JP2007041045A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 それぞれの吸収軸が互いに略垂直の位置関係にある出射側偏光子及び入射側偏光子から構成される一対の偏光子の間に少なくとも2枚の光学異方板及び液晶セルを有する、IPSモードの液晶表示装置において、前記少なくとも2枚の光学異方板の面内の2つの主屈折率の総和が、その厚さ方向の主屈折率の総和の2倍以下であり、且つ、前記光学異方板と前記液晶セルとを積層してなる光学積層板(O)において、0.90 < R40/R0< 1.10の関係を満たし、且つ、前記出射側偏光子の観察側に反射防止板を備え、前記反射防止板が、特定成分(A)、(B)および(C)を含む組成物の硬化膜からなる低屈折率層を有するように構成する。
【選択図】なし
Description
この問題を解決するため、液晶セルの設計自体を改良する手法が検討され、その一つに、インプレーンスイッチング(以下、IPSとも言う)モードの液晶表示装置が提案された(特許文献1)。この方式によると、他のモードの液晶表示装置と比較して、視野角は向上する。しかしながら、この方式においては、液晶セル中の液晶分子に起因した視野角の狭さは少し解消されているものの、観察する角度によっては偏光板の配置がクロスニコル配置からずれ、これが要因で光漏れが発生して視野角が低下する現象が起きる。加えて、前記液晶セル中の液晶分子に起因した視野角の狭さについても未だ改善の余地がある。このために、IPSモードの液晶表示装置に光学補償手段を加えて、視野角を向上させる試みがなされている。
例えば、IPSモードの液晶表示装置に、液晶セルと偏光板との間に、光学異方板である光学補償シートが配置され、この光学補償シートが光学的に負の一軸性を有し、かつその光軸が該シート面に対して平行である液晶表示装置が提案されている(特許文献2)。
一方、液晶表示装置等に用いる偏光板の表面反射に起因する表示画面のコントラストの低下を改善する試みから、偏光板の表面に、特定分子量を有するシロキサンオリゴマーと、特定分子量を有するフルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を含有するフッ素化合物とを含有する硬化性樹脂組成物からなる反射防止フィルムを設けることにより、反射防止特性が改善された偏光板が報告されている(特許文献3)。しかしながら、特許文献3の偏光板では、IPSの液晶表示装置に取り付けた時に、観察する角度の広い範囲で、均質で高いコントラストを有する液晶表示装置を得るには未だ不十分でありさらなる改善が求められていた。
すなわち、本発明は、
(1)それぞれの吸収軸が互いに略垂直の位置関係にある出射側偏光子及び入射側偏光子から構成される一対の偏光子の間に、k枚(kは2以上の整数)の光学異方板及び液晶セルを有するIPSモードの液晶表示装置であって、
前記光学異方板の番号をi、i番目の光学異方板の面内の主屈折率をnix、niy(ただし、nix>niyである。)、厚さ方向の主屈折率をnizとしたとき、
(Σnix+Σniy)/2 ≦ Σniz
の関係を満たし(ここで、Σは、i=1〜kの総和を表す)、
前記光学異方板と前記液晶セルとを積層してなる光学積層板(O)において、波長550nmの光が垂直入射したときのレターデーションをR0、波長550nmの光が法線から主軸方向へ40度傾いた角度で入射したときのレターデーションをR40としたとき、
0.90 < R40/R0< 1.10
の関係を満たし、且つ、
前記出射側偏光子の観察側に反射防止板を備え、
前記反射防止板が、粒径が5〜2000nm以下の中空粒子(A)、(メタ)アクリロイル基およびフルオロアルキル基を有するシロキサンオリゴマー(B)、及び、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物(C)を含む組成物の硬化膜からなる低屈折率層を有することを特徴とする液晶表示装置、
(2)前記低屈折率層の屈折率が1.40以下であることを特徴とする(1)記載の液晶表示装置、
(3)前記光学異方板の少なくとも1枚が、固有複屈折が負である樹脂を含む層である(1)または(2)記載の液晶表示装置、
(4)前記光学異方板の少なくとも1枚が、ディスコティック液晶分子またはライオトロピック液晶分子を含む層である(1)または(2)記載の液晶表示装置、
(5)前記光学異方板の少なくとも1枚が、光異性化物質を含む層である(1)または(2)記載の液晶表示装置、
を提供するものである。
本発明に用いるIPSモードの液晶セルは、電圧無印加状態において該液晶セル中の液晶分子が、液晶セル基板面に対してホモジニアス配向し、電圧印加すると該液晶セル中の液晶分子が該基板面に対して平行に回転し、90°ねじれ配向するものである。具体的には、特開平09−080424号報や特開2001−100207号報などに記載される方式が知られている。
本発明に用いる光学異方板は、波長550nmの光で測定した光学異方板の面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnzとしたとき、nx、ny及びnzのうちの少なくとも一つが他と異なる板状の物質であり、液晶表示装置の表示画面と同程度の広さを持つものである。光学異方板の中では、一つの単色光源から出た光が一つの方向に進むとき、互いに速度の異なる二つの偏光に分かれて進み、この二つの偏光の振動方向は互いに垂直である。
本発明に用いる光学異方板は、固有複屈折値が負である材料を含む層であることが好ましい。また、本発明に用いる光学異方板は、ディスコティック液晶又はライオトロピック液晶を含む層であることが好ましい。さらに、本発明に用いる光学異方板は、光異性化物質を含む層であることが好ましい。
固有複屈折値が負である材料とは、一軸性の秩序をもって分子が配向した層に光が入射したとき、その配向方向の光の屈折率がその配向方向に直交する方向の光の屈折率より小さくなるものをいう。
また、光学異方体の面内屈折率を制御する観点から、前記延伸した固有複屈折値が負である材料からなる層に他の延伸フィルムをさらに積層する方法も好ましい。
