JP2007041259A - エレクトロクロミック表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フルカラー表示に有効である積層型エレクトロクロミック表示素子において、高精細、高速応答に有効であるトランジスタを用いたときに課題となる、開口率の低下に起因する表示性能の劣化を抑えたエレクトロクロミック表示素子を提供すること。
【解決手段】 基板上に、少なくとも1種以上のエレクトロクロミック色素と電解質とを含むエレクトロクロミック層と、少なくとも1個以上の透明な薄膜トランジスタと、マトリクス状に配置された透明な画素電極と、透明な対向電極と、を有してなる構造単位を複数個積層してなることを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
【選択図】 図2

Description

本発明は、エレクトロクロミック方式による画像表示素子の技術分野に関する。詳細には、透明トランジスタと積層構造を有するエレクトロクロミック方式による画像表示素子の技術分野に関する。
エレクトロクロミック(以下「EC」と略称する)表示素子を有するEC表示装置は、偏光板等が不要であるので視野角依存性がなく受光型で視認性に優れるという最大の利点を有する。またEC表示素子は、電気化学的酸化還元反応により可逆的に発色又は消色する前記EC材料を含む電解質と一対の電極とを少なくとも有すれば表示素子として作用するため、構造が簡単であり大型化が容易である。更に、前記EC材料の選択により多様な色調を得ることができ、且つ、電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるのでメモリー性に優れ、しかもその表示状態を維持するのに電力が不要であるので消費電力が少ない、等の種々の利点を有しているため、各種分野において応用されつつある。
近年、例えば、一対の電極上に前記EC材料を蒸着し、該電極間に支持塩と溶媒とを封入したEC表示装置や、一対の電極間に前記EC材料と支持塩と溶媒とを封入したEC表示装置など、各種のEC表示装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特に、EC色素を半導体ナノ多孔質層に担持してなるEC表示装置(例えば、特許文献4参照。)では、半導体ナノ多孔質層の微細孔の隅々まで電解質層中に含有させたEC色素が効率よく浸透するため、発色・消色反応に関与するイオンの移動速度を高めることができ、これにより反応速度が大幅に向上している。また、電極面積の拡大が図れるため、電極上の色素量の増大により、発色効率(より低い印加電圧で、より速く所望の発色濃度に到達させること)も向上している。
ここで、積層型表示装置においては、一画素単位のマトリックス駆動の方法としては、単純マトリクス駆動、アクティブマトリクス駆動がある。単純マトリクス駆動は、V−T(電圧−透過率)特性において急峻性が要求される。アクティブマトリクス駆動には、アクティブ素子がダイオードであるMIM方式と、アクティブ素子がトランジスタであるTFT方式がある。TFTの材質としては、a−Si(アモルファスシリコン)TFTや、p−Si(ポリシリコン)TFTが実用化されている。
これらシリコンを用いたTFTは、可視光に対して不透明で透明回路を構成することができないため、ディスプレイ画素の開口比が小さくなる。
また、アモルファスシリコンTFTやポリシリコンTFTは、可視光照射により、伝導キャリアを生じるために、高光照射下ではトランジスタ特性が劣化してしまう。つまり、バックライト照射により光誘起電流が発生し、スイッチング素子としてのスイッチング特性が劣化してしまう。こうした劣化を防ぐため、バックライト光をカットするための遮光膜(ブラックマトリックス)をTFT上に設ける必要があり、結局開口比が小さくなってしてしまい、表示性能が低下するという問題がある。
シリコン電界効果型トランジスタのこうした問題点は、シリコンに替わって、エネルギーバンド幅の大きな半導体材料を用いることにより、原理的に、解決することができる。実際に、透明酸化物半導体であるZnOを用いて、電界効果型トランジスタを作製する試みがなされ、反応性固相エピタキシャル法により作製した、ZnOを主たる構成成分として含有するホモロガス化合物単結晶薄膜又はZnOを主たる構成成分として含有するホモロガスアモルファス薄膜を活性層とした電界効果型トランジスタの開示がなされている(例えば、特許文献5参照。)。
しかし、従来の透明トランジスタとEC表示素子を単純に組み合わせただけでは、TFTが電解質のイオン性物質の影響を受けるという課題がある。
特開平9−120088号公報 特開平7−152050号公報 特開平6−242474号公報 特開2003−270671号公報 特開2004−198689号公報
本発明は、従来における前記問題点を解決し、以下の課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、フルカラー表示に有効である積層型エレクトロクロミック表示素子において、高精細、高速応答に有効であるトランジスタを用いたときに課題となる、開口率の低下に起因する表示性能の劣化を抑えることを目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 基板上に、少なくとも1種以上のエレクトロクロミック色素と電解質とを含むエレクトロクロミック層と、少なくとも1個以上の透明な薄膜トランジスタと、マトリクス状に配置された透明な画素電極と、透明な対向電極と、を有してなる構造単位を複数個積層してなることを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
<1>の発明によれば、電極と薄膜トランジスタ(TFT)とが透明であるため、開口比が大きくなり、表示性能が向上する。特に、EC表示素子では、発色・消色反応速度にイオン移動速度が大きく影響を与えているため、積層構造における構成単位毎にTFTを備えることが極めて有効である。このような構造とするとTFTの設置数が多くなるため、TFTを透明にすることによる開口比向上の効果が極めて大きい。
さらに、透明TFTと組み合わせることで、中間調表示が容易であり、高精細な画像表示が可能となる。さらに、透明TFTと組み合わせることで、応答速度が向上し、書き換えるときに違和感のない表示素子が実現できる。
<2> 前記構造単位を少なくとも3個積層してなり、3個の構造単位に含まれるエレクトロクロミック層が、各々独立にイエロー、シアン、又はマゼンタのエレクトロクロミック色素を含有してなることを特徴とする前記<1>に記載のエレクトロクロミック表示素子。
<2>の発明によれば、フルカラー表示に有効である積層型の表示素子の構成であっても、これらの表示を駆動させるための薄膜トランジスタを透明であるため、開口比が小さくなるという問題が解消される。
<3> 前記対向電極の表面に、前記エレクトロクロミック層の1つとして半導体ナノ多孔質層を有してなることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のエレクトロクロミック表示素子。
<4> 前記エレクトロクロミック色素が、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により可逆的に発色又は消色するものであり、該エレクトロクロミック色素が前記半導体ナノ多孔質層に担持されてなり、
且つ、前記半導体ナノ多孔質層と前記画素電極との間に電解質層を有してなることを特徴とする前記<3>に記載のエレクトロクロミック表示素子。
<3>及び<4>の発明によれば、EC色素を半導体ナノ多孔質層に担持してなるため、表示層の隅々までEC色素を効率よく浸透させることができ、発色・消色反応に関与するイオンの移動速度を高められ、これにより反応速度が大幅に向上する。また、電極面積の拡大が図れるため、電極上の色素量の増大により、発色効率も向上する。
<5> 前記電解質層が、電荷移動剤を含有してなることを特徴とする前記<4>に記載のエレクトロクロミック表示素子。
<5>の発明によれば、電荷移動剤とEC色素とを併用することにより、両者の同時発色による加色効果、両者の相互作用にして酸化還元反応がスムーズに進行し、発色効率をより向上させることができる。
<6> 前記半導体ナノ多孔質層が半導体微粒子を含み、該半導体微粒子が単体半導体、酸化物半導体、化合物半導体、有機半導体、複合体酸化物半導体及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<3>〜<5>のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック表示素子。
<7> 前記半導体微粒子が、SnO2−ZnO、Nb25−SrTiO3、Nb25−Ta25、Nb25−ZrO2、Nb25−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、In−SnO2及びBi−SnO2からなる群より選択される少なくとも一種の複合体酸化物半導体であることを特徴とする前記<6>に記載のエレクトロクロミック表示素子。
<8> 前記エレクトロクロミック色素が、有機化合物及び金属錯体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック表示素子。
<9> 前記薄膜トランジスタが、ホモロガス化合物InMO3(ZnO)m(Mは、In,Fe,Ga,又はAlを表し、mは、1以上50未満のいずれかの整数を表す。)薄膜を有することを特徴とする前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック表示素子。
本発明によれば、フルカラー表示に有効である積層型エレクトロクロミック表示素子において、高精細、高速応答に有効であるトランジスタを用いたときに課題となる、開口率の低下に起因する表示性能の劣化を抑えたエレクトロクロミック表示素子を提供できる。
本発明のエレクトロクロミック表示素子(以下、EC表示素子と称する場合がある。)は、基板上に、少なくとも1種以上のエレクトロクロミック色素(以下、EC色素と称する場合がある。)と電解質とを含むエレクトロクロミック層(以下、EC層と称する場合がある。)と、少なくとも1つ以上の透明な薄膜トランジスタと、マトリクス状に配置された透明な画素電極と、透明な対向電極と、を有してなる構造単位を複数個積層してなることを特徴とする。
以下、各組成について説明を行った後、エレクトロクロミック表示素子の構成について説明を行う。
<透明薄膜トランジスタ>
本発明に用いる透明薄膜トランジスタは、透明であれば特に制限はない。透明薄膜トランジスタは、代表的には、半導体活性層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極及びゲート絶縁膜を有し、これらをいずれも透明とすることで、薄膜トランジスタ全体を透明にすることができる。
薄膜トランジスタの透明な構成要素の材料としては、従来より知られている透明材料を採用することができる。例えば、酸化亜鉛(ZnO)を母材とする材料により、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜及び半導体活性層を形成すればよい。ZnOはエネルギーバンドギャップが3eV以上と大きく、また、これに不純物をドープすることで導電性を制御することができる。
