JP2007045972A - スチレン系樹脂発泡体の製造方法およびスチレン系樹脂発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】発泡剤の少なくとも1種としてシクロペンタンを用い、押出発泡成形して発泡体を得る際に、押出発泡成形性に優れ、低密度で断熱性に優れたスチレン系樹脂発泡体の製造方法およびスチレン系樹脂発泡体を提供すること。
【解決手段】加熱溶融させたスチレン系樹脂に、発泡剤を含有させた組成物を押出発泡させてスチレン系樹脂発泡体を製造する方法であって、発泡剤の少なくとも1種がシクロペンタンであって、前記スチレン系樹脂の使用量が前記組成物100重量部に対して4.5〜10重量部であり、さらに、前記スチレン系樹脂100重量部に含水物質を0.1〜15重量部添加することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】加熱溶融させたスチレン系樹脂に、発泡剤を含有させた組成物を押出発泡させてスチレン系樹脂発泡体を製造する方法であって、発泡剤の少なくとも1種がシクロペンタンであって、前記スチレン系樹脂の使用量が前記組成物100重量部に対して4.5〜10重量部であり、さらに、前記スチレン系樹脂100重量部に含水物質を0.1〜15重量部添加することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、発泡剤の少なくとも1種がシクロペンタンであり、含水物質を用いることで押出発泡成形性に優れ、低密度で断熱性に優れると共に、環境適合性に優れたスチレン系樹脂発泡体の製造方法およびスチレン系樹脂発泡体に関する。
スチレン系樹脂を押出機などにより加熱溶融し、ついで発泡剤を添加し、冷却させ、これを低圧域に押し出すことにより発泡体を連続的に製造する方法は既に知られている。
発泡剤には、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、二酸化炭素などを用いることも知られている。ハロゲン化炭化水素の中でも、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は、オゾン層保護および地球温暖化などの観点から、可能ならば代替していくことが望まれており、ハイドロフルオロカーボン(HFC)への転換が検討されている。しかしながら、HFCは温室効果ガスであり、地球温暖化への影響が懸念されている。
このようななか、ハロゲンを含有しない発泡剤を用いたスチレン系樹脂発泡体およびその製造方法が種々提案され、特に、炭化水素を用いる技術が注目されている。このような炭化水素としては、炭素数3〜5の飽和炭化水素が主に用いられている。
例えば、スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を該スチレン系樹脂に注入し、流動ゲルとなし、ダイを通して低圧の領域に押出発泡することからなるスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、発泡剤が主として、発泡剤全量に対して40重量%未満、5重量%以上の、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルよりなる群から選ばれた1種または2種以上のエーテルと、発泡剤全量に対して60重量%を超え、95重量%以下の炭素数3〜5の飽和炭化水素よりなる群から選ばれた1種または2種以上の飽和炭化水素を含むことを特徴とするスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法が提案されている(特許文献1)。
断熱性の高い(すなわち熱伝導率のより低い)スチレン系樹脂発泡体を得るためには、発泡剤として、気体の熱伝導率および沸点が低く、かつ、スチレン系樹脂に対して透過性の低い(すなわちスチレン系樹脂発泡体中から散逸しにくい)発泡剤を選択することが重要であり、炭化水素の中では、特にイソブタンが注目されている(特許文献1)。また、押出発泡成形時に、より安定して低密度の発泡体を得るためには、発泡剤として、沸点が低く、スチレン系樹脂に対する溶解度が高く、かつ、透過性の高い(すなわちスチレン系樹脂発泡体中から散逸しやすい)発泡剤が併用して用いられる。ハロゲンを含有しないこのような発泡剤としてジメチルエーテルなどが挙げられる(特許文献1)。
また、発泡剤としてシクロペンタンを用い、かつ、JIS A9511に規定された燃焼性基準を満足するために、使用される可燃性ガス発泡剤の合計量が樹脂100重量部に対して4.5重量部未満としたスチレン系樹脂押出発泡体が提案されている(特許文献2)。
前記技術(特許文献2)で用いられるシクロペンタンは、スチレン系樹脂に対する溶解度が高いことから、上述のジメチルエーテル(特許文献1)の代替物質として用いられているが、シクロペンタンの熱伝導率は、イソブタンよりも低く、このため、より断熱性の高い(熱伝導率の低い)発泡体を得るのにも有利と考えられる。
しかしながら、シクロペンタンの沸点は49.3℃と高く、さらにはスチレン系樹脂に対する溶解性が高いため、シクロペンタン単独あるいは発泡剤全量に対するシクロペンタンの量によっては、押出発泡成形直後の発泡体は、非常に柔らかく、また、場合によってはシクロペンタンが気泡内で液化し、このため発泡体が著しく収縮してしまい、低密度で、寸法が安定した良好な発泡体は得られない。
前記技術(特許文献2)では、シクロペンタンとイソブタンを組合せ、これに二酸化炭素を併用する技術が提案されており、さらに水を併用する例示も挙げられている。しかしながら、二酸化炭素や水はスチレン系樹脂に対しては溶解性が低く、このため、押出発泡成形性が不安定になると共に、発泡体にボイドや気孔などが生じ、良好な発泡体が得難いという問題があり、これらの化合物を用い、良好な発泡体を得るのは容易ではない。
水を用いる場合に、安定的に押出発泡成形できる技術として、例えば、表面に水酸基を有する鉱物質微粉末を用いる方法(特許文献3)、吸水性高分子化合物を用いる方法(特許文献4)、ベントナイトを用いる方法(特許文献5)、吸収性クレイを用いる方法(特許文献6)などが提案されている。
このように水を用いた場合には、併用する添加剤の種類、押出発泡成形条件などにより、発泡体中に、気泡径が小さい気泡(小気泡)と、これよりも気泡径の大きな気泡(大気泡)が海島状に混在する特徴的な気泡構造を有する発泡体が得られ、得られる発泡体の断熱性能を向上させ、なおかつ、大気泡の生成により得られる発泡体が低密度で容易に厚さを出すことが可能となり、成形性も良好となることが知られている(特許文献3〜6)。
一方、水を直接添加するのではなく、金属塩水和物など加熱によって水を放出する化合物を用いる方法も提案されている(特許文献7、8)。さらに、蒸発型発泡剤と結晶水を有する塩とを組み合わせることにより、前記のような小気泡と大気泡が海島状に混在する特徴的な気泡構造を有する発泡体が得られることも提案されている(特許文献9)。
WO1999/33625号公報
特開2005−8668号公報
特開平3−109445号公報
特開平3−273034号公報
特開2001−200087号公報
特表2005−514506号公報
特開平6−345889号公報
特開2002−69224号公報
特開平10−296822号公報
しかしながら、発泡剤にシクロペンタンを用いた場合には、シクロペンタン単独あるいは発泡剤全量に対するシクロペンタンの量によっては、前記のような小気泡と大気泡が海島状に混在する特徴的な気泡構造が形成され難くなり、低密度でかつ断熱性の高い発泡体が得られず、場合によっては、気泡径がほぼ一様にそろった、密度の高い発泡体しか得られないという問題があることが判った。これは、シクロペンタンはスチレン系樹脂に対する溶解性が高く、可塑化効果が高いためであると推察しているが明らかではない。
このような状況の下、本発明が解決しようとする課題は、オゾン破壊、地球温暖化といった問題のない炭化水素類の中で、シクロペンタンをもちいて、押出発泡成形性に優れ、安定して低密度で断熱性の高いスチレン系樹脂発泡体を得るための製造方法およびこれによって得られたスチレン系樹脂発泡体を提供することである。
本発明者らは、シクロペンタンを用いる技術について、前記課題の解決のために鋭意研究を重ねた結果、発泡剤の少なくとも1種としてシクロペンタンを用い、さらに好ましくは、シクロペンタンとプロパン、ノルマルブタンあるいはイソブタン、さらには必要に応じてジメチルエーテルなどのエーテルとを特定範囲の比率で特定量用い、これと共に含水物質を併用することで、押出発泡成形直後の収縮が抑制され、より低密度で断熱性に優れた発泡体が得られることが見出された。さらには、ハロゲン系難燃剤と組み合わせることにより、シクロペンタンなどの可燃性物質を用いた場合でも優れた難燃性が発現され、特に、燃焼時の着火源により発泡体から揮散する可燃性物質が着火、燃焼するのを抑制できることも見出された。
これらによって、本発明を完成するに至った。
(1)加熱溶融させたスチレン系樹脂に、発泡剤を含有させた組成物を押出発泡させてスチレン系樹脂発泡体を製造する方法であって、発泡剤の少なくとも1種がシクロペンタンであり、前記発泡剤の使用量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して4.5〜10重量部で、さらに、前記スチレン系樹脂100重量部に対して含水物質を0.1〜15重量部添加することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
