JP2022064639A - スチレン系樹脂押出発泡体、及びその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂押出発泡体、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、優れた断熱性と厚み出し性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得ることにある。【解決手段】スチレン系樹脂、熱線輻射抑制剤、及び発泡剤を含有するスチレン系樹脂押出発泡体であって、前記熱線輻射抑制剤の含有量は、前記スチレン系樹脂100重量部に対して0.5~1.5重量部であり、主として気泡径0.15mm以下の気泡と気泡径0.2~1.0mmの気泡より構成される、スチレン系樹脂押出発泡体により達成できる。【選択図】なし

Description

本発明は、スチレン系樹脂押出発泡体、及びその製造方法に関する。
スチレン系樹脂押出発泡体は、一般に、押出機などを用いてスチレン系樹脂組成物を加熱溶融し、ついで発泡剤を高圧条件下にて添加し、所定の樹脂温度に冷却した後、これを低圧域に押し出すことにより連続的に製造される。
従来から、スチレン系樹脂押出発泡体は、良好な施工性や断熱性から、例えば構造物の断熱材として用いられている。当今の省エネ意識の高まりから、より断熱性能に優れた断熱材への要求が高まっている。
高断熱性発泡体を製造する手法としては、発泡体を構成する気泡構造を制御し、大気泡と小気泡からなる構造にすることが提案されている(例えば、特許文献1)。また、熱線輻射抑制剤として、グラファイトや酸化チタンを所定の範囲で添加する製造方法(例えば、特許文献2)や、オゾン破壊係数が0(ゼロ)であるとともに、地球温暖化係数も小さい環境に優しいフッ素化されたオレフィン(ハイドロフルオロオレフィン、HFOともいう。)を使用するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3)。
特開2004-175862 特表2010-511773 特開2017-125121
しかしながら、上記特許文献に記載のスチレン系樹脂押出発泡体は、近年の省エネルギー化における高度な要求に応え、且つ、厚み出しが容易な断熱材を得るには改善の余地があった。
そこで、本発明の課題は、優れた断熱性と厚み出し性とを有するスチレン系樹脂押出発泡体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の添加量の熱線輻射抑制剤を添加し、かつ、気泡構造をコントロールすることによって、優れた断熱性と、優れた厚み出し性とを両立することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、スチレン系樹脂、熱線輻射抑制剤、及び発泡剤を含有するスチレン系樹脂押出発泡体であって、前記熱線輻射抑制剤の含有量は、前記スチレン系樹脂100重量部に対して0.5~1.5重量部であり、発泡体の気泡構造に関して、(A)気泡径0.15mm以下の気泡がスチレン系樹脂押出発泡体の断面中に面積比率として10~80%を占め、(B)気泡径0.2~1.0mmの気泡がスチレン系樹脂押出発泡体の断面中に面積比率として10~80%を占め、(C)スチレン系樹脂押出発泡体の断面積中に占める、気泡径0.15mm以下の気泡と気泡径0.2~1.0mmの気泡の割合が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体(以下、「本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体」と称することがある。)に関する。本明細書において、発泡体を構成する気泡であって、気泡径0.15mm以下の気泡を小気泡と称し、気泡径0.2~1.0mmの気泡を大気泡と称することがある。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体においては、上記熱線輻射抑制剤がグラファイトを含むことが好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体においては、上記発泡剤が、炭素数が3~5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、水、炭素数2~5のアルコール類よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体においては、上記前記スチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率が0.0265W/mK以下であることが好ましい。
また、本発明は、スチレン系樹脂、および発泡剤を含むスチレン系樹脂組成物を押出発泡してスチレン系樹脂押出発泡体を製造する方法であって、前記スチレン系樹脂100重量部に対し、グラファイトを含む熱線輻射抑制剤を0.5~1.5重量部、並びに、水を0.1~1.5重量部添加する工程を含む、スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
本発明によれば、優れた断熱性と厚み出し性とを両立するスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び/又は実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態及び/又は実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
本発明者らは、優れた断熱性と厚み出し性とを両立するスチレン系樹脂押出発泡体を得るためには、従来技術には以下の課題があると考えた。スチレン系樹脂押出発泡体において、断熱性向上を目的として、特許文献2に記載されているように熱線輻射抑制剤を使用することは従来から知られている。そして、熱線輻射抑制剤、特にグラファイトは輻射伝熱を抑制する一方で、それ自体が核剤(造核剤)として作用するために、発泡体を構成する気泡が微細化することも知られている。このため、輻射抑制剤としてグラファイトを使用する場合は、気泡が微細化することで、厚み出し性に劣るという課題が存在する。また、スチレン系樹脂押出発泡体において、優れた断熱性を発揮する気泡構造として、特許文献1に記載されているように大小の異なる気泡径を有する構造に制御する場合において、更なる断熱性付与を目的として熱線輻射抑制剤を多量に使用すると、気泡が微細化することで、発泡体を構成する気泡の気泡径の差が小さくなり、断熱性の高い気泡構造を維持することができない。このため、グラファイトのような熱線輻射抑制剤を添加して、且つ、大小の異なる気泡を構成させることができるとは想定されていなかった。
