JP2011127000A - スチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 難燃性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体を提供する。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂と発泡剤とを溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、該発泡剤が、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種、および、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用し、かつ、難燃剤としてハロゲン系難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部を含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。
【選択図】なし
【解決手段】ポリスチレン系樹脂と発泡剤とを溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、該発泡剤が、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種、および、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用し、かつ、難燃剤としてハロゲン系難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部を含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。
【選択図】なし
Description
本発明は、難燃性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体、およびその製造方法に関する。
スチレン系樹脂押出発泡体は、良好な施工性や断熱特性から、例えば構造物の断熱材として用いられている。スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法として、押出発泡成形が公知である。この押出発泡成形は、押出機などを用いてスチレン系樹脂組成物を加熱溶融し、ついで発泡剤を添加し所定の樹脂温度に冷却し、これを低圧域に押し出すことによりスチレン系樹脂押出発泡体を連続的に製造する。
スチレン系樹脂発泡板には、JIS A9511記載の押出ポリスチレンフォーム保温板の燃焼性規格を満たすために、難燃剤が添加される。従来、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の難燃剤としては、ヘキサシクロブロモドデカン(以下、「HBCD」と略する場合がある)が広く用いられてきた。HBCDは、他の難燃剤と比べて、燃焼時に熱分解により臭素ラジカルが発生しやすく、活性ラジカルのトラップ効果を発現しやすい。このため、比較的少量の添加で難燃効果が得られることから、好適に用いられて生きた。
一方、HBCDは難分解性で生態に対して高蓄積性である化合物であることから、環境衛生上、好ましいものではなく、HBCD使用量の削減、及びHBCDに代わる難燃剤の開発が望まれている。
そこで、HBCD以外の難燃剤を用いたポリスチレン系樹脂押出発泡板の検討がなされている。具体的には、難燃剤として、テトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン化芳香族アリルエーテル類と、ハロゲン化環状脂肪族化合物を除くハロゲン化脂肪族化合物あるいはその誘導体とを含有するもの(特許文献1〜2参照)、臭素化イソシアヌレートを含有するもの(特許文献3)、等が提案されている。
ところで、これらのHBCD以外の難燃剤は、HBCDに比較して分解開始温度が高く、HBCDと同等の難燃効果を得るには、比較的多くの量を添加しなければならず、押出が不安定となる、成形不良が頻発してしまうといった問題があった。
このような状況の下、本発明が解決しようとする課題は、難燃剤の少量添加でも優れた難燃性能を有し、また、環境適合性にも優れたスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、発泡剤として、不燃性化合物、ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種、およびスチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部のポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性化合物を使用することによって、少量の難燃剤添加でも、優れた難燃性能を有する発泡体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]ポリスチレン系樹脂および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
該発泡剤として、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種、および、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用し、かつ、難燃剤としてハロゲン系難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体である。
[2]ハロゲン系難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテルおよびトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
[3]上記発泡剤としての不燃性物理発泡剤としては、二酸化炭素および水よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
[4]上記発泡剤としてのポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤としては、ジメチルエーテルが好ましい。
[5]上記発泡剤としてのポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤としては、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
[6]上記スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、ポリスチレン系樹脂および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
該発泡剤として、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上、およびスチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用し、かつ、難燃剤としてハロゲン系難燃剤を、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部含有することを特徴とするスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法、である。