(2)発泡剤の全量を100モル%としたときに、(A)シクロペンタン5〜70モル%、(B)プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる化合物95〜30モル%、および、(C)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルから選ばれるエーテル0〜80モル%であることを特徴とする(1)記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
(3)水をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部使用することを特徴とする(1)または(2)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
(4) 吸水性物質をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部使用することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
(4) 吸水性物質をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部使用することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
(5)発泡剤(B)がプロパンおよび/またはイソブタンから成ることを特徴とする(2)〜(4)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
(6)発泡剤(C)がジメチルエーテルであることを特徴とする(2)〜(5)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
(7)含水物質が230℃以下で水の一部または全部を放出する化合物であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
(8)含水物質が硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩からなる群より選ばれる1種以上の金属塩水和物であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
(9)スチレン系樹脂および発泡剤を含有する組成物を押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体であって、発泡体100重量部対し、シクロペンタンを0.3〜4重量部、含水物質および/または含水物質から水の一部または全部が脱離した化合物を0.1〜15重量部含有した、厚みが10〜150mm、密度が20〜60kg/m3であり、かつ、発泡体を形成する気泡の厚み方向における平均気泡径が0.03〜0.40mmであることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
(10)スチレン系樹脂および発泡剤を含有する組成物を押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体であって、シクロペンタンおよびイソブタンの全量を100モル%としたときに、シクロペンタン5〜70モル%、イソブタン95〜30モル%の比率で発泡体100重量部対し、0.5〜8重量部、含水物質および/または含水物質から水の一部または全部が脱離した化合物を0.1〜15重量部含有した、厚みが10〜150mm、密度が20〜60kg/m3であり、かつ、発泡体を形成する気泡の厚み方向における平均気泡径が0.03〜0.40mmであることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
(11)発泡体100重量部対し、吸水性物質を0.1〜10重量部含有することを特徴とする(9)または(10)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
(12)発泡剤の少なくとも1種がシクロペンタンであって、発泡剤の含有量が発泡体100重量部に対して4.5〜10重量部であることを特徴とする(9)〜(11)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
(13)発泡体を形成する気泡の厚み方向における平均気泡径が0.05〜0.20mmであることを特徴とする(9)〜(12)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
(14)発泡体を形成する気泡が、主として気泡径0.25mm以下の気泡と、その1.2倍以上の気泡径の気泡より構成される(9)〜(13)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
(15)発泡体を形成する気泡のうち、気泡径0.25mm以下の気泡が発泡体断面積あたり5〜95%の小気泡面積率を有する(14)記載のスチレン系樹脂発泡体。
本発明によれば、発泡剤の少なくとも1種として、シクロペンタンを用い、さらに好ましくはシクロペンタンと、プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる1種以上の化合物からなる、環境適合性に優れた発泡剤および含水物質を用い、押出発泡成形性が良好で、より低密度で断熱性に優れたスチレン系樹脂発泡体の製造方法、および、これによって得られるスチレン系樹脂発泡体が提供される。本発明のスチレン系樹脂発泡体は、その優れた断熱性の点から、種々の用途、とくに建築用断熱材、保冷庫・保冷車用断熱材の用途に有用である。
本発明で用いられるスチレン系樹脂としては、とくに限定はなく、たとえばスチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが具体例としてあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を混合して使用してもよい。
スチレンと共重合可能な単量体としては、たとえばメチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物またはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物などがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を混合して使用してもよい。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、メルトフローレイト(以下、MFRという)が0.1〜50g/10分の範囲のものを用いることが、以下の点から好ましい。すなわち、押出発泡成形性に優れ、成形加工時の吐出量、得られたスチレン系樹脂発泡体の厚みや幅、密度または独立気泡率を所望の値に調整しやすく、得られたスチレン系樹脂発泡体の発泡性(発泡体の厚みや幅、密度、独立気泡率、表面性などを所望の状況に調整しやすいほど、発泡性が良い)、外観などに優れたスチレン系樹脂発泡体が得られると共に、圧縮強度、曲げ強度または曲げたわみ量といった機械的強度や、靱性などの特性のバランスがとれた、スチレン系樹脂発泡体が得られる点から、好ましい。さらに、スチレン系樹脂のMFRは、押出発泡成形性と得られた発泡体の機械的強度、靱性などのバランスの点から、0.3〜30g/10分がさらに好ましく、0.5〜20g/10分が特に好ましい。なお、MFRは、JIS K7210(1999年)のA法、試験条件Hにより測定される。
さらに、本発明で用いられるスチレン系樹脂は、MFR、成形加工時の溶融粘度、溶融張力などを調整する目的で、分岐構造を有するスチレン系樹脂であってもよい。
スチレン系樹脂のうちでは、経済性、押出発泡成形性の面からスチレンホモポリマーが好ましく、より耐熱性が高められるなどの面からスチレン−アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレンが好ましく、耐衝撃性の面からゴム強化ポリスチレンなどが好ましい。
本発明では、発泡剤の少なくとも1種としてシクロペンタンを用い、含水物質を添加する。好ましくは発泡剤として、(A)シクロペンタン、(B)プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる1種以上の化合物、(C)ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルから選ばれる1種以上のエーテルを用い、含水物質を添加する。
さらに、(A)シクロペンタン、(B)プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる1種以上の化合物、および、(C)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルから選ばれる1種以上のエーテルの全量を100モル%としたときに、(A)5〜70モル%、(B)95〜30モル%および(C)0〜80モル%であり、かつ、前記発泡剤の使用量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して4.5〜10重量部とすることがより好ましい。
より断熱性の高い(より熱伝導率が低い)スチレン系樹脂発泡体を得るためには、発泡剤(A)のシクロペンタンは押出発泡成形直後の収縮、気泡内での液化などが起こらない範囲で、より比率が高く、かつ、多く用いる方が好ましい。従って、その使用量は、他の発泡剤、含水物質などの使用量にもよるが、好ましくは10〜70モル%、さらに好ましくは20〜70モル%である。
発泡剤(B)のプロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンの使用量は、他の発泡剤、含水物質などの使用量にもよるが、90〜30モル%であり、さらに好ましくは80〜30モル%である。