特に本発明に用いる透明薄膜トランジスタでは、ホモロガス化合物InMO3(ZnO)m薄膜を半導体活性層として用いることが好ましい。ここで、InMO3(ZnO)m中、Mは、In,Fe,Ga,又はAlを表し、好ましくは、Ga又はFeであり、mは、1以上50未満のいずれかの整数を表し、好ましくは、1〜10のいずれかの整数を表す。以下、化学式InMO3(ZnO)mにおいて同義である。
以下、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜及び半導体活性層について、詳細に説明する。
(ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極)
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の材料としては、可視光に対して透明であって、低抵抗率が得られるのであれば、どのような材料からなるものでもよい。例えば、酸化インジウム(In23)、酸化錫(SnO2)、ZnO等の酸化物材料や、この酸化物材料に不純物をドープしたものを透明導電膜材料として採用することができる。
具体的には、透明導電膜材料としては、例えば、In23に錫(Sn)をドープしたもの(一般的にITO(Indium Tin Oxide)と呼ばれる)、SnO2にアンチモン(Sb)又はフッ素(F)をドープしたもの、ZnOにInをドープしたもの、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの(一般的にGZOと呼ばれる)、ZnOにAlをドープしたもの(一般的にAZOと呼ばれる)などを採用することができる。
(ゲート絶縁膜)
ゲート電極と半導体活性層の間に配置するゲート絶縁膜は、例えば、酸化シリコン(SiO2)、アルミナ(Al23)、窒化シリコン(SiN)、又は酸窒化シリコンを主成分とするもので形成されることができる。また、ゲート絶縁膜には、その目的を達成できる範囲で、不純物を含んでいてもよい。
ゲート絶縁膜は、上記組成を組み合わせて二層構造としてもよい。
(半導体活性層)
半導体活性層は、可視光に対して透明で、例えば、伝導帯と価電子帯の間のエネルギーバンドギャップが3eV以上であり、キャリア濃度が1018cm-3以下である材料により形成すればよい。
このような材料としては、例えば酸化亜鉛(ZnO)を主成分とするもの等が挙げられるが、本発明においては、特にホモロガス化合物InMO3(ZnO)m薄膜を半導体活性層として用いることが好ましい。ホモロガス化合物InMO3(ZnO)m薄膜を用いた場合の利点としては、以下の(1)〜(4)を挙げることができる。
(1)反応性固相エピタキシャル法により製造したホモロガス化合物単結晶InMO3(ZnO)m薄膜は、InO1.5層が原子レベルで平坦な薄膜表面を形成することから、ゲートと活性層の界面に欠陥が介在しにくく、ゲートリーク電流の少ない薄膜電界効果型トランジスタを作製できる。
なお、InMO3(ZnO)m中、mの値は1以上50未満の整数が好ましい。原理的には、mの値は、無限大まで可能であるが、実用上、mの値が大きくなりすぎると、膜内でのmのばらつきが大きくなり、酸素欠陥が生じやすくなる。その結果、膜の電気伝導度が大きくなり、ノーマリオフ型のFETが作り難くなる。
(2)ZnOを主たる構成成分として含有するホモロガス化合物InMO3(ZnO)mのバンドギャップエネルギーは、3.3eVより大きいため、波長が400nm以上の可視光に対して透明である。したがって、ホモロガス化合物単結晶InMO3(ZnO)m薄膜を活性層として用いることにより、可視光透過率が高く、可視光による光誘起電流の発生がない、薄膜電界効果型トランジスタを作製できる。
(3)反応性固相エピタキシャル法により製造したホモロガス化合物InMO3(ZnO)m単結晶薄膜は化学量論組成からのずれが極めて小さく、室温付近では良質な絶縁体であることから、ホモロガス化合物単結晶InMO3(ZnO)m薄膜を活性層として用いることにより、ノーマリーオフ作動で、スイッチング特性の良い透明薄膜電界効果型トランジスタを作製できる。
(4)ZnOを含むホモロガス化合物を反応性固相エピタキシャル法により室温で成膜したアモルファス状態は、1000℃程度の高温まで安定であり、その状態での電子キャリア移動度は、アモルファスシリコンに比較して、10倍以上大きい。したがって、ホモロガスアモルファス薄膜を活性層として用いた電界効果型トランジスタは、シリコンアモルファス電界効果型トランジスタに比較して、可視光透過率が高く、光照射に対して安定に動作し、さらに、高速動作することが期待できる。
なお、ホモロガス化合物InMO3(ZnO)m薄膜を半導体活性層として用いる場合には、上記ゲート絶縁膜はAl23であることが好適である。また、ホモロガス化合物InMO3(ZnO)m薄膜の厚さは、50nm〜1000nmであることが好ましく、100nm〜500nmであることがより好ましい。
以下、ホモロガス化合物InMO3(ZnO)m薄膜の製造方法について詳細に説明する。
ホモロガス化合物InMO3(ZnO)m薄膜の形成方法としては、基板上に、MBE法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)等により、ZnO単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、次に、該ZnO薄膜上に、InMO3(ZnO)mと記述されるホモロガス化合物薄膜を、ターゲットとして、該酸化物の多結晶焼結体を使用して、MBE法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)等により成長させる方法が挙げられる。
得られたホモロガス化合物InMO3(ZnO)m薄膜は、単結晶膜である必要はなく、多結晶膜でも、アモルファス膜でも良い。最後に、薄膜全体を被覆できるように高融点化合物,例えばAl23を被せ、高温で、ZnO蒸気を含む大気圧中で加熱拡散処理を行なうことが好ましい。
InMO3(ZnO)mとZnO膜が相互に拡散・反応し、温度を適切に設定すれば、均一組成InMO3(ZnO)m'となる。m’は、InMO3(ZnO)mとZnO膜厚比から決まるが、ZnO膜厚が5nm未満で、InMO3(ZnO)m膜厚が100nmを越える場合には、m’はmと略同じになる。
適切な温度は800度以上,1600度以下,より好ましくは1200度以上、1500度以下である。800度未満では拡散が遅く,均一組成のInMO3(ZnO)mが得られない。また,1600度を越えるとZnOの蒸発が抑えられなくなり均一組成のInMO3(ZnO)mが得られない。
また、反応性固相エピタキシャル成長法で得られたZnOを含むホモロガス単結晶膜は、化学量論組成に近く、室温では、10W・cm以上の高い絶縁性を示し、ノーマリーオフ電界効果型トランジスタに適している。
次に、得られたZnOを主たる構成成分として含有するホモロガス単結晶薄膜を活性層とした、トップゲート型MIS電界効果型トランジスタの作製方法について説明する。
まず、基板上にエピタキシャル成長したZnOを主たる構成成分として含有するホモロガス単結晶薄膜上にゲート絶縁膜及びゲート電極用の金属膜を形成する。
ゲート絶縁膜には、Al23が最も適している。ゲート電極用金属膜は、Au,Ag,Al、又はCu等を用いることができる。光リゾグラフィー法及びドライエッチング、又はリフトオフ法により、ゲート電極を作製し、最後に、ソース電極及びドレイン電極を作製する。
(絶縁膜)
本発明のエレクトロクロミック表示素子において、薄膜トランジスタが下記電解質層に含まれるイオン性物質の影響により劣化しないよう、絶縁膜を設けることが好ましい。絶縁膜の組成としては、絶縁性を有すれば特に限定されないが、ポリイミドを用いることが好適である。
図1に、本発明にかかる透明薄膜トランジスタの一例として、その構成の概略図を示す。
図1では、トップゲート型MIS電界効果型トランジスタ(MIS−FET)10を示す。図1の透明薄膜トランジスタでは、本発明で用いるZnOを主たる構成成分として含有するホモロガス化合物単結晶薄膜(InMO3(ZnO)m)を半導体活性層12として設け、その上にドレイン電極14、ソース電極16、絶縁膜18、ゲート電極20を形成する。
ドレイン電極14、ソース電極16、ゲート電極20としては、可視光に対して透明であって、低抵抗率が得られるのであれば、どのような材料からなるものでもよい。例えば、酸化インジウム(In23)、酸化錫(SnO2)、ZnO等の酸化物材料や、この酸化物材料に不純物をドープしたものを透明導電膜材料として採用することができる。
具体的には、透明導電膜材料としては、例えば、In23に錫(Sn)をドープしたもの(一般的にITO(Indium Tin Oxide)と呼ばれる)、SnO2にアンチモン(Sb)又はフッ素(F)をドープしたもの、ZnOにInをドープしたもの、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの(一般的にGZOと呼ばれる)、ZnOにAlをドープしたもの(一般的にAZOと呼ばれる)などを採用することができる。
ゲート絶縁膜18には、既述のように、Al23が最も適している。
本発明にかかる電界効果型トランジスタの形状は、トップゲート型MIS電界効果型トランジスタ(MIS−FET)、J−FET等も含まれる。
ZnOを主たる構成成分として含有するホモロガスアモルファス薄膜を用いた場合であっても、同様に、トップゲート型MIS電界効果型トランジスタを作製することができる。また、アモルファス薄膜の場合は、エピタキシャル成長させる必要はないので、ZnOエピタキシャル成長及び高温アニールプロセスを除くことができる。このために、ゲート電極を基板と膜の間に作製することが可能で、ボトムゲート型MIS電界効果型トランジスタも作製することができる。
本発明のエレクトロクロミック表示素子において、透明トランジスタの半導体活性層下面からゲート電極までの高さは、50nm〜500nmであることが好ましく、100nm〜200nmであることがより好ましい。50nmよりも薄いと安定して製造することが困難となりとなり、500nmよりも厚いと駆動電圧が上がり、消費電力が高くなり、好ましくない。
また、チャネル長は、0.01mm〜0.1mmであることが好ましく、0.02mmから0.08mmであることがより好ましい。チャネル幅は、0.1mm〜0.5mmであることが好ましく、0.1mm〜0.3mmであることがより好ましい。
<画素電極及び対向電極(透明電極)>
本発明で用いる画素電極及び対向電極は透明電極であり、対向するように配置される。画素電極と対向電極とは、同一の組成のものであってもよいし、異なるものであってもよい。なお、透明電極とは、少なくとも50%以上の光透過率を有する電極をいう。
透明電極としては、透明で電気を通すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素等が挙げられる。これらの中でも、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物が好ましく用いられ、更に、表面抵抗値が低い、耐熱性が良い、化学的な安定性がある、光透過率が高い、等の点からフッ素をドーピングした酸化スズ(FTO)、酸化スズインジウム(ITO)が好ましい。
特に本発明のエレクトロクロミック表示素子では、透明電極に隣接して下記に説明する電解質層や半導体ナノ多孔質層を備える場合があり、これらに接触しても化学的に安定である必要があることからも、酸化物たる酸化スズ(FTO)や酸化スズインジウム(ITO)は好適である。
