JP2007045685A - 単結晶製造装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 チョクラルスキー法による単結晶棒の製造において、肩部と直胴部の双方での直径の制御性を向上させ、直胴部の結晶品質を向上させる。
【解決手段】 コントローラ104が、引上げ機102のヒータ温度又は融液温度を入力、単結晶棒116の直径を出力とした場合の入出力間の伝達特性を表す複数種の係数設定値を含むモデルを予め記憶する。モデルに含まれる少なくとも一種の係数設定値は、単結晶棒116の肩部及び直胴部の形成過程において単結晶棒の長さ又は経過時間に応じて変化するように設定される。コントローラ104が、モデルに基づいて、引上げ機102により引上げられている単結晶棒116の肩部及び直胴部の直径を所定の目標値に制御するようにフィードバック制御動作を行って、ヒータ又は融液の温度を操作する。
【選択図】図1

Description

本発明は、チョクラルスキー法(引上げ法)により、半導体材料のような特定物質の単結晶棒を製造するための装置及び方法に関し、特に、引き上げ速度と坩堝加熱温度の制御の改良に関する。
チョクラルスキー法又はその他の方法による単結晶棒の製造において、単結晶棒の結晶欠陥を低減することが非常に重要であることは言うまでもない。また、単結晶棒の直胴部の直径を所望値で一定に制御することも非常に重要である。これらの要求をより良く満たすために、例えば次のような制御方法が提案されている。
特許文献1には、チョクラルスキー法における、単結晶棒の直胴部の直径を一定にし、そして、多結晶の発生を抑制するための方法が開示されている。この方法によると、単結晶棒が引上げられながら直胴部が形成されている間、単結晶棒の重量が測定され、測定された重量から単結晶棒の現在の外径値が計算される。計算された現在の外径値と、予め設定されている予測モデル(例えば、ステップ応答モデル)の応答関数とに基づいて、所定時間経過後の単結晶棒の外径予測値が計算される。計算された外径予測値が所定の外径目標値と比較されて両者間の偏差が計算され、その偏差に応じて、ヒータ出力が制御される。
また、例えば特許文献2には、特許文献1に開示された制御方法を改良した制御方法が開示されている。この方法によると、上記予測モデルの応答関数における時定数又は利得が、時間経過に伴って単調減少するように調整される。
特許文献3には、チョクラルスキー法における、単結晶棒の直胴部の結晶を乱さないようにするための、単結晶棒の直径増大部(コーン部又は肩部)の育成方法が開示されている。この方法によると、コーン部(肩部)が育成されている間、コーン部の直径の変化率と、融液の温度とが測定される。測定されたコーン部の直径変化率と予め設定された目標値とが比較され、両者間の差に応じて温度目標値を調節される。調節された温度目標値と測定された融液温度とが比較され、両者間の偏差に応じて、ヒータへの供給電力がPID制御される。
特許第2813439号公報 特開平9−165293号公報 特公平7−77996号公報
特許文献1,2に開示された予測モデルを使用した制御方法は、直胴部の形成に適用されるものであり、その前の肩部の形成工程には適用されない。一方、肩部の形成工程に関する特許文献3に記載の方法は、小径の単結晶棒を非常に遅い速度で引上げる場合には適用できるであろう。しかし、例えば直径200mm、300mmというような大径の単結晶棒を、シリコン単結晶引上げのように高速に引上げながら製造する場合には、肩部から直胴部の前半の形成工程におけるヒータ温度と結晶直径の間の非定常性、非線形性が顕著に現れるため、特許文献3に記載の方法では所望の肩部を形成することは困難である。
従って、本発明の目的は、チョクラルスキー法による単結晶製造装置及び方法において、単結晶棒の肩部と直胴部の双方における直径の制御性を向上させ、かつ直胴部における結晶品質を向上させることにある。
本発明の一つの側面に従えば、チョクラルスキー法により特定物質の単結晶棒を製造するための装置は、ヒータにより特定物質の融液を加熱しつつ融液から単結晶棒を引上げる引上げ機と、引上げ機を制御するコントローラとを備える。コントローラは、引上げ機におけるヒータ温度又は融液温度を入力、単結晶棒の直径を出力とした場合の入出力間の伝達特性を表す複数種の係数設定値を含むモデルを予め記憶している。ここで、そのモデルに含まれる少なくとも一種の係数設定値は、単結晶棒の肩部及び直胴部の形成過程において単結晶棒の長さ又は経過時間に応じて変化するように設定されている。そして、コントローラは、そのモデルに基づいて、引上げ機により引上げられている単結晶棒の肩部及び直胴部の直径を所定の目標値に制御するようにフィードバック制御動作を行って、ヒータ又は融液の温度を操作する。ここで、上記「直径」とは、文字通りの直径であってもよいし、あるいは、引き上げ中の単結晶棒の重量の時間微分値(この明細書では「擬似直径」という)であってもよい。
この単結晶製造装置によれば、引上げ機におけるヒータ温度(又は融液温度)と単結晶棒直径との間の伝達特性のモデルが、単結晶棒の肩部及び直胴部の形成過程において単結晶棒の長さ又は経過時間に応じて変化するように設定されており、そのモデルに基づいて、ヒータ温度(又は融液温度)がフィードバック制御される。そのため、肩部及び直胴部の双方の形成過程において単結晶棒の直径の制御性が向上し、直胴部の結晶品質が向上する。
引上げ機による単結晶棒の引上げ速度は、予め設定された引上げ速度設定値に一致するように操作するようにしてよい。ここで、引上げ速度設定値は、単結晶棒の肩部及び直胴部の形成過程において単結晶棒の長さ又は経過時間に応じて変化するように設定されることができる。好ましくは、単結晶棒の固体と融液の液体との界面における温度勾配がほぼ適正値に維持されるように、引上げ速度設定値は設定される。それにより、単結晶棒の結晶品質の制御精度が向上する。
好適な実施形態では、フィードバック制御動作方法として、モデルに基づいたゲインスケジュールドスライディングモード制御動作が採用される。それにより、モデルの非線形や時変特性に対する適応性やロバスト性が向上し、単結晶棒の直径と結晶品質の制御精度が一層改善される。
さらに、前記モデルに基づいて、上記伝達特性の無駄時間分だけ現在より後の将来時刻における単結晶棒の状態変数の値を予測し、予測された将来時刻における状態変数値をスライディングモードに拘束するようにスライディングモード制御動作を行うようにすることができる。それにより、大きな無駄時間があっても、高い制御精度が得られる。
好適な実施形態では、上記モデルには、無駄時間と一次遅れ要素を表す複数の係数設定値、例えば無駄時間設定値、時定数設定値及びプロセスゲイン設定値が含まれる。単結晶棒の肩部と直胴部の前部の形成過程では、無駄時間設定値と時定数設定値とプロセスゲイン設定値のいずれもが単結晶棒の長さに応じて変化し、その後の直胴部の後部の形成過程では、プロセスゲイン設定値が単結晶棒の長さに応じて引上速度の変化に伴って変化するように設定される。このようなモデルを使用して上記ゲインスケジュールドスライディングモード制御動作を行って、ヒータ温度(融液温度)を制御することにより、単結晶棒の直径と結晶品質の制御精度を非常に良くすることができる。