発泡剤(B)としてプロパンを用いた場合、発泡体製造時においては、シクロペンタンおよびプロパンの合計使用量が例えば4.5重量部以上とすることで、押出発泡成形性に優れ、安定して低密度で良好な発泡体が得られると共に、その後、比較的短期間の養生期間を経ることで、発泡体中の炭化水素系発泡剤含有量を低減させることが可能であり、これによって、結果的に難燃性の低下が抑制される。ただし、シクロペンタンの沸点が高いために、プロパンが散逸し、気泡内でのシクロペンタンのモル分率が増大すれば、温度によっては、気泡内中で液化し、断熱性が低下する可能性がある。
発泡剤(B)としてイソブタンを用いた場合、シクロペンタンの使用量を低減し、低密度で断熱性の高い発泡体を得ることができる。ただし、イソブタンはスチレン系樹脂に対して透過性が低いため、シクロペンタンおよびイソブタンの使用量によっては難燃性が低下する場合がある。
発泡剤(B)としてはプロパンおよびイソブタンを用いた場合、シクロペンタン、プロパンおよびイソブタンの合計使用量が例えば4.5重量部以上とし、シクロペンタン、プロパンおよびイソブタンの使用量を調整することにより、押出発泡成形性が良好で、低密度で断熱性の高い発泡体が得られ、その後、比較的短期間の養生期間を経ることで、発泡体中の炭化水素系発泡剤含有量を低減させることが可能であり、これによって難燃性の低下が抑制される。
本発明では、必要により発泡剤(C)として、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルから選ばれる1種以上のエーテルを用い、発泡剤(A)、(B)と合わせ、合計使用量が例えば4.5重量部以上とすることで、より押出発泡成形性に優れ、より安定して低密度で、独立気泡率のより高い良好な発泡体が得られると共に、その後、比較的短期間の養生期間を経ることで、発泡体中から散逸するため、難燃性などの特性への影響もみられない。このエーテルの中では、ジメチルエーテルが好ましい。
本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造時に、スチレン系樹脂中に添加または注入される(A)シクロペンタン、(B)プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる1種以上の化合物、さらには、必要に応じて用いられる、(C)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルから選ばれる1種以上のエーテルの合計使用量は、スチレン系樹脂100重量部に対して4.5〜10重量部の範囲で、発泡体の密度の設定値などに応じて適宜設定される。合計使用量で好ましくは4.5〜8重量部、さらに好ましくは4.5〜7重量部である。4.5重量部未満では、押出発泡成形性は低下し、低密度の発泡体が安定して得られにくくなる。10重量部を超えると難燃性の低下が見られる場合がある。
発泡剤(A)のシクロペンタンの使用量はシクロペンタンのスチレン系樹脂への溶解性、気体の熱伝導率が低いといった特性を活かし、押出発泡成形性が良好で、断熱性の高い発泡体が得られ易いことから、0.3〜4重量であることが好ましい。さらに好ましくは0.5〜3.6重量部である。
発泡剤(B)のプロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる1種以上の化合物の使用量はスチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜9.7重量部である。好ましくは1〜9.5重量部である。0.5重量部未満ではシクロペンタンの使用量によっては発泡体製造時に発泡体の収縮が起こり、良好な発泡体が得られない場合がある。9.7重量部を超えると、シクロペンタンの特性を活かし断熱性の高い発泡体が得られ難く、また、シクロペンタンとの合計使用量が10重量部を超えると難燃性の低下が見られる場合がある。
発泡剤(B)としてプロパンを単独で使用する場合は、さらに好ましくは1.5〜9重量部である。
発泡剤(B)としてイソブタンを単独で使用する場合は、さらに好ましくは1〜6重量部、特に好ましくは1.5〜5重量部である。
発泡剤(B)としてプロパンおよびイソブタンを使用する場合は、プロパン0.5〜8重量部、イソブタン0.5〜5重量部であってその合計量が1〜9.5重量部とすることが好ましい。
必要により用いられる発泡剤(C)のジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルから選ばれる1種以上のエーテルの使用量は、好ましくは7重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。
本発明では、(A)シクロペンタン、(B)プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる1種以上の化合物、さらに必要に応じて(C)ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルから選ばれる1種以上のエーテルに加え、含水物質を用いることで、発泡剤(A)〜(C)の合計使用量が少ない場合でも、低密度で断熱性の高い発泡体を得ることができる。
本発明では、含水物質を用い、押出発泡成形時の含水物質から放出される水の作用により、シクロペンタンを用いた場合に起こる収縮などを抑制し、より低密度で、断熱性の高い発泡体を得ることができる。また、含水物質の種類および添加量によっては、発泡体中に、主として気泡径が0.25mm以下の比較的気泡径の小さい気泡(小気泡)と、小気泡径の1.2倍以上の気泡径を有する大きな気泡(大気泡)が海島状に混在する特徴的な気泡構造を有する発泡体が得られる。このような場合、得られる発泡体の断熱性能を向上させつつ、なおかつ、大気泡の生成により得られる発泡体が低密度で容易に厚さを出すことが可能となり、成形性も良好となることから好ましい。さらには、ハロゲン系難燃剤と組み合わせることにより、シクロペンタンなどの可燃性物質を用いた場合でも、難燃性に優れた発泡体が得られる。
本発明でいう含水物質とは本発明のスチレン系樹脂発泡体を製造する際に、化合物中から水の一部または全部を遊離、脱離、放出する物質を言う。含水物質は、用いるスチレン系樹脂の押出発泡成形温度により、水の一部または全部を遊離、脱離、放出する温度が所望の範囲にある化合物を適宜選択できる。
含水物質の具体例としては、硫酸リチウム水和物、硫酸ナトリウム水和物、硫酸カリウム水和物、硫酸ベリリウム水和物、硫酸マグネシウム水和物、硫酸カルシウム水和物、硫酸ストロンチウム水和物、硫酸バリウム水和物、硫酸マグネシウムカリウム水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸アルミニウムカリウム水和物、硫酸亜鉛水和物、硫酸亜鉛アンモニウム水和物、硫酸亜鉛カリウム水和物、硫酸クロム水和物、硫酸クロムカリウム水和物、硫酸コバルト水和物、硫酸コバルトカリウム水和物、硫酸スズ水和物、硫酸スズカリウム水和物、硫酸鉄水和物、硫酸鉄カリウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸銅カリウム水和物、硫酸ニッケル水和物、硫酸ニッケルカリウム水和物、硫酸バナジウム水和物、硫酸バナジウムカリウム水和物、硫酸マンガン水和物、硫酸マンガンカリウム水和物、硫酸アンモニウム水和物、硫酸マグネシウムアンモニウム水和物、硫酸アルミニウムアンモニウム水和物、硫酸クロムアンモニウム水和物、硫酸コバルトアンモニウム水和物、硫酸スズアンモニウム水和物、硫酸鉄アンモニウム水和物、硫酸銅アンモニウム水和物、硫酸ニッケルアンモニウム水和物、硫酸バナジウムアンモニウム水和物、硫酸マンガンアンモニウム水和物、などの硫酸塩水和物、炭酸ナトリウム水和物、炭酸マグネシウム水和物、炭酸アンモニウム水和物、炭酸カリウム水和物、炭酸水酸化ニッケル水和物、炭酸水酸化マグネシウム水和物、炭酸水素マグネシウムカリウム水和物、炭酸鉄水和物、炭酸ナトリウムカリウム水和物、などの炭酸塩水和物、リン酸亜鉛水和物、リン酸アルミニウム水和物、リン酸アンモニウム水和物、リン酸一水素カルシウム水和物、リン酸クロム水和物、リン酸コバルト水和物、リン酸水素アンモニウムナトリウム水和物、リン酸水素二ナトリウム水和物、リン酸水素マグネシウム水和物、リン酸水素マンガン水和物、リン酸鉄水和物、リン酸トリウム水和物、リン酸ナトリウム水和物、リン酸二水素亜鉛水和物、リン酸二水素カドミウム水和物、リン酸二水素カルシウム水和物、リン酸二水素ナトリウム水和物、リン酸二水素マンガン水和物、リン酸ニッケル水和物、リン酸マグネシウム水和物、リン酸マンガン水和物等のリン酸塩水和物、塩化アルミニウム水和物、塩化カルシウム水和物、塩化コバルト水和物、塩化スズ水和物、塩化ストロンチウム水和物、塩化鉄水和物、塩化銅水和物、塩化ニッケル水和物、塩化パラジウム水和物、塩化バリウム水和物、塩化ベリリウム水和物、塩化マグネシウム水和物、などの塩化物、硝酸亜鉛水和物、硝酸アルミニウム水和物、硝酸カドミウム水和物、硝酸カルシウム水和物、硝酸クロム水和物、硝酸コバルト水和物、硝酸ストロンチウム水和物、硝酸鉄水和物、硝酸銅水和物、硝酸ニッケル水和物、硝酸ビスマス水和物、硝酸ベリリウム水和物、硝酸マグネシウム水和物、硝酸マンガン水和物、硝酸リチウム水和物などの硝酸塩水和物;酢酸亜鉛水和物、酢酸カルシウム水和物、酢酸コバルト水和物、酢酸ナトリウム水和物、酢酸銅水和物、酢酸鉛水和物、酢酸ニッケル水和物、酢酸マグネシウム水和物、酢酸マンガン水和物、クエン酸カルシウム水和物、クエン酸ナトリウム水和物、クエン酸カリウム水和物、乳酸カルシウム水和物、シュウ酸アンモニウム水和物、シュウ酸カリウム水和物、コハク酸ナトリウム水和物、ピロリン酸ナトリウム水和物などのカルボン酸塩水和物、ホウ酸、ホウ酸ナトリウムなどのホウ素系化合物、アルミナ水和物などを例示することができる。また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物なども挙げられる。
