JP4821936B2 - 光ディスク - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも光反射層と光透過層とが形成され、前記光透過層を通して370nm〜430nmの範囲内に発振波長を有する半導体レーザー(以下ブルーレーザーと称す)により記録又は再生を行う光ディスクの光透過層に適した紫外線硬化型組成物に関する。
高密度記録可能な光ディスクとして主流となっているDVD(Digital Versatile Disc)は厚さ0.6mmの2枚の基板を接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVDにおいては高密度化を達成するため、CD(Compact Disc)に比べ短波長の650nmのレーザーを用い、光学系も高開口数化している。
しかし、HDTV(high definition television)に対応した高画質の映像等を記録または再生する為には更なる高密度化が必要となる。DVDの次世代に位置する更なる高密度記録の方法及びその光ディスクの検討が行われており、DVDよりも更に短波長のブルーレーザー及び高開口数の光学系を用いる新しい光ディスク構造による高密度記録方式が提案されている。
この新しい光ディスクはポリカーボネート等のプラスチックで形成される透明又は不透明の基板上に記録層を形成し、次いで記録層上に約100μmの光透過層を積層してなり、該光透過層を通して記録光又は再生光が、あるいはその両方が入射する構造の光ディスクである。この光ディスクの光透過層には、生産性の観点から、紫外線硬化型組成物を使用することがもっぱら研究されている。
ブルーレーザーを使用した光ディスクは長期に安定した記録再生特性を保持する必要がある。そのため、光透過層は、長期間の使用においても、その表面の変形や、傷付きにより、記録再生特性に悪影響を与えないことが望まれる。DVD及びCDは、ポリカーボネート等のプラスチック材料が記録光または再生光の入射面になるのに対し、上記光ディスクは、紫外線硬化型組成物の硬化膜が、入射面になるため、ポリカーボネートに比較して、長時間にわたり荷重が加わると、変形等により信号再生エラーが増加する問題があった。
光透過層の荷重による変形を防止するためには、光透過層が硬い硬化膜であることが望まれ、例えば、光透過層の25℃における動的弾性率が1.5〜3.0GPaである光情報媒体が開示されている(特許文献1参照)。しかし、当該ディスクは、長時間にわたり荷重が加わると、信号再生エラーが増加する問題があった。
特開2003−123316号公報
本発明が解決しようとする課題は、反りが生じ難く、長時間にわたり荷重が加わった際にも再生信号のエラーが増加し難く、経時でエラーが回復することにより好適に信号再生が可能な光ディスクを提供することにある。
本発明の光ディスクは、稜間角136°のビッカース圧子を用いて荷重100mNで押し込むことによって得られる弾性率(25℃)が1500MPa以下で、且つ、周波数3.5Hzにて測定される動的粘弾性スペクトルにおける60℃の損失弾性率(E’’)が10MPa以下の光透過層を有する光ディスクである。外部からの荷重によって変形にしにくい光透過層を形成するには、弾性率の高い硬化膜であることが好ましいが、弾性率が高すぎるとディスクの反りが大きくなる問題があり、また、ディスクの反りが問題にならない程度の弾性率にすると長時間にわたり荷重が加わると塑性変形が生じ、再生信号が読めなくなる不具合が生じる。本発明者らは、押し込み弾性率と動的粘弾性スペクトルにおける損失弾性率を特定の範囲にすることで、硬化時に反りが生じ難く、長時間にわたり荷重が加わった際や落下等により衝撃が加わった際にも塑性変形が起こりにくく、好適な信号再生特性を実現できることを見出した。
すなわち本発明は、基板上に、少なくとも光反射層と、紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる光透過層とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクであって、紫外線硬化型組成物の硬化膜表面に、稜間角136°のビッカース圧子を荷重100mNで押し込んで測定される弾性率(25℃)が1500MPa以下であり、前記硬化膜の周波数3.5Hzにて測定される動的粘弾性スペクトルにおける60℃の損失弾性率(E’’)が10MPa以下である光ディスクを提供する。
本発明の光ディスクは、反りが生じ難く、長時間にわたり荷重が加わった際にも再生信号のエラーが増加し難く、経時でエラーが回復することにより好適に信号再生が可能となる。
本発明の光ディスクは、基板上に、少なくとも光反射層と、紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる光透過層とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクであって、紫外線硬化型組成物の硬化膜表面に、稜間角136°のビッカース圧子を荷重100mNで押し込んで測定される弾性率(25℃)が1500MPa以下であり、前記硬化膜の周波数3.5Hzにて測定される動的粘弾性スペクトルにおける60℃の損失弾性率(E’’)が10MPa以下の光ディスクである。
[基板]
本発明の光ディスクに使用する基板としては、ディスク形状の円形樹脂基板を使用でき、当該樹脂としてはポリカーボネートを好ましく使用できる。光ディスクが再生専用の場合には、基板上に情報記録を担うピットが光反射層と積層される表面に形成される。レーザー光の発振波長が370〜430nmであるブルーレーザーにより情報の読み取りを行うブルーレイディスクとして使用する際には、1.1mm程度の厚さの基板が使用できる。
[光反射層]
本発明の光ディスクに使用する光反射層としては、レーザー光を反射し、記録・再生が可能な光ディスクを形成できるものであればよく、例えば、金、銅、アルミニウムなどの金属又はその合金、シリコンなどの無機化合物を使用できる。なかでも、400nm近傍の光の反射率が高いことから銀又は銀を主成分とする合金を使用することが好ましい。光反射層の厚さは、10〜60nm程度の厚さとすることが好ましい。
[光透過層]
本発明の光ディスクに使用する光透過層は、稜間角136°のビッカース圧子を用いて荷重100mNで押し込むことによって得られる弾性率(25℃)が1500MPa以下、好ましくは50〜1300MPa、より好ましくは50〜900MPa、最も好ましくは50〜600MPaである。当該光透過層の弾性率を当該範囲とすることにより、紫外線硬化時に反りが生じにくく、かつ、長時間の荷重に対しても変形が回復しやすくなるため良好に情報の記録・再生を行うことができる。当該光透過層の弾性率が小さすぎると、光透過層表面が傷つきやすくなる問題を生じ、一方、当該光透過層の弾性率が大きすぎると、光ディスクの反りが大きくなる問題を生じる。また、上記弾性率が400〜900MPa、好ましくは400〜600MPaとすることで硬化性が良好となるため、良好な硬化性が求められる製造条件下では、当該範囲の弾性率とすることが好ましい。
ビッカース圧子を用いた弾性率は、ISO標準規格ISO14577に従って測定することができる。
ISO14577において、稜間角136°のビッカース圧子を押し込むことによって得られる弾性率は、押し込み弾性率EITとして表される。塑性変形率は、押し込みクリープCITと表され、次の式から求められる。
Figure 0004821936
ここで、h1:荷重が100mNに達した時の押し込み深さ、h2:荷重が100mNに達した後に60秒間保持した時の押し込み深さ、である。
ISO14577に従った測定器として、フィッシャー・インスツルメンツ製のフィッシャースコープHM2000を用いて測定することができる。
また、本発明に使用する光透過層は、稜間角136°のビッカース圧子を用いて荷重100mNで押し込み60秒間保持した時の塑性変形率が、60%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、25%以下であることが特に好ましい。塑性変形率を当該範囲とすることで、長時間の荷重によって生じる変形が経時で回復し易くなる。
本発明の光ディスクにおいては、周波数3.5Hzにて測定される動的粘弾性スペクトルにおける60℃の損失弾性率(E’’)が10MPa以下、好ましくは、0.1〜7MPa、更に好ましくは、0.1〜5MPaである光透過層を使用する。60℃の損失弾性率が当該範囲であると、長時間にわたり荷重が加わった際にも再生信号のエラーが増加し難く、経時でエラーが回復することにより好適に信号再生が可能となる。
動的粘弾性スペクトルの測定に際しては、光透過層をダンベルカッターでJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜き試験片とし、この試験片を用いて、レオメトリックス社製の動的粘弾性測定装置RSA−II(周波数3.5Hz、昇温速度3℃/分)により測定した。
また、本発明の光ディスクにおいては、上記にて測定される動的粘弾性スペクトルにおける60℃の損失正接(tanδ)が、0.25以下であることが好ましく、0.01〜0.20以下であることが特に好ましい。60℃の損失正接が当該範囲であると長時間にわたり荷重が加わった際にも再生信号のエラーが増加し難く、経時でエラーが回復することにより好適に信号再生が可能となる。
本発明の光ディスクにおける光透過層は、レーザー光の発振波長が370〜430nmであるブルーレーザーを効率良く透過することが好ましく、100μmの厚さにおいて405nmの光の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