さらに、固有複屈折値が負である材料からなる層は、その両側に、接着性樹脂層を介して他の材料からなる層を積層した積層体とする構成が好ましい。これにより、強度が低く単独では延伸が困難な固有複屈折値が負である材料からなる層であっても、複屈折が発現しやすい温度で、延伸が可能となり、破断することなく、生産性よく、層全面に渡って均質な位相差を有する光学異方板を得ることができる。
ディスコティック液晶分子としては、種々の文献に記載されている化合物(例えば、C.Desrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page111(1981年)に記載されているベンゼン誘導体や、B.Kohneらの研究報告、及び、Angew.Chem.96巻,70頁(1984)に記載されたシクロヘキサン誘導体や、J.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、及び、J.Am.Chem.Soc.116巻,2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系またはフェニルアセチレン系の、マクロサイクルなど)が挙げられ、一般的に、分子の中心部分の円盤状構造から放射状に、複数個の互いに同一または異なる側鎖部分が伸びた構造を有する化合物である。側鎖部分には、例えば、アルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基などが置換されている。このようなディスコティック液晶の具体例を以下に示す。
塗布液の塗布は、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法などの公知の方法により実施できる。
前記垂直配向膜に用いるポリマーの重合度は、200〜5,000であることが好ましく、300〜3,000であることが好ましい。ポリマーの分子量については特に制限はないが、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレンオキサイド又はポリスチレン(標準溶液)換算の重量平均分子量(Mw)で、9,000〜200,000であることが好ましく、13,000〜130,000であることがさらに好ましい。二種類以上のポリマーを併用してもよい。
垂直配向膜は、該垂直配向膜に用いるポリマーを基材に塗布することで形成することができる。さらに、垂直配向膜には、ラビング処理を施すことが好ましい。ラビング処理は、上記のポリマーを含む膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。
重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応や光重合開始剤を用いる光重合反応が好ましい例示として挙げられる。
光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組合せ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)などが挙げられる。
ライオトロピック液晶分子とは、特定の溶媒に、特定の濃度範囲で溶解した場合に、液晶性を示す分子のことを言う(丸善株式会社、液晶便覧3p等を参照)。具体的には、特開平10−333145号公報、Mol.Cryst.,Liq.Cryst.,1993Vol.225,293−310などに記載されている、セルロース誘導体、ポリペプチド、核酸など主鎖が棒状骨格を持つ高分子を溶解してなる高分子ライオトロピック液晶分子;両親媒性低分子化合物の濃厚水溶液からなる両親媒性ライオトロピック液晶分子;水溶性が付与された芳香環を有する低分子化合物の溶液からなるクロモニック液晶分子;などが挙げられる。
前記ライオトロピック液晶分子は、剪断により特定の方向に配向する特徴を有することが好ましい。また、前記ライオトロピック液晶分子は、可視光領域において実質的に吸収を持たない方が好ましい。このようなライオトロピック液晶分子の具体例を以下に示す。
前記ライオトロピック液晶分子を含む溶液の濃度としては、特に制限はないが、好ましくは、溶媒100重量部に対して液晶分子を0.0001〜100重量部の範囲で、さらに好ましくは0.0001〜1重量部の範囲で溶解させる。
光異性化物質とは、光により立体異性化または構造異性化を起こすものであり、好ましくは、さらに別の波長の光または熱によってその逆異性化を起こすものである。一般的に、これらの化合物は、構造変化と共に可視域での色調変化を伴うものが多く、フォトクロミック化合物としてよく知られている。光異性化物質としては、アゾベンゼン系化合物、ベンズアルドキシム系化合物、アゾメチン系化合物、スチルベン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物、ケイ皮酸系化合物、レチナール系化合物、ヘミチオインジゴ系化合物等が挙げられる。
前記光学異方板と前記液晶セルとを積層してなる光学積層板(O)において、波長550nmの光が垂直入射したときのレターデーションをR0、波長550nmの光が法線から主軸方向へ40度傾いた角度で入射したときのレターデーションをR40としたとき、
0.90 < R40/R0< 1.10
であり、より好ましくは、
0.92 < R40/R0< 1.08
であり、さらに好ましくは、
0.95 < R40/R0< 1.05
である。R40/R0が上記範囲内にあると、表示画面を斜め方向から見たとき、黒表示品位が向上し、コントラストが向上する。なお、波長550nmの光が法線から主軸方向へ40度傾いた角度で入射したときのレターデーションR40は、図1に示す光学積層板(O)の遅相軸を回転軸とした極角で、光線がY−Z面内に存在するα方向と、光学積層板(O)の進相軸を回転軸とした極角で、光線がX−Z面内に存在するβ方向の2方向について測定する。極角とは、液晶表示装置の表示画面を観察する際に、正面方向から傾けて見るときの角度である。
