JP7017381B2 - スチレン系樹脂押出発泡体 - Google Patents

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Description

本発明は、スチレン系樹脂及び発泡剤を用いて押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体に関する。
スチレン系樹脂押出発泡体は、一般に、押出機などを用いてスチレン系樹脂組成物を加熱溶融し、ついで発泡剤を高圧条件下にて添加し、所定の樹脂温度に冷却した後、これを低圧域に押し出すことにより連続的に製造される。
スチレン系樹脂押出発泡体は、良好な施工性や断熱性から、例えば構造物の断熱材として用いられる。近年、住宅、建築物などの省エネルギー化の要求が高まり、従来以上の高断熱性発泡体の技術開発が望まれている。
高断熱性発泡体を製造する手法としては、熱線輻射抑制剤として、グラファイトや酸化チタンを所定の範囲で添加する製造方法(例えば、特許文献1参照。)や、オゾン破壊係数が0(ゼロ)であるとともに、地球温暖化係数も小さい環境に優しいフッ素化されたオレフィン(ハイドロフルオロオレフィン、HFOともいう。)を使用するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2~5参照。)。
また、一般的に、ポリスチレン樹脂押出発泡体では、発泡剤として用いた脂肪族炭化水素やハイドロフルオロオレフィンに比べて熱伝導率の高い空気が比較的早く発泡体の気泡中に浸入し、断熱性が徐々に低下するという問題があり、特許文献6に開示されているようなガスバリア性樹脂を用いる押出発泡体の製造方法も提案されている。
他方、これまでスチレン系樹脂押出発泡体の難燃剤として広く用いられてきたヘキサブロモシクロドデカン(以下、「HBCD」と呼ぶこともある)が、難分解性で生態に対して高蓄積性の化合物である懸念があり、環境衛生上好ましいものではないことから、HBCDに代わる難燃剤の開発、及び、HBCD以外の臭素系難燃剤を用いたスチレン系樹脂押出発泡体の検討が盛んに行われている。
例えば、スチレン系樹脂押出発泡体に好適なHBCDに代わる難燃剤としては、特許文献8~11に記載されるようなテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の低分子型の難燃剤や、特許文献12に記載されるような、臭素化スチレン-ブタジエンブロックコポリマー等の高分子型の難燃剤が提案されている。
特開2013-221110 特表2008-546892 特開2013-194101 特表2010-522808 WO2015/093195 特開2016-94532 WO2009/005984 特開2017-71802 特開2012-136674 特開2011-021060 特開2004-043681 特開2017-2248
しかしながら、上記特許文献1~12に記載の技術は、優れた断熱性と難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得るという目的において、十分ではなかった。
本発明の課題は、優れた断熱性と難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得ることにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のスチレン系樹脂および特定の臭素系難燃剤を組合せることによって、従来技術では達成できなかった優れた断熱性と、優れた難燃性とを両立することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成のとおりである。
[1]スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂、発泡剤、および、臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂押出発泡体であって、
前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、
前記発泡剤が、炭素数3~5の飽和炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、および、ハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を前記スチレン系樹脂押出発泡体1kgあたり合計量で0.30mol以上含み、
前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、
前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれる、
スチレン系樹脂押出発泡体。
[2]スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂および臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂押出発泡体であって、
前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、
前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、
前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれ、
前記スチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径が0.05mm以上0.15mm未満である、
スチレン系樹脂押出発泡体。
[3]スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂、発泡剤、および、臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂押出発泡体であって、
前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、
前記発泡剤が、ハイドロフルオロオレフィンおよびハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、
前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれる、
スチレン系樹脂押出発泡体。
[4]前記スチレン系樹脂押出発泡体が、ハイドロフルオロオレフィンおよび/またはハイドロクロロフルオロオレフィンの合計含有量が発泡体1kgあたり0.30mol以上である、
[3]に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[5]前記臭素系難燃剤が、臭素化ビスフェノール系難燃剤および/または臭素化イソシアヌレート系難燃剤である、[1]~[4]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[6]前記臭素系難燃剤が(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、(B)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、及び、(C)トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、
[1]~[5]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[7]発泡剤として、ハイドロフルオロオレフィン、及び、ハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、
[2]に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[8]前記発泡剤が、さらに塩化アルキルを含む、[1]、[3]~[4]、または[7]に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[9]発泡剤としての 水の含有量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部未満(但し、0重量部を含む)である、
[1]~[8]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[10]前記スチレン-アクリロニトリル共重合体の含有量が前記スチレン系樹脂100重量%において10重量%~100重量%である、[1]~[9]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[11]前記スチレン系樹脂が、ポリスチレン0重量%以上90重量%以下およびスチレン-アクリロニトリル共重合体10重量%以上100重量%以下である、
[1]~[10]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[12]前記臭素系難燃剤の少なくとも一種が(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルである、
[1]~[11]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[13]前記臭素系難燃剤が(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及び、(B)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルを含む、又は、
(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及び、(C)トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートを含む、
[1]~[12]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[14]前記臭素系難燃剤が、(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルを前記臭素系難燃剤全体100重量%において25重量%~75重量%含む、
[1]~[13]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[15]前記スチレン-アクリロニトリル共重合体中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量が、スチレン-アクリロニトリル共重合体100重量%において10重量%以上45重量%以下である、
[1]~[14]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[16]前記スチレン系樹脂100重量部に対して、熱線輻射抑制剤の黒色系粒子が0.5重量部以上5.0重量部以下含有される、
[1]~[15]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[17]前記スチレン系樹脂100重量部に対して、グラファイトが0.5重量部以上5.0重量部以下含有される、
[1]~[16]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[18]170℃で10分加熱した後のスチレン系樹脂押出発泡体を250℃で1時間加熱した後にテトラヒドロフランへ溶解したときのテトラヒドロフラン不溶分含有量が5重量%以下である、[1]~[17]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[19]前記スチレン系樹脂押出発泡体の見掛け密度が20kg/m以上60kg/m以下である、[1]~[18]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[20]前記スチレン系樹脂押出発泡体の独立気泡率が85%以上である、[1]~[19]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[21]前記スチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径が0.05mm以上0.15mm未満である、[1]または[3]~[20]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[22]前記スチレン系樹脂押出発泡体の厚みが10mm以上150mm以下である、[1]~[21]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