本発明の光ディスクにおける光透過層の厚みは、70〜110μmであることが好ましく、90〜110μmであることが特に好ましい。本発明においては、上記特定の押し込み弾性率と損失弾性率を有する光透過層を、当該厚さにて光ディスクに適用することにより、反りを抑制できると共に、光ディスク外部から長時間にわたり荷重が加わった際や落下等により衝撃が加わった際にも塑性変形が起こりにくく、かつ変形を生じた場合にも当該変形が短時間で回復しやすくすることができる。このため、光ディスク外部からの衝撃や圧力が加わった際の衝撃緩和や変形回復性能が特に好適となり、光ディスクの信号の読み取り安定性を更に高めることができる。光透過層の厚みは、通常、約100μmに設定されるが、厚みは光透過率や信号の読み取り及び記録に大きく影響を及ぼすため、十分な管理が必要である。光透過層は、当該厚さの硬化層単層で形成されていても、複数層が積層されていてもよい。
本発明の光ディスクの光透過層は、紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる光透過層である。当該紫外線硬化型組成物は、上記弾性率と塑性変形率を有し、かつ、周波数3.5Hzにて測定される動的粘弾性スペクトルにおける60℃の損失弾性率(E’’)が10MPa以下である硬化膜を形成できればよく、(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又は(メタ)アクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化型組成物を好ましく使用できる。
〔(メタ)アクリレートオリゴマー〕
光透過層を形成する紫外線硬化型組成物に使用する(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に制限されず、各種のウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートを使用できる。なかでも紫外線硬化型組成物の(メタ)アクリロイル基濃度と硬化後の弾性率を上記範囲に調整しやすいことから、ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートを好ましく使用できる。中でも、エポキシ(メタ)アクリレートを使用すると、ウレタン(メタ)アクリレートを使用した場合と比較して、一定荷重を与えた後にも経時で変形を回復可能な弾性項の高い硬化膜になり、また、光に暴露した際の光反射層の光反射率低下を抑制できるため、より好ましい。
本発明の紫外線硬化型組成物中の(メタ)アクリレート中のオリゴマーの含有量は、使用する(メタ)アクリレートオリゴマーや(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせにより適宜調整すれば良いが、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の80質量%以下の含有量で使用することが好ましく、20〜60質量%使用すると厚膜の光透過層を好適に形成できるため、より好ましい。
本発明に使用するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
Figure 0004821936
前記式(1)中のRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基である。Rは硬化性に優れる理由から水素原子が好ましい。式(1)中のrは1〜15である。中でも塗工性に優れる理由からrは1〜10が好ましく、1〜8がより好ましい。
式(1)中のAは下記式(2)で表される基である。
Figure 0004821936
前記式(2)中のEは、それぞれ独立して−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−である。nは0〜8の整数を表す。このような式(2)で表される基としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造、ビスフェノールS型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造、ビスフェノールF型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造等が挙げられる。式(2)中のEは柔軟性を保持しながら機械物性に優れる理由から−C(CH−、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂から両末端のエポキシ基を除いた残基構造が好ましい。式(2)中のnはさらに塗工性にも優れる理由からn=0〜6の整数がより好ましい。
更に、前記式(1)中のBは、下記式(3)、式(4)及び式(5)からなる群から選ばれる一種以上の基である。
Figure 0004821936
Figure 0004821936
Figure 0004821936
前記式(3)、式(4)及び式(5)で表される基においてJ〜Jは2価の芳香族炭化水素基又は炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表す。前記2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、o−キシレン−α,α’−ジイル基、m−キシレン−α,α’−ジイル基、p−キシレン−α,α’−ジイル基等が挙げられる。前記2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等のC=1〜20のアルキレン基;シクロペンタン−ジイル基、シクロヘキサン−ジイル基等の脂環式炭化水素基等が挙げられる。J〜Jは柔軟性に優れる理由からC=2〜10の2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、中でもC=3〜8のアルキレン基が好ましい。
また、前記2価の芳香族炭化水素基の水素原子は、アルキル基で置換されていても良い。J〜Jとして、水素原子がアルキル基で置換された2価の芳香族炭化水素基を用いることにより樹脂組成物中の相溶性を制御できるという効果が得られる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。アルキル基の中でも炭素原子数が1〜6のアルキル基が相溶性の理由から好ましい。
なお、前記2価の脂肪族炭化水素基は直鎖状でも良いし、分岐状でも良い。
前記式(3)で表される基において、Lは炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基又は−(RO)−R−(Rは炭素原子数2〜8のアルキレン基である。)である。前記炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素としては、例えば、前記J〜Jで例示した炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基の中でも柔軟性の理由からC=2〜4のアルキレン基が好ましい。尚、炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素は分岐鎖を有していても良い。前記R2に用いられる炭素原子数2〜8のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。アルキレン基の中でも柔軟性の理由からC=2〜6のアルキレン基が好ましい。また、−(RO)−R−中のqは1〜10の整数である。中でも柔軟性の理由からC=2〜4のアルキレン基が好ましい。更に、Lとしては、柔軟性の理由からC=2〜4のアルキレン基が好ましい。
前記式(3)で表される基において、mは1〜20の整数である。mは耐久性の理由から1〜10がましい。
前記式(4)で表される基において、Lは数平均分子量が250〜10000のアルキルジオール残基又はポリエーテルジオール残基を表す。
式(4)で表される基においてLとLは各々独立して、炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。前記脂肪族炭化水素基は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のC=2〜10のアルキレン基;シクロペンタン−ジイル基、シクロヘキサン−ジイル基等の炭素原子数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。尚、炭素原子数2〜10の2価の脂肪族炭化水素は分岐鎖を有していても良い。また、前記m、mは各々独立して1〜20の整数である。
前記式(3)、式(4)及び式(5)の中でも耐久性と柔軟性に優れることから式(3)が好ましい。
上記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールF型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールF型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とメタクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とメタクリル酸の反応生成物、エチレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、エチレングリコールとヘキサヒドロ無水フタル酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物、プロピレングリコールとヘキサヒドロ無水フタル酸からなるポリエステルジカルボン酸とビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸の反応生成物等が挙げられる。
