JP2007039800A - 伸線特性に優れた高強度線材及びその製造方法、並びに伸線特性に優れた高強度鋼線 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成分の特定された硬鋼線材を、熱間圧延後に直接溶融ソルトパテンティング処理すること、もしくは再オーステナイト化後溶融ソルトもしくは鉛パテンティング処理することにより、初析フェライトの面積率が3%以下であり、且つ、パーライト組織の面積率が90%以上であることを特徴とする高強度線材を得る。これにより、引張強さが1600MPa以上で且つ耐縦割れ性に優れたPC鋼線、亜鉛めっき鋼撚線、ばね用鋼線、吊り橋用ケーブルなどとして有用な高強度高靱性硬鋼線が得られる。
【選択図】なし
Description
パテンティング線材の絞り値はオーステナイト粒径に依存し、オーステナイト粒径を微細化することによって絞り値が向上することから、Nb、Ti、B等の炭化物や窒化物をピニング粒子として用いることによってオーステナイト粒径を微細化する試みもなされている。
[1]質量%で、
C:0.7〜1.2%、
Si:0.6〜1.5%、
Mn:0.1〜1.0%、
N:0.001〜0.006%、
Al:0.005〜0.1%を含有し、
更に、Bを0.0009〜0.0060%で与えられる範囲で含有し、且つ固溶B量が0.0002%以上であり、残部はFe及び不可避不純物からなり、
引張強さTS[MPa]が次式(1)で表され、
TS>(1000×C[%]−10×線径[mm]+320)・・・(1)
初析フェライトの面積率が3%以下であり、且つ、パーライト組織の面積率が90%以上であることを特徴とする伸線特性に優れた高強度線材。
[2]質量%で、
C:0.7〜1.2%、
Si:0.6〜1.5%、
Mn:0.1〜1.0%、
N:0.001〜0.006%、
Ti:0.005〜0.1%を含有し、
更に、Bを0.0009〜0.0060%で与えられる範囲で含有し、且つ固溶B量が0.0002%以上であり、残部はFe及び不可避的不純物からなり、
引張強さTS[MPa]が次式(1)で表され、
TS>(1000×C[%]−10×線径[mm]+320)・・・(1)
初析フェライトの面積率が3%以下であり、且つ、パーライト組織の面積率が90%以上であることを特徴とする伸線特性に優れた高強度線材。
[3]更に、質量%で、Al:0.1%以下を含有することを特徴とする[2]に記載の伸線特性に優れた高強度線材。
[4]更に、質量%で、Cr:0.5%以下(0%を含まない)、Ni:0.5%以下(0%を含まない)、Co:0.5%以下(0%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まない)、Cu:0.2%以下(0%を含まない)、Mo:0.2%以下(0%を含まない)、W:0.2%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種以上を含有することを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載の伸線特性に優れた高強度線材。
[5][1]乃至[4]の何れか一項に記載の化学組成を有する鋼片を、熱間圧延後、Tr=800〜950℃の温度で巻き取りした後、次いで、熱間圧延後の冷却・巻取り工程後に次式(2)で示される時間t1以内に冷却を開始し、冷却開始温度から700℃までの温度における冷却速度を5℃/sec以上として冷却し、パテンティング処理することを特徴とする伸線特性に優れた高強度線材の製造方法。
t1=0.0008×(Tr−815)2+4×(B−0.0003)/(N−Ti/3.41−B+0.0003)・・・(2)
但し、4×(B−0.0003)/(N−Ti/3.41−B+0.0003)が0以下である、もしくはt1が40sより大きい場合は、t1=40sとする。
[6][1]乃至[4]の何れか一項に記載の伸線特性に優れた高強度線材の成分組成を有し、引張強さTSが1600MPa以上であり、初析フェライトの面積率が3%以下であり、且つ、パーライト組織の面積率が90%以上であることを特徴とする高強度鋼線。
各成分組成の関係を上記として、C量及びSi量に応じた量の固溶Bを、パテンティング処理前のオーステナイトに存在させることにより、セメンタイト析出とフェライト析出の駆動力をバランスさせ、初析フェライトを抑制することにより、延靭性が向上するとともに、伸線加工における断線を防止でき、生産性や歩留まりが向上する。
