JP2021161444A - 伸線加工用鋼線材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイヤロープ等の素材として好適な高い強度を有する鋼線を、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制してより安定して製造し得る伸線加工用鋼線材を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.80〜1.10%、Si:0.35〜2.00%、Mn:0.30〜1.20%、Al:0.005〜0.050%、P:0.030%以下、S:0.015%以下、N:0.0100%以下、及びO:0.0020%以下を含み、残部がFe及び不純物からなり、金属組織が、鋼線材の長手方向に垂直な断面において、パーライトの面積率が95%以上、且つ初析セメンタイトの面積率が0.50%以下であり、内部領域のビッカース硬さの平均値をA、表面近傍のビッカース硬さの平均値をB及び標準偏差をσとした場合に、下記式を全て満たす伸線加工用鋼線材。360≦A≦48030<A−B≦700≦σ≦20【選択図】なし

Description

本開示は、伸線加工用鋼線材に関する。
送電線用ケーブルや吊り橋用ケーブル等の各種ワイヤロープでは、軽量化や工事期間の短縮等の要求に対応するため、高強度化が強く望まれている。ワイヤロープの高強度化に伴って、ワイヤロープの素材として使用される鋼線においても、高強度化の要求が高まっている。
鋼線は、一般に鋼線材に伸線加工を行うことにより製造されている。このようにして得られた鋼線は、必要に応じてめっきを施した後、撚り線加工を行うか、平行に束ねることにより複数本からなるワイヤロープ等になる。
高強度な鋼線を用いて撚り線加工を行って製造されるワイヤロープを工業的に安定して製造するための課題の一つは、撚り加工時の割れ発生や断線を抑制することである。撚り加工時の典型的な割れの形態は、ワイヤの長手方向に沿ったものであり、デラミネーション、あるいは縦割れと呼ばれる。
撚り加工時のデラミネーション(縦割れ)を抑制する従来の技術としては、例えば、特許文献1〜3に記載の技術がある。
特許文献1には、共析鋼または過共析鋼であり、パーライト組織が80%以上のミクロ組織を有し、且つ第2相をなすフェライトの最大長さが10μm以下にすることで、優れた捻回特性を有する伸線加工用線材が開示されている。
特許文献2には、C:0.88%〜1.10%などを含み、さらに、B:0.0050%以下及びNb:0.020%以下の1種または2種を含み、かつ、フリーNを0.0005%未満にすることで、耐縦割れ性に優れた高炭素鋼線材が開示されている。
特許文献3には、所定の線径、成分を有し、表層部のC含有量が、中心部におけるC含有量の40%以上95%以下であり、表層部の厚さの中心におけるラメラセメンタイトの厚さの中心部におけるラメラセメンタイトの厚さに対する割合が95%以下であり、デラミネーション現象に起因する割れ等を防止できるスチールコード用線材が開示されている。
特開2002−146479号公報 特開2005−163082号公報 国際公開第2015/163407号
しかし、高い引張り強さを有する鋼線を用いて撚り線加工を行って製造されるワイヤロープ等を得るための鋼線材は、撚り線加工性がより優れ、かつ、撚り線加工時の割れ発生や断線を工業レベルでより安定して抑制することが望ましい。
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ワイヤロープ等の素材として好適な高い強度を有する鋼線を、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制してより安定して製造し得る伸線加工用鋼線材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 化学組成が、質量%で、
C:0.80〜1.10%、
Si:0.35〜2.00%、
Mn:0.30〜1.20%、
Al:0.005〜0.050%、
P:0.030%以下、
S:0.015%以下、
N:0.0100%以下、及び
O:0.0020%以下を含み、
残部がFe及び不純物からなり、
金属組織が、鋼線材の長手方向に垂直な断面において、パーライトの面積率が95%以上、且つ初析セメンタイトの面積率が0.50%以下であり、
長手方向に垂直な断面のうち、半径をrとした場合の中心から3r/4以内の領域において試験力9.81Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をAとし、外周部から中心方向に40μmの位置において試験力0.98Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をB及び標準偏差をσとした場合に、下記式(1)〜(3)を全て満たす伸線加工用鋼線材。
360≦A≦480 ・・・式(1)
30<A−B≦70 ・・・式(2)
0≦σ≦20 ・・・式(3)
<2> 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Cr:0.40%以下、
Cu:0.80%以下、
Ni:0.50%以下、