上記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートは、その骨格中に式(2)で表される剛直なビスフェノール型のエポキシ構造と、式(3)〜(5)で表される柔軟なポリエステル構造とを有することにより、得られる硬化膜の弾性率を低く抑えることができ、硬化時に生じた硬化膜内の歪みを緩和し、反りを抑えることができる。また、銀又は銀合金反射膜の光ディスクにおいて、該組成物を光透過層として使用した場合に、優れた耐久性や耐光性を得ることができる。
上記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの製造方法は、特に制限されないが、例えば、まず式(3)〜(5)の構造を与える同一分子内に2個のカルボキシル基を有する化合物(A)と式(2)の構造を与える同一分子内に2個のグリシジル基を有する化合物(B)とを反応させた後、次いで同一分子内に1個のラジカル重合性の不飽和二重結合と1個のカルボキシル基を有する化合物(C)とを反応させて式(1)で表されるラジカル重合性化合物(I)を得る2段階合成方法、また該化合物(A)、(B)および(C)を同時に仕込み反応させエポキシ(メタ)アクリレートを得る1段階合成方法などが挙げられる。
2段階合成方法の具体例としては、第一段の反応として、式(3)〜(5)の構造を与える同一分子内に2個のカルボキシル基を有する化合物(A)の1分子に対し、式(2)の構造を与える同一分子内に2個のグリシジル基を有する化合物(B)を2分子反応させる。
この際、同一分子内に2個のカルボキシル基を有する化合物(A)のカルボキシル基と、同一分子内に2個のグリシジル基を有する化合物(B)とを、化合物(A)のカルボキシル基と化合物(B)のモル比が1.1〜2、好ましくは1.2〜1.8にて反応させて末端グリシジル基化合物を得る。
次いで、第二段の反応として、先の反応で得られた末端グリシジル基化合物と同一分子内に1個のラジカル重合性の不飽和二重結合と1個のカルボキシル基を有する化合物(C)とを、末端グリシジル基化合物のグリシジル基とを、モル比が0.9〜1.1、好ましくは等モルにて反応させ、式(1)で表されるラジカル重合性化合物(I)を得る。
この第1段反応は反応温度60〜150℃、好ましくは70〜140℃で反応する事が望ましい。第2段の反応は、60℃以下では反応時間が長くなり、140℃以上では化合物(B)の不飽和二重結合の重合が起きやすくなるため、禁止剤の存在下、反応温度60〜140℃、好ましくは70〜130℃で反応する事が望ましい。グリシジル基の開環触媒として公知任意の触媒を用いる事が出来る。トリエチレンジアミン、トリnブチルアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の三級アミン類、イミダゾール類、トリフェニルフォスファイト、亜燐酸エステル、トリフェニルホスフィン、トリス−(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリートリルホスフィン等のホスフィン類、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド等のホスホニウム塩類などがその代表例として挙げる事が出来る。本発明においては、式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを得る際に使用する触媒量を、反応に使用する化合物の総量に対し、1質量%以下とすることが好ましく、0.3質量%以下とすることが特に好ましく、0.1〜0.01質量%とすることが最も好ましい。
式(3)〜(5)で表される構造を与える同一分子内に2個のカルボキシル基を有する化合物(A)としては、例えば、
(i)ジオールと2塩基酸とを反応させて得られる分子鎖の両末端にカルボキシル基を有するポリエステルジカルボン酸
(ii)或いは、長鎖アルキルジオール又はポリエーテルジオールに酸無水物を分子末端の水酸基に反応させたジカルボン酸
(iii)二塩基酸にラクトン化合物を反応したジカルボン酸などの分子末端がカルボキシル基のジカルボン酸
等がある。
具体的には、上記(i)のポリエステルジカルボン酸は、ジオールより過剰な二塩基酸のモル比の割合においてその比を調製することにより(二塩基酸/ジオール=2〜1モルの範囲)任意の分子量のジカルボン酸が得られる。そのジオールとしては、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基又は−(RO)−R−(Rは分岐鎖を有していても良い炭素数2〜8のアルキレン基を表し、qは1〜10の整数である。)で表される基を有するジオールを使用でき、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、オクタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、オクタプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリテトラメチレングリコール、テトラテトラメチレングリコール、オクタテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキシルジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ひまし油変性ジオール等のジオール類を挙げることが出来る。
ジオールと反応させる二塩基酸としては、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を有する二塩基酸を使用でき、例えば、琥珀酸、無水琥珀酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸等の脂肪族二塩基酸、乃至は無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族多塩基酸、テトラヒドロ酸無水物及びその誘導体、乃至はヘキサヒドロフタル酸無水物及びその誘導体、ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族二塩基酸等が挙げられる。
上記(ii)のジカルボン酸の調製に用いる長鎖アルキルジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。また、ポリエーテルジオールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、オクタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、オクタプロピレングリコール等を挙げることが出来る。
上記(ii)のジカルボン酸の調製に用いる酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記(iii)の化合物の具体例としては、二塩基酸にβ−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加して得られるカルボキシル基末端ポリエステルポリオールが挙げられる。ここで用いる二塩基酸としては、例えば前記ポリエステルジカルボン酸の調整に用いる二塩基酸等が挙げられる。
前記化合物(A)の中でも柔軟性の理由から前記(i)で示したポリエステルジカルボン酸が好ましい。前記ポリエステルジカルボン酸の中でも、耐久性と柔軟性を両立できる理由からアジピン酸とエチレングリコールとを反応させて得られるポリエステルジカルボン酸が好ましい。
これら化合物から形成される式(3)〜(5)で表される二価の基の数平均分子量は、250〜10000とすることで、得られる硬化物に適度な柔軟性を付与することができる。
式(2)で表される構造を与える同一分子内に2個のグリシジル基を有する化合物(B)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂が好ましく使用することができる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、式(6)で表される化合物を例示することができる。中でも、式中のEが−C(CH−であるビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂が銀合金等の光反射膜に対する接着力と、耐久性に優れる硬化物が得られ、また、本発明で用いる紫外線硬化型組成物のコストダウン化にも有効なことから好ましい。
Figure 0004821936
(式中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、nは0〜8の整数を表す。)
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量としては、塗布性に優れることから150〜1000が好ましく、150〜700がより好ましい。
1個のラジカル重合性の不飽和二重結合と1個のカルボキシル基を有する化合物(C)は、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物から得られるハーフエステル化合物、これらのカルボキシル基にラクトン化合物を付加した化合物などが挙げられる。前記化合物(C)としては、硬化性の理由からアクリル酸が好ましい。
本発明の紫外線硬化型組成物中には、上記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを、紫外線硬化型組成物中のラジカル重合性化合物の総量に対して10〜80質量%含有することが好ましく、20〜70質量%含有することがより好ましい。また、紫外線硬化型組成物中には公知のラジカル重合性モノマー、オリゴマー、光重合開始剤、及び熱重合開始剤等を用いる事が出来る。更に本発明の紫外線硬化型組成物中には、公知任意の添加剤、助剤を用いることが出来る。