含水物質は、水の一部または全部を放出する温度が60〜300℃の範囲にある化合物が、押出発泡成形性などの点から好ましく、さらには、100〜230℃の範囲にある化合物が、押出発泡成形性と共に難燃性の向上などの点からより好ましい。このような含水物質としては、硫酸ナトリウム十水和物などの硫酸ナトリウム水和物、硫酸マグネシウム三水和物、硫酸マグネシウム七水和物などの硫酸マグネシウム水和物、硫酸カルシウム2水和物などの硫酸カルシウム水和物、硫酸アルミニウム18水和物などの硫酸アルミニウム水和物、炭酸ナトリウム一水和物などの炭酸ナトリウム水和物、炭酸マグネシウム水和物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、リン酸三ナトリウム12水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、リン酸二水素ナトリウム2水和物、リン酸三アンモニウム3水和物、リン酸二水素カルシウム1水和物、リン酸水素カルシウム2水和物などのリン酸塩水和物、クエン酸カルシウム4水和物、クエン酸三ナトリウム2水和物、クエン酸三カリウム1水和物、乳酸カルシウム5水和物、シュウ酸アンモニウム1水和物、シュウ酸カリウム1水和物、コハク酸二ナトリウム6水和物、酢酸ナトリウム3水和物、ピロリン酸ナトリウム10水和物などのカルボン酸塩水和物などが挙げられる。
含水物質は単独で使用してもよく、2種以上併用して用いてもよい。
含水物質の使用量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜7重量部である。0.1重量部未満では、低密度の発泡体が得られにくくなり、15重量部を超えると、押出発泡成形時の送り不良などにより安定して発泡体が得られなくなったり、発泡体中に気孔、ボイドなどを形成したりして良好な発泡体が得られない場合があるため好ましくない。
このような含水物質は、発泡体中では、放出した水を再び取り込んで、元の含水物質と同じ形で存在したり、水の一部または全部を放出した後の化合物の形で存在する。
本発明では、さらに水を併用して使用することができる。このような場合、含水物質によって、水の分散性がよくなり、発泡体に気孔、ボイドなどの発生が無く、安定して押出発泡成形できる場合が多いが、不安定となる場合には、吸水性物質を併用するのが好ましい。
水の使用量はスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で、発泡体中に気孔、ボイドといった欠陥が生じず、発泡体の密度の設定値などに応じて適宜設定される。好ましくは0.1〜4重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明では、さらに吸水性物質を用いることができる。吸水性物質は、特に水をさらに使用した場合に安定して押出発泡成形させる目的に有効である。吸水性物質の具体例としては、表面にシラノール基を有する無水シリカ(例えば日本アエロジル(株)製製AEROSILなどが市販されている)などのように表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、合成スメクタイトなどのスメクタイト族粘土、膨潤性フッ素雲母などの膨潤性雲母などの吸水性あるいは水膨潤性の層状珪酸塩あるいはこれらの有機化処理品、ゼオライト、活性炭、アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス、活性白土、けい藻土などの多孔性物質、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウム、などの硫酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウムなどの炭酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、などのリン酸塩、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、乳酸カルシウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸カリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化バリウムなどの金属塩、酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムなどのホウ素化合物、ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール−アクリル酸塩系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリアクリロニトリル−メタクリル酸メチル−ブタジエン系共重合体、ポリエチレンオキサイド系共重合体およびこれらの誘導体などの吸水性高分子などが挙げられる。
吸水性物質の使用量は、吸水性物質の種類、含水物質あるいは水の使用量にもよるが、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部であり、好ましくは0.1〜8重量部、さらに好ましくは0.2〜7重量部である。
本発明では、さらにフッ素化炭化水素系発泡剤以外の他の発泡剤が使用されてもよい。例えば、ノルマルペンタン、イソペンタンなどのシクロペンタン、プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタン以外の炭化水素、メタノール、エタノールなどのアルコール、ケトン類、カルボン酸エステル、塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキルなどの有機発泡剤、二酸化炭素などの無機発泡剤、アゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤などが挙げられる。
他の発泡剤も含め、発泡剤全体の使用量としては、通常、発泡剤の合計量をスチレン系樹脂100重量部に対して4.5〜20重量部とするのが好ましい。20重量部をこえると、過剰な発泡剤のために発泡体中にボイドなどの不良が生じる場合がある。
発泡剤を添加または注入する際の圧力には、とくに制限はなく、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
本発明において、得られたスチレン系樹脂発泡体中における、(A)シクロペンタン、、(B)プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる1種以上の化合物、および、(C)ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルから選ばれる1種以上のエーテルの残存含有量は、化合物の種類および使用量、発泡剤の発泡体中における透過性、発泡体の倍率あるいは密度、要求される断熱性能などによっても異なる。発泡剤の発泡体中における透過性によっては、経時的に残存量が減量し、発泡体気泡中の気体は空気などに置換されていく。このような発泡剤としては、プロパン、ジメチルエーテルなどのエーテルが挙げられる。したがって、透過性が高い化合物を用いて製造され、結果的に発泡体中に残存含有量が非常に少ない発泡体も本発明の範疇に含まれる。
JISA 9511(1995)で規定される押出法ポリスチレンフォーム保温板3種、さらにはこれ以上の断熱性といった高度の断熱性能が要求される場合には、発泡剤(A)のシクロペンタンは、発泡体100重量部に対して、0.3〜4重量部含有することが好ましい。0.3重量部未満では、断熱性の高い発泡体が得られにくくなり、4重量部を超えると周囲の温度によっては、気泡内で液化して断熱性が低下する傾向にあるため好ましくない。
発泡剤(B)の一部または全部にイソブタンを用いた場合には、シクロペンタンおよびイソブタンの全量を100モル%としたときに、シクロペンタン5〜70モル%、イソブタン95〜30モル%の比率で含有することが好ましく、発泡体100重量部に対し、1.3〜10重量部含有することが好ましい。
本発明で得られるスチレン系樹脂発泡体の厚み方向における平均気泡径は、通常、0.01〜1mmである。好ましくは、0.02〜0.6mm、さらに好ましくは0.03〜0.4mm、特に好ましくは、0.05〜0.2mmである。厚み方向における平均気泡径を特に好ましい範囲とすることで、より低い熱伝導率のスチレン系樹脂発泡体を得ることができる。厚み方向における平均気泡径を調整する方法としては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機化合物などの造核剤を添加し、その添加量を適宜調整することで可能である。また、押出発泡成形時の押出機、スクリュー形状、押出発泡成形時の温度、ダイス形状などでも調整できる。
本発明では、併用する添加剤の種類、押出発泡成形条件などにより、発泡体中に、主として気泡径が0.25mm以下の比較的気泡径の小さい気泡(小気泡)と、小気泡径の1.2倍以上の気泡径を有する大きな気泡(大気泡)が海島状に混在する特徴的な気泡構造を有する発泡体が得られる。このような場合、得られる発泡体の断熱性能を向上させつつ、なおかつ、大気泡の生成により得られる発泡体が低密度で容易に厚さを出すことが可能となり、成形性も良好となることから好ましい。