[23]スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂、発泡剤、および、臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂組成物を押出発泡してスチレン系樹脂押出発泡体を製造する方法であって、
前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、
前記発泡剤が、炭素数3~5の飽和炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、および、ハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、かつ、水を前記スチレン系樹脂100重量部に対して0重量部以上1.0重量部未満含み、
前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、
前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれる、
スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
本発明により、優れた断熱性と難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得ることができる。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び/又は実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態及び/又は実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
本発明者らが鋭意検討した結果、上述した特許文献1~6には以下の問題点があることがわかった。具体的には、特許文献1~5で開示されている高断熱化の手法は、好適な既知の熱線輻射抑制剤が限られること、及び、発泡剤により熱伝導率が決まっていることから、これらの技術による高断熱化には限界がある。更に、特許文献6の手法では、スチレン系樹脂と性質が大きく異なるガスバリア性樹脂を併用しているため、スチレン系樹脂押出発泡体の大きな長所の一つであるマテリアルリサイクル性に劣る。
本発明者らは、このような課題を解決する方法として、先ず、基材樹脂にスチレン-アクリロニトリル共重合体を使用することにより、断熱性が飛躍的に向上することを見出した。スチレン-アクリロニトリル共重合体はポリスチレンに類似した性質を有する樹脂で、耐熱性、耐薬品性などでポリスチレンより優れており、また、ガスバリア性もポリスチレンより若干良い。しかし、スチレン-アクリロニトリル共重合体のガスバリア性は、一般的にガスバリア性樹脂と呼ばれる、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体やポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレートなどには遠く及ばない。特許文献7では、同様にスチレン-アクリロニトリル共重合体を使用したスチレン系樹脂押出発泡体が開示されているが、セルを肥大化させ、押出発泡体の表面性を改善することを目的として水を特定量含ませるための一手段にすぎず、本発明のような断熱性の飛躍的な向上は示唆されていない。更に、本発明者らが鋭意検討した結果、基材樹脂にスチレン-アクリロニトリル共重合体を用いるためには、以下の問題点があることがわかった。具体的には、基材樹脂にスチレン-アクリロニトリル共重合体を含んでいる場合、発泡体に好適な難燃性を付与するためには組み合わせる臭素系難燃剤の種類が重要であること、そして、組み合わせて使用する臭素系難燃剤の種類によっては、臭素系難燃剤の分解が進行した際に、スチレン-アクリロニトリル共重合体と臭素系難燃剤分解物とが反応し、熱によって可塑化しない反応物が発生することがわかった。本発明者らの検討によると、スチレン-アクリロニトリル共重合体と臭素化スチレン-ブタジエンブロックコポリマーのような脂肪族臭素含有ポリマーを含有したスチレン系樹脂押出発泡体において、それらを含む樹脂混合物に複数回の押出機通過に相当するような過剰な熱履歴が加わった場合、前記熱によって可塑化しない反応物が発生し、スチレン系樹脂押出発泡体を製造する際に異物となることで、押出発泡体表面に存在して外観を損ねたり、内部に存在してその後の加工性を悪化させたり、大きな問題となる。これは、基材樹脂がポリスチレンのみのスチレン系樹脂押出発泡体と同様の安定剤を含有した場合においても解消することができない。
例えば、スチレン系樹脂押出発泡体を製造する場合においては、一般的に押し出された発泡体を所定の寸法とするために、切削機を用いてカットするが、その際に発泡体の切削屑が発生する。この切削屑を熱による減容もしくは押出機で再度溶融・ペレット化し、再び原料としてリサイクルすることが同業者間では一般的である。特許文献8、特許文献12に記載されているように、安定剤を配合することによってリサイクル時の難燃剤の分解を抑制することは可能であるが、リサイクル回数が増す毎に難燃剤の分解は少なからず進行し、分解を完全に無くすことは難しい。また、例えば、一般的に押出機の運転を開始するには、運転開始前に運転適正温度への昇温と温度安定化のための待機時間が必要である。この際も、押出機内に残っていた樹脂混合物は過剰な熱履歴を受けることとなり、樹脂混合物に難燃剤が含まれていれば当然分解が進行する。運転開始時に押出機内に残っていた樹脂混合物は通常発泡体とせずに垂れ流されるものであるが、前記した熱によって可塑化しない反応物は、基材樹脂のような流動性がないため、速やかに押し出されずに押出機内で滞留し、時間が経過してから異物としてスチレン系樹脂押出発泡体に混入する。
このように、一般的なスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法の範囲内で樹脂混合物が過剰な熱履歴を受ける場合があり、且つ、その場合に難燃剤の分解を完全に無くすことは困難であり、スチレン系樹脂押出発泡体を安定的に製造するためには、難燃剤が分解しても前述のような異物となる熱によって可塑化しない反応物が発生しないようにすることが重要である。
尚、スチレン系樹脂押出発泡体での異物発生有無は、後述する劣化試験により判別することもできる。該劣化促進試験においてテトラヒドロフラン(以下、「THF」と呼ぶこともある)不溶分が存在するスチレン系樹脂押出発泡体では、製造過程において前述したような過剰な熱履歴が加わる場合において、スチレン系樹脂押出発泡体の表面や内部に例えば1mmφを超えるような大きな塊として存在し、及び/又は多数発生し、異物となって得られるスチレン系樹脂押出発泡体の外観や加工性を損ねる虞がある。
特許文献8~11のように、HBCDに代わる臭素系難燃剤をスチレン系樹脂押出発泡体に適用するための手法として臭素化スチレン-ブタジエンブロックコポリマーのような脂肪族臭素含有ポリマーではなく、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の低分子型の難燃剤を適用する手法も数多く提案されているが、基材樹脂として主に使用しているのはポリスチレンであり、スチレン-アクリロニトリル共重合体の使用による高断熱化は開示もなければ示唆もされていない。また、スチレン-アクリロニトリル共重合体と特定の難燃剤との組み合わせにより生じる前記異物の発生は想定されていない。
以上のように、高断熱性発泡体を製造するための従来技術は、優れた断熱性と難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得るには至っておらず、未だ課題を有するものであった。
本発明者は、このような課題を解決すべく、本発明を完成させた。
本発明の一実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂、発泡剤、および、臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂押出発泡体であって、前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、前記発泡剤が、炭素数3~5の飽和炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、および、ハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を前記スチレン系樹脂押出発泡体1kgあたり合計量で0.30mol以上含み、前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂および臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂押出発泡体であって、前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれ、前記スチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径が0.05mm以上0.15mm未満であることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂、発泡剤、および、臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂押出発泡体であって、前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、前記発泡剤が、ハイドロフルオロオレフィンおよびハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれることを特徴とする。
前述した各実施形態は、各々単独の構成であってもよく、また、各々組み合わされてもよい。以下に本発明の実施形態について説明する。
〔1.スチレン系樹脂押出発泡体〕
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂、発泡剤、および、臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂組成物からなり、前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%~45重量%である ことを特徴とする。スチレン系樹脂組成物はさらに必要に応じてその他の添加剤を適量含有させてもよく、スチレン系樹脂組成物を、押出機などを用いて加熱溶融し、ついで発泡剤を高圧条件下にて添加し、所定の樹脂温度に冷却した後、これを低圧域に押し出すことにより連続的に製造される。
本発明において、スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量は、スチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下である。下限は7重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。一方、上限は、40重量%以下が好ましく、35重量%以下がより好ましい。スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量が5重量%未満では、アクリロニトリル成分の含有量が少なすぎるため、断熱性の向上効果があまり期待できない。スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量が45重量%より多い場合には、アクリロニトリル成分量が多すぎるために発泡時の樹脂の伸びが悪くなり、発泡を阻害するおそれがある。尚、本発明におけるスチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量は、実施例で後述する方法にてIR分析により得られる含有量である。
本発明におけるスチレン-アクリロニトリル共重合体の含有量はスチレン系樹脂100重量%のうち10重量%~100重量%が好ましく、25重量%~100重量%がより好ましく、40重量%~100重量%が更に好ましい。スチレン-アクリロニトリル共重合体の含有量が10重量%未満の場合には、スチレン-アクリロニトリル共重合体の量が少なすぎるため、断熱性の向上効果があまり期待できない。
本発明で用いるスチレン-アクリロニトリル共重合体中に含まれるアクリロニトリル成分量は、下限は10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上が特に好ましい。一方、上限は45重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、35重量%以下が特に好ましい。スチレン-アクリロニトリル共重合体に含まれるアクリロニトリル成分量が10重量%未満の場合には、アクリロニトリル成分量が少なすぎるため、断熱性の向上効果があまり期待できない。スチレン-アクリロニトリル共重合体のアクリロニトリル成分量が45重量%より多い場合には、スチレン成分量が少ないために発泡時の樹脂の伸びが悪くなり、発泡を阻害するおそれがある。