画素電極及び対向電極の厚みは、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.1μm以上、更に具体的には0.1μm〜20μmであるのが一般的である。
透明電極については、たとえば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第232〜239頁に記載のものが用いられる。透明電極は、スパッタ法、ゾルゲル法、印刷法により形成することができる。
また、反射型光学素子用途の場合には、目視方向から見て最も遠い方の電極としては、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物層の他に、導電性高分子や、カーボン、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、プラチナなどに代表される金属層を用いることも可能である。
<エレクトロクロミック層>
本発明におけるエレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック色素と電解質を含む層である。これ以外は特に制限はなく、例えば、電解質を含む電解質層にEC色素を含ませたもの(電解質EC層)や、後述する半導体ナノ多孔質層にEC色素を含ませたもの等が挙げられる。もちろん、電解質層や半導体ナノ多孔質層とは別にエレクトロクロミック色素を含む層を構成していてもよい。すなわち、エレクトロクロミック層は、電解質層、半導体ナノ多孔質層、EC色素を含む層(これらの機能を兼ね備えた層を含む)などを包含する、EC色素を含有し得る層をいう。
前記EC色素は、酸化還元反応により可逆的に黒色に発色又は消色するものであり、具体的には、波長300〜750nmの光透過率が10%以下であることが好ましく、波長350〜700nmの光透過率が10%以下であることがより好ましく、波長400〜600nmの光透過率が10%以下であることがさらに好ましい。このような発色消色挙動を示すEC色素は、特に制限されないが、2種以上のEC色素を併用することが好ましく、具体的な組み合わせについては後述する。
(半導体ナノ多孔質層)
前記半導体ナノ多孔質層は、透明電極間であって、該透明電極の内側の表面の少なくとも一方又は両方の表面に形成され、好ましくは対向電極側に形成される。
半導体ナノ多孔質層は、その表面及び内部に、EC色素、必要に応じて電荷移動剤を担持可能な微細孔を多く有するよう、多孔質の構成となっている。
前記半導体ナノ多孔質層は、単層構造であってもよいが、多層構造、例えば2〜4層構造に形成し、該多層構造の半導体ナノ多孔質層毎に同一種類のEC色素を担持することにより、発色強度を調整でき、発色強度を増強させることができる。また、多層構造の半導体ナノ多孔質層の各層毎に異なる色のEC色素を担持させることにより黒色化を容易達成することができる。
半導体ナノ多孔質層の比表面積は、1〜5000m2/gが好ましく、10〜2500m2/gがより好ましい。ここで、比表面積は窒素ガスの吸着量から求めたBET比表面積を意味する。比表面積が小さすぎるとEC色素の吸着量を増大させることができなり、本発明の目的を達成できなくなる場合がある。
半導体ナノ多孔質層の厚さ(多層構造の場合には合算した厚さ)は、5μm〜200μmであることが好ましく、10μm〜50μmであることがより好ましい。5μmよりも薄いと、色素の吸着量が減るために表示性能が低下し、200μmよりも厚いと駆動電圧があがるため好ましくない。
半導体ナノ多孔質層は、いかなる構成であってもよいが、微粒子を充填させることで多孔質状態を形成することが製造の簡便さから好ましい。半導体ナノ多孔質層に含まれる半導体微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単体半導体、酸化物半導体、化合物半導体、有機半導体、複合体酸化物半導体、又はこれらの混合物が挙げられ、これらにはドーパントとして不純物が含まれていてもよい。なお、半導体の形態の制限は特になく、単結晶、多結晶、非晶質又はこれらの混合形態であってもよい。
前記単体半導体としては、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、テルル(Te)、などが挙げられる。
前記酸化物半導体は、金属酸化物で半導体の性質を持つものであり、例えば、TiO2,SnO2、Fe23、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta25、Nb25、V25、In23、CdO、MnO,CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、などが挙げられる。
前記化合物半導体としては、例えば、カドミウムの硫化物、亜鉛の硫化物、鉛の硫化物、銀の硫化物、アンチモンの硫化物、ビスマスの硫化物、カドミウムのセレン化物、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物、亜鉛のリン化物、ガリウムのリン化物、インジウムのリン化物、カドミウムのリン化物、ガリウム−ヒ素のセレン化物、銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、などが挙げられる。
前記有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、等が挙げられる。
前記複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb25−SrTiO3、Nb25−Ta25、Nb25−ZrO2、Nb25−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2、などが挙げられる。前記SnO2−ZnOは、比較的大きなZnO粒子(粒径約0.2μm)を中心に周りをSnO2超微粒子(粒径約15nm)で被覆したものであり、両者の複合化は質量比でSnO2:ZnO=70:30〜30:70の範囲であることが好ましい。前記Nb25−SrTiO3、Nb25−Ta25、Nb25−ZrO2、及びNb25−TiO2などのNb25複合体は、Nb25との質量比が8:2〜2:8となるように複合化される。
前記半導体微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、球形、ナノチューブ状、棒状、ウィスカー状のいずれの形状であっても構わず、形状の異なる2種類以上の微粒子を混合することもできる。前記球形粒子の場合には、個数平均粒径が0.1〜1000nmが好ましく、1〜100nmがより好ましい。なお、粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合しても構わない。また、前記棒状粒子の場合には、アスペクト比が2〜50000が好ましく、5〜25000がより好ましい。
前記半導体ナノ多孔質層を形成する方法としては、特に制限はなく、半導体の種類に応じて適宜選定することができ、例えば、金属陽極酸化法、陰極析出法、スクリーン印刷法、ゾルゲル法、熱酸化法、真空蒸着法、DC及びDFスパッタ法、化学気相堆積法、有機金属化学気相堆積法、分子線堆積法、レーザーアブレーション法などが挙げられ、また、上記方法を組み合わせて前記半導体ナノ多孔質層を作製することもできる。
(酸化物半導体ナノ多孔質層の形成方法)
酸化物半導体(金属酸化物)ナノ多孔質層を形成する1つの方法として、金属酸化物前駆体と、該金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物とを含む溶液中で、前記金属酸化物前駆体を反応させて複合ゲルを生成し、金属酸化物微粒子からなるコロイドの分散ゾルを得る第1の工程と、該ゾルを支持体に塗布し、これを乾燥又は焼成して、前記透明絶縁基板上の透明導電性膜上に微細孔を有する半導体ナノ多孔質層を形成する第2の工程とを含む方法が挙げられる(以下「複合ゲル化法」ということもある)。
前記第1の工程では、拡散が規制されたゲル中で金属酸化物微粒子の形成反応が進行するため、粗大粒の形成や粒子の沈降が起こらず、粒径の小さな微粒子が均一に分散したコロイド分散ゾル溶液を得ることができる。いわゆるゾル−ゲル法では、金属酸化物前駆体同士が、例えば金属アルコキシドの場合、加水分解、脱水縮合反応することでゲル化するが、この場合には、−M−O−M−(ここで、Mは金属元素であり、Oは酸素元素である。)の化学的強固な3次元結合のネットワークが形成され、再びゾル化させることはできず、一旦ゲル化すると塗布等の手段による加工ができない。これに対して前記金属酸化物前駆体と、該金属酸化物前駆体と相互作用する化合物とを含む溶液中で、金属酸化物前駆体を反応させて複合ゲルを得る方法では、金属酸化物前駆体と相互作用する化合物の相互作用の性質を利用することで再びゾル化させることができ、優れた加工性を持たせることが可能となる。
ここで、前記金属酸化物前駆体としては、使用する溶媒に可溶である金属ハロゲン化物、金属錯化合物、金属アルコキシド、金属カルボン酸塩あるいはキレート化合物等の金属化合物等が挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、TiCl4(四塩化チタン)、ZnCl2(塩化亜鉛)、WCl6(六塩化タングステン)、SnCl2(塩化第一錫)、SrCl6(塩化ストロンチウム)等の金属ハロゲン化物、Ti(NO34(硝酸チタン)、Zn(NO32(硝酸亜鉛)、Sr(NO32(硝酸ストロンチウム)等の硝酸塩や、一般式:M(OR)n(但し、Mは金属元素、Rはアルキル基、nは金属元素の酸化数である。)で表される金属アルコキシド等が挙げられる。
前記金属アルコキシドとしては、例えば、亜鉛ジエトキシド、タングステンヘキサエトキシド、バナジルエトキシド、錫テトライソプロポキシド、ストロンチウムジイソプロポキシド等が挙げられる。
例えば、酸化チタンの金属酸化物層を形成する場合、金属アルコキシドとしては、例えば、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラノルマルプロポキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラノルマルブトキシド、チタニウムテトライソブトキシド、チタニウムテトラターシャリーブトキシド等が好ましく使用できる。
また、前記金属酸化物前駆体と相互作用する官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。また、金属酸化物前駆体と相互作用する官能基としては、アミド酸構造のような前記官能基を1種以上有するものでもよい。また、前記金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物は、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミノ酸構造から選択される官能基を1種以上有する化合物である。特に好ましくは高分子化合物である。このような低分子化合物の具体例としては、ジカルボン酸、ジアミン、ジオール、ジアミド酸等が挙げられる。
また、高分子化合物の具体例としては、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド酸構造から選択される官能基を主鎖、側鎖又は架橋部分に1種以上有する高分子化合物が挙げられる。前記高分子化合物の主鎖構造としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン系構造、ポリスチレン系構造、ポリアクリレート系構造、ポリメタクリレート系構造、ポリカーボネート系構造、ポリエステル系構造、セルロース系構造、シリコーン構造、ビニル系重合体構造、ポリアミド系構造、ポリアミドイミド系構造、ポリウレタン系構造、ポリウレア系構造等、又はこれら共重合体構造等の任意の構造を有するものが挙げられる。
