JP2007041340A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Masanori Yoshihara
眞紀 吉原
Yoshinori Fujii
義徳 藤井
Shuhei Okude
修平 奥出
Tetsuya Toyoshima
哲也 豊嶋
Kohei Arakawa
公平 荒川
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【課題】 強い外光下においても、高いコントラストで視認でき、視野角が広く、且つ耐擦傷性および防汚性に優れる。
【解決手段】液晶表示装置は、OCBモードの液晶セルと、液晶セルを挟む一対の出射側偏光板および入射側偏光板と、これらの偏光板のいずれか一方または両方と液晶セルとの間に設けられた少なくとも1枚の光学補償板と、出射側偏光板の液晶セル側とは反対側に設けられた、屈折率が1.40以下の低屈折率層を有する反射防止体とを備える。光学補償板は、面内レターデーションReを有し、厚み方向の平均屈折率が面内の平均屈折率よりも小さく、厚み方向で屈折率が変化する。低屈折率層は、(A)粒径が5〜2000nmの中空粒子、(B)(メタ)アクリロイル基およびフルオロアルキル基を有するシロキサンオリゴマー、および(C)(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物を含んでなる組成物により形成された硬化膜からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置に関し、特に、反射防止性、耐擦傷性、および防汚性に優れる、OCBモードの液晶表示装置に関する。
OCB(OPTICALLY COMPENSATED BIREFRINGENCE)モードの液晶表示装置は、ネマチック液晶のベンド配向を利用した表示装置である。OCBモードの液晶表示装置は、高速な応答が可能であり、動画に対応できるという特徴を有していることから、高性能な表示装置として期待されている。
このようなOCBモードの液晶表示装置では、色補償と視野角補償を行う光学補償板が必要である。OCBモードの液晶セルは、ベンド配向の程度差により白黒表示あるいはその中間調を表示する方式であるが、いずれの状態であっても正面から見たとき、液晶セルでレターデーションが生じるため、このままでは光の遮光を行うことができず充分なコントラスト比が得られない。このため、黒表示を行う場合には、黒表示の際の、液晶セルの持つ面内のレターデーションを相殺することのできる光学補償板が必要となる。
また、OCBモードの液晶表示装置は、異方性をもつ液晶材料や偏光板を使用するために、正面から見た場合に良好な表示が得られても、斜めから見ると表示性能が低下するという視野角の問題があり、性能向上のために光学補償板が必要となる。OCBモードではベント配向を安定に保つために、液晶分子のダイレクターは電極基板に対し、平均的には大きな角度を成している必要があり、平均的な屈折率分布は、セルの厚み方向で大きく、面内方向でより小さいものとなっている。そのため光学補償板としては、この異方性を相殺できるもので、膜厚方向の屈折率が面内方向より小さな屈折率をもつ、いわゆる負の一軸性構造を持つものが有効である。
このような観点から色補償および視野角補償を同時に行うことが可能な光学補償板として、面内にレターデーションを持ちつつ、且つ厚み方向の屈折率が面内の屈折率より小さいという、二軸性の延伸フィルムの使用が提案されている。二軸性の延伸フィルムの場合、斜めからみると、その方位によっては充分な補償が達成されないことがある。これはセル中の液晶のダイレクターが、膜厚方向で連続的に変化しているために斜めに進む光に対して旋光分散が生じることがあるためである。一方、該二軸性延伸フィルムは厚み方向で屈折率の変化が無いため、旋光分散の影響を該二軸性延伸フィルムでは打ち消すことができない。
したがって、OCBモードの液晶表示装置に対し、充分な色補償および視野角補償を同時に行うためには、光学補償板は、面内のレターデーションを持つことと、厚み方向の屈折率が面内の屈折率より小さいという条件の他に、厚み方向で屈折率が連続的に変化するという要件を満たす必要があると考えられる。このような色補償および視野角補償を同時に行う光学補償板として、特許文献1に、ディスコティック液晶性材料から成り、ディスコティック液晶の配向形態を固定化した液晶性光学フィルムであって、該配向形態がディスコティック液晶のダイレクターが、フィルムの一方の面においてはフィルム平面と60度以上90度以下の角度をなしており、フィルムの他の面においては0度以上50度以下の角度を成すハイブリッド配向になっている液晶表示素子用補償フィルムが提案されている。
また、特許文献2には、透明支持体およびその上に設けられたディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方層からなる光学補償板が提案されている。ここでは、該光学異方層のディスコティック構造単位の円盤面が、透明支持体面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している。透明支持体が、該透明支持体面の法線方向に光軸を有し、さらに、条件:20≦{(nx +ny )/2-nz }×d2 ≦400(但し、nx 及びny は支持体の面内の主屈折率を表わし、nz は厚み方向の主屈折率を表わし、d2 は支持体のnm換算の厚さを表わす)を満足するものである。
一方、表示画面における光の反射を防止する方法として、防眩処理ないし反射防止処理が知られている。例えば低屈折率の金属酸化物と高屈折率の金属酸化物と気相法によって幾重にも積層する反射防止処理が知られている。しかし、この反射防止処理を施したものは反射光の色見が青紫色に着色することがある。また気相法での作製は、真空装置等大きな設備を必要とする為、生産性が低く、大画面の表示画面を大量に生産するのには適していない。また凹凸形状を形成することによる防眩処理が知られているが、後方への光散乱が発生し、この散乱がコントラストを低くする。
特開平8-327822号公報 特開平9-197397号公報
これまでに提案されてきたOCBモード液晶表示装置は、外光が遮断された暗い部屋でのコントラスト、視野角などの改善が進んでいる。しかしながら、強い外光に照らされた環境下での、コントラスト比が充分でなく、視認性が低かった。さらに、液晶表示装置では、このような特性を備えた上で、表面の耐擦傷性および防汚性の更なる向上が求められている。そこで、本発明の目的は、強い外光下においても、高いコントラストで視認でき、視野角が広く、かつ耐擦傷性および防汚性に優れるOCBモードの液晶表示装置を提供することにある。
本発明者は、OCBモードの液晶セルと、この液晶セルを挟む一対の、出射側偏光板および入射側偏光板と、これらの偏光板のいずれか一方または両方と前記液晶セルとの間に設けられた少なくとも1枚の光学補償板と、前記出射側偏光板の前記液晶セル側とは反対側に設けられた、屈折率が1.40以下の低屈折率層を有する反射防止体とを含んでなり、前記光学補償板は、面内レターデーションReを有し、厚み方向の平均屈折率が面内の平均屈折率よりも小さく、厚み方向で屈折率が変化するものであり、前記低屈折率層は、所定の化合物と、中空微粒子とを含んでなる低屈折率層形成用組成物から形成される硬化膜であることを特徴とするOCB型の液晶表示装置が、前記課題を解決できることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の液晶表示装置は、OCBモードの液晶セルと、この液晶セルを挟む一対の、出射側偏光板および入射側偏光板と、これらの偏光板のいずれか一方または両方と前記液晶セルとの間に設けられた少なくとも1枚の光学補償板と、前記出射側偏光板の前記液晶セル側とは反対側に設けられた、屈折率が1.40以下の低屈折率層を有する反射防止体とを含んでなり、前記光学補償板は、面内レターデーションReを有し、厚み方向の平均屈折率が面内の平均屈折率よりも小さく、厚み方向で屈折率が変化するものであり、前記低屈折率層は、下記成分(A)、(B)、および(C)を含んでなる低屈折率層形成用組成物から形成される硬化膜からなる低屈折率層を備えることを特徴とするOCB型の液晶表示装置。
(A)粒径が5〜2000nmの中空粒子。