また、パーライトを主体とする組織を有し、且つ初析フェライト面積率の平均値が3%以下となる硬鋼線を得ることができ、PC鋼線、亜鉛めっき鋼線、ばね用鋼線、吊り橋用ケーブルとしての性能を改善し得る。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の伸線特性に優れた高強度鋼線は、質量%で、C:0.7〜1.2%、Si:0.6〜1.5%、Mn:0.1〜1.0%、N:0.001〜0.006%、Al:0.005〜0.1%を含有し、更に、Bを0.0009〜0.0060%で与えられる範囲で含有し、且つ固溶B量が0.0002%以上であり、残部はFe及び不可避不純物からなり、
引張強さTS[MPa]が次式(1)で表され、
TS>(1000×C[%]−10×線径[mm]+320)・・・(1)
初析フェライトの面積率が3%以下であり、且つ、パーライト組織の面積率が90%以上として構成されている。
以下に、本実施形態の伸線特性に優れた高強度線材の各成分組成の限定理由について説明する。
(C:0.7〜1.2%)
Cは、線材の強度を高めるのに有効な元素である。Cの含有量が0.7%未満の場合には上記式(1)に規定する高い強度を安定して最終製品に付与させることが困難であると同時に、オーステナイト粒界に初析フェライトの析出が促進され、均一なパーライト組織を得ることが困難となる。一方、Cの含有量が多すぎるとオーステナイト粒界にネット状の初析セメンタイトが生成して伸線加工時に断線が発生しやすくなるだけでなく、最終伸線後における極細線材の靱性・延性を著しく劣化させる。したがって、Cの含有量を、質量%で0.7〜1.2%の範囲内とした。
Siは、強度を高めるのに有効な元素である。更に脱酸剤として有用な元素であり、Alを含有しない鋼線材を対象とする際にも必要な元素である。一方、Si量が多すぎると、共析鋼においても初析フェライトの析出を促進するとともに、伸線加工での限界加工度が低下する。更にメカニカルデスケーリング(以下、MDと略記する。)による伸線工程が困難になる。したがって、Siの含有量を、質量%で0.6〜1.5%の範囲内とした。
Mnは、Siと同様、脱酸剤として有用な元素である。また、焼き入れ性を向上させ、線材の強度を高めるのにも有効である。更に、Mnは、鋼中のSをMnSとして固定して熱間脆性を防止する作用を有する。その含有量が0.1質量%未満では前記の効果が得難い。一方、Mnは偏析しやすい元素であり、1.0質量%を超えると特に線材の中心部に偏析し、その偏析部にはマルテンサイトやベイナイトが生成するので、伸線加工性が低下する。したがって、Mnの含有量を、質量%で0.1〜1.0%の範囲内とした。
Alは、脱酸材として有効である。また、Nを固定して時効を抑制するとともに固溶Bを増加させる効果を有する。Alの含有量は、0.005〜0.1%の範囲内であることが好ましい。Alの含有量が0.005%未満だと、Nを固定する作用が得られにくくなる。Alの含有量が0.1%を超えると、多量の硬質非変形のアルミナ系非金属介在物が生成し、鋼線の延性、及び伸線性は低下する。なお、後述のTiを添加した場合には、該TiがNを固定することにより、Alを添加しなくとも上記効果が得られるため、Alの下限を規定する必要は無く、Alの含有量が0であってもよい。
Tiは、脱酸剤として有効である。また、TiNとして析出し、オーステナイト粒度の粗大化防止に寄与するとともに、Nを固定することによりオーステナイト中の固溶B量を確保するためにも有効な必要な元素である。Tiの含有量が0.005%未満だと、上述の効果が得られにくくなる。Tiの含有量が0.1%を超えると、オーステナイト中で粗大な炭化物を生じ、伸線性が低下する虞がある。したがって、Tiの含有量を、質量%で0.005〜0.1%の範囲内とした。
Nは、鋼中でAl、BあるいはTiと窒化物を生成し、加熱時におけるオーステナイト粒度の粗大化を防止する作用があり、その効果は0.001%以上含有させることによって有効に発揮される。しかしながら、含有量が多くなり過ぎると、窒化物量が増大し過ぎて、オーステナイト中の固溶B量を低下させる。さらに固溶Nが伸線中の時効を促進する虞がある。したがって、Nの含有量を、質量%で0.001〜0.006%の範囲内とした。