スチレン系樹脂には、スチレン-アクリロニトリル共重合体以外の、スチレン系単量体を構成単位に有する重合体を含有してもよく、特に限定はされないが、(i)スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のスチレン系単量体の単独重合体または2種以上のスチレン系単量体の組み合わせからなる共重合体や、(ii)前記スチレン系単量体と、ジビニルベンゼン、ブタジエン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリロニトリルなど他の単量体の1種または2種以上と、を共重合させた共重合体などが挙げられる。スチレン系単量体と共重合させるアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの他の単量体は、製造されるスチレン系樹脂押出発泡体の圧縮強度等の物性を低下させない程度の量を用いることができる。また、本発明の一実施形態に用いるスチレン系樹脂には、前記スチレン系単量体の単独重合体または共重合体に限られず、前記スチレン系単量体の単独重合体または共重合体と、前記他の単量体の単独重合体または共重合体とのブレンド物を含んでも良い。例えば、本発明の一実施形態に用いるスチレン系樹脂には、前記スチレン系単量体の単独重合体もしくは共重合体と、ジエン系ゴム強化ポリスチレンまたはアクリル系ゴム強化ポリスチレンとのブレンド物を含んでもよい。更に、本発明で用いるスチレン系樹脂には、メルトフローレート(以下、MFRという。)、成形加工時の溶融粘度、溶融張力などを調整する目的で、分岐構造を有するスチレン系(共)重合体を含んでもよい。
本発明におけるスチレン系樹脂には、MFRが0.1~50g/10分である重合体が、(i)押出発泡成形する際の成形加工性に優れる点、(ii)成形加工時の吐出量、得られたスチレン系樹脂押出発泡体の厚み、幅、見掛け密度、及び独立気泡率を所望の値に調整しやすい点、(iii)発泡性(発泡体の厚み、幅、見掛け密度、独立気泡率、及び、表面性などを所望の状況に調整し易さ)に優れる点、(iv)外観などに優れたスチレン系樹脂押出発泡体がえられる点、並びに(v)特性(例えば、圧縮強度、曲げ強度または曲げたわみ量といった機械的強度や靱性など)のバランスがとれた、スチレン系樹脂押出発泡体が得られる点から、好ましい。更に、MFRは、成形加工性及び発泡性と、機械的強度及び靱性とのバランスの点から、0.3~30g/10分がより好ましく、0.5~25g/10分が特に好ましい。なお、本発明の一実施形態において、MFRは、JIS K7210-1(2014)のA法により測定される。
本発明においては、経済性及び加工性の面から、ポリスチレンが含まれることが特に好適である。また、押出発泡体に、より高い耐熱性が要求される場合には、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレンを用いることが好ましい。また、押出発泡体に、より高い耐衝撃性が求められる場合には、ゴム強化ポリスチレンを用いることが好ましい。これらは、単独で使用してもよく、また、共重合成分、分子量、分子量分布、分岐構造、及び/又はMFRなどの異なるスチレン系(共)重合体を2種以上混合して使用してもよい。
本発明において、スチレン-アクリロニトリル共重合体以外にポリスチレンを含めてもよい形態においては、スチレン系樹脂100重量%に含まれるポリスチレンの含有量は0重量%~90重量%が好ましく、10重量%~80重量%がより好ましく、20重量%~70重量%が特に好ましい。また、スチレン-アクリロニトリル共重合体の含有量はスチレン系樹脂100重量%において10重量%~100重量%が好ましく、20重量%~90重量%がより好ましく、30重量%~80重量%が特に好ましい。スチレン系樹脂におけるポリスチレンとスチレン-アクリロニトリル共重合体を前記範囲とすることで、断熱性の向上効果と発泡時の成形加工性を両立することができる。
本発明において、スチレン系樹脂押出発泡体の基材樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、スチレン系樹脂以外の樹脂、例えば、樹脂中にアクリロニトリル成分を50重量%以上含有するニトリル系樹脂などを含有してもよいが、基材樹脂100重量%としたときにスチレン系樹脂が99.5重量%超であることが好ましく、99.7重量%以上がより好ましく、100重量%が特に好ましい。スチレン系樹脂以外の樹脂の含有量が0.5重量%以上の場合、発泡時の樹脂の伸びが悪くなり、発泡を阻害するおそれがある。また、スチレン系樹脂としてのマテリアルリサイクル性に劣るおそれがある。
本発明の一実施形態では、発泡剤として炭素数3~5の飽和炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、および、ハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群の少なくとも1種を使用する。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。更に、当該一実施形態では、炭素数3~5の飽和炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、および、ハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群の少なくとも一種からなる発泡剤の合計量がスチレン系樹脂押出発泡体1kgあたり0.30mol以上含まれる。0.35mol以上含まれることが好ましく、0.40mol以上含まれることがより好ましい。スチレン系樹脂押出発泡体1kgあたりに含まれる発泡剤量が0.30mol未満では、スチレン系樹脂押出発泡体に含まれる発泡剤の量が少な過ぎるため、スチレン系樹脂押出発泡体内に含まれる空気の量を少なくできたとしても、割合的に空気の影響が大きくなり、断熱性の向上効果が期待できない。
本発明の他の一実施形態では、発泡剤として、ハイドロフルオロオレフィンおよび/またはハイドロクロロフルオロオレフィンを使用する。これらは単独であってもよいし、2種以上併用してもよい。ハイドロフルオロオレフィンおよび/またはハイドロクロロフルオロオレフィンの含有量は特に限定されないが、上記同様の理由により、スチレン系樹脂押出発泡体1kgあたりに0.30mol以上含まれることが好ましく、0.35mol以上がより好ましく、0.40mol以上がさらに好ましい。
本発明で用いる炭素数3~5の飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。これらの炭素数3~5の飽和炭化水素のなかでは、発泡性の点から、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、あるいは、これらの混合物が好ましい。また、発泡体の断熱性能の点から、n-ブタン、i-ブタン(以下、「イソブタン」と呼ぶこともある)、あるいは、これらの混合物が好ましく、特に好ましくはi-ブタンである。
本発明で用いるハイドロフルオロオレフィンとしては、特に制限はないが、テトラフルオロプロペンが、低い気体の熱伝導率及び安全性の観点から好ましい。具体的にはトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234ze)、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(シス-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234yf)などが挙げられる。また、本発明で用いるハイドロフルオロオレフィンは、塩素化されたハイドロクロロフルオロオレフィンでも良い。ハイドロクロロフルオロオレフィンとしては、特に制限はないが、ハイドロクロロトリフルオロプロペンが、低い気体の熱伝導率や安全性の観点から好ましい。具体的にはトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)などが挙げられる。これらのハイドロフルオロオレフィンおよびハイドロクロロフルオロオレフィンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係るハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィンの添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部~14.0重量部が好ましく、2.0重量部~13.0重量部がより好ましく、3.0重量部~12.0重量部が特に好ましい。ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィンの添加量がスチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部より少ない場合には、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィンによる断熱性の向上効果があまり期待できない。一方、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィンの添加量がスチレン系樹脂100重量部に対して14.0重量部を超える場合には、押出発泡時にハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィンが樹脂溶融物から分離して、押出発泡体の表面にスポット孔(ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィンの局所的塊が、押出発泡体表面を突き破って外気へ放出された痕。)が発生したり、独立気泡率が低下して断熱性を損なう虞がある。
ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィンは、オゾン層破壊係数がゼロか、極めて小さいものであり、地球温暖化係数が非常に小さく、環境に優しい発泡剤である。しかも、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィンは、気体状態の熱伝導率が低く、且つ難燃性であることから、スチレン系樹脂押出発泡体の発泡剤として用いることにより、スチレン系樹脂押出発泡体に優れた断熱性、及び難燃性を付与することができる。
一方、前記のテトラフルオロプロペンのようなスチレン系樹脂に対する溶解性が低いハイドロフルオロオレフィンを使用した場合には、添加量の増量に伴ってハイドロフルオロオレフィンが樹脂溶融物から分離、及び/又は、気化することにより、ハイドロフルオロオレフィンが造核点となって、(i)発泡体の気泡が微細化すること、(ii)樹脂に残存している発泡剤が減少して樹脂溶融物に対する可塑化効果が低下すること、(iii)発泡剤の気化潜熱による樹脂溶融物の冷却及び固化が生じること、を招き、その結果、押出発泡体に美麗な表面を付与すること、及び、押出し発泡成形体の厚みを出すことが難しくなる傾向にある。特に、前記したようにハイドロフルオロオレフィンの添加量がスチレン系樹脂100重量部に対して14.0重量部を超える場合には、押出発泡体表面におけるスポット孔の発生も伴って、成形性の悪化がより顕著なものとなるおそれがある。
目的とする発泡倍率、難燃性等の発泡体の諸特性いかんによっては、前記炭素数3~5の飽和炭化水素、及び/又は前記ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィンの添加量などが制限される場合があり、該添加量が所望の範囲外の場合には、押出発泡成形性などが充分でない場合がある。
本発明では、さらに、他の発泡剤を用いることにより、発泡体製造時の可塑化効果及び/又は助発泡効果が得られ、押出圧力を低減し、安定的に発泡体の製造が可能となる。
他の発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類;ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、エチル-n-プロピルケトン、エチル-n-ブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコールなどの炭素数1~4の飽和アルコール類;蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類;塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキルなどの有機発泡剤、水、二酸化炭素などの無機発泡剤、アゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤などを用いることができる。これら他の発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