さらに、前記カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド酸構造から選択される官能基を主鎖、側鎖又は架橋部分に1種以上有する高分子化合物としては、金属酸化物前駆体と相互作用の形態が適当である観点から、側鎖にカルボキシル基を有するポリアクリル酸の使用が特に好ましい。そして、前記金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する高分子化合物は、相互作用する官能基を有する高分子化合物とカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド酸構造を有さない前記同様の主鎖構造を有する高分子化合物との共重合体であってもよい。前記金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する高分子化合物は、目的に応じて、2種以上の混合系、又はカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド酸構造を有さない前記同様の主鎖構造を有する高分子化合物との混合系を使用してもよい。前記金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する高分子化合物の平均重合度は、100〜10,000,000が好ましく、5,000〜250,000がより好ましい。
前記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類や、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ベンゼン等の金属酸化物前駆体を溶解し、かつ金属酸化物前駆体とは反応しないものであれば用いることができる。
以下、金属酸化物前駆体として金属アルコキシドを用いた場合を例として、半導体ナノ多孔質層の形成方法を詳しく説明する。
まず、前記金属アルコキシドを前記溶媒(例えば、アルコール類等の有機溶媒)に添加する。さらに、前記金属アルコキシドを部分的に加水分解するのに必要な水と、触媒として、塩酸、硝酸、硫酸又は酢酸等の酸類を添加する。ここで添加する水及び酸類の量は、用いる前記金属アルコキシドの加水分解性の程度に応じて適宜選択することができる。
次に、得られる前記混合溶液を攪拌しながら乾燥窒素気流下で室温(約25℃をいい、室温について以下同じ。)〜150℃、好ましくは、室温〜100℃で加熱又は還流する。前記還流温度及び時間についても、用いる前記金属酸化物前駆体の加水分解性に応じて適且選択することができる。
前記還流の結果、前記金属アルコキシドは部分的に加水分解された状態になる。即ち、前記混合溶液に含まれる前記水の量は、前記金属アルコキシドのアルコキシル基を十分に加水分解するには十分でない程度少量であるため、一般式:M(OR)nで表される前記金属アルコキシドにおいては、その総ての−OR基は加水分解されず、結果として部分的に加水分解された状態になる。この部分的に加水分解された状態の前記金属アルコキシドにおいては、重縮合反応は進行しない。このため、前記金属アルコキシド間において−M−O−M−の鎖は形成されていても、前記金属アルコキシドはオリゴマー状態となる。このオリゴマー状態にある前記金属アルコキシドを含む前記還流後の混合溶液は、無色透明で粘度の上昇もほとんどない。
次に、前記還流後の混合溶液の温度を室温に下げ、該混合溶液にカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシ基、アミノ酸構造から選択される官能基を1種以上有する高分子化合物(好ましくはポリアクリル酸)を添加する。この場合、本来アルコール類等の有機溶媒には溶解しにくい前記高分子化合物が、この混合溶液には容易に溶解し透明ゾルが得られる。これは、前記高分子化合物のカルボキシル基と前記金属アルコキシドとが塩形成反応により結合し、高分子錯体状の化合物が形成されるためであると考えられる。この透明ゾルは、通常、無色透明な均一溶液である。
この透明ゾルにさらに過剰量の水を加えて、室温〜150℃、好ましくは室温〜100℃程度に保持してさらに反応を継続させることにより、数分(例えば、5分)から1時間程度で該透明ゾルがゲル化し、前記高分子化合物と前記金属アルコキシドとの架橋状構造を有する複合ゲルが形成される。
得られる複合ゲルをさらに室温〜90℃(通常、80℃程度)で5〜50時間保持し反応を継続させると、該複合ゲルは再び溶解し半透明な金属酸化物微粒子コロイド分散ゾルが得られる。これは、前記金属アルコキシドの加水分解反応により重縮合反応が進行するとともに、前記高分子化合物と前記金属アルコキシドとによる塩構造が分解して、金属酸化物微粒子とカルボン酸エステル等とに変化することによるものである。
以上により得られた半透明な金属酸化物微粒子コロイド分散ゾルを、基板上に設けられた電極層に塗布後、乾燥又は焼成することにより、微細孔を有した金属酸化物膜が形成される。
前記塗布法は、特に限定なく公知の方法で行うことができる、具体的には、ディップコーティング法、スピンコーティング法、ワイヤーバー法、スプレーコーティング法が挙げられる。また、乾燥には、例えば、風乾、オーブン等の乾燥器を用いて行う乾燥、真空凍結乾燥が可能である。また、ロータリーエバポレーター等の機器を用いて溶媒を蒸発させる方法でもよい。この場合、乾燥の温度、時間等を目的に応じて適且選択することができる。
また、乾燥温度により、前記金属酸化物微粒子コロイド分散ゾルを乾燥(前記溶媒を含む液体成分の除去)しただけは、前記高分子化合物又はその反応生成物が除去できないことがある。かかる場合には、さらにこれらを除去し純粋な金属酸化物とするため、焼成を行うのが好ましい。前記焼成は、例えば炉等を用いて行うことができ、焼成の温度としては用いた前記官能基を有する高分子化合物の種類により異なるが、低温であることが多層化を図る上で好適であり、約100℃〜700℃が好ましく、100℃〜400℃がより好ましい。
前記焼成により、金属酸化物微粒子の結晶化と金属酸化物微粒子の焼結が起こると同時に、有機高分子成分が熱分解して消失する。
前記半導体ナノ多孔質層の形成においては、拡散が規制された複合ゲル中で金属酸化物微粒子の形成反応が進行するため、粗大粒子の形成や、粒子の沈降による凝集等が起こらず、粒径の小さな超微粒子が均一に分散した金属酸化物微粒子コロイド分散ゾルを得ることができる。
前記半導体ナノ多孔質層の金属酸化物微粒子の大きさ、金属酸化物微粒子凝集構造の周期、金属酸化物微粒子凝集相と空隙相との体積比等については、例えば、前記金属酸化物前駆体に対する、金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物の添加量と、前記金属酸化物前駆体と金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物とを合わせた固形成分の前記混合溶液全体に対する割合で、所望の程度に制御することができる。
即ち、金属酸化物前駆体と焼成する官能基を1種以上有する化合物の添加量を増やすと、得られる半導体ナノ多孔質層における空隙相の体積比が増し、前記金属酸化物前駆体と金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物とを合わせた固形成分の前記混合溶液全体に対する割合を減らすと、得られる金属酸化物微粒子凝集構造の周期が小さくなり、空隙相の密度は増すが、金属酸化物微粒子そのものの大きさは大きくなる。
前記金属酸化物前駆体に対する、金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物の添加量は、前記固形成分の前記混合溶液全体に対する割合に応じて異なり適宜選択可能であり、一般には質量比で0.1〜1が好ましく、さらには0.2〜0.8が好ましい。このような範囲とすることにより、−M−O−M−の大きな3次元ネットワークが形成されて複合ゲルの再溶解の妨げとなるのをより効果的に防ぎ、マクロ孔が少ない緻密な半導体ナノ多孔質層がよりできやすくする。また、逆に添加量を上げて、1を超えると比較的大きな空隙が生じ透明な半導体ナノ多孔質層となりやすい。
前記固形成分の前記混合溶液全体に対する割合としては、前記金属酸化物前駆体と金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物の添加量に応じて異なるため適宜選択可能であるが、一般には1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。前記割合が、1質量%未満であると、複合ゲル化反応の進行が遅く、流動性の高い透明ゾル状態で金属酸化物微粒子が形成され、粗大な微粒子が形成されてしまい、一方、10質量%を超えると透明ゾルから複合ゲルへの進行が速く均一な複合ゲルが得られないことがある。
以下に、金属アルコキシドとしてタングステンヘキサエトキシドを用いた場合を例にして、酸化タングステン多孔質層の形成方法についてさらに詳しく説明する。
まず、タングステンヘキサエトキシドをアルコールに添加して混合溶液を調製する。この際アルコールには、水と、触媒としての酸とが添加されるが、該水は、タングステンヘキサエトキシドに対して0.1倍モル〜等モルが好ましく、該酸は、タングステンヘキサエトキシドに対して0.05倍モル〜0.5倍モルが好ましい。得られる混合溶液を、例えば、室温〜80℃で攪拌しながら乾燥窒素気流下で還流する。ここでの還流温度及び時間は、80℃で30分〜3時間程度が好ましい。この還流の結果、透明な混合溶液が得られる。
この混合溶液中では、タングステンヘキサエトキシドは部分的に加水分解された状態になっており、オリゴマー状態にある。この混合溶液の温度を室温まで下げ、ポリアクリル酸を添加する。本来アルコールには溶けにくいポリアクリル酸が、この混合溶液には容易に溶解し無色の透明ゾルが得られる。これは、ポリアクリル酸のカルボン酸とタングステンヘキサエトキシドとが塩形成反応により結合し、高分子錯体状の化合物が形成されているためである。この透明ゾルにさらに過剰量の水を加えて、室温〜80℃に保持すると数分間〜1時間程度で該透明ゾルがゲル化し、ポリアクリル酸とタングステンヘキサエトキシドとを少なくとも含む架橋構造の複合ゲル化が形成される。
この複合ゲルを80℃程度で5〜50時間保持すると、該複合ゲルは再び溶解し半透明なゾルが得られる。これは、タングステンヘキサエトキシドの加水分解反応及び重縮合反応が進行するとともに、ポリアクリル酸とタングステンヘキサエトキシドとの塩構造が分解して、酸化チタンとカルボン酸エステルとに変化するためである。
得られたゾル溶液を、ディップコーティング法等によって適当な基板に塗布し、約100℃〜600℃の高温に加熱する。この加熱により酸化タングステン微粒子の結晶化と酸化タングステン微粒子同士の焼結が進行すると同時に、高分子相が熱分解し、酸化タングステンが相分離状態に凝集した膜状の酸化タングステン微粒子が形成されることとなる。
タングステンヘキサエトキシドに対するポリアクリル酸の量としては、重量比で0.3〜0.7が好ましい。前記質量比を0.3以上にすることにより、−M−O−M−の大きな3次元ネットワークが形成されることによってゲルが溶解しない場合が生ずるのを防ぎ、0.7以下とすることにより、比較的大きな空隙が生じ透明な層となることをより効果的に防ぐことができる。
