JP2007041314A - 対物レンズ及びその成形型、並びに対物レンズの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ランタン系ガラス又は合成石英ガラスからなり、可視域波長より短い周期で配列した複数の凸部又は凹部を有する反射防止構造部を両面又は片面に有する対物レンズ及びその製造方法。
【選択図】 図1
Description
Ta2O5、ZrO2 とTa2O5との混合物またはZrO2とTiO2との混合物を積層し、第2層にSiO2を積層したことを特徴とする耐薬反射防止膜」が記載されている。この耐薬反射防止膜はイオンビーム・アシスト蒸着(IAD)を使って成膜されたものであるので比較的大きな充填率(膜の密度)を有しており、表面がZrO2、Ta2O5又はZrO2とTa2O5の混合物からなるので、酸やアルカリ溶液等に対して耐久性を有すると記載されている。
図1(a) 及び(b) は、本発明の対物レンズ1の一例を示す。部分拡大図に示すように、対物レンズ1は、上面及び下面に反射防止構造部2a,2bを有する。反射防止構造部2a,2bは、ほぼ等しい間隔で並んだ複数の凸部21a,21bを有する。隣り合う凸部21a,21bの間は凹部22a,22bとなっている。
(1) 母材の作製
成形型の成形のために、レンズと同じ形状を有する母材を作製する。母材は、エッチング速度の異なる二種以上の材料からなる。具体的には酸化タンタル、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ハフニウム及び酸化イットリウムからなる群より選択された二種以上からなるのが好ましい。
図5に示すように、母材5の上面及び下面にそれぞれメッキを施す。図中、メッキ体は実際より厚く描かれている。メッキ体には微細な凸部51を有する母材5の形状が転写されるので、得られたメッキ体を母材5から剥離すると、レンズの成形型6a,6bとして使用できる。メッキ法は、ナノメートルオーダーの形状を転写可能なものである必要がある。具体的には無電解ニッケルメッキ、無電解ニッケル合金メッキ、無電解銅合金メッキ、無電解スズ合金メッキが好ましい。成形型6a,6bから母材5を剥離しやすいように、メッキ処理に先立って、母材5の表面に銀等を蒸着したり、フッ素系樹脂等を塗布しておくのが好ましい。取扱いが容易になるように、超硬等からなる成形型6a,6bを保持部材60,60に接着するのが好ましい。
図7(a) に示すように、成形型6a,6bの間にランタン系ガラス又は合成石英ガラスからなる基板Gを入れ、加熱圧縮成形する(図7(b) )。加熱圧縮成形によって、基板Gをレンズ形状にする共に、成形型6a,6bの凹凸形状を基板Gに転写し、対物レンズ1の上面及び下面に反射防止構造部2a,2bを設けることができる(図7(c) )。
本発明の対物レンズ1は、高温高圧の水蒸気に対する耐久性と、優れた反射防止特性とを兼ね備えており内視鏡100に用いられる。内視鏡には、可とう性内視鏡、硬性内視鏡、カプセル内視鏡等がある。
(a) 母材の作製
合成石英基板に厚さ175 nmの酸化タンタル層と、厚さ175 nmの酸化ケイ素層を交互に合計6000層積層(サイズ20 mm×20 mm)した。得られた積層体4の厚さは1050μmであった。図3に示すように、積層体4を円柱状(直径1.0 mm、厚さ0.6 mm)に切り出し、表面を切削・研磨した後、高速原子線エッチングし、レンズ母材5を得た。酸化タンタルと酸化ケイ素のエッチングレートの違いにより、母材5の表面には、凹凸が形成されていた。
母材5の両面に銀を蒸着した後、無電解ニッケルメッキした。ニッケルメッキ体の外面に減圧プラズマCVD法によってダイヤモンドライクカーボンを成膜し、成形型6a,6bを得た。各成形型6a,6bに、超硬からなる保持部材を接着した。
(b)工程で得た成形型6a,6bにランタン系ガラス基板(オハラ光学製S-LAH58、nd=1.883、νd=40.8、転移点730℃)を入れ、810℃に加熱した。得られた対物レンズの表面には成形型の凹凸形状が転写されており、概ね図9に示す断面形状となった。
表面に凹凸形状を有していない成形型にランタン系ガラス基板(オハラ光学製S-LAH58、nd=1.883、νd=40.8、転移点730℃)を入れ、810℃に加熱した。得られたレンズ基材の表面に、イオンビーム・アシスト法によって、酸化タンタルからなり物理膜厚8.7 nmの第一層、酸化ケイ素からなり物理膜厚84.0 nmの第二層、酸化タンタルからなり物理膜厚5.4 nmの第三層を形成し、反射防止膜を有する対物レンズを得た。
実施例1と比較例1に、入射角5°で波長350〜750 nmの光をそれぞれ照射し、分光反射率を測定した。測定結果を図10に示す。実施例1は比較例1と比較して、可視域(波長400〜700 nm)で優れた反射防止効果を有していることが分かった。
132℃における飽和水蒸気圧に10分間曝す処理(高圧高温水蒸気滅菌処理)を、実施例1と比較例1に200サイクル実施した。次に、レンズ表面をアルコール系溶剤で超音波洗浄し、蒸気乾燥させた後、表面の状態を観察した。観察結果を表1に示す。実施例1は比較例1と比較して、高圧高温水蒸気に対する耐久性に優れていることが分かった。
2a、2b・・・反射防止構造部
3・・・基板3
4・・・積層体
41・・・酸化タンタル層
42・・・酸化ケイ素層
5・・・母材
6a,6b・・・成形型
100・・・内視鏡
110・・・外筒
120・・・観察光学系
Claims (5)
- 内視鏡に用いられる対物レンズであって、ランタン系ガラス又は合成石英ガラスからなり、可視域波長より短い周期で配列した複数の凸部又は凹部を有する反射防止構造部を両面又は片面に有することを特徴とする対物レンズ。
- 請求項1に記載の対物レンズにおいて、前記凸部又は前記凹部の高さが50〜1000 nmであって、前記凸部又は前記凹部の間隔が50〜1000 nmであることを特徴とする対物レンズ。
- 請求項1又は2に記載の対物レンズを具備することを特徴とする内視鏡。
- 可視域波長より短い周期で配列した複数の凸部又は凹部を有することを特徴とする対物レンズ用成形型。
- (a) エッチング速度の異なる二種以上の材料を可視域波長より短い周期で交互に積層し、多層膜を形成する工程と、(b) 前記多層膜の断面がレンズの面方向になるように、前記多層膜をレンズ形状の母材にする工程と、(c) 前記母材の表面を研削及び/又は研磨する工程と、(d) 前記母材の表面をエッチングし、前記周期で配列した複数の凸部又は凹部を有する反射防止構造部を設ける工程と、(e) 前記母材にメッキすることにより、前記反射防止構造部を転写したメッキ体を設ける工程と、(f) 前記メッキ体を成形型としてガラスを加熱圧縮成形する工程とを有することを特徴とする対物レンズの製造方法。
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