上記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを合成すると、通常、上記式(1)で表されるrが種々の範囲にあるエポキシ(メタ)アクリレートの混合物として得られ、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等で分析すると、rが種々の値を示す化合物の分布(例えば、rが0〜50程度)が観察できる。従って、本発明の紫外線硬化型組成物を調整する際には、当該混合物を使用することが簡便である。当該混合物を使用する場合には、上記式(1)で表されるrが1〜15のエポキシ(メタ)アクリレートの総量が、混合物中のラジカル重合性化合物に対して30〜90質量%含有する混合物を使用することが好ましく、35〜80質量%含有する混合物がより好ましい。また、rが1〜10のエポキシ(メタ)アクリレートを20〜80質量%含有する混合物が好ましく、25〜80質量%含有する混合物がより好ましい。更に、rが1〜8のエポキシ(メタ)アクリレートを15〜70質量%含有する混合物が好ましく、15〜70質量%含有する混合物がより好ましい。これら混合物を使用することで、本発明の効果を得るための紫外線硬化型組成物の調整が容易となる。本発明においては、上記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを使用することで、光反射層の劣化が起こりにくい光透過層が得られる紫外線硬化型組成物となる。更に、光反射層の劣化が起こりにくい光透過層となることに加え、柔軟性に優れる光透過層となり、その結果、反りが少ない光ディスクが得られる紫外線硬化型組成物となる。
さらに、下式(7)にて表される変性エポキシアクリレートも好ましく使用できる。
Figure 0004821936
[式(7)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Aは式(8)
Figure 0004821936
(式(8)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、nは0〜8の整数を表す。)
で表される基であり、Bは、式(9)
Figure 0004821936
(式(9)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基で表される基である。)
で表される基であり、Dは、式(10)
Figure 0004821936
(式(10)中、L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)
又は、式(11)
Figure 0004821936
(式(11)中、L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)で表される基である。)
上式(7)にて表される変性エポキシアクリレートは、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a1)とジカルボン酸無水物(a2)とエポキシ樹脂(a3)とを反応させて得られる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a1)としてはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのラクトン付加物が好ましい。ラクトン付加物はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにラクトンを開環付加して得られる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのラクトン付加物を調整する際に用いるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ラクトンとしては、例えばβ−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのラクトン付加物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレートのラクトン付加物が好ましく、中でも2−ヒドロキシエチルアクリレート1モルに対しラクトンを平均1モルもしくは2モル付加したものが好ましい。更に、2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン付加物が好ましく、硬化塗膜の性能の観点から2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン1モルもしくは2モル付加物が好ましい。
なお、ε−カプロラクトン1モル付加2−ヒドロキシエチルアクリレート、ε−カプロラクトン2モル付加2−ヒドロキシエチルアクリレート、ε−カプロラクトン3モル付加2−ヒドロキシエチルアクリレート等が市販品として入手可能である。
ジカルボン酸無水物(a2)としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。中でも無水フタル酸が好ましい。
エポキシ樹脂(a3)としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂の芳香環を水素添加したもの等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂(a3)のエポキシ当量としては、塗布性に優れることから150〜1000が好ましく、150〜700がより好ましい。前記エポキシ樹脂の中でもビスフェノール型エポキシ樹脂が硬度と伸度とのバランスの優れた硬化塗膜を形成できるため好ましい。
他のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させることで得られたエポキシアクリレートを用いることができる。グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加ジグリシジルエーテル、ビスフェノールFあるいはそのアルキレンオキサイド付加ジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加ジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFあるいはそのアルキレンオキサイド付加ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができ、これらのエポキシ(メタ)アクリレート等の活性エネルギー線硬化性オリゴマーの1種もしくは2種以上を用いる事が出来る。
また、式(12)〜(13)
Figure 0004821936
Figure 0004821936
(式(12)〜(13)中、X〜Xは、それぞれ独立して−SO−、−CH−、−CH(CH)−または−C(CH−を表し、R11〜R14はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表される構造単位の少なくとも一種と、
式(14)〜(15)
Figure 0004821936
(式(14)中、Xは、−SO−、−CH−、−CH(CH)−または−C(CH−を表し、R15〜R16はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
Figure 0004821936
(式(15)中、Xは、−SO−、−CH−、−CH(CH)−または−C(CH−を表し、R17〜R18はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表される構造単位とからなり、
前記式(12)で表される構造単位中のYが、式(12)〜(13)で表される他の構造単位のZ〜Zのいずれか又は式(14)中のZに結合し、
前記式(13)で表される構造単位中のY〜Yが、それぞれ水素原子、あるいは、式(12)〜(13)で表される他の構造単位のZ〜Zのいずれか又は式(14)中のZに結合し、
前記式(12)〜(13)で表される構造単位中のZ〜Zが、それぞれ式(12)〜(13)で表される他の構造単位中のY〜Yのいずれか又は式(15)中のYと結合した分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)を使用することも好ましい。
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)のなかでも、X〜XがC(CHであり、R11〜R18が水素原子のものが、安価に製造できると共に反応制御が容易となるため好ましい。
また、上記分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)は、式(16)
Figure 0004821936
(式(16)中、Xは−SO−、−CH−、−CH(CH)−または−C(CH−を表し、R19〜R20はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表されるエポキシ(メタ)アクリレート(E2)とのエポキシ(メタ)アクリレート混合物として使用されても良い。通常、分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)の製造時に、式(16)で表されるエポキシ(メタ)アクリレート(E2)が生成するため、両者の混合物を使用することが製造工程上有利である。
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)のなかでも、式(17)
Figure 0004821936
(式(17)中、X〜Xは、それぞれ独立して−SO−、−CH−、−CH(CH)−または−C(CH−を表し、R21〜R26はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、tは0〜20である。)
で表される分岐エポキシ(メタ)アクリレートを有することが反応制御が容易となるため好ましい。なかでも、X〜Xが−C(CH−であり、R11〜R16が水素原子のものが、安価に製造できると共に反応制御が容易となるため特に好ましい。