本発明者らは、鋭意検討した結果、熱線輻射抑制剤の配合量を特定の範囲とすることにより、輻射抑制効果を発揮しながら、気泡構造による厚み出し性も同時に達成できることを見出し、本発明に至った。具体的には、スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、押出発泡してなるスチレン系樹脂押出発泡体において、スチレン系樹脂100重量部に対して、熱線輻射抑制剤を0.5~1.5重量部含有し、発泡体を構成する気泡が、主として気泡径0.15mm以下の気泡と気泡径0.2~1.0mmの気泡より構成させることにより、断熱性及び厚み出し性が優れたレベルで両立することができる。ここで、「発泡体を構成する気泡が、主として気泡径0.15mm以下の気泡と気泡径0.2~1.0mmの気泡より構成させる(される)」とは、発泡体の有する気泡構造が、(A)気泡径0.15mm以下の気泡がスチレン系樹脂押出発泡体の断面中に面積比率として10~80%を占める、(B)気泡径0.2~1.0mmの気泡がスチレン系樹脂押出発泡体の断面中に面積比率として10~80%を占める、及び、(C)気泡径0.15mm以下の気泡と気泡径0.2~1.0mmの気泡がスチレン系樹脂押出発泡体中に存在する気泡の90%以上を占める、の要件を少なくとも満たしていることを意味する。また、本発明のスチレン系樹脂押出発泡体では、特許文献3に記載のように、断熱性能は高いが高コストである発泡剤であるハイドロフルオロオレフィンを使用しなくても、断熱性及び厚み出し性が優れたレベルで両立することができる。なお、本明細書においては「押出発泡体」を「発泡体」と称することがある。
以下に本発明の実施形態について説明する。
〔1.スチレン系樹脂押出発泡体〕
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン系樹脂100重量部に対して、熱線輻射抑制剤を0.5~1.5重量部含有し、発泡体を構成する気泡が、主として気泡径0.15mm以下の気泡と気泡径0.2~1.0mmの気泡より構成される。これにより、優れた断熱性と厚み出し性とを両立することができる。
本発明に係るスチレン系押出発泡体は、さらに必要に応じて、後述するような種々の添加剤を適量含有させてもよい。本発明に係るスチレン系押出発泡体は、上記スチレン系樹脂、必要に応じて各種添加剤を含むスチレン系樹脂組成物を、押出機などを用いて加熱溶融し、ついで発泡剤を高圧条件下にて添加し、所定の樹脂温度に冷却した後、これを低圧域に押し出すことにより連続的に製造されうる。
本発明において、
スチレン系樹脂は、特に限定はされないが、(i)スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のスチレン系単量体の単独重合体または2種以上のスチレン系単量体の組み合わせからなる共重合体や、(ii)前記スチレン系単量体と、ジビニルベンゼン、ブタジエン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリロニトリルなどの他の単量体の1種または2種以上と、を共重合させた共重合体などが挙げられる。スチレン系単量体と共重合させるアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの他の単量体は、スチレン系樹脂押出発泡体の圧縮強度等の物性を低下させない程度の量を用いることができる。また、本発明の一実施形態に用いるスチレン系樹脂には、前記スチレン系単量体の単独重合体または共重合体(以下、スチレン系単量体の単独重合体または共重合体を「ポリスチレン」と称することがある)に限られず、前記スチレン系単量体の単独重合体または共重合体と、前記他の単量体の単独重合体または共重合体とのブレンド物を含んでも良い。例えば、本発明の一実施形態に用いるスチレン系樹脂には、前記スチレン系単量体の単独重合体もしくは共重合体と、ジエン系ゴム強化ポリスチレンまたはアクリル系ゴム強化ポリスチレンとのブレンド物を含んでもよい。更に、本発明で用いるスチレン系樹脂には、メルトフローレート(以下、MFRという。)、成形加工時の溶融粘度、溶融張力などを調整する目的で、分岐構造を有するスチレン系(共)重合体を含んでもよい。
本発明におけるスチレン系樹脂には、MFRが0.1~50g/10分である重合体が、(i)押出発泡成形する際の成形加工性に優れる点、(ii)成形加工時の吐出量、スチレン系樹脂押出発泡体の厚み、幅、見掛け密度、及び独立気泡率を所望の値に調整しやすい点、(iii)発泡性(発泡体の厚み、幅、見掛け密度、独立気泡率、及び、表面性などを所望の状況に調整し易さ)に優れる点、(iv)外観などに優れたスチレン系樹脂押出発泡体がえられる点、並びに(v)特性(例えば、圧縮強度、曲げ強度または曲げたわみ量といった機械的強度や靱性など)のバランスがとれた、スチレン系樹脂押出発泡体が得られる点から、好ましい。更に、MFRは、成形加工性及び発泡性と、機械的強度及び靱性とのバランスの点から、0.3~30g/10分がより好ましく、0.5~25g/10分が特に好ましい。なお、本発明の一実施形態において、MFRは、JIS K7210-1(2014)のA法により測定される。
本発明においては、経済性及び加工性の面から、ポリスチレンが含まれることが特に好適である。また、押出発泡体に、より高い耐熱性が要求される場合には、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレンを用いることが好ましい。また、押出発泡体に、より高い耐衝撃性が求められる場合には、ゴム強化ポリスチレンを用いることが好ましい。これらは、単独で使用してもよく、また、共重合成分、分子量、分子量分布、分岐構造、及び/又はMFRなどの異なるスチレン系(共)重合体を2種以上混合して使用してもよい。
本発明では、発泡剤としては、樹脂に対する可塑化作用が良好で、発泡性が良好である炭素数が3~5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、水、炭素数2~5のアルコール類よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。特に、大小気泡が混在する特徴的な気泡構造を得やすくするために、水を含むことが特に好ましい。
本発明では、さらに、他の発泡剤を用いることにより、発泡体製造時の可塑化効果及び/又は助発泡効果が得られ、押出圧力を低減し、安定的に発泡体の製造が可能となる。