[1]ポリスチレン系樹脂および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
該発泡剤として、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種、および、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用し、かつ、難燃剤としてハロゲン系難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体である。
[2]ハロゲン系難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテルおよびトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
[3]上記発泡剤としての不燃性物理発泡剤としては、二酸化炭素および水よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
[4]上記発泡剤としてのポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤としては、ジメチルエーテルが好ましい。
[5]上記発泡剤としてのポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤としては、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
[6]上記スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、ポリスチレン系樹脂および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
該発泡剤として、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上、およびスチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用し、かつ、難燃剤としてハロゲン系難燃剤を、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部含有することを特徴とするスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法、である。
本発明によれば、難燃剤の少量添加でも優れた難燃性を有し、かつ、環境適合性にも優れたスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一部にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体は、発泡剤として、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種、および、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用することを特徴とする。
本発明で用いられるスチレン系樹脂としては、特に限定はなく、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のスチレン系単量体の単独重合体または2種以上の単量体の組み合わせからなる共重合体や、前記スチレン系単量体とジビニルベンゼン、ブタジエン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの単量体の1種または2種以上を共重合させた共重合体などが挙げられる。スチレン系単量体と共重合させるアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの単量体は、製造されるスチレン系樹脂押出発泡体の圧縮強度等の物性を低下させない程度の量を用いることができる。また、本発明に用いるスチレン系樹脂は、前記スチレン系単量体の単独重合体または共重合体に限られず、前記スチレン系単量体の単独重合体または共重合体と、前記他の単量体の単独重合体または共重合体とのブレンド物であってもよく、ジエン系ゴム強化ポリスチレンやアクリル系ゴム強化ポリスチレンをブレンドすることもできる。さらに、本発明のスチレン系樹脂は、メルトフローレート(以下、「MFR」と称す)、成形加工時の溶融粘度、溶融張力などを調整する目的で、分岐構造を有するスチレン系樹脂であってもよい。
本発明におけるスチレン系樹脂としては、MFRが0.1〜50g/10分のものを用いることが、押出発泡成形する際の成形加工性に優れ、成形加工時の吐出量、得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚みや幅、密度または独立気泡率を所望の値に調整しやすく、発泡性(発泡体の厚みや幅、密度、独立気泡率、表面性などを所望の状況に調整しやすいほど、発泡性が良い)、外観などに優れた熱可塑性樹脂発泡体が得られると共に、圧縮強度、曲げ強度または曲げたわみ量といった機械的強度や、靱性などの特性のバランスがとれた、熱可塑性樹脂発泡体が得られる点から、好ましい。さらに、スチレン系樹脂のMFRは、成形加工性および発泡性に対する機械的強度、靱性などのバランスの点から、0.3〜30g/10分がさらに好ましく、0.5〜30g/10分が特に好ましい。なお、本発明において、MFRは、JIS K7210(1999年)のA法、試験条件Hにより測定される。
本発明においては、前述されたスチレン系樹脂のなかでも、経済性・加工性の面からポリスチレン樹脂が特に好適に使用することができる。また、押出発泡体により高い耐熱性が要求される場合には、スチレン‐アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレンを用いることが好ましい。また、押出発泡体により高い耐衝撃性が求められる場合には、ゴム強化ポリスチレンを用いることが好ましい。これらスチレン系樹脂は、単独で使用してもよく、また、共重合成分、分子量や分子量分布、分岐構造、MFRなどの異なるスチレン系樹脂を2種以上混合して使用してもよい。
本発明に用いられる発泡剤は、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種、および、(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤からなる。
ここで、ガス透過係数は、JIS K7126−2「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法」に準じて測定される。ガス透過係数は、例えば、測ガスクロマトグラフ(日立製作所製、663−30型)を備えた等圧式ガス透過度テスター(スイスDR.LYSSY社製、GPM−200型)を用いて、測定することができる。
発泡剤としての(イ)不燃性物理発泡剤化合物としては、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、空気、水等が挙げられ、これらの中でも、スチレン系樹脂への相溶性や発泡体の密度を低減させやすさの観点から、二酸化炭素、水が好ましい。これらは、単独でも、2種以上組み合わせて使用してもよい。
