JP2021161445A - 鋼線材 - Google Patents

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善弘 大藤
Yoshihiro Ofuji
直樹 松井
Naoki Matsui
昌 坂本
Akira Sakamoto
順一 児玉
Junichi Kodama
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Abstract

【課題】スチールコード等の素材として好適な高い強度を有する鋼線を、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制して安定して製造し得る鋼線材を提供する。【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.80%以上1.10%以下、Si:0.10%以上1.00%以下、Mn:0.20%以上1.00%以下、Al:0.003%以下、N:0.0090%以下、O:0.0040%以下、P:0.025%以下、S:0.015%以下、残部:Fe及び不純物元素、からなり、3.0mm以上6.0mm以下の直径を有し、横断面において、半径をrとした場合の中心から3r/4以内の領域のビッカース硬さの平均値をAとし、外周部から中心方向に40μmの位置のビッカース硬さの平均値をB及び標準偏差をσとした場合に、下記式を全て満たす鋼線材。280≦A≦46030<A−B≦700≦σ≦20【選択図】なし

Description

本開示は、鋼線材に関する。
鋼線材は、例えば自動車やトラックのラジアルタイヤ、各種産業用ベルトおよびホースの補強材であるスチールコードの素材として用いられる、細径高強度鋼線を製造するための素材として使用されている。
細径高強度鋼線の一般的な製造工程は次の通りである。
始めに熱間圧延と圧延直後の調整冷却により線径(直径)4〜6mmの鋼線材を製造する。この鋼線材を素材として、一次伸線加工して線径を3〜4mmとなし、続いて、パテンティング処理を施してから二次伸線加工により線径を1〜2mmとする。なお、近年は、一次伸線加工と二次伸線加工の間のパテンティング処理を省略する場合も多い。
更に最終パテンティング処理とブラスメッキを施してから最終湿式伸線加工によって線径を0.1〜0.4mmとする。
そして、このようにして製造された細径高強度鋼線(以下、鋼線と称する。)は、撚り加工により複数本を撚り合わせると“撚り鋼線”となり、スチールコードの一種となる。
パテンティング処理とは、良く知られているように、鋼材をオーステナイト温度領域に加熱して鋼組織全体をオーステナイト組織とした後、A変態点以下の温度に保持された鉛浴、流動層などの中を通過させることによって、パーライト組織に変態する温度域まで急冷し、その温度域で所定の時間、保定する処理である。
近年、種々の目的からスチールコードの軽量化が求められている。これらの要求に応えるには、鋼線を高強度化することが必要である。高強度な鋼線を用いて撚り線加工を行って製造されるスチールコードを、工業的に安定して製造するための課題の一つは、撚り加工時の割れ発生や断線を抑制することである。撚り加工時の典型的な割れの形態は、鋼線の長手方向に沿ったものであり、デラミネーション、あるいは縦割れと呼ばれる。
撚り加工時のデラミネーション、縦割れを抑制する従来の技術としては、例えば、特許文献1〜3に記載の技術が提案されている。
特許文献1には、C:0.88%〜1.10%などを含み、さらに、B:0.0050%以下、Nb:0.020%以下の1種または2種を含み、かつ、フリーNを0.0005%未満含むことを特徴とする高炭素鋼線材が開示されている。
特許文献2には、共析鋼または過共析鋼であり、パーライトを80%以上有し、かつ、第2相をなすフェライトの最大長さが10μm以下であることを特徴とする捻回特性に優れた伸線加工用線材が開示されている。
特許文献3には、C:0.7〜1.2%などを含み、さらにAl:0.01〜0.05%および/またはNb:0.01〜0.05%を含有し、且つAl、NbおよびNが所定の式を満足すると共に、上記Nのうち固溶N量が0.001%以下であることを特徴とする耐縦割れ性および伸線性に優れた高炭素鋼線用熱間圧延線材が開示されている。
特開2005−163082号公報 特開2002−146479号公報 特開2000−45047号公報
特許文献1〜3には、捻回特性が向上した鋼線が得られることが記載されているが、捻回特性のさらなる改善が望ましい。
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、スチールコード等の素材として好適な高い強度を有する鋼線を、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制して安定して製造し得る鋼線材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 化学組成が、質量%で、
C:0.80%以上1.10%以下、
Si:0.10%以上1.00%以下、
Mn:0.20%以上1.00%以下、
Al:0.003%以下、
N:0.0090%以下、
O:0.0040%以下、
P:0.025%以下、
S:0.015%以下、並びに、
残部:Fe及び不純物元素、からなり、