他の発泡剤としては、例えば、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類;ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、エチル-n-プロピルケトン、エチル-n-ブチルケトンなどのケトン類;トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234ze)、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(シス-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234yf)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)などのハイドロフルオロオレフィン類;塩化メチル、塩化エチルなどの塩化アルキル類;蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類などの有機発泡剤、二酸化炭素などの無機発泡剤、アゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤などを用いることができる。これら他の発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なお、ハイドロフルオロオレフィン類は、高コストであり、かつ、多量に使用すると発泡体の気泡を微細化する作用があるため大気泡が形成されにくくなることから、他の発泡剤として使用する場合は、スチレン系樹脂100重量部に対して、3重量部以下であることが好ましく、使用しないのがより好ましい。また、二酸化炭素も、気泡を微細化する作用があるため大気泡が形成されにくくなることから、他の発泡剤として使用する場合は、スチレン系樹脂100重量部に対して、1.5重量部以下であることが好ましく、使用しないのがより好ましい。
本発明における発泡剤の添加量は、発泡剤全体として、スチレン系樹脂100重量部に対して、2~20重量部が好ましく、2~15重量部がより好ましい。発泡剤の添加量が2重量部より少ないと、発泡倍率が低く、樹脂発泡体としての軽量性、及び断熱性などの特性が発揮されにくい場合があり、20重量部より多いと、過剰な発泡剤量の為、発泡体中にボイドなどの不良を生じる場合がある。
本発明においては、水、及び/又はアルコール類を用いる場合には、安定して押出発泡成形を行うために、吸水性物質を添加することが好ましい。吸水性物質の具体例としては、ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉-アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール-アクリル酸塩系共重合体、エチレン-ビニルアルコール系共重合体、アクリロニトリル-メタクリル酸メチル-ブタジエン系共重合体、ポリエチレンオキサイド系共重合体およびこれらの誘導体などの吸水性高分子の他、表面にシラノール基を有する無水シリカ(酸化ケイ素)[例えば、日本アエロジル(株)製AEROSILなどが市販されている]などのように表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末;スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性あるいは水膨潤性の層状珪酸塩並びにこれらの有機化処理品;ゼオライト、活性炭、アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス、活性白土、けい藻土、ベントナイトなどの多孔性物質等があげられる。吸水性物質の添加量は、水、及び/又はアルコール類の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.01~5重量部が好ましく、0.1~3重量部がより好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法において、発泡剤を添加または注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
本発明では、スチレン系樹脂押出発泡体において、難燃剤を含有させることが好ましい。難燃剤の含有量としては、スチレン系樹脂100重量部に対して難燃剤を1.0~8.0重量部含有させることが好ましい。これにより、得られるスチレン系樹脂押出発泡体に難燃性を付与することができる。難燃剤の含有量が1.0重量部未満では、難燃性などの発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向があり、一方、8.0重量部を超えると、発泡体製造時の安定性、表面性などを損なう場合がある。但し、難燃剤の含有量は、JIS K7201-2(2007)に準じて測定される酸素指数が26%以上となるように、発泡剤含有量、発泡体の見掛け密度、難燃相乗効果を有する添加剤などの種類あるいは含有量などに応じて、適宜調整されることがより好ましい。
難燃剤としては、臭素系難燃剤が好ましく用いられる。本発明における臭素系難燃剤の具体的な例としては、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、及び臭素化スチレン-ブタジエンブロックコポリマーのような脂肪族臭素含有ポリマーが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。
これらのうち、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及びテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルからなる混合臭素系難燃剤、臭素化スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、及びヘキサブロモシクロドデカンが、押出運転が良好であり、発泡体の耐熱性に悪影響を及ぼさない等の理由から、望ましく用いられる。これらの物質はそれ単体で用いても、または混合物として用いても良い。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における臭素系難燃剤の含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、1.0~8.0重量部が好ましく、スチレン系樹脂100重量部に対して1.5~7.0重量部がより好ましく、2.0~6.0重量部が更に好ましい。臭素系難燃剤の含有量が1.0重量部未満では、難燃性などの発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向があり、一方、8.0重量部を超えると、発泡体製造時の安定性、表面性などを損なう場合がある。