好適な実施形態では、上記モデルは、引上げられた単結晶棒の重量の時間微分値又は直径を出力とし、ヒータ又は融液の温度の指令値を入力として逐次同定手法により導出されたものである。ここで、温度の指令値は、種しぼりにおいて無転位になったときの温度(肩開始温度)を平衡点とするものである。
本発明の別の側面に従えば、チョクラルスキー法により特定物質の単結晶棒を製造するための方法は、引上げ機においてヒータにより特定物質の融液を加熱しつつ融液から単結晶棒を引上げるステップと、引上げ機を制御するステップとを備える。制御ステップでは、引上げ機の伝達特性を表す複数種の係数設定値を含むモデルを予め記憶し、そのモデルに含まれる少なくとも一種の係数設定値は、単結晶棒の肩部及び直胴部の形成過程において単結晶棒の長さ又は経過時間に応じて変化するように設定される。そして、そのモデルに基づいて、引上げ機により引上げられている単結晶棒の肩部及び直胴部の直径を所定の目標値に制御するようにフィードバック制御動作が行われて、ヒータ又は融液の温度が操作される。
本発明のまた別の側面に従えば、チョクラルスキー法により特定物質の単結晶棒を製造するための装置は、ヒータにより特定物質の融液を加熱しつつ融液から単結晶棒を引上げる引上げ機と、引上げ機を制御するコントローラとを備える。コントローラは、比例、積分及び微分動作のための制御ゲイン設定値を記憶している。それらの制御ゲイン設定値は、好ましくは、引上げ機の伝達特性のモデルに基づいて設定され、少なくとも一種の制御ゲイン設定値が、単結晶棒の肩部及び直胴部の形成過程において単結晶棒の長さ又は経過時間に応じて変化するように設定される。コントローラは、予め単結晶棒の長さ又は経過時間の関数として設定されている第1の温度操作値を発生する。同時に、コントローラは、上記の制御ゲイン設定値に基づいて、引上げ機により引上げられている単結晶棒の肩部及び直胴部の形成過程における重量又は直径を所定の目標値に制御するようにゲインスケジュールドPID動作を行って、第2の温度操作値を発生する。そして、コントローラは、第1と第2の温度操作値を合成することにより、第3の温度操作値を生成して、その第3の温度操作値により引上げ機のヒータ温度又は融液温度を操作する。ここで、第1の温度操作値としては、経験的にほぼ適正であることが分かっている温度操作値を設定しておくことができる。この第1の温度操作値が、ゲインインスケジュールドPID制御動作からの第2の温度操作値によって修正され、修正された温度操作値(第3の温度操作値)により温度操作が行われる。それにより、単結晶棒の肩部及び直胴部の双方の形成過程において直径と結晶品質の制御精度が向上する。
好適な実施形態では、比例、積分および微分のゲイン設定値のいずれもが、単結晶棒の肩部の形成過程と直胴部の前部の形成過程において前記単結晶棒(116)の長さ(l)に応じて変化するように設定されている。
単結晶棒の引上げ速度は、予め設定された引上げ速度設定値に一致するように操作することができる。引上げ速度設定値は、単結晶棒の肩部及び直胴部の形成過程において単結晶棒の長さ又は経過時間に応じて変化するように設定される。好ましくは、単結晶棒の固体と融液の液体との界面での温度勾配がほぼ適正値に維持されるように、引上げ速度設定値が設定される。それにより、単結晶棒の結晶品質が一層向上する。
本発明のまたさらに別の側面に従えば、チョクラルスキー法により特定物質の単結晶棒を製造するための方法は、引上げ機においてヒータにより特定物質の融液を加熱しつつ融液から単結晶棒を引上げるステップと、引上げ機を制御するステップとを備える。制御ステップでは、比例、積分及び微分動作のための制御ゲイン設定値が予め記憶される。少なくとも一種の制御ゲイン設定値が、単結晶棒の肩部及び直胴部の形成過程において単結晶棒の長さ又は経過時間に応じて変化するように予め設定される。引上げ作業が行われている間、予め単結晶棒の長さ又は経過時間の関数として設定されている第1の温度操作値が発生する。同時に、上記の制御ゲイン設定値に基づいて、引上げ機により引上げられている単結晶棒の肩部及び直胴部の形成過程における重量又は直径を所定の目標値に制御するようにゲインスケジュールドPID動作が行われ、第2の温度操作値が発生する。そして、第1と第2の温度操作値が合成されて第3の温度操作値となり、その第3の温度操作値により引上げ機のヒータ温度又は融液温度が操作される。ここで、第1の温度操作値としては、経験的にほぼ適正であることが分かっている温度操作値を設定しておくことができる。この第1の温度操作値が、ゲインインスケジュールドPID制御動作からの第2の温度操作値によって修正され、修正された温度操作値(第3の温度操作値)により温度操作が行われるわけである。
本発明によれば、単結晶棒の肩部と直胴部の双方における直径の制御性が向上し、直胴部での結晶品質が向上する。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明が適用された、チョクラルスキー法により特定物質、例えばシリコン、の単結晶棒を製造するための単結晶製造装置の一実施形態の全体構成を示す。
図1に示すように、単結晶製造装置100は、チョクラルスキー法による単結晶引上機の炉本体(以下、「CZ機」と略称する)102と、このCZ機102の動作を制御するコントローラ104とを有する。コントローラ104は、後述する制御演算を行うコンピュータ(図示せず)及びそのコンピュータとCZ機102やオペレータとの間の各種の入出力インタフェースである各種の電気・電子回路とを有する。
CZ機102は、チャンバ106を有し、チャンバ106内部の空気は図示しない真空ポンプにより除去され、そして、アルゴンなどの不活性ガス107がチャンバ106内部に所定流量で供給される。チャンバ106内には、坩堝108が設置され、坩堝108の周囲には、坩堝108を加熱するためのヒータ110が配置され、それらを外側から断熱材111が包囲する。それらを包囲するように、チャンバ106の外側に磁場発生装置114があり、これが坩堝108内に磁場を提供する。坩堝108内には原料物質、例えばシリコンが入っており、それはヒータ110により加熱されて融液112となる。坩堝108は坩堝回転/昇降装置113により水平に回転させられ、また、融液112の液面高さを一定に維持するように上昇させられる。
CZ機102の上部からワイヤ117によりシード115が吊り下げられる。CZ機102の上部に配置された引上げモータ118が、ワイヤ117を操作して、シード115を坩堝108内の融液112内に浸け、その後に、シード115を所定速度で引き上げる。また、回転モータ120がワイヤ117を操作してシード115を所定速度で回転させる。コントローラ104により、シード115の引上げ速度と回転速度、ヒータ110の温度(融液112の温度)、坩堝108の回転速度などが制御される。それにより、シード115の引上げに伴って、シード115の下に単結晶棒116が形成されていく。