3.0mm以上6.0mm以下の直径を有し、
長手方向に垂直な断面のうち、半径をrとした場合の中心から3r/4以内の領域において試験力9.81Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をAとし、外周部から中心方向に40μmの位置において試験力0.98Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をB及び標準偏差をσとした場合に、下記式(1)〜(3)を全て満たす鋼線材。
280≦A≦460 ・・・式(1)
30<A−B≦70 ・・・式(2)
0≦σ≦20 ・・・式(3)
<2> 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Cr:0.60%以下、
Cu:0.80%以下、
Ni:0.50%以下、
Mo:0.20%以下、及び
V:0.15%以下、
からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含む、<1>に記載の鋼線材。
<3> 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Ti:0.020%以下、
Nb:0.020%以下、
B:0.0030%以下、
REM:0.030%以下、
Mg:0.030%以下、
Ca:0.030%以下、
Zr:0.020%以下、及び
W:0.10%以下、
からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含む<1>又は<2>に記載の鋼線材。
本開示によれば、スチールコード等の素材として好適な高い強度を有する鋼線を、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制して安定して製造し得る鋼線材が提供される。
鋼線材の横断面のうち、内部領域においてビッカース硬さを測定する位置を説明する図である。 鋼線材の横断面のうち、表面近傍のビッカース硬さを測定する位置を説明する図である。 鋼線材の横断面において金属組織の測定位置を説明する図面である。
以下、本開示の一実施形態に係る鋼線材について詳しく説明する。
以下の説明において、化学組成における「%」は、質量%を意味する。
「〜」を用いて表される数値範囲は、特に指定しない限り、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、「〜」の前後に記載される数値に「超」または「未満」が付されている場合の数値範囲は、これら数値を下限値または上限値として含まない範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階的な数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋼線材の硬さ分布が、鋼線の撚り加工時の割れ発生や断線に及ぼす影響について調査・研究を重ね、その結果を仔細に解析して検討し、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)鋼線の撚り加工時の割れの破壊起点は、大半が表面である。そのため、表面近傍の特性が大きく影響する。表面近傍を内部より相対的に軟質化させると、表面近傍の変形能が向上し、撚り線加工中の割れ発生や断線が抑制される。
(b)より良好な撚り線加工性を得るためには、鋼線の表面近傍の硬さばらつきが小さい必要がある。
(c)鋼線材の平均硬さが高過ぎると、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制できなくなる。
(d)スチールコードやソーイングワイヤを製造する際の熱処理であるパテンティング処理は、一般に素材が直線状の状態で、且つ最高加熱温度も1000℃以下と低温で、処理時間も短いため、合金元素の偏析状態はあまり変化しない。鋼線材と、鋼線材を伸線加工及びパテンティング処理した後の鋼線では硬さの絶対値は異なるが、鋼線材での硬さ分布の傾向は、鋼線でも同様である場合が多い。
本発明者らは、これらの(a)〜(d)の知見に基づいて、さらに詳細な実験・研究を重ねた。その結果、鋼線材の化学組成、平均硬さ、表面近傍の硬さやばらつき、平均硬さと表面近傍の硬さとの差、鋼線材の長手方向に垂直に切断した断面(本開示において「横断面」と称する場合がある。)におけるパーライトの面積率及び初析セメンタイトの面積率を適切な範囲内に調整することによって、前記課題を解決できることを見出し、本開示をなすに至った。
なお、本開示に係る鋼線材を素材として用いて製造する鋼線の目標は、引張り強さが4000MPa以上であり、捻回試験を25回行った場合に1本もデラミネーションが発生しないことである。
以下、本開示に係る鋼線材について詳細に説明する。
本開示に係る鋼線材は、化学組成が、質量%で、
C:0.80%以上1.10%以下、
Si:0.10%以上1.00%以下、
Mn:0.20%以上1.00%以下、
Al:0.003%以下、
N:0.0090%以下、
O:0.0040%以下、
P:0.025%以下、
S:0.015%以下、並びに、
残部:Fe及び不純物元素、からなり、
3.0mm以上6.0mm以下の直径を有し、