本発明においては、スチレン系樹脂押出発泡体の難燃性能を向上させる目的で、ラジカル発生剤を併用することができる。前記ラジカル発生剤は、具体的には、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン、2,3-ジエチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジエチル-3,4-ジフェニルヘキサン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-エチル-1-ペンテン等が挙げられる。ジクミルパーオキサイドの様な過酸化物も用いられる。その中でも、樹脂加工温度条件にて、安定なものが好ましく、具体的には2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、及びポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼンが好ましく、前記ラジカル発生剤の好ましい添加量としては、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.05~0.5重量部である。
更に、難燃性能を向上させる目的で、言い換えれば難燃助剤として、熱安定性能を損なわない範囲で、リン酸エステル及びホスフィンオキシドのようなリン系難燃剤を併用することができる。リン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリス(トリブチルブロモネオペンチル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、または縮合リン酸エステル等が挙げられ、特にトリフェニルホフェート、又はトリス(トリブチルブロモネオペンチル)ホスフェートが好ましい。又、ホスフィンオキシド型のリン系難燃剤としては、トリフェニルホスフィンオキシドが好ましい。これらリン酸エステル及びホスフィンオキシドは単独または2種以上併用しても良い。リン系難燃剤の好ましい添加量としては、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1~2重量部である。
本発明においては、必要に応じて樹脂、及び/又は、難燃剤の安定剤を使用することが出来る。特に限定されるものでは無いが、安定剤の具体的な例としては、(i)ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂のようなエポキシ化合物、(ii)ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多価アルコールと、酢酸、プロピオン酸等の一価のカルボン酸、又は、アジピン酸、グルタミン酸等の二価のカルボン酸との反応物であるエステルであって、その分子中に一個以上の水酸基を持つエステルの混合物であり、原料の多価アルコールを少量含有することもある、多価アルコールエステル、(iii)トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナートのようなフェノール系安定剤、(iv)3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、及びテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト)のようなホスファイト系安定剤、などが発泡体の難燃性能を低下させることなく、かつ、発泡体の熱安定性を向上させることから、好適に用いられる。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、断熱性向上のため、熱線輻射抑制剤を含有する。前記熱線輻射抑制剤とは、近赤外または赤外領域の光を反射、散乱、及び吸収する特性を有する物質をいう。熱線輻射抑制剤を含有することにより、高い断熱性を有する発泡体となり得る。熱線輻射抑制剤としては、例えば、グラファイトやカーボンブラック、活性炭などの黒色系粒子、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモンなどの白色系粒子が挙げられる。これらは、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、熱線輻射抑制効果が高いことから、黒色系粒子ではグラファイトとカーボンブラックが好ましく、グラファイトがより好ましい。また、白色系粒子では酸化チタンと硫酸バリウムが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
本発明における熱線輻射抑制剤の合計含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.5~1.5重量部である。熱線輻射抑制剤の合計含有量が0.5重量部未満では、熱線輻射抑制効果に乏しく、1.5重量部より多い場合は、造核点が増えるために発泡体の気泡が微細化することで、押出発泡体の厚みを出すことが難しくなる傾向にある。
本発明におけるグラファイトは、例えば、鱗(片)状黒鉛、土状黒鉛、球状黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。これらの中でも、熱線輻射抑制効果が高い点から、主成分が鱗(片)状黒鉛のものを用いることが好ましい。グラファイトは、固定炭素分が80%以上のものが好ましく、85%以上のものがより好ましい。固定炭素分を上記範囲とすることで高い断熱性を有する発泡体が得られる。
本発明における黒色系粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、例えば、グラファイトであれば15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。また、カーボンブラックであれば0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましい。平均粒径を上記範囲とすることで、比表面積が大きくなり、熱線輻射との衝突確率が高くなるため、熱線輻射抑制効果が高くなる。前記平均粒径は、ISO13320:2009,JIS Z8825:2013に準拠したMie理論に基づくレーザー回折散乱法により粒度分布を測定・解析し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になる時の粒径(レーザー回折散乱法による体積平均粒径)を意味する。
本発明における白色系粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、効果的に赤外線を反射し、また樹脂への発色性を考慮すれば、例えば、酸化チタンでは0.1~10μmが好ましく、0.15~5μmがより好ましい。
