JP7335715B2 - スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法に関する。
従来、スチレン系樹脂押出発泡体を製造する場合には、スリットダイから押し出された発泡体を切削機などによってカットし、発泡体を所望の形状及びサイズに加工する。このとき、発泡体の表面からスクラップ(切削屑)が発生する。当該スクラップは、例えば、輸送ラインを経て様々な再生用システムへ運搬され、様々な処理を受けてペレット化され、当該ペレットが原料として再利用される(特許文献1参照)。
また、スチレン-アクリロニトリル共重合体は、ポリスチレン単独の重合体に比べて高い水溶解度を有し、環境に優しい水性発泡剤を使用できるため、スチレン系樹脂押出発泡体を製造する際に利用が進んでいる(特許文献2参照)。
特開2016-199674号公報 特表2013-526634号公報
本発明者は、スチレン系樹脂押出発泡体の材料としてスチレン-アクリロニトリル共重合体を使用した場合、発泡体の加工の際に薄皮状のスクラップが発生すること、また当該薄皮状のスクラップを再利用する際に輸送ラインなどを閉塞させる場合があるという問題を、新たに見出した。
本発明の一態様は、薄皮状のスクラップの発生が抑制されたスチレン系樹脂押出発泡体、及び当該スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意研究を行った結果、スチレンーアクリロニトリル共重合体を含むスチレン系樹脂押出発泡体を製造するにあたり、特定の材料を用いることにより、薄皮状のスクラップの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は以下の態様を含む。
<1>スチレン系樹脂と、多価アルコール脂肪酸エステルとを含む、スチレン系樹脂押出発泡体であって、上記スチレン系樹脂は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むものであり、上記スチレン系樹脂は、JIS K7210-1(2014年)のA法の試験温度200℃、荷重5.00kgの条件下にて測定したメルトマスフローレートが4.0g/10分以上、15.0g/10分未満のものであり、上記スチレン系樹脂押出発泡体は、上記スチレン系樹脂100重量部に対して、上記多価アルコール脂肪酸エステルを1.5重量部以上、5.0重量部以下含有するものである、スチレン系樹脂押出発泡体。
<2>上記スチレン系樹脂押出発泡体は、表皮の薄皮の比率が30%以下である、<1>に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
<3>上記スチレン系樹脂は、上記スチレン-アクリロニトリル共重合体を10重量%以上、100重量%以下含有するものである、<1>または<2>に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
<4>ダイスリット部を備える押出機にて、スチレン系樹脂と、多価アルコール脂肪酸エステルとを含む樹脂組成物を加熱溶融し、発泡剤を配合して発泡性溶融物を調製する溶融工程と、上記溶融工程にて得られた発泡性溶融物を、上記ダイスリット部から低圧域に押し出して発泡させる発泡工程と、を有し、上記スチレン系樹脂は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むものであり、上記スチレン系樹脂は、JIS K7210-1(2014年)のA法の試験温度200℃、荷重5.00kgの条件下にて測定したメルトマスフローレートが4.0g/10分以上、15.0g/10分未満のものであり、上記樹脂組成物は、上記スチレン系樹脂100重量部に対して、上記多価アルコール脂肪酸エステルを1.5重量部以上、5.0重量部以下含有するものである、スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<5>上記発泡工程は、上記ダイスリット部から押し出される前の上記発泡性溶融物を、3.5MPa以上、10.0MPa以下に加圧する工程を有する、<4>に記載のスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<6>上記スチレン系樹脂は、上記スチレン-アクリロニトリル共重合体を10重量%以上、100重量%以下含有するものである、<4>又は<5>に記載のスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
本発明の一態様によれば、薄皮状のスクラップの発生が抑制されたスチレン系樹脂押出発泡体及び当該その製造方法を提供できる。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献、及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上B以下」を意図する。
〔1.スチレン系樹脂押出発泡体〕
本発明の一実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン系樹脂と、多価アルコール脂肪酸エステルとを含む、スチレン系樹脂押出発泡体であって、上記スチレン系樹脂は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むものであり、上記スチレン系樹脂は、JIS K7210-1(2014年)のA法の試験温度200℃、荷重5.00kgの条件下にて測定したメルトマスフローレートが4.0g/10分以上、15.0g/10分未満のものであり、上記スチレン系樹脂押出発泡体は、上記スチレン系樹脂100重量部に対して、上記多価アルコール脂肪酸エステルを1.5重量部以上、5.0重量部以下含有するものである。
<1-1.形状、及び物性>
以下に、本発明の一実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡体の形状、及び物性等を説明する。これらの形状、及び物性等に関する値は、特に説明しない限り、後述の実施例に記載の測定方法によって測定される値を意図する。
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、表皮の薄皮の比率が30%以下のものであることが好ましい。当該比率は、27%以下であることがより好ましく、25%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることが特に好ましい。当該構成であれば、薄皮状のスクラップによる輸送ラインなどの閉塞を防ぐことができる。
本明細書において「表皮の薄皮」とは、スチレン系樹脂押出発泡体の表面上に、50mm幅、100mm長さのテープ(日東電工製、床養生用テープNo.395N、対養生ボード粘着力:4.1N/25mm)を配置し、当該テープに0.54N/cmの荷重を5分間かけることによって、スチレン系樹脂押出発泡体の表面上にテープを圧着させた後、9.8N/50mmの引張強さにてスチレン系樹脂押出発泡体の表面からテープを剥がしたときに、テープに貼り付くことによってスチレン系樹脂押出発泡体から剥がれる、スチレン系樹脂押出発泡体の表面の部分を意図する。また、「表皮の薄皮の比率」は、実施例に記載した方法にしたがって算出することができる。