通常の均一な径の気泡のみからなる発泡体では、気泡径を小さくすることで断熱性能をある程度向上させることは可能であるが、気泡径が小さくなると所定の厚さを出すためにはより多くの樹脂が必要となり、結果的に密度が高くなり、押出時の圧力が高くなる、吐出量が少なくなるなど、成形性が低下してしまうという欠点を有する。これに対して、小気泡と大気泡が海島状に混在する特徴的な気泡構造では、断熱性能を向上させると共に、大気泡により得られる発泡体が低密度で容易に厚さを出すことが可能となる。
断熱性能および成形性の観点からは、より好ましくは主として小気泡が0.01〜0.20mm、大気泡が0.20〜0.8mmの範囲で小気泡の1.2倍以上の気泡径であり、最も好ましくは、主として小気泡が0.02〜0.15mm、大気泡が0.15〜0.6mmの範囲で小気泡の1.2倍以上の気泡径である。
なお、本発明の発泡体において小気泡と大気泡の気泡径の中間に位置する気泡が全く存在しないわけではないが、該気泡が目立って増加すると小気泡と大気泡との区別がつきにくくなり、すなわち、異なる気泡径が連続的に存在することになり、海島状に存在する特徴的な気泡構造ではなくなることから、断熱性能と成形性のバランスが崩れる傾向となる。
さらに、小気泡および大気泡が混在してなる特定の気泡構造の発泡体においては、発泡体断面積あたりに占める小気泡の面積の割合(単位断面積あたりの占有面積率)(以下、小気泡面積率という)は、5〜95%が好ましく、さらに好ましくは10〜90%、とくに好ましくは20〜80%、最も好ましくは25〜70%である。小気泡面積率が5%未満であると、断熱性が向上しにくい傾向となり、95%をこえると、発泡体の厚さが出にくいなど成形性が低下する場合がある。
このような気泡構造が得られる場合として、硫酸ナトリウム十水和物などの硫酸ナトリウム水和物、硫酸マグネシウム三水和物、硫酸マグネシウム七水和物などの硫酸マグネシウム水和物、硫酸カルシウム2水和物などの硫酸カルシウム水和物、硫酸アルミニウム18水和物などの硫酸アルミニウム水和物、炭酸ナトリウム一水和物などの炭酸ナトリウム水和物、炭酸マグネシウム水和物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、リン酸三ナトリウム12水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、リン酸二水素ナトリウム2水和物、リン酸三アンモニウム3水和物、リン酸二水素カルシウム1水和物、リン酸水素カルシウム2水和物などのリン酸塩水和物、クエン酸カルシウム4水和物、クエン酸三ナトリウム2水和物、クエン酸三カリウム1水和物、乳酸カルシウム5水和物、シュウ酸アンモニウム1水和物、シュウ酸カリウム1水和物、コハク酸二ナトリウム6水和物、酢酸ナトリウム3水和物、ピロリン酸ナトリウム10水和物などのカルボン酸塩水和物などを用いた場合などが挙げられる。
本発明の発泡体の厚さにはとくに制限はなく、用途に応じて適宜選択される。たとえば、建材などの用途に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与せしめるためには、シートのような薄いものよりも、通常の板状物のように厚さのあるものが好ましく、通常10〜150mm、好ましくは20〜100mmである。
また、本発明の発泡体の密度は、軽量でかつ優れた断熱性および曲げ強度、圧縮強度を付与するためには、20〜60kg/m3、さらには20〜50kg/m3であることが好ましく、25〜45kg/m3であることがより好ましい。密度が20kg/m3未満であると、圧縮強度など機械的特性が低下する傾向があり、60kg/m3をこえると、断熱性が低下する傾向がある。
本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲で種々の化合物を添加することができる。例えば、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールSビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−メチルアリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(3−メチルアリルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどのハロゲン系難燃剤、含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンなどの難燃助剤、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイトなどのヒンダードフェノール系抗酸化剤、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトなどのリン系安定剤、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系安定剤、3,3−チオビスプロピオン酸ジオデシルエステル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステルなどのイオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有させることができる。
本発明のスチレン系樹脂発泡体は、
(い)スチレン系樹脂に各種添加剤を混合したのち加熱溶融する、
(ろ)スチレン系樹脂に1種以上の添加剤を混合したのち、加熱溶融し、これに残りの添加剤をそのままあるいは必要により液体化あるいは溶融させて添加し加熱混合する、
(は)あらかじめスチレン系樹脂に1種以上の添加剤を混合したのち、加熱溶融した組成物を準備し、ついで、該組成物と残りの添加剤、必要に応じてスチレン系樹脂をあらためて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
など、スチレン系樹脂、各種添加剤を押出機などの加熱溶融手段に供給し、任意の段階で高圧条件下で、発泡剤をスチレン系樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、該流動ゲルをダイを通して低圧領域に押出発泡させて、発泡体を形成することにより製造される。
(い)スチレン系樹脂に各種添加剤を混合したのち加熱溶融する、
(ろ)スチレン系樹脂に1種以上の添加剤を混合したのち、加熱溶融し、これに残りの添加剤をそのままあるいは必要により液体化あるいは溶融させて添加し加熱混合する、
(は)あらかじめスチレン系樹脂に1種以上の添加剤を混合したのち、加熱溶融した組成物を準備し、ついで、該組成物と残りの添加剤、必要に応じてスチレン系樹脂をあらためて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
など、スチレン系樹脂、各種添加剤を押出機などの加熱溶融手段に供給し、任意の段階で高圧条件下で、発泡剤をスチレン系樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、該流動ゲルをダイを通して低圧領域に押出発泡させて、発泡体を形成することにより製造される。
スチレン系樹脂と発泡剤、添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段についてはとくに制限はない。加熱温度は、使用するスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、たとえば150〜260℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段などによって異なるので一概に決定することはできないが、スチレン系樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また、溶融混練手段としては、たとえばスクリュー型の押出機などがあげられるが、通常の押出発泡に用いられているものであればとくに限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリューを用いる方が好ましい。また、発泡成形方法にもとくに制限はないが、たとえばスリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
以上、本発明の内容をまとめるとつぎのようになる。
すなわち、スチレン系樹脂発泡体の発泡剤として、環境適合性に優れた炭化水素類の一つであるシクロペンタンを用いる技術は提案されており、シクロペンタン及び他の可燃性ガス全量で4.5重量部未満を用いた低熱伝導率の発泡体を得る技術は提案されている。
しかしながら、シクロペンタンを用いた場合には、添加量によっては発泡体の収縮などが起こるため、前記技術では押出発泡成形性が安定し、より低密度のスチレン系樹脂発泡体の製造方法について問題があることが判った。
これに対して、本発明では発泡剤の少なくとも1種がシクロペンタンであって、好ましくは(A)シクロペンタン、および、(B)プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる1種以上の化合物、さらに必要に応じて(C)ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルから選ばれる1種以上のエーテルを発泡剤として用い、これに含水物質を併用した場合、押出発泡成形性、密度および熱伝導率のバランスが取れる特定の範囲があることを見出した。
つぎに、本発明のスチレン系樹脂発泡体を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、とくに断らない限り、「%」は重量%を表わす。