また、タングステンヘキサエトキシドとポリアクリル酸との固形成分の前記混合溶液全体に対する割合としては、1〜10質量%が好ましい。前記割合を1質量%以上とすることにより、複合ゲル化反応の進行が遅く、流動性の高いゾル状態で酸化タングステン微粒子が形成され、粗大な酸化タングステン微粒子が形成されうることをより効果的に防ぐことができる。一方、10質量%以下とすることにより、透明ゾルから複合ゲルへの進行が速く均一な複合ゲルが得られなくなる場合をより起こりにくくできる。
(化合物半導体ナノ多孔質層の形成方法)
前記化合物半導体ナノ多孔質層の形成方法としては、(1)電解析出法、(2)化学浴堆積法、(3)光化学堆積法があり、具体的には以下に示すとおりである。
(1)電解析出法
前記電解析出法は、少なくとも堆積される元素のイオンを含む電解質中に、透明絶縁基板上の透明導電性膜を形成した電極と、該電極に対向する電極とを配置し、これら電極間で電気化学的に酸化還元反応を起こし、前記化合物半導体層を、透明導電性膜を形成した電極上に形成するものである。「表面技術」Vol.49,No.1、3ページ、1998年、を参照できる。
(2)化学浴堆積法
前記化学浴堆積法は、少なくとも堆積されるイオンを1種以上含む溶液中に、透明絶縁基板上の透明導電性膜を形成した電極を配置し、前記溶液の温度調整とイオン濃度調整とにより還元反応を起こし、前記化合物半導体層を電極上に形成するものである。「Journal of Applied Physics」 vol.82,2,655,1997を参照できる。
(3)光化学堆積法
前記光化学堆積法は、少なくともチオ硫酸ナトリウム及び金属イオンを1種以上含む溶液中に、透明絶縁基板上に透明導電性膜を形成した電極を配置し、該電極に紫外線を照射して光反応を生じさせ、前記化合物半導体層を電極上に形成するものである。「Japan Journal Applied Physics」 vol.36,L1146, 1997年、を参照できる。
(複合体酸化物半導体ナノ多孔質層の形成方法)
前記複合体酸化物半導体ナノ多孔質層は、上記方法により形成した酸化物半導体ナノ多孔質層上にさらにゾルゲル法により酸化物半導体ナノ多孔質層を形成し、複合化する方法、又は2種類の酸化物半導体粒子を混合したペーストを電極上に塗布する方法、などが挙げられる。
具体的には、酸化物半導体コロイド水溶液に酢酸を滴下し、乳鉢でよく混合したゲル状溶液に対して複合対象となる酸化物半導体粉末、アルコールを少しずつ加えてよく混合する。さらに、界面活性剤を加えてよく混合し、これを、フッ素ドープ型酸化スズ導電性膜ガラス(FTO)電極にホットプレート(100〜120℃)上で噴霧塗布し、焼成することにより、半導体微粒子の結晶化と半導体微粒子同士の焼成とが進行し、所望の多孔質を有する複合体酸化物半導体ナノ多孔質層を形成する。
(エレクトロクロミック色素)
エレクトロクロミック色素(EC色素)は、前記半導体ナノ多孔質層の表面及び内部の微細孔に担持されると共に、必要に応じて、電解質層中に溶解乃至分散された状態で含有されることが好ましい。EC色素としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により黒色に発色又は消色する作用を示す限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機系色素、金属錯体系色素などが好適に挙げられ、好ましくは有機系色素である。これらEC色素は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属錯体系色素としては、例えば、プルシアンブルー、金属−ビピリジル錯体、金属フェナントロリン錯体、金属−フタロシアニン錯体、メタフェリシアニド、これらの誘導体などが挙げられる。
前記有機系色素としては、例えば、(1)ピリジン化合物類、(2)導電性高分子類、(3)スチリル化合物類、(4)ドナー/アクセプター型化合物類、(5)その他有機色素類、などが挙げられる。
前記(1)ピリジン化合物類としては、例えば、ビオローゲン、ヘプチルビオローゲン(ジヘプチルビオローゲンジブロミド等)、メチレンビスピリジニウム、フェナントロリン、アゾビピリジニウム、2,2−ビピリジニウム錯体、キノリン・イソキノリン、などが挙げられる。
前記(2)導電性高分子類としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンジアミン、ポリアミノフェノール、ポリビニルカルバゾール、高分子ビオローゲンポリイオンコンプレックス、TTF、これらの誘導体などが挙げられる。
前記(3)スチリル化合物類としては、例えば、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]−3,3−ジメチルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−[4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1,3−ブタジエニル]−3,3−ジメチルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]−3,3−ジメチル−5−メチルスルホニルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−[4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1,3−ブタジエニル]−3,3−ジメチル−5−スルホニルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、3,3−ジメチル−2−[2−(9−エチル−3−カルバゾリル)エテニル]インドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−[2−[4−(アセチルアミノ)フェニル]エテニル]−3,3−ジメチルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、などが挙げられる。
前記(4)ドナー/アクセプター型化合物類としては、例えば、テトラシアノキノジメタン、テトラチアフルバレン、などが挙げられる。
前記(5)その他有機色素類としては、例えば、カルバゾール、メトキシビフェニル、アントラキノン、キノン、ジフェニルアミン、アミノフェノール、Tris−アミノフェニルアミン、フェニルアセチレン、シクロペンチル化合物、ベンゾジチオリウム化合物、スクアリウム塩、シアニン、希土類フタロシアニン錯体、ルテニウムジフタロシアニン、メロシアニン、フェナントロリン錯体、ピラゾリン、酸化還元指示薬、pH指示薬、これらの誘導体、などが挙げられる。
また、前記EC色素としては、酸化状態では無色乃至極淡色を示し、還元状態で発色する還元発色型のもの、還元状態では無色乃至極淡色を示し、酸化状態で発色する酸化発色型のもの、還元状態でも酸化状態でも発色を示し、還元又は酸化の程度により数種類の色が発現する多色発色型のもののいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記EC色素において、酸化還元反応により黒色に発色又は消色するものの組み合わせとしては、酸化発色型色素の組み合わせであれば、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンと、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−1,3−ブタジエニル}−3,3−ジメチル−5−カルボキシルインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンと、2−{2−〔4−(メトキシ)フェニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンの組み合わせ、等が挙げられる。また、還元発色型色素の組み合わせであれば、ビス−(2−ホスホノエチル)−4,4’−ビピリジニウムジブロミドと、〔β−(10−フェノチアジル)プロポキシ〕ホスホン酸の組み合わせ、などが挙げられる。
本発明に用いられるEC色素として、吸収極大ならびに吸収帯に関しては、いかなるものであってもよいが、イエロー域(Y)、マゼンタ域(M)、あるいはシアン域(C)に吸収極大を有する色素を用いることが好ましい。イエロー色素、マゼンタ色素ならびにシアン色素を混合することによるフルカラー化表示を行う方法については、「カラーケミストリー」(時田澄男著、丸善、1982年)に詳しい。ここでいう、イエロー域とは、430〜490nmの範囲、マゼンタ域とは、500〜580nmの範囲、シアン域とは600〜700nmの範囲である。
前記半導体ナノ多孔質層の表面及び内部にEC色素を担持させる方法としては、特に制限はなく、公知の技術を使用できる。例えば、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート等の塗布法、電界析出法、電界重合法や担持させる化合物の溶液に浸す自然吸着法等の方法を適宜選ぶことができる。中でも自然吸着法は、金属酸化物層の微細孔のすみずみまでムラなく確実に機能性分子を担持させうる、特別な装置を必要としない、多くの場合は単分子層程度であり必要以上に余分な量がつかない等の多くの利点を有しており好ましい方法である。
具体的には、EC色素の溶液中に良く乾燥した半導体ナノ多孔質層を有する透明基板を浸漬するか、色素の溶液を半導体ナノ多孔質層に塗布する方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7−249790号公報に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また、後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等がある。
前記EC色素を溶解する溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド等)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
前記EC色素の吸着量は、例えば、半導体ナノ多孔質層の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。また、EC色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜100mmolの範囲であるのが好ましい。また、EC色素の電解質中濃度は、0.001〜2mol/Lが好ましく、0.005〜1mol/Lがより好ましい。
従って、EC色素が、半導体ナノ多孔質層に含まれるとは、半導体ナノ多孔質層の表面にEC色素が塗布されている場合も含む趣旨である。
もちろん、本発明のEC色素は、必ずしも半導体ナノ多孔質層に含める必要はなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、他の層に含めてもよいことは上述のとおりである。
(電荷移動剤)
電荷移動剤は、前記EC色素と同様に、半導体ナノ多孔質層の表面及び内部の微細孔に担持され、電解質層又は半導体ナノ多孔質層中に溶解ないし分散された状態で含有されることが好ましい。なお、電荷移動剤の半導体ナノ多孔質層への担持はEC色素と同様の方法で行うことができる。前記電荷移動剤とEC色素とを併用することにより、両者の同時発色による加色効果、両者の相互作用にして酸化還元反応がスムーズに進行し、発色効率がより向上する。