長手方向に垂直な断面のうち、半径をrとした場合の中心から3r/4以内の領域において試験力9.81Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をAとし、外周部から中心方向に40μmの位置において試験力0.98Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をB及び標準偏差をσとした場合に、下記式(1)〜(3)を全て満たす。
280≦A≦460 ・・・式(1)
30<A−B≦70 ・・・式(2)
0≦σ≦20 ・・・式(3)
<化学組成>
本開示に係る鋼線材の化学組成について説明する。
C(炭素):0.80%以上1.10%以下
Cは、鋼線の引張り強さを高めるために有効な成分である。しかし、その含有量が0.80%未満の場合には、スチールコード等の最終製品で、本開示で目標とする引張り強さ4000MPa以上を安定して付与させることが困難である。さらに、高強度の最終製品を安定して得るためにはC含有量を高めることが有効であり、C含有量を1.0%以上にすることが望ましい。一方、C含有量が多すぎれば、鋼線が捻回特性の低下を招く。特に、C含有量が1.10%を超えると、本開示における他の要件を満たしても、本開示で目標とする捻り回特性を得ることが困難である。そこで、C含有量は0.80〜1.10%の範囲内と定める。好ましくはC含有量は0.90〜1.05%である。
Si(珪素):0.10%以上1.00%以下
Siは、鋼線の引張り強さを高めるのに有効な成分であり、また脱酸剤としても必要な成分である。しかし、Siの含有量が0.10%未満ではSiの含有効果が十分でなく、一方、1.00%を超えて含有させても、鋼線の引張り強さを高める効果が飽和する。よって、Si含有量は0.10〜1.00%とする。一方、Siは脱炭を促進する傾向があることから、鋼線材に安定して所望の硬さ分布を確保するとの観点から、Si含有量は0.50%以下にすることがより好ましい。
Mn(マンガン):0.20%以上1.00%以下
Mnは、鋼線の引張り強さを高める作用に加えて、鋼中のSをMnSとして固定して、熱間脆性を防止する作用を有する成分である。しかし、Mn含有量が0.20%未満では前記作用による効果が十分でない。一方、Mnは偏析しやすい元素であり、1.00%を超えると、鋼線材の硬さばらつきを大きくして、捻回特性が低下してしまう。そこで、Mn含有量は0.20〜1.00%の範囲内とする。なお、Mnは鋼の焼入れ性に影響する元素であることから、鋼線材に安定して所望の硬さ分布を確保するとの観点からは、Mn含有量を0.20〜0.50%の範囲内に調整することがより好ましい。
更に、本開示に係る鋼線材においては、上記で説明した成分に加え、Cr、Cu,Ni、B、Mo、V、Ti、Nb、B、REM、Mg、Ca、Zr、及びWのうち、1種または2種以上を含有させてもよいし、含有させなくてもよい。
例えば、本開示に係る鋼線材は、鋼線の引張り強さを高める効果を得るため、Cr、Cu,Ni、Mo、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含んでもよい。
また、本開示に係る鋼線材は、鋼線の捻回特性を高める効果を得るため、Ti、Nb、REM、Mg、Ca、Zr、及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含んでもよい。
Cr(クロム):0.60%以下
Crの含有は任意であるが、Crを含有すれば鋼線の引張り強さを高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、Crの含有量を0.03%以上にすることが好ましく、鋼線の引張り強さをより高める観点からは、Cr含有量を0.10%以上とすることがより好ましい。Crの含有量が0.60%を超えれば、捻回特性が低下する場合がある。安定した捻回特性を得る観点からは、Crを積極的に含有する場合のCr含有量は0.60%以下が好ましく、より好ましくは0.35%以下である。
Cu(銅):0.80%以下
Cuの含有は任意である。Cuを含有すれば鋼線の引張り強さを高める効果を、より安定して発揮することができる。その効果を得るためには、Cu含有量を0.05%以上にすることが好ましく、鋼線の引張り強さをより高める観点からは、0.10%以上とすることがより好ましい。しかし、鋼線材のCu含有量が0.80%を越えると、伸線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にCuを積極的に含有する場合のCu含有量は0.05〜0.80%の範囲内が好ましい。より好ましいCu含有量は0.10〜0.50%である。
Ni(ニッケル):0.50%以下
Niの含有は任意である。Niを含有すれば鋼線の引張り強さを高める効果を、より安定して発揮することができる。その効果を得るためには、0.05%以上にすることが好ましく、鋼線の引張り強さをより高める観点からは、Ni含有量を0.10%以上とすることがより好ましい。しかし、鋼線材のNi含有量が0.50%を越えると、伸線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にNiを積極的に含有する場合のNi含有量は0.05〜0.50%の範囲内が好ましい。より好ましいNi含有量は0.10〜0.40%である。
Mo(モリブデン):0.20%以下
