形にすることによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に、基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層6を成膜する。
この上に、本発明の紫外線硬化型組成物又は任意の紫外線硬化型組成物の光透過層5を形成するが、その際に型を用いて表面に記録トラック(グルーブ)を転写する。記録トラック(グルーブ)を転写する工程は次の通りである。基板1に形成された光反射層6上に紫外線硬化型組成物を塗布し、その上に記録トラック(グルーブ)を形成するための型と貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させる。その後、型を剥離して、光透過層5の記録トラック(グルーブ)を有する側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜し、この上に、紫外線硬化型組成物を塗付した後、紫外線照射により硬化させ、光透過層3を形成することで、図3の光ディスクを作製できる。また、光反射層に相変化型記録層を用いる場合でも上記と同様の方法により光ディスクを作成することができる。
次に、合成例及び実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例中の「部」は「質量部」を表す。
なお本発明で平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により求めた。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
<合成例1>
精溜塔、水分離器、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を備えた攪拌機付き反応器に、エチレングリコールを91部、アジピン酸を318部加えて攪拌乍ら140℃まで1時間で昇温する。更に3時間で230℃迄昇温、230℃で3時間反応。酸価196KOHmg/gで冷却した。110℃迄冷却したらエピクロン850を537部(エポキシ当量188g/当量)トリフェニルホスフィン0.2部を加えて130℃4時間反応した。酸価2.6KOHmg/gであった。窒素導入管を空気吹き込みに換えて、アクリル酸(98%)105部、メトキノン0.5部、トリフェニルホスフィン2部加えて110℃6時間反応した。酸価1.7KOHmg/g半固形樹脂状物の変性エポキシアクリレート(A)を得た。
得られた変性エポキシアクリレートのGPC測定分子量は、数平均分子量(Mn)1450,重量平均分子量(Mw)4066,分散度(Mw/Mn)は2.81であった。
<合成例2>
精溜塔、水分離器、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を備えた攪拌機付き反応器に、エチレングリコールを91部、アジピン酸を318部加えて攪拌乍ら140℃まで1時間で昇温する。更に3時間で230℃迄昇温、230℃で3時間反応。酸価221KOHmg/gで冷却した。100℃迄冷却したらエピクロン850(大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/当量)を529部、トリフェニルホスフィン0.2部を加えて120℃で4時間反応した。酸価7.5KOHmg/gであった。窒素導入管を空気吹き込みに換えて、アクリル酸(98%)99部、メトキノン0.5部、トリフェニルホスフィン1部加えて110℃12時間反応した。酸価1.7KOHmg/gの半固形樹脂状物の変性エポキシアクリレート(B)を得た。
得られた変性エポキシアクリレートのGPC測定分子量は、数平均分子量(Mn)2000,重量平均分子量(Mw)6400,分散度(Mw/Mn)は3.20であった。なお、ここで得られた変性エポキシアクリレートのGPCクロマトグラムにおいて、式(1)で表される化合物及び式(1−2)で表されるpが2〜15の範囲にある化合物に相当する分子量範囲の分子量1500〜14000の面積比は68%、式(1)で表される化合物及び式(1−2)で表されるpが2〜10の範囲にある化合物に相当する分子量範囲の分子量1500〜9500の面積比は58%、式(1)で表される化合物及び式(1−2)で表されるpが2〜8の範囲にある化合物に相当する分子量範囲の分子量1500〜7600の面積比は51%であった。
<合成例3>
精溜塔、水分離器、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を備えた攪拌機付き反応器に、エチレングリコールを91部、アジピン酸を318部加えて攪拌乍ら140℃まで1時間で昇温する。更に3時間で230℃迄昇温、230℃で3時間反応。酸価221KOHmg/gで冷却した。100℃迄冷却した後、エピクロン850(大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/当量)を409部、トリフェニルホスフィン0.2部を加えて110℃にて5時間反応した。酸価15.0KOHmg/gとなった時点で窒素導入管を空気吹き込みに換えて、アクリル酸(98%)51部、メトキノン0.4部、トリフェニルホスフィン1部加えて120℃8時間反応した。酸価2.5KOHmg/gの半固形樹脂状物の変性エポキシアクリレート(C)を得た。
得られた変性エポキシアクリレートのGPC測定分子量は、数平均分子量(Mn)2600,重量平均分子量(Mw)16500,分散度(Mw/Mn)は6.31であった。なお、ここで得られた変性エポキシアクリレートのGPCクロマトグラムにおいて、式(1)で表される化合物及び式(1−2)で表されるpが2〜15の範囲にある化合物に相当する分子量範囲の分子量1500〜14000の面積比は52%、式(1)で表される化合物及び式(1−2)で表されるpが2〜10の範囲にある化合物に相当する分子量範囲の分子量1500〜9500の面積比は41%、式(1)で表される化合物及び式(1−2)で表されるpが2〜8の範囲にある化合物に相当する分子量範囲の分子量1500〜7600の面積比は35%であった。
<合成例4>