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体の厚みは、特に限定されない。当該厚みは、例えば、10mm~150mmである。建築用断熱材や、保冷庫用又は保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性、曲げ強度及び圧縮強度、という優れた効果を奏することから、当該厚みは、15mm~120mmが好ましく、20mm~100mmがより好ましい。
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体の見掛け密度は、特に限定されない。当該見掛け密度は、例えば、15kg/m~50kg/mである。建築用断熱材や、保冷庫用又は保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性及び軽量性という優れた効果を奏することから、当該見掛け密度は、20kg/m~45kg/mが好ましく、20kg/m~40kg/mがより好ましい。
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体の独立気泡率は、特に限定されない。当該独立気泡率は、例えば、80%以上である。独立気泡率が低すぎる場合には、発泡剤がスチレン系樹脂押出発泡体から早期に逸散しやすく、長期断熱性が低下するおそれがある。当該独立気泡率は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径は、特に限定されない。当該平均気泡径は、例えば、0.05mm~0.5mmである。押出発泡体の厚みを出すこと、押出発泡体に美麗な表面性を付与すること、及び、押出発泡体に優れた断熱性を付与する観点から、当該平均気泡径は、0.05mm~0.4mmが好ましく、0.05mm~0.3mmがより好ましい。
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体の気泡変形率は、特に限定されない。当該気泡変形率は、例えば、0.7~2.0である。断熱性及び寸法(形状)維持性という優れた効果を奏することから、当該気泡変形率は、0.8~1.5が好ましく、0.8~1.2がより好ましい。
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むが故に、断熱性が高い。本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体では、熱伝導率は、特に限定されない。当該熱伝導率は、例えば、0.040W/mK以下である。建築用断熱材、又は、保冷庫用若しくは保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性の観点から、平均温度23℃で測定した製造1週間後の熱伝導率が、0.028W/mK以下であることが好ましく、0.024W/mK以下であることがより好ましく、0.022W/mK以下であることが特に好ましい。
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン系樹脂、及び多価アルコール脂肪酸エステルを含む。本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、任意で、添加剤(例えば、熱線輻射抑制剤、難燃剤、安定剤、気泡径調整剤、滑剤、吸水媒体、ラジカル発生剤、及び発泡剤など)を含み得る。以下に、各構成について説明する。
<1-1.スチレン系樹脂(基材樹脂)>
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン系樹脂を含み、当該スチレン系樹脂は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含む。当該構成であれば、スチレン系樹脂押出発泡体の断熱性を向上させることができる。
当該スチレン系樹脂は、(i)スチレン-アクリロニトリル共重合体と、任意で(ii)他の重合体(例えば、スチレン系単量体の単独重合体(ポリスチレン)、2種以上のスチレン系単量体の共重合体、又はスチレン系単量体と他の単量体との共重合体)と、を含み得る。
(i)スチレン-アクリロニトリル共重合体、及び(ii)他の重合体を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が挙げられる。
他の単量体としては、ジビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;ブタジエン等のジエン系化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;N-メチルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-(2)-クロロフェニルマレイミド、N-(4)-ブロモフェニルマレイミド、N-(1)-ナフチルマレイミド等のN-アルキル置換マレイミド化合物等があげられる。
また、(ii)他の重合体は、上記スチレン系単量体の単独重合体又は共重合体と、上記他の単量体の単独重合体又は共重合体とのブレンド物であってもよい。例えば、(ii)他の重合体には、ジエン系ゴム強化ポリスチレン、アクリル系ゴム強化ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル系樹脂等をブレンドしてもよい。
上記スチレン系樹脂に含まれるスチレン-アクリロニトリル共重合体の量は、特に限定されない。スチレン系樹脂押出発泡体の断熱性を向上させる、及び、スチレン系樹脂押出発泡体の薄皮比率を低下させるという観点から、スチレン系樹脂は、好ましくは10重量%以上100重量%以下、より好ましくは20重量%以上100重量%以下、より好ましくは30重量%以上100重量%以下、より好ましくは30重量%以上90重量%以下、より好ましくは30重量%以上80重量%以下、より好ましくは30重量%以上70重量%以下、より好ましくは30重量%以上60重量%以下、最も好ましくは30重量%以上50重量%以下のスチレン-アクリロニトリル共重合体を含む。
上記スチレン系樹脂(基材樹脂)は、200℃、5.00kg荷重の条件下にて測定したメルトマスフローレートが4.0g/10分以上15.0g/10分未満、好ましくは5.0g/10分以上15.0g/10分以下、より好ましくは6.0g/10分以上15.0g/10分以下、より好ましくは7.0g/10分以上15.0g/10分以下、より好ましくは7.0g/10分以上10.0g/10分以下、最も好ましくは7.0g/10分以上8.0g/10分以下である。当該構成であれば、スチレン系樹脂押出発泡体の薄皮比率を、より低下させることができる。なお、本明細書において、メルトマスフローレートは、JIS K7210-1(2014年)測定方法Aに基づいて測定され得る。また、基材樹脂が2種以上の共重合体からなる場合、基材樹脂のメルトマスフローレートは、基材樹脂を構成する各共重合体のメルトマスフローレートと各共重合体の配合比とから、算出される。なお、具体的な算出方法については、後述する実施例の「(7)基材樹脂のMFR(MFR:melt mass flow rate)」の欄に記載の方法にしたがえばよい。