(B)(メタ)アクリロイル基およびフルオロアルキル基を有するシロキサンオリゴマー。
(C)(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物。
本発明の液晶表示装置は、偏光板とOCBモードの液晶セルとの間に少なくとも1枚の光学補償板が設けられ、この光学補償板が、面内レターデーションを有することによって、黒表示時における液晶セルの持つ面内のレターデーションを相殺し、色補償をすることができる。そして、光学補償板の厚み方向の屈折率が面内の屈折率よりも小さくなっており且つ厚み方向で屈折率が連続的に変化することによって、液晶セルの持つ異方性を相殺し、斜め方向から見たときの補償をすることができる。このため、強い外光下においても、高いコントラストで広い視野角で視認できる。また、本発明の液晶表示装置は、出射側偏光板における液晶セルとは反対側に低屈折率層が設けられ、この低屈折率層は、前記成分(A)、(B)、および(C)を用いた硬化膜からなるものとしたことにより、表示面の耐擦傷性および防汚性にも優れるため、本発明液晶表示装置は、モバイル用・車載用などの粉塵が多く舞い、強い外光下でも使用される液晶表示装置に好適である。
本発明の液晶表示装置は、OCBモードの液晶セルと、この液晶セルを挟む一対の、出射側偏光板および入射側偏光板と、これらの偏光板のいずれか一方または両方と前記液晶セルとの間に設けられた少なくとも1枚の光学補償板と、前記出射側偏光板の前記液晶セル側とは反対側に設けられた、屈折率が1.40以下の低屈折率層を有する反射防止体とを含んでなり、前記光学補償板は、面内レターデーションReを有し、厚み方向の平均屈折率が面内の平均屈折率よりも小さく、厚み方向で屈折率が変化するものであり、前記低屈折率層は、下記成分(A)、(B)、および(C)を含んでなる低屈折率層形成用組成物から形成される硬化膜からなる低屈折率層を備えることを特徴とするOCB型の液晶表示装置。
(A)粒径が5〜2000nmの中空粒子
(B)(メタ)アクリロイル基およびフルオロアルキル基を有するシロキサンオリゴマー
(C)(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物
<OCBモードの液晶セル>
OCBモードの液晶セルは、一般に、表面に配向膜が形成された透明電極を有する一対の基板と、これらの基板間に封入されたネマチック液晶の層とを含んで構成されている。OCBモードの液晶セルでは、一般に、電圧が付与された液晶セル内でベンド配向する液晶が使用される。このような液晶セルでは、液晶セルに付与される電圧の変化により、ネマチック液晶のダイレクターの基板に対する角度が変化する。通常、液晶セルに付与される電圧の増加により、ネマチック液晶のダイレクターの基板に対する角度が増加し、複屈折が低下する。この複屈折の変化により画像が与えられる。本発明において、液晶のベンド配向とは、液晶層の液晶分子のダイレクターが液晶層の中心線に関して対称(線対称)であり、且つ少なくとも基板付近の領域でベンド部分を持つことを意味する。ベンド部分とは、基板付近の領域のディレクタにより形成される線が曲がっている部分を言う。
すなわち、液晶のベンド配向とは、一般に、液晶セルに電圧印加した際に、セル内の液晶分子のダイレクターは、下側の基板付近では、下側の基板に対してほぼ平行であり、基板からの距離の増加と共に、ダイレクターと基板表面との角度が増大し、さらにダイレクターは、上側基板と下側基板の距離が等しい領域(中心線領域)では、基板表面と垂直又はほぼ垂直となり、それからダイレクターは、下側基板からの距離の増加と共に、ダイレクターと基板表面との角度がさらに増大し、最終的にはダイレクターは上側基板付近では上側基板とほぼ平行になるように、液晶分子が配向することを意味する。中心線付近では、ダイレクターはねじれ配向していても良い。さらに、上下基板に近い領域あるいは接触領域のダイレクターは、基板表面から傾いていても良い(すなわち、チルト角を有しても良い)。
<偏光板>
本発明に用いる偏光板は、偏光子と、それを挟んで積層した保護フィルムとを含んでなるものである。この偏光板は、OCBモードの液晶セルを挟むように一対のものが配置される。これらの一対の偏光板は、通常、互いの透過軸が略垂直となるように配置される。
なお、本発明においては、液晶表示装置の視認側に配置される偏光板を出射側偏光板と呼び、視認側からみて液晶セルの奥側に配置される偏光板を入射側偏光板と呼ぶ。
偏光子は、偏光機能を有するものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系やポリエン系の偏光子を用いることができる。
PVA系の偏光子を製造する方法としては、PVA系フィルムにヨウ素イオンを吸着させた後に一軸に延伸する方法や、PVA系フィルムを一軸に延伸した後にヨウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムへのヨウ素イオン吸着と一軸延伸とを同時に行う方法、PVA系フィルムを二色性染料で染色した後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に二色性染料で吸着する方法、PVA系フィルムへの二色性染料での染色と一軸延伸とを同時に行う方法等が挙げられる。
また、ポリエン系の偏光板を製造する方法としては、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に脱水触媒存在下で加熱・脱水する方法、ポリ塩化ビニル系フィルムを一軸に延伸した後に脱塩酸触媒存在下で加熱・脱水する方法等が挙げられる。
保護フィルムは、例えばトリアセチルセルロース等のセルロース系重合体樹脂や、脂環式構造を有する重合体樹脂等を挙げることができ、透明性、複屈折性、寸法安定性等に優れる点から脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましい。保護フィルムは、溶液流延法、溶融押出法、好ましくは、溶融押出法によってフィルム状に成形し必要に応じて延伸配向して得ることができる。なお、出射側偏光板の液晶セルから遠い方側に位置する保護フィルムを、後記の反射防止層を形成するための基材にすることで、液晶表示装置を薄くできる。また、出射側偏光板及び入射側偏光板の液晶セルに近い方側に位置する保護フィルムを、後記の光学補償板を形成するための基材にすることで、液晶表示装置を薄くできる。保護フィルムと偏光子との積層はプライマー層などを介して貼り合わせることによって行うことできる。
<光学補償板>
本発明に用いる光学補償板は、面内レターデーションReを有し、厚み方向の平均屈折率が面内の平均屈折率よりも小さく、厚み方向で屈折率が変化するものである。前記偏光板と液晶セルとの間には、当該光学補償板が少なくとも1枚設けられる。光学補償板の配置の仕方は、特に限定されず、低屈折率層/出射側偏光板/光学補償板/液晶セル/入射側偏光板、低屈折率層/出射側偏光板/液晶セル/光学補償板/入射側偏光板、低屈折率層/出射側偏光板/光学補償板/液晶セル/光学補償板/入射側偏光板などの態様を適用できる。
光学補償板の面内レターデーションReは、通常200nm以下が好ましく、より好ましくは100nm以下である。面内レターデーションReがこの範囲であることにより、正面から見たときの色補償がなされ、彩色の整った画面を表示できる。
光学補償板は、厚み方向の平均屈折率が面内の平均屈折率よりも小さくなっている。具体的には(n+n)/2>nの関係を満たしている(但し、nx 及びny は光学補償板面内の主屈折率を表わし、nz は厚み方向の主屈折率を表わす。)。面内屈折率(n+n)/2と厚み方向屈折率nとの差は、好ましくは20d〜400d(dは光学補償板の厚さ(nm)である。)である。
さらに、光学補償板全体で一の厚み方向平均屈折率nを有しているが、光学補償板を厚み方向で細かく観察した場合、厚み方向の屈折率n(Z)は厚み方向で分布を有している。厚み方向屈折率n(Z)の分布は、厚み方向で連続的に変化する、具体的には漸減または漸増することが好ましい。
