JP2017095788A - 伸線加工用熱間圧延線材 - Google Patents

伸線加工用熱間圧延線材 Download PDF

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Abstract

【課題】スチールコードの素材として好適な鋼線を、パテンティング処理を施すことなく、十分な加工量で伸線加工を行うことにより、安定して製造し得る伸線加工用熱間圧延線材を提供する。【解決手段】所定の成分組成を有し、フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率が90%以上である金属組織を有し、引張り強さが650〜800MPa、引張り試験の絞りが50%以上、直径が4.0〜6.0mmであり、長さ方向に直角な切断面における中心から直径の1/10までの中心部において、1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の最大値が、全体のMn濃度の2.0倍以下、中心部より外側の外周部において、1%以上のSおよび/または1%以上のOが存在しない領域のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)が2.0以下である伸線加工用熱間圧延線材とする。【選択図】なし

Description

本発明は、伸線加工用熱間圧延線材に関する。
スチールコードは、自動車のラジアルタイヤや各種のベルト、ホースの補強材などに用いられている。スチールコードの素材として用いられる細径高強度鋼線は、一般に、以下に示す工程を経て製造されている。熱間圧延した後に調整冷却して、線径(直径)が5〜6mmの熱間圧延線材を得る。次に、熱間圧延線材に一次伸線加工を行い、線径が3〜4mmの線材とする。続いて、線材に1次パテンティング処理を施してから二次伸線加工を行い、線径を1〜2mmとする。更に、線材に2次パテンティング処理とブラスメッキとを施してから最終湿式伸線加工を行い、線径0.1〜0.4mmの細径高強度鋼線(極細鋼線)とする。このようにして製造された細径高強度鋼線は、例えば撚り加工により複数本が撚り合わされて“撚り鋼線”とされ、スチールコードとなる。
細径高強度鋼線の製造工程において行うパテンティング処理とは、良く知られているように、以下に示す処理である。線材をオーステナイト温度領域に加熱して、線材の組織全体をオーステナイト組織とした後、A変態点以下の温度に保持された鉛浴、流動層などの中に浸漬して、パーライト組織が主体となる温度域まで急冷し、その温度域で所定の時間、保定する処理である。
従来、製造コストの低減およびCO削減の観点から、細径高強度鋼線の製造工程において、パテンティング処理の回数を減らすことが要望されている。既に、従来2回行われていたパテンティング処理を1回に減らす技術が広く実施されている。近年、このパテンティング処理を0回にする要望が産業界から出されている。
しかしながら、線径5〜6mmの熱間圧延線材を、パテンティング処理を行うことなく、線径0.1〜0.4mmにまで伸線すると、伸線加工中に断線が頻発する。
そのため、パテンティング処理を行うことなく安定して伸線加工を行うことにより、スチールコードの素材として好適な鋼線を製造できる伸線加工用熱間圧延線材が強く望まれている。
上記要望に応えるべく、例えば以下に示す特許文献1,2に記載の技術が提案されている。
特許文献1には、C:0.2〜0.6%、B:0.0003〜0.01%を含み、パーライト組織の面積率、初析フェライト量、アスペクト比が10以上であるラメラセメンタイトの数の割合が所定の範囲である高強度鋼線用線材が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の高強度鋼線用線材では、ラメラセメンタイトの厚さを配慮していない。このため、特許文献1に記載の技術は、伸線加工時の断線を安定して抑制する手段として満足できるものではなかった。
特許文献2には、C:0.35〜0.9%を含み、初析フェライトの面積率および伸線後の引張強さを所定の範囲としたゴム補強用鋼線の製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、実施例に記載されているように、伸線加工中にブルーイングと呼ばれる熱処理を行っており、伸線されて形成された伸長ラメラ組織が分断される。このため、伸線加工後に所定の強度を有する鋼線が得られにくく、鋼線の延性も劣化するという問題があった。
特開2014−55316号公報 特開平9−49018号公報
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであって、スチールコードの素材として好適な鋼線を、パテンティング処理を施すことなく、十分な加工量で伸線加工を行うことにより、安定して製造し得る伸線加工用熱間圧延線材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、線材の成分組成、ミクロ組織(金属組織)、引張り強さなどの機械的性質が、伸線加工中の断線および伸線加工後に得られる鋼線の機械的性質に及ぼす影響について、調査・研究を重ねた。その結果を仔細に解析して検討し、次の(a)〜(e)の知見を得た。
(a)伸線加工中の線材の断線抑制および伸線加工後に得られる鋼線の高強度化には、フェライトとパーライトとの混合組織を有する熱間圧延線材を用いることが有効である。
(b)Mnは、熱間圧延線材中に偏析しやすい元素である。特に、熱間圧延線材の中心部に正偏析(濃化)しやすい。そのため、熱間圧延線材の中心部は、強度が高くなりやすく、それに伴って変形能が低下する。さらに、熱間圧延線材の中心部には、伸線加工中に高い引張り応力がかかる。このことから、熱間圧延線材の中心部のMnの正偏析が大きいと、伸線加工中に断線しやすくなる。