本発明に用いる出射側偏光子および入射側偏光子は、自然光を直線偏光に変換できるものである。例えば、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素、二色性染料などの二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理などを施して得られる偏光子を挙げることができる。前記出射側偏光子および前記入射側偏光子の厚さは特に制限はないが、通常は厚さ5〜80μmの偏光子であることが好ましい。なお、出射側偏光子とは、本発明の液晶表示装置の観察側に近い方に備えられている偏光子のことであり、入射側偏光子とは、本発明の液晶表示装置の観察側に遠い方に備えられている偏光子のことである。液晶表示装置の観察側は、観察者が表示画面を視認できる側である。
接着に際し、前記出射側偏光子または前記入射側偏光子、及び保護フィルムまたは前記光学異方板をそれぞれ所望の大きさに切り出して重ね合わせて接着することもできるが、長尺の出射側偏光子または入射側偏光子と、長尺の保護フィルムまたは光学異方板をロールトゥーロールで接着することが好ましい。
本発明の液晶表示装置には、前記出射側偏光子の観察側に、反射防止板を備える。この反射防止板は、後述する低屈折率層を有する。また、反射防止板は、出射側偏光子と低屈折率層との間に高屈折率層を有していてもよい。
ΔR=(Rb−Ra)/Rb×100(%) (I)
ΔR=(Rc−Rd)/Rc×100 (%) (II)
本発明に用いる反射板において、高屈折率層は、必要に応じて、前記出射側偏光子と後述する低屈折率層との間に設けてもよい。本発明における高屈折率層とは、後述する低屈折率層よりも高い屈折率を有する層である。
高屈折率層は、その屈折率nHが1.55以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましい。高屈折率層の屈折率が1.55以上であると、広帯域における反射防止性能及び耐擦傷性が向上し、高屈折率層の上に積層する低屈折率層の設計が容易になる利点がある。屈折率は、公知の分光エリプソメーター等を用いて求めることができる。
本発明に用いる反射板において、本発明に用いる低屈折率層は、出射側偏光子の上側(観察側)に設けられる層であり、または、前記高屈折率層が設けられた場合には、この高屈折率層の上側に設けられる層である。低屈折率層の平均厚みは、10〜1000nmであることが好ましく、30〜500nmであることがより好ましい。
本発明に用いる中空粒子は、中空部分が存在する粒子である。
また、中空粒子の中空部分には中空粒子を調製するときに使用した溶媒及び/又は乾燥時に浸入する気体が存在してもよいし、中空粒子の中空部分を形成するための、後述する前駆体物質がその中空部分に残存していてもよい。
前駆体物質は、外殻によって包囲された核粒子から核粒子の構成成分の一部を除去した後に残存する多孔質物質である。核粒子には、種類の異なる無機酸化物からなる多孔質の複合酸化物粒子を用いる。前駆体物質は、外殻に付着してわずかに残存していることもあるし、中空粒子の中空部分内の大部分を占めることもある。
なお、この多孔質物質の細孔内にも上記溶媒あるいは気体が存在してもよい。このときの核粒子の構成成分の除去量が多くなると、中空粒子の中空部分の容積が増大し、屈折率の低い中空粒子が得られ、この中空粒子を配合して得られる透明被膜は低屈折率で反射防止性能に優れる。
外殻は、内側層と外側層などからなる多層構造であることが好ましい。外殻は、内側の第1無機酸化物皮膜層および外側の第2無機酸化物皮膜層からなる複数の無機酸化物皮膜層であることが好ましい。外側に第2無機酸化物皮膜層を設けることにより、外殻の細孔を閉塞させて外殻を緻密化できるとともに、内部の空洞を密封した中空粒子を得ることができる。
本発明に用いる低屈折率層に含まれるシロキサンオリゴマー(B)は、(メタ)アクリロイル基およびフルオロアルキル基を有するシロキサンオリゴマーである。このシロキサンオリゴマー(B)は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(b−1)と、フルオロアルキル基を有するフッ素化合物(b−2)と、一般式XjSiY4−j(式中、Xは置換基を有していてもよい一価の炭化水素基を表し、jは0〜2の整数を表し、jが2の時、Xは同一であっても相異なっていてもよい。Yは加水分解性基を表し、Yは同一であっても相異なっていてもよい)で表される加水分解性基を有するシラン化合物(b−3)との縮合物であることが好ましい。
前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物(b−1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロイル基を有するオルガノシラン類が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイル基を有するオルガノシラン類としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−アクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシメチルメチルジエトキシシランなどが例示されるが、これらの中で取り扱い性、架橋密度、反応性などから3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
前記フルオロアルキル基を有するフッ素化合物(b−2)としては、フルオロアルキル基を有するシラン化合物の、縮合物や、フルオロアルキル基を有する単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。
前記、一般式XjSiY4−jで表される加水分解性基を有するシラン化合物(b−3)において、前記Xは置換基を有していてもよい一価の炭化水素基を表す。置換基を有してもよい一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の置換基を有してもよいアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロアルキル基;γ−メタクリロキシプロピル基等のアルケニルカルボニルオキシアルキル基;γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシ基を有するアルキル基;γ−メルカプトプロピル基等のメルカプト基を有するアルキル基;3−アミノプロピル基等のアミノ基を有するアルキル基;トリフルオロメチル基等のパーフルオロアルキル基等を挙げることができる。この中でも、合成の容易性、入手可能性等から、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、パーフルオロアルキル基が好ましい。