面内レターデーションReを有し、厚み方向の平均屈折率nが面内の平均屈折率(n+n)/2よりも小さく、厚み方向の屈折率n(Z)が変化するような光学補償板は、ディスコティック液晶の配向形態を固定した液晶性光学フィルムによって得ることができる。この液晶性光学フィルムは、基材の上にディスコティック液晶を塗布し、配向させ固定することによって容易に得ることができる。なお、基材の上にディスコティック液晶を塗布し、配向させ固定することによって得る場合、前記レターデーションや屈折率は、基材部分を除いた液晶層部分での値である。基材は、後述する低屈折率層を有する反射防止体を形成するときに使用する透明樹脂基材と同様のものが用いられる。また、基材には、一軸性光学異方体や二軸性光学異方体からなるものが用いられてもよい。
一般に、ディスコティック液晶は、平面性の高い円盤状の形をしたメソゲンを有する分子により発現される液晶である。ディスコティック液晶の特徴は、液晶層中の極微小領域における屈折率が負の一軸性を有することである。ある平面内での屈折率(n)が等しく、その平面に垂直な方向が光軸(以下、ダイレクターと言う)であり、該ダイレクター方向の屈折率をnとしたとき、n>nとなっている。こういった微小領域におけるダイレクターが液晶層中でどのように配列するかで、得られる構造体の屈折率特性、ひいては光学特性が決定される。通常、液晶層全体にわたってダイレクターが同一方向を向いている場合、負の一軸性の構造物となる。ダイレクターが基材の法線にある場合ホメオトロピック配向と呼ばれ、また、ダイレクターが基板法線から一定角度傾いている場合チルト配向と呼ばれる。
本発明に用いる光学補償板は、ディスコティック液晶のダイレクターが厚み方向で徐々に変化したハイブリッド配向を形成することによって得ることができる。ハイブリッド配向の膜厚方向における好ましい角度範囲は、ダイレクターと光学補償板面とのなす最小の角度(0度以上90度以下の範囲となる角度)が、光学補償板の上面または下面の一方においては、通常60度以上90度以下の角度をなし、当該面の反対面においては、通常0度以上50度以下である。より好ましくは一方の角度の絶対値が80度以上90度以下、他方の角度の絶対値が0度以上40度以下である。
本発明の液晶表示装置には、前記光学補償板以外に、二軸性又は一軸性光学異方体からなるフィルム、シート又は板を偏光板と液晶セルとの間にさらに配置できる。
<反射防止体>
本発明に用いる反射防止体は、屈折率1.40以下の低屈折率層を有している。ここで、反射防止体には、低屈折率層以外に、低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層を含んでいてもよい。すなわち、反射防止体は、例えば、出射側偏光板に対して、直接または高屈折率層を介して、低屈折率層を積層させることによって得ることができる。
〔高屈折率層〕
高屈折率層は、必要に応じて、出射側偏光子と低屈折率層との間に設けられる層である。高屈折率層は、表面硬度の高い層であり、具体的には、JIS K5600-5-4に規定された鉛筆硬度試験で「HB」以上の硬度を持つ層である。高屈折率層の平均厚みは、特に限定されないが、通常0.5〜30μm、好ましくは3〜15μmである。高屈折率層を形成する高屈折率層形成用組成物の主材料は、例えば、シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機材料;二酸化ケイ素などの無機材料;などを挙げることができる。これらの中で、ウレタンアクリレート系と多官能アクリレート系の材料は、接着力が大きく、生産性に優れるので、好適に用いることができる。
高屈折率層は、その屈折率が1.55以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましい。高屈折率層の屈折率が1.55以上であると、外光の映りこみ等が防止され、耐擦傷性や防汚性に優れた液晶表示装置とすることができる。なお、屈折率は、公知の分光エリプソメーター等を用いて求めることができる。
高屈折率層を形成する高屈折率層形成用組成物は、無機酸化物粒子をさらに含んでいてもよい。無機酸化物粒子が添加されることにより、表面の耐擦傷性に優れ、屈折率が1.55以上の高屈折率層を簡単に形成できる。高屈折率層中の無機酸化物粒子としては、屈折率が高いものが好ましく、具体的には、屈折率が1.6以上、特に1.6〜2.3のものが好適である。このような無機酸化物粒子としては、例えば、チタニア(酸化チタン)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、五酸化アンチモン、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、リンをドープした酸化スズ(PTO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、等を挙げることができる。これらの中でも、五酸化アンチモンは、屈折率が高く、導電性と透明性のバランスに優れるため、屈折率を調節するための成分として好適である。
高屈折率層は、基材となる出射側偏光子に、前記材料を塗布、乾燥し、硬化させることによって得ることができる。前記材料を塗布する前に、基材の表面にプラズマ処理、プライマー処理などを施し、高屈折率層の剥離強度を高めてもよい。硬化方法としては熱硬化法と、紫外線硬化法とを利用できる。また、基材用の樹脂と、高屈折率層用の材料とを、共押出成形して、基材用樹脂と前記材料とが積層された共押出フィルムを形成してもよい。高屈折率層の表面には、防眩性機能が設けられていることが好ましく、例えば、当該表面に凸形状を形成することにより当該機能を実現できる。
〔低屈折率層〕
低屈折率層は、出射側偏光子の視認側、または、高屈折率層が設けられた場合には、この高屈折率層の視認側に設けられる層である。低屈折率層は、その屈折率が1.40以下の層である。特に、隣接する出射側偏光子または高屈折率層との屈折率差が0.05〜0.4であることが好ましい。このような低屈折率層を設けることにより、視認性と耐擦傷性、強度のバランスに優れ、反射防止性能と耐擦傷性のバランスに優れた液晶表示装置を得ることができる。低屈折率層の厚みは、10〜1000nmであることが好ましく、30〜500nmであることがより好ましい。
このような低屈折率層は、粒径が5〜2000nmの中空粒子(A)と、(メタ)アクリロイル基およびフルオロアルキル基を有するシロキサンオリゴマー(B)と、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物(C)とを含んでなる低屈折率層形成用組成物から形成される硬化膜からなる。
〔中空粒子(A)〕
本発明に用いる中空粒子は、中空部分が存在する粒子である。本発明の低屈折率層を形成する低屈折率層形成用組成物に含まれる中空粒子(A)は、その粒径が5〜2000nmの範囲であり、好ましくは20〜100nmの範囲である。中空粒子(A)の粒径が5nmより小さい場合には、低屈折率層の屈折率が十分に小さくならない。また、中空粒子(A)の粒径が2000nmを超える場合には、透明性が極端に悪くなり、拡散反射による寄与が大きくなるおそれがある。なお、中空粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径である。
中空粒子は、例えば、特開2001-233611号公報に記載された方法に基づいて製造することができる。また、市販の中空粒子を含んでいてもよい。中空粒子の配合量は、特に限定されないが、化合物(A)〜(C)を用いてなる低屈折率層形成用組成物の全体に対して10〜30重量%であることが好ましい。この範囲であれば、低屈折率性と耐擦傷性とをともに奏することができる。
なお、中空粒子の中空部分には、中空粒子を調製するときに使用した溶媒や乾燥時に浸入する気体が存在してもよい。また、中空粒子の中空部分を形成するための、後述する前駆体物質がその中空部分に残存していてもよい。前駆体物質は、外殻によって包囲された核粒子から核粒子の構成成分の一部を除去した後に残存する多孔質物質である。核粒子には、種類の異なる無機酸化物からなる多孔質の複合酸化物粒子を用いる。前駆体物質は、外殻に付着してわずかに残存していることもあるし、空洞内の大部分を占めることもある。
また、この多孔質物質の細孔内にも上記溶媒あるいは気体が存在してもよい。このときの核粒子の構成成分の除去量が多くなると中空部分の容積が増大し、屈折率の低い中空粒子が得られ、この中空粒子を配合して得られる透明被膜は低屈折率で反射防止性能に優れる。