上記(i)スチレン-アクリロニトリル共重合体のメルトマスフローレート(200℃、5.00kg荷重の条件下にて測定)は特に限定されず、例えば、2.0g/10分以上20.0g/10分未満、好ましくは4.0g/10分以上15.0g/10分未満、好ましくは5.0g/10分以上15.0g/10分以下、より好ましくは6.0g/10分以上15.0g/10分以下、より好ましくは7.0g/10分以上15.0g/10分以下、より好ましくは7.0g/10分以上10.0g/10分以下、最も好ましくは7.0g/10分以上8.0g/10分以下である。当該構成であれば、スチレン系樹脂押出発泡体の薄皮比率を低下させることができる。
上記(ii)他の重合体のメルトマスフローレート(200℃、5.00kg荷重の条件下にて測定)は特に限定されず、例えば、2.0g/10分以上20.0g/10分未満、好ましくは4.0g/10分以上15.0g/10分未満、好ましくは5.0g/10分以上15.0g/10分以下、より好ましくは6.0g/10分以上15.0g/10分以下、より好ましくは7.0g/10分以上15.0g/10分以下、より好ましくは7.0g/10分以上10.0g/10分以下、最も好ましくは7.0g/10分以上8.0g/10分以下である。当該構成であれば、スチレン系樹脂押出発泡体の薄皮比率を低下させることができる。
<1-2.多価アルコール脂肪酸エステル(成形性改善剤)>
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、多価アルコール脂肪酸エステルを含む。当該構成であれば、スチレン系樹脂押出発泡体の薄皮比率を低下させることができるのみならず、発泡剤としてハイドロフルオロオレフィンを使用した場合であってもスチレン系樹脂押出発泡体に十分な厚みを出すことができる。
多価アルコール脂肪酸エステルの含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して好ましい範囲としては、1.5重量部以上、5.0重量部以下である。多価アルコール脂肪酸エステルの含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して好ましい範囲の下限と値としては、1.5重量部以上が好ましく、より好ましくは1.6重量部以上、より好ましくは1.7重量部以上、より好ましくは1.8重量部以上、より好ましくは1.9重量部以上、より好ましくは2.0重量部以上である。上限値としては、5.0重量部以下が好ましく、より好ましくは4.0重量部以下、より好ましくは3.5重量部以下、より好ましくは3.0重量部以下である。多価アルコール脂肪酸エステルの含有量が1.5重量部以上であれば、スチレン系押出発泡体の厚み出し効果を十分に得られる。また、多価アルコール脂肪酸エステルの含有量が5.0重量部以下であれば、製造時の押出性、発泡性、及び成形安定性を損ねたり、スチレン系押出発泡体の耐熱性等の諸特性を悪化させたりするおそれがない。
多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数10~24の高級脂肪酸と、エチレングリコール、グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、ヘキサントリオール等の多価アルコールとのエステルが挙げられる。これらの多価アルコール脂肪酸エステルは、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、炭素数10~24の高級脂肪酸とグリセリンとのエステル(言い換えれば、グリセリン脂肪酸エステル)が好ましい。グリセリンのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル又はテトラ脂肪酸エステルが、入手の容易性、価格等の点から特に好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸モノグリセリド、ラウリン酸ジグリセリド、ラウリン酸トリグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、パルミチン酸ジグリセリド、パルミチン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸テトラグリセリドが挙げられる。
<1-3.熱線輻射抑制剤>
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、断熱性向上のため、熱線輻射抑制剤を含んでいてもよい。本明細書において、熱線輻射抑制剤とは、近赤外又は赤外領域(例えば、800~3000nm程度の波長域)の光を反射、散乱、又は吸収する特性を有する物質をいう。熱線輻射抑制剤としては、例えば、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、活性炭、膨張黒鉛等の炭素;酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン等の白色系粒子が挙げられる。これらを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、コストに対する熱線輻射抑制効果の高さから、グラファイトが好ましい。グラファイトとしては、例えば、鱗片状黒鉛、土状黒鉛、球状黒鉛、又は人造黒鉛等が挙げられ、これらのうち、鱗片状黒鉛が、高い熱線輻射抑制効果を発揮することから好ましい。なお、本明細書において、「鱗片状」という用語は、鱗状、薄片状又は板状を包含する。グラファイトは、固定炭素分が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。固定炭素分を上記範囲とすることで高い断熱性を有するスチレン系樹脂押出発泡体が得られる。
グラファイトの分散粒子径は15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。粒径を上記範囲とすることで、グラファイトの比表面積が大きくなり、熱線輻射との衝突確率が高くなるため、熱線輻射抑制効果が高くなる。分散粒径を上記範囲とするためには、一次粒径が15μm以下のものを選択すればよい。
尚、上記分散粒径とは、発泡体中に分散しているそれぞれの粒子の粒子径の個数基準の算術平均値であり、粒子径は発泡体断面を顕微鏡などにより拡大して計測される。上記一次粒径とは体積平均粒径(d50)を意味する。
グラファイトの含有量は、特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上10.0重量部以下が好ましく、1.0重量部以上5.0重量部以下がより好ましく、1.5重量部以上3.0重量部以下がさらに好ましい。グラファイトの含有量が0.5重量部以上であれば、十分な熱線輻射抑制効果が得られる。グラファイトの含有量が10.0重量部以下であれば、含有量相応の熱線輻射抑制効果が得られるため、コストメリットがある。
<1-4.難燃剤>
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤の含有量は、特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下であることが好ましく、1.0重量部以上5.0重量部以下がより好ましく、1.5重量部以上5.0重量部以下がさらに好ましい。難燃剤の含有量が0.5重量部以上であれば、難燃性等の発泡体としての良好な諸特性が得られる。また、難燃剤の含有量が8.0重量部以下であれば、発泡体製造時の安定性等を損なわずに、十分な難燃性が得られる。