その縮合において、各反応成分の比率は特に制限されないが、前記化合物(b−1)/前記化合物(b−2)/前記化合物(b−3)のモル比で、5〜70/30〜70/1〜50モル%となるように配合して縮合することが好ましく、5〜70/30〜70/1〜50モル%となるように配合して縮合することが更に好ましい。さらに、縮合においては、各反応成分をアルコール溶媒(たとえば、メタノール、エタノール等)中で有機酸(たとえば蓚酸等)の存在下で加熱することが好ましい。
本発明に用いる低屈折率層に含まれるアクリレート化合物(C)は、(メタ)アクリロイル基を有する。
アクリレート化合物(C)は、前記反射防止板の硬度を効果的に高くできる観点から、フッ素原子を含有せず、且つ、(メタ)アクリロイル基を2個以上有することが好ましい。このような化合物としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる反射防止板では、前記低屈折率層の防汚性を高めるために、前記低屈折率層の上(観察側)にさらに防汚層が形成されてもよい。防汚層の形成材料としては、低屈折率層の機能を阻害せず、防汚層としての要求性能を満たす限り特に制限はない。通常、疎水基を有する化合物を好ましく使用できる。具体的な例としてはパーフルオロアルキルシラン化合物、パーフルオロポリエーテルシラン化合物、フッ素含有シリコーン化合物を使用することができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;CVD等の化学的気相成長法;湿式コーティング法;等を用いることができる。防汚層の厚みは特に制限はないが、通常20nm以下が好ましく、1〜10nmであるのがより好ましい。
ここで、本発明の液晶表示装置の構成概要について説明する。
図2、図3、図4および図5は、本発明の液晶表示装置の構成の例を示す説明図である。液晶表示装置は、入射側偏光子1、液晶セル2、光学異方板3、光学異方板4及び出射側偏光子5により構成されている。出射側偏光子5の観察側には、低屈折率層を有する反射防止板を備える。図中の矢印は、偏光子では吸収軸を、液晶セル及び光学異方体では面内の遅相軸を示す。図6及び図7は、従来の液晶表示装置の構成の2例を示す説明図である。
本発明において、一対の偏光子の間の少なくとも2枚の光学異方板と液晶セルの配列(前記光学積層板(O)の配置構成)に制限はなく、少なくとも2枚の光学異方板に対して任意の位置に液晶セルを配置することができる。例えば、2枚の光学異方板と液晶セルを用いる場合、入射側偏光子から出射側偏光子に向けて、光学異方板−液晶セル−光学異方板、光学異方板−光学異方板−液晶セル又は液晶セル−光学異方板−光学異方板のいずれの配列とすることもできる。
本発明の液晶表示装置は、前記光学異方板の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の前記液晶セルの液晶の面内の遅相軸と、略平行又は略垂直の位置関係にあることが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、前記光学異方板の面内の遅相軸と、前記出射側偏光子の吸収軸とが、略平行又は略垂直の位置関係にあることが好ましい。加えて、前記光学異方板の面内の遅相軸と、前記入射側偏光子の吸収軸とが、略平行又は略垂直の位置関係にあることが好ましい。
上記のような配置であると、本発明の液晶表示装置のコントラストを効果的に向上させることができる。
なお、以下の実施例及び比較例においては、厚さ2.74μm、誘電異方性が正、波長550nmの複屈折率Δn=0.09884、プレチルト角0度のインプレーンスイッチングモードの液晶セルを作製した。
また、実施例及び比較例において、測定及び評価は下記の方法によって行った。
(1)厚さ
光学積層板をエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム[大和光機工業(株)、RUB−2100]を用いて0.05μm厚にスライスし、透過型電子顕微鏡を用いて断面を観察し、測定する。光学積層板については、各層ごとに測定する。
(2)光学異方板の主屈折率
自動複屈折計[王子計測器(株)、KOBRA−21]を用いて、温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、波長550nmの光によって、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸方向と面内で垂直な方向の屈折率ny、厚さ方向の屈折率nzを測定する。
(3)レターデーション
高速分光エリプソメーター[J.A.Woollam社、M−2000U]を用いて、温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、R0及びR40を測定する。
(4)視野角特性
液晶表示装置のディスプレイの画面の背景を黒表示にした状態で、その画面に白色文字を表示させて、正面方向と極角80度以内の斜め方向からの画面の表示を目視観察する。
○:白色文字が読み取れる
×:文字が読み取れない
(5)コントラスト比
液晶表示装置を500ルクスの環境に設置し、液晶セルに55Hzの矩形波電圧(白表示6V、黒表示0V)を印加した場合における、表示画面の正面方向の輝度を、色彩輝度計(トプコン社製、色彩輝度計BM−7)を用いて測定する。そして、白表示時の輝度と黒表示時の輝度との比(=白表示の輝度/黒表示の輝度)を計算し、これをコントラスト(CR)とする。コントラスト(CR)が大きいほど、視認性に優れる。
(6)反射率
分光光度計[日本分光(株)、紫外可視近赤外分光光度計V−570]を用い、入射角5度で反射スペクトルを測定し、波長550nmの光における反射率を求める。
(7)低屈折率層及び高屈折率層の屈折率