他の発泡剤の中では、発泡性、及び発泡体成形性などの点からは、炭素数1~4の飽和アルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルなどが好ましく、発泡剤の燃焼性、発泡体の難燃性の点からは、水、二酸化炭素が好ましい。更に、断熱性向上効果が大きいことから、塩化アルキルが好ましく、中でも、塩化メチル、塩化エチルが特に好ましい。
また、他の発泡剤として水を用いる場合、水の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0重量部以上1.0重量部未満が好ましく、0重量部以上0.5重量部未満がより好ましい。水の添加量が1.0重量部以上の場合、水と塩化アルキルや後述する臭素系難燃剤が押出機内の高温、高圧下で長い時間共存することにより、分解と反応により腐食性ガスを発生する場合があり、装置の劣化を促す虞がある。
本発明における発泡剤の添加量は、発泡剤全体として、スチレン系樹脂100重量部に対して、2重量部~20重量部が好ましく、2重量部~15重量部がより好ましい。発泡剤の添加量が2重量部より少ないと、発泡倍率が低く、樹脂発泡体としての軽量性、及び断熱性などの特性が発揮されにくい場合があり、20重量部より多いと、過剰な発泡剤量の為、発泡体中にボイドなどの不良を生じる場合がある。
尚、本発明において、各発泡剤の添加量は、各発泡剤の発泡時の含有量に相当する。
本発明においては、他の発泡剤として水、及び/又はアルコール類を用いる場合には、安定して押出発泡成形を行うために、吸水性物質を添加することが好ましい。吸水性物質の具体例としては、ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉-アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール-アクリル酸塩系共重合体、エチレン-ビニルアルコール系共重合体、アクリロニトリル-メタクリル酸メチル-ブタジエン系共重合体、ポリエチレンオキサイド系共重合体およびこれらの誘導体などの吸水性高分子の他、表面にシラノール基を有する無水シリカ(酸化ケイ素)[例えば、日本アエロジル(株)製AEROSILなどが市販されている]などのように表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末;スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性あるいは水膨潤性の層状珪酸塩並びにこれらの有機化処理品;ゼオライト、活性炭、アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス、活性白土、けい藻土、ベントナイトなどの多孔性物質等があげられる。吸水性物質の添加量は、水、及び/又はアルコール類の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部~5重量部が好ましく、0.1重量部~3重量部がより好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法において、発泡剤を添加または注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
本発明では、スチレン系樹脂押出発泡体において、スチレン系樹脂100重量部に対して難燃剤を1.0重量部~10.0重量部含有させることにより、得られるスチレン系樹脂押出発泡体に難燃性を付与することができる。難燃剤の含有量が1.0重量部未満では、難燃性などの発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向があり、一方、10.0重量部を超えると、発泡体製造時の安定性、表面性などを損なう場合がある。但し、難燃剤の含有量は、JIS A9521測定方法Aに規定される難燃性が得られるように、発泡剤含有量、発泡体の見掛け密度、難燃相乗効果を有する添加剤などの種類あるいは含有量などに応じて、適宜調整されることがより好ましい。本発明は、後述するとおり2000以下の低分子型の臭素系難燃剤を使用するものではあるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、難燃剤として、当該臭素系難燃剤以外の公知の難燃剤を併用してもよい。
本発明では、難燃剤の少なくとも一種として次の臭素系難燃剤を用いることを特徴とする。本発明における臭素系難燃剤は、分子量が2000以下の低分子型の臭素系難燃剤であり、分子量は1500以下が好ましく、1000以下がより好ましい。分子量が2000より大きい、例えば、高分子型の臭素系難燃剤である臭素化スチレン-ブタジエンブロックコポリマーのような脂肪族臭素含有ポリマーを使用した場合、熱によって可塑化しないスチレン-アクリロニトリル共重合体との反応物が発生し、得られる発泡体の外観を損ねる恐れがある。分子量が2000以下の低分子型の臭素系難燃剤を用いることにより、そのような問題が生じず、スチレン系樹脂押出発泡体に好適な難燃性を付与することができる。尚、本発明において高分子型の臭素系難燃剤の分子量とは、一般的にGPCにより測定可能なポリスチレン換算の数平均分子量のことである。
本発明における臭素系難燃剤の具体的な例としては、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルのような臭素化ビスフェノール系難燃剤、および、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートのような臭素化イソシアヌレート系難燃剤である。これらは、単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。
本発明では、前記臭素系難燃剤の少なくとも一種がテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルであることが好ましい。中でも前記臭素系難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及び、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルを含む形態、又は、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及び、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートを含む形態が、得られるスチレン系樹脂押出発泡体に好適な難燃性を付与することができることからより好ましい。
また、前記臭素系難燃剤に含まれるテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルの含有量は、前記臭素系難燃剤全体を100重量%とした場合、25重量%~75重量%であることが好ましい。
理由は定かではないが、前記臭素系難燃剤に含まれるテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルが前記臭素系難燃剤全体を100重量%とした場合に25~75重量%の範囲であると、得られるスチレン系樹脂押出発泡体の難燃性能に関しては、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルの高い難燃性能が影響するためか、混合相手であるテトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルまたは(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートのデメリットであった低い難燃性能を打ち消し、あたかもテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル単独であるかのような高い難燃性能を発現することができる。一方、得られるスチレン系樹脂押出発泡体の熱安定性に関しては、熱安定性能が低いテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルの含有量を減少させられ、代わりに熱安定性の高いテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルまたは(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートを含有することができるので、熱安定性は、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルを単独で用いるよりも高くすることができる。
テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルの含有量が、前記臭素系難燃剤全体を100重量%とした場合に、25重量%未満では、得られる難燃性が低い傾向にあり、75重量%を超えると、熱安定性が悪化する傾向にある。
尚、スチレン系樹脂内での難燃剤の分散・バラツキを考慮して、安定的により高い難燃性およびより高い熱安定性を得ようとする際には、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルの含有量は35重量%~65重量%の範囲であることが好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における臭素系難燃剤の含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、1.0重量部以上8.0重量部以下であり、スチレン系樹脂100重量部に対して1.5重量部以上が好ましく、2.0重量部以上がより好ましい。一方、7.0重量部以下が好ましく、6.0重量部以下がより好ましい。臭素系難燃剤の含有量が1.0重量部未満では、難燃性などの発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向があり、一方、8.0重量部を超えると、発泡体製造時の安定性、表面性などを損なう場合がある。
本発明においては、スチレン系樹脂押出発泡体の難燃性能を向上させる目的で、ラジカル発生剤を併用することができる。前記ラジカル発生剤は、具体的には、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン、2,3-ジエチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジエチル-3,4-ジフェニルヘキサン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-エチル-1-ペンテン等が挙げられる。ジクミルパーオキサイドの様な過酸化物も用いられる。その中でも、樹脂加工温度条件にて、安定なものが好ましく、具体的には2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、及びポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼンが好ましく、前記ラジカル発生剤の好ましい添加量としては、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.05重量部~0.5重量部である。
更に、難燃性能を向上させる目的で、言い換えれば難燃助剤として、熱安定性能を損なわない範囲で、リン酸エステル及びホスフィンオキシドのようなリン系難燃剤を併用することができる。リン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリス(トリブチルブロモネオペンチル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、または縮合リン酸エステル等が挙げられ、特にトリフェニルホフェート、又はトリス(トリブチルブロモネオペンチル)ホスフェートが好ましい。又、ホスフィンオキシド型のリン系難燃剤としては、トリフェニルホスフィンオキシドが好ましい。これらリン酸エステル及びホスフィンオキシドは単独または2種以上併用しても良い。リン系難燃剤の好ましい添加量としては、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1重量部~2重量部である。