Mo:0.20%以下、及び
V:0.15%以下、
からなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含む、請求項1に記載の伸線加工用鋼線材。
<3> 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Ti:0.050%以下、
Nb:0.050%以下、
B:0.0030%以下、
REM:0.030%以下、
Mg:0.030%以下、
Ca:0.030%以下、
Zr:0.020%以下、及び
W:0.10%以下
からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1又は請求項2に記載の伸線加工用鋼線材。
本開示によれば、ワイヤロープ等の素材として好適な高い強度を有する鋼線を、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制してより安定して製造し得る伸線加工用鋼線材が提供される。
金属組織の一例を示すSEM画像である。 鋼線材のC断面のうち、内部領域においてビッカース硬さを測定する位置を説明する図である。 鋼線材のC断面のうち、表面近傍のビッカース硬さを測定する位置を説明する図である。 鋼線材のC断面において金属組織の測定位置を説明する図面である。
以下、本開示の一実施形態に係る伸線加工用鋼線材(本開示において単に「鋼線材」と記す場合がある。)について詳しく説明する。
以下の説明において、化学組成における「%」は、質量%を意味する。
「〜」を用いて表される数値範囲は、特に指定しない限り、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、「〜」の前後に記載される数値に「超」または「未満」が付されている場合の数値範囲は、これら数値を下限値または上限値として含まない範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階的な数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋼線材の硬さ分布が、鋼線の撚り加工時の割れ発生や断線に及ぼす影響について調査・研究を重ね、その結果を仔細に解析して検討し、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)鋼線の撚り加工時の割れの破壊起点は、大半が表面である。そのため、表面近傍の特性が大きく影響する。表面近傍を内部より相対的に軟質化させると、表面近傍の変形能が向上し、撚り線加工中の割れ発生や断線が抑制される。
(b)より良好な撚り線加工性を得るためには、鋼線の表面近傍の硬さばらつきが小さい必要がある。
(c)鋼線材の平均硬さが高過ぎると、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制できなくなる。
(d)パーライト以外の組織、特に初析セメンタイト量が多いと、撚り線加工中の割れ発生や断線が生じやすくなる。
本発明者らは、これらの(a)〜(d)の知見に基づいて、さらに詳細な実験・研究を重ねた。その結果、伸線加工用鋼線材の化学組成、平均硬さ、表面近傍の硬さやばらつき、平均硬さと表面近傍の硬さとの差、鋼線材の長手方向に垂直に切断した断面(本開示において「C断面」と称する場合がある。)におけるパーライトの面積率及び初析セメンタイトの面積率を適切な範囲内に調整することによって、前記課題を解決できることを見出し、本開示をなすに至った。
本開示に係る伸線加工用鋼線材は、伸線加工を行うことにより、送電線用ケーブルや吊り橋用ケーブル等の各種ワイヤロープ等の素材として好適な鋼線が得られる伸線加工用の鋼線材である。
ワイヤロープの素材に用いられる鋼線の引張り強さは、鋼線の直径によって異なるが、例えば、直径が1.6〜2.0mmの場合には、引張り強さが2250MPa以上であることが好ましく、2350MPa以上であることがより好ましく、2450MPa以上であることがさらに好ましい。また、鋼線の直径が5.0〜7.0mmの場合には、引張り強さが1850MPa以上であることが好ましい。
以後、引張り強さに関する数値の記載は、鋼線の直径が1.6〜2.0mmを前提として説明するが、本開示に係る鋼線材は、伸線加工によって直径1.6〜2.0mmの鋼線を製造するための鋼線材に限定されず、本開示に係る鋼線材の直径及び伸線加工後の鋼線の直径は、用途等に応じて選択すればよい。
まず、本開示に係る伸線加工用鋼線材の化学組成について詳細に説明する。
<化学組成>
C(炭素):0.80〜1.10%
Cは、鋼線材、及び伸線加工後に得られる鋼線の引張り強さを高めるために有効な成分である。しかし、Cの含有量が0.80%未満であると、引張り強さが不足する。このため、鋼線材を伸線加工することにより得られる鋼線に、例えば引張り強さで2250MPa以上の高い引張り強さを安定して付与することが困難となる。また、2350MPa以上の引張り強さの鋼線を得るためには、鋼線材のC含有量を0.90%以上にすることが望ましい。