高速分光エリプソメーター[J.A.Woollam社、M−2000U]を用い、温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、入射角度をそれぞれ55、60、65度として測定した場合の、波長領域400〜1000nmのスペクトルから算出する。
(8)耐擦傷性
反射防止板の表面にスチールウール#0000を接触させた状態で、スチールウールを反射防止板の表面で10往復させ(この際、スチールウールには、荷重0.025MPaを継続的にかける)、試験後の表面状態を目視で観察する。
○:傷が認められない
△:わずかに傷が見られる
×:傷が認められる
(9)視認性
液晶表示装置のディスプレイの画面を黒表示にした状態で、その画面の表示を目視観察し、以下の3段階評価を行う。
○:グレアや映り込みが見られない
△:グレアや映り込みが少し見られる
×:グレアや映り込みが見られる
(10)広帯域性
液晶表示装置を明るさ100ルクスの環境に設置し、反射色を目視観察する。
○:反射色が黒
×:反射色が青
(11)数平均分子量および重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフ[東ソー(株)、HLC8020]を用い、標準溶液で検量線を作成し、その換算値として測定する。
(12)防汚性
反射防止板表面にマジックインク(商品名:マッキー、ZEBRA社製)を付着させてから、セルロール製不織布(商品名:ベンコットM−3、旭化成社製)で拭き取ったときの状態を目視判定する。
○:完全に拭き取ることが出来る
×:拭き取り跡が残る
ノルボルネン系重合体[ガラス転移温度105℃]からなる[1]層、スチレン−無水マレイン酸共重合体[ガラス転移温度130℃、オリゴマー含有量3重量%]からなる[2]層及び変性エチレン−酢酸ビニル共重合体[ビカット軟化点80℃]からなる[3]層を有し、[1]層(33μm)−[3]層(8μm)−[2]層(65μm)−[3]層(8μm)−[1]層(33μm)の構成の未延伸積層フィルムa1を共押出成形により得た。得られた未延伸積層フィルムa1を、温度135℃、倍率1.5倍、延伸速度12%/minでテンターにより横一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にある長尺の光学異方板A1を得た。
得られた光学異方板A1は、主屈折率nx=1.57024、ny=1.56927、nz=1.57048であり、厚さd=98μmであった。
ノルボルネン系重合体[ガラス転移温度105℃]からなる[1]層、スチレン−無水マレイン酸共重合体[ガラス転移温度130℃、オリゴマー含有量3重量%]からなる[2]層及び変性エチレン−酢酸ビニル共重合体[ビカット軟化点55℃]からなる[3]層を有し、[1]層(38μm)−[3]層(10μm)−[2]層(76μm)−[3]層(10μm)−[1]層(38μm)の構成の未延伸積層フィルムb1を共押出成形により得た。得られた未延伸積層フィルムb1を、温度134℃、倍率1.7倍、延伸速度12%/minでテンターにより横一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にある長尺の光学異方板B1を得た。
得られた光学異方板B1は、主屈折率nx=1.57041、ny=1.56878、nz=1.57082であり、厚さd=101μmであった。
化学式[6]で表される構造を有する変性ポリビニルアルコールを、メタノールとアセトンの混合溶媒(容量比50:50)に溶解して、濃度5重量%の溶液を調製した。この溶液を、バーコーターを用いて縦40cm、横30cmの光学等方性透明ガラス基板上に厚さ約1μmで塗布し、60℃の温風で2分間乾燥し、その表面をラビング処理して垂直配向膜を形成した。
形成した垂直配向膜の上に、化学式[7]で表される構造を有するディスコティック液晶分子32.6重量%、セルロースアセテートブチレート0.7重量%、変性トリメチロールプロパントリアクリレート3.2重量%、増感剤0.4重量%、光重合開始剤1.1重量%及びメチルエチルケトン62.0重量%からなる塗布液を塗布し、ディスコティック液晶分子をホモジニアス配向させた。次いで、500W/cm2の照度の水銀ランプで紫外線を1秒間照射して重合させ、光学異方板C1を得た。ディスコティック液晶分子は、光学等方性透明ガラス基板の横方向に遅相軸を有するようにホモジニアス配向をしていた。
得られた光学異方板C1は、主屈折率nx=1.63353、ny=1.53293、nz=1.63353であり、厚さd=4μmであった。
ノルボルネン系重合体[ガラス転移温度136℃]からなる厚さ100μmの長尺の未延伸フィルムを、押出成形により得た。
化学式[6]で表される構造を有する変性ポリビニルアルコールを、メタノールとアセトンの混合溶媒(容量比50:50)に溶解して、濃度5重量%の溶液を調製した。この溶液を、上記の未延伸フィルムに厚さ約1μmで塗布し、60℃の温風で2分間乾燥し、その表面をラビング処理して垂直配向膜を形成した。
形成した垂直配向膜の上に、化学式[8]で表される構造を有するディスコティック液晶分子22.3重量%、セルロースアセテートブチレート0.7重量%、変性トリメチロールプロパントリアクリレート3.2重量%、増感剤0.4重量%、光重合開始剤1.1重量%及びメチルエチルケトン72.3重量%からなる塗布液を塗布し、ディスコティック液晶分子をホモジニアス配向させた。次いで、500W/cm2の照度の水銀ランプで紫外線を1秒間照射して重合させ、光学異方板D1を得た。ディスコティック液晶分子は、光学異方板D1の長手方向に遅相軸を有するようにホモジニアス配向をしていた。
得られた光学異方板D1は、主屈折率nx=1.60497、ny=1.59006、nz=1.60497であり、厚さd=4μmであった。
スチレン−ブタジエン(重量比20:80)共重合体10重量部に、スチレン−アクリロニトリル−α−メチルスチレン(重量比60:20:20)混合物90重量部をグラフト共重合したスチレン系ポリマー170重量部を、塩化メチレン830重量部に溶解した。この溶液を、乾燥膜厚が96μmになるようにガラス板上に流延し、45℃の温風で20分間乾燥させたのち、得られたフィルムをガラス板から剥がして枠に張り付け、70℃で1時間、さらに110℃で15時間乾燥させた。次いで、温度115℃で、延伸倍率1.9倍で、引張試験機(ストログラフ)を用いて縦一軸延伸を行い、光学異方板E1を得た。