Bは、固溶状態でオーステナイト中に存在する場合、粒界に濃化して初析フェライトの析出を抑制するとともに初析セメンタイトの析出を促進する効果がある。したがって、C及びSi量のバランスに応じて適量を添加することにより、初析フェライトの生成を抑制することが可能となる。Bは窒化物を形成するため、その添加量は、固溶状態のB量を確保するため、C,Siに加えN量とのバランスを考慮することが必要である。一方、Bを添加しすぎると初析セメンタイトの析出を促進するのみならず、オーステナイト中において粗大なFe3(CB)6炭化物を生成し、伸線性を低下させる虞がある。これらの関係について、本発明者らが実験を重ね、Bの含有量の最適な範囲として0.0009〜0.0060%とした。なお、Bはパテンティング処理前に固溶状態で存在する必要があり、圧延後の線材における固溶B量として0.0002%以上である必要がある。
Crは、パーライトのラメラ間隔を微細化し、線材の強度や伸線加工性等を向上させるのに有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるには0.1%以上の添加が好ましい。一方、Cr量が多過ぎると変態終了時間が長くなり、熱間圧延線材中にマルテンサイトやベイナイトなどの過冷組織が生じる恐れがあるほか、メカニカルデスケーリング性も悪くなるので、その上限を0.5%とした。
Niは、線材の強度上昇にはあまり寄与しないが、伸線材の靭性を高める元素である。このような作用を有効に発揮させるには0.1%以上の添加が好ましい。一方、Niを過剰に添加すると変態終了時間が長くなるので、上限値を0.5%とした。
Coは、圧延材における初析セメンタイトの析出を抑制するのに有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるには0.1%以上の添加が好ましい。一方、Coを過剰に添加してもその効果は飽和して過剰含有分が無駄となり、製造コストが上昇する虞があるため、その上限値を0.5%とした。
Vは、フェライト中に微細な炭窒化物を形成することにより、加熱時のオーステナイト粒の粗大化を防止するとともに、圧延後の強度上昇にも寄与する。このような作用を有効に発揮させるには0.05%以上の添加が好ましい。しかしながら、過剰に添加し過ぎると、炭窒化物の形成量が多くなり過ぎると共に、炭窒化物の粒子径も大きくなるため上限を0.5%とした。
Cuは、極細鋼線の耐食性を高める効果がある。このような作用を有効に発揮させるには0.1%以上の添加が好ましい。しかしながら、過剰に添加すると、Sと反応して粒界中にCuSを偏析するため、線材製造過程で鋼塊や線材などに疵を発生させる。このような悪影響を防止するために、その上限を0.2%とした。
Moは、極細鋼線の耐食性を高める効果がある。このような作用を有効に発揮させるには0.1%以上の添加が好ましい。一方、Moを過剰に添加すると変態終了時間が長くなるので、上限値を0.2%とした。
Wは、極細鋼線の耐食性を高める効果がある。このような作用を有効に発揮させるには0.1%以上の添加が好ましい。一方、Wを過剰に添加すると変態終了時間が長くなるので、上限値を0.2%とした。
Nbは、極細鋼線の耐食性を高める効果がある。このような作用を有効に発揮させるには0.05%以上の添加が好ましい。一方、Nbを過剰に添加すると変態終了時間が長くなるので、上限値を0.1%とした。
本発明者らが種々研究を行ったところによると、Si量が0.6%以上であるような線材の伸線加工性に特に影響を及ぼすのは、該線材の旧オーステナイト粒界に析出した初析フェライトであることは明らかである。したがって、本実施形態の線材のように、断面内における初析フェライトの面積率を3%以下とすることにより、デラミネーションの発生を抑えられることが確認された。
本実施形態で規定した成分組成の鋼を用いて、本実施形態本で規定する組織及び引張強さを有する線材を得るためには、圧延後の巻き取りからパテンティング処理までの搬送中にB炭化物あるいは窒化物を形成しないこと、且つパテンティング処理時にある値以上の速度で冷却することが必要である。本発明者らの検討によれば、1050℃に加熱後、1sec以内に750〜950℃の温度に急冷し、引き続きこの温度で一定時間保持した後に衝風冷却した線材の組織及び固溶B量を測定した結果、固溶Bを0.0002%以上含有する限界の保持時間は、図1に示すようにB量とN量の組み合わせで決まるC曲線となり、その時間t1は次式で表すことができることを明らかにした。