中空粒子(A)は、無機中空粒子が好ましく、特にシリカ系中空粒子が好ましい。無機中空粒子を構成する無機化合物としては、SiO、Al、B、TiO、ZrO、SnO、Ce、P、Sb、MoO、ZnO、WO、TiO−Al、TiO−ZrO、In−SnO、Sb−SnOなどを例示できる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
中空粒子(A)の外殻は、細孔を有する多孔質なものであってもよく、あるいは細孔の外側が閉塞されて空洞が密封されているものであってもよい。外殻は、内側層と外側層などからなる多層構造であることが好ましい。外殻は、内側の第1無機酸化物皮膜層および外側の第2無機酸化物皮膜層からなる複数の無機酸化物皮膜層であることが好ましい。外側に第2無機酸化物皮膜層を設けることにより、外殻の細孔を閉塞させて外殻を緻密化できるとともに、内部の空洞を密封した中空粒子を得ることができる。中空粒子(A)の外殻の厚みは、通常1〜50nm、好ましくは5〜20nmである。また、中空粒子(A)の外殻の厚みは、中空粒子の平均粒子径の1/50〜1/5の範囲にあることが好ましい。
上述のように第1無機酸化物被覆層および第2無機酸化物被覆層を外殻として設ける場合、これらの層の厚みの合計が、上記1〜50nmの範囲となることが好ましく、特に、緻密化された外殻において、第2無機酸化物被覆層の厚みは20〜40nmの範囲が好適である。
また、中空粒子は、シロキサンオリゴマー(B)やアクリレート化合物(C)との結合性を高めるために、中空粒子と界面活性化剤またはカップリング剤とを反応させる方法などによって、中空粒子の表面に水酸基等の親水基やアクリロイル基を導入してもよい。界面活性化剤またはカップリング剤としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランなどの含フッ素有機珪素化合物などが挙げられる。
〔シロキサンオリゴマー(B)〕
本発明の低屈折率層の形成に用いられるシロキサンオリゴマー(B)は、(メタ)アクリロイル基およびフルオロアルキル基を有するものである。シロキサンオリゴマー(B)は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(b−1)と、フルオロアルキル基を有するフッ素化合物(b−2)と、一般式XjSiY4−j(式中、Xは置換基を有していてもよい一価の炭化水素基を表し、jは0〜2の整数を表し、jが2の時、Xは同一であっても、相異なっていてもよい。Yは加水分解性基を表し、Yは同一であっても相異なっていてもよい)で表される加水分解性基を有するシラン化合物(b−3)との縮合物であることが好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルとメタクロイルを意味する。
(b−1)(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(メタ)アクリロイル基を有する化合物(b−1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロイル基を有するオルガノシラン類が挙げられる。前記(メタ)アクリロイル基を有するオルガノシラン類としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−アクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシメチルメチルジエトキシシランなどが例示されるが、これらの中で取扱い性、架橋密度、反応性などの点で、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
(b−2)フルオロアルキル基を有するフッ素化合物
前記フルオロアルキル基を有するフッ素化合物(b−2)としては、フルオロアルキル基を有するシラン化合物の縮合物や、フルオロアルキル基を有する単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有するシラン化合物の縮合物としては、ゾル−ゲル反応により容易にシロキサンオリゴマーを形成できる観点から、パーフルオロアルキルアルコキシシランを用いることが好ましい。
前記パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、たとえば、一般式(2):CF3(CF2nCH2CH2Si(OR’)3(式中、R’は、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数を示す)で表される化合物を挙げることができる。具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどを挙げることができる。これらの中でも、前記nが2〜6の化合物が好ましい。これらの化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記フルオロアルキル基を有する単量体としては、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、3,3,3−トリフロロプロピレン等のフロロオレフィン類;パーフロロ(メチルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエーテル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パーフロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフロロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;その他を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記フルオロアルキル基を有する単量体と共重合可能な単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン化合物、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸化合物、および、これらの誘導体を挙げることができる。
(b−3)一般式XSiY4−jで表される加水分解性基を有するシラン化合物
一般式XSiY4−jで表される加水分解性基を有するシラン化合物において、前記Xは置換基を有していてもよい一価の炭化水素基を表している。置換基を有してもよい一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、4-メチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の置換基を有してもよいアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;ベンジル基、フェネチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;クロロメチル基、γ-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロアルキル基;γ-メタクリロキシプロピル基等のアルケニルカルボニルオキシアルキル基;γ-グリシドキシプロピル基、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシ基を有するアルキル基;γ-メルカプトプロピル基等のメルカプト基を有するアルキル基;3-アミノプロピル基等のアミノ基を有するアルキル基;トリフルオロメチル基等のパーフルオロアルキル基等を挙げることができる。この中でも、合成の容易性、入手可能性等から、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、パーフルオロアルキル基が好ましい。
前記Yは、加水分解性基を示す。加水分解性基は、所望により酸または塩基触媒の存在下に加水分解して、−(O−Si)−O−結合を生じさせる基である。加水分解性基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基;オキシム基(−O−N=C−R(R))、エノキシ基(−O−C(R)=C(R)R)、アミノ基、アミノキシ基(−O−N(R)R)、アミド基(−N(R)−C(=O)−R)等を挙げることができる。これらの基において、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子または一価の炭化水素基を表す。これらの中でも、Yとしては、入手容易性等からアルコキシル基が好ましい。