CZ機102の上部に設けられた重量・位置測定器119が、引き上げが行われている間、単結晶棒116の重量(これから単結晶棒116の直径が把握できる)とシードの位置(これから単結晶棒116の長さが把握できる)を測定して、結晶重量信号126とシード位置信号128をコントローラ104に与える。また、チャンバ106のヒータ110を観察するための窓に配置された光学的なヒータ温度検出器132が、ヒータ110の温度を測定し、ヒータ温度信号134をコントローラ104に提供する。さらに、チャンバ106の単結晶棒116を観察するための窓に配置された光学的な直径計測器138が、単結晶棒116の直径を計測し、結晶直径信号140をコントローラ104に出力する。この実施形態では、単結晶棒116の直径は、基本的に結晶重量信号126に基づいて計算されるが、結晶重量信号126に基づいて単結晶棒116の直径を精度良く把握することが困難である引上げ初期の頃の小さい直径(例えば、40mm以下の直径)は、直径計測器138を代用して計測されることができる。なお、変形例として、終始、直径計測器138を用いて直径を計測するようにしてもよい。
コントローラ104は、上述した結晶重量信号126、シード位置信号128、ヒータ温度信号134及び結晶直径信号140を入力し、それらの信号の値を用いて、後に詳述するような制御動作を行なう。その制御動作の結果として、コントローラ104は、引上げ制御信号124を引上げモータドライバ122に出力して、引上げモータ118による単結晶棒116の引上げ速度を制御する。また、コントローラ104は、その制御動作の結果として、加熱制御信号136をヒータ電源回路130に出力して、ヒータ110への供給電力を制御し、それにより、ヒータ110の温度を制御する。さらに、コントローラ104は、回転モータ120による単結晶棒116の回転速度や、坩堝回転/昇降装置113による坩堝108の回転速度や昇降速度や、アルゴン107の流量を制御する。CZ機102が本実施形態のように磁場発生装置114を有する場合には、コントローラ104は、さらに、磁場発生装置114による磁場強度も制御する。
コントローラ104には、特定のプロセス条件が予め設定される。プロセス条件に含まれる主な変数には、単結晶棒116の回転速度と引上げ速度、坩堝108の回転速度、アルゴン107の流量、及び磁場の強度などがある。これらのプロセス条件変数の値は、それぞれ、引き上げられた単結晶棒116の長さ(又は引上げ開始からの経過時間)の関数(特に、非線形関数)として(よって、単結晶棒長さ又は経過時間に応じて変化するような値の時系列として)、コントローラ104に設定され得る(一部の変数を固定値として設定してもよい)。引上げ速度の設定値の経過時間又は単結晶棒長さに応じた変化の仕方は、単結晶棒116の固体と融液112の液体との界面における温度勾配(界面に垂直方向の温度勾配)を適正値に維持するように選ばれている。コントローラ104は、単結晶棒116の引上げが行われている間、上述したプロセス条件変数を、単結晶棒長さ(又は経過時間)に応じて、それぞれの設定値になるように可変制御する。
プロセス条件を上記のように設定通りに制御することに加え、コントローラ104は、後に詳述するような「非線形状態予測スライディングモード制御」法により、ヒータ110の温度(ひいては融液112の温度)を制御する(以下、「スライディングモード制御」を「SMC」と略称する)。ヒータ温度(融液温度)の制御動作は、基本的に、単結晶棒116の重量を時間で微分した重量微分値を、予め設定された目標値に制御するように行われる。ここで、上記重量微分値は、引上げ速度が一定である場合には単結晶棒116の直径に相当する変数であり、以下、これを「擬似直径」とよぶ。
非線形状態予測SMC法によるヒータ温度(融液温度)の制御動作には、「非線形状態予測」という動作と、「ゲインスケジュールドSMC」という動作とが含まれる。非線形状態予測動作では、制御対象であるCZ機102のもつ長い無駄時間が考慮されて、擬似直径に関する状態変数ベクトル(すなわち、擬似直径それ自体、それの時間による1階微分値及び2階微分値の3つの状態変数のセット)が、それぞれ、現時刻から無駄時間経過後の将来時刻にどのような値になるかが予測される。そして、予測された上記将来時刻での擬似直径を、上記将来時刻での擬似直径の目標値に一致させるように、現在のヒータ温度(融液温度)についてゲインスケジュールドSMC動作が実行される。
ゲインスケジュールドSMC動作では、制御対象であるCZ機102のもつ複数のシステムパラメータ(プロセスゲイン、時定数、無駄時間)の時変特性(例えば、単結晶棒の肩部から直胴部の前部を形成する過程で、プロセスゲインが顕著に変化したり、時定数が変化したりする)が考慮される。すなわち、システムパラメータ(プロセスゲイン、時定数、無駄時間)の全て又は一部(とりわけ、プロセスゲインや時定数)が、それぞれ所定の時変特性をもつように、単結晶棒長さ(又は経過時間)の非線形関数として予め設定されている(なお、この実施形態では、後述するように、無駄時間だけは、時変的な値ではなく一定値(Ld)に設定されるが、これは単なる例示に過ぎず、無駄時間も、プロセスゲインや時定数と同様に時変的な値に設定されてよい。)。そして、上記非線形状態予測動作によって予測された上記将来時刻における状態変数ベクトルをその将来時刻においてスライディングモードに拘束するように、予め設定された時変的なシステムパラメータの上記将来時刻における設定値を使用して、SMCの演算が行われて、ヒータ温度(融液温度)の現在の操作値が決定される。
以下、上に概説した非線形状態予測SMC法によるヒータ温度(融液温度)の制御について、より詳細に説明する。
図2は、非線形状態予測SMC法によるヒータ温度(融液温度)の制御を行うための制御システムの全体構成を示す。
図2において、ブロック200は制御対象(すなわち、図1に示したCZ機102)を示す。他のブロック202〜212は、コントローラ104により実行される制御動作を示す。すなわち、コントローラ104は、引上げ速度設定器202、不完全微分器204、非線形状態予測器206、減算器208、積分器210、及びゲインスケジュールドSMC器212として動作する。なお、コントローラ104は、ヒータ温度(融液温度)の制御だけでなく、上述したようなプロセス条件の諸変数の制御も並行して行うのであるが、図2では、それらのプロセス条件変数のうち引上げ速度を制御する機能だけが図示され、他の変数を制御するための機能は図示省略されている。制御対象200のシステムパラメータ(プロセスゲインk0、時定数T、無駄時間L)は、コントローラ104に予め設定されて記憶されている。この実施形態では、制御対象である図1のCZ機102がたまたまそういう伝達特性をもっているがゆえに、プロセスゲインk0と時定数Tはそれぞれ所定の時変特性をもつように設定され、他方、無駄時間Lは一定値Ld設定される。しかし、これは単なる例示に過ぎず、プロセスゲインk0、時定数T、無駄時間Ldの全てがそれぞれ、制御対象の特性に合わせて時変特性をもように設定されることができる。