得られた光学異方板E1は、主屈折率nx=1.55058、ny=1.54884、nz=1.55058であり、厚さd=70μmであった。
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:NKオリゴ U−6HA、新中村化学社製)30部、ブチルアクリレート40部、イソボロニルメタクリレート(商品名:NK エステル IB、新中村化学社製)30部、スチレンビーズ(粒径3.5μm)5部、2,2−ジフェニルエタン−1−オン10部をホモジナイザーで混合し、五酸化アンチモン微粒子の40重量%MIBK溶液(平均粒子径20nm:水酸基がパイロクロア構造の表面に現われているアンチモン原子に1つの割合で結合している。)を、五酸化アンチモン微粒子の重量が高屈折率層形成用塗工液全固形分の50重量%占める割合で混合して、高屈折率層形成用組成物H1を調製した。
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコにエタノール200部を投入し、撹拌下にこのエタノールに蓚酸120部を少しずつ添加することにより、蓚酸のエタノール溶液を調製した。次いでこの溶液をその還流温度まで加熱し、還流下のこの溶液中に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(化合物(b−1))50部、ヘプタデカフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン(化合物(b−2))50部、テトラメトキシシラン(化合物(b−3))10部の混合物を滴下した。滴下終了後も、還流下で加熱を5時間続けた後冷却した。
次に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(アクリレート化合物(C))20部と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(重合開始剤)5部を攪拌混合しながら滴下した。滴下終了後も、還流下に加熱を5時間続けた後冷却した。
次に、中空シリカイソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業社製、固形分20重量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm)(中空粒子(A))を、中空粒子の割合が固形分基準で70重量%になるように添加し、メタノールにて固形分が1重量%になるように希釈することにより低屈折率層形成用組成物L1を調製した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの代わりに、フッ素を含有のアクリレート化合物である3−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(アクリレート化合物(C))20部を用いた以外は、製造例7と同様にして低屈折率層形成用組成物L2を調製した。
ヘプタデカフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン50部の代わりに、フルオロアルキル基を有しないシロキサンオリゴマーであるテトラメトキシシラン60部を用いた以外は、製造例7と同様にして低屈折率層形成用組成物L3を調製した。
テトラメトキシシラン152部にメタノール412部を加え、さらに水18部及び0.01Nの塩酸18部を混合し、これを、ディスパーを用いてよく混合した。この混合液を25℃恒温槽中で2時間攪拌して、重量平均分子量を850に調整することにより、シリコーンレジンを得た。次に、このシリコーンレジン溶液に、非中空粒子であるシリカメタノールゾル(日産化学工業社製、PMA−ST、平均粒子径10〜20nm)を、固形分基準で重量比が、シリカメタノールゾル/シリコーンレジン(縮合化合物換算)=80/20となるように添加し、さらに全固形分が3%になるようにメタノールで希釈し、低屈折率層形成用組成物L4を調製した。
厚さ85μmのポリビニルアルコールフィルム[(株)クラレ、ビニロン#8500]を2.5倍延伸し、ヨウ素0.2g/Lとヨウ化カリウム60g/Lを含む水溶液中に30℃にて240秒浸漬し、次いでホウ酸70g/Lとヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液に浸漬し、その状態で6.0倍に一軸延伸して5分間保持した。最後に、室温で24時間乾燥し、平均厚さ30μmで、偏光度99.5%の偏光子p0を得た。
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム[コニカミノルタ(株)、KC8UX2M]の一方の面に、1.5モル/Lの水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を25mL/m2塗布し、25℃で5秒間乾燥した。次いで、流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることによりフィルムの表面を乾燥した。このようにして、TACフィルムの一方の表面のみをケン化し、保護フィルムz1を得た。
製造例12で得られた保護フィルムz1の、ケン化していない方の面に対して、高周波発信機[春日電機(株)、高周波電源AGI−024、出力0.8kW]を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力が0.055N/mである保護フィルムz2を得た。
ノルボルネン系重合体[ガラス転移温度136℃]からなる厚さ100μmの長尺の未延伸フィルムを、押出成形により得た。得られた未延伸フィルムの両面に、高周波発信機[春日電機(株)、高周波電源AGI−024、出力0.8KW]を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力が0.072N/mである保護フィルムz3を得た。
〔出射側偏光子P1〕