本発明においては、さらに、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、シリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、タルクなどの気泡径調整剤、ポリエチレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステルなどの成形性改善剤、前記以外の帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤がスチレン系樹脂に含有されてもよい。
スチレン系樹脂に各種添加剤を配合する方法、手順としては、例えば、スチレン系樹脂に対して各種添加剤を添加してドライブレンドにより混合する方法、押出機の途中に設けた供給部より溶融したスチレン系樹脂に各種添加剤を添加する方法、あらかじめ押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いてスチレン系樹脂へ高濃度の各種添加剤を含有させたマスターバッチを作製し、当該マスターバッチとスチレン系樹脂とをドライブレンドにより混合する方法、又は、スチレン系樹脂とは別の供給設備により各種添加剤を押出機に供給する方法、などが挙げられる。例えば、スチレン系樹脂に対して各種添加剤を添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、更に発泡剤を添加して混合する手順が挙げられるが、各種添加剤又は発泡剤をスチレン系樹脂に添加するタイミング及び混練時間は特に限定されない。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率は特に限定はないが、例えば建築用断熱材、又は、保冷庫用若しくは保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性の観点から、平均温度23℃で測定した製造1週間後の熱伝導率が0.0265W/mK以下であることが好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の見掛け密度は、例えば建築用断熱材、又は保冷庫用若しくは保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性および、軽量性の観点から、好ましくは20kg/m以上であり、より好ましくは25kg/m以上である。一方、60kg/m以下が好ましく、50kg/m以下がより好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の独立気泡率は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。独立気泡率が85%未満では、発泡剤が押出発泡体から早期に散逸し、断熱性が低下する場合がある。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体において、スチレン系樹脂押出発泡体を構成する気泡は、主として気泡径0.15mm以下の気泡と気泡径0.2~1.0mmの気泡より構成される。本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の気泡径は、小気泡が0.01~0.15mm、大気泡が0.2~1.0mmが好ましく、小気泡が0.03~0.1mm、大気泡が0.2~0.5mmがより好ましい。一般に、平均気泡径が小さいほど、発泡体の気泡壁間距離が短くなるために、押出発泡の際に押出発泡体に形状付与する際の押出発泡体の気泡の可動域が狭く、変形が困難であり、押出発泡体に美麗な表面を付与すること及び押出発泡体の厚みを出すことが難しくなる傾向にある。一方、平均気泡径が大きいほど、単位厚みあたりの気泡数が少なくなるために、押出発泡体の断熱性能が悪くなる傾向にある。尚、小気泡の平均気泡径と大気泡の平均気泡径の差は0.1mm以上であることが好ましく、0.15mm以上であることがより好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体を構成する気泡構造は、気泡径0.15mm以下の気泡がスチレン系樹脂押出発泡体の断面中に面積比率として10~80%を占め、20~70%がより好ましい。これにより、単位厚みあたりの小気泡数が十分量となり、発泡体の熱伝導率を低減する効果が十分に発揮される。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体を構成する気泡構造は、気泡径0.2~1.0mmの気泡がスチレン系樹脂押出発泡体の断面中に面積比率として10~80%を占め、20~80%を占めることが好ましく、30~80%を占めることがより好ましい。気泡径0.2~1.0mmの気泡がスチレン系樹脂押出発泡体の断面中に占める面積比率が10%未満である場合、発泡体の厚み出し性に悪影響を及ぼし、80%より大きい場合には、小気泡による熱伝導率低減効果が十分に発揮されない。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体において、スチレン系樹脂押出発泡体の断面における、小気泡の占める合計面積と大気泡の占める合計面積の割合(小気泡の占める合計面積:大気泡の占める合計面積)は、20:80~50:50であることが好ましく、20:80~40:60であることがより好ましい。上記割合を満たすことで、優れた断熱性と厚み出し性とのバランスに優れるものとなる。
尚、本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径は、マイクロスコープ[(株)KEYENCE製、DIGITAL MICROSCOPE VHX-900]を用いて、次に記載の通り評価する。
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向および厚み方向中央部から10mm角のサンプルを切り出し、押出方向、幅方向、厚み方向の3方向からそれぞれ前記マイクロスコープにて観察し、100倍の拡大写真を撮影した。前記拡大写真中の気泡径0.15mm以下の小気泡と気泡径0.2~1.0mmの大気泡とを選別し、小気泡、および、大気泡のそれぞれの気泡に対し、縦方向および横方向の2点間距離を各方向の測定点数が30を超えるように計測し、それぞれの方向の平均気泡径を算出した。得られた各方向の平均気泡径を相加平均して求めた値を、スチレン系樹脂押出発泡体の小気泡および大気泡の平均気泡径とする。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における厚みは、例えば建築用断熱材、又は保冷庫用若しくは保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性、曲げ強度及び圧縮強度の観点から、10~150mmであることが好ましく、より好ましくは20~130mmであり、特に好ましくは20~120mmである。