図2に示すように、引上げ速度設定器202は、単結晶棒116の引上げ速度を、単結晶棒長さ(又は経過時間)の非線形関数として設定された引上げ速度の設定値に従って、単結晶棒長さ(又は経過時間)に応じて変化させる。既に述べたように、引上げ速度の設定値の単結晶棒長さ(又は経過時間)に応じた変化の仕方は、単結晶棒116の固体と融液112の液体との界面の温度勾配を適正値に保つようなものに選ばれている。一般に、引上げられた単結晶棒116内にできる結晶欠陥の密度は、上記界面の温度勾配と結晶の成長速度により決まる。単結晶棒116を引上げている間、上記界面の温度勾配を適正値に維持することにより、結晶欠陥の発生を抑制して高品質の単結晶棒116を製造することが容易になる。
不完全微分器204は、制御対象(CZ機)200から検出される結晶重量w(図1に示す結晶重量信号126)を入力して、現時刻の結晶重量の時間tによる1階微分値を計算する。重量wの時間tによる1階微分値は、既に述べたように、引上げ速度が一定である場合には単結晶棒116の直径に相当し、この明細書では「擬似直径」と呼ばれ、図2では記号y(t)で示されている。ところで、不完全微分器204は、擬似直径y(t)を計算する場合に、結晶重量wに対して完全微分を施すのでなく、所定の時定数Lf1をもった不完全微分のローパスフィルタを施す。それにより、検出された結晶重量w(結晶重量信号126)に含まれるノイズの影響が除去される。
非線形状態予測器206は、現時刻tにおける擬似直径y(t)とヒータ温度(融液温度)の操作値uTとを入力して、予め記憶されているシステムパラメータ(プロセスゲインk0、時定数T、無駄時間Ld)の設定値を用いて、現時刻tから所定の無駄時間Ld経過後の将来時刻(t+Ld)における擬似直径に関する状態変数ベクトルx(t+Ld)を予測計算する。ここで、状態変数ベクトルx(t+Ld)は、無駄時間Ld後の将来時刻(t+Ld)における擬似直径y(t+Ld)と、擬似直径y(t+Ld)の時間による1階微分値y'(t+Ld)と、同じく2階微分値y''(t+Ld)の3つの状態変数のセット(換言すれば、将来時刻(t+Ld)における結晶重量w(t+Ld)の時間による1階微分値、2階微分値及び3階微分値のセット)から構成される。
減算器208は、非線形状態予測器206で予測された将来時刻(t+Ld)における擬似直径y(t+Ld)と、将来時刻(t+Ld)における擬似直径の目標値r(t+Ld)とを入力して、目標値r(t+Ld)と擬似直径y(t+Ld)との間の偏差e(t+Ld)を計算する。ここで、擬似直径の目標値r(t+Ld)は、引上げられた単結晶棒116の長さ(又は引上げ開始後の経過時間)の非線形関数としてコントローラ104に予め設定されて記憶されている。
積分器210は、減算器208からの偏差e(t+Ld)を入力して、この偏差e(t+Ld)を時間で積分して、引き上げ開始から現時刻までの間に減算器208から出力された偏差e(t+Ld)の積分値z(t+Ld)を求める。
ゲインスケジュールドSMC器212は、非線形状態予測器206からの状態変数ベクトルx(t+Ld)と、積分器210からの偏差e(t+Ld)の積分値z(t+Ld)とを入力し、予め記憶されているシステムパラメータ(プロセスゲインk0、時定数T、無駄時間Ld)の将来時刻(t+Ld)での設定値を用いて、状態変数として状態変数ベクトルx(t+Ld)に偏差積分値z(t+Ld)が追加された1型サーボ系のSMC動作を実行し、それにより、ヒータ温度(融液温度)の操作値uTを決定する。この操作値uTは、引上げ開始時のヒータ温度から、現時刻のヒータ温度の目標値までの温度差を示している。図1に示すように、上記操作値uTに応じた加熱制御信号136がコントローラ104からヒータ電源回路130に与えられ、それにより、実際のヒータ温度(融液温度)が、上記操作値uTにより指定されるヒータ温度(融液温度)目標値に一致するように制御される。
次に、図2に示した非線形状態予測SMC法によるヒータ温度(融液温度)の制御システムの具体例について一層詳細に説明する。
1. 制御対象200のモデリング
結晶成長のメカニズムは非常に複雑であり、物理法則からモデルを導出できない。そこで、同定実験で得た入出力データに拡大最小2乗法を適用するこで、制御対象200のモデルを導出することができる。
1・1 同定実験
同定実験は、引き上げ中の正確な動特性を把握するため、図3に示すような開ループの同定システムを用いて行うことができる。図3に示された同定システムでは、引き上げ速度と融液温度のPID制御が除去された状態で、フィードフォワード温度補償器220からフィードフォワード補償信号が出力され、また、同定入力信号uTiが手動入力され、両信号が加算されてヒータ温度(融液温度)の操作値uTとなり、この操作値uTに従ってヒータ温度(融液温度)が操作される。そして、図2に示したものと同様の引上げ速度設定器202から提供される、単結晶棒長さ (又は経過時間)の非線形関数である引上げ速度設定値に従った引上げ速度で、単結晶棒116が引き上げられる。ここで、上記フィードフォワード補償信号は、単結晶棒116の直径を所定の目標値に制御するために、経験的に求められ予め設定されたヒータ温度(融液温度)の操作値である。しかし、上記フィードフォワード補償信号だけでは、単結晶棒116の直径を所定の目標値に良好に維持することが難しい。そこで、上記フィードフォワード補償信号をより適正値に調整するために、同定入力信号uTiが、引き上げプロセス全般において約1時間毎に手動操作で与えられる。同定入力信号uTiの大きさは、例えば-3.0〜+3.0[℃]の範囲内である。上記フィードフォワード補償信号と上記同定入力信号uTiとによって、引上げられる単結晶棒116の直径が所定の目標値に良好に維持されることになる。この同定実験により、予め設定された引上げ速度(結晶成長速度)で単結晶棒116が引き上がるときの動作点近傍での入出力データが得られる。ここで、入力データはヒータ温度(融液温度)の操作値uTであり、出力データは引き上げられた単結晶棒116の擬似直径(重量wの微分値)dw/dtであり、いずれも、単結晶棒長さ(又は経過時間)の関数として得られる。
この同定実験で使用されるプロセス条件は、この同定実験の結果に基づいて設計される図2に示した制御システムで使用されるプロセス条件と同じものである。このプロセス条件の具体例を挙げると次のとおりである。引き上げ速度は0.8〜0.4 [mm/min]の範囲で変化し、単結晶棒回転数は6〜15[rpm]の範囲で変化し、アルゴン供給流量は20〜100[l/min]の範囲で変化し、磁場強度は0.1〜0.4[T](=1000〜4000[G])の範囲で変化し、また、坩堝回転速度は0.8〜3[rpm]の範囲で変化する。既に説明したように、引き上げ速度は、固体と液体の界面での温度勾配が適正値になるように予め設定された速度設定値の時系列に従って、引き上げられた単結晶棒の長さ(あるいは経過時間)とともに変化させられる。上記のプロセス条件の数値は一例にすぎず、別の数値のプロセス条件を用いることもでき、以下の説明では採用される1種又はそれ以上の種類のプロセス条件をpi (i=0, 1, 2,・・・)で表す。