本発明においては、必要に応じて樹脂、及び/又は、難燃剤の安定剤を使用することが出来る。特に限定されるものでは無いが、安定剤の具体的な例としては、(i)ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂のようなエポキシ化合物、(ii)ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多価アルコールと、酢酸、プロピオン酸等の一価のカルボン酸、又は、アジピン酸、グルタミン酸等の二価のカルボン酸との反応物であるエステルであって、その分子中に一個以上の水酸基を持つエステルの混合物であり、原料の多価アルコールを少量含有することもある、多価アルコールエステル、(iii)トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナートのようなフェノール系安定剤、(iv)3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、及びテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト)のようなホスファイト系安定剤、などが発泡体の難燃性能を低下させることなく、かつ、発泡体の熱安定性を向上させることから、好適に用いられる。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、断熱性向上のため、熱線輻射抑制剤を含有しても良い。前記熱線輻射抑制剤とは、近赤外または赤外領域の光を反射、散乱、及び吸収する特性を有する物質をいう。熱線輻射抑制剤を含有することにより、高い断熱性を有する発泡体となり得る。熱線輻射抑制剤としては、例えば、グラファイトやカーボンブラック、活性炭などの黒色系粒子、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモンなどの白色系粒子が挙げられる。これらは、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。これら中でも、熱線輻射抑制効果が高いことから、黒色系粒子ではグラファイトとカーボンブラックが好ましく、グラファイトがより好ましい。また、白色系粒子では酸化チタンと硫酸バリウムが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
本発明におけるグラファイトは、例えば、鱗(片)状黒鉛、土状黒鉛、球状黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。これらの中でも、熱線輻射抑制効果が高い点から、主成分が鱗(片)状黒鉛のものを用いることが好ましい。グラファイトは、固定炭素分が80%以上のものが好ましく、85%以上のものがより好ましい。固定炭素分を上記範囲とすることで高い断熱性を有する発泡体が得られる。
本発明のおける黒色系粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、例えば、グラファイトであれば15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。また、カーボンブラックであれば0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましい。平均粒径を上記範囲とすることで、グラファイトの比表面積が大きくなり、熱線輻射との衝突確率が高くなるため、熱線輻射抑制効果が高くなる。前記平均粒径は、ISO13320:2009,JIS Z8825:2013に準拠したMie理論に基づくレーザー回折散乱法により粒度分布を測定・解析し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になる時の粒径(レーザー回折散乱法による体積平均粒径)を意味する。
本発明における黒色系粒子の含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上5.0重量部以下が好ましく、1.0重量部以上3.0重量部以下がより好ましい。含有量が0.5重量部未満では、十分な熱線輻射抑制効果が得られない傾向がある。含有量が5.0重量部超では、含有量相応の熱線輻射抑制効果が得られずコストメリットが無い場合がある。
本発明における白色系粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、効果的に赤外線を反射し、また樹脂への発色性を考慮すれば、例えば、酸化チタンでは0.1μm~10μmが好ましく、0.15μm~5μmがより好ましい。
本発明における白色系粒子の含有量としては、スチレン系樹脂100重量部に対して、1.0重量部~3.0重量部が好ましく、1.5重量部~2.5重量部がより好ましい。白色系粒子は、黒色系粒子と比較して熱線輻射抑制効果が小さく、白色系粒子の含有量が1.0重量部未満では、前記白色系粒子を含有しても熱線輻射抑制効果は殆どない。白色系粒子の含有量が3.0重量部超では、含有量相応の熱線輻射抑制効果が得られない、一方で、発泡体の難燃性が悪化する傾向がある。
本発明における熱線輻射抑制剤の合計含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.5重量部~6.0重量部が好ましく、2.0重量部~5.0重量部がより好ましい。熱線輻射抑制剤の合計含有量が0.5重量部未満では、断熱性が得られがたく、一方、熱線輻射抑制剤のような固体添加剤の含有量が増すほど、造核点が増えるために発泡体の気泡が微細化したり、樹脂自体の伸びが悪化したりすることで、押出発泡体に美麗な表面を付与すること、及び押出発泡体の厚みを出すことが難しくなる傾向にあるが、熱線輻射抑制剤の合計含有量が6.0重量部超では、特に、押出発泡体に美麗な表面を付与すること、及び押出発泡体の厚みを出すこと、が劣る傾向があり、更に、押出安定性を損なう傾向、及び難燃性が損なわれる傾向がある。
本発明においては、さらに、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、シリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、タルクなどの気泡径調整剤、ポリエチレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステルなどの成形性改善剤、前記以外の帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤がスチレン系樹脂に含有されてもよい。
スチレン系樹脂に各種添加剤を配合する方法、手順としては、例えば、スチレン系樹脂に対して各種添加剤を添加してドライブレンドにより混合する方法、押出機の途中に設けた供給部より溶融したスチレン系樹脂に各種添加剤を添加する方法、あらかじめ押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いてスチレン系樹脂へ高濃度の各種添加剤を含有させたマスターバッチを作製し、当該マスターバッチとスチレン系樹脂とをドライブレンドにより混合する方法、又は、スチレン系樹脂とは別の供給設備により各種添加剤を押出機に供給する方法、などが挙げられる。例えば、スチレン系樹脂に対して各種添加剤を添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、更に発泡剤を添加して混合する手順が挙げられるが、各種添加剤又は発泡剤をスチレン系樹脂に添加するタイミング及び混練時間は特に限定されない。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率は特に限定はないが、例えば建築用断熱材、又は、保冷庫用若しくは保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性の観点から、平均温度23℃で測定した製造1週間後の熱伝導率が0.0284W/mK以下であることが好ましく、0.0244W/mK以下であることがより好ましく、0.0224W/mK以下であることが特に好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の見掛け密度は、例えば建築用断熱材、又は保冷庫用若しくは保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性および、軽量性の観点から、好ましくは20kg/m以上であり、より好ましくは25kg/m以上である。一方、60kg/m以下が好ましく、50kg/m以下がより好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の独立気泡率は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。独立気泡率が85%未満では、発泡剤が押出発泡体から早期に散逸し、断熱性が低下する場合がある。
本発明の一実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡体では、スチレン系樹脂押出発泡体の厚み方向の平均気泡径は、0.05mm以上0.15mm未満が好ましく、0.05mm以上0.13mm以下 がより好ましく、0.05mm以上0.10mm以下が特に好ましい。一般に、平均気泡径が小さいほど、発泡体の気泡壁間距離が短くなるために、押出発泡の際に押出発泡体に形状付与する際の押し出し発泡体の気泡の可動域が狭く、変形が困難であり、押出発泡体に美麗な表面を付与すること及び押出発泡体の厚みを出すことが難しくなる傾向にある。スチレン系樹脂押出発泡体の厚み方向の平均気泡径が0.05mmより小さいと、特に、押出発泡体に美麗な表面を付与すること及び押出発泡体の厚みを出すことが難しくなる傾向が顕著なものとなる。一方、スチレン系樹脂押出発泡体の厚み方向の平均気泡径が0.15mm以上の場合、十分な断熱性が得られない虞がある。
尚、本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径は、マイクロスコープ[(株)KEYENCE製、DIGITAL MICROSCOPE VHX-900]を用いて、次に記載の通り評価する。
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部、及び幅方向の一端から逆端方向に150mmの場所(幅方向両端について同じ場所)の計3箇所の厚み方向中央部の幅方向垂直断面を押出方向と幅方向から前記マイクロスコープにて観察し、100倍の拡大写真を撮影した。前記拡大写真の厚み方向に任意に2mmの直線を3本引き(各観察箇所、各観察方向につき3本。)、その直線に接する気泡の個数aを測定する。測定した気泡の個数aから、次式(1)により観察箇所毎の厚み方向の平均気泡径Aを求めた。3箇所(各箇所2方向ずつ)の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の厚み方向の平均気泡径A(平均値)とする。
観察箇所毎の厚み方向の平均気泡径A(mm)=2×3/気泡の個数a
・・・(1)
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部、及び幅方向の一端から逆端方向に150mmの場所(幅方向両端について同じ場所)の計3箇所の厚み方向中央部の押出方向垂直断面を幅方向から前記マイクロスコープにて観察し、100倍の拡大写真を撮影する。前記拡大写真の押出方向に任意に2mmの直線を3本引き(各観察箇所につき3本。)、その直線に接する気泡の個数bを測定する。測定した気泡の個数bから、次式(2)により観察箇所毎の押出方向の平均気泡径Bを求める。3箇所の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の押出方向の平均気泡径B(平均値)とする。
観察箇所毎の押出方向の平均気泡径B(mm)=2×3/気泡の個数b
・・・(2)
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部、及び幅方向の一端から逆端方向に150mmの場所(幅方向両端について同じ場所)の計3箇所の厚み方向中央部の幅方向垂直断面を押出方向から前記マイクロスコープにて観察し、100倍の拡大写真を撮影する。前記拡大写真の幅方向に任意に2mmの直線を3本引き(各観察箇所につき3本。)、その直線に接する気泡の個数cを測定する。測定した気泡の個数cから、次式(3)により観察箇所毎の幅方向の平均気泡径Cを求める。3箇所の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向の平均気泡径C(平均値)とする。
観察箇所毎の幅方向の平均気泡径C(mm)=2×3/気泡の個数c
・・・(3)