前記電荷移動剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エレクトロクロミック性を示すものが好適であり、例えば、ヒドラゾン、フェノチアジンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記電荷移動剤の吸着量は、例えば、半導体ナノ多孔質層の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。また、電荷移動剤の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜100mmolの範囲であるのが好ましい。また、電荷移動剤の電解質中濃度は、0.001〜2mol/Lが好ましく、0.005〜1mol/Lがより好ましい。
(電解質層)
前記電解質層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、EC色素及び/又は電荷移動剤を含有することが好ましく、EC色素及び電荷移動剤としては、上述したものの中から適宜選択して用いることができるが、半導体ナノ多孔質層に担持させたEC色素や電荷移動剤と同じものが好ましい。前記電解質層の形態としては、(1)液体、(2)固体、(3)ゲル状のいずれであっても構わない。
(1)液体の電解質層の場合、前記電解質層が液体の場合には、I−/I3-、Br-/Br3-、キノン/ヒドロキノン対等のレドックス対(酸化還元対)を含み、電極間を十分な速度で輸送可能な電解質等の電荷輸送性物質を溶媒に溶かして用いることが好ましい。
前記電解質としては、例えば、ヨウ素、臭素、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属ハロゲン化物、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム化合物のハロゲン化塩、メチルビオロゲンクロリド、ヘキシルビオロゲンブロミド等のアルキルビオロゲン、ハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン、フェロセン、フェロシアン酸塩等の鉄錯体等の少なくとも1種を用いることができるが、これに限定するものではない。また、ヨウ素とヨウ化リチウム等の組合せのように、予めレドックス対(酸化還元対)を生成させる複数の電解質を混合して用いると、EC表示素子の性能、特に電流特性を向上させることが可能となる。これらの中でも、ヨウ素とアンモニウム化合物、ヨウ素と金属ヨウ化物の組合せ等が好適に挙げられる。
これらの電解質を溶解する溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルコール類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の非プロトン性極性溶媒、水等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
前記溶媒における前記電解質の電解質濃度としては、0.001〜2mol/Lが好ましく、0.005〜1mol/Lがより好ましい。電解質濃度を0.001mol/L以上とすることにより、キャリアとしての機能がより効果的に保たれ、特性を十分に保つことができる。一方、2mol/L以下とすることにより、キャリアとしての機能がより効果的に保たれ、また、電解質溶液の粘性が高くなり過ぎるのを防ぎ、電流の低下をより効果的に抑止できる。
(2)固体の電解質層の場合前記電解質層が固体の場合には、イオン導電性又は電子伝導性を示すいずれの物質であってもよく、例えば、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CuI、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl4、LiAlF4、等のハロゲン化物、AgSBr、C55NHAg56、Rb4Cu167Cl13、Rb3Cu7Cl10等の無機復塩、LiN、Li5NI2、Li6NBr3等の窒化リチウム及びその誘導体、Li2SO4、Li4SiO4、Li3PO4等のリチウムの酸素酸塩、ZrO2、CaO、Gd23、HfO2、Y23、Nb25、WO3、Bi23、及びこれらの固溶体等の酸化物、CaF2、PbF2、SrF2、LaF3、TISn25、CeF3等のフッ化物、Cu2S、Ag2S、Cu2Se、AgCrSe2等のカルコゲニド、フッ化ビニル系高分子にパーフルオロスルホン酸を含む高分子(例えば、ナフィオン)、有機電荷輸送性物質として、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等の化合物、トリフェニルアミン等の芳香族アミン化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール化合物やポリメチルフェニルシラン等のシラン化合物を用いることができるが、これに限定されるものではない。
(3)ゲル電解質層の場合、前記電解質層がゲル状の場合には、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を、前記電解質及び前記溶媒に混合して用いることができる。前記ポリマー添加によりゲル化させる場合は、「Polymer Electrolyte Revi ews−1及び2」(J.R.MacCallumとC.A.Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)などに記載された化合物を使用することができるが、特に、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどが好適である。前記オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合は、「J.Chem Soc.Japan,Ind.Chem.Sec.,46,779(1943)」、「J.Am.Chem.Soc.,111,5542(1989)」、「J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1993,390」、「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,35,1949(1996)」、「Chem.Lett.,1996,885」、「J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1997,545」などに記載されている化合物を使用することができるが、特に、分子構造中にアミド構造を有する化合物が好ましい。
(4)また、マトリックス材と支持電解質との混合液を重合させてフイルム状とした固体電解質層を用いることもできる。
−支持電解質−
前記支持電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無機電解質であってもよいし、有機電解質であってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、市販品であってもよく、適宜合成しても構わない。
前記無機電解質としては、例えば、無機酸陰イオン−アルカリ金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属などが挙げられ、これらの中でも無機酸陰イオン−アルカリ金属塩が好ましく、無機酸リチウム塩がより好ましい。
前記無機酸陰イオン−アルカリ金属塩としては、例えば、XAsF6、XPF6、XBF4、XClO4、などが挙げられ(但し、これらにおいてXは、H、Li、K又はNaを表す。)、具体的には過塩素酸リチウムなどが好適に挙げられる。
前記アルカリ金属塩としては、例えば、LiI、KI、LiCF3SO3、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiSCN、LiAsF6、NaCF3SO3、NaPF6、NaClO4、NaI、NaBF4、NaAsF6、KCF6SO3、KPF6、などが挙げられる。
前記有機電解質としては、例えば、有機酸陰イオン−アルカリ金属塩、四級アンモニウム塩、アニオン性界面活性剤、イミダゾリウム塩、などが挙げられ、これらの中でも有機酸陰イオン−アルカリ金属塩が好ましく、有機酸リチウム塩がより好ましい。
前記有機酸陰イオン−アルカリ金属塩としては、例えば、XCF3SO3、XCnF2n+1SO3(n=1〜3)、XN(CF3SO22、XC(CF3SO23、XB(CH34、XB(C654、などが挙げられ(但し、これらにおいてXは、H、Li、K又はNaを表す)、具体的には、ポリメタクリル酸リチウムなどが好適に挙げられる。
前記四級アンモニウム塩としては、例えば、[CH3(CH234N・Y、Cn2n+1N(CH33・Y(n=10〜18)、(Cn2n+12N(CH32・Y(n=10〜18)、などが挙げられる(但し、これらにおいてYは、BF4、PF6、ClO4、F、Cl、Br又はOHを表す。)
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、CnH2n+1COO・X(n=10〜18)、Cn2n+1OCm2mCOO・X(n=10〜18、m=10〜18)、C107COO・X、Cn2n+1106COO・X(n=10〜18)、Cn2n+1SO3・X(n=10〜18)、Cn2n+1OCm2mSO3・X(n=10〜18、m=10〜18)、C107SO8・X、Cn2n+1106SO3・X(n=10〜18)、Cn2n+1OSO3・X(n=10〜18)、などが挙げられる(但し、これらにおいてXは、H、Li、K又はNaを表す。)。
前記支持電解質として、特に、無機酸リチウム塩と有機酸リチウム塩とを含むのが好ましい。
−マトリックス材−
前記マトリックス材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘテロ原子を有する高分子化合物、などが挙げられる。
前記ヘテロ原子を有する高分子化合物としては、例えば、酸素原子を有する高分子化合物、窒素原子を有する高分子化合物、硫黄原子を有する高分子化合物、ハロゲン原子を有する高分子化合物、などが挙げられる。
前記酸素原子を有する高分子化合物としては、例えば、R1−(OCH2CH2nO−R2(nは、整数を表し、R1は、エチレン基、スチレン基、プロピレン基、ブテン基、ブタジエン基、塩化ビニル基、酢酸ビニル基、アクリル酸基、アクリル酸メチル基、メタクリル酸基、メタクリル酸メチル基、メチルビニルケトン基、アクリルアミド基等を表し、R2は、H、CH3又はR1を表す。)で表される化合物などが好適に挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、非ポリエーテル類(例えば、ポリ(3−ヒドロキシプロピオン酸)、ポリ酢酸ビニル)、などが好適に挙げられる。
前記窒素原子を有する高分子化合物としては、例えば、R1−(NHCH2CH2nNH−R2(nは、整数を表し、R1は、エチレン基、スチレン基、プロピレン基、ブテン基、ブタジエン基、塩化ビニル基、酢酸ビニル基、アクリル酸基、アクリル酸メチル基、メタクリル酸基、メタクリル酸メチル基、メチルビニルケトン基、アクリルアミド基等を表し、R2は、H、CH3又はR1を表す。)で表される化合物などが好適に挙げられ、具体的には、ポリエチレンイミン、ポリ−N−メチルエチレンイミン、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