尚、スチレン系樹脂押出発泡体では、本発明の実施例、及び比較例に記載したように、押出発泡成形して形状を付与した後に、厚み方向と垂直な平面の両表面を厚み方向に片側5mm程度の深さでカットして製品厚みとする場合があるが、別途記載がない限り、本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における厚みとは押出発泡成形して形状を付与したままのカットしていない厚みのことである。
かくして、本発明により、優れた断熱性と厚み出し性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得ることができる。
〔2.スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法〕
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、スチレン系樹脂、および発泡剤を含むスチレン系樹脂組成物を押出発泡してスチレン系樹脂押出発泡体を製造する方法であって、スチレン系樹脂100重量部に対し、グラファイトを含む熱線輻射抑制剤を0.5~1.5重量部、並びに、水を0.1~1.5重量部添加する工程を含む。本発明に係る方法によれば、得られるスチレン系樹脂押出発泡体を構成する気泡が、気泡径0.15mm以下の気泡と気泡径0.2~1.0mmの気泡より構成されるものとなる。また、得られるスチレン系樹脂押出発泡体は、グラファイトを含む熱線輻射抑制剤を特定量含有している。このため、優れた断熱性と厚み出し性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得ることができる。
以下に述べるスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、本発明のスチレン系樹脂押出発泡体を製造するために用いられる、好ましい実施形態の一つである。スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法における構成のうち、〔1.スチレン系樹脂押出発泡体〕にて既に説明した構成については、ここではその説明を省略する。
スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法の好ましい一実施形態としては、スチレン系樹脂、臭素系難燃剤、及び、必要に応じて、安定剤、熱線輻射抑制剤、又はその他の添加剤等を押出機等の加熱溶融部に供給する。このとき、任意の段階で高圧条件下にて発泡剤をスチレン系樹脂に添加することができる。そして、スチレン系樹脂、臭素系難燃剤、発泡剤を含む混合物を流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却した後、ダイを通して該流動ゲルを低圧領域に押出発泡して、発泡体を形成する。
前記加熱溶融部における加熱温度は、使用されるスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、添加剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば150~260℃程度が好ましい。加熱溶融部における溶融混練時間は、単位時間当たりのスチレン系樹脂の押出量、及び/又は、加熱溶融部として用い、かつ、溶融混練部として用いられる押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、スチレン系樹脂と発泡剤及び添加剤とが均一に分散混合されるのに要する時間として適宜設定される。
溶融混練部としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられるものであれば特に制限されない。
本発明に係る発泡成形方法は、例えば、押出成形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ開放して得られた押出発泡体を、スリットダイと密着又は接して設置された成形金型、及び該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する方法が用いられる。成形金型の流動面形状調整および金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体の表面性、発泡体品質が得られる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは勿論である。
実施例および比較例において使用した原料は、次の通りである。
○基材樹脂
・スチレン系樹脂 [PSジャパン(株)製、G9401;MFR2.2g/10分]
○熱線輻射抑制剤
・グラファイト [(株)丸豊鋳材製作所製、M-885;鱗(片)状黒鉛、一次粒径5.5μm、固定炭素分89%]
○難燃剤
・テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、及びテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルの混合臭素系難燃剤 [第一工業製薬(株)製、GR-125P]
・臭素化スチレン-ブタジエンブロックポリマー [ケムチュラ製、EMERALD INNOVATION #3000]
○難燃助剤
・トリフェニルホスフィンオキシド [住友商事ケミカル]
○ラジカル発生剤
・ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン [UNITED INITIATORS製、CCPIB]
○安定剤
・ビスフェノール-A-グリシジルエーテル [(株)ADEKA製、EP-13]
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂 [ハンツマンジャパン製、ECN-1280]
・ジペンタエリスリトール-アジピン酸反応混合物 [味の素ファインテクノ(株)製、プレンライザーST210]
・ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート] [ケムチュラ製、ANOX20]
・3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン [ケムチュラ製、Ultranox626]
・トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート [Songwon Japan(株)製、ソンノックス2450FF]
○その他添加剤
・タルク [林化成(株)製、タルカンパウダーPK-Z]
・ステアリン酸カルシウム [堺化学工業(株)製、SC-P]
・エチレンビスステアリン酸アミド [日油(株)製、アルフローH-50S]
・ベントナイト [(株)ホージュン製、ベンゲルブライト11K]