上記の通り求めた厚み方向の平均気泡径A、押出方向の平均気泡径B、幅方向の平均気泡径Cを相加平均して求めた値を、スチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径とする。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の気泡変形率は、0.7以上2.0以下が好ましく、0.8以上1.5以下がより好ましく、0.8以上1.2以下が更に好ましい。気泡変形率が0.7よりも小さい場合、圧縮強度が低くなり、押出発泡体において用途に適した強度を確保できない虞がある。また、気泡が球状に戻ろうとするため、押出発泡体の寸法(形状)維持性に劣る傾向がある。一方、気泡変形率が2.0超えの場合、押出発泡体の厚み方向における気泡数が少なくなるため、気泡形状による断熱性向上効果が小さくなる。
尚、本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の気泡変形率は、前記した平均気泡径から、次式(4)により求めることができる。
気泡変形率(単位なし)=A(平均値)/{〔B(平均値)+C(平均値)〕/2}・・・(4)
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における厚みは、例えば建築用断熱材、又は保冷庫用若しくは保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性、曲げ強度及び圧縮強度の観点から、10mm~150mmであることが好ましく、より好ましくは20mm~130mmであり、特に好ましくは20mm~120mmである。
尚、スチレン系樹脂押出発泡体では、本発明の実施例、及び比較例に記載したように、押出発泡成形して形状を付与した後に、厚み方向と垂直な平面の両表面を厚み方向に片側5mm程度の深さでカットして製品厚みとする場合があるが、別途記載がない限り、本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における厚みとは押出発泡成形して形状を付与したままのカットしていない厚みのことである。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、後述するスチレン系樹脂押出発泡体の劣化促進試験において、スチレン-アクリロニトリル共重合体に起因する成分を含むテトラヒドロフラン不溶分含有量が1重量%以下であることが好ましい。このTHF不溶分は、前述したスチレン-アクリロニトリル共重合体と臭素系難燃剤との反応によって発生する熱によって可塑化しない反応物に該当する。前記劣化促進試験においてTHF不溶分含有量が1重量%を超えて存在するスチレン系樹脂押出発泡体では、製造過程において前述したような過剰な熱履歴が加わる場合において、スチレン系樹脂押出発泡体の表面や内部に例えば1mmφを超えるような大きな塊として存在し、及び/又は多数発生し、異物となって得られるスチレン系樹脂押出発泡体の外観や加工性を損ねる虞がある。熱によって可塑化しない反応物は、反応の進行具合によって色の濃さが変化するものの通常黄色や茶色であるが、前記グラファイトや顔料などの着色性能を有する添加剤を配合しているスチレン系樹脂押出発泡体においては、前記熱によって可塑化しない反応物がそれら添加剤を巻き込んで強く発色するため、スチレン系樹脂押出発泡体中に異物として存在した場合、特に外観を損ねる。尚、本発明における劣化促進試験の方法詳細は実施例にて後述するものとする。
かくして、本発明により、優れた断熱性と難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得ることができる。
〔2.スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法〕
以下に述べるスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、本発明のスチレン系樹脂押出発泡体を製造するために用いられる、好ましい実施形態の一つである。スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法における構成のうち、〔1.スチレン系樹脂押出発泡体〕にて既に説明した構成については、ここではその説明を省略する。
スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法の好ましい一実施形態としては、スチレン系樹脂、臭素系難燃剤、及び、必要に応じて、安定剤、熱線輻射抑制剤、又はその他の添加剤等を押出機等の加熱溶融部に供給する。このとき、任意の段階で高圧条件下にて発泡剤をスチレン系樹脂に添加することができる。そして、スチレン系樹脂、臭素系難燃剤、発泡剤を含む混合物を流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却した後、ダイを通して該流動ゲルを低圧領域に押出発泡して、発泡体を形成する。
前記加熱溶融部における加熱温度は、使用されるスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、添加剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば150℃~260℃程度が好ましい。加熱溶融部における溶融混練時間は、単位時間当たりのスチレン系樹脂の押出量、及び/又は、加熱溶融部として用い、かつ、溶融混練部として用いられる押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、スチレン系樹脂と発泡剤及び添加剤とが均一に分散混合されるのに要する時間として適宜設定される。
溶融混練部としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられるものであれば特に制限されない。
本発明に係る発泡成形方法は、例えば、押出成形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ開放して得られた押出発泡体を、スリットダイと密着又は接して設置された成形金型、及び該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する方法が用いられる。成形金型の流動面形状調整および金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体の表面性、発泡体品質が得られる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは勿論である。
実施例および比較例において使用した原料は、次の通りである。
○基材樹脂
・スチレン系樹脂A [スチレン-アクリロニトリル共重合体;デンカ(株)製、デンカAS GR-AT-5S;アクリロニトリル成分量25重量%、MFR8.0g/10分]
・スチレン系樹脂B [スチレン-アクリロニトリル共重合体;デンカ(株)製、デンカAS AS-EXS;アクリロニトリル成分量25重量%、MFR2.1g/10分]
・スチレン系樹脂C [スチレン-アクリロニトリル共重合体;デンカ(株)製、デンカAS AS-XGS;アクリロニトリル成分量28重量%、MFR2.1g/10分]
・スチレン系樹脂D [ポリスチレン;PSジャパン(株)製、G9401;MFR2.2g/10分]
○熱線輻射抑制剤
・グラファイト [(株)丸豊鋳材製作所製、M-885;鱗(片)状黒鉛、一次粒径5.5μm、固定炭素分89%]
○難燃剤
・テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル(臭素系難燃剤) [第一工業製薬(株)製、SR-130、分子量972]
・テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及びテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルの混合臭素系難燃剤 [第一工業製薬(株)製、GR-125P、分子量972/952]
・臭素化スチレン-ブタジエンブロックポリマー [ケムチュラ製、EMERALD INNOVATION #3000、数平均分子量140000]
○難燃助剤
・トリフェニルホスフィンオキシド [住友商事ケミカル]
○ラジカル発生剤
・ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン [UNITED INITIATORS製、CCPIB]
○安定剤
・ビスフェノール-A-グリシジルエーテル [(株)ADEKA製、EP-13]
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂 [ハンツマンジャパン製、ECN-1280]
・ジペンタエリスリトール-アジピン酸反応混合物 [味の素ファインテクノ(株)製、プレンライザーST210]
・ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート] [ケムチュラ製、ANOX20]
・3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン [ケムチュラ製、Ultranox626]
・トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート [Songwon Japan(株)製、ソンノックス2450FF]
○その他添加剤
・タルク [林化成(株)製、タルカンパウダーPK-Z]
・ステアリン酸カルシウム [堺化学工業(株)製、SC-P]
・ベントナイト [(株)ホージュン製、ベンゲルブライト11K]
・シリカ [エボニックデグサジャパン(株)製、カープレックスBS-304F]
・エチレンビスステアリン酸アミド [日油(株)製、アルフローH-50S]
・ステアリン酸モノグリセリド [理研ビタミン(株)製、リケマールS-100P]
○発泡剤
・HFO-1234ze [ハネウェルジャパン(株)製]
・ジメチルエーテル [岩谷産業(株)製]
・イソブタン [三井化学(株)製]
・塩化エチル [日本特殊化学工業(株)製]
・水 [大阪府摂津市水道水]
実施例および比較例に係る押出発泡体の物性について、以下の手法に従ってスチレン系樹脂押出発泡体の厚み(カット前)、スチレン系樹脂中のアクリロニトリル含有量、スチレン系樹脂押出発泡体1kgあたりの発泡剤含有量、見掛け密度、独立気泡率、平均気泡径、気泡変形率、熱伝導率、JIS燃焼性、劣化促進試験を評価、実施した。
(1)スチレン系樹脂押出発泡体の厚み(カット前)
ノギス[(株)ミツトヨ製、M型標準ノギスN30]を用いて、幅方向中央部、及び幅方向の一端から逆端方向に150mmの場所(幅方向両端について同じ場所)の厚み、計3点を測定した。3点の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の厚みとした。
(2)スチレン系樹脂中のアクリロニトリル含有量
得られたスチレン系樹脂押出発泡体IRにより以下の条件で分析した。
・装置;FT-IR [Perkin Elmer社製、spectrometer model Spectrum One]
・測定範囲;4000~400cm-1
・検出器;DTGS
・積算回数;4回
・分解能;4.00cm-1
得られた分析結果において、2240cm-1付近に現れるアクリロニトリル由来のピーク、及び、1600cm-1付近に現れるスチレン由来のピーク、各々の吸光度からアクリロニトリル含有量(重量%)を求めた。
(3)スチレン系樹脂押出発泡体1kgあたりの発泡剤含有量
得られたスチレン系樹脂押出発泡体をJIS K 7100に規定された標準温度状態3級(23℃±5℃)、及び標準湿度状態3級(50+20、-10%R.H.)の条件下に静置し、製造から7日後のHFO-1234ze含有量、及びイソブタン含有量を以下の設備、手順にて評価した。
a)使用機器;ガスクロマトグラフ GC-2014 [(株)島津製作所製]
b)使用カラム;G-Column G-950 25UM [化学物質評価研究機構製]
c)測定条件;
・注入口温度:65℃
・カラム温度:80℃
・検出器温度:100℃
・キャリーガス:高純度ヘリウム
・キャリーガス流量:30mL/分
・検出器:TCD
・電流:120mA
約130ccの密閉可能なガラス容器(以下、「密閉容器」と言う)に、発泡体から切り出した見掛け密度により異なるが約1.2gの試験片を入れ、真空ポンプにより密閉容器内の空気抜きを行った。その後、密閉容器を170℃で10分間加熱し、発泡体中の発泡剤を密閉容器内に取り出した。密閉容器が常温に戻った後、密閉容器内にヘリウムを導入して大気圧に戻した後、マイクロシリンジにより40μLのHFO-1234ze、イソブタンを含む混合気体を取り出し、上記a)~c)の使用機器、測定条件にて評価した。