製造例13で得られた保護フィルムz2のコロナ放電処理をした方の面に、ダイコーターを用いて、製造例6で得られた高屈折率層形成用組成物H1を塗工し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて被膜を得た。その後、紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm2)して、厚さ5μmの高屈折率層を形成し、保護フィルムz4を得た。高屈折率層の屈折率は1.62であった。
さらに、保護フィルムz4の高屈折率層側に、ワイヤーバーコーターを用いて、製造例7で得られた低屈折率層形成用組成物L1を塗工し、1時間放置して乾燥させ、得られた被膜を120℃で10分間、酸素雰囲気下で加熱し、厚さ100nmの低屈折率層を積層し、保護フィルムz5を得た。
さらに、得られた保護フィルムz5のケン化処理した面と、製造例11で得られた偏光子p0の片面とが向かい合うように、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、ロールトゥーロール法により、それらを貼り合わせて、出射側偏光子P1を得た。鉛筆硬度は2Hであった。
〔入射側偏光子P’1〕
製造例12で得られた保護フィルムz1のケン化処理した面と、製造例11で得られた偏光子p0の片面とが向かい合うように、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、ロールトゥーロール法により、それらを貼り合わせて、入射側偏光子P’1を得た。
〔液晶表示装置1〕
製造例2で得られた光学異方板B1と液晶セル及び製造例1で得られた光学異方板A1を、光学異方板B1の遅相軸と液晶セルの電圧無印加時の遅相軸とが垂直、液晶セルの電圧無印加時の遅相軸と光学異方板A1の遅相軸とが平行になるように、この順に積層して、光学積層板(O1)を作製した。
次いで、実施例1で得られた入射側偏光子P’1を、入射側偏光子P’1の吸収軸と光学異方板B1の遅相軸とが平行になり、かつ保護フィルムz1が積層されていない面が光学異方板1と接するように光学積層板(O1)と積層した。
さらに、実施例1で得られた出射側偏光子P1を、出射側偏光子P1の吸収軸と光学異方板A1の遅相軸とが平行になり、かつ出射側偏光子P2の低屈折率層が積層されていない面が光学異方板A1と接するように光学積層板(O1)と積層して、液晶表示装置1を作製した。この際、出射側偏光子が液晶表示装置の観察側になるようにした。
得られた液晶表示装置1の表示特性を目視で評価すると、正面から見た場合も、極角80度以内の斜め方向から見た場合も、表示画面は良好かつ均質であった。評価結果を第1表に示す。
〔出射側偏光子P2〕
製造例7で得られた低屈折率層形成用組成物L1の代わりに、製造例8で得られた低屈折率層形成用組成物L2を用いた以外は、実施例1と同様にして、出射側偏光子P2を得た。
〔液晶表示装置2〕
そして、実施例1で得られた出射側偏光子P1の代わりに、出射側偏光子P2を用いた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置2を作製した。
得られた液晶表示装置2の表示特性を目視で評価すると、正面から見た場合も、極角80度以内の斜め方向から見た場合も、表示画面は良好かつ均質であった。評価結果を第1表に示す。
〔出射側偏光子P3〕
製造例14で得られた保護フィルムz3の一方の面に、ダイコーターを用いて、製造例6で得られた高屈折率層形成用組成物H1を塗工し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて被膜を得た。その後、紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm2)して、厚さ5μmの高屈折率層を形成し、保護フィルムz6を得た。
次いで、保護フィルムz6の高屈折率層側に、製造例7で得られた低屈折率層形成用組成物L1を、ワイヤーバーコーターを用いて塗工し、1時間放置して乾燥させ、得られた被膜を120℃で10分間、酸素雰囲気下で加熱し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、保護フィルムz7を得た。
さらに、得られた保護フィルムz7の低屈折率層が積層されていない側の面と、製造例11で得られた偏光子p0の片面とが向かい合うように、アクリル系接着剤を介して、ロールトゥーロール法により、それらを貼り合わせて、出射側偏光子P3を得た。鉛筆硬度はHであった。
〔液晶表示装置3〕
そして、実施例1で得られた出射側偏光子P1の代わりに、出射側偏光子P3を用いた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置3を作製した。
得られた液晶表示装置3の表示特性を目視で評価すると、正面から見た場合も、極角80度以内の斜め方向から見た場合も、表示画面は良好かつ均質であった。評価結果を第1表に示す。
〔液晶表示装置4〕
製造例4で得られた光学異方板D1、製造例3で得られた光学異方板C1及び液晶セルを、光学異方板D1の遅相軸と光学異方板C1の遅相軸とが垂直、光学異方板C1の遅相軸と液晶セルの電圧無印加時の遅相軸とが平行になるように、この順に積層して、光学積層板(O4)を作製した。
次いで、実施例1で得られた入射側偏光子P’1を、入射側偏光子P’1の吸収軸と光学異方板D1の遅相軸とが平行になり、かつ保護フィルムz1が積層されていない面が光学異方板D1と接するように光学積層板(O4)と積層した。
さらに、実施例1で得られた出射側偏光子P1を、出射側偏光子P1の吸収軸と光学異方板C1の遅相軸とが平行になり、かつ出射側偏光子P1の低屈折率層が積層されていない面が光学異方板C1と接するように光学積層板(O4)と積層して、液晶表示装置4を作製した。この際、出射側偏光子が液晶表示装置の観察側になるようにした。
得られた液晶表示装置4の表示特性を目視で評価すると、正面から見た場合も、極角80度以内の斜め方向から見た場合も、表示画面は良好かつ均質であった。評価結果を第1表に示す。
〔液晶表示装置5〕
実施例1で得られた出射側偏光子P1の代わりに、実施例3で得られた出射側偏光子P3を用いた以外は、実施例4と同様にして、液晶表示装置5を作製した。