精溜塔、水分離器、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を備えた攪拌機付き反応器に、エチレングリコールを91部、アジピン酸を318部加えて攪拌乍ら140℃まで1時間で昇温する。更に3時間で230℃迄昇温、230℃で3時間反応。酸価221KOHmg/gで冷却した。100℃迄冷却した後、エピクロン1055(大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量483g/当量)を1402部、トリフェニルホスフィン0.4部を加えて120℃にて4時間反応した。酸価5.0KOHmg/gとなった時点で窒素導入管を空気吹き込みに換えて、フェノキシエチルアクリレート465部、アクリル酸(98%)102部、メトキノン0.9部、トリフェニルホスフィン2部加えて120℃12時間反応した。酸価2.2KOHmg/gの変性エポキシアクリレート(D)のフェノキシエチルアクリレート溶液を得た。
得られた変性エポキシアクリレートのGPC測定分子量は、数平均分子量(Mn)4150,重量平均分子量(Mw)12300,分散度(Mw/Mn)は2.96であった。なお、ここで得られた変性エポキシアクリレートのGPCクロマトグラムにおいて、式(1)で表される化合物及び式(1−2)で表されるpが2〜15の範囲にある化合物に相当する分子量範囲の分子量2100〜18000の面積比は55%、式(1)で表される化合物及び式(1−2)で表されるpが2〜10の範囲にある化合物に相当する分子量範囲の分子量2100〜12000の面積比は44%、式(1)で表される化合物及び式(1−2)で表されるpが2〜8の範囲にある化合物に相当する分子量範囲の分子量2100〜9700の面積比は38%であった。
<紫外線硬化型樹脂組成物の製造>
下記表1、2に示した組成により配合した各組成物を60℃で3時間加熱、溶解して、実施例1〜9及び比較例1の各実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。得られた組成物について、下記の評価を行った。
<弾性率の測定方法>
活性エネルギー線硬化型組成物を、ガラス板上に硬化塗膜が100±10μmになるように塗布した後、メタルハライドランプ(コールドミラー付き、ランプ出力120W/cm)を用いて窒素雰囲気中で500mJ/cm2で硬化させた。この硬化塗膜の弾性率をティー・エイ・インストルメント(株)社の自動動的粘弾性測定装置で測定し、25℃における動的弾性率E’を弾性率とした。
<粘度の測定方法>
活性エネルギー線硬化型組成物について、25℃における粘度をB型粘度計((株)東京計器製、BM型)を用いて測定した。
<光ディスクの耐久性及び反射率の評価、光反射膜の表面観察>
直径120mm、厚さ1.2mmの光ディスク基板を準備し、銀を主成分とするビスマスとの合金を20〜40nmの膜厚でスパッタした後、該金属反射膜上に、表1,2の各紫外線硬化型組成物をスピンコーターで膜厚が硬化後に100±10μmになるように塗布し、コールドミラー付きメタルハライドランプ120W/cmを用いて照射量500mJ/cm2(アイグラフィックス社製光量計UVPF−36)の紫外線を2回照射、硬化して試験用ディスクサンプルを得た。得られた光ディスクサンプルについて、エスペック(株)製「PR−2PK」を使用して、80℃85%RH96時間の高温高湿環境下での曝露(耐久試験)を行った。試験前後のサンプルについて、光透過層の側から、分光光度計「UV−3100」(島津製作所(株)製)で405nmにおける正反射率を測定した。
試験前後の反射率の変化が1.5%以内であった場合には○、1.5%を越えた場合には×とした。
また、暴露試験後のサンプルについて、目視により光反射膜表面の状態を観察した。光反射膜に変化が見られないものを○、光反射膜に変色やピンホールが見られるものを×とした。
<接着力の測定方法>
上記と同様にして直径120mm、厚さ1.2mmの光ディスク基板の金属反射膜上に、表1、2の各紫外線硬化型組成物の硬化塗膜層を設けた試験用ディスクサンプルを得た。各サンプルについてエスペック(株)製「PR−2PK」を使用して、80℃85%RH24時間の高温高湿環境下での曝露(耐久試験)を行った。試験前後のサンプルについて、サンドペーパー#1500,#280で塗膜を全体が薄く曇る程度に軽く研磨し、水、エタノールで研磨粉を拭き取り、住友スリーエム(株)製構造用接合テープY−4920を用い10mm各のステンレス治具に取り付けた。テスター産業製プッシュプルゲージ(500Nフルスケール)にて基板に取り付けた治具を引っ張り、その引っ張り強度を測定し、接着力とした。
表1中の化合物は以下の通り。
V−5530:ビスフェノールA型エポキシ樹脂のグリシジル基に直接アクリル酸が付加した構造のエポキシアクリレート; 大日本インキ化学工業(株)製
V−5810:ビスフェノールA型エポキシ樹脂のグリシジル基に直接アクリル酸が付加した構造のエポキシアクリレート/トリシクロデカンジメタノールジアクリレート/フェノキシエチルアクリレート=7/3/3質量比の混合物; 大日本インキ化学工業(株)製
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
PEA:フェノキシエチルアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
PM−2: エチレンオキシド変性リン酸ジメタクリレート ;日本化薬(株)製
Irg. 184:イルガキュア184 ;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
CNUVE−151:変性エポキシアクリレート;サートマー社製
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
HPNDA:ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート
表1、2に示すように、実施例1〜9のサンプルは比較例1のサンプルと比較して反射率の変化が小さく、高温高湿環境下での耐久試験において良好な結果を示した。また、比較例1のサンプルでは、耐久試験後に酸化による白化が見られたが、実施例1〜9のサンプルにおいては反射膜に変化が見られなかった。また、実施例1〜9のサンプルは、比較例1に比べて弾性率が低く柔軟性があり、耐久試験前後共に高い接着力を示した。