(1)押出発泡成形性
発泡体を得る際の成形状況を下記の基準で評価した。
(a)目視評価
○:所望の厚み、幅、密度に調整が可能であり、安定して成形できた。
(1)押出発泡成形性
発泡体を得る際の成形状況を下記の基準で評価した。
(a)目視評価
○:所望の厚み、幅、密度に調整が可能であり、安定して成形できた。
×:所望の厚み、幅、密度が変動し調整ができなかった。あるいは、安定して成形できなかった。
(b)吐出量
押出発泡体(A)を得る際に1分間に押し出されてくる発泡体の重量を測り、1時間当たりの量に換算してkg/hで示した。
(c)押出圧力
押出発泡体(A)を得る際に、冷却機先端に設けた口金部分の圧力(単位MPa)を圧力計で測定した。
(2)発泡体厚さ
異なる時間にサンプルングした発泡体の3つのサンプルについて、幅方向の中央の厚さ(単位mm)を測定し、平均値を算出した。
(3)発泡体密度
押出発泡体(A)の発泡体密度を、式:
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
に基づいて求め、単位を(kg/m3)に換算して示した。
(4)熱伝導率
発泡体の熱伝導率をJIS A9511(1995)に準じて測定した。測定は製造後、表面から10mmの部分を削除したのち、28日経過した発泡体について行なった。
(5)気泡径
(a)厚さ方向の気泡径
発泡体の押出方向と直行する垂直断面の中央部分を顕微鏡を用いて拡大投影した写真において、厚み方向に直線を引き、その直線と交差する気泡の数を数え(拡大率、直線の長さは気泡径に応じて、気泡数が少なくとも10個以上になるように設定する)、厚さ方向の径をつぎの式にしたがって求めた。
(b)吐出量
押出発泡体(A)を得る際に1分間に押し出されてくる発泡体の重量を測り、1時間当たりの量に換算してkg/hで示した。
(c)押出圧力
押出発泡体(A)を得る際に、冷却機先端に設けた口金部分の圧力(単位MPa)を圧力計で測定した。
(2)発泡体厚さ
異なる時間にサンプルングした発泡体の3つのサンプルについて、幅方向の中央の厚さ(単位mm)を測定し、平均値を算出した。
(3)発泡体密度
押出発泡体(A)の発泡体密度を、式:
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
に基づいて求め、単位を(kg/m3)に換算して示した。
(4)熱伝導率
発泡体の熱伝導率をJIS A9511(1995)に準じて測定した。測定は製造後、表面から10mmの部分を削除したのち、28日経過した発泡体について行なった。
(5)気泡径
(a)厚さ方向の気泡径
発泡体の押出方向と直行する垂直断面の中央部分を顕微鏡を用いて拡大投影した写真において、厚み方向に直線を引き、その直線と交差する気泡の数を数え(拡大率、直線の長さは気泡径に応じて、気泡数が少なくとも10個以上になるように設定する)、厚さ方向の径をつぎの式にしたがって求めた。
厚さ方向の気泡径=直線の長さ/直線を横切る気泡の数
(ただし、直線の長さは写真の拡大率から求められる、直線の長さを指す)
(b)海島構造である気泡構造における大気泡径、小気泡径および小気泡占有面積率
小気泡径:押出発泡体の厚さ方向断面を200倍に拡大した写真において、海島構造での海部分の任意の2箇所に厚さ方向に実寸法で1mm相当の直線を引き、それぞれこの直線を横切る気泡の数を数え、それぞれの箇所での厚さ方向の気泡径を次の式に従って算出した。
小気泡径=直線の長さ1mm/直線を横切る気泡の数
次いで、2箇所の小気泡径の値を相加平均して、厚さ方向の小気泡径とした。
同様に、スチレン系樹脂発泡体の幅方向、長さ方向についてそれぞれ気泡径を求め、3方向の相加平均を小気泡径とした。
大気泡径:押出発泡体の厚さ方向断面を50倍に拡大した写真において、海島構造中に点在する島部分の厚さ方向の長さを10点無作為に選び、それぞれの島について厚さ方向の最大長さを測定し、相加平均することにより厚さ方向の大気泡径を求めた。同様に、スチレン系樹脂発泡体の幅方向、長さ方向についてそれぞれ気泡径を求め、3方向の相加平均を大気泡径とした。
(6)小気泡面積率
スチレン系樹脂発泡体について、厚さ方向断面での気泡径0.25mm以下である気泡の発泡体断面積あたりの占有面積率を、以下のようにして求めた。
ここで、気泡径0.25mm以下の気泡とは、円相当直径が0.25mm以下の気泡とする。
(a)走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、品番:S−450)にて30倍に拡大してスチレン系樹脂発泡体の厚さ方向断面を写真撮影する(写真の大きさは100mm×90mm)。
(b)撮影した写真の上にOHPシートを置き、その上に厚さ方向の径が7.5mmよりも大きい気泡(実寸法が0.25mmより大きい気泡に相当する)に対応する部分を黒インキで塗りつぶして写しとる(一次処理)。
(c)画像処理装置((株)ピアス製、品番:PIAS−II)に一次処理画像を取り込み、濃色部分と淡色部分を、即ち黒インキで塗られた部分か否かを識別する。
(d)濃色部分のうち、直径7.5mm以下の円の面積に相当する部分、すなわち、厚さ方向の径は長いが、面積的には直径7.5mm以下の円の面積にしかならない部分を淡色化して、濃色部分の補正を行なう。
(e)画像解析計算機能中の「FRACTAREA(面積率)」を用い、画像全体に占める気泡径7.5mm以下(濃淡で分割した淡色部分)の面積比を次式により求める。
小気泡占有面積率(%)=(1−濃色部分の面積/画像全体の面積)×100
(7)酸素指数
発泡体の酸素指数をJIS K7201(1995)に準じ、A−1号にて7日経過した発泡体について行なった。
(ただし、直線の長さは写真の拡大率から求められる、直線の長さを指す)
(b)海島構造である気泡構造における大気泡径、小気泡径および小気泡占有面積率
小気泡径:押出発泡体の厚さ方向断面を200倍に拡大した写真において、海島構造での海部分の任意の2箇所に厚さ方向に実寸法で1mm相当の直線を引き、それぞれこの直線を横切る気泡の数を数え、それぞれの箇所での厚さ方向の気泡径を次の式に従って算出した。
小気泡径=直線の長さ1mm/直線を横切る気泡の数
次いで、2箇所の小気泡径の値を相加平均して、厚さ方向の小気泡径とした。
同様に、スチレン系樹脂発泡体の幅方向、長さ方向についてそれぞれ気泡径を求め、3方向の相加平均を小気泡径とした。
大気泡径:押出発泡体の厚さ方向断面を50倍に拡大した写真において、海島構造中に点在する島部分の厚さ方向の長さを10点無作為に選び、それぞれの島について厚さ方向の最大長さを測定し、相加平均することにより厚さ方向の大気泡径を求めた。同様に、スチレン系樹脂発泡体の幅方向、長さ方向についてそれぞれ気泡径を求め、3方向の相加平均を大気泡径とした。
(6)小気泡面積率
スチレン系樹脂発泡体について、厚さ方向断面での気泡径0.25mm以下である気泡の発泡体断面積あたりの占有面積率を、以下のようにして求めた。
ここで、気泡径0.25mm以下の気泡とは、円相当直径が0.25mm以下の気泡とする。
(a)走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、品番:S−450)にて30倍に拡大してスチレン系樹脂発泡体の厚さ方向断面を写真撮影する(写真の大きさは100mm×90mm)。
(b)撮影した写真の上にOHPシートを置き、その上に厚さ方向の径が7.5mmよりも大きい気泡(実寸法が0.25mmより大きい気泡に相当する)に対応する部分を黒インキで塗りつぶして写しとる(一次処理)。
(c)画像処理装置((株)ピアス製、品番:PIAS−II)に一次処理画像を取り込み、濃色部分と淡色部分を、即ち黒インキで塗られた部分か否かを識別する。
(d)濃色部分のうち、直径7.5mm以下の円の面積に相当する部分、すなわち、厚さ方向の径は長いが、面積的には直径7.5mm以下の円の面積にしかならない部分を淡色化して、濃色部分の補正を行なう。
(e)画像解析計算機能中の「FRACTAREA(面積率)」を用い、画像全体に占める気泡径7.5mm以下(濃淡で分割した淡色部分)の面積比を次式により求める。
小気泡占有面積率(%)=(1−濃色部分の面積/画像全体の面積)×100
(7)酸素指数
発泡体の酸素指数をJIS K7201(1995)に準じ、A−1号にて7日経過した発泡体について行なった。
○:酸素指数が24%以上
×:酸素指数が24%未満
(8)燃焼性
発泡体の燃焼性をJIS A9511(1995)測定方法Aに準じて、厚さ10mm、長さ200mm、幅25mmの試験片を用い、以下の基準で評価した。測定は製造後、前記寸法に切削した後、7日日経過した発泡体について行なった。
×:酸素指数が24%未満
(8)燃焼性
発泡体の燃焼性をJIS A9511(1995)測定方法Aに準じて、厚さ10mm、長さ200mm、幅25mmの試験片を用い、以下の基準で評価した。測定は製造後、前記寸法に切削した後、7日日経過した発泡体について行なった。
○:試験片5本の消炎時間が全て3秒以内
×:試験片5本のうち少なくとも1本は3秒を越える
なお、実施例および比較例では、下記の化合物を用いた。
(スチレン系樹脂)
ポリスチレン:PSジャパン(株)製G9401:MFRは2.5g/10分
(発泡剤)
・発泡剤(A)
シクロペンタン:大洋液化ガス(株)製シクロペンタン
・発泡剤(B)
プロパン:イワタニ(株)製無臭プロパン
イソブタン:三井化学(株)製イソブタン
・発泡剤(C)
ジメチルエーテル:三井化学(株)製ジメチルエーテル
(含水物質)
硫酸マグネシウム3水和物:馬居化成工業(株)製乾燥硫酸マグネシウム(MN−30)
硫酸マグネシウム7水和物:馬居化成工業(株)製生成硫酸マグネシウム(TC)