Moの含有は任意であるが、Moを含有すれば、鋼線の引張り強さを高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、Moの含有量を0.02%以上にすることが好ましい。しかし、Moの含有量が0.20%を超えれば、捻回特性が低下する場合がある。したがって、Moを積極的に含有する場合のMo含有量は0.02〜0.20%の範囲内が好ましい。より好ましいMo含有量は0.10%以下であり、一方、鋼線の引張り強さをより高める観点からは、Mo含有量を0.04%以上とすることがより好ましい。
V(バナジウム):0.15%以下
Vの含有は任意であるが、Vを含有すれば、鋼線の引張り強さを高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、Vの含有量を0.02%以上にすることが好ましい。しかし、Vの含有量が0.15%を超えれば、捻回特性が低下する場合がある。したがって、Vを積極的に含有する場合のV含有量は0.02〜0.15%の範囲内が好ましい。より好ましいV含有量は0.10%以下であり、一方、鋼線の引張り強さをより高める観点からは、V含有量を0.04%以上とすることがより好ましい。
Ti(チタン):0.020%以下
Tiの含有は任意である。Tiを含有すれば、捻回特性を高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のTi含有量を0.002%以上にすることが好ましい。捻回特性をより高める観点から、鋼線材のTi含有量を0.003%以上とすることがより好ましい。しかし、鋼線材のTi含有量が0.020%を超えると、粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、伸線加工性が低下する。したがって、Tiを積極的に含有する場合のTi含有量を0.002〜0.020%とすることが好ましい。より好ましいTi含有量は0.003〜0.015%である。
Nb(ニオブ):0.020%以下
Nbの含有は任意である。Nbを含有すれば、捻回特性を高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のNb含有量を0.002%以上にすることが好ましい。捻回特性をより高める観点から、鋼線材のNb含有量を0.003%以上とすることがより好ましい。しかし、鋼線材のNb含有量が0.020%を超えると、粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、伸線加工性が低下する。したがって、Nbを積極的に含有する場合のNb含有量は0.002〜0.020%が好ましい。より好ましいNb含有量は0.003〜0.015%である。
B(ホウ素):0.0030%以下
Bの含有は任意であるが、Bを含有すれば、捻回特性を高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、Bの含有量を0.0003%以上にすることが好ましい。しかし、Bの含有量が0.0030%を超えれば、粗大なBNが生成しやすくなり、伸線加工性が低下する場合がある。したがって、Bを積極的に含有する場合のB含有量は0.0003〜0.0030%の範囲内が好ましい。より好ましいB含有量は0.0020%以下である。
REM(希土類元素):0.030%以下
REMの含有は任意である。REMを含有すれば、捻回特性を高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のREM含有量を0.002%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のREM含有量が0.030%を超えると、その効果が飽和する。したがって、REMを積極的に含有する場合、鋼線材のREM含有量を0.002〜0.030%とすることが好ましい。
なお、REMとは、Sc、Y、およびランタノイドの合計17元素を指し、REM含有量とは、REMが1種の場合はその含有量、2種以上の場合はそれらの合計含有量を指す。
Mg(マグネシウム):0.030%以下
Mgの含有は任意である。Mgを含有すれば、捻回特性を高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のMg含有量を0.002%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のMg含有量が0.030%を超えると、その効果が飽和する。したがって、Mgを積極的に含有する場合、鋼線材のMg含有量を0.002〜0.030%とすることが好ましい。
Ca(カルシウム):0.030%以下
Caの含有は任意である。Caを含有すれば、捻回特性を高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のCa含有量を0.002%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のCa含有量が0.030%を超えると、その効果が飽和する。したがって、Caを積極的に含有する場合、鋼線材のCa含有量を0.002〜0.030%とすることが好ましい。
Zr(ジルコニウム):0.020%以下