t1=0.0008×(Tr−815)2+4×(B−0.0003)/(N−Ti/3.41−B+0.0003)・・・(2)
なお、本実施形態では、線材の径を5.5〜18mmの範囲とすることにより、優れた伸線特性と高強度を安定して得ることができる。
表1及び表3に示す各成分の供試鋼を連続鋳造設備により断面サイズ300×500mmの鋳片とし、さらに分塊圧延により122mm角断面の鋼片を製造した。その後、表2及び表4に示す条件で、所定の直径の線材に圧延し、所定の温度で巻き取り後、所定の時間内に衝風パテンティング(DP:Direct Pateting)を行い、表1,2中のNo.1〜15及びNo.31〜44に示す各サンプルと、表3,4中のNo.16〜30及びNo.45〜55に示す各サンプルを得た。そして、これら各サンプルNo.1〜55について、下記の評価試験を行った。
固溶Bについては、パテンティング線材の電解抽出残渣中に化合物として存在するB量をクルクミン吸光光度法にて測定し、トータルB量との差を求めることによって得た。
初析フェライト組織分率については、パテンティング線材及び伸線材を埋め込み研磨し、ピクリン酸を用いた化学腐食を実施した後、SEM観察によって、線材の長さ方向と平行な断面(L断面)における初析フェライト面積率を決定した。
圧延線材の初析フェライト面積率は、線材の中心から半径の±5%の部位にて切断及び研磨によりL断面を出現させ、線径(半径方向)×線径の2倍(長さ方向)の面積における初析フェライト面積を画像解析にて測定し、初析フェライト面積率とした。
パーライト面積率については、線材のL断面の表層、1/4D、1/2Dの部分において、SEM観察により2000倍の倍率で100μm×100μmの領域の組織写真を5視野ずつ撮影し、画像解析によりその面積率の平均値を測定した。その際に、セメンタイトが点列状に分散した擬似パーライト又はベイナイトは除外した。
伸線材の初析フェライト面積率については、線材の中心から半径の±5%の部位にて切断及び研磨によりL断面を出現させ、SEM観察により4000倍の倍率で深さ40μm×幅40μmの領域の組織写真を5視野ずつ撮影し、画像解析によりその面積率の平均値を測定した。
この測定により、伸線前の初析フェライト面積率と伸線後の初析フェライト面積率はほぼ一致することを確認した。
なお、表層に脱炭層が存在する場合、JIS G 0558の4で規定される全脱炭部は測定部位から除外した。
引張強さTSについては、ゲージ長さを200mmとし、10mm/minの速度で引っ張り試験を行い、n=3の平均値を測定した。
また、No.37,38,43に示すサンプル(比較鋼)の線材では、巻き取り後、パテンティング開始までの時間がt1=0.0008×(Tr−815)2+4×(B−0.0003)/(N−Ti/3.41−B+0.0003)より長かったため、固溶Bを確保できず、初析フェライトを抑制できなかった。
また、No.33,42に示すサンプル(比較鋼)の線材では、Bの含有量が所定の量より過剰であり、B炭化物及び初析セメンタイトが析出してしまった。
また、No.34に示すサンプル(比較鋼)では、Siの含有量が1.6%と過剰なため、初析フェライトの生成を抑制できなかった。
また、No.35に示すサンプル(比較鋼)の線材では、Cの含有量が1.3%と過剰なため、初析セメンタイト析出を抑制できなかった。
また、No.36に示すサンプル(比較鋼)の線材では、Mnの含有量が1.5%と過剰なため、ミクロマルテンサイトの生成を抑制できなかった。
また、No.39,40に示すサンプル(比較鋼)の線材では、パテンティング処理時の冷速が規定の冷速より小さくしたため、所定のLP材での引張強さ及び伸線後の引張強さを満足できなかった。
また、No.32,41,44に示すサンプル(比較鋼)の線材では、Bの含有量が規定の量に満たなかったため、初析フェライトの生成を抑制できず、3%以上となっている。
また、No.50,52,53,54に示すサンプル(比較鋼)の線材では、巻き取り後、パテンティング開始までの時間がt1=0.0008×(Tr−815)2+4×(B−0.0003)/(N−Ti/3.41−B+0.0003)より長かったため、固溶Bを確保できず、初析フェライトの生成を抑制できなかった。