1・2 モデル構造
上記同定手法を用いて得られるモデルは、制御系設計を考慮したモデルでなくてはならない。これに対して、複雑な非線形性や時変の特性を有する制御対象を、区分的線形システムの集合として記述する手法や、Just-In-Timeモデリング手法、ローカルモデリング手法等が提案されている。非常に複雑な非線形性を有するCZ装置も、次式のように記述することができる。
Figure 2007045685
ここで、G(s)は制御対象200の伝達関数である。k0{・}、 T{・}、 L{・}は、それぞれ制御対象200のプロセスゲイン、時定数、むだ時間である。Δk0、 ΔT、 ΔLは、各システムパラメータの不確かさであり、γk0、γT、γLによって上界値が定義される。l(t)は引き上げられた単結晶棒116の長さ、pi (i=0, 1, 2,・・・)はプロセス条件、tは時間である。引き上げ速度のPID制御を除去した状態では、単結晶棒116の長さl(t) は予め時間の関数として与えられる。これより、(1)式は、時変系と考えることができる。
1・3 拡大最小2乗法の適用
未知外乱の存在する状況下での時変システムパラメータの同定手法として、忘却係数を用いた逐次型の拡大最小二乗法を用いることができる。ただし、入力であるヒータ温度(融液温度)の指令値uTは、種しぼりにおいて無転位になったときの温度(一定値;単結晶棒育成の初期温度;肩開始温度)を平衡点とする。γk0、γT、γLによって定義される不確かさの上界値は、それぞれ0.25(25[%])程度である。
2. 非線形状態予測スライディングモード制御
CZ機の大きなむだ時間と非線形性に対して、従来のPID制御に基づく制御手法では、ヒータ温度(融液温度)の制御だけで高い直径制御性能を実現できない。また、従来の制御手法は、異なるオペレータ間の運転技術の違いや、異なるCZ機間の性能差や、様々なプロセス条件の違いに対するロバスト性及び適応性が低い。そこで、この実施形態では、外乱やモデル化誤差に対して高いロバスト性及び適応性をもつSMCを応用して、非線形モデルに基づき予測した無駄時間後の状態を切換超平面に拘束するような非線形状態予測SMCを採用する。
2・1 制御対象の記述
SMCの観測ノイズによって生じるチャタリングを低減するため、不確かさを除去した前述の(1)式に対して、次式のように2つのローパスフィルタを付加する。
Figure 2007045685
ここで、Lf1は、計測された重量を擬似直径に変換する不完全微分のローパスフィルタ(図2に示したブロック204)の時定数である。Lf2は、後述の非線形状態予測器の内部に設けられたローパスフィルタの時定数である。
上述した同定実験の結果から得られるプロセスゲインk0{l(t), pi}、時定数T{l(t), pi}及びむだ時間L{l(t), pi}は、例えば図4に示すような特性を示す(それぞれの縦軸は、それぞれの数値の所定の可変範囲に対する百分率で表してある)。図4において、単結晶棒長さl(t)が50mmに満たない引上げ初期の領域(ハッチングを付した領域)は、最小二乗法の計算途中の段階であるため信頼できず、50mmを越えた領域での同定結果が信頼できるものである。また、破線で示した位置(例えばl(t)=約120mm)は、直胴部の形成が開始される位置である。図4からわかるように、プロセスゲインk0{l(t), pi}は単結晶棒長さl(t)に応じて変化し、とりわけ、単結晶棒116の肩部から直胴部の前部までの間(例えばl(t)=0−約300mm)に顕著に変化する。すなわち、プロセスゲインk0{l(t), pi}は、肩部を育成する過程では、直胴部に入る少し手前の位置までは低下し、その後に上昇して直胴部の前部が育成され終わった段階(例えば、l(t)=約300mm)以降はほぼ一定値とみなすことができる。ここで、プロセスゲインk0{l(t), pi}の直胴部での変化は、引上速度の変化に伴うものと考えられる。また、時定数T {l(t), pi}は、肩部の育成過程では上昇し、直胴部に入った後はほぼ一定値とみなすことができる。また、むだ時間L{l(t), pi}は、終始、単結晶棒長さl(t)に依存しない一定値Ld{pi}とみなすことができる。なお、図4に示したプロセスゲインk0{l(t), pi}、時定数T{l(t), pi}及びむだ時間L{l(t), pi}の特性は一つの例示にすぎず、制御対象やプロセス条件などが異なればそれらの特性は異なってくる。例えば、むだ時間L{l(t), pi}も、一定値ではなく、プロセスゲインk0{l(t), pi}や時定数T{l(t), pi}と同様に、或る時変特性をもつ場合があり得る。あるいは、プロセスゲインk0{l(t), pi}または時定数T{l(t), pi}が一定とみなせる場合もあり得る。
(2)式を正準系の状態方程式に書き換えると次の(3)−(6)式のようになる。ただし、プロセス条件piは既知であるため、ここでは、k0{l(t), pi}≡k0(t)、T{l(t), pi} ≡T(t)、Ld{pi}≡Ldと表す。
Figure 2007045685
2・2 制御系設計
まず、定常偏差を除去するために、(3)式の状態変数x(t)に目標値r(t)と出力y(t)との差の積分値z(t)を付加した拡張状態変数xs(t)を用いる1型サーボ系(拡大系)を以下のように構成する。
Figure 2007045685
つぎに、(7)式を用いて、等価制御系を設計する。むだ時間Ldが存在する場合、等価制御系は、一般に無限個の極をもち、後述するSでそれらすべてを調整することができない。そこで、(7)式の時間を無駄時間Ldだけ進めた次式を用いて等価制御系を設計する。
Figure 2007045685
ここで、時間をLdだけ進めた切換関数σ(t+Ld)は、次式のように定義する。
Figure 2007045685
連続時間系のスライディングモードにおいては、
Figure 2007045685
から、等価制御入力ueq(t)は外乱を考慮しないとすれば、
Figure 2007045685
となり、等価制御系は次式で表される。
Figure 2007045685
切換超平面の設計には、等価制御系の入力の数だけ低次元化された3次元システムの極λ1、 λ2、 λ3を希望の特性に指定することができる極配置法を適用する。このとき、閉ループ系の特性方程式は、s3+S3s2+S2s-S1=0となる。ここで注目すべきことは、この特性方程式は時変システムパラメータを含まず、容易に設計可能である。
最後に、スライディングモードコントローラを設計する。制御入力u(t)は、次式のように等価制御入力ueq(t)と非線形制御入力unl(t)の2つの独立した制御入力から構成されているとする。
Figure 2007045685
SBs(t+Ld)>0のときK>0、SBs(t+Ld)<0のときK<0と選べば、時間をLdだけ進めたスライディングモードが存在する条件
Figure 2007045685
を満足する。
2・3 非線形状態予測器