Zrの含有は任意である。Zrを含有すれば、捻回特性を高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のZr含有量を0.002%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のZr含有量が0.020%を超えると、粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、伸線加工性が低下する。したがって、Zrを積極的に含有する場合、鋼線材のZr含有量は0.002〜0.020%が好ましい。
W(タングステン):0.10%以下
Wの含有は任意である。Wを含有すれば、捻回特性を高める効果を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のW含有量を0.02%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のW含有量が0.10%を超えると、その効果が飽和する。したがって、Wを積極的に含有する場合、鋼線材のW含有量を0.02〜0.10%とすることが好ましい。
以上の各元素に対する残部は、基本的には不純物及びFeとすればよいが、不純物であるAl、N、O、P、Sの各含有量の上限を下記の通りに規制する。なお、Al、N、O、P、Sは、本開示に係る鋼線材に含有されてなくてもよく、0%であってもよいが、製造コストの観点から各元素の下限値は0%超であってもよい。
Al(アルミニウム):0.003%以下
AlはAlを主成分とする酸化物系介在物を形成して伸線加工性を低下させる元素である。Al含有量が0.003%以下であれば、前記酸化物系介在物が粗大化することを抑制して最終伸線工程、例えば直径0.40mm以下まで伸線加工する際に断線を効果的に抑制することができる。そこで、Al含有量は0.003%以下に規制する。好ましくはAl含有量は0.002%以下である。
N(窒素):0.0090%以下
Nは、冷間での伸線加工中に転位に固着して鋼線の強度を上昇させる反面、伸線加工性を低下させてしまう元素である。N含有量が0.0090%以下であれば、伸線加工性の低下を効果的に抑制することができる。そこで、N含有量を0.0090%以下に規制する。好ましくはN含有量は0.0060%以下である。
O(酸素):0.0040%以下
Oは酸化物系介在物を形成して伸線加工性を低下させる元素である。O含有量が0.0040%以下であれば、酸化物系介在物が粗大化することを抑制して最終伸線工程、例えば直径0.40mm以下まで伸線加工する際に断線を効果的に抑制することができる。そこで、O含有量は0.0040%以下に規制する。好ましくはO含有量は0.0030%以下である。
P(リン):0.025%以下
Pは、粒界に偏析して伸線加工性を低下させる。P含有量が0.025%以下であれば伸線加工性の低下を効果的に抑制することができる。そこで、P含有量を0.025%以下に規制する。好ましくはP含有量は0.015%以下である。
S(硫黄):0.015%以下
SもPと同様に、伸線加工性を低下させる。S含有量が0.015%以下であれば伸線加工性の低下を効果的に抑制することができる。そこで、S含有量を0.015%以下に規制する。好ましくはS含有量は0.010%以下である。
本開示に係る鋼線材の残部は、Feおよび不純物元素である。ここで、不純物元素とは、鋼を工業的に製造する際に、意図的に含有させた元素ではなく、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本開示に係る鋼線材の効果や特性に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
また、本開示に係る鋼線材は、本開示における効果を妨げない範囲で、すなわち、スチールコード等の素材として好適な高い強度を有する鋼線を、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制して安定して製造することができれば、前述した元素及び不純物元素以外に、他の元素を含有することも許容される。
<ビッカース硬さ>
本開示に係る鋼線材の横断面(長手方向に垂直な断面)における硬さは、半径をrとした場合の中心から3r/4以内の領域(以下、「内部領域」と称する場合がある。)において試験力9.81Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をA、外周部から中心方向に40μmの位置(以下、「表面近傍」と称する場合がある。)において試験力0.98Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をB及び標準偏差をσとした場合に、下記式(1)〜(3)を全て満たす。
(1)280≦A≦460
鋼線材の内部領域においてビッカース硬さを荷重9.81Nで測定した時、ビッカース硬さの平均値Aが280を下回ると、最終製品で求められる引張り強さ(例えば4000MPa以上)を安定して付与させることが困難である。
一方、鋼線材の硬さが高すぎると、伸線加工時に微小な割れが発生しやすくなり、鋼線材の内部領域において、ビッカース硬さを荷重9.81Nで測定した時、ビッカース硬さの平均値Aが460を超えると、他の要件を満たしていても、目標とする捻回特性を得ることが困難である。そこで、内部領域のビッカース硬さの平均値Aは280〜460の範囲内とし、好ましくは320〜430である。