得られた液晶表示装置5の表示特性を目視で評価すると、正面から見た場合も、極角80度以内の斜め方向から見た場合も、表示画面は良好かつ均質であった。評価結果を第1表に示す。
〔液晶表示装置6〕
製造例5で得られた光学異方板E1及び液晶セルを、光学異方板E1の遅相軸と液晶セルの電圧無印加時の遅相軸とが平行になるように積層して、光学積層板(O6)を作製した。
次いで、実施例1で得られた入射側偏光子P’1を、入射側偏光子P’1の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の遅相軸とが平行になり、かつ保護フィルムz1が積層されていない面が液晶セルと接するように光学積層板(O6)と積層した。
さらに、実施例1で得られた出射側偏光子P1を、出射側偏光子P1の吸収軸と光学異方板E1の遅相軸とが平行になり、かつ出射側偏光子P2の低屈折率層が積層されていない面が光学異方板E1と接するように光学積層板(O6)と積層して、液晶表示装置6を作製した。
得られた液晶表示装置6の表示特性を目視で評価すると、正面から見た場合は表示は良好であったが、方位角45度の斜め方向から見た場合は、黒表示品位が悪く、コントラストが低かった。得られた液晶表示装置6の評価結果を、第1表に示す。
〔液晶表示装置7〕
製造例5で得られた1番目の光学異方板E1、液晶セル、及び、2番目の光学異方板E1を、1番目の光学異方板E1の遅相軸と液晶セルの電圧無印加時の遅相軸とが垂直になるように、2番目の光学異方板E1の遅相軸と液晶セルの電圧無印加時の遅相軸とが垂直になるように、この順に積層して、光学積層板(O7)を作製した。
次いで、実施例1で得られた入射側偏光子P’1を、入射側偏光子P’1の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の遅相軸とが平行になり、かつ保護フィルムz1が積層されていない面が2番目の光学異方板E1と接するように光学積層板(O7)と積層した。
さらに、実施例1で得られた出射側偏光子P1を、1番目の光学異方板E1の遅相軸と出射側偏光子P1の吸収軸とが平行になり、かつ出射側偏光子P2の低屈折率層が積層されていない面が1番目の光学異方板E1と接するように光学積層板(O7)と積層して、液晶表示装置7を作製した。
得られた液晶表示装置7の表示特性を目視で評価すると、正面から見た場合は表示は良好であったが、方位角45度の斜め方向から見た場合は、黒表示品位が悪く、コントラストが低かった。得られた液晶表示装置7の評価結果を、第1表に示す。
〔出射側偏光子P8〕
製造例7で得られた低屈折率層形成用組成物L1の代わりに、製造例9で得られた低屈折率層形成用組成物L3を用いた以外は、実施例1と同様にして、出射側偏光子P8を得た。鉛筆硬度は2Hであった。なお、低屈折率層の屈折率は1.41であった。
〔液晶表示装置8〕
そして、実施例1で得られた出射側偏光子P1の代わりに、出射側偏光子P8を用いた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置8を作製した。
得られた液晶表示装置8の表示特性を目視で評価すると、500ルクス以上の環境下では、画面上に映り込みが見られ、黒表示品位が悪くコントラストが低かった。得られた液晶表示装置8の評価結果を、第1表に示す。
〔出射側偏光子P9〕
製造例7で得られた低屈折率層形成用組成物L1の代わりに、製造例10で得られた低屈折率層形成用組成物L4を用いた以外は、実施例1と同様にして、出射側偏光子P9を得た。鉛筆硬度は2Hであった。なお、低屈折率層の屈折率は1.43であった。
〔液晶表示装置8〕
そして、実施例1で得られた出射側偏光子P1の代わりに、上記出射側偏光子P9を用いた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置9を作製した。
得られた液晶表示装置9の表示特性を目視で評価すると、500ルクス以上の環境下では、画面上に映り込みが見られ、黒表示品位が悪くコントラストが低かった。得られた液晶表示装置9の評価結果を、第1表に示す。
2 液晶セル
3 光学異方板
4 光学異方板
5 出射側偏光子
Claims (5)
- それぞれの吸収軸が互いに略垂直の位置関係にある出射側偏光子及び入射側偏光子から構成される一対の偏光子の間に、k枚(kは2以上の整数)の光学異方板及び液晶セルを有するインプレーンスイッチングモードの液晶表示装置であって、
前記光学異方板の番号をi、i番目の光学異方板の面内の主屈折率をnix、niy(ただし、nix>niyである。)、厚さ方向の主屈折率をnizとしたとき、
(Σnix+Σniy)/2 ≦ Σniz
の関係を満たし(ここで、Σは、i=1〜kの総和を表す)、
前記光学異方板と前記液晶セルとを積層してなる光学積層板(O)において、波長550nmの光が垂直入射したときのレターデーションをR0、波長550nmの光が法線から主軸方向へ40度傾いた角度で入射したときのレターデーションをR40としたとき、
0.90 < R40/R0< 1.10
の関係を満たし、且つ、
前記出射側偏光子の観察側に反射防止板を備え、
前記反射防止板が、
粒径が5〜2000nmの中空粒子(A)、
(メタ)アクリロイル基およびフルオロアルキル基を有するシロキサンオリゴマー(B)、及び、
(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物(C)
を含む組成物の硬化膜からなる低屈折率層を有することを特徴とする液晶表示装置。 - 前記低屈折率層の屈折率が1.40以下であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
- 前記光学異方板の少なくとも1枚が、固有複屈折が負である樹脂を含む層である請求項1または2記載の液晶表示装置。
- 前記光学異方板の少なくとも1枚が、ディスコティック液晶分子またはライオトロピック液晶分子を含む層である請求項1または2記載の液晶表示装置。
- 前記光学異方板の少なくとも1枚が、光異性化物質を含む層である請求項1または2記載の液晶表示装置。
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