(3)式のように表される非線形プロセスの無駄時間Ldだけ先の状態は、以下のように導出することができる。
Figure 2007045685
(18)式の両辺を時間t〜t+Ldで積分すると、次式のようになる。
Figure 2007045685
これより、時間Ldだけ先の状態をxM(t+Ld)とすると、
Figure 2007045685
となる。ただし、(20)式は、システムパラメータの変化の仕方が予めわかっているという前提のもとで導出された式である。さらに、(20)式に対して、現時刻tでの実測値x(t)と予測値xM(t)との差を用いて、モデル化誤差や外乱等の影響を補正する。これより、10分以上の大きなむだ時間を有する実プロセスにも適用が可能となる。
Figure 2007045685
ただし、(21)式の実測値x(t)と予測値xM(t)との差に対しては、実プロセスに適用した際の観測ノイズやモデル化誤差に対するロバスト安定性を高めるため、むだ時間Ldよりも十分大きな時定数のローパスフィルタを適用する。
以上のようにして設計される非線形状態予測SMCの制御システムが、既に説明した図2に示したものである。図2の制御システムにおいて、擬似直径の目標値r(t+Ld)、引上げ速度の設定値urは、単結晶棒長さl(t)(又は引上げ開始からの経過時間t)の非線形関数として、予めコントローラ104に設定されコントローラ104内のメモリ104Aに記憶されている。単結晶棒長さl(t)は、引上げ開始からの経過時間tの関数として、予めコントローラ104に設定されコントローラ104内のメモリ104Aに記憶されている。プロセスゲインk0{l(t), pi}及び時定数T {l(t), pi}も、単結晶棒長さl(t)(又は引上げ開始からの経過時間t)の非線形関数として、予めコントローラ104に設定されコントローラ104内のメモリ104Aに記憶されている。むだ時間L{l(t), pi}も、単結晶棒長さl(t)(又は引上げ開始からの経過時間t)の非線形関数とすることができるが、この実施形態では、一定値Ld{pi}として、予めコントローラ104に設定されコントローラ104内のメモリ104Aに記憶されている。プロセス条件piも、単結晶棒長さl(t)(又は引上げ開始からの経過時間t)の非線形関数として(或いは、一部のプロセス条件変数は一定値である場合もある)予めコントローラ104に設定されコントローラ104内のメモリ104Aに記憶されている。
図2に示した制御システムは、単結晶棒116の重量wを制御するのではなく、擬似直径dw/dtを制御する。制御したいのは直径であり、重量の積分特性による位相の遅れを微分要素で進めて安定性を高めるため、このような擬似直径制御系が採用される。なお、引上げ初期の単結晶棒直径が小さい(例えば、40mm以下)のときには、重量wを微分して直径を精度良く把握することが困難であるため、代わりに、図1に示した光学的な直径計測器138で直径を把握することができる。また、この制御システムでは、引上げ速度のPID制御と実験結果から経験的に求めなければならない融液温度のフィードフォワード補償は除去される。SMCは、希望の特性を切換超平面として設計すれば、制御対象は等価的に希望の特性に拘束され適応していく。これより、希望の目標値応答を1自由度制御系にて容易に得ることができ、ヒータ温度(融液温度)のフィードフォワード補償は除去できる(因みに、H∞制御等では、2自由度制御系を要する)。
図5は、図2に示した制御システムの動作試験で得られた制御結果の一例を示す。なお、図5AとBの縦軸は、それぞれの変量の所定の変化範囲に対する百分率で表してあり、図5Cの縦軸は、直胴部の目標直径Dとの対比で示してある。
図5Aにおいて、実線グラフは単結晶棒116の成長に伴う引上げ速度の変化を示し、一点鎖線グラフは坩堝回転速度の変化を示す。引上げ速度は、肩部の育成過程の前半では一定であったが、後半に入って直胴部に入る位置より若干手前の所定位置から、それ以降は、単結晶棒長さlの増加に伴い徐々に低下させられた。また、坩堝回転速度は、肩部の育成過程の前半では一定であったが、上述した直胴部に入る位置より若干手前の所定位置から、単結晶棒長さlの増加に伴い徐々に増加させられ、そして、単結晶棒長さlが所定値に達すると(例えば、約300mmであり、これは、図4Aに示したプロセスゲインk0がほぼ一定値になる位置とほぼ一致する)、それ以後は一定値に維持された。この引上げ速度の変化は、前述したように、単結晶棒116の個体と融液112の液体との界面での温度勾配を適正値する維持するように予め設定された速度設定値に従ったものである。単結晶棒116が長くなるにつれて、上方への熱の逃げが少なくなり温度勾配が小さくなるが、それを補うために、図示のように引上げ速度を低下させる。
図5Bに示すように、ヒータ温度(融液温度)は、引上げ開始から低下させられていったが、肩部の形成過程の後半で一時的に上昇させられ、上述した直胴部に入る位置より若干手前の所定位置で極大値となり、その後再び低下させられた。そして、単結晶棒長さlが上記所定値に達すると(例えば、約300mm)、ヒータ温度(融液温度)は、徐々に増加させられた。このようなヒータ温度(融液温度)の変化により、図5Cに示すように、単結晶棒直径が目標値に精度良く制御され、特に直胴部では、直胴部での目標値Dとほぼ同じ値でほぼ一定に制御された。
また、上記の制御結果からわかるように、引上げ速度は肩部か直胴部の全域において、所定の適正値の近傍範囲に維持され、そして、固体と液体の界面の温度勾配もほぼ適正値に維持される。その結果、直胴部の結晶品質も良好なものとなる。すなわち、一般的に、引上げ速度をV、上記界面の温度勾配をGとすると、例えばシリコンの単結晶棒116の場合、単結晶棒116内の結晶欠陥の密度は、V/Gによって決まることが知られている。上記制御結果によれば、直胴部でのV/Gは大きく変動せずに適正値近傍に安定的に維持されるので、結晶欠陥の密度の変動が小さく、結晶品質が良好になる。
図6は、この実施形態において図2の構成に代えて採用することができる制御システムの変形例を示す。なお、図6に示す制御システムにおいても、上述した引上げ速度やその他の変数からなるプロセス条件は、図2に示した制御システムと同様に制御される。
図6に示された制御システムは、上述した非線形状態予測SMCに代えて、ゲインスケジュールドPID制御を使用する。すなわち、この制御システムでは、制御対象(CZ機)200から検出される単結晶棒重量wと、予めコントローラ104に設定されメモリ104Aに記憶されている単結晶棒重量目標値wrefにローパスフィルタ230を適用した後の重量目標値とが、減算器232に入力されて、重量偏差eが計算され、その重量偏差に不完全微分器234が適用されて擬似直径偏差が計算される。そして、その擬似直径偏差に対して、ゲインスケジュールドPID制御器236が適用される。ゲインスケジュールドPID制御器236の比例ゲインKp、積分ゲインTI及び微分ゲインTpは、それぞれ、図4に例示した制御対象200がもつ単結晶棒長さl(t)(又は経過時間)に応じて変化するプロセスゲインk0(t)、時定数T(t)、及び無駄時間L(t)(前述したように、無駄時間L(t)は一定値Ldとみなせる)に基づいて、単結晶棒長さl(t) (又は経過時間)の関数として予め決定され、コントローラ104に設定され、コントローラ104内のメモリ104Aに記憶されている。ゲインスケジュールドPID制御器236は、単結晶棒長さl(t) (又は経過時間)に応じて変化するゲインKp、TI、Tpを用いてPID演算を行なう。なお、これら3つの制御ゲインのうち、比例ゲインKpだけを単結晶棒長さl(t) (又は経過時間)の関数として設定し、積分と微分のゲインTI、Tpには一定値を設定してもよい。