(2)30<A−B≦70
鋼線材の平均硬さに比べて、表面近傍の硬さが高いと、鋼線の撚回特性が低下する。また鋼線材の平均硬さに比べて、表面近傍の硬さが大幅に低いと、鋼線の撚り線加工性が低下する。他の要件を満たす場合に、鋼線材の内部領域の硬さと表面近傍の硬さの差、すなわち、「A−B」が30超、および70以下を満たす場合に、本開示で目標とする鋼線の捻り試験結果を得ることができる。好ましくは「A−B」が35以上、60以下である。
(3)0≦σ≦20
鋼線材の表面近傍において、ビッカース硬さのばらつきが大きくなると、鋼線の捻回特性が低下する。他の要件を満たす場合に、表面近傍のビッカース硬さの標準偏差σが0〜20を満たす場合に、本開示で目標とする鋼線の捻回特性を得ることができる。表面近傍のビッカース硬さの標準偏差σは、好ましくは0〜15であり、より好ましくは0〜12である。
鋼線材の内部領域および表面近傍のビッカース硬さは、鋼線材の長手方向に500mm間隔で4箇所からサンプルを採取し、各サンプルの横断面(各サンプルの一端における切断面)で測定する。測定方法の詳細は実施例で説明する。
なお、例えば1本の鋼線材の4箇所から採取した一部のサンプル(横断面)については式(1)〜(3)の関係を満たさない場合であっても、上記のように4箇所の横断面について測定して算出したビッカース硬さの平均値及び標準偏差が式(1)〜(3)の関係を満たせば、本開示に係る鋼線材に含まれる。
<鋼線材の直径>
鋼線材の直径が6.0mmを超えると、乾式伸線での加工量が大きくなり過ぎ、伸線加工時に微小な割れが発生しやすくなり、安定して目標とする捻回特性が得られなくなる。一方、鋼線材の直径を3.0mm未満にすると、鋼線材の一般的な製造方法である熱間圧延で安定して製造することが困難になる。そこで、本開示に係る熱間圧延線材(鋼線材)の直径は3.0〜6.0mmとし、好ましくは4.0〜5.6mmとする。
<鋼線材のミクロ組織(金属組織)>
本開示に係る鋼線材のミクロ組織(金属組織)については、特に規定しないが、鋼線材の一次伸線加工で、より優れた伸線加工性を得るためには、長手方向に垂直な断面において、パーライトの面積率が90%以上であることが好ましい。また、パーライト以外の残部組織として、初析フェライト、初析セメンタイト、ベイナイト及びマルテンサイトから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましいが、マルテンサイト組織を含まないことがより好ましい。
<鋼線材の製造方法>
次に、本開示に係る鋼線材を製造する方法の一例について説明する。なお、本開示に係る鋼線材を製造する方法は、以下に説明する方法に限られない。
本開示に係る鋼線材を製造する場合、化学組成、および硬さの各条件を確実に満たし得るように、化学組成、目標性能、線径等に応じて、各製造工程における条件を設定する。本開示に係る鋼線材の製造方法の一例として、C:0.80〜1.10%、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.20〜1.00%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、不純物として、Al:0.003%以下、N:0.0090%以下、O:0.0040%以下、P:0.025%以下、及びS:0.015%以下を含有する鋼を用いた場合について説明する。
鋼を鋳造する方法として、例えば、連続鋳造を行う場合、転炉によって溶製した後、溶鋼の電磁攪拌を十分に行い、さらに凝固途中で圧下を行うことにより鋳片を得る方法が挙げられる。
次に、鋳造した鋳片を、1250〜1280℃で6〜10時間加熱し、炉外で500℃以下まで冷却する。次いで、鋳片を1200〜1250℃に加熱した後、分塊圧延することにより鋼片を得る。
以上の方法で製造した鋼片の表面を0.2〜0.5mm研削した後、1050〜1100℃になるように加熱し、仕上げ温度を900〜950℃としてφ3.0〜6.0mmに熱間圧延を行う。仕上げ圧延後は水冷、及び大気による風冷を組み合わせて平均冷却速度を30℃/秒以上で670〜700℃の温度範囲に入るまで冷却し、その後、大気による風冷によって平均冷却速度を5〜9℃/秒で620〜640℃の温度範囲に入るまで冷却した後、500℃以下になるまで放冷する。このようにして、本開示に係る鋼線材を製造する。
なお、本明細書における鋼片の加熱温度とは、鋼片の表面温度を指し、圧延仕上げ温度とは、仕上げ圧延直後の鋼線材の表面温度を指し、更に、仕上げ圧延後の平均冷却速度は、鋼線材の表面の平均冷却速度を指す。また、仕上げ圧延後の平均冷却速度は、冷却開始時から冷却終了時までの鋼線材の温度降下幅を、冷却開始時から冷却終了時までの所要時間で除した値とする。なお、鋼片および鋼線材の表面温度は、放射温度計によって測定することができる。
0.80〜1.10%のC、0.1〜1.0%のSi、及び0.2〜1.0%のMnを含有する鋼を用いて本開示に係る鋼線材を製造する場合、上述の製造条件から外れると、内部領域におけるビッカース硬さの平均値A,表面近傍のビッカース硬さの平均値Bとした場合のA−B、及び表面近傍のビッカース硬さの標準偏差σ、が上述した範囲を満たさなくなる場合がある。なお、上記の製造方法は、本開示における化学成分を有する鋼線材の製造方法としても好適に適用できる。
[鋼線材の用途]