難燃剤としては、臭素系難燃剤が好ましく用いられる。臭素系難燃剤の具体的な例としては、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル等の臭素化ビスフェノール系化合物;臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、臭素化スチレン-ブタジエンランダム共重合体、臭素化スチレン-ブタジエングラフト共重合体等の脂肪族臭素含有ポリマー;テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルとテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルとの混合臭素系難燃剤、臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、又はヘキサブロモシクロドデカンが、押出運転が良好であり、発泡体の耐熱性に悪影響を及ぼさない等の理由から、望ましく用いられる。これらの物質はそれ単体で用いても、又は混合物として用いてもよい。
さらに、難燃助剤として、熱安定性を損なわない範囲で、リン酸エステル、及びホスフィンオキシド等のリン系難燃剤を併用することができる。リン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリス(トリブチルブロモネオペンチル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、及び縮合リン酸エステル等が挙げられる。特にトリフェニルホスフェート、及びトリス(トリブチルブロモネオペンチル)ホスフェートが好ましい。ホスフィンオキシドとしては、トリフェニルホスフィンオキシドが好ましい。これらは単独又は2種以上併用してもよい。リン系難燃剤の好ましい添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1~2重量部であり、より好ましくは0.5~1.5重量部である。
<1-5.安定剤>
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、難燃剤の分解、及び/又は樹脂の劣化を抑制するために、安定剤を含んでいてもよい。安定剤の具体的な例としては、エポキシ化合物、多価アルコールエステル混合物、フェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤等が挙げられる。これらの安定剤は、発泡体の難燃性を低下させることなく、かつ、発泡体の熱安定性を向上させることから、好適に用いられる。
エポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。多価アルコールエステル混合物としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多価アルコールと、酢酸、プロピオン酸等の一価のカルボン酸、又はアジピン酸、グルタミン酸等の二価のカルボン酸との反応物である多価アルコールエステルであって、その分子中に一個以上の水酸基を持つ多価アルコールエステルの混合物が挙げられる。多価アルコールエステル混合物は、原料の多価アルコールを少量含有していてもよい。フェノール系安定剤としては、トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート等が挙げられる。ホスファイト系安定剤としては、3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。これらを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<1-6.その他の添加剤>
本実施の形態のスチレン系樹脂押出発泡体は、必要に応じて、タルク等の気泡径調整剤;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物等の滑剤;フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類等の耐光性安定剤;シリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、炭酸カルシウム等の無機化合物;顔料等の着色剤;防蟻剤等の防虫剤;可塑剤;防炎剤;帯電防止剤;結着剤;湿度調整剤:抗菌剤;吸水媒体(例えば、ベントナイト、シリカ);ラジカル発生剤(例えば、ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン)等を含んでいてもよい。また、後述のスチレン系樹脂押出押出発泡体を得る際に添加した発泡剤がスチレン系樹脂押出発泡体中に残存している場合もある。
また、発泡剤として水、及び/又は、アルコール類を用いる場合には、安定して押出発泡成形を行うために、吸水媒体を添加することが好ましい。吸水媒体の具体例としては、ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉-アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール-アクリル酸塩系共重合体、エチレン-ビニルアルコール系共重合体、アクリロニトリル-メタクリル酸メチル-ブタジエン系共重合体、ポリエチレンオキサイド系共重合体、及びこれらの誘導体等の吸水性高分子;表面にシラノール基を有する無水シリカ(酸化ケイ素)[例えば、日本アエロジル(株)製AEROSILなどが市販されている]等の、表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末;スメクタイト、膨潤性フッ素雲母等の吸水性あるいは水膨潤性の層状珪酸塩、並びにこれらの有機化処理品;ゼオライト、活性炭、アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス、活性白土、珪藻土、ベントナイト等の多孔性物質があげられる。吸水媒体の添加量は、水、及び/又は、アルコール類の添加量などによって、適宜調整されるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.01~5重量部が好ましく、0.1~3重量部がより好ましい。
〔2.スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、ダイスリット部を備える押出機にて、スチレン系樹脂と、多価アルコール脂肪酸エステルとを含む樹脂組成物を加熱溶融し発泡剤を配合して発泡性溶融物を調製する溶融工程と、上記溶融工程にて得られた発泡性溶融物を、上記ダイスリット部から低圧域に押し出して発泡させる発泡工程と、を有し、上記スチレン系樹脂は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むものであり、上記スチレン系樹脂は、JIS K7210-1(2014年)のA法の試験温度200℃、荷重5.00kgの条件下にて測定したメルトマスフローレートが4.0g/10分以上、15.0g/10分未満のものであり、上記樹脂組成物は、上記スチレン系樹脂100重量部に対して、上記多価アルコール脂肪酸エステルを1.5重量部以上、5.0重量部以下含有するものである。〔1.スチレン系樹脂押出発泡体〕にて既に説明した構成については援用し、ここではその説明を省略する。