ゲインスケジュールドPID制御器236から出力されるPID演算結果値と、フィードフォワード温度補償器220から出力される温度補償値とが、加算器238で加算され、その加算値がヒータ温度(融液温度)の操作値uTとして制御対象(CZ機)200に印加される。ここで、フィードフォワード温度補償器220は、図3に示された同定システムで用いられたフィードフォワード温度補償器220と同様なものであり、予め経験的に求められて設定されている、単結晶棒長さl(t) (又は経過時間)に応じて変化する温度補償値を出力する。フィードフォワード温度補償器220から出力される温度補償値だけでは単結晶棒重量wを重量標値wrefに一致させ得ないところを、ゲインスケジュールドPID制御器236が補なうことにより、単結晶棒重量wが重量標値wrefにより精度良く制御されることになる。
図7は、図6に示した制御システムによって実際に行われた制御動作の結果の一例を示す。なお、図7AとBの縦軸は、それぞれの変量の所定の変化範囲に対する百分率で表してあり、図7Cの縦軸は、直胴部の目標直径Dとの対比で示してある。
図7Aに示すように、ゲインスケジュールドPID制御器236の比例ゲインKpは、引上げ開始から単結晶棒長さlが前述した所定値(例えば300mm)になるまでの間(つまり、図4Aに示したプロセスゲインk0、が変動している間)は増加させられ、その後(つまり、図4Aに示したプロセスゲインk0、がほぼ一定値に安定した後)には、一定値に維持された。図7Bに示すように、ヒータ温度は、引上げ開始から低下させられていったが、肩部の形成過程の後半で一時的に上昇させられ、直胴部に入る位置より若干手前の所定位置で極大値となり、その後再び低下させられ、そして、単結晶棒長さlが上記所定値に達した後は、徐々に増加させられた。この変化の仕方は、図5Bに示した非線形状態予測SMCによるヒータ温度の変化の仕方と基本的に同様であった。その結果、図7Cに示すように、単結晶棒直径は良好に制御された。ただし、図5Cと比較してわかるように、非線形状態予測SMCの方が、より優れた直径の制御性が得られた。
この制御結果によって、引上げ速度をV、上記界面の温度勾配をGとしたときのV/Gは直胴部において大きく変動せずに適当値近傍に安定的に維持されるので、単結晶棒116の結晶品質は良好である。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これは例示に過ぎず、本発明の範囲は、上述した実施形態にのみ限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。例えば、上述の実施形態のようにフィードバック制御によりヒータ温度(融液温度)を制御する方法に代えて、図5B又は図7Bに例示したようなヒータ温度(融液温度)の変化のパターンを、単結晶棒長さ又は経過時間の関数として設定しておき、この温度設定値に従って単結晶棒長さ又は経過時間に応じてヒータ温度(融液温度)を変化させるような制御方法を採用することもできる。
本発明の一実施形態が適用された単結晶製造装置の全体構成を示す図。 コントローラ104により行われる融液温度の非線形状態予測スライディングモード制御のための制御システムの全体構成を示すブロック線図。 制御対象200のモデリングのための同定システムの構成を示すブロック線図。 同定実験から得られる制御対象200のプロセスゲイン、時定数及びむだ時間の具体例を示す図。 図2に示された制御システムの動作試験で得られた制御結果の一例を示す図。 制御システムの変形例を示すブロック線図。 図6に示した制御システムの動作試験で得られた制御結果の一例を示す図。
符号の説明
100 単結晶製造装置
102 チョクラルスキー法単結晶引上機炉本体(CZ機)
104 コントローラ
106 チャンバ
108 坩堝
110 ヒータ
112 融液
113 坩堝回転/昇降装置
114 磁場発生装置
116 単結晶棒
118 引上げモータ
119 重量・位置測定器
130 ヒータ電源回路
200 制御対象(CZ機)
202 引き上げ速度設定器
204 不完全微分器
206 非線形状態予測器
208 減算器
210 積分器
212 ゲインスケジュールドSMC(スライディングモード制御)器
220 フィードフォワード温度補償器
230 ローパスフィルタ
232 減算器
234 不完全微分器
236 ゲインスケジュールドPID制御器

Claims (12)

  1. チョクラルスキー法により特定物質の単結晶棒を製造するための装置において、
    ヒータにより特定物質の融液を加熱しつつ前記融液から単結晶棒(116)を引上げる引上げ機(102)と、前記引上げ機(102)を制御するコントローラ(104)とを備え、
    前記コントローラ(104)が、前記引上げ機(102)におけるヒータ温度又は融液温度を入力、前記単結晶棒(116)の直径を出力とした場合の前記入出力間の伝達特性を表す複数種の係数設定値を含むモデルを予め記憶しており、前記モデルに含まれる少なくとも一種の係数設定値は、前記単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の形成過程において前記単結晶棒の長さ(l)又は経過時間(t)に応じて変化するように設定されており、
    前記コントローラ(104)が、前記モデルに基づいて、前記引上げ機(102)により引上げられている単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の直径を所定の目標値(r)に制御するようにフィードバック制御動作を行って、前記ヒータ又は前記融液の温度を操作する、
    単結晶製造装置。
  2. 請求項1記載の単結晶製造装置において、
    前記コントローラ(104)が、前記単結晶棒(116)の引上げ速度を、予め設定された引上げ速度設定値(uv)に一致するように操作し、前記引上げ速度設定値(uv)は、前記単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の形成過程において前記単結晶棒の長さ(l)又は経過時間(t)に応じて変化するように設定されている、単結晶製造装置。
  3. 請求項1記載の単結晶製造装置において、
    前記コントローラ(104)が、前記モデルに基づいて、ゲインスケジュールドスライディングモード制御動作を行うことにより、前記ヒータ又は前記融液の温度をフィードバック制御する、単結晶製造装置。