一方、鋼線材のC含有量が多過ぎると、鋼線材が硬質化して、撚り線加工性が低下する。鋼線材のC含有量が1.10%を超えると、初析セメンタイト(旧オ−ステナイト粒界に沿って析出するセメンタイト)の生成を抑制することが工業的に困難になり、他の要件を満たしていても、目標とする捻り試験結果が得られない。したがって、鋼線材のC含有量は0.80〜1.10%の範囲内と定めた。より高い引張り強さと捻り特性を得るため、鋼線材のC含有量は、0.85%以上1.05%以下であることが好ましく、より好ましくは0.90%以上1.00%以下である。
Si(珪素):0.35〜2.00%
Siは、鋼線材、及び伸線加工後に得られる鋼線の引張り強さを高めるのに有効な成分である。しかし、鋼線材のSi含有量が0.35%未満では、例えば引張り強さで1850MPa以上の高い引張り強さを安定して付与することが困難となる。
一方、鋼線材のSi含有量が2.00%を超えると、他の要件を満たしていても、目標とする捻り試験結果が得られない。そこで、鋼線材のSiの含有量は0.35〜2.00%の範囲内と定めた。また、より高い引張り強さと捻り特性を得るためには、鋼線材のSi含有量を0.50%以上1.60%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.70%以上1.40%以下である。
Mn(マンガン):0.30〜1.20%
Mnは、鋼線材、及び伸線加工後に得られる鋼線の引張り強さを高めるのに有効な成分である。また、Mnは、鋼中のSをMnSとして固定して、熱間脆性を防止する作用を有する成分である。しかし、鋼線材のMn含有量が0.30%未満では、Mnを含有することによる効果が十分に得られない。
一方、鋼線材に1.20%を超えてMnを含有させると、他の要件を満たしていても、目標とする捻り試験結果が得られない。そこで、鋼線材のMn含有量は0.30〜1.20%の範囲内と定めた。また、より高い引張り強さと捻り特性を得るためには、鋼線材のMn含有量を0.60%以上1.00%以下にすることが好ましい。
Al(アルミニウム):0.005%〜0.050%
Alは、脱酸作用を有する元素であり、鋼線材中の酸素量低減のために必要である。しかし、鋼線材のAl含有量が0.005%未満では、Alを含有することによる効果が得難い。
一方で、Alは、硬質な酸化物系介在物を形成し易い元素である。鋼線材のAl含有量が0.050%を超えると、粗大な酸化物系介在物が著しく形成され易くなり、伸線加工性の低下が顕著になる。したがって、鋼線材のAlの含有量を0.005〜0.050%とする。Al含有量の好ましい下限は0.010%であり、より好ましい下限は0.020%である。Al含有量の好ましい上限は0.040%であり、より好ましい上限は0.030%である。
更に、本開示による鋼線材においては、上記で説明した成分に加え、Cr、Cu,Ni、Mo、V、Ti、Nb、B、REM、Mg、Ca、Zr、Wのうち、1種または2種以上を含有させてもよいし、含有させなくてもよい。
例えば、本開示に係る鋼線材は、鋼線の引張り強さを高める効果を得るため、Cr、Cu,Ni、Mo、V、Ti、Nb、及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含んでもよい。
また、本開示に係る鋼線材は、鋼線の捻回特性を高める効果を得るため、REM、Mg、Ca、Zr、及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含んでもよい。
Cr(クロム):0.40%以下
Crの含有は任意である。Crは、鋼線材、及び伸線加工後に得られる鋼線の引張り強さを高める作用がある。引張り強さが1950MPa以上の鋼線を安定して得るためには、0.10%以上のCr含有量にすることが好ましい。しかし、鋼線材のCr含有量が0.40%を越えると、撚り線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にCrを積極的に含有する場合のCr含有量は0.10〜0.40%の範囲内が好ましい。より好ましいCr含有量は0.30%以下である。
Cu(銅):0.80%以下
Cuの含有は任意である。Cuは、鋼線材、及び伸線加工後に得られる鋼線の耐食性を高める作用がある。その効果を安定して得るためには、0.10%以上のCu含有量が必要である。しかし、鋼線材のCu含有量が0.80%を越えると、伸線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にCuを積極的に含有する場合のCu含有量は0.10〜0.80%の範囲内が好ましい。より好ましいCu含有量は0.50%以下である。
Ni(ニッケル):0.50%以下
Niの含有は任意である。Niは、鋼線材、及び伸線加工後に得られる鋼線の引張り強さを高める作用がある。引張り強さが1950MPa以上の鋼線を安定して得るためには、0.10%以上のNi含有量にすることが好ましい。しかし、鋼線材のNi含有量が0.50%を越えても、その効果は飽和する。したがって、鋼線材中にNiを積極的に含有する場合のNi含有量は0.10〜0.50%の範囲内が好ましい。より好ましいNi含有量は0.40%以下である。
Mo(モリブデン):0.20%以下