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)は多くの分岐構造を分子骨格中に有している事で、紫外線硬化後の塗膜構造が高架橋密度に形成される事が特徴であり、特に分子中にフェニル骨格を有することで、フェニル骨格に起因する硬い分子骨格を有するため、アクリロイル基の含有量を低く設計して紫外線硬化による架橋反応を少なくしても、塗膜硬度を硬く設計する事が可能となる。すなわち、紫外線硬化時に生じる硬化収縮による硬化膜内の歪みを緩和することができ、その結果、高い弾性率を有し、塗膜の膜厚を厚く設計しても反りが少ない光ディスク用塗料を実現できる。光ディスクの中でも特に厚い光透過層が必要とされるブルーレーザーにより信号の記録再生を行う光ディスク用途に最適である。
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)を合成した場合、通常、上記式(12)や(13)で表される構造単位の繰り返し数nが1〜100の範囲にある分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)と、上記式(16)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの混合物として得られ、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等で分析すると、nが種々の値を示す化合物の分布が観察できる。従って、本発明の紫外線硬化型組成物を調整する際には、当該混合物を使用することが簡便である。当該混合物を使用する場合には、n=1〜100の分岐エポキシ(メタ)アクリレートを30質量%以上含有する混合物を使用することが好ましく、35質量%以上含有する混合物がより好ましい。
本発明においては、上記の分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)と上記式(16)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した結果より確認される分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)の重量平均分子量(Mw)が、1000〜10000のものを使用することが好ましく、1500〜8000であることが好ましく、2000〜6000であることがさらに好ましい。分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)の分子量を上記の範囲とすることにより、粘度が必要以上に高くなる事が避けられ、本発明の紫外線硬化型組成物中に含有される必須成分である分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)の含有量を高くする事が出来る。また、混合物中の分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)とエポキシ(メタ)アクリレート(E2)との比が、上記GPCで測定したクロマトグラムによる面積比で、分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)/エポキシ(メタ)アクリレート(E2)=10/1〜1/2であることが好ましく、5/1〜1/1であることがより好ましく、3/1〜3/2が更に好ましい。
なお、GPCによる重量平均分子量は、例えば、東ソー(株)社製 HLC−8220を用い、カラムはSuper HZM―M4本を使用し、溶媒はTHFを用い、1.0ml/minの流量でカラム温度が40℃、検出器温度が30℃、分子量は標準ポリスチレン換算で測定を行うことで特定される。
分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)を使用する場合には、分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)を紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物全量中の10〜80質量%含有することが好ましく、20〜70質量%含有することがより好ましい。

本発明においては、アクリレートオリゴマーとして、ウレタン(メタ)アクリレートを使用してもよい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリエーテル骨格のウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル骨格のウレタン(メタ)アクリレート、ポリカーボネート骨格のウレタン(メタ)アクリレートなどのポリウレタン(メタ)アクリレート等を例示できる。
なかでも、分子内に3個以上のヒドロキシル基を有する化合物と、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレート(U1)を使用することが好ましい。当該ウレタン(メタ)アクリレート(U1)の使用により、湿熱環境変化時に反りの少ない柔軟性を硬化膜に付与できる。また、ウレタン(メタ)アクリレートの有するウレタン結合により、凝集性が向上し、凝集破壊が生じにくくなるため、得られる硬化物は好適な密着性を有する。
3個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ポリグリセリン、及びこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加物、ε−カプロラクトン等のラクトン付加物があげられる。
分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどのポリイソシアネート類が挙げられる。なかでも、分子内に2個のイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物を好ましく使用でき、特にイソホロンジイソシアネートは、色相の悪化が無く、かつ光線透過性も低下することがないため特に好ましい。
ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等があり、さらにこれらの(メタ)アクリレートと2個以上のヒドロキシル基を有する化合物とを反応させて得られる化合物でも良い。あるいは2個以上のヒドロキシキル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる化合物でも良く、例えばグリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコール化合物のモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート(U1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)としては、1000〜20000であることが好ましく、1500〜15000であることがより好ましい。これにより、本発明の紫外線硬化型組成物を使用した光ディスクの耐久性及び耐光性がより優れたものとなる。なお、GPCは東ソー(株)社製 HLC−8020を用い、カラムはGMHxl−GMHxl−G200Hxl−G1000Hxlwを使用するものとし、溶媒はTHFを用い、1.0ml/minの流量でカラム温度が40℃、検出器温度が30℃、分子量は標準ポリスチレン換算で測定を行うものとする。
上記ウレタン(メタ)アクリレート(U1)を使用する場合には、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の40質量%以下で使用することが好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート(U1)の含有量を当該範囲とすることで硬化膜に適度な柔軟性を付与することが可能となり、特に湿熱環境変化時における反りの少ない硬化膜を実現できる。
〔(メタ)アクリレートモノマー〕
(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に制限されず、一分子中に一の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、単官能(メタ)アクリレートと称する)や、一分子中に二個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、二官能の(メタ)アクリレートと称する。)、更には一分子中に三以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、多官能の(メタ)アクリレートモノマーと称する。)を使用でき、これらを適宜配合することで、所望の粘度、硬化後の弾性率を有する組成物を得ることができる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、等の脂肪族(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート、などを使用できる。
中でも、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートを用いた場合、膜厚変化量が少なく、反り変化量も少なくなるため、好ましい。
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートとしては、脂環式の二官能(メタ)アクリレートとして、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等を使用できる。
なかでもトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が好ましく、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、硬化後の弾性率を高く調整したい場合に、三官能以上の(メタ)アクリレートを使用してもよく、例えば、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、等を使用できる。
また、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエーテルモノマー、リン酸基含有(メタ)アクリレート等の紫外線硬化性化合物も必要に応じて使用できる。
光透過層に使用する紫外線硬化型組成物は、紫外線照射後の硬化膜の弾性率と動的粘弾性測定法による損失弾性率が上記範囲になるようにその組成物を調製すればよく、当該弾性率と動的粘弾性測定法による損失弾性率である硬化膜により、反りが少なく、且つ長時間にわたり荷重をかけた後に変形が回復し易い光透過層を実現できる。反りが少なく、外部からの長時間にわたる荷重によっても変形が回復し易い光透過層により、長期信頼性の高い光ディスクを得ることができる。
光透過層に使用する紫外線硬化型組成物として、紫外線照射後の硬化膜の弾性率と動的粘弾性測定法による損失弾性率が特定の範囲とするには、低弾性率であり、且つ、塑性変形を抑える組成物設計が有効である。このような組成物を得るためには、オリゴマーとしては、例えば、剛直なビスフェノール型のエポキシ構造と、柔軟なポリエステル構造とを有することにより、得られる硬化膜の弾性率を低く抑えることができ、硬化時に生じた硬化膜内の歪みを緩和し、反りを抑えることができる。また、銀又は銀合金反射膜の光ディスクにおいて、該組成物を光透過層として使用した場合に、優れた耐久性や耐光性を得ることができる。また、モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレートの含有量を抑え、二官能(メタ)アクリレートの含有量を多くすると、塑性変形が少なくなり、好ましい。
特に好ましい組成としては、本発明における紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の単官能(メタ)アクリレートの含有量を30質量%以下とすることで塑性変形を生じ難くできる。
また、(メタ)アクリレートモノマーとして、二官能(メタ)アクリレートを中心に使用することが好ましく、二官能(メタ)アクリレートの含有量を紫外線硬化性化合物中の40〜95質量%とすることが好ましく、40〜80質量%とすることがより好ましい。
二官能(メタ)アクリレートを主たる構成成分として組成物を設計する場合には、当該二官能(メタ)アクリレートとして、芳香環や脂環式骨格を有する二官能(メタ)アクリレートを、紫外線硬化性化合物中の40質量%以上使用することが好ましい。
芳香環や脂環式骨格を有する二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートやプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールA構造を有する二官能(メタ)アクリレートが好ましい。
なかでも、芳香環を有する二官能(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、ビスフェノールA構造を有する二官能(メタ)アクリレートを好ましく使用でき、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート又はプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
二官能(メタ)アクリレートを主たる構成成分とする場合には、当該二官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量が200〜1200、好ましくは300〜900の二官能(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。当該分子量範囲の二官能(メタ)アクリレートを使用することで、硬化膜の反りを低減しやすくなる。
なお、(メタ)アクリレートモノマーとして、三官能以上の(メタ)アクリレートを使用する場合には、その含有量は、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが反りを低減するためにより好ましい。
また、本発明における紫外線硬化型組成物に含まれるアクリロイル基濃度は、4.00mmol/g以下であることが好ましく、2.9〜3.4mmol/gの範囲内であることが好ましく、2.9〜3.2mmol/gの範囲内であると硬化膜の反りを低減しやすくなるので、特に好ましい。
また、本発明においては、UV照射時の硬化性が良好となり、好適な硬化膜を得やすいことから、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーとして、アクリレートオリゴマー及びアクリレートモノマーを使用することが好ましい。メタクリレートオリゴマー及びメタクリレートモノマーを使用する場合には、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中のメタクリレート成分の含有量が20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが、UV照射時の硬化性が良好となるため、特に好ましい。
[開始剤、添加剤]
光透過層に使用する光ディスク用紫外線硬化型組成物中には、上記(メタ)アクリレートオリゴマーや(メタ)アクリレートモノマー以外に、公知の光重合開始剤、及び熱重合開始剤等を用いる事が出来る。
使用できる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、等の水素引き抜き型の光重合開始剤等がある。
光透過層に使用する紫外線硬化型組成物には、必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、レベリング剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤を使用することもできる。また、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用でき、更に、前記の光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
光透過層に使用する紫外線硬化型組成物は、上記紫外線硬化性化合物を調整し、粘度を500〜5000mPa・s、好ましくは1000〜3000mPa・s、より好ましくは1500〜2500mPa・sとすることで、厚膜の光透過層を好適に形成できる。
本発明の紫外線硬化型組成物は、その硬化膜のガラス転移温度が50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。当該温度範囲とすることで、荷重試験前後の信号エラーの回復が良好となる。
[光ディスクの構成]
本発明の光ディスクには、再生専用のディスクと、記録・再生可能なディスクがある。再生専用のディスクは、1枚の円形樹脂基板を射出成形する際に、情報記録層であるピットを設け、次いで該情報記録層上に光反射層を形成し、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。また、記録・再生可能なディスクは、1枚の円形樹脂基板上に光反射層を形成し、次いで相変化膜、又は光磁気記録膜等の情報記録層を設け、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。
光反射層上に塗布した紫外線硬化型組成物を紫外線照射することにより硬化させる場合、例えばメタルハライドランプ、高圧水銀灯などを用いた連続光照射方式で行うこともできるし、USP5904795記載の閃光照射方式で行うこともできる。効率よく硬化出来る点で閃光照射方式がより好ましい。
紫外線を照射する場合、積算光量は0.05〜1J/cmとなるようにコントロールするのが好ましい。積算光量は0.05〜0.8J/cmであることがより好ましく、0.05〜0.6J/cmであることが特に好ましい。本発明の光ディスクに使用する紫外線硬化型組成物は、積算光量が少量であっても、十分に硬化し、光ディスク端面や表面のタックが発生せず、更に光ディスクの反りや歪みが発生しない。
また、書込可能な光ディスクの場合には、光反射層と光透過層との間に情報記録層が設けられる。情報記録層としては、情報の記録・再生が可能であればよく、相変化型記録層、光磁気記録層、あるいは有機色素型記録層のいずれであってもよい。
情報記録層が相変化型記録層である場合には、当該情報記録層は通常、誘電体層と相変化膜から構成される。誘電体層は、相変化層に発生する熱を緩衝する機能、ディスクの反射率を調整する機能を求められ、ZnSとSiOの混合組成が用いられる。相変化膜は、膜の相変化により非晶状態と結晶状態で反射率差を生じるものであり、Ge−Sb−Te系、Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系合金を用いることができる。
本願発明の光ディスクは、情報記録部位が二つ以上形成されていても良い。例えば、再生専用光ディスクの場合には、ピットを有する基板上に、第一の光反射層、第一の光透過層が積層され、当該第一の光透過層上又は他の層を積層し、当該層上に第二の光反射層、第二の光透過層を形成してもよい。この場合には第一の光透過層やこれに積層する他の層上にピットが形成される。また、記録・再生可能な光ディスクの場合は、基板上に、情報記録層、光反射層及び光透過層が積層された構成を有するものであるが、当該光透過層上に更に、第二の光反射層、第二の情報記録層、第二の光透過層を形成して二層の情報記録層を有する構成、あるいは、同様に層を積層して三層以上の情報記録層を有する構成としてもよい。複数層を積層する場合には、各層の層厚さの和が上記の厚さになるように適宜調整すればよい。