発泡剤としての(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤化合物としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化メチル、塩化エチル等が挙げられ、これらの中でも、環境適合性等の観点から、ジメチルエーテルが好ましい。これらは、単独でも、2種以上組み合わせて使用してもよい。
発泡剤としての(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤化合物としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマスペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン等が挙げられ、これらの中でも、発泡性の観点から、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンが好ましい。これらは、単独でも、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、スチレン系樹脂に対する発泡剤の全使用量は、スチレン系樹脂組成物100重量部に対して、4〜10重量部とすることが好ましい。このうち、(イ)不燃性物理発泡剤は、スチレン系樹脂組成物100重量部に対して、2〜6重量部とすることが好ましく、2〜4重量部がより好ましい。(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤は、スチレン系樹脂組成物100重量部に対して、2〜8重量部とすることが好ましく、2.5〜4重量部がより好ましい。(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤は、スチレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜2.3重量部とすることが好ましく、0.5〜2重量部がより好ましい。発泡剤の使用量を上記範囲にすることにより、難燃性に優れた発泡体を安定して製造することができる。
本発明において、発泡剤として水を用いる場合には、安定して押出発泡成形を行うために、吸水性物質を添加することが好ましい。吸水性物質とは、それ自体が水を吸水するもの、吸収するもの、吸着するもの、水によって膨潤するもの、または、水と反応し水和物を形成する化合物をいう。吸水性物質は、スチレン系樹脂に対して相溶性の低い水を吸収、吸着、あるいは反応してゲルを形成し、ゲルの状態でスチレン系樹脂中に均一に分散するため、押出発泡体に気孔やボイドが生ずることなく、安定した押出発泡成形が実現されると考えられる。
本発明に用いられる吸水性物質の具体例としては、表面にシラノール基を有する無水シリカ(酸化ケイ素)[例えば、日本アエロジル(株)製AEROSILなどが市販されている]などのように表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末、スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性あるいは水膨潤性の層状珪酸塩並びにこれらの有機化処理品;ゼオライト、活性炭、アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス、活性白土、けい藻土などの多孔性物質;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウム、などの硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウムなどの炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、などのリン酸塩、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、乳酸カルシウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸カリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化バリウムなどの金属塩、酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムなどのホウ素化合物、ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール−アクリル酸塩系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリアクリロニトリル−メタクリル酸メチル−ブタジエン系共重合体、ポリエチレンオキサイド系共重合体およびこれらの誘導体などの吸水性高分子などが挙げられる。吸水性物質は、単独で使用してもよく、2種以上を併用しても良い。
本発明で用いられる吸水性物質の量は、水の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部である。好ましくは0.1〜8重量部、さらに好ましくは0.2〜7重量部である。吸水性物質の含有量が0.1重量部未満の場合、吸水性物質による水の分散安定化効果が不足し、押出機内で水の分散不良による気孔、ボイドが発生し発泡体の不良につながる場合がある。一方、10重量部をこえる場合、押出機内で吸水性物質の分散不良が発生し、気泡むらができ、発泡体の不良につながる場合があり、発泡体の断熱性能の悪化、品質のばらつきなどが大きくなるなどの問題が生じる場合がある。
本発明では、難燃剤としてハロゲン系難燃剤を含有することにより、得られるスチレン系樹脂発泡体に難燃性を付与することができる。
本発明におけるハロゲン系難燃剤の具体的な例としては、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、クロロペンタブロモシクロヘキサンなどのハロゲン化脂環化合物;ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテル、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルアリルエーテルなどのハロゲン化芳香族化合物あるいはその誘導体;テトラブロモビスフェノール−A、テトラブロモビスフェノール−S、テトラブロモビスフェノール−F、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−A−ジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノール−S−ジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノール−F−ジアリルエーテル、などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体があげられる。これらの物質は、それ単体で用いても、または混合物として用いても良い。
これらのうちでも、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートが、押出運転が良好であり、発泡体の耐熱性に悪影響を及ぼさない等の理由から、望ましく用いられる。