Moの含有は任意である。Moは、鋼線材、及び伸線加工後に得られる鋼線の引張り強さを高める作用がある。引張り強さが1950MPa以上の鋼線を安定して得るためには、0.05%以上のMo含有量にすることが好ましい。しかし、鋼線材のMo含有量が0.20%を越えると、撚り線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にMoを積極的に含有する場合のMo含有量は0.05〜0.20%の範囲内が好ましい。より好ましいMo含有量は0.15%以下である。
V(バナジウム):0.15%以下
Vの含有は任意である。Vは、鋼線材、及び伸線加工後に得られる鋼線の引張り強さを高める作用がある。引張り強さが1950MPa以上の鋼線を安定して得るためには、鋼線材のV含有量を0.02%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のV含有量が0.15%を超えると、撚り線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にVを積極的に含有する場合の鋼線材のV含有量は0.02〜0.15%が好ましい。より好ましいV含有量は0.08%以下である。
Ti(チタン):0.050%以下
Tiの含有は任意である。Tiは、鋼線材中に炭化物又は炭窒化物を形成して、撚り線加工性を高める作用がある。この効果を得るには、鋼線材のTi含有量を0.002%以上にすることが好ましい。捻り特性をより高める観点から、鋼線材のTi含有量を0.005%以上とすることがより好ましい。しかし、鋼線材のTi含有量が0.050%を超えると、粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、伸線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にTiを積極的に含有する場合の鋼線材のTi含有量は0.002〜0.050%とすることが好ましい。より好ましいTi含有量は0.005〜0.030%である。
Nb(ニオブ):0.050%以下
Nbの含有は任意である。Nbは、鋼線材中に炭化物又は炭窒化物を形成して、撚り線加工性を高める作用がある。この効果を得るには、鋼線材のNb含有量を0.002%以上にすることが好ましい。撚り線加工性をより高める観点から、鋼線材のNb含有量を0.005%以上とすることがより好ましい。しかし、鋼線材のNb含有量が0.050%を超えると、粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、伸線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にNbを積極的に含有する場合の鋼線材のNb含有量は0.002〜0.050%が好ましい。より好ましいNb含有量は0.005〜0.030%以下である。
B(硼素):0.0030%以下
Bの含有は任意である。Bは撚り線加工性を高める作用がある。この効果を得るには、鋼線材のB含有量を0.0003%以上にすることが好ましい。撚り線加工性をより高める観点から、鋼線材のB含有量を0.0007%以上とすることがより好ましい。しかし、鋼線材のB含有量が0.0030%を超えると、粗大な炭化物が形成され易くなり、伸線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にBを積極的に含有する場合の鋼線材のBの含有量は0.0003〜0.0030%が好ましい。より好ましいB含有量は0.0007〜0.0020%である。
REM(希土類元素):0.030%以下
REMの含有は任意である。REMを含有すれば、高い撚り線加工性を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のREM含有量を0.002%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のREM含有量が0.030%を超えると、その効果が飽和する。したがって、REMを積極的に含有する場合、鋼線材のREM含有量は0.002〜0.030%とすることが好ましい。
なお、REMとは、Sc、Y、およびランタノイドの合計17元素を指し、REM含有量とは、REMが1種の場合はその含有量、2種以上の場合はそれらの合計含有量を指す。
Mg(マグネシウム):0.030%以下
Mgの含有は任意である。Mgを含有すれば、高い撚り線加工性を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のMg含有量を0.002%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のMg含有量が0.030%を超えると、その効果が飽和する。したがって、鋼線材中にMgを積極的に含有する場合の鋼線材のMg含有量は0.002〜0.030%とすることが好ましい。
Ca(カルシウム):0.030%以下
Caの含有は任意である。Caを含有すれば、高い撚り線加工性を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のCa含有量を0.002%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のCa含有量が0.030%を超えると、その効果が飽和する。したがって、鋼線材中にCaを積極的に含有する場合の鋼線材のCa含有量は0.002〜0.030%とすることが好ましい。