リン酸三ナトリウム12水和物:太平化学産業(株)製リン酸三ナトリウム(結晶)
(吸水性物質)
酸化ケイ素:塩野義製薬(株)製カープレックス
ベントナイト:(株)ホージュン製ベンゲルブライト11
(難燃剤)
ヘキサブロモシクロドデカン:アルベマールコーポレーション製、SAYTEXHP−900
トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート:日本化成(株)製TAIC−6B
テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル):アルベマールコーポレーション製、SAYTEXHP−800
(その他)
タルク:林化成製、TALCAN PAWDER PK−Z
ステアリン酸バリウム:堺化学製、SB
流動パラフィン:和光純薬(株)試薬
安定剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、IRGANOX B911(ヒンダードフェノール系抗酸化剤IRGANOX1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとリン系安定剤IRGAFOS168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトの1:1の混合物)
(実施例1)
ポリスチレン100重量部に対して、難燃剤としてトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート5重量部、含水物質として硫酸マグネシウム7水和物4重量部、タルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、安定剤0.2重量部、流動パラフィン0.2重量部からなる混合物をドライブレンドし、得られた樹脂混合物を口径65mmと口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約50kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の発泡体を得た。
×:試験片5本のうち少なくとも1本は3秒を越える
なお、実施例および比較例では、下記の化合物を用いた。
(スチレン系樹脂)
ポリスチレン:PSジャパン(株)製G9401:MFRは2.5g/10分
(発泡剤)
・発泡剤(A)
シクロペンタン:大洋液化ガス(株)製シクロペンタン
・発泡剤(B)
プロパン:イワタニ(株)製無臭プロパン
イソブタン:三井化学(株)製イソブタン
・発泡剤(C)
ジメチルエーテル:三井化学(株)製ジメチルエーテル
(含水物質)
硫酸マグネシウム3水和物:馬居化成工業(株)製乾燥硫酸マグネシウム(MN−30)
硫酸マグネシウム7水和物:馬居化成工業(株)製生成硫酸マグネシウム(TC)
リン酸三ナトリウム12水和物:太平化学産業(株)製リン酸三ナトリウム(結晶)
(吸水性物質)
酸化ケイ素:塩野義製薬(株)製カープレックス
ベントナイト:(株)ホージュン製ベンゲルブライト11
(難燃剤)
ヘキサブロモシクロドデカン:アルベマールコーポレーション製、SAYTEXHP−900
トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート:日本化成(株)製TAIC−6B
テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル):アルベマールコーポレーション製、SAYTEXHP−800
(その他)
タルク:林化成製、TALCAN PAWDER PK−Z
ステアリン酸バリウム:堺化学製、SB
流動パラフィン:和光純薬(株)試薬
安定剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、IRGANOX B911(ヒンダードフェノール系抗酸化剤IRGANOX1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとリン系安定剤IRGAFOS168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトの1:1の混合物)
(実施例1)
ポリスチレン100重量部に対して、難燃剤としてトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート5重量部、含水物質として硫酸マグネシウム7水和物4重量部、タルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、安定剤0.2重量部、流動パラフィン0.2重量部からなる混合物をドライブレンドし、得られた樹脂混合物を口径65mmと口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約50kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の発泡体を得た。
このとき、発泡剤として、前記樹脂混合物100重量部に対して、シクロペンタン3重量部(40モル%)およびジメチルエーテル3.0重量部(60モル%)からなる発泡剤を前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記組成物中に圧入した。
安定して成形でき、吐出量50kg/h、得られる発泡体の厚みを55mmに調整した場合の押出圧力は3MPaであった。得られた発泡体の厚みは55mm、密度は30kg/m3、気泡径がほぼ一様にそろった気泡構造であって、平均の気泡径は0.30mmであった。得られた発泡体の評価結果を表1に示した。
発泡剤組成、水、含水物質、吸水性物質、タルクを表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、スチレン系樹脂発泡体を得た(難燃剤、ステアリン酸バリウムおよび安定剤量は変更なし)。その評価結果を表1に示した。いずれも、気泡径がほぼ一様にそろった気泡構造となった発泡体であった。
実施例2〜5では、発泡剤としてシクロペンタンと共にイソブタンを4.5重量部以上と含水物質を用い、さらに水、吸水性物質を用いることで、所望の厚み、幅、密度に調整が可能であり、安定して成形でき、断熱性、難燃性に優れた発泡体が得られた。これに対して、比較例1ではシクロペンタン単独を4.5重量部以下しか用いていないため、低密度の発泡体が安定して得られなかった。また、比較例2では、発泡剤としてシクロペンタンとジメチルエーテルを4.5重量部以上用い、水を用いたが吸水性物質を用いなかったため、発泡体に気孔、ボイドが多数発生し、安定して良好な発泡体が得られなかった。
さらに、実施例2と実施例3を比較して判るように、タルクの添加量を1.5重量部とした場合には、厚み方向のセル径が0.25mmに対し、0.15mmとなった場合の方が熱伝導率が低く、断熱性に優れることが判る。
(実施例6)
ポリスチレン100重量部に対して、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)7重量部、含水物質として硫酸マグネシウム3水和物3重量部、吸水性物質として酸化ケイ素0.1重量部、タルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、安定剤0.2重量部、流動パラフィン0.2重量部からなる混合物をドライブレンドし、得られた樹脂混合物を口径65mmと口径90mmの押出機を縦に連結した押出機へ約50kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の発泡体を得た。
(実施例6)
ポリスチレン100重量部に対して、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)7重量部、含水物質として硫酸マグネシウム3水和物3重量部、吸水性物質として酸化ケイ素0.1重量部、タルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、安定剤0.2重量部、流動パラフィン0.2重量部からなる混合物をドライブレンドし、得られた樹脂混合物を口径65mmと口径90mmの押出機を縦に連結した押出機へ約50kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の発泡体を得た。
このとき、発泡剤として、前記樹脂混合物100重量部に対して、シクロペンタン3.0重量部(39モル%)およびプロパン3.0重量部(61モル%)からなる発泡剤を前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記組成物中に圧入した。
安定して成形でき、吐出量50kg/h、得られる発泡体の厚みを55mmに調整した場合の押出圧力は5MPaであった。得られた発泡体の厚みは55mm、密度は36kg/m3、小気泡と大気泡が混在した特異な気泡構造であって、大気泡径は0.34mm、小気泡径は0.06mm、小気泡面積率は25%であった。得られた発泡体の評価結果を表2に示した。
発泡剤組成、水、吸水性物質、含水物質、難燃剤を表2に示すようにした以外は、実施例4と同様にして、スチレン系樹脂発泡体を得た(ステアリン酸バリウムおよび安定剤量は変更なし)。その評価結果を表2に示した。いずれも、小気泡と大気泡が混在した特異な気泡構造となった発泡体であった。
(比較例3〜4)
発泡剤組成、水、含水物質、吸水性物質、難燃剤、を表2に示すようにした以外は、実施例4と同様にして、スチレン系樹脂発泡体を得た(ステアリン酸バリウムおよび安定剤量は変更なし)。その評価結果を表2に示した。