一般式XSiY4−jで表されるシラン化合物(b−3)としては、前記jが0〜2の整数である珪素化合物が好ましい。その具体例としては、アルコキシシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、アミドシラン類等を挙げることができる。これらの中でも、入手容易性等からアルコキシシラン類がより好ましい。
前記jが0であるテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を例示でき、前記jが1であるオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等を例示できる。前記jが2であるジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等を例示できる。
シロキサンオリゴマー(B)の配合量は、特に限定されないが、低屈折率層形成用組成物の全体に対して、3〜90重量%であることが好ましく、5〜80重量%であることがより好ましく、10〜60重量%であることがさらに好ましい。3重量%より少ない場合には、低屈折率層の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られないおそれがある。また、90重量%を超える場合には、低屈折率層の耐擦傷性が得られないおそれがある。
シロキサンオリゴマー(B)の分子量については特に制限はないが、溶媒としてシクロヘキサンを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリスチレン換算による数平均分子量が5000以上であるのが好ましい。
シロキサンオリゴマー(B)を得る方法としては、前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物(b−1)と、前記フルオロアルキル基を有するフッ素化合物(b−2)と、前記シラン化合物(b−3)とを縮合することにより得ることができる。この縮合において、各反応成分の比率は特に制限されないが、前記化合物(b−1)/前記化合物(b−2)/前記化合物(b−3)のモル比で、5〜70/30〜70/1〜50モル%となるように配合することが好ましい。さらに、縮合において、各化合物をアルコール溶媒(たとえば、メタノール、エタノール等)中で有機酸(たとえばシュウ酸等)やエステル類の存在下で加熱してもよい。
〔アクリレート化合物(C)〕
本発明の低屈折率層に含まれるアクリレート化合物(C)は、(メタ)アクリロイル基を有している。アクリレート化合物(C)は、反射防止体の硬度を効果的に高くできる観点から、フッ素原子を含有せず、かつ、(メタ)アクリロイル基を2個以上有することが好ましい。このような化合物としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、アクリレート化合物(C)は、低屈折率層の屈折率を効果的に低くできる観点から、フッ素原子を含有してもよい。フッ素原子を含有するアクリレート化合物としては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール−ジエポキシ(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリレート化合物(C)の配合量は、特に限定されないが、低屈折率層形成用組成物の全体に対して、5〜90重量%であることが好ましく、10〜80重量%であることがより好ましく、15〜60重量%であることがさらに好ましい。上記範囲の場合には、低屈折率層の耐擦傷性が良好であり、低屈折率層の屈折率が適切な範囲となり、十分な反射防止効果を得ることができる。
本発明の低屈折率層は、前記中空粒子(A)と、前記シロキサンオリゴマ―(B)と、前記アクリレート化合物(C)とを含有する低屈折率層形成用組成物を、出射側偏光子や高屈折率層等の他の層上に膜状に塗工した後、乾燥させ、電離放射線、および/または加熱により硬化させて得ることができる。
前記低屈折率層形成用組成物は、有機溶剤を加えた塗工液として用いることが好ましく、そのような塗工液は、中空粒子(A)、シロキサンオリゴマー(B)、及び、アクリレート化合物(C)を分解させることのない有機溶剤に、前記(A)、(B)、及び(C)を混合して調製できる。そのような有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;或いはこれらの混合物を挙げることができる。有機溶剤と、前記(A)、(B)、及び(C)との混合割合は、特に限定されないが、塗工液において、前記(A)、(B)、及び(C)を合計した際の濃度が0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%となるようにすることが好ましい。
前記塗工液には、塗工液中で、前記(B)及び(C)を重合させるための重合開始剤(光ラジカル開始剤や熱ラジカル開始剤)、硬化剤、架橋剤、紫外線遮断剤、紫外線吸収剤、表面調整剤(レベリング剤)、あるいは、その他の成分を含有させても良い。
前記塗工液の塗工方法は特に限定されない。また、硬化方法には、加熱や活性光線照射が挙げられる。乾燥条件、硬化条件は、使用する溶媒の沸点、飽和蒸気圧等の種類により適宜決定できる。特に、塗工される他の層が着色したり、分解したりするのを抑えるために、加熱する場合には、50〜150℃の範囲内の温度で1〜180分加熱するのが好ましく、75〜105℃の範囲内の温度で5〜60分加熱するのが更に好ましい。また、活性光線を照射する場合には、紫外線等を用いることができる。この際、照射エネルギーが、50〜500mJ/cmであることが好ましく、100〜450mJ/cmであることがより好ましく、200〜400mJ/cmであることがさらに好ましい。
本発明の低屈折率層形成用組成物は架橋性化合物をさらに含有していてもよい。架橋性化合物としては、たとえば、メラミン樹脂、グリコール類、アクリル系樹脂、アジド類、イソシアネート類などを挙げることができる。その中でも、低屈折率層を構成する化合物の保存安定性の観点から、メチロール化メラミン、アルコキシメチル化メラミンまたはこれらの誘導体などのメラミン樹脂が好ましい。架橋性化合物の使用割合は、前記(A)、(B)および(C)を合計したものの100重量部に対して、70重量部以下とすることが好ましく、より好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは5〜30重量部である。
また、本発明の反射防止体には、前記低屈折率層の防汚性を高めるために、前記低屈折率層の上(視認側)にさらに防汚層が設けられていてもよい。防汚層の形成材料としては、通常、疎水基を有する化合物を好ましく使用でき、具体的には、パーフルオロアルキルシラン化合物、パーフルオロポリエーテルシラン化合物、フッ素含有シリコーン化合物を使用できる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;CVD等の化学的気相成長法;湿式コーティング法;等を用いることができる。防汚層の厚みは特に制限はないが、通常20nm以下が好ましく、1〜10nmであるのがより好ましい。
本発明の反射防止体は、視認側からの、入射角5度、波長430nm〜700nmの光での反射率の最大値が、好ましくは2.0%以下である。入射角5度の波長550nmでの反射率が、好ましくは1.0%以下である。又、入射角20度の波長430nm〜700nmでの反射率の最大値が、好ましくは2.0%以下である。入射角20度の波長550nmでの反射率が、好ましくは1.0%以下である。各反射率が上記の範囲にあることにより、外部光の映りこみ及びギラツキがなく、視認性に優れた液晶表示装置とすることができる。反射率は、例えば、分光光度計(紫外可視近赤外分光光度計V-550、日本分光社製)を用いて測定できる。