Zr(ジルコニウム):0.020%以下
Zrの含有は任意である。Zrを含有すれば、高い撚り線加工性を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のZr含有量を0.002%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のZr含有量が0.020%を超えると、粗大な炭化物又は炭窒化物が形成され易くなり、伸線加工性が低下する。したがって、鋼線材中にZrを積極的に含有する場合の鋼線材のZr含有量は0.002〜0.020%が好ましい。
W(タングステン):0.10%以下
Wの含有は任意である。Wを含有すれば、高い撚り線加工性を、より安定して発揮することができる。この効果を得るには、鋼線材のW含有量を0.02%以上にすることが好ましい。しかし、鋼線材のW含有量が0.10%を超えると、その効果が飽和する。したがって、鋼線材中にWを積極的に含有する場合の鋼線材のW含有量は0.02〜0.10%とすることが好ましい。
以上の各元素以外の残部は、基本的には、Fe及び不純物である。本開示に係る鋼線材においては、不純物として含まれるP、S、N、Oの含有量を下記の通りに規制する。
P(リン):0.030%以下
Pは、鋼線材の粒界に偏析して伸線加工性を低下させてしまう元素である。しかし、鋼線材のP含有量が0.030%以下であれば、撚り加工性の低下が抑制され、他の要件も満たすことで、目標とする捻り試験結果が得られる。そこで、鋼線材のP含有量は0.030%以下に規制する。P含有量の上限は0.025%であることが好ましく、より好ましくは0.020%以下である。なお、P含有量の下限は限定されず、0%(つまり含まないこと)がよいが、脱Pコストを低減する観点から、0%超であってもよく、0.001%以上であってもよい。
S(硫黄):0.015%以下
Sは、撚り線加工性を低下させてしまう元素である。しかし、鋼線材のS含有量が0.015%以下であれば、他の要件も満たすことで、目標とする捻り試験結果が得られる。このことから、鋼線材のS含有量は0.015%以下に規制する。S含有量の好ましい上限は0.010%である。なお、S含有量の下限は限定されないが、脱Sコストを低減する観点から、0%超であってもよく、0.001%以上であってもよい。
N(窒素):0.0100%以下
Nは、撚り線加工性を低下させてしまう元素である。しかし、鋼線材のN含有量が0.010%以下であれば、他の要件も満たすことで、目標とする捻り試験結果が得られる。このことから、鋼線材のN含有量は0.0100%以下に規制する。N含有量の好ましい上限は0.0070%である。なお、N含有量の下限は限定されないが、精錬コストを低減する観点から、0%超であってもよく、0.0001%以上であってもよい。
O(酸素):0.0020%以下
Oは、鋼線材中で酸化物系介在物を形成し易い元素である。しかし、鋼線材のO含有量が0.0020%以下であれば、酸化物系介在物が粗大化することが抑制され、伸線加工性の低下を抑制することができる。したがって、鋼線材のO含有量を0.0020%以下とする。O含有量の好ましい上限は0.0015%であり、より好ましい上限は0.0010%である。なお、O含有量の下限は限定されないが、精錬コストを低減する観点から、0%超であってもよく、0.0001%以上であってもよい。
本開示に係る鋼線材の残部は、Feおよび不純物元素である。ここで、不純物元素とは、鋼を工業的に製造する際に、意図的に含有させた元素ではなく、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本開示に係る鋼線材の効果や特性に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
また、本開示に係る鋼線材は、本開示における効果を妨げない範囲で、すなわち、ワイヤロープ等の素材として好適な高い強度を有する鋼線を、撚り線加工中の割れ発生や断線を抑制してより安定して製造することができれば、前述した元素及び不純物元素以外に、他の元素を含有することも許容される。
<ビッカース硬さ>
本開示に係る鋼線材のC断面(長手方向に垂直な断面)における硬さは、半径をrとした場合の中心から3r/4以内の領域(以下、「内部領域」と称する場合がある。)において試験力9.81Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をA、外周部から中心方向に40μmの位置(以下、「表面近傍」と称する場合がある。)において試験力0.98Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をB及び標準偏差をσとした場合に、下記式(1)〜(3)を全て満たす。
(1)360≦A≦480
鋼線材の内部領域においてビッカース硬さを荷重9.81Nで測定した時、ビッカース硬さの平均値Aが360を下回ると、最終製品で求められる引張り強さ(例えば2250MPa以上)を安定して付与させることが困難である。