また、本発明の光ディスクにおいては、光透過層が最表面の層であってもよいが、更にその表層にハードコート層を設けてもよい。ハードコート層は、光ディスクの反りの観点から、膜厚が薄いことが好ましく、5μm以下が好ましい。本発明の光ディスクにおいては、柔軟な光透過層にハードコート層を設けることで、擦傷等による表面の傷付きによる信号エラーの増加と、長時間の外圧等による光ディスクの塑性変形による信号エラーの増加とを好適に抑制できるため好ましい。
本発明の光ディスクは、光透過層の面に荷重をかけたのちの信号エラーSERが10−2以下であることが、信号の再生不良が少ないので、好ましい。
[実施態様]
以下、本発明の光ディスクの具体例として、単層型光ディスク及び二層型光ディスクの具体的構成の一例を以下に示す。
本発明の光ディスクのうち、単層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図1に示したように、基板1上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う構成が例示できる。図中の凹凸は、記録トラック(グルーブ)を模式的に表したものである。光透過層3は、本発明の紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、その厚さは100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
図2は図1に示した構成の最表層にハードコート層4を設けた構成である。ハードコート層は、高硬度で、耐摩耗性に優れる層であることが好ましい。ハードコート層の厚さは、1〜5μmであることが好ましく、3〜5μmであることがより好ましい
多層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図3に示したように、基板1上に、光反射層5と、光透過層6とが積層され、さらにその上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層3側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う二層型光ディスクの構成が例示できる。光透過層3及び光透過層6は、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、少なくともいずれかの層が本発明の紫外線硬化型組成物からなる層である。層の厚さとしては、光透過層3の厚さと光透過層6の厚さの和が100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
当該構成の二層型光ディスクにおいては、記録トラック(グルーブ)が、光透過層6の表面にも形成されるため、光透過層6は、接着性に優れる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層の上に、記録トラックを好適に形成できる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層を積層した複層で形成されていてもよい。また当該構成においても最表層にハードコート層が設けられていることが好ましい。
図1に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形することによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜する。この上に本発明の紫外線硬化型組成物を塗布し、ディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させ、光透過層3を形成し、図1の光ディスクを作製する。図2の光ディスクの場合には、この上に更にスピンコート等によりハードコート層4を形成する。
図3に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形にすることによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に、基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層6を成膜する。
この上に、本発明の紫外線硬化型組成物又は任意の紫外線硬化型組成物の光透過層5を形成するが、その際に型を用いて表面に記録トラック(グルーブ)を転写する。記録トラック(グルーブ)を転写する工程は次の通りである。基板1に形成された光反射層6上に紫外線硬化型組成物を塗布し、その上に記録トラック(グルーブ)を形成するための型と貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させる。その後、型を剥離して、光透過層5の記録トラック(グルーブ)を有する側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜し、この上に、紫外線硬化型組成物を塗付した後、紫外線照射により硬化させ、光透過層3を形成することで、図3の光ディスクを作製できる。また、光反射層に相変化型記録層を用いる場合でも上記と同様の方法により光ディスクを作成することができる。
次に、合成例及び実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例中の「部」は「質量部」を表す。
<合成例1>
温度計、攪拌機および環流冷却器を備えたフラスコに、フェノキシエチルアクリレート65.5gを入れ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/当量;大日本インキ化学工業株式会社製EPICLON850)189gを溶解し、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1gを加えた後、アクリル酸50.7g(0.7mol)を仕込んだ。触媒としてトリフェニルホスフィン0.48gを添加し、攪拌を行いながら2時間で130℃まで昇温した。130℃で6時間保持した後、酸価が0mg/KOHになった事を確認した後、80℃まで降温してアクリル酸22.2g(0.3mol)を仕込んだ。1時間で再び130℃まで昇温してトリフェニルホスフィン0.48gを添加し4時間保持後、分岐エポキシアクリレート(EA1)を含有する淡黄色透明の樹脂状の反応混合物(酸価=0.2mg/KOH、酢酸ブチル希釈ガードナー粘度(反応混合物/酢酸ブチル=80/20)=U−V、エポキシ当量=15,000)を得た。
得られた分岐エポキシ(メタ)アクリレート(EA1)の混合液のGPCによる分子量分布測定を行った(図4)。得られた結果より、分岐エポキシ(メタ)アクリレート(EA1)の数平均分子量(Mn)2507,重量平均分子量(Mw)3786であった。また、分岐エポキシアクリレート(EA−1)と、前述した式(16)で表されるエポキシアクリレートとの面積比は(分岐エポキシアクリレート)/(式(16)で表されるエポキシアクリレート)で表される比で1.63であった。
<合成例2>
合成例1と同様の装置を用い、カプロラクトン変性β−ヒドロキシエチルアクリレート(水酸基価=244mg/KOH,ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFA1−DDM)を230g、無水フタル酸を148g、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1g仕込んだ後、攪拌を行いながら2時間で120℃まで昇温した。120℃で10時間保持し、酸価が148mg/KOHになった事を確認した後、80℃まで降温してビスフェノールA型エポキシ樹脂189g、トリフェニルホスフィン2.85gを添加した。再び120℃まで昇温後、4時間保持してエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(EA−2)を含有する淡黄色透明の樹脂状の反応混合物(酸価=0.7、酢酸ブチル希釈粘度(反応混合物/酢酸ブチル=70/30)=F−G、エポキシ当量=10,200)を得た。GPCによる分子量分布測定結果からエポキシアクリレート樹脂(EA2)の数平均分子量(Mn)は1360、重量平均分子量(Mw)=3840であった。
<合成例3>
精溜塔、水分離器、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を備えた攪拌機付き反応器に、エチレングリコールを91部、アジピン酸を318部加えて攪拌乍ら140℃まで1時間で昇温する。更に3時間で230℃迄昇温、230℃で3時間反応。酸価221KOHmg/gで冷却した。100℃迄冷却したらエピクロン850(大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/当量)を529部、トリフェニルホスフィン0.2部を加えて120℃で4時間反応した。酸価7.5KOHmg/gであった。窒素導入管を空気吹き込みに換えて、アクリル酸(98%)99部、メトキノン0.5部、トリフェニルホスフィン1部、フェノキシエチルアクリレート258部を加えて110℃12時間反応した。酸価1.7KOHmg/gの半固形樹脂状物の変性エポキシアクリレート樹脂(EA−3)を得た。得られた変性エポキシアクリレートのGPC測定分子量は、数平均分子量(Mn)2000,重量平均分子量(Mw)6400,分散度(Mw/Mn)は3.20であった。
下記表1に示した組成(表中の組成の数値は質量部を表す)により配合した各組成物を60℃で3時間加熱、溶解して、実施例1〜11及び比較例1〜4の各実施例及び比較例の紫外線硬化型組成物を調製した。得られた組成物について、下記の評価を行い、得られた結果を表1に示す。
<粘度の測定方法>
紫外線硬化型組成物について、25℃における粘度をB型粘度計((株)東京計器製、BM型)を用いて測定した。