また、反射防止体は、スチールウール試験前後の反射率の変動が、通常20%以下、好ましくは10%以下である。反射率の変動が20%を超えると、画面のぼやけ、ギラツキが発生することがある。ここでのスチールウール試験は、スチールウール#0000に荷重0.025MPaをかけた状態で、低屈折率層の表面を10回往復させて擦る試験のことである。また、反射率は、面内の任意の場所5箇所で5回測定し、それら測定値の算術平均値から算出する。スチールウール試験前後の反射率の変動は下記式で求めた。Rbはスチールウール試験前の反射率、Raはスチールウール試験後の反射率を表す。
ΔR=(Rb-Ra)/Rb×100(%) (i)
同様にスチールウール試験前後の全光線透過率の変動が、通常10%以内であり、好ましくは8%以内、より好ましくは6%以内である。全光線透過率は、面内の任意の場所5箇所で5回測定し、それら測定値の算術平均値から算出する。スチールウール試験前後の全光線透過率の変動は下記式で求めた。Rcはスチールウール試験前の全光線透過率、Rdはスチールウール試験後の全光線透過率を表す。
ΔR=(Rc-Rd)/Rc×100 (%) (ii)
本発明の液晶表示装置においては、前記の出射側偏光子、入射側偏光子、光学異方体、液晶セル、及び反射防止体の他に、他のフィルムまたは層を設けてもよく、例えば、プリズムアレイシート、レンズアレイシート、光拡散板、導光板、拡散シート、輝度向上フィルムなどを適宜な位置に、1層又は2層以上配置することができる。本発明の液晶表示装置においては、バックライトとして、冷陰極管、水銀平面ランプ、発光ダイオード、エレクトロルミネッセンスなどを用いることができる。
以下、実施例および比較例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例には限定されない。なお、部および%は、特に断りのない限り重量基準である。実施例および比較例において行った測定や評価は、下記の通りである。
(1)厚さ
対象となる光学積層体をエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム(大和工業(株)、RUB-2100)を用いて0.05μm厚にスライスし、透過型電子顕微鏡を用いて断面を観察し、測定した。積層体については、各層ごとに測定した。
(2)屈折率
自動複屈折計(王子計測器(株)、KOBRA-21)を用いて、温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、波長550nmで光学異方体の面内遅相軸の方向を求め、面内遅相軸方向の屈折率nx、面内で遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、厚さ方向の屈折率nzを測定した。
(3)レターデーション
高速分光エリプソメーター(J.A.Woollam社、M-2000U)を用いて、温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で波長550nmの光で測定した。
(4)コントラスト比及び視野角特性
液晶セルに55Hzの矩形波電圧(白表示2V、黒表示6V)を印加し、500ルクスの環境下で測定した白表示時の光線透過率と黒表示時の光線透過率との比(白/黒)をコントラスト比とした。そして、測定器(ELDIM社、EZ-Contrast1 60D)を用いてコントラスト比が10となる視野角を画面の上下左右で求めた。
(5)反射率
分光光度計(日本分光(株)、紫外可視近赤外分光光度計V-570)を用い、入射角5度で反射スペクトルを測定し、波長550nmにおける反射率及び430〜700nmにおける反射率の最大値を求めた。
(6)低屈折率層及び高屈折率層の屈折率
高速分光エリプソメーター(J.A.Woollam社、M-2000U)を用い、温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、入射角度をそれぞれ55、60、65度で測定した場合の、波長領域400〜1,000nmのスペクトルを用いてフィッティングにより算出した。
(7)耐擦傷性
荷重0.025MPaをかけた状態のスチールウール#0000で低屈折率層の表面(最表面)を10往復させ、その後の表面状態を目視で観察した。
○:傷が認められない。
×:傷が認められる。
(8)視認性
液晶表示装置を明るさ500ルクスの環境下に置き、画像を表示して前正面より目視で観察し、以下の通り評価した。なお、グレアとは、視野内で過度に輝度が高い点や面が見えることによって生ずる不快感や、見にくさのことをいう。
○:グレア、映り込み、画像のぼやけがない。
△:グレア、映り込み又は画像のぼやけが少しあり、気になる。
×:グレア、映り込み又は画像のぼやけが際立ってある。
(9)広帯域性
液晶表示装置を明るさ500ルクスの環境下に設置し、黒表示時における反射色を目視により観察した。これにより反射防止効果の広帯域性を評価した。
○:反射色が黒
×:反射色が青
(10)防汚性
低屈折率層表面にマジックインク(商品名:マッキー、ZEBRA社製)で適量のインクを付着させてから、セルロール製不織布(商品名:ベンコットM−3、旭化成社製)で当該インクを拭き取ったときの状態を目視判定した。
○:完全に拭き取ることが出来た
×:拭き取り跡が残った
製造例1(基材フィルム1Aの作製)
ノルボルネン系重合体(日本ゼオン(株)、ZEONOR 1420R、ガラス転移温度136℃、飽和吸水率0.01重量%未満)のペレットを、熱風乾燥器を用いて110℃で4時間乾燥した。リーフディスク形状のポリマーフィルター(ろ過精度30μm)が設置され、ダイリップの先端部がクロムめっきされた算術平均粗さRa0.04μm、リップ幅650mmのコートハンガータイプのTダイを備えた単軸押出機を用いて、前記ペレットを260℃で溶融押出して、膜厚100μm、幅600mmの長尺フィルム状基材フィルム1Aを得た。得られた基材1Aの飽和吸水率は0.01重量%未満であった。また、面内のレターデーションReは、2nmであった。
製造例2(高屈折率層形成用組成物H1の調製)
六官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)、NKオリゴU-6HA)30重量部、ブチルアクリレート40重量部、イソボロニルメタクリレート(新中村化学工業(株)、NKエステルIB)30重量部、スチレンビーズ(粒径3.5μm)5重量部、及び2,2-ジフェニルエタン-1-オン10重量部をホモジナイザーを用いて混合し、五酸化アンチモン微粒子(平均粒子径20nm、水酸基がパイロクロア構造の表面に現われているアンチモン原子に1つの割合で結合している。)の40重量%メチルイソブチルケトン溶液を、五酸化アンチモン微粒子の重量が高屈折率層形成用組成物全固形分の50重量%を占める割合で混合して、高屈折率層形成用組成物H1を調製した。
製造例3(低屈折率層形成用組成物L1の調製)
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコにエタノール200部を投入し、撹拌下にこのエタノールにシュウ酸120部を少量づつ添加することにより、シュウ酸のエタノール溶液を調製した。次いで、この溶液をその還流温度まで加熱し、還流下のこの溶液中に前記化合物(b−2)としてのヘプタデカフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン50部、前記化合物(b−1)としての3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン50部、前記化合物(b−3)としてのテトラメトキシシラン10部の混合物を滴下した。滴下終了後も、還流下で加熱を5時間続けた後冷却した。
次に、アクリレート化合物(C)としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート20部と、重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン5部、さらに、中空粒子として中空シリカイソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業社製、固形分20重量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm)を、中空粒子の割合が固形分基準で70重量%になるように添加し、メタノールにて固形分が1重量%になるように希釈することにより低屈折率層形成用組成物L1を調製した。