一方、鋼線材の硬さが高すぎると、伸線加工時に微小な割れが発生しやすくなり、鋼線材の内部領域において、ビッカース硬さを荷重9.81Nで測定した時、ビッカース硬さの平均値Aが500を超えると、他の要件を満たしていても、目標とする捻り試験結果を得ることができない。そこで、内部領域のビッカース硬さの平均値Aは360〜480の範囲内とし、好ましくは380〜460である。
(2)30<A−B≦70
鋼線材の平均硬さに比べて、表面近傍の硬さが高いと、鋼線の撚り線加工性が低下する。また、鋼線材の平均硬さに比べて、表面近傍の硬さが大幅に低いと、鋼線の撚り線加工性が低下する。鋼線材の内部領域の硬さと表面近傍の硬さの差、すなわち、「A−B」が30超、および70以下を満たし、他の要件も満たす場合に、本開示で目標とする鋼線の捻り試験結果を得ることができる。好ましくは「A−B」が35以上、60以下である。
(3)0≦σ≦20
鋼線材の表面近傍において、ビッカース硬さのばらつきが大きくなると、鋼線の撚り線加工性が低下する。表面近傍のビッカース硬さの標準偏差σが0〜20を満たし、他の要件も満たす場合に、本開示で目標とする鋼線の捻り試験結果を得ることができる。表面近傍のビッカース硬さの標準偏差σは、好ましくは0〜15であり、より好ましくは0〜12である。
鋼線材の内部領域および表面近傍のビッカース硬さは、鋼線材の長手方向に500mm間隔で4箇所からサンプルを採取し、各サンプルのC断面(各サンプルの一端における切断面)で測定する。測定方法の詳細は実施例で説明する。
なお、例えば1本の鋼線材の4箇所から採取した一部のサンプル(C断面)については式(1)〜(3)の関係を満たさない場合であっても、上記のように4箇所のC断面について測定して算出したビッカース硬さの平均値及び標準偏差が式(1)〜(3)の関係を満たせば、本開示に係る鋼線材に含まれる。
<鋼線材のミクロ組織(金属組織)>
次に、本開示に係る鋼線材のミクロ組織(金属組織)及び特性について説明する。
パーライトの面積率:95%以上
初析セメンタイトの面積率:0.50%以下
本開示に係る鋼線材の金属組織は、鋼線材の長手方向に垂直な断面において、パーライトの面積率が95%以上及び初析セメンタイトの面積率が0.50%以下を満たす必要がある。このような金属組織を有する鋼線材は、加工硬化能が大きく、伸線加工によって小さな加工量で高強度化が可能であると同時に、引張り強さが2250MPa以上であっても、安定して良好な撚り線加工性を得ることができる。伸線加工による高強度化の観点から、本開示に係る鋼線材のパーライトの面積率は、97%以上であることが好ましく、100%であってもよい。
本開示に係る鋼線材の金属組織は、パーライト以外の残部組織として、初析セメンタイト(面積率0.50%以下)、粒界フェライト、ベイナイト及びマルテンサイトから選ばれる1種又は2種以上を含有してもよいが、マルテンサイト組織を含まないことが好ましい。
金属組織の測定は、鋼線材のC断面を電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM:Field Emmission−Scanning Electron Microscope、例えば、日本電子社製JSM−7100F)によって撮影した写真を画像解析して行う。測定方法の詳細は実施例で説明する。
なお、パーライトは、フェライト相(α)とセメンタイト相(FeC)とが交互に連続して層状に積層した組織である。パーライトと同様にフェライト相(α)とセメンタイト相(FeC)を含む組織として、ベイナイトがあるが、ベイナイトはフェライト相(α)とセメンタイト相(FeC)とが交互に層状に積層した組織ではないため、パーライトはこれらの組織とはSEM写真によって区別することができる。
また、初析セメンタイトは、旧オーステナイトの結晶粒界に析出したセメンタイトであり、SEM写真によって他の組織と識別することができる。図1にパーライト以外の組織である粒界フェライト、マルテンサイト、初析セメンタイト、ベイナイトを含む視野のFE−SEM写真の一例を示した。
<鋼線材の製造方法>
次に、本開示に係る伸線加工用鋼線材を製造する方法の一例について説明する。なお、本開示に係る鋼線材を製造する方法は、以下に説明する方法に限られない。
本開示に係る鋼線材を製造する場合、化学組成、および硬さの各条件を確実に満たし得るように、化学組成、目標性能、線径等に応じて、各製造工程における条件を設定する。
本開示に係る鋼線材の製造方法の一例として、C:0.80〜1.10%、Si:0.35〜2.00%、Mn:0.30〜1.20%、Al:0.005%〜0.050%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、不純物として、P:0.030%以下、S:0.015%以下、N:0.0100%以下、及びO:0.0020%以下を含有する鋼を用いた場合について説明する。
鋼を鋳造する方法として、例えば、連続鋳造を行う場合、転炉によって溶製した後、溶鋼の電磁攪拌を十分に行い、さらに凝固途中で圧下を行うことにより鋳片を得る方法が挙げられる。
次に、鋳造した鋳片を、1250〜1280℃で6〜10時間加熱し、炉外で500℃以下まで冷却する。次いで、鋳片を1200〜1250℃に加熱した後、分塊圧延することにより鋼片を得る。