(4)見掛け密度(kg/m
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の重量を測定すると共に、長さ寸法、幅寸法、厚み寸法を測定した。
測定された重量および各寸法から、以下の式(5)に基づいて発泡体密度を求め、単位をkg/mに換算した。
見掛け密度(g/cm)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm)・・・(5)
(5)独立気泡率
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部、及び幅方向の一端から逆端方向に150mmの場所(幅方向両端について同じ場所)の計3箇所から厚さ40mm(但し、製品厚みが40mmに満たない製品は製品厚みのままとした)×長さ(押出方向)25mm×幅25mmに切り出した試験片を用い、ASTM-D2856-70の手順Cに従って測定し、以下の計算式(6)にて各試験片の独立気泡率を求め、3箇所の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の独立気泡率とした。
独立気泡率(%)=(V1-W/ρ)×100/(V2-W/ρ)・・・(6)
ここで、V1(cm)は空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、空気比較式比重計、型式1000型]を用いて測定した試験片の真の体積(独立気泡でない部分の容積が除かれる。)である。V2(cm)は、ノギス[(株)ミツトヨ製、M型標準ノギスN30]を用いて測定した試験片の外側寸法より算出した見掛けの体積である。W(g)は試験片の全重量である。また、ρ(g/cm)は押出し発泡体を構成するスチレン系樹脂の密度であり、ポリスチレンは1.05(g/cm)、スチレン-アクリロニトリル共重合体は1.07(g/cm)とし、スチレン系樹脂中に含有される各々の重量比率(重量%)に応じて計算し、使用した。
(6)厚み方向の平均気泡径と気泡変形率
得られたスチレン系樹脂押出発泡体について、前述の通り評価した。
(7)熱伝導率
JIS A 9521に準じて、厚さ製品厚み×長さ(押出方向)300mm×幅300mmに切り出した試験片を用い、熱伝導率測定装置[英弘精機(株)、HC-074]にて平均温度23℃での熱伝導率を測定した。測定は、スチレン系樹脂押出発泡体の製造後、前記寸法の試験片に切削し、JIS K 7100に規定された標準温度状態3級(23℃±5℃)、及び標準湿度状態3級(50+20、-10%R.H.)の条件下に静置し、製造から1週間後に行った。
(8)JIS燃焼性
JIS A 9521に準じて、厚さ10mm×長さ200mm×幅25mmの試験片を用い、以下の基準で評価した。測定は、スチレン系樹脂押出発泡体の製造後、前記寸法の試験片に切削し、JIS K 7100に規定された標準温度状態3級(23℃±5℃)、及び標準湿度状態3級(50+20、-10%R.H.)の条件下に静置し、製造から1週間後に行った。
○:3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を超えて燃焼しないとの基準を満たす。
×:上記基準を満たさない。
(9)劣化促進試験
得られたスチレン系樹脂押出発泡体から試験片を切り出し、乾燥機[ヤマト科学(株)、ファインオーブン DH-42]にて170℃で10分間加熱して発泡剤を取り除いたもの 約1.0gをサンプルとした。更に、このサンプルを、乾燥機にて250℃で1時間加熱し、劣化サンプルとした。
得られた劣化サンプル全量を適当なサイズのスクリュー管に計量した50mLのTHFへ劣化サンプル全体が浸るように投入し、スクリュー管を密閉した。劣化サンプル、THFの入ったスクリュー管に超音波洗浄機[アズワン(株)、超音波洗浄機 USM(発振周波数;42kHz)]で10分間、超音波を照射した。超音波洗浄機からスクリュー管を取り出して24時間静置し、劣化サンプルのTHF溶液を得た。
次いで、劣化サンプルのTHF溶液を孔径1.0μmのメンブレンフィルターを通して濾過し、更に、THFで追加洗浄し、メンブレンフィルターを通らなかった残存物を乾燥機にて100℃で24時間乾燥した。
乾燥後の残存物の重量を計測し、計測した重量から含有する無機物の重量を引いてTHF不溶分重量とし、計算式(7)によりTHF不溶分含有量(重量%)を求め、下記する基準にて評価した。THF不溶分含有量(重量%)
=THF不溶分重量(g)/サンプル重量(g)×100・・・(7)
◎:THF不溶分含有量が1重量%以下である。
○:THF不溶分含有量が1重量%より多く、5重量%以下である。
×:THF不溶分含有量が5重量%より多い。
尚、前記残存物が含有する無機物の重量は、発泡剤を除いたスチレン系樹脂押出発泡体の配合通りとして計算すれば良いが、不明な場合は、例えば、以下の通り分析すれば良い。
スチレン系樹脂押出発泡体から試験片を切り出し、乾燥機にて170℃で10分間加熱して発泡剤を除いたもの約10mgをサンプルとする。このサンプルを、熱分析システム:EXSTAR6000を備えた熱重量測定装置[エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)、TG/DTA 220U]を用いて、200mL/分の窒素気流下で40℃から600℃まで20℃/分で昇温した後600℃で10分保持し、この際の重量減少量を有機物量、それ以外を無機物量として計算する。
また、THF不溶分が基材樹脂に起因する物質であることの判別が困難な場合は、別途THF不溶分をIRやNMRにて分析すれば良い。
実施例および比較例について、グラファイトは、以下の手法に従って作製したマスターバッチにより添加した。
(製造例1)[グラファイトマスターバッチAの作製]
バンバリーミキサーに、基材樹脂であるスチレン系樹脂A[スチレン-アクリロニトリル共重合体;デンカ(株)製、デンカAS GR-AT-5S]100重量部、並びに、スチレン系樹脂A100重量部に対して、グラファイト[(株)丸豊鋳材製作所製、M-885]102重量部、及びエチレンビスステアリン酸アミド[日油(株)製、アルフローH-50S]2.0重量部を投入して、5kgf/cmの荷重をかけた状態で加熱冷却を行わずに20分間溶融混練した。この際、樹脂温度を測定したところ185℃であった。ルーダーに供給して先端に取り付けられた小穴を有するダイスを通して吐出量250kg/hrで押し出されたストランド状の樹脂を30℃の水槽で冷却固化させた後、切断してグラファイトマスターバッチAを得た。
(製造例2)[グラファイトマスターバッチBの作製]
製造例1において、スチレン系樹脂Aの変わりにスチレン系樹脂B[スチレン-アクリロニトリル共重合体;デンカ(株)製、デンカAS AS-EXS]を使用するようにした以外は製造例1と同様にして、グラファイトマスターバッチBを得た。
(製造例3)[グラファイトマスターバッチCの作製]
製造例1において、スチレン系樹脂Aの変わりにスチレン系樹脂C[スチレン-アクリロ二トリル共重合体;デンカ(株)製、デンカAS AS-XGS]を使用するようにした以外は製造例1と同様にしてグラファイトマスターバッチCを得た。
(製造例4)[グラファイトマスターバッチDの作製]
製造例1において、スチレン系樹脂Aの変わりにスチレン系樹脂D[ポリスチレン;PSジャパン(株)製、G9401]を使用するようにした以外は製造例1と同様にしてグラファイトマスターバッチDを得た。
(実施例1)
[樹脂混合物の作製]
基材樹脂であるスチレン系樹脂A[スチレン-アクリロニトリル共重合体;デンカ(株)製、デンカAS GR-AT-5S]100重量部、並びに、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA-ビス(2、3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルとテトラブロモビスフェノールA-ビス(2、3-ジブロモプロピル)エーテルとの混合臭素系難燃剤[第一工業製薬(株)製、GR-125P]3.0重量部、難燃剤助剤としてトリフェニルホスフィンオキシド [住友商事ケミカル]1.0重量部、気泡径調整剤としてタルク[林化成(株)製、タルカンパウダーPK-Z]3.0重量部 、安定剤としてビスフェノール-A-グリシジルエーテル[(株)ADEKA製、EP-13]0.20重量部、トリエチレングリコール-ビス-3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート[Songwon Japan(株)製、ソンノックス2450FF]0.20重量部、ジペンタエリスリトール-アジピン酸反応混合物[味の素ファインテクノ製、プレンライザーST210]0.10重量部、滑剤としてステアリン酸カルシウム[堺化学工業(株)製、SC-P]0.20重量部、及び、成形性改善剤としてステアリン酸モノグリセリド [理研ビタミン(株)製、リケマールS-100P]0.50重量部をドライブレンドした。
[押出発泡体の作製]
得られた樹脂混合物を、口径150mmの単軸押出機(第一押出機)、口径200mmの単軸押出機(第二押出機)、及び冷却機を直列に連結した押出機へ、950kg/hrで供給した。第一押出機に供給した樹脂混合物を、樹脂温度250℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、発泡剤(基材樹脂100重量部に対して、HFO-1234ze2.5重量部、イソブタン2.0重量部、及び、塩化エチル5.5重量部を第一押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
その後、第一押出機に連結された第二押出機及び冷却機中にて、樹脂温度を108℃ に冷却し、冷却機先端に設けた厚さ6mm×幅400mmの長方形断面の口金(スリットダイ)より、発泡圧力5.0MPaにて大気中へ押出発泡させた後、口金に密着させて設置した成形金型とその下流側に設置した成形ロールにより、厚み60mm×幅1000mmである断面形状の押出発泡板を得、カッターにて厚み50mm×幅910mm×長さ1820mmにカットした。得られた発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例2~24)
表1、表2に示すように、各種配合の種類、添加量、及び/又は製造条件を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた押出発泡体の物性を表1、表2に示す。尚、グラファイトは、前記したようにあらかじめスチレン系樹脂のマスターバッチの形態として、樹脂混合物の作製時に投入した。マスターバッチを使用した場合、基材樹脂はマスターバッチ中に含まれる基材樹脂と合計して100重量部とした。
(比較例1~21)
表3に示すように、各種配合の種類、添加量、及び/又は製造条件を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた押出発泡体の物性を表3に示す。尚、グラファイトは、前記したようにあらかじめスチレン系樹脂のマスターバッチの形態として、樹脂混合物の作製時に投入した。マスターバッチを使用した場合、基材樹脂はマスターバッチ中に含まれる基材樹脂と合計して100重量部とした。
Figure 0007017381000001
Figure 0007017381000002
Figure 0007017381000003
実施例1~24からわかるように、 本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、熱伝導率が0.0193~0.0243W/mKと断熱性に優れ、且つ、難燃性に優れ、更に、劣化促進試験でのTHF不溶分が発生せず連続生産性 に優れることが明らかである。
比較例17~21からわかるように、スチレン系樹脂としてポリスチレンのみを用いた場合には、臭素系難燃剤の分子量が本発明の範囲を超えて大きい高分子型の臭素系難燃剤を用いても劣化促進試験でのTHF不溶分が発生することはなく、更に、難燃性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。しかし、比較例1~11、および比較例13~16からわかるように、スチレン系樹脂としてスチレン-アクリロニトリル共重合体を含み、且つ、臭素系難燃剤の分子量が本発明の範囲を超えて大きい高分子型の臭素系難燃剤を用いた場合には、比較例17~21と同等の安定剤を含有していても、得られたスチレン系樹脂押出発泡体は、劣化促進試験においてTHF不溶分が発生し、更に、JIS燃焼性が悪化して難燃性に劣るものとなる。比較例1~4と13~15に示すように発泡剤配合を変更した場合も、比較例4~6に示すように難燃剤の量を変更した場合も、比較例4、7~8に示すように安定剤の添加量を変更した場合も、比較例4、9に示すようにスチレン系樹脂中のポリスチレンとスチレン-アクリロニトリル共重合体の比率を変更した場合も、比較例4、10~11に示すように用いるスチレン-アクリロニトリル共重合体の種類を変更した場合も、その課題は解決できない。