  4. 請求項3記載の単結晶製造装置において、
    前記コントローラ(104)が、前記モデルに基づいて、前記伝達特性の無駄時間分だけ現在より後の将来時刻における前記単結晶棒(116)の所定の状態変数(x)の値を予測し、予測された前記将来時刻における前記状態変数(x)をスライディングモードに拘束するように前記ゲインスケジュールドスライディングモード制御動作を行う、単結晶製造装置。
  5. 請求項1記載の単結晶製造装置において、
    前記モデルは、無駄時間と一次遅れ要素を表す複数の係数設定値(Ld、T、k0)を含み、前記複数の係数設定値のすべて又は一部が、前記単結晶棒の長さ(l)又は経過時間(t)に応じて変化するように設定されている、単結晶製造装置。
  6. 請求項5記載の単結晶製造装置において、
    前記複数の係数設定値には、無駄時間設定値(Ld)と時定数設定値(T)とプロセスゲイン設定値(k0)が含まれ、
    肩部と直胴部の前部の形成過程では、前記無駄時間設定値(Ld)と前記時定数設定値(T)と前記プロセスゲイン設定値(k0)のいずれもが前記単結晶棒の長さ(l)に応じて変化し、
    直胴部の後部の形成過程では、前記プロセスゲイン設定値(k0)が前記単結晶棒の長さ(l)に応じ引上速度の変化に伴って変化するように設定されている、
    単結晶製造装置。
  7. 請求項1記載の単結晶製造装置において、
    前記モデルは、引上げられた前記単結晶棒(116)の重量の時間微分値又は直径を出力、前記ヒータ又は前記融液の温度の指令値を入力として逐次同定手法により導出されたものであり、前記温度の指令値は、種しぼりにおいて無転位になったときの温度である肩開始温度を平衡点とするものである、
    単結晶製造装置。
  8. チョクラルスキー法により特定物質の単結晶棒を製造するための方法において、
    引上げ機(102)においてヒータにより特定物質の融液を加熱しつつ前記融液から単結晶棒(116)を引上げるステップと、前記引上げ機(102)を制御するステップとを備え、
    前記制御するステップでは、前記引上げ機(102)におけるヒータ温度又は融液温度を入力、前記単結晶棒(116)の直径を出力とした場合の前記入出力間の伝達特性を表す複数種の係数設定値を含むモデルを予め記憶し、前記モデルに含まれる少なくとも一種の係数設定値は、前記単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の形成過程において前記単結晶棒の長さ(l)又は経過時間(t)に応じて変化するように設定され、前記モデルに基づいて、前記引上げ機(102)により引上げられている単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の直径を所定の目標値(r)に制御するようにフィードバック制御動作を行って、前記ヒータ又は前記融液の温度を操作する、
    単結晶製造方法。
  9. チョクラルスキー法により特定物質の単結晶棒を製造するための装置において、
    ヒータにより特定物質の融液を加熱しつつ前記融液から単結晶棒(116)を引上げる引上げ機(102)と、前記引上げ機(102)を制御するコントローラ(104)とを備え、
    前記コントローラ(104)が、比例、積分及び微分動作のための制御ゲイン設定値(Kp、TI、TP)を記憶し、前記制御ゲイン設定値(Kp、TI、TP)が、前記引上げ機(102)の伝達特性のモデルに基づいて、少なくとも一種の制御ゲイン設定値(Kp)が、前記単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の形成過程において前記単結晶棒の長さ(l)又は経過時間(t)に応じて変化するように設定されており、
    前記コントローラ(104)が、予め前記長さ(l)又は経過時間(t)の関数として設定されている第1の温度操作値を発生し、
    前記コントローラ(104)が、前記制御ゲイン設定値(Kp、TI、TP)に基づいて、前記引上げ機(102)により引上げられている単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の形成過程における重量(w)又は直径を所定の目標値(r)に制御するようにゲインスケジュールドPID動作を行って第2の温度操作値を発生し、
    さらに、前記コントローラ(104)が、前記第1と第2の温度操作値とを合成することにより、第3の温度操作値(uT)を生成して、前記第3の温度操作値(uT)により前記ヒータ又は前記融液の温度を操作する、
    単結晶製造装置。
  10. 請求項9記載の単結晶製造装置において、
    前記コントローラ(104)が、前記単結晶棒(116)の引上げ速度を、予め設定された引上げ速度設定値(uv)に一致するように操作し、前記引上げ速度設定値(uv)は、前記単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の形成過程において前記単結晶棒の長さ(l)又は経過時間(t)に応じて変化するように設定されている、単結晶製造装置。
  11. 請求項9記載の単結晶製造装置において、
    前記制御ゲイン設定値(Kp、TI、TP)のいずれもが、肩部の形成過程と直胴部の前部の形成過程において前記単結晶棒(116)の長さ(l)に応じて変化するように設定されている、
    単結晶製造装置。
  12. チョクラルスキー法により特定物質の単結晶棒を製造するための方法において、
    引上げ機(102)においてヒータにより特定物質の融液を加熱しつつ前記融液から単結晶棒(116)を引上げるステップと、前記引上げ機(102)を制御するステップとを備え、
    前記制御するステップは、
    比例、積分及び微分動作のための制御ゲイン設定値(Kp、TI、TP)を記憶し、前記制御ゲイン設定値(Kp、TI、TP)が、前記引上げ機(102)の伝達特性のモデルに基づいて、少なくとも一種の制御ゲイン設定値(Kp)が、前記単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の形成過程において前記単結晶棒の長さ(l)又は経過時間(t)に応じて変化するように設定されているステップと、
    予め前記長さ(l)又は経過時間(t)の関数として設定されている第1の温度操作値を発生するステップと、
    前記制御ゲイン設定値(Kp、TI、TP)に基づいて、前記引上げ機(102)により引上げられている単結晶棒(116)の肩部及び直胴部の形成過程における重量(w)又は直径を所定の目標値(r)に制御するようにゲインスケジュールドPID動作を行って第2の温度操作値を発生しするステップと、
    前記第1と第2の温度操作値とを合成することにより、第3の温度操作値(uT)を生成して、前記第3の温度操作値(uT)により前記ヒータ又は前記融液の温度を操作するステップと
    を有する単結晶製造方法。
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