本発明におけるハロゲン系難燃剤の含有量は、JIS A9511に規定される燃焼性を得られると共に、発泡体製造時の押出機中でスチレン系樹脂の熱安定性を維持できるように、ハロゲン系難燃剤種、発泡剤添加量、発泡体密度、さらに場合によっては他添加剤の種類あるいは添加量などにあわせて適宜調整されるものであるが、概ねスチレン系樹脂100重量部に対して、0.2〜5重量部が好ましく、1〜3重量部がより好ましい。ハロゲン系難燃剤の含有量が0.2重量部未満では、難燃性などの発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向があり、一方、5重量部を超えると、発泡体製造時の安定性、表面性などを損なう場合がある。但し、難燃剤の含有量は、JIS A9511測定方法Aに規定される難燃性が得られるように、発泡剤添加量、発泡体密度、難燃相乗効果を有する添加剤などの種類あるいは添加量などに合わせて、適宜調整されることがより好ましい。
本発明において、スチレン系樹脂発泡体の難燃性を向上させる目的で、上述した難燃剤と相乗効果を示す難燃助剤を添加しても良い。難燃剤と相乗効果を示す難燃助剤としては、含鉄化合物、含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物などが挙げられ、具体的には、酸化鉄や含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物(芳香族スルホン酸系化合物)などを用いれば良い。これらの中でも難燃性の観点から、含鉄化合物として酸化鉄、含燐化合物としてトリフェニルホスフェートやトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、含窒素化合物としてシアヌル酸やイソシアヌル酸およびこれらの誘導体、含ホウ素化合物として酸化ホウ素、含硫黄化合物としてスルファニル酸およびこの誘導体が最も好ましい。なお、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体としては、例えば特開2002−30174号公報([0069]段落〜[0079]段落)記載のものを用いることができる。
ハロゲン難燃剤と相乗効果を示す難燃助剤の含有量は、ハロゲン難燃剤と相乗効果を示す難燃助剤の種類にもよるが、スチレン系樹脂100重量部に対し、0.0001〜5重量部が好ましい。
本発明においては、さらに、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で種々のシリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、前記以外の難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有されてもよい。
スチレン系樹脂に各種添加剤を添加する手順として、例えば、スチレン系樹脂に対して各種添加剤を添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、更に発泡剤を添加して混合する手順が挙げられるが、各種添加剤をスチレン系樹脂に添加するタイミングや混練時間は特に限定されない。
スチレン系樹脂の加熱温度は、使用されるスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、添加剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば150〜260℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間当たりのスチレン系樹脂の押出量や溶融混練手段として用いる押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、スチレン系樹脂と発泡剤や添加剤とが均一に分散混合されるに要する時間として適宜設定される。
溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられるものであれば特に制限されない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるためには、押出機のスクリュー形状を低せん断タイプのものとすることが好ましい。
発泡成形方法は、例えば、押出整形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ開放して得られた押出発泡体を、スリットだいと密着又は接して設置された成形金型、及び該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、断面積の大きい万丈発泡体を成形する方法が用いられる。成形金型の流動面形状調整および金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体の表面性、発泡体品質が得られる。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、例えば建築用断熱材や保冷庫用または保冷車用の断熱材として機能することを考慮すると、JIS A9511に準じて測定される熱伝導率が0.040W/mK以下であることが好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、例えば建築用断熱材や保冷庫用又は保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性および、軽量性の観点から、発泡体の密度が20〜65kg/m3であることが好ましく、より好ましくは25〜55kg/m3である。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における厚みは特に限定はないが、例えば建築用断熱材や保冷庫用又は保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性、曲げ強度及び圧縮強度の観点から、10〜150mmであることが好ましく、より好ましくは15〜120mmであり、特に好ましくは20〜100mmである。
かくして、本発明により、優れた断熱性を有し、スチレン系樹脂押出発泡体を容易に得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは勿論である。また、以下の実施例および比較例においては、特に断られない限り、「%」は「重量%」を表すものとする。
実施例および比較例において使用した原料は、次の通りである。
なお、発泡剤のガス透過係数については、ガスクロマトグラフ(日立製作所製、663−30型)を備えた等圧式ガス透過度テスター(スイスDR.LYSSY社製、GPM−200型)を用いて、JIS K7126−2に準拠して測定した値である。
(A)スチレン系樹脂
・DIC(株)製、HP500M
(B)ハロゲン系難燃剤
・ヘキサブロモシクロドデカン[アルベマール(株)製、HP900]
・テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル[第一工業製薬(株)製、ピロガードSR−130]
・テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル[第一工業製薬(株)製、ピロガードSR−720]
・トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート[日本化成(株)製、TAIC−6B]
(C)その他添加剤
・タルク[林化成(株)製、タルカンパウダーPK−Z]
・ステアリン酸カルシウム[堺化学(株)製、SC−P]
・ベントナイト[ウィルバーエリス(株)製、ゲルホワイトH]
(D)発泡剤
(イ)不燃性物理発泡剤
・二酸化炭素[昭和炭酸(株)製]
・水[水道水]