本開示に係る鋼線材の用途は特に限定されないが、例えば上記のような工程を経て製造された鋼線材は、一次の乾式伸線加工を行い、その次のパテンティング処理を省略して、二次乾式伸線加工、最終パテンティング処理、最終湿式伸線加工等の工程を経て、線径0.1〜0.4mmの細径の鋼線に加工することが好ましい。このようにして製造された細径の鋼線は、撚り加工により複数本を撚り合わせて撚り鋼線とし、タイヤ、ベルト、ホース等のスチールコードとして使用できる。
次に本開示の実施例について説明するが、実施例の条件は、本開示の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本開示は、この一条件例に限定されるものではない。本開示は、本開示の要旨を逸脱せず、本開示の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
[鋼線材の製造]
表1に示す化学組成(化学組成)の鋼A1〜Z1、およびA2〜I2を、転炉によって溶製した後、連続鋳造した。鋳造の際、溶鋼の電磁攪拌を十分に行い、さらに凝固途中で圧下を行った。但し、一部の鋼については、電磁攪拌、または凝固途中の圧下を行わなかった。
次に、鋳造した鋳片を表1中に示す熱処理条件で熱処理し、炉外で500℃以下まで放冷した。次いで、1200〜1250℃に加熱した後、分塊圧延によって122mm角の鋼片を得た。次いで、鋼片の表面を研削した。なお、鋼片の表面研削深さを表1中に示した。また各鋼の化学組成の測定は、以下に記載の方法に準拠して行った。
C JIS G 1211:2011
Si、Mn、P、Cr、Cu、Ni、Mo、V、Ti、Nb、Al、B、REM、Ca、Mg、Zr、W JIS G 1253:2002
S JIS G 1215:2010
N JIS G 1228:1997
O JIS G 1239:2014
Figure 2021161445

次に、以上の方法で製造した鋼片を、表2に示す鋼片加熱温度で加熱し、表2に示す圧延仕上げ温度で、仕上げ圧延径(直径)が表2に示す範囲内となるように熱間圧延工程を行った。仕上げ圧延後、水冷と大気による風冷とを組み合わせて、表2に示す平均冷却速度で685℃まで鋼線材を冷却した。その後、大気による風冷によって、685℃〜630℃の温度範囲を表2に示す平均冷却速度で鋼線材を冷却した。その後、630℃未満の鋼線材を放冷し、鋼線材を得た。
Figure 2021161445
<ビッカース硬さの測定>
表1および表2の各条件で製造した鋼線材について、以下に示す方法で、ビッカース硬さの平均値、およびビッカース硬さの標準偏差を求め、表3中に示した。具体的な測定方法は次の通りとした。
−内部領域におけるビッカース硬さの測定−
鋼線材の長手方向に500mm間隔で4箇所からサンプルを採取し、横断面(各サンプルの一端における切断面)を鏡面研磨した後、荷重9.81Nでマイクロビッカース硬さを測定する。測定箇所は図1に示すように、「r/3」(r:鋼線材の半径)の間隔で1断面につき、21箇所測定する。図1におけるひし形マーク(◇)が測定箇所を意味する。このように測定した84箇所(4断面×21箇所)でのビッカース硬さの平均値を、ビッカース硬さの平均値Aとする。ビッカース硬さの測定は、JIS Z 2244(2009)記載の方法に準拠する。
−表面近傍におけるビッカース硬さの測定−
鋼線材の長手方向に500mm間隔で4箇所からサンプルを採取し、横断面(各サンプルの一端における切断面)を鏡面研磨した後、図2に示すように外周部(表面)から中心方向に40μmの位置を円周方向に45°毎に荷重0.98Nでマイクロビッカース硬さを測定する。測定数は1断面につき、8箇所のため、合計の測定数32箇所(4断面×8箇所)でのビッカース硬さの平均値を、表面近傍のビッカース硬さの平均値Bとする。ビッカース硬さの測定方法は、JIS Z 2244(2009)記載の方法に準拠する。
また、表面近傍のビッカース硬さの標準偏差σは、この32箇所でのビッカース硬さから、母集団の標準偏差を求める方法によって、標準偏差σを算出する。
<金属組織の測定>
鋼線材の金属組織について、以下の方法により測定した。
まず、鋼線材の長手方向に垂直に切断した断面(横断面)を鏡面研磨した後、ピクリン酸とエタノールとの混合溶液ピクラール(アルコール100mlに対しピクリン酸4g)に20〜30秒浸漬させて腐食する。次に、この腐食面の組織を電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM:Field Emmission−Scanning Electron Microscope、例えば、日本電子社製JSM−7100F)を用いて、倍率5000倍で撮影する。
図3は、鋼線材の横断面において金属組織の測定位置を説明する図である。撮影箇所は、中心部Aで1箇所、鋼線材10の半径をrとして、表面からの距離がr/2である円上を中心として4箇所(図3に示す円C1上における略90°間隔の任意の位置)、表面からr/4の円上を中心として5箇所(図3に示す円C2上における略70°間隔の任意の位置)である。なお、1視野当りの面積は、3.6×10−4mm(縦18μm、横20μm)である。次いで、その写真を用いて、画像解析(ニレコ社製LUZEX)によりパーライト以外の面積率(%)を求める。100からパーライト以外の面積率を除いた値をパーライトの面積率とする。