<2-1.スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法の一例>
スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法としては、一例として、以下の方法が挙げられる。まず、スチレン系樹脂と、多価アルコール脂肪酸エステルと、必要に応じて上述の各種添加剤とを、ダイスリット部を有する押出機の加熱溶融部に供給する(換言すれば、樹脂組成物を押出機の加熱溶融部に供給する)。このとき、任意の段階(例えば、樹脂組成物を加熱融解する前、樹脂組成物を加熱融解している途中、又は、樹脂組成物を加熱融解した後)で高圧条件下にて発泡剤を樹脂組成物に配合することができる。そして、樹脂組成物を流動ゲルとなす。以上が溶融工程となる。その後、溶融工程にて得られた発泡性溶融物を、押出発泡に適する温度に冷却した後、ダイスリット部を通して該流動ゲルを低圧領域(例えば、大気圧の領域)に押出発泡することにより、スチレン系樹脂押出発泡体を形成する。以上が発泡工程となる。
溶融工程において、スチレン系樹脂に各種添加剤を配合する方法としては、例えば、スチレン系樹脂に対して各種添加剤を添加してドライブレンドにより混合する方法;押出機の途中に設けた供給部より溶融したスチレン系樹脂に各種添加剤を添加する方法;あらかじめ押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いてスチレン系樹脂へ高濃度の各種添加剤を含有させたマスターバッチを作製し、当該マスターバッチとスチレン系樹脂とをドライブレンドにより混合する方法;スチレン系樹脂とは別の供給設備により各種添加剤を押出機に供給する方法等が挙げられる。
上記加熱溶融部における加熱温度は、使用されるスチレン系樹脂が溶融する温度以上である。加熱温度は、添加剤等の影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度(例えば150℃~260℃程度)が好ましい。加熱溶融部における溶融混練時間は、単位時間当たりのスチレン系樹脂の押出量、及び/又は、加熱溶融部として用い、且つ、溶融混練部として用いられる押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、スチレン系樹脂と発泡剤及び添加剤とが均一に分散混合されるに要する時間として適宜設定され得る。
溶融混練部としては、通常の押出発泡に用いられる機構を特に制限されずに用いることができ、例えばスクリュー型の押出機等が挙げられる。
発泡剤を添加又は注入する際の圧力は、特に制限されず、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
発泡工程において、押出発泡する方法としては、例えば、押出成形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するダイスリット部を通じて、上述の流動ゲルを高圧領域から低圧領域へ開放する方法が挙げられる。このようにして押出発泡体が得られる。なお、ダイスリット部の形状については特に限定されず、本技術分野における種々のダイスリット部を使用できる。
発泡工程において、押出発泡における発泡圧力(換言すれば、ダイスリットから押し出される前(例えば、直前)の発泡性溶融物に加える圧力)は、3.5MPa以上10.0MPa以下であることが好ましく、3.5MPa以上8.0MPa以下であることがより好ましく、3.5MPa以上6.0MPa以下であることがさらに好ましい。発泡圧力が当該範囲であれば、スチレン系樹脂押出発泡体の薄皮比率を低下させることができるという有利な効果が得られる。なお、発泡圧力は、ダイスリット部におけるスリットの開度、及び/又は、ダイスリット部の温度を調節することによって、調節され得る。
スチレン系樹脂押出発泡体は、板状発泡体、即ち押出発泡板として成形されてもよい。例えば、上述のように得られた押出発泡体をスリットダイと密着又は接して設置された成形金型、及び、該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロール等を用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形することができる。成形金型の流動面形状調整、及び金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体の表面性、発泡体品質が得られる。
<2-2.発泡剤>
発泡剤としては、ハイドロフルオロオレフィン、炭素数3~5の飽和炭化水素、他の発泡剤が挙げられる。スチレン系樹脂押出発泡体の断熱性を向上させる観点からは、発泡剤としてハイドロフルオロオレフィンを使用することが好ましい。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、炭素数3~5の飽和炭化水素とハイドロフルオロオレフィンとを併用してもよい。
ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロプロペンが、気体の熱伝導率が低いこと及び安全性の観点から好ましい。具体的にはトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234ze)、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(シス-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234yf)等が挙げられる。これらのハイドロフルオロオレフィンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
又はイドロフルオロオレフィンとして、塩素化されたハイドロフルオロオレフィン、即ち、ハイドロクロロフルオロオレフィンを用いてもよい。
ハイドロフルオロオレフィンの添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して2.0重量部以上14.0重量部以下が好ましく、3.0重量部以上13.0重量部以下がより好ましく、4.0重量部以上12.0重量部以下がさらに好ましい。ハイドロフルオロオレフィンの添加量が2.0重量部以上であれば、断熱性の向上効果が期待できる。又はイドロフルオロオレフィンの添加量が14.0重量部以下であれば、押出発泡時にハイドロフルオロオレフィンが樹脂溶融物から分離して、スチレン系樹脂押出発泡体の表面にスポット孔が発生すること、及び、独立気泡率が低下して断熱性を損なうことを避けられる。尚、スポット孔とは、ハイドロフルオロオレフィンの局所的塊が、スチレン系樹脂押出発泡体の表面を突き破って外気へ放出された痕を意図する。
ハイドロフルオロオレフィンは、オゾン層破壊係数がゼロか極めて小さいものであり、地球温暖化係数が非常に小さく、環境に優しい発泡剤である。しかも、ハイドロフルオロオレフィンは、気体状態の熱伝導率が低く、且つ難燃性であることから、スチレン系樹脂押出発泡体の発泡剤として用いることにより、スチレン系樹脂押出発泡体に優れた断熱性及び難燃性を付与することができる。