(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤
・ジメチルエーテル[住友精化(株)製](ポリスチレンに対するガス透過係数:33×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg))
(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤
・イソブタン[三井化学(株)製](ポリスチレンに対するガス透過係数:0.05×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg))
・ノルマルブタン[三井化学(株)製](ポリスチレンに対するガス透過係数:0.15×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg))
なお、発泡剤のガス透過係数については、ガスクロマトグラフ(日立製作所製、663−30型)を備えた等圧式ガス透過度テスター(スイスDR.LYSSY社製、GPM−200型)を用いて、JIS K7126−2に準拠して測定した値である。
(A)スチレン系樹脂
・DIC(株)製、HP500M
(B)ハロゲン系難燃剤
・ヘキサブロモシクロドデカン[アルベマール(株)製、HP900]
・テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル[第一工業製薬(株)製、ピロガードSR−130]
・テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル[第一工業製薬(株)製、ピロガードSR−720]
・トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート[日本化成(株)製、TAIC−6B]
(C)その他添加剤
・タルク[林化成(株)製、タルカンパウダーPK−Z]
・ステアリン酸カルシウム[堺化学(株)製、SC−P]
・ベントナイト[ウィルバーエリス(株)製、ゲルホワイトH]
(D)発泡剤
(イ)不燃性物理発泡剤
・二酸化炭素[昭和炭酸(株)製]
・水[水道水]
(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤
・ジメチルエーテル[住友精化(株)製](ポリスチレンに対するガス透過係数:33×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg))
(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤
・イソブタン[三井化学(株)製](ポリスチレンに対するガス透過係数:0.05×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg))
・ノルマルブタン[三井化学(株)製](ポリスチレンに対するガス透過係数:0.15×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg))
実施例および比較例について、以下の手法に従って発泡体密度、独立気泡率、残存発泡剤量、熱伝導率、気泡径分布を評価した。
(1)押出安定性・成形性
8時間連続して製造した際の押出発泡時の安定性・成形性を、下記の基準で評価した。
○:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動はほとんど見られない。
△:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動が見られる。
×:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動が大きく押出発泡成形が困難である。
8時間連続して製造した際の押出発泡時の安定性・成形性を、下記の基準で評価した。
○:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動はほとんど見られない。
△:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動が見られる。
×:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動が大きく押出発泡成形が困難である。
(2)発泡体外観
発泡体の外観は、以下の基準で評価した。
○:断面に未発泡樹脂塊および、ボイドがなく、かつ表面にシワおよび突起がほとんどない。
△:断面に未発泡樹脂塊および/ボイドがなく、および/または表面にシワおよび突起が少量存在する。
×:断面に未発泡樹脂塊およびボイドが多量に存在する、および/または、表面にシワおよび突起が顕著に存在する。
発泡体の外観は、以下の基準で評価した。
○:断面に未発泡樹脂塊および、ボイドがなく、かつ表面にシワおよび突起がほとんどない。
△:断面に未発泡樹脂塊および/ボイドがなく、および/または表面にシワおよび突起が少量存在する。
×:断面に未発泡樹脂塊およびボイドが多量に存在する、および/または、表面にシワおよび突起が顕著に存在する。
(3)発泡体全体密度(kg/m3)
スチレン系樹脂押出発泡体から約300mm(押出方向)×100mm(幅方向)×30mm(厚み方向)の直方体形状に切り出して重量を測定すると共に、ノギスで、縦寸法、横寸法、高さ寸法を測定した。測定された重量および各寸法から、以下の式に基づいて発泡体密度を求め、単位をkg/m3に換算した。
発泡体全体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
スチレン系樹脂押出発泡体から約300mm(押出方向)×100mm(幅方向)×30mm(厚み方向)の直方体形状に切り出して重量を測定すると共に、ノギスで、縦寸法、横寸法、高さ寸法を測定した。測定された重量および各寸法から、以下の式に基づいて発泡体密度を求め、単位をkg/m3に換算した。
発泡体全体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
(4)熱伝導率(W/mK)
製造後30日経過したスチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率をJIS A9511に準じて測定した。
製造後30日経過したスチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率をJIS A9511に準じて測定した。
(5)発泡体燃焼性
JIS A9511に準じて測定した。製造したサンプルを室内に保管し、製造後7日経過した発泡体について測定を行った。3秒以内に炎が消えて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しないとの基準を満たしておれば、○(合格)とし、この基準に達しない場合は、×(不合格)とした。
JIS A9511に準じて測定した。製造したサンプルを室内に保管し、製造後7日経過した発泡体について測定を行った。3秒以内に炎が消えて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しないとの基準を満たしておれば、○(合格)とし、この基準に達しない場合は、×(不合格)とした。
(実施例1)
ポリスチレン樹脂100重量部に対して、難燃剤としてハロゲン系難燃剤であるテトラブロモビスフェノールAビス(2−メチルアリルエーテル)3重量部、併せて、吸水性物質としてベントナイト1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.3重量部をドライブレンドした。