一方、実施例6と比較例18、実施例7と比較例19、実施例10と比較例20、実施例11と比較例21、実施例20と比較例17との比較からわかるように、各実施例に示すようにスチレン系樹脂としてスチレン-アクリロニトリル共重合体を含む場合の方が熱伝導率が低く、断熱性能に優れるスチレン系樹脂押出発泡体が得られる。
尚、実施例11と比較例12からわかるように、臭素系難燃剤の量を本発明の範囲内とすることで、スチレン系樹脂押出発泡体に優れた難燃性を付与できる。また、実施例20と比較例16 との比較からわかるように、発泡剤含有量を本発明の一実施形態の範囲内とすることで、熱伝導率が低く断熱性に優れるスチレン系樹脂押出発泡体が得られる。
本発明によれば、優れた断熱性と難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得ることができる。当該スチレン系樹脂押出発泡体は、住宅、又は構造物の断熱材として好適に用いることができる。

Claims (21)

  1. スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂、発泡剤、および、臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂押出発泡体であって、
    前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、
    前記発泡剤が、炭素数3~5の飽和炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、および、ハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を前記スチレン系樹脂押出発泡体1kgあたり合計量で0.30mol以上含み、
    前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、
    前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれ
    前記臭素系難燃剤が(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、(B)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、及び、(C)トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、スチレン系樹脂押出発泡体(但し、臭素系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを含むものを除く)
  2. スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂および臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂押出発泡体であって、
    前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、
    前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、
    前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれ、
    前記スチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径が0.05mm以上0.15mm未満であり、
    前記臭素系難燃剤が(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、(B)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、及び、(C)トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、スチレン系樹脂押出発泡体(但し、臭素系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを含むものを除く)
  3. スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂、発泡剤、および、臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂押出発泡体であって、
    前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、
    前記発泡剤が、ハイドロフルオロオレフィンおよびハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、
    前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれ
    前記臭素系難燃剤が(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、(B)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、及び、(C)トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、スチレン系樹脂押出発泡体(但し、臭素系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを含むものを除く)
  4. 前記スチレン系樹脂押出発泡体が、ハイドロフルオロオレフィンおよび/またはハイドロクロロフルオロオレフィンの合計含有量が発泡体1kgあたり0.30mol以上である、請求項3に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  5. 発泡剤として、ハイドロフルオロオレフィン、及び、ハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  6. 前記発泡剤が、さらに塩化アルキルを含む、請求項1および請求項3~5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  7. 発泡剤としての水の含有量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部未満(但し、0重量部を含む)である、請求項1~のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  8. 前記スチレン-アクリロニトリル共重合体の含有量が前記スチレン系樹脂100重量%において10重量%~100重量%である、請求項1~のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  9. 前記スチレン系樹脂が、ポリスチレン0重量%以上90重量%以下およびスチレン-アクリロニトリル共重合体10重量%以上100重量%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  10. 前記臭素系難燃剤の少なくとも一種が(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルである、請求項1~のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  11. 前記臭素系難燃剤が(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及び、(B)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルを含む、又は、
    (A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及び、(C)トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  12. 前記臭素系難燃剤が、(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルを前記臭素系難燃剤全体100重量%において25重量%~75重量%含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  13. 前記スチレン-アクリロニトリル共重合体中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量が、スチレン-アクリロニトリル共重合体100重量%において10重量%以上45重量%以下である、請求項1~12のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  14. 前記スチレン系樹脂100重量部に対して、熱線輻射抑制剤の黒色系粒子が0.5重量部以上5.0重量部以下含有される、請求項1~13のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  15. 前記スチレン系樹脂100重量部に対して、グラファイトが0.5重量部以上5.0重量部以下含有される、請求項1~14のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  16. 170℃で10分加熱した後のスチレン系樹脂押出発泡体を250℃で1時間加熱した後にテトラヒドロフランへ溶解したときのテトラヒドロフラン不溶分含有量が5重量%以下である、請求項1~15のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  17. 前記スチレン系樹脂押出発泡体の見掛け密度が20kg/m以上60kg/m以下である、請求項1~16のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  18. 前記スチレン系樹脂押出発泡体の独立気泡率が85%以上である、請求項1~17のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  19. 前記スチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径が0.05mm以上0.15mm未満である、請求項1または請求項3~18のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  20. 前記スチレン系樹脂押出発泡体の厚みが10mm以上150mm以下である、請求項1~19のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  21. スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂、発泡剤、および、臭素系難燃剤を含むスチレン系樹脂組成物を押出発泡してスチレン系樹脂押出発泡体を製造する方法であって、
    前記スチレン系樹脂中に含まれるアクリロニトリル成分の含有量がスチレン系樹脂100重量%において5重量%以上45重量%以下であり、
    前記発泡剤が、炭素数3~5の飽和炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、および、ハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、かつ、
    水を前記スチレン系樹脂100重量部に対して0重量部以上1.0重量部未満含み、
    前記臭素系難燃剤が、分子量が2000以下である臭素系難燃剤であり、かつ、
    前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上8.0重量部以下含まれ
    前記臭素系難燃剤が(A)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、(B)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、及び、(C)トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法(但し、臭素系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを含むものを除く)
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