製造例4(低屈折率層形成用組成物L2の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの代わりに含フッ素アクリレート化合物である3−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート20部を用いた以外は製造例3と同様にして低屈折率層形成用組成物L2を調製した。
製造例5(低屈折率層形成用組成物L3の調製)
ヘプタデカフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン50部の代わりに、フルオロアルキル基を有しないシロキサンオリゴマーとしてのテトラメトキシシラン60部を用いた以外は製造例3と同様にして低屈折率層形成用組成物L3を調製した。
製造例6(低屈折率層形成用組成物L4の調製)
テトラメトキシシラン152部にメタノール412部を加え、さらに水18部及び0.01Nの塩酸18部を混合し、これを、ディスパーを用いてよく混合した。この混合液を25℃恒温槽中で2時間攪拌して、重量平均分子量を850に調整することにより、シリコーンレジンを得た。次に、このシリコーンレジン溶液に、非中空粒子であるシリカメタノールゾル(日産化学工業社製、PMA-ST、平均粒子径10〜20nm)/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準で重量比が80/20となるように添加し、さらに全固形分が3%になるようにメタノールで希釈し、低屈折率層形成用組成物L4を調製した。
製造例7(偏光子Gの作製)
厚さ75μmのPVAフィルム((株)クラレ、ビニロン#7500)をチャックに装着し、ヨウ素0.2g/Lとヨウ化カリウム60g/Lを含む水溶液中に30℃にて240秒間浸漬した。次いで、ホウ酸70g/Lとヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液中で6.0倍に一軸延伸し、5分間ホウ酸処理を行った。最後に室温で24時間乾燥することにより、平均厚さ30μm、偏光度99.5%の偏光子Gを得た。
製造例8(偏光子Pの作製)
トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ(株)、KC8UX2M)の一方の面に、水酸化カリウムの1.5モル/Lイソプロピルアルコール溶液を25mL/m2塗布し、25℃で5秒間乾燥した。流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることによりフィルムの表面を乾燥した。このようにして、トリアセチルセルロースフィルムの一方の表面のみをケン化した。ケン化処理した面に製造例7で得られた偏光子Gを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いてロールトゥーロール法により貼り合わせて、偏光子Pを得た。
製造例9(光学補償板の作製)
厚さ0.1μmのゼラチン薄膜を塗設した厚さ100μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム(株)、正面レターデーション5nm、厚さ方向レターデーション40nm)上に、ポリビニルアルコール3重量%水溶液を#16ワイヤバーコーターを用いて塗布し、80℃の温風で乾燥させ、次いでラビング処理して配向膜を得た。液晶性ディスコティック化合物1.8重量部、エチレングリコール変性トリメチロールプロパンアクリレート0.2重量部、セルロースアセテートブチレート0.04重量部、光重合開始剤(チバ・ガイギー社、イルガキュア-907)0.06重量部及び増感剤(日本化薬(株)、カヤキュアーDETX)0.02重量部を、メチルエチルケトン3.43重量部に溶解して塗布液を得た。この塗布液を、前記配向膜に#3ワイヤーバーを用いて塗布し、塗膜を120℃の恒温槽中に3分間浸けて、ディスクコティック化合物を配向させた。塗膜を、120℃で高温水銀灯(120W/cm)を用いて紫外線を1分間照射した。室温まで冷却し、厚さ1μmのディスコティック化合物を含む層を有する光学補償板を得た。得られた光学補償板において、エリプソメーターによりレターデーションの測定角依存性を調べて、フィッティングにより液晶分子の支持体面からの傾斜角を調べたところ、傾斜角は配向膜から空気界面の光学補償層の膜厚方向に向かって、6°から68°に変化していた。また、液晶層の厚さ方向のレターデーションは225nmであり、正面の面内方向のレターデーションは160nmであった。従って、この光学補償板は、面内レターデーションReを有し、厚み方向の平均屈折率が面内の平均屈折率よりも小さく、かつ、厚み方向で屈折率が変化するものに該当するものであった。
製造例10(低屈折率層付偏光板(TAC基材)の作製)
コニカミノルタ社製トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ(株)、KC8UX2M)の一方の面に、水酸化カリウムの1.5モル/Lイソプロピルアルコール溶液を25mL/m2塗布し、25℃で5秒間乾燥した。流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることによりフィルムの表面を乾燥した。このようにして、トリアセチルセルロースフィルムの一方の表面のみをケン化した。
もう一方の面に、高周波発信機(Tamtec社、コロナジェネレータHV05-2)を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力が0.055N/mの両面処理基材フィルムを得た。次に、製造例2で得られた高屈折率層形成用組成物H1を、前記基材フィルムのコロナ放電処理をした面に、ダイコーターを用いて塗工し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて被膜を形成した。次いで、紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm2)して、厚さ5μmの高屈折率層を形成し、積層フィルム1Aを得た。高屈折率層の屈折率は1.62、鉛筆硬度は2Hであった。上記積層フィルム1Aの高屈折率層側に、製造例3で得られた低屈折率層形成用組成物L1を、ワイヤーバーコーターを用いて塗工し、1時間放置して乾燥させ、得られた被膜を120℃で10分間、酸素雰囲気下で熱処理し、厚さ100nmの低屈折率層を形成した。ケン化処理したトリアセチルセルロースの面と、製造例7で得られた偏光子Gを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いてロールトゥーロール法により貼り合わせて、低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Aを得た。
製造例11(低屈折率層付偏光板(COP基材)の作製)
製造例1で得られた基材フィルム1Aの両面に、高周波発信機(Tamtec社、コロナジェネレータHV05-2)を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力が0.072N/mの基材フィルムを得た。次に、製造例2で得られた高屈折率層形成用組成物H1を前記基材フィルムの片面に、ダイコーターを用いて塗工し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて被膜を形成した。次いで、紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm2)して、厚さ5μmの高屈折率層を形成し、積層フィルム1Bを得た。高屈折率層の屈折率は1.62、鉛筆硬度はHであった。上記積層フィルム1Bの高屈折率層側に、製造例3で得られた低屈折率層形成用組成物L1を、ワイヤーバーコーターを用いて塗工し、1時間放置して乾燥させ、得られた被膜を120℃で10分間、酸素雰囲気下で熱処理し、厚さ100nmの低屈折率層を形成した。上記積層フィルムのコロナ処理したもう一方の面に、製造例7で得られた偏光子Gをアクリル系接着剤(住友スリーエム(株)、DP-8005クリア)を用いて貼り合わせ、低屈折率層付偏光板(COP基材)2Cを得た。
実施例1(液晶表示装置1の作製)