以上の方法で製造した鋼片の表面を0.2〜0.5mm研削した後、1050〜1100℃になるように加熱し、仕上げ温度を900〜950℃として熱間圧延を行う。仕上げ圧延後の鋼線材は、水冷と大気による風冷とを組み合わせて、平均冷却速度30℃/秒以上で750〜790℃の範囲内に冷却した後、5秒以内に温度調整の可能な2槽からなる溶融塩(ソルト浴)に浸漬する。その際、1槽目を530〜550℃、2槽目を550〜570℃とする。
なお、本開示において、熱間圧延に用いる加熱炉内における鋼片の温度とは、鋼片の表面温度を指す。また、本開示における仕上げ圧延温度とは、仕上げ圧延直後の鋼線材の表面温度を指す。仕上げ圧延後の平均冷却速度とは、仕上げ圧延後の鋼線材の表面冷却速度を指す。なお、鋼片および鋼線材の表面温度は、放射温度計によって測定することができる。
上記工程を経て製造し得る本開示に係る鋼線材を、鋼線の引張り強さが例えば2250MPa以上まで伸線加工を行ってから、撚り線加工を行っても、縦割れや断線を抑制でき、安定してワイヤロープ等を製造することができる。
次に、本開示の実施例について説明する。実施例の条件は、本開示に係る鋼線材の製造の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例である。本開示に係る伸線加工用鋼線材は、この一条件例に限定されるものではない。本開示は、本開示の要旨を逸脱せず、本開示の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
<鋼線材の製造>
表1に示す成分組成(化学組成)の鋼A1〜F2を、転炉によって溶製した後、連続鋳造した。鋳造の際の条件も表1中に示した。また、各鋼の化学組成の測定は、以下に記載の方法に準拠して行った。
C JIS G 1211:2011
Si、Mn、P、Cr、Cu、Ni、Mo、V、Ti、Nb、Al、B、REM、Ca、Mg、Zr、W JIS G 1253:2002
S JIS G 1215:2010
N JIS G 1228:1997
O JIS G 1239:2014
Figure 2021161444
次に、表1中に示す条件で加熱した後、分塊圧延によって122mm角の鋼片を得た後、表2に示す条件で熱間圧延を行い、鋼線材を製造した。
Figure 2021161444
表1および表2の各条件で製造した鋼線材について、以下に示す方法で、ビッカース硬さの平均値、ビッカース硬さの標準偏差、およびパーライトの面積率、初析セメンタイトの面積率を求め、表3中に示した。具体的な測定方法は次の通りとした。
<内部領域におけるビッカース硬さの測定>
鋼線材の長手方向に500mm間隔で4箇所からサンプルを採取し、C断面(各サンプルの一端における切断面)を鏡面研磨した後、荷重9.81Nでマイクロビッカース硬さを測定する。測定箇所は図2に示すように、「r/3」(r:鋼線材の半径)の間隔で1断面につき、21箇所測定する。図2におけるひし形マーク(◇)が測定箇所を意味する。このように測定した84箇所(4断面×21箇所)でのビッカース硬さの平均値を、ビッカース硬さの平均値Aとする。ビッカース硬さの測定は、JIS Z 2244(2009)記載の方法に準拠する。
<表面近傍におけるビッカース硬さの測定>
鋼線材の長手方向に500mm間隔で4箇所からサンプルを採取し、C断面(各サンプルの一端における切断面)を鏡面研磨した後、図3に示すように外周部から中心方向に40μmの位置を円周方向に45°毎に荷重0.98Nでマイクロビッカース硬さを測定する。測定数は1断面につき、8箇所のため、合計の測定数32箇所(4断面×8箇所)でのビッカース硬さの平均値を、表面近傍のビッカース硬さの平均値Bとする。ビッカース硬さの測定方法は、JIS Z 2244(2009)記載の方法に準拠する。
また、表面近傍のビッカース硬さの標準偏差σは、この32箇所でのビッカース硬さから、母集団の標準偏差を求める方法によって、標準偏差σを算出する。
<金属組織の測定>
鋼線材の長手方向に垂直に切断した断面(C断面)を鏡面研磨した後、ピクリン酸とエタノールとの混合溶液ピクラール(アルコール100mlに対しピクリン酸4g)に20〜30秒浸漬させて腐食する。次に、この腐食面の組織を電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM:Field Emmission−Scanning Electron Microscope、日本電子社製JSM−7100F)を用いて、倍率5000倍で撮影する。
図4は、鋼線材のC断面において金属組織の測定位置を説明する図である。撮影箇所は、中心部Aで1箇所、鋼線材10の半径をrとして、表面からの距離がr/2である円上を中心として4箇所(図4に示す円C1上における略90°間隔の任意の位置)、表面からr/4の円上を中心として5箇所(図4に示す円C2上における略70°間隔の任意の位置)である。なお、1視野当りの面積は、3.6×10−4mm(縦18μm、横20μm)である。次いで、その写真を用いて、画像解析(ニレコ社製LUZEX)によりパーライト以外の面積率(%)を求める。100からパーライト以外の面積率を除いた値をパーライトの面積率とする。また、同様の画像解析により、初析セメンタイトの面積率を求めた。
合計10箇所についてそれぞれパーライトの面積率を求め、算術平均した値をパーライトの面積率とする。初析セメンタイトの面積率も同様に算術平均によって求めた。