得られた樹脂混合物を、口径65mmの単軸押出機(第1押出機)と口径90mmの単軸押出機(第2押出機)を直列に連結したタンデム型二段押出機へ、40〜50kg/hrの割合で供給した。
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤としてポリスチレン樹脂100重量部に対して、(イ)不燃性化合物である二酸化炭素2重量部、(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性化合物であるジメチルエーテル3重量部、(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性化合物であるイソブタン0.5重量部、ノルマルブタン1.5重量部を、第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。その後、第1押出機に連結された第2押出機で混練しながら、樹脂温度を120〜130℃に冷却した後、第2押出機の先端に設けたスリットダイより大気中へ押出発泡させた後、スリットダイに密着させて設置した成形金型とその下流側に設置した成形ロールにより、厚さ40mm、幅150mmである断面形状の押出発泡板を得た。
押出安定性・成形性の評価は「○」、発泡体の外観の評価は「○」であった。得られた押出発泡体の密度は29kg/m3であり、JIS A9511に準じて測定された熱伝導率が0.036W/mKであった。燃焼性についてはJIS A9511の基準を満たしていた。
ポリスチレン樹脂100重量部に対して、難燃剤としてハロゲン系難燃剤であるテトラブロモビスフェノールAビス(2−メチルアリルエーテル)3重量部、併せて、吸水性物質としてベントナイト1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.3重量部をドライブレンドした。
得られた樹脂混合物を、口径65mmの単軸押出機(第1押出機)と口径90mmの単軸押出機(第2押出機)を直列に連結したタンデム型二段押出機へ、40〜50kg/hrの割合で供給した。
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤としてポリスチレン樹脂100重量部に対して、(イ)不燃性化合物である二酸化炭素2重量部、(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性化合物であるジメチルエーテル3重量部、(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性化合物であるイソブタン0.5重量部、ノルマルブタン1.5重量部を、第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。その後、第1押出機に連結された第2押出機で混練しながら、樹脂温度を120〜130℃に冷却した後、第2押出機の先端に設けたスリットダイより大気中へ押出発泡させた後、スリットダイに密着させて設置した成形金型とその下流側に設置した成形ロールにより、厚さ40mm、幅150mmである断面形状の押出発泡板を得た。
押出安定性・成形性の評価は「○」、発泡体の外観の評価は「○」であった。得られた押出発泡体の密度は29kg/m3であり、JIS A9511に準じて測定された熱伝導率が0.036W/mKであった。燃焼性についてはJIS A9511の基準を満たしていた。
(実施例2〜6、比較例1〜2)
表1に示すように、各種配合剤の種類・添加量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡体を得た。押出発泡成形安定性および、得られた発泡体の特性を表1に示す。
表1に示すように、各種配合剤の種類・添加量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡体を得た。押出発泡成形安定性および、得られた発泡体の特性を表1に示す。
実施例1〜6と比較例1〜2を比較して明らかなように、発泡剤が、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤より選ばれる少なくとも1種、および、スチレン系樹脂100重量部に対して0〜2.5重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用し、かつ、難燃剤としてハロゲン系難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部を含有させることにより、難燃性が改善された押出発泡体を安定して得られることが判る。
Claims (6)
- ポリスチレン系樹脂および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
該発泡剤として、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種、および、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用し、
かつ、難燃剤としてハロゲン系難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。 - ハロゲン系難燃剤が、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテルおよびトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートより群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 不燃性物理発泡剤が、二酸化炭素および水よりなる群から選ばれる少なくとも1種の発泡剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤がジメチルエーテルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤が、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- ポリスチレン系樹脂と発泡剤とを溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、
該発泡剤として、(イ)不燃性物理発泡剤および(ロ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)以上である可燃性物理発泡剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種、および、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜2.3重量部の(ハ)ポリスチレンに対するガス透過係数が5×10−11cm3cm/(cm2・s・cmHg)未満である可燃性物理発泡剤を使用し、かつ、難燃剤としてハロゲン系難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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-
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