・シリカ [エボニックデグサジャパン(株)製、カープレックスBS-304F]
○発泡剤
・ジメチルエーテル [岩谷産業(株)製]
・イソブタン [三井化学(株)製]
・水[大阪府摂津市水道水]
実施例および比較例に係る押出発泡体の物性について、以下の手法に従ってスチレン系樹脂押出発泡体の厚み(カット前)、見掛け密度、独立気泡率、大気泡の平均気泡径、小気泡の平均気泡径、小気泡率、熱伝導率、酸素指数を評価した。
(1)スチレン系樹脂押出発泡体の厚み(カット前)
カット前のスチレン系樹脂押出発泡体に対して、ノギス[(株)ミツトヨ製、M型標準ノギスN30]を用いて、幅方向中央部、及び幅方向の一端から逆端方向に20mmの場所(幅方向両端について同じ場所)の厚み、計3点を測定した。3点の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の厚み(カット前)とした。
(2)見掛け密度(kg/m
得られたスチレン系樹脂押出発泡体から厚さ25mm×長さ(押出方向)300mm×幅100mmに切り出した試験片の重量を測定すると共に、長さ寸法、幅寸法、厚み寸法をノギス[(株)ミツトヨ製、M型標準ノギスN30]を用いて測定した。
測定された重量および各寸法から、以下の式(5)に基づいて発泡体密度を求め、単位をkg/mに換算した。
見掛け密度(g/cm)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm)・・・(5)
(3)独立気泡率
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部、及び幅方向の一端から逆端方向に20mmの場所(幅方向両端について同じ場所)の計3箇所から厚さ25mm×長さ(押出方向)25mm×幅25mmに切り出した試験片を用い、ASTM-D2856-70の手順Cに従って測定し、以下の計算式(6)にて各試験片の独立気泡率を求め、3箇所の平均値をスチレン系樹脂押出発泡体の独立気泡率とした。
独立気泡率(%)=(V1-W/ρ)×100/(V2-W/ρ)・・・(6)
ここで、V1(cm)は空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、空気比較式比重計、型式1000型]を用いて測定した試験片の真の体積(独立気泡でない部分の容積が除かれる。)である。V2(cm)は、ノギス[(株)ミツトヨ製、M型標準ノギスN30]を用いて測定した試験片の外側寸法より算出した見掛けの体積である。W(g)は試験片の全重量である。また、ρ(g/cm)は押出発泡体を構成するスチレン系樹脂の密度であり、ポリスチレンは1.05(g/cm)、とし、スチレン系樹脂中に含有される各々の重量比率(重量%)に応じて計算し、使用した。
(4)(5)小気泡および大気泡の平均気泡径
得られたスチレン系樹脂押出発泡体について、前述の通り評価した。
(6)小気泡率
得られたスチレン系押出発泡体について、気泡径0.15mm以下の気泡の発泡体断面積あたりの占有面積率(小気泡率)を、以下のようにして求めた。ここで、気泡径0.15mm以下の気泡とは、円相当直径が0.15mm以下の気泡とする。
a)得られたスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向および厚み方向中央部から10mm角のサンプルを切り出し、押出方向、幅方向、厚み方向の3方向からそれぞれマイクロスコープ[(株)KEYENCE製、DIGITAL MICROSCOPE VHX-900]にて100倍に拡大して写真撮影する。
b)撮影した画像を画像処理ソフト[Dibas32]に取り込み、気泡膜部および大気泡部(0.2~1.0mmの気泡径を有する気泡)を黒色に塗り潰し、コントラスト調整をしてから二値化する。
c)画像処理ソフト中でヒストグラム解析をおこない、白色部の面積率(小気泡率)を算出する。
d)前記b、cの操作を各断面方向について実施し、3方向の平均値を該サンプルの小気泡率とする。
(7)大気泡率
得られたスチレン系押出発泡体について、気泡径0.2~1.0mmの気泡の発泡体断面積あたりの占有面積率(大気泡率)を、以下のようにして求めた。ここで、気泡径0.2~1.0mmの気泡とは、円相当直径が0.2~1.0mmの気泡とする。
a)得られたスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向および厚み方向中央部から10mm角のサンプルを切り出し、押出方向、幅方向、厚み方向の3方向からそれぞれマイクロスコープ[(株)KEYENCE製、DIGITAL MICROSCOPE VHX-900]にて100倍に拡大して写真撮影する。
b)撮影した画像を画像処理ソフト[Dibas32]に取り込み、気泡膜部および小気泡部(0.15mm以下の気泡径を有する気泡)を黒色に塗り潰し、コントラスト調整をしてから二値化する。
c)画像処理ソフト中でヒストグラム解析をおこない、白色部の面積率(大気泡率)を算出する。
d)前記b、cの操作を各断面方向について実施し、3方向の平均値を該サンプルの大気泡率とする。
(8)小気泡と大気泡の専有面積率
前記小気泡率と前記大気泡率を足し合わせたものを該スチレン系樹脂押出発泡体における小気泡と大気泡の専有面積率とした。
(9)熱伝導率
JIS A 9521に準じて、厚さ25mm×長さ(押出方向)300mm×幅100mmに切り出した試験片を3本用い、熱伝導率測定装置[英弘精機(株)、HC-074]にて平均温度23℃での熱伝導率を測定した。測定は、スチレン系樹脂押出発泡体の製造後、前記寸法の試験片に切削し、JIS K 7100に規定された標準温度状態3級(23℃±5℃)、及び標準湿度状態3級(50+20、-10%R.H.)の条件下に静置し、製造から1週間後に行った。
(10)酸素指数
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の酸素指数は、JIS K7201-2(2007)に準じて測定した。試験片はスチレン系樹脂押出発泡体の幅方向中央部から、厚さ10mm×長さ(押出方向)150mm×幅10mmのサイズに切り出し、168時間予備状態調節した後、JIS K 7100に規定された標準温度状態3級(23℃±5℃)、及び標準湿度状態3級(50+20、-10%R.H.)の条件下にて88時間状態調節したものを使用した。
実施例および比較例について、グラファイトは、以下の手法に従って作製したマスターバッチにより添加した。
(製造例1)[グラファイトマスターバッチの作製]