<鋼線の製造>
次に、各鋼線材の表面に、リン酸亜鉛被膜を形成した。その後、リン酸亜鉛被膜で被覆された各鋼線材に、各ダイスでの減面率が平均で16%となるパススケジュールで、表3中に示す直径まで伸線加工を行ない、試験番号1〜50の鋼線を得た。
<引張り強さの測定>
鋼線材を伸線加工して得た鋼線の引張り試験に用いるサンプルは、鋼線の端部から約1/3長さのところから1m毎に長さ240mmを3本採取する。その3本を用いてクロスヘッドスピードを10mm/min、治具間を100mmとして、引張り試験を行い、各サンプルの引張り強さを測定する。この3本の引張り強さの平均値を鋼線の引張り強さとする。
鋼線の直径が1.6〜2.0mmの場合には、引張り強さが2250MPa以上であり、鋼線の直径が5.0〜7.0mmの場合には、引張り強さが1850MPa以上であれば、引張り強さが良好と判定した。
<捻り試験>
鋼線材を伸線加工して得た鋼線の引張り試験に用いるサンプルは、鋼線の端部から約1/3長さのところから1m毎に長さが直径×50+100mmを5本採取する。その5本を用いて以下の条件で捻り試験を1本ずつ、5回行い、5本のサンプルともにデラミネーションが発生しなかった場合、撚り線加工性が良好と判定した。
チャック間距離:ワイヤ直径×50
回転速度:2rpm
軸方向荷重:引張り試験での破断荷重×0.01
判定方法:捻りトルク−ねじり角度曲線を測定し、破断するねじり角度の1/2より前 にトルクが急激に低下する場合、デラミネーションが発生したと判定。

Figure 2021161444

表3から、本開示で規定する条件から外れた試験番号では、前記した少なくとも1つの特性が目標とする値に達していないことが明らかである。
それに対し、本開示で規定する条件をすべて満たす試験番号は、前記したすべての特性が目標とする値に達していることが明らかである。
以上、本開示の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本開示の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本開示の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。即ち、本開示は、前述した説明によって限定されることはなく、特許請求の範囲の記載によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることは勿論である。
10 鋼線材
A 鋼線材のC断面における中心部
r 鋼線材の半径
C1 C断面において鋼線材の表面からの距離がr/2である円
C2 C断面において鋼線材の表面からr/4の円

Claims (3)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.80〜1.10%、
    Si:0.35〜2.00%、
    Mn:0.30〜1.20%、
    Al:0.005〜0.050%、
    P:0.030%以下、
    S:0.015%以下、
    N:0.0100%以下、及び
    O:0.0020%以下を含み、
    残部がFe及び不純物からなり、
    金属組織が、鋼線材の長手方向に垂直な断面において、パーライトの面積率が95%以上、且つ初析セメンタイトの面積率が0.50%以下であり、
    長手方向に垂直な断面のうち、半径をrとした場合の中心から3r/4以内の領域において試験力9.81Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をAとし、外周部から中心方向に40μmの位置において試験力0.98Nで測定したときのビッカース硬さの平均値をB及び標準偏差をσとした場合に、下記式(1)〜(3)を全て満たす伸線加工用鋼線材。
    360≦A≦480 ・・・式(1)
    30<A−B≦70 ・・・式(2)
    0≦σ≦20 ・・・式(3)
  2. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
    Cr:0.40%以下、
    Cu:0.80%以下、
    Ni:0.50%以下、
    Mo:0.20%以下、及び
    V:0.15%以下、
    からなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含む、請求項1に記載の伸線加工用鋼線材。
  3. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
    Ti:0.050%以下、
    Nb:0.050%以下、
    B:0.0030%以下、
    REM:0.030%以下、
    Mg:0.030%以下、
    Ca:0.030%以下、
    Zr:0.020%以下、及び
    W:0.10%以下
    からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1又は請求項2に記載の伸線加工用鋼線材。
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