<評価用光ディスクの作製条件>
直径120mm、厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を準備し、(株)コベルコ科研製銀合金ターゲットGBD05(銀を主成分とするビスマスとの合金)を20〜40nmの膜厚でスパッタした後、反対面側に窒化シリコン(SiNx)を5〜10nmの膜厚でスパッタした。得られた基板の銀合金反射膜上に、表1の各組成物をスピンコート方式の塗布実験機にて塗布し、ウシオ電機(株)製クセノンフラッシュ照射装置(型式:FUV−201WJ02)を使用し、仮硬化2ショット、本硬化20ショットの条件で紫外線を照射、硬化させた。更に、硬化膜上にハードコート ダイキュアクリアHC−1(DIC(株)製)を約3μmで塗布、上記照射装置にて10ショットで硬化し、光透過層の膜厚が100±5μmの試験用サンプルディスクを得た。
<弾性率及び塑性変形率の測定方法>
フィッシャースコープHM2000Xyp(フィッシャーインストルメンツ社)を用いて、上記方法にて得た各サンプルディスクの光透過層の面を、稜間角136°のビッカース圧子を図5の荷重プログラムにて押し込み、損失弾性率EIT、塑性変形率CIT1を測定した。
<動的粘弾性スペクトルの測定方法>
光透過層をダンベルカッターでJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜き試験片とした。得られた試験片を用いて、レオメトリックス社製の動的粘弾性測定装置RSA−II(周波数3.5Hz、昇温速度3℃/分)により測定し、60℃での損失弾性率、損失正接を得た。また、動的粘弾性スペクトルの損失正接ピーク温度をガラス転移温度とした。
<反り評価>
Dr.Schwab Inspection Technology社製 argus bluを用い反り角の測定を行った。半径位置が55mmから56mmでのRadial Tiltの平均値から反り角を求めた。各サンプルディスクについて環境試験器「PR−2PK」(エスペック(株)製)を使用し、80℃85%RH240時間の高温高湿環境下での暴露(耐久試験)前後の反り角を測定し、試験前後の反り変化量をディスク反りとして検出した。なお、耐久試験前の反り角は各組成物を硬化後、25℃45%RH環境下1日放置後の測定値であり、耐久試験後の反り角は80℃85%RHの環境下240時間放置後、サンプルディスクを取り出し25℃45%RH環境下1日放置後の測定値を使用した。ここで、反り角の値が正(+)の場合は組成物を塗布した側とは反対側に、負(−)の場合は塗布した側に反ったことを意味する。
<光ディスクのエラーレート測定>
各サンプルディスクの光透過層の面に、CD保管用不織布シートを載せ、半径35〜45mmの範囲に重り625g(単位面積あたりの荷重24.9g/mm)を載せ、23℃50%RHの条件で96時間荷重を与え続けた。その後、ディスクを取り出し、直ちにエラーレートRandom SERをパルステック工業(株)製「BD MASTER」を用いて測定した。荷重試験直後、1時間後、および、4時間後のRandom SERの平均値を下記基準に基づき評価した。
◎:2×10−4未満
○:2×10−4以上、5×10−3未満
×:5×10−3以上
Figure 0004821936
Figure 0004821936
表1中の記号は以下のとおりである。
EA−1:合成例1に記載のエポキシアクリレート(式(17)において、X〜Xが−C(CH−、R21〜R26が水素原子であるエポキシアクリレート)
EA−2:合成例2に記載のエポキシアクリレート(式(7)において、Aが式(8)、Bが式(9)、Dが式(10)であり、式(8)中のEが−C(CH−、式(9)中のJが式(18)、
Figure 0004821936
式(10)中のLが−(CH−、Lが−(CH−、kが1であるエポキシアクリレート)
EA−3:合成例3に記載のエポキシアクリレート(式(1)において、Aが式(2)、Bが式(3)であり、式(2)中のEが−C(CH−、式(3)中のJが−(CH−、Lが−(CH−であるエポキシアクリレート)
EA−4:ビスフェノールA型エポキシ樹脂のグリシジル基に直接アクリル酸が付加した構造のエポキシアクリレート(DIC(株)製「ユニディックV−5530」)
UA−1:「Photomer6019−20P」 3官能ウレタンアクリレート、20%フェノキシエチルアクリレート希釈物(コグニス社製)
HPNDA:ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(第一工業製薬(株)製)
CL変性HPNDA:カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬(株)製)
BisA−4EO−DA:EO変性(4モル)ビスフェノールAジアクリレート(第一工業製薬(株)製)
BisA−6PO−DA:PO変性(6モル)ビスフェノールAジアクリレート(第一工業製薬(株)製)
BisA−10EO−DA:EO変性(10モル)ビスフェノールAジアクリレート(第一工業製薬(株)製)
PEA:フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学(株)製)
CBA:エチルカルビトールアクリレート(大阪有機(株)製)
PM−2:エチレンオキシド変性リン酸メタクリレート(日本化薬(株)製)
GA:没食子酸(大日本住友製薬(株)製)
Irg184D:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
Irg127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン
表1に示すように、本発明の組成物を使用した実施例1〜11の光ディスクは、荷重試験1時間後、および、4時間後のエラーレートが低く、良好な信号特性を示した。一方、比較例1〜4の光ディスクは、荷重試験1時間後、および、4時間後のエラーレートが大きく、信号再生に問題のあるものであった。
本発明の単層型光ディスクの一例を示す図である。 本発明の単層型光ディスクの一例を示す図である。 本発明の二層型光ディスクの一例を示す図である。 合成例1のエポキシアクリレートのGPCによる分子量分布測定である。 実施例での弾性率及び塑性変形率の測定における荷重プログラム図である。
1 基板
2 光反射層
3 紫外線硬化型組成物の光透過層
4 ハードコート層
5 光反射層
6 紫外線硬化型組成物の光透過層

Claims (5)

  1. 基板上に、少なくとも光反射層と、紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる光透過層とが積層され、前記光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクであって、
    前記紫外線硬化型組成物の硬化膜表面に、稜間角136°のビッカース圧子を荷重100mNで押し込んで測定される弾性率(25℃)が1500MPa以下であり、
    前記硬化膜の周波数3.5Hzにて測定される動的粘弾性スペクトルにおける60℃の損失弾性率(E’’)が10MPa以下であり、
    前記硬化膜の周波数3.5Hzにて測定される動的粘弾性スペクトルにおける60℃の損失正接(tanδ)が0.25以下であり、
    前記硬化膜のガラス転移温度が50℃以下であることを特徴とする光ディスク。
  2. 前記光透過層の厚さが70〜110μmである請求項1に記載の光ディスク。
  3. 前記紫外線硬化型組成物が、(メタ)アクリレートオリゴマーとして、式(1)
    Figure 0004821936
    [式(1)中、Rは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Aは式(2)
    Figure 0004821936
    (式(2)中、Eは、それぞれ独立してSO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−で表される二価の基であり、nは0〜8の整数を表す。)
    で表される基であり、Bは式(3)〜(5)
    Figure 0004821936
    Figure 0004821936
    Figure 0004821936
    (式(3)〜(5)中、J〜Jは2価の芳香族炭化水素基又は炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lは炭素原子数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基又は−(RO)−R−(Rは炭素原子数2〜8のアルキレン基を表し、qは1〜10の整数である。)で表される二価の基であり、Lは数平均分子量が250〜10000のアルキルジオール残基又はポリエーテルジオール残基を表し、L及びLは各々独立して炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、m、m、mは各々独立して1〜20の整数を表す。)
    からなる群から選ばれる一種以上の基である。]
    で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを含有する請求項1又は2に記載の光ディスク。
  4. 前記紫外線硬化型組成物が、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの少なくとも一種を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の光ディスク。
  5. 記録トラックを有する基板上に、光反射層、光透過層、及びハードコート層が順に直接積層された請求項1〜4のいずれかに記載の光ディスク。
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