また、No.46に示すサンプル(比較鋼)の線材では、Bの含有量が所定の量より過剰であり、B炭化物及び初析セメンタイトが析出してしまった。
また、No.47に示すサンプル(比較鋼)の線材では、Siの含有量が1.6%と過剰なため、初析フェライトの生成を抑制できなかった。
また、No.48に示すサンプル(比較鋼)の線材では、Mnの含有量が1.5%と過剰なため、ミクロマルテンサイトの生成を抑制できなかった。
また、No.49,51,55に示すサンプル(比較鋼)の線材では、Bの含有量が、規定の量に満たなかったため、初析フェライトの生成を抑制できず、3%以上となっている。
図2に示すグラフからは、本発明に係る高強度線材(◆,●)では、線径に関わらず安定して初析フェライトが3%以下であるの対し、比較例の従来の線材(◇,○)では、初析フェライトの面積率が何れも3%を超えた数値となっている。
図3に示すグラフからは、引張強さTSが同じである場合、本発明に係る高強度線材(◆,●)の絞り値は、比較例の従来線材(◇,○)に比べて優れていることは明らかである。
Claims (6)
- 質量%で、
C:0.7〜1.2%、
Si:0.6〜1.5%、
Mn:0.1〜1.0%、
N:0.001〜0.006%、
Al:0.005〜0.1%を含有し、
更に、Bを0.0009〜0.0060%で与えられる範囲で含有し、且つ固溶B量が0.0002%以上であり、残部はFe及び不可避不純物からなり、
引張強さTS[MPa]が次式(1)で表され、
TS>(1000×C[%]−10×線径[mm]+320)・・・(1)
初析フェライトの面積率が3%以下であり、且つ、パーライト組織の面積率が90%以上であることを特徴とする伸線特性に優れた高強度線材。 - 質量%で、
C:0.7〜1.2%、
Si:0.6〜1.5%、
Mn:0.1〜1.0%、
N:0.001〜0.006%、
Ti:0.005〜0.1%を含有し、
更に、Bを0.0009〜0.0060%で与えられる範囲で含有し、且つ固溶B量が0.0002%以上であり、残部はFe及び不可避的不純物からなり、
引張強さTS[MPa]が次式(1)で表され、
TS>(1000×C[%]−10×線径[mm]+320)・・・(1)
初析フェライトの面積率が3%以下であり、且つ、パーライト組織の面積率が90%以上であることを特徴とする伸線特性に優れた高強度線材。 - 更に、質量%で、Al:0.1%以下を含有することを特徴とする請求項2に記載の伸線特性に優れた高強度線材。
- 更に、質量%で、Cr:0.5%以下(0%を含まない)、Ni:0.5%以下(0%を含まない)、Co:0.5%以下(0%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まない)、Cu:0.2%以下(0%を含まない)、Mo:0.2%以下(0%を含まない)、W:0.2%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の伸線特性に優れた高強度線材。
- 請求項1乃至4の何れか一項に記載の化学組成を有する鋼片を、熱間圧延後、Tr=800〜950℃の温度で巻き取りした後、次いで、熱間圧延後の冷却・巻取り工程後に次式(2)で示される時間t1以内に冷却を開始し、冷却開始温度から700℃までの温度における冷却速度を5℃/sec以上として冷却し、パテンティング処理することを特徴とする伸線特性に優れた高強度線材の製造方法。
t1=0.0008×(Tr−815)2+4×(B−0.0003)/(N−Ti/3.41−B+0.0003)・・・(2)
但し、4×(B−0.0003)/(N−Ti/3.41−B+0.0003)が0以下である、もしくはt1が40sより大きい場合は、t1=40sとする。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載の伸線特性に優れた高強度線材の成分組成を有し、引張強さTSが1600MPa以上であり、初析フェライトの面積率が3%以下であり、且つ、パーライト組織の面積率が90%以上であることを特徴とする高強度鋼線。
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