尚、テトラフルオロプロペンのようにスチレン系樹脂に対する溶解性が低いハイドロフルオロオレフィンを使用した場合には、添加量の増量に伴ってハイドロフルオロオレフィンが樹脂溶融物から分離、及び/又は、気化することにより、ハイドロフルオロオレフィンが造核点となり得る。このことは、発泡体の気泡が微細化すること;樹脂に残存している発泡剤が減少することにより、樹脂溶融物に対する可塑化効果が低下すること;発泡剤の気化潜熱による樹脂溶融物の冷却及び固化が生じること、を招き得る。その結果、押出発泡体の厚みを出すことが難しくなる傾向にある。この場合、上述のように成形性改善剤を併用することが好ましい。
また、炭素数3~5の飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、ネオペンタン等が挙げられる。これらの炭素数3~5の飽和炭化水素のなかでは、発泡性の観点から、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、あるいは、これらの混合物が好ましい。また、スチレン系樹脂押出発泡体の断熱性の観点から、n-ブタン、i-ブタン、あるいは、これらの混合物が好ましく、特に好ましくはi-ブタンである。i-ブタンは、以下、「イソブタン」とも称する。
目的とする発泡倍率、難燃性等の発泡体の諸特性によっては、ハイドロフルオロオレフィン、及び/又は、炭素数3~5の飽和炭化水素の添加量等が制限される場合がある。該添加量が所望の範囲外の場合には、押出発泡成形性等が充分でない場合がある。この場合、さらに、他の発泡剤を用いることにより、発泡体製造時の可塑化効果、及び/又は、助発泡効果が得られる。これにより、押出圧力を低減することができるため、安定的に発泡体の製造が可能となる。
他の発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、エチル-n-プロピルケトン、エチル-n-ブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール等の炭素数1~4の飽和アルコール類;蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステル等のカルボン酸エステル類;塩化メチル、塩化エチル等のハロゲン化アルキル等の有機発泡剤が挙げられる。また、水、二酸化炭素等の無機発泡剤;アゾ化合物、テトラゾール等の化学発泡剤等も用いることができる。これら他の発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
他の発泡剤の中では、発泡性及び発泡体成形性等の観点からは、炭素数1~4の飽和アルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化メチル、塩化エチル等が好ましい。また、発泡剤の燃焼性、発泡体の難燃性あるいは断熱性等の観点からは、水、二酸化炭素が好ましい。これらの中では、可塑化効果の観点からはジメチルエーテルが特に好ましい。コスト及び気泡径の制御による断熱性向上効果の観点からは、水が特に好ましい。
以上のことから、発泡剤は、炭素数3~5の飽和炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン及びハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、発泡剤が、さらに塩化エチル、塩化メチル及びジメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
発泡剤全体の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、2~20重量部が好ましく、2~15重量部がより好ましい。発泡剤の添加量が2重量部以上であれば、発泡倍率を十分に高めることができるため、樹脂発泡体としての軽量性及び断熱性等の特性が発揮されやすい。発泡剤の添加量が20重量部以下であれば、発泡体中においてボイド等の不良の発生を防ぐことができる。
〔3.用途〕
スチレン系樹脂押出発泡体は、例えば、断熱材;吸音材;真空断熱材の芯材;緩衝材;クッション、枕、防寒着等の充填材として好適に用いることができる。尚、スチレン系樹脂押出発泡体を、対象となる空間に吹き込むこともでき、壁等に吹き付けることもできる。あるいは、スチレン系樹脂押出発泡体を再度、塊化して用いることもできる。また、スチレン系樹脂押出発泡体をパッケージング、例えば伸縮素材で構成された袋に詰めて用いることもできる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔原料〕
実施例及び比較例において使用した原料は、次の通りである。
○基材樹脂
・スチレン-アクリロニトリル共重合体A [デンカ(株)製、デンカAS GR-AT-5S;アクリロニトリル成分量25重量%、MFR8.0g/10分]
・スチレン-アクリロニトリル共重合体B [デンカ(株)製、デンカAS AS-EXS;アクリロニトリル成分量25重量%、MFR2.1g/10分]
・ポリスチレンC [PSジャパン(株)製、680;MFR7.0g/10分]
・ポリスチレンD [PSジャパン(株)製、G9401;MFR2.2g/10分]
○熱線輻射抑制剤
・グラファイト [(株)丸豊鋳材製作所製、M-885;鱗片状黒鉛、平均粒径5.5μm、固定炭素分89%]
○難燃剤
・テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及びテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルの混合臭素系難燃剤[第一工業製薬(株)製、GR-125P]
・テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル(臭素系難燃剤)[第一工業製薬(株)製、SR-130]
○難燃助剤
・トリフェニルホスフィンオキシド [住友商事ケミカル]
○安定剤
・ビスフェノール-A-グリシジルエーテル [(株)ADEKA製、EP-13]
・ジペンタエリスリトール-アジピン酸反応混合物 [味の素ファインテクノ(株)製、プレンライザーST210]
・トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート [Songwon Japan(株)製、ソンノックス2450FF]
○その他添加剤
・タルク [林化成(株)製、タルカンパウダーPK-Z]
・ステアリン酸カルシウム [堺化学工業(株)製、SC-P]
・ベントナイト [(株)ホージュン製、ベンゲルブライト11K]
・シリカ [エボニックデグサジャパン(株)製、カープレックスBS-304F]
・エチレンビスステアリン酸アミド [日油(株)製、アルフローH-50S]
・ステアリン酸モノグリセリド [理研ビタミン(株)製、リケマールS-100P]
○発泡剤
・HFO-1234ze [ハネウェルジャパン(株)製]
・ジメチルエーテル [岩谷産業(株)製]
・イソブタン [三井化学(株)製]
・塩化エチル [日本特殊化学工業(株)製]
・水 [大阪府摂津市水道水]。
〔測定方法〕
実施例及び比較例では、下記の測定方法にしたがって、各種パラメータを、測定及び評価した。
(1)スチレン系樹脂押出発泡体の厚み(カット前)