実施例6〜15では、発泡剤としてシクロペンタンと共にイソブタン、プロパン、ジメチルエーテルを4.5重量部以上用い、さらに含水物質を用いることで、所望の厚み、幅、密度に調整が可能であり、安定して成形でき、断熱性、難燃性に優れた発泡体が得られた。さらに、実施例8〜10と比較例3を比較して判るように、含水物質、さらには水、吸水性物質を用い、特異な気泡構造になった実施例8〜10は、含水物質、水、吸水性物質を用いない比較例3に対し、低密度でかつ熱伝導率の低い発泡体が得られることが判る。また、実施例6〜15と比較例4を比較して判るように、含水物質、吸水性物質を用いず、水のみを用いた比較例4では、発泡体に気孔、ボイドが多数発生し、安定して良好な発泡体が得られなかった。
また、実施例7、13と実施例9、12を比較して判るように、シクロペンタン使用量/イソブタン使用量の重量比が、1.2を越えている実施例7、13では、小気泡面積率が低下しており、シクロペンタン量が多いにもかかわらず熱伝導率が低下せず、あるいは、逆に上昇しており(実施例7と9を比較)、シクロペンタン使用量/イソブタン使用量の重量比が1.2以下が好ましいことが判る。
(実施例16)
ポリスチレン100重量部に対して、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)5重量部、含水物質として硫酸マグネシウム3水和物3重量部、吸水性物質として酸化ケイ素0.1重量部、タルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、安定剤0.2重量部、流動パラフィン0.2重量部からなる混合物をドライブレンドし、得られた樹脂混合物を口径65mmと口径90mmの押出機を縦に連結した押出機へ約50kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の発泡体を得た。
(実施例16)
ポリスチレン100重量部に対して、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)5重量部、含水物質として硫酸マグネシウム3水和物3重量部、吸水性物質として酸化ケイ素0.1重量部、タルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、安定剤0.2重量部、流動パラフィン0.2重量部からなる混合物をドライブレンドし、得られた樹脂混合物を口径65mmと口径90mmの押出機を縦に連結した押出機へ約50kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の発泡体を得た。
このとき、発泡剤として、前記樹脂混合物100重量部に対して、シクロペンタン3.0重量部(43モル%)、イソブタン2.0重量部(35モル%)、ジメチルエーテル1.0重量部(22モル%)からなる発泡剤を前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記組成物中に圧入した。
安定して成形でき、吐出量50kg/h、得られる発泡体の厚みを55mmに調整した場合の押出圧力は4MPaであった。得られた発泡体の厚みは55mm、密度は36kg/m3、小気泡と大気泡が混在した特異な気泡構造であって、大気泡径は0.35mm、小気泡径は0.06mm、小気泡面積率は15%であった。得られた発泡体の評価結果を表3に示した。
発泡剤組成、水、吸水性物質、含水物質を表3に示すようにした以外は、実施例16と同様にして、スチレン系樹脂発泡体を得た(ステアリン酸バリウムおよび安定剤量は変更なし)。その評価結果を表3に示した。いずれも、小気泡と大気泡が混在した特異な気泡構造となった発泡体であった。
実施例16、18と比較例5〜7を比較して判るように、含水物質を用いることで難燃性(燃焼性)も向上している。また、実施例16〜18と19を比較して判るように、いずれも発泡剤の合計使用量が6重量部を用いているが、ジメチルエーテルを用いることで、より低密度で断熱性の高い発泡体が得られると共に、難燃性も向上する。
Claims (15)
- 加熱溶融させたスチレン系樹脂に、発泡剤を含有させた組成物を押出発泡させてスチレン系樹脂発泡体を製造する方法であって、発泡剤の少なくとも1種がシクロペンタンであり、前記発泡剤の使用量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して4.5〜10重量部で、さらに、前記スチレン系樹脂100重量部に対して含水物質を0.1〜15重量部添加することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
- 発泡剤の全量を100モル%としたときに、(A)シクロペンタン5〜70モル%、(B)プロパン、ノルマルブタンおよびイソブタンから選ばれる化合物95〜30モル%、および、(C)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルから選ばれるエーテル0〜80モル%であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
- 水をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部使用することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
- 吸水性物質をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
- 発泡剤(B)がプロパンおよび/またはイソブタンから成ることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
- 発泡剤(C)がジメチルエーテルであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
- 含水物質が230℃以下で水の一部または全部を放出する化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
- 含水物質が硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩からなる群より選ばれる1種以上の金属塩水和物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
- スチレン系樹脂および発泡剤を含有する組成物を押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体であって、発泡体100重量部対し、シクロペンタンを0.3〜4重量部、含水物質および/または含水物質から水の一部または全部が脱離した化合物を0.1〜15重量部含有した、厚みが10〜150mm、密度が20〜60kg/m3であり、かつ、発泡体を形成する気泡の厚み方向における平均気泡径が0.03〜0.40mmであることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
- スチレン系樹脂および発泡剤を含有する組成物を押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体であって、シクロペンタンおよびイソブタンの全量を100モル%としたときに、シクロペンタン5〜70モル%、イソブタン95〜30モル%の比率で発泡体100重量部対し、0.5〜8重量部、含水物質および/または含水物質から水の一部または全部が脱離した化合物を0.1〜15重量部含有した、厚みが10〜150mm、密度が20〜60kg/m3であり、かつ、発泡体を形成する気泡の厚み方向における平均気泡径が0.03〜0.40mmであることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
- 発泡体100重量部対し、吸水性物質を0.1〜10重量部含有することを特徴とする請求項9または10のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 発泡剤の少なくとも1種がシクロペンタンであって、発泡剤の含有量が発泡体100重量部に対して4.5〜10重量部であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 発泡体を形成する気泡の厚み方向における平均気泡径が0.05〜0.20mmであることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 発泡体を形成する気泡が、主として気泡径0.25mm以下の気泡と、その1.2倍以上の気泡径の気泡より構成される請求項9〜13のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 発泡体を形成する気泡のうち、気泡径0.25mm以下の気泡が発泡体断面積あたり5〜95%の小気泡面積率を有する請求項14記載のスチレン系樹脂発泡体。
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JP2005233479A Pending JP2007045972A (ja) | 2005-08-11 | 2005-08-11 | スチレン系樹脂発泡体の製造方法およびスチレン系樹脂発泡体 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007045972A (ja) |
-
2005
- 2005-08-11 JP JP2005233479A patent/JP2007045972A/ja active Pending
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