合計10箇所についてそれぞれパーライトの面積率を求め、算術平均した値をパーライトの面積率とする。
なお、パーライトは、フェライト相(α)とセメンタイト相(FeC)とが交互に連続して層状に積層した組織である。パーライトと同様にフェライト相(α)とセメンタイト相(FeC)を含む組織として、ベイナイトがあるが、ベイナイトはフェライト相(α)とセメンタイト相(FeC)とが交互に層状に積層した組織ではないため、パーライトはこれらの組織とはSEM写真によって区別することができる。
また、初析セメンタイトは、旧オーステナイトの結晶粒界に析出したセメンタイトであり、SEM写真によって他の組織と識別することができる。
[鋼線の製造]
上記の熱間圧延後の鋼線材について、通常の方法で脱スケール、潤滑処理を行った後、各ダイスでの減面率が平均で18%となるパススケジュールで、直径1.5〜1.3mmまで乾式で伸線加工を行った。このようにして得た中間鋼線について、アルゴンガス雰囲気の管状炉を用いて、950〜980℃に加熱した。この温度域に到達してから2〜5秒保持後、0.5〜0.8秒以内に、590℃の鉛浴温度の鉛浴に10秒浸漬して、パテンティング処理を行った。
次にブラスめっきを行った。さらに、各ダイスでの減面率が平均で15%となるパススケジュールで、直径0.20mmまで、湿式伸線加工、およびその後に鋼線の直線性を向上することを目的に矯正加工を行った。
<引張り強さの測定>
このように得た鋼線の端部から約1m長さのところから、1m毎に長さ240mmを3本採取する。その3本を用いてクロスヘッドスピードを10mm/min、治具間を100mmとして、引張り試験を行い、各サンプルの引張り強さを測定する。この3本の引張り強さの平均値を鋼線の引張り強さとする。
また、引張り試験用のサンプルを採取後の鋼線の端部から約1m長さのところから1m毎に長さ100mmを25本採取する。その25本を用いて、以下に示す条件での捻り試験を1本ずつ、25回行い、1本でも断線する前に一旦トルクが減少した場合には、「デラミネーションが生じた」と判断した。
−捻り試験条件−
チャック間距離:ワイヤ直径×100
回転速度:15rpm
軸方向荷重:引張り試験での破断荷重×0.01
判定方法:.捻りトルク−ねじり角度曲線を測定し、破断するねじり角度の1/2より前にトルクが急激に低下する場合、デラミネーションが発生したと判定。
Figure 2021161445
表3に示されるように、本開示で規定する条件から外れた試験番号では、前記した少なくとも1つの特性が目標とする値に達していない。
それに対し、本開示で規定する条件をすべて満たす試験番号は、前記したすべての特性が目標とする値に達している。
10 鋼線材
A 鋼線材のC断面における中心部
r 鋼線材の半径
C1 C断面において鋼線材の表面からの距離がr/2である円
C2 C断面において鋼線材の表面からr/4の円

Claims (3)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.80%以上1.10%以下、
    Si:0.10%以上1.00%以下、
    Mn:0.20%以上1.00%以下、
    Al:0.003%以下、
    N:0.0090%以下、
    O:0.0040%以下、
    P:0.025%以下、
    S:0.015%以下、並びに、
    残部:Fe及び不純物元素、からなり、
    3.0mm以上6.0mm以下の直径を有し、
    長手方向に垂直な断面のうち、半径をrとした場合の中心から3r/4以内の領域において試験力9.81Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をAとし、外周部から中心方向に40μmの位置において試験力0.98Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をB及び標準偏差をσとした場合に、下記式(1)〜(3)を全て満たす鋼線材。
    280≦A≦460 ・・・式(1)
    30<A−B≦70 ・・・式(2)
    0≦σ≦20 ・・・式(3)
  2. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
    Cr:0.60%以下、
    Cu:0.80%以下、
    Ni:0.50%以下、
    Mo:0.20%以下、及び
    V:0.15%以下、
    からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1に記載の鋼線材。
  3. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
    Ti:0.020%以下、
    Nb:0.020%以下、
    B:0.0030%以下、
    REM:0.030%以下、
    Mg:0.030%以下、
    Ca:0.030%以下、
    Zr:0.020%以下、及び
    W:0.10%以下、
    からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1又は請求項2に記載の鋼線材。
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