前記硫黄原子を有する高分子化合物としては、例えば、R1−(SCH2CH2nS−R2(nは、整数を表し、R1は、エチレン基、スチレン基、プロピレン基、ブテン基、ブタジエン基、塩化ビニル基、酢酸ビニル基、アクリル酸基、アクリル酸メチル基、メタクリル酸基、メタクリル酸メチル基、メチルビニルケトン基、アクリルアミド基等を表し、R2は、H、CH3又はR1を表す。)で表される化合物などが好適に挙げられ、具体的には、ポリアルキレンサルファイド類、などが挙げられる。
前記マトリックス材の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低いほうが常温で流動性を有する場合が多いため、製膜性の観点からは低いほうが好ましく、例えば、数平均分子量で1000以下であるのが好ましい。
前記マトリックス材の前記電解質層における使用量としては、前記支持電解質とのモル比(マトリックス材:支持電解質)が、70:30〜5:95であるのが好ましく、50:50〜10:90であるのがより好ましく、50:50〜20:80であるのが特に好ましい。
なお、前記モル比は、前記マトリックス材のモル量と、前記支持電解質のイオンのモル量との比を意味する。該マトリックス材のモル量とは、高分子化合物のモノマー単位を1分子として換算したモル量を意味する。
<基板>
本発明に用いられる基板としては、プラスチック基板、ガラス基板、紙、金属基板などが用いられるが、構成単位を積層してなるため透明基板であることが好ましく、透明なプラスチック基板又はガラス基板が好適である。特に本発明では、基板上にTFTを作製するため、耐熱の観点からガラス基板がより好適である。
前記プラスチック基板としては、たとえば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレンン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ポリイミド(PI)などが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
本発明における基板の厚みは、特に規定されないが30μm〜700μmが好ましく、より好ましくは40μm〜200μm、さらに好ましくは50μm〜150μmである。
さらに基板のヘイズは3%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、全光透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ヘイズは、ヘイズメーター(例えば、日本電色工業製)によって測定され、全光透過率は、可視・紫外吸収スペクトロスコピーによって測定される。
なお、反射型光学素子用途の場合には、目視方向から最も遠い側の基板には、透明でない非光透過性基板を用いることもできる。非光透過性基板としては、光反射性を有する白色の支持体を用いることができる。白色支持体としては、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機顔料を添加したプラスチック基板が挙げられる。
<エレクトロクロミック表示素子>
以下では、本発明のエレクトロクロミック表示素子(EC表示素子)の構成について説明する。
本発明のEC表示素子は、基板上に、少なくとも1種以上のエレクトロクロミック色素と電解質とを含むエレクトロクロミック層と、少なくとも1つ以上の透明な薄膜トランジスタと、マトリクス状に配置された透明な画素電極と、透明な対向電極と、を有してなる構造単位を複数個積層してなる。本発明のEC表示素子は、少なくとも上記構成単位を2つ以上有していれば、それ以外の構成単位を含んでいても良い。例えば、反射型光学素子用途の場合には、目視方向から最も遠い側に配される構成単位においては、既述のように非光透過性の電極を用いても良いし、基板も非光透過性のものであってもよい。また、電解質を含まないエレクトロクロミック層を有する構成単位を有していても良い。
特に、本発明のエレクトロクロミック表示素子は、前記構造単位を少なくとも3個積層してなり、かかる3個の構造単位に含まれるエレクトロクロミック層が、各々独立にイエロー、シアン、又はマゼンタのエレクトロクロミック色素を含有してなるカラー画像を表示するものであることが好ましい。このように上記構造単位を垂直方向に積層する表示素子の場合、カラー画像を表現する方法は印刷物の網点と同様の原理である。イエロー、シアン、又はマゼンタの積層順は、目視方向手前から、マゼンタ、イエロー、シアンであることが好ましい。
本発明のEC表示素子の一例を、図2に示す。図2は、本発明のEC表示素子の構成を示す断面概略図である。
図2のEC表示素子では、基板301表面に対向電極(透明電極)321が設けられ、更に対向電極(透明電極)321表面に半導体ナノ多孔質層341が設けられる。基板303表面に、画素電極(透明電極)361と薄膜トランジスタ(TFT)10とが画素毎に、配置され、画素電極(透明電極)361は、マトリックス状に配置される。画素電極(透明電極)361又は薄膜トランジスタ(TFT)10と、半導体ナノ多孔質層341との間に、電解質層381を介在させる。電解質層381には、エレクトロクロミック層の厚みを制御するため、図示しないスペーサーや支柱(樹脂構造物)を設けてもよい。スペーサーや樹脂構造物は公知のものを適宜選択して適用することができる。対向電極(透明電極)321と画素電極(透明電極)361との間の距離は、0.01mm〜1mmであることが好ましく、0.1mm〜0.5mmであることがより好ましい。0.01mmよりも狭いと、通電しやすくなるため表示性能が悪化しやすくなり、1mmよりも広いと、駆動電圧が上がってしまう。
図2のEC表示素子では、このような構造単位を3個積層し、構造単位401、403、405を有する。最も目視側から遠い構成単位405の外側には、散乱白色反射層50を設け、更にその外側に基板307を設ける。
本発明のEC表示素子は、構成単位ごとにTFTを有するため、垂直方向に対してコンタクトホール等での電気的な接続を行う必要が無く、製造が簡易である。
図3は、図2に示す構成単位40を拡大した図である。半導体ナノ多孔質層34が、電解質層38に含有されていたEC色素60を担持している様子を示している。
なお、図1及び図2では半導体ナノ多孔質層34が単層の場合で示しているが、2層構造或いは多層構造の半導体ナノ多孔質層34を設けてもよい。
また、同一画素における薄膜トランジスタの位置が、目視方向から見て重なるような位置で示しているが、薄膜トランジスタの位置はそれぞれずらしてもよい。前述のように薄膜トランジスタは透明ではあるが、薄膜トランジスタが形成されていない部分に比べて、薄膜トランジスタが形成されている部分における光の透過率は低くなりやすく、また薄膜トランジスタの高さの分だけEC層の厚さが薄くなるため、発色した濃度も低くなりやすい。そこで、同一画素の薄膜トランジスタの位置をずらすことで、同じ画素の薄膜トランジスタが互いに重なる位置に配置されている場合に比べて、表示画面の明るさのむらを抑制することができる。
さらに、図1では散乱白色反射層50を設けているが、散乱白色反射層50を設けず、目視側から最も遠い基板307を光反射性を有する白色基板としてもよい。また、散乱白色反射層50を設けた上で、基板307を光反射性を有する白色基板としてもよい。
図4は、本発明のエレクトロクロミック素子の平面概略図を示す。
エレクトロクロミック素子には、アクティブマトリクス駆動を行うために、各画素に対してそれぞれ画素電極(透明電極)36がマトリクス状に配置されている。また、各画素電極36に電圧印加するために、薄膜トランジスタTFT10と、薄膜トランジスタ10を駆動するためのゲート線72とソース線74とが形成されている。
図2〜図4のEC表示素子は、対向電極(透明電極)32と画素電極(透明電極)36との間に電圧を印加して半導体ナノ多孔質層に担持されたEC色素60を発消色させるものである。本発明の積層型EC表示素子においては、エレクトロクロミック層は基板面に略垂直な縦電界が印加される。駆動対象画素の画素電極には、それに接続された薄膜トランジスタ10を介して電圧が印加される。画像を形成するための電圧としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜10V程度が好ましく、1〜5V程度がより好ましい。
上記説明したように各画素をそれぞれアクティブマトリクス駆動することで、各エレクトロクロミック層に含まれるエレクトロクロミック色素が発色・消色し、フルカラー表示を行うことができる。
以上説明した本発明のエレクトロクロミック表示素子に用いる薄膜トランジスタ10は透明であり、開口比を大きくすることができる。
更に、薄膜トランジスタ10の半導体活性層として、ホモロガス化合物単結晶InMO3(ZnO)m薄膜を用いると、ゲートと活性層の界面に欠陥が介在しにくく、ゲートリーク電流が少なくなり、安定したアクティブマトリクス駆動を行うことができる。また、ホモロガス化合物単結晶InMO3(ZnO)mのバンドギャップエネルギーは3.3eVより大きいので、400nm以上の波長である可視光に対して透明であり、可視光による光誘起電流の発生がなくなる。その結果、可視光が入射しても薄膜トランジスタ10は誤動作しないため、ブラックマトリクスマスク等の遮光層を薄膜トランジスタ10上に設ける必要がなくなり、開口率の向上を達成でき、明るい表示を行うことができる。さらに、ホモロガス化合物単結晶InMO3(ZnO)m薄膜は、室温付近では良質な絶縁体であることから、ノーマリーオフ作動で、スイッチング特性が良好となり、1000℃程度の高温まで安定であり、電子キャリア移動度はアモルファスシリコンに比較して10倍以上大きいため、高速動作することが期待できる。
本発明のEC表示素子は、用途に応じて異なるが、透過型素子の場合は到達透過率となるまでの応答速度が100msec以下であることが好ましく、10msec以下がより好ましい。また、反射型素子の場合には到達吸光度になるまでの応答速度が100msec以下が好ましく、10msec以下がより好ましい。
<用途>
本発明のEC表示素子は、各種分野において好適に使用することができ、例えば、ECD(Electrochromic Display)、大型表示板、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、絞り装置、光スイッチ、光メモリー、電子ペーパー、電子アルバムなどに好適に使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[実施例1]
図2に示す反射型表示素子を作製した。作製方法の詳細を述べる。
<支持体の作製>
厚さ1mmのガラス基板(コーニング社製、商品名コーニング1737)に導電性二酸化スズを蒸着により付設して、支持体を作製した。
<エレクトロクロミック層の作製>
1)半導体粒子の調製
C.J.BarbeらのJ.Am.Ceramic Soc.80巻,p3157の論文に記載の製造方法に従い、チタン原料にチタニウムテトライソプロポキシドを用い、オートクレーブ中での重合反応の温度を230℃に設定して二酸化チタン濃度11質量%のアナターゼ型二酸化チタンの分散液を合成した。得られた二酸化チタン粒子の一次粒子のサイズは10〜30nmであった。得られた分散液を、超遠心分離機にかけて、粒子を分離し、凝集物を乾燥した後、メノウ乳鉢上で粉砕して白色粉末とした。
2)多孔質半導体微粒子層の作製