製造例9で得られた光学補償板のトリアセチルセルロースフィルム側の面に、水酸化カリウムの1.5モル/Lイソプロピルアルコール溶液を25mL/m2塗布し、25℃で5秒間乾燥した。流水で10秒間洗浄し、25℃の空気を吹き付けてフィルムの表面を乾燥し、ケン化処理を行った。次いで、ケン化処理された面と、製造例10で得られた低屈折率層付偏光板2Aの偏光子Gの面を、偏光子Gの透過軸と光学補償板のラビング方向が45度の角度になるように、ポリビニルアルコール系接着剤で貼り合わせ、反射防止体が設けられた出射側偏光板を得た。
製造例9で得られた光学補償板のトリアセチルセルロース側の面に、水酸化カリウムの1.5モル/Lイソプロピルアルコール溶液を25mL/m2塗布し、25℃で5秒間乾燥した。流水で10秒間洗浄し、25℃の空気を吹き付けてフィルムの表面を乾燥し、ケン化処理を行った。次いで、ケン化処理された面と、製造例8で得られた偏光子Pのトリアセチルセルロースフィルムが設けられていない面を、偏光子Pの透過軸と光学補償板のラビング方向が45度の角度になるようにポリビニルアルコール系接着剤で貼り合わせ、入射側偏光板を得た。
ITO電極付ガラス基板にポリイミド膜を配向膜として設け、一方向にラビング処理を行った。この配向膜を有するガラス基板2枚をラビング方向が平行となるように向かい合わせ、セルギャップ10μmで接合し、液晶(メルク社、ZLI1132、Δn=0.1396)を注入して、ベンド配向液晶セルを得た。
ベンド配向液晶セルのセル視認側に液晶セルに対向するようにして出射側偏光板を配置し、液晶セルのセル視認側とは反対側に液晶セルに対向するようにして入射側偏光板を配置した。この際、出射側偏光板と入射側偏光板とをクロスニコルの関係とした。また、ガラス基板に設けられた配向膜のラビング方向と、光学補償ラビング方向とが逆向きで平行になるように配置した。このようにして、液晶表示装置1を得た。得られた液晶表示装置1の評価結果を表1に示す。図1は、この液晶表示装置の構成を示す説明図である。出射側(視認側)から入射側に向かって、反射防止層20、出射側偏光子21A、光学補償板22、OCBモードの液晶セル23、光学補償板22、入射側偏光子21B、保護フィルム24が、この順に積層されている。
実施例2(液晶表示装置2の作製)
製造例11において、低屈折率層形成用組成物L1に代えて、製造例4で得られた低屈折率層形成用組成物L2を用いた他は、製造例11と同じ方法で低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Bを得た。次いで、実施例1における低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Aに代えて、この低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Bを用いた他は、実施例1と同様の方法で液晶表示装置2を作製した。得られた液晶表示装置2の評価結果を表1に示す。
実施例3(液晶表示装置3の作製)
実施例1における低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Aに代えて、製造例11で得られた低屈折率層付偏光板(COP基材)2Cを用いた他は、実施例1と同様の方法で液晶表示装置3を作製した。得られた液晶表示装置3の評価結果を表1に示す。
比較例1(液晶表示装置4の作製)
実施例1における光学補償板の代わりに、トリアセチルセルロースフィルム[富士写真フィルム(株)、正面レターデーション5nm、厚さ方向レターデーション40nm]を用いて出射側偏光板と入射側偏光板を作製した以外は、実施例1と同様の方法で液晶表示装置4を作製した。得られた液晶表示装置4の評価結果を表1に示す。
比較例2(液晶表示装置5の作製)
製造例10において、低屈折率層形成用組成物L1に代えて、製造例5で得られた低屈折率層形成用組成物L3を用いた他は、製造例10と同じ方法で低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Dを得た。次いで、実施例1における低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Aに代えて、この低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Dを用いた他は、実施例1と同様の方法で液晶表示装置5を作製した。得られた液晶表示装置5の評価結果を表1に示す。
比較例3(液晶表示装置6の作製)
製造例10において、低屈折率層形成用組成物L1に代えて、製造例6で得られた低屈折率層形成用組成物L4を用いた他は、製造例10と同じ方法で低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Eを得た。次いで、実施例1における低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Aに代えて、この低屈折率層付偏光板(TAC基材)2Eを用いた他は、実施例1と同様の方法で液晶表示装置6を作製した。得られた液晶表示装置6の評価結果を表1に示す。
Figure 2007041340
表1に示すように、実施例1〜3に示す液晶表示装置1〜3では、高コントラスト、高視野角で視認性に優れるとともに、耐擦傷性および防汚性に優れていることがわかった。
これに対して、比較例1の液晶表示装置4では、光学補償板を備えていないため、コントラストが低く、視野角が狭かった。
また、比較例2の液晶表示装置5では、フルオロアルキル基を有していないシロキサンオリゴマーを用いていることにより、防汚性が不十分であった。その上、低屈折率層の屈折率が十分に低くならず、視認性においてもやや劣っていた。
また、比較例3の液晶表示装置6では、低屈折率形成用組成物が中空粒子を含有していないことにより、低屈折率層の屈折率が十分に低くならず、反射率が大きくなって視認性が低下した上、耐傷性も劣っていた。
液晶表示装置の構成を示す説明図である。
符号の説明
20 反射防止層
21A 出射側偏光子
21B 入射側偏光子
22 光学補償板
23 OCBモードの液晶セル
24 保護フィルム

Claims (4)

  1. OCBモードの液晶セルと、
    この液晶セルを挟む一対の、出射側偏光板および入射側偏光板と、
    これらの偏光板のいずれか一方または両方と前記液晶セルとの間に設けられた少なくとも1枚の光学補償板と、
    前記出射側偏光板の前記液晶セル側とは反対側に設けられた、屈折率が1.40以下の低屈折率層を有する反射防止体とを含んでなり、
    前記光学補償板は、面内レターデーションReを有し、厚み方向の平均屈折率が面内の平均屈折率よりも小さく、厚み方向で屈折率が変化するものであり、
    前記低屈折率層は、下記成分(A)、(B)、および(C)を含んでなる低屈折率層形成用組成物から形成される硬化膜からなることを特徴とするOCB型の液晶表示装置。
    (A)粒径が5〜2000nmの中空粒子。
    (B)(メタ)アクリロイル基およびフルオロアルキル基を有するシロキサンオリゴマー。
    (C)(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物。
  2. 請求項1に記載の液晶表示装置において、
    前記光学補償板の少なくとも1枚は、ディスコティック液晶の配向形態を固定した液晶性光学フィルムであることを特徴とする液晶表示装置。
  3. 請求項2に記載の液晶表示装置において、
    前記配向形態は、ディスコティック液晶のダイレクターが厚み方向で変化するものであることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置において、
    前記出射側偏光板と前記低屈折率層との間には、屈折率1.55以上の高屈折率層がさらに設けられていることを特徴とする液晶表示装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113885245A (zh) * 2021-11-02 2022-01-04 北京大学 高力学性能、低驱动电压及高对比度液晶调光膜及其制备方法

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