ノギス[(株)ミツトヨ製、M型標準ノギスN30]を用いて、幅方向中央部、及び幅方向の一端から逆端方向に150mmの場所(幅方向両端について同じ場所)の厚み、計3点を測定した。3点の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の厚みとした。
(2)見掛け密度(kg/m
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の重量を測定すると共に、長さ寸法、幅寸法、厚み寸法を測定した。
測定された重量及び各寸法から、以下の式に基づいてスチレン系樹脂押出発泡体の見掛け密度を求めた。次いで、見掛け密度の単位を、kg/mに換算した。
見掛け密度(g/cm)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm)。
(3)独立気泡率
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部、幅方向の一端から逆端方向に150mmの場所、及び、幅方向の他端から逆端方向に150mmの場所の計3箇所から、厚さ40mm×長さ(押出方向)25mm×幅25mmの試験片を切り出した。当該試験片を用い、ASTM-D2856-70の手順Cに従って測定し、以下の式にて各試験片の独立気泡率を求め、3箇所における独立気泡率の平均値を、スチレン系樹脂押出発泡体の独立気泡率とした。
独立気泡率(%)=(V1-W/ρ)×100/(V2-W/ρ)
ここで、V1(cm)は、空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、空気比較式比重計、型式1000型]を用いて測定した試験片の真の体積(独立気泡でない部分の容積が除かれる。)である。V2(cm)は、ノギス[(株)ミツトヨ製、M型標準ノギスN30]を用いて測定した試験片の外側寸法より算出した、見掛けの体積である。W(g)は、試験片の全重量である。また、ρ(g/cm)は、押出し発泡体を構成するスチレン系樹脂の密度であり、1.05(g/cm)とした。
(4)平均気泡径、及び気泡変形率
平均気泡径、及び気泡変形率は、マイクロスコープ[(株)KEYENCE製、DIGITAL MICROSCOPE VHX-900]を用いて、下記の通りに測定した。
スチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部、幅方向の一端から逆端方向に向かって150mmの場所、及び、幅方向の逆端から一端方向に向かって150mmの場所の計3箇所について、厚み方向中央部の、押出方向に平行であり、かつ、幅方向に垂直な断面と、幅方向に平行であり、かつ、押出方向に垂直な断面とを、各々、マイクロスコープにて観察し、100倍の拡大写真を撮影した。
前記拡大写真の厚み方向に任意に2mmの直線を3本引き(各観察箇所、各観察方向につき3本)、その直線に接する気泡の個数aを測定した。測定した気泡の個数aから、次式(1)により観察箇所毎の厚み方向の平均気泡径Aを求めた。3箇所(各箇所2方向ずつ)の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の厚み方向の平均気泡径A(平均値)とした。
観察箇所毎の厚み方向の平均気泡径A(mm)=2×3/気泡の個数a ・・・(1)。
スチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部、幅方向の一端から逆端方向に向かって150mmの場所、及び、幅方向の逆端から一端方向に向かって150mmの場所の計3箇所について、厚み方向中央部の押出方向に平行であり、かつ、幅方向に垂直な断面を、マイクロスコープにて観察し、100倍の拡大写真を撮影した。
前記拡大写真の押出方向に任意に2mmの直線を3本引き(各観察箇所につき3本)、その直線に接する気泡の個数bを測定した。測定した気泡の個数bから、次式(2)により観察箇所毎の押出方向の平均気泡径Bを求めた。3箇所の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の押出方向の平均気泡径B(平均値)とした。
観察箇所毎の押出方向の平均気泡径B(mm)=2×3/気泡の個数b ・・・(2)。
スチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部、幅方向の一端から逆端方向に向かって150mmの場所、及び、幅方向の逆端から一端方向に向かって150mmの場所の計3箇所について、厚み方向中央部の幅方向に平行であり、かつ、押出方向に垂直な断面を、マイクロスコープにて観察し、100倍の拡大写真を撮影した。
前記拡大写真の幅方向に任意に2mmの直線を3本引き(各観察箇所につき3本)、その直線に接する気泡の個数cを測定した。測定した気泡の個数cから、次式(3)により観察箇所毎の幅方向の平均気泡径Cを求めた。3箇所の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向の平均気泡径C(平均値)とした。
観察箇所毎の幅方向の平均気泡径C(mm)=2×3/気泡の個数c ・・・(3)。
上記の通り求めた厚み方向の平均気泡径A、押出方向の平均気泡径B、幅方向の平均気泡径Cを相加平均して求めた値を、スチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径とした。
スチレン系樹脂押出発泡体の気泡変形率は、前記した平均気泡径から、次式(4)により求めた。
気泡変形率(単位なし)=A(平均値)/{〔B(平均値)+C(平均値)〕/2}・・・(4)。
(5)熱伝導率
JIS A 9521に準じて、厚さ50mm×長さ(押出方向)300mm×幅300mmにてスチレン系樹脂押出発泡体から切り出した試験片を用い、熱伝導率測定装置[英弘精機(株)、HC-074]を用いて、平均温度23℃での熱伝導率を測定した。具体的に、スチレン系樹脂押出発泡体の製造後、上記寸法の試験片を切り出し、当該試験片をJIS K 7100に規定された標準温度状態3級(23℃±5℃)、及び標準湿度状態3級(50+20、-10%R.H.)の条件下に静置した後、スチレン系樹脂押出発泡体の製造から1週間後に、熱伝導率の測定を行った。
(6)JIS燃焼性
JIS A 9521に準じて、厚さ10mm×長さ200mm×幅25mmの試験片を用い、以下の基準で燃焼性を評価した。製造されたスチレン系樹脂押出発泡体を、前記寸法の試験片に切削し、当該試験片を、JIS K 7100に規定された標準温度状態3級(23℃±5℃)、及び標準湿度状態3級(50+20、-10%R.H.)の条件下に静置した。スチレン系樹脂押出発泡体を製造してから1週間後に、試験片を用いて燃焼性を評価した。
○:3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を超えて燃焼しないとの基準を満たす。
×:上記基準を満たさない。
(7)基材樹脂のMFR(MFR:melt mass flow rate)
スチレン-アクリロニトリル共重合体A、スチレン-アクリロニトリル共重合体B、ポリスチレンC、及びポリスチレンDによって形成されている基材樹脂のMFRは、スチレン-アクリロニトリル共重合体AのMFRを「MFR」、スチレン-アクリロニトリル共重合体Aの配合部数を「X」、スチレン-アクリロニトリル共重合体BのMFRを「MFR」、スチレン-アクリロニトリル共重合体Bの配合部数を「X」、ポリスチレンCのMFRを「MFR」、ポリスチレンCの配合部数を「X」、ポリスチレンDのMFRを「MFR」、ポリスチレンDの配合部数を「X」として、下記式にしたがって算出した:
基材樹脂のMFR=MFR×X/100+MFR×X/100+MFR×X/100+MFR×X/100。
なお、スチレン-アクリロニトリル共重合体A、スチレン-アクリロニトリル共重合体B、ポリスチレンC、及びポリスチレンDの各々のMFRは、JIS K7210-1(2014年)のA法の試験温度200℃、荷重5.00kgの条件下にて測定したMFRである。
(8)薄皮比率
スチレン系樹脂押出発泡体の表面上に、50mm幅、100mm長さのテープ(日東電工製、床養生用テープNo.395N、対養生ボード粘着力:4.1N/25mm)を配置し、当該テープに0.54N/cmの荷重(底面積181cm、10kg重の錘)を5分間かけることによって、スチレン系樹脂押出発泡体の表面上にテープを圧着させた。テープを圧着した面を下側にし、テープ端部に1kg重の錘を取り付けて自由落下させることで(9.8N/50mmの引っ張り強さで)、テープを剥がした。薄皮が付着したテープ面をスキャナーで取り込み、薄皮付着画像を得た。当該画像を画像処理装置(例えば、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K-pro)を用いて自動二値化処理(例えば、判別分析法)し、薄皮が付着した領域と、薄皮が付着しなかった領域との2つの領域に区分けした。薄皮が付着した領域の面積を「A」、薄皮が付着しなかった領域の面積を「B」とし、下記の式にしたがって、薄皮比率を算出した:
薄皮比率(%)=A÷(A+B)×100。
〔実施例及び比較例〕
実施例及び比較例について、グラファイトは、以下の手法に従って作製したマスターバッチにより添加した。
[グラファイトマスターバッチの作製]
バンバリーミキサーに、基材樹脂であるポリスチレンA[PSジャパン(株)製、680;MFR7.0g/10分]100重量部、並びに、基材樹脂100重量部に対して、グラファイト[(株)丸豊鋳材製作所製、M-885]102重量部、及びエチレンビスステアリン酸アミド[日油(株)製、アルフローH-50S]2.0重量部を投入して、5kgf/cmの荷重をかけた状態で加熱冷却を行わずに20分間溶融混練した。この際、樹脂温度を測定したところ190℃であった。ルーダーに供給して先端に取り付けられた小穴を有するダイスを通して吐出量250kg/hrで押し出されたストランド状の樹脂を30℃の水槽で冷却固化させた後、切断してマスターバッチを得た。
(実施例1)
[樹脂混合物の作製]
表1に示す材料(発泡剤以外の材料)を、表1に示す配合にてドライブレンドして、樹脂混合物を得た。
[押出発泡体の作製]
得られた樹脂組成物を、口径150mmの単軸押出機(第一押出機)、口径200mmの単軸押出機(第二押出機)、及び冷却機を直列に連結した押出機へ、800kg/hrで供給した。
第一押出機に供給した樹脂組成物を、250℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、樹脂組成物を得、表1に示す発泡剤を第一押出機の先端付近で樹脂組成物中に圧入した。
その後、第一押出機に連結された第二押出機及び冷却機中にて、樹脂組成物の温度を表1に示す樹脂温度に冷却し、冷却機先端に設けた、表1に示す厚さの長方形断面の口金(スリットダイ)より、表1に示す発泡圧力にて大気中へ押出発泡させた後、口金に密着させて設置した成形金型とその下流側に設置した成形ロールにより、厚み60mm×幅1000mmである断面形状の押出発泡板を得た。得られた発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例2~9)
表1に示す製造条件を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた押出発泡体の物性を表1に示す。
(比較例1~3、参考例)
表2に示す製造条件を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた押出発泡体の物性を表2に示す。
Figure 0007335715000001
Figure 0007335715000002
表1に示すように、実施例1~9では、薄皮比率が低かった。一方、表2に示すように、比較例1~3では、薄皮比率が高かった。
本発明の一態様に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、例えば、断熱材、吸音材、真空断熱材の芯材、緩衝材、充填材に利用することができる。

Claims (4)

  1. スチレン系樹脂と、多価アルコール脂肪酸エステルとを含む、スチレン系樹脂押出発泡体であって、
    上記スチレン系樹脂は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むものであり、
    上記スチレン系樹脂は、JIS K7210-1(2014年)のA法の試験温度200℃、荷重5.00kgの条件下にて測定したメルトマスフローレートが4.0g/10分以上、15.0g/10分未満のものであり、
    上記スチレン系樹脂押出発泡体は、上記スチレン系樹脂100重量部に対して、上記多価アルコール脂肪酸エステルを1.5重量部以上、5.0重量部以下含有するものであり、
    上記スチレン系樹脂は、上記スチレン-アクリロニトリル共重合体を20重量%以上、100重量%以下含有するものである、スチレン系樹脂押出発泡体。
  2. 上記スチレン系樹脂押出発泡体は、表皮の薄皮の比率が30%以下である、請求項1に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  3. ダイスリット部を備える押出機にて、スチレン系樹脂と、多価アルコール脂肪酸エステルとを含む樹脂組成物を加熱溶融し、発泡剤を配合して発泡性溶融物を調製する溶融工程と、
    上記溶融工程にて得られた発泡性溶融物を、上記ダイスリット部から低圧域に押し出して発泡させる発泡工程と、を有し、
    上記スチレン系樹脂は、スチレン-アクリロニトリル共重合体を含むものであり、
    上記スチレン系樹脂は、JIS K7210-1(2014年)のA法の試験温度200℃、荷重5.00kgの条件下にて測定したメルトマスフローレートが4.0g/10分以上、15.0g/10分未満のものであり、
    上記樹脂組成物は、上記スチレン系樹脂100重量部に対して、上記多価アルコール脂肪酸エステルを1.5重量部以上、5.0重量部以下含有するものであり、
    上記スチレン系樹脂は、上記スチレン-アクリロニトリル共重合体を20重量%以上、100重量%以下含有するものである、スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  4. 上記発泡工程は、上記ダイスリット部から押し出される前の上記発泡性溶融物を、3.5MPa以上、10.0MPa以下に加圧する工程を有する、請求項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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