水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒に、上記1)の半導体微粒子を溶媒100mlあたり32gの濃度で添加し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使って均一に分散、混合し、多孔質半導体微粒子層塗布液を得た。この結果、得られた白色の分散液は500〜1500P(=50〜150N・s/m2)の高粘度のペースト状となり、このまま塗布に用いるのに適した液物性を有していることがわかった。
上記導電性二酸化スズ膜が被覆された支持体に、アプリケータを使って40〜70μmの均一な液厚みで上記多孔質半導体微粒子層塗布液を塗布し、塗布層を室温下でおよそ1時間乾燥させた。さらに、塗布層を120℃のもとで30分間乾燥した後に、100Wの水銀灯紫外線光源のUV光に30分間露光して、後処理を行った。このようにして多孔質半導体微粒子層を作製した。
3)EC色素の吸着
次いで、上記2)で作製した多孔質半導体微粒子層に、EC色素として、各々0.02Mの2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンを含むアセトニトリル溶液に浸漬させ、色素吸着処理を行い、イエロー色を発色するパーツ1を作製した。パーツ1と同様にして、但しEC色素をそれぞれ、0.02Mの2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−1,3−ブタジエニル}−3,3−ジメチル−5−カルボキシルインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリン、又は0.02Mの2−{2−〔4−(メトキシ)フェニル〕−1,3,5−ヘキサトリエニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕に変えて、マゼンタ色を発色するパーツ2及びシアン色を発色するパーツ3を作製した。
<透明トランジスタの作製>
(単結晶InGaO3(ZnO)5薄膜の作製)
ガラス基板上にマスクを通してPLD法により厚み2nmのパターン化されたZnO薄膜を基板温度700度でエピタキシャル成長させた。次に、基板温度を室温まで冷却し、該ZnOエピタキシャル薄膜上にPLD法により、厚み150nmの多結晶InGaO3(ZnO)5薄膜を堆積させた。こうして作製した二層膜を大気中に取り出し、電気炉を用いて、大気中、1400度、30min加熱拡散処理した後、室温まで冷却した。
(MISFET素子の作製)
フォトリソグラフィー法により、トップゲート型MISFET素子を作製した。ソースとドレイン電極及びゲート絶縁膜にはITO及びアモルファスAl23をそれぞれ用いた。チャネル長及びチャネル幅はそれぞれ0.05mm及び0.2mmとした。
(絶縁膜の設置)
上記透明トランジスタの上部に絶縁膜としてポリイミド膜(厚み10μm、日産化学製)を塗布により設置した。
<EC表示素子>
上記パーツ1〜3のEC層側と上記透明トランジスタが付設された電極基板とを3対、イエロー、マゼンタ、シアンの順に重ねることでEC表示素子を組立てた。ここで、各電極間の距離は0.2mmとした。電解質液として、0.2Mのテトラブチルアンモニウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液を用いた。なお、作製した一対の電極の大きさはいずれも5mm×5mmとした。得られたEC表示素子における一対の電極をリード線で結線(陽極に色素結合電極、陰極に透明トランジスタ電極基板)して表示装置を作製した。
<表示素子の評価>
この表示装置において、マゼンタ発色構造単位(パーツ2)に対して室温で3Vの電圧を印加したところ、陽極においてスチリル誘導体が酸化されて、無色からマゼンタに変った。次に、シアン発色構造単位(パーツ3)に対して室温で3Vの電圧を印加したところ、陽極においてスチリル誘導体が酸化されて、無色からシアンに変った。また、イエロー発色構造単位(パーツ1)に対して室温で3Vの電圧を印加したところ、陽極においてスチリル誘導体が酸化されて、無色からイエローに変った。
更に、マゼンタ発色構造単位とシアン発色構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単位の陽極においてスチリル誘導体が酸化されてマゼンタとシアンに発色し、全体では無色から青色に変化した。次に、マゼンタ発色構造単位とイエロー発色構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単位の陽極においてスチリル誘導体が酸化されてマゼンタとイエローに発色し、全体では無色から赤色に変化した。また、シアン発色構造単位とイエロー発色構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単位の陽極においてスチリル誘導体が酸化されてシアンとイエローに発色し、全体では無色から緑色に変化した。
更に、三つの発色構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単位の陽極においてスチリル誘導体が酸化されてマゼンタ、シアン、イエローに発色し、全体では無色から黒色に変化した。
なお、到達透過率となるまでの応答速度はいずれの場合も80msecであった。電圧をかけるのを止めても発色は600秒以上も続いた。また、発色−消色を1万回繰り返しても発色時の色の濃さも、消色時の透明度もほとんど変わらなかった。
なお、得られた素子の開口率は95%、反射率は60%であり、非常に明るい表示を行うことが可能であった。
[比較例1]
実施例1において、InGaO3(ZnO)5薄膜を有する透明な薄膜トランジスタを用いたところを、以下の透明でないトランジスタに変更した以外は同様にして比較のエレクトロクロミック表示素子を作製した。
(比較のトランジスタの作製)
半導体活性層はモルファスシリコンを蒸着させることで作製し、薄膜トランジスタの上部にはカーボンブラックを用いたブラックマトリックスを付設した。
得られた比較のエレクトロクロミック表示素子は、実施例1の本発明のエレクトロクロミック表示素子に比べ、開口率が小さいため素子の反射率が低下した。
[実施例2]
実施例1において、酸化チタン多孔質半導体微粒子層のかわりに、下記のZnO/SnO2混合多孔質半導体微粒子層を用いた以外は、実施例1と同様にしてEC表示素子を作製した。
(ZnO/SnO2混合多孔質半導体微粒子層)
15質量%SnO2コロイド水溶液(粒径15nm)1.5mlに酢酸0.3mlを滴下し、乳鉢でよく混合したゲル状溶液にZnO粉末(粒径0.2μm)0.3g、メタノール20mlを少しづつ加えてよく混合した。さらに、TritonX−100の0.2mlを加えてよく混合し、これを0.5×0.5cm2にマスクした2枚のフッ素ドープ型酸化スズ導電性膜ガラス(FTO)電極にホットプレート(100〜120℃)上で噴霧塗布し、550℃で焼成してZnO/SnO2混合多孔質膜電極を形成した。膜の微細構造をSEM観察により調べたところ、ZnOとSnO2粒子は別々に凝集しているのではなく、粒子径の大きなZnOを中心に周囲を取り囲むようにSnO2微粒子が付着していた。この焼成物膜(透明伝導性膜)の比表面積は100g/cm2であった。なお、比表面積は、BET表面積測定装置(ミツワ理化学工業製、マルチソープ12)を用い、液体窒素温度で窒素ガスを吸着させる方法により行った。
(表示性能の評価)
得られたEC表示素子について、実施例1と同様の表示性能の評価を行ったところ、到達透過率となるまでの応答速度はいずれの場合も80msecであった。また、電圧をかけるのを止めても発色は600秒以上も続いた。また、発色−消色を1万回繰り返しても発色時の色の濃さも、消色時の透明度もほとんど変わらなかった。
本発明にかかる透明薄膜トランジスタの構成を示す断面概略図である。 本発明のエレクトロクロミック表示素子の一例の構成を示す断面概略図である。 本発明のエレクトロクロミック表示素子の一部を拡大した図である。 本発明のエレクトロクロミック表示素子の一例の構成を示す平面概略図である。
符号の説明
10 薄膜トランジスタ
12 半導体活性層
301,303,305,307 基板
34,341,343,345 半導体ナノ多孔質層
36,361,363,365 画素電極
38,381,383,385 電解質層
40,401,403,405 構成単位
60 エレクトロクロミック色素(EC色素)

Claims (9)

  1. 基板上に、少なくとも1種以上のエレクトロクロミック色素と電解質とを含むエレクトロクロミック層と、少なくとも1個以上の透明な薄膜トランジスタと、マトリクス状に配置された透明な画素電極と、透明な対向電極と、を有してなる構造単位を複数個積層してなることを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
  2. 前記構造単位を少なくとも3個積層してなり、3個の構造単位に含まれるエレクトロクロミック層が、各々独立にイエロー、シアン、又はマゼンタのエレクトロクロミック色素を含有してなることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示素子。
  3. 前記対向電極の表面に、前記エレクトロクロミック層の1つとして半導体ナノ多孔質層を有してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレクトロクロミック表示素子。
  4. 前記エレクトロクロミック色素が、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により可逆的に発色又は消色するものであり、該エレクトロクロミック色素が前記半導体ナノ多孔質層に担持されてなり、
    且つ、前記半導体ナノ多孔質層と前記画素電極との間に電解質層を有してなることを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック表示素子。
  5. 前記電解質層が、電荷移動剤を含有してなることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロクロミック表示素子。
  6. 前記半導体ナノ多孔質層が半導体微粒子を含み、該半導体微粒子が単体半導体、酸化物半導体、化合物半導体、有機半導体、複合体酸化物半導体及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック表示素子。
  7. 前記半導体微粒子が、SnO2−ZnO、Nb25−SrTiO3、Nb25−Ta25、Nb25−ZrO2、Nb25−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、In−SnO2及びBi−SnO2からなる群より選択される少なくとも一種の複合体酸化物半導体であることを特徴とする請求項6に記載のエレクトロクロミック表示素子。
  8. 前記エレクトロクロミック色素が、有機化合物及び金属錯体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック表示素子。
  9. 前記薄膜トランジスタが、ホモロガス化合物InMO3(ZnO)m(Mは、In,Fe,Ga,又はAlを表し、mは、1以上50未満のいずれかの整数を表す。)薄膜を有することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック表示素子。
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