バンバリーミキサーに、基材樹脂であるスチレン系樹脂[PSジャパン(株)製、G9401;MFR2.2g/10分]100重量部、並びに、スチレン系樹脂100重量部に対して、グラファイト[(株)丸豊鋳材製作所製、M-885]102重量部、及びエチレンビスステアリン酸アミド[日油(株)製、アルフローH-50S]2.0重量部を投入して、5kgf/cmの荷重をかけた状態で加熱冷却を行わずに20分間溶融混練した。この際、樹脂温度を測定したところ185℃であった。ルーダーに供給して先端に取り付けられた小穴を有するダイスを通して吐出量250kg/hrで押し出されたストランド状の樹脂を30℃の水槽で冷却固化させた後、切断してグラファイトマスターバッチを得た。
(実施例1)
[樹脂混合物の作製]
基材樹脂であるスチレン系樹脂[PSジャパン(株)製、G9401;MFR2.2g/10分]100重量部、並びに、輻射抑制剤としてグラファイトマスターバッチ1.0重量部、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA-ビス(2、3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルとテトラブロモビスフェノールA-ビス(2、3-ジブロモプロピル)エーテルとの混合臭素系難燃剤[第一工業製薬(株)製、GR-125P]3.0重量部、難燃剤助剤としてトリフェニルホスフィンオキシド [住友商事ケミカル]1.0重量部、安定剤としてビスフェノール-A-グリシジルエーテル[(株)ADEKA製、EP-13]0.20重量部、ジペンタエリスリトール-アジピン酸反応混合物[味の素ファインテクノ製、プレンライザーST210]0.10重量部、トリエチレングリコール-ビス-3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート[Songwon Japan(株)製、ソンノックス2450FF]0.20重量部、吸水媒体としてベントナイト [(株)ホージュン製、ベンゲルブライト11K]0.40重量部、シリカ [エボニックデグサジャパン(株)製、カープレックスBS-304F]0.4重量部、滑剤としてステアリン酸カルシウム[堺化学工業(株)製、SC-P]0.10重量部をドライブレンドし、樹脂混合物とした。
[押出発泡体の作製]
得られた樹脂混合物を、口径65mmの単軸押出機(第一押出機)、口径90mmの単軸押出機(第二押出機)、及び冷却機を直列に連結した押出機へ、75kg/hrで供給した。第一押出機に供給した樹脂混合物を、樹脂温度220℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、発泡剤(基材樹脂100重量部に対して、イソブタン3.2重量部、ジメチルエーテル2.1重量部、及び、水0.8重量部)を第一押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
その後、第一押出機に連結された第二押出機及び冷却機中にて、樹脂温度を120℃ に冷却し、冷却機先端に設けた厚さ2mm×幅150mmの長方形断面の口金(スリットダイ)より、発泡圧力3.0MPaにて大気中へ押出発泡させた後、口金に密着させて設置した成形金型とその下流側に設置した成形ロールにより、厚み42mm×幅150mmである断面形状の押出発泡板を得、カッターにて厚み35mm×幅130mm×長さ1500mmにカットした。カットして得られたものをスチレン系樹脂押出発泡体とし、上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例2~4)
表1に示すように、各種配合の種類、添加量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた押出発泡体の物性を表1に示す。
(比較例1~2)
表1に示すように、各種配合の種類、添加量、及び/又は製造条件を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた押出発泡体の物性を表に示す。
Figure 2022064639000001
実施例1~3、比較例1及び2との対比から、特定量のグラファイトを使用することで、熱伝導率が低いだけでなく、発泡体の厚み出し性にも優れる。すなわち、本願発明のスチレン系樹脂押出発泡体は優れた断熱性および厚み出し性を両立する効果を奏することが明らかである。また、本願発明のスチレン系樹脂押出発泡体は、酸素指数も高く、難燃性も有することが明らかである。
本発明によれば、優れた断熱性と厚み出し性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。当該スチレン系樹脂押出発泡体は、住宅、又は構造物の断熱材に好適である。

Claims (5)

  1. スチレン系樹脂、熱線輻射抑制剤、及び発泡剤を含有するスチレン系樹脂押出発泡体であって、前記熱線輻射抑制剤の含有量は、前記スチレン系樹脂100重量部に対して0.5~1.5重量部であり、以下の(A)、(B)および(C)の気泡構造を有するスチレン系樹脂押出発泡体:
    (A)気泡径0.15mm以下の気泡がスチレン系樹脂押出発泡体の断面中に面積比率として10~80%を占める、
    (B)気泡径0.2~1.0mmの気泡がスチレン系樹脂押出発泡体の断面中に面積比率として10~80%を占める、
    (C)スチレン系樹脂押出発泡体の断面積中に占める、気泡径0.15mm以下の気泡と気泡径0.2~1.0mmの気泡の割合が90%以上である。
  2. 前記熱線輻射抑制剤がグラファイトを含む、請求項1に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  3. 前記発泡剤が、炭素数が3~5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、水、炭素数2~5のアルコール類よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~2のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  4. 前記スチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率が0.0265W/mK以下である、請求項1~3のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  5. スチレン系樹脂、および発泡剤を含むスチレン系樹脂組成物を押出発泡してスチレン系樹脂押出発泡体を製造する方法であって、前記スチレン系樹脂100重量部に対し、グラファイトを含む熱線輻射抑制剤を0.5~1.5重量部、並びに、水を0.1~1.5重量部添加する工程を含む、スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。


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