(c)Mnは熱間圧延線材の中心部以外でも偏析しやすい。熱間圧延線材では、圧延長手方向からの断面で見ると、Mnがバンド状に偏析しやすく、初析フェライトがバンド状に生成しやすい。そのため、伸線加工によって線材中の集合組織の発達が促進されて、伸線加工後に得られる鋼線の延性が不足する場合がある。
(d)熱間圧延線材の引張り強さが過度に高いと、伸線加工中に断線しやすくなる。一方、熱間圧延線材の引張り強さが低すぎると、伸線加工後に得られる鋼線の引張り強さが不十分になる。
(e)伸線加工中の線材の断線を抑制するには、熱間圧延線材の引張り試験での絞りを高めるのがよい。特に、熱間圧延線材の絞りの最小値を高めると、伸線加工中の線材の断線を安定して抑制できる。
本発明者らは、これらの(a)〜(e)の知見に基づいて、さらに詳細な実験・研究を重ねた。その結果、熱間圧延線材の成分組成、フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率、引張り強さと絞り、直径、Mn偏析を、それぞれ適切に調整すればよいことを見出した。そして、これら各項目が適切な範囲内である熱間圧延線材によれば、上記課題を解決でき、スチールコードの素材として好適な鋼線を、パテンティング処理を施すことなく、十分な加工量で伸線加工を行うことにより、安定して製造できることを確認し、本発明を想到した。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C:0.30〜0.50%、
Si:0.10〜1.00%、
Mn:0.40〜1.10%、
を含有すると共に残部がFe及び不純物から成り、かつ不純物中のAl,Ti、N,P,S及びOがそれぞれ
Al:0.003%以下、
Ti:0.003%以下、
N:0.0080%以下、
P:0.030%以下、
S:0.020%以下、
O:0.0030%以下
である熱間圧延線材であり、
フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率が90%以上である金属組織を有し、引張り強さが650〜800MPaであり、引張り試験の絞りが50%以上であり、直径が4.0〜6.0mmであり、
長さ方向に直角な切断面における中心から直径の1/10までの中心部において、1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の最大値が、全体のMn濃度の2.0倍以下であり、
前記中心部より外側の外周部において、1%以上のSおよび/または1%以上のOが存在しない領域のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)が2.0以下であることを特徴とする伸線加工用熱間圧延線材。
(2) 更に、質量%で、
Cr:0.03〜0.70%、
Mo:0.02〜0.20%、
B:0.0003〜0.0030%
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の伸線加工用熱間圧延線材。
本発明の伸線加工用熱間圧延線材によれば、スチールコードの素材として好適な鋼線を、パテンティング処理を施すことなく、十分な加工量で伸線加工を行うことにより、安定して製造でき、産業上極めて有用である。
中心部のMn濃度の測定方法を説明するための説明図である。 外周部のMn濃度の測定方法を説明するための説明図である。
以下、本発明の伸線加工用熱間圧延線材について説明する。
「伸線加工用熱間圧延線材」
本実施形態の伸線加工用熱間圧延線材(以下「熱間圧延線材」と略記する場合がある。)は、パテンティング処理を行うことなく、十分な加工量で伸線加工を行うことにより、スチールコードの素材として好適な鋼線が得られる伸線加工用の熱間圧延線材である。伸線加工は、例えば、真歪みで5.25以上の加工量で行うことができる。
スチールコードの素材に用いられる鋼線は、引張強度が3000MPa以上であることが好ましく、3200MPa以上であることがより好ましく、3400MPa以上であるとさらに好ましい。また、スチールコードの素材に用いられる鋼線は、引張り試験の絞りが30%以上であることが好ましい。また、スチールコードの素材に用いられる鋼線は、直径が0.25〜0.35mmであることが好ましい。
次に、本実施形態の熱間圧延線材の成分組成、金属組織、Mn偏析、引張り強さと絞り、直径について詳細に説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
<成分組成>
C:0.30〜0.50%
Cは、鋼材の引張強度を高めるために有効な成分である。熱間圧延線材のC含有量が0.30%未満であると、引張強度が不足する。このため、熱間圧延線材を伸線加工することにより得られる鋼線に、例えば引張強さで3000MPa以上の高い強度を安定して付与することが困難となる。3200MPa以上の引張強さの鋼線を得るためには、熱間圧延線材のC含有量を0.35%以上にすることが望ましい。一方、熱間圧延線材のC含有量が多すぎると、線材が硬質化して伸線加工中に断線しやすくなるとともに、鋼線の延性の低下を招く。熱間圧延線材のC含有量が0.50%を超えると、伸線加工中の断線によって、安定して量産することが工業的に困難になる。したがって、熱間圧延線材のC含有量は0.30〜0.50%の範囲内と定めた。熱間圧延線材のC含有量は、望ましくは0.35〜0.45%である。
Si:0.10〜1.00%
Siは、鋼材の強度を高めるのに有効な成分である。また、Siは、脱酸剤としても必要な成分である。しかし、熱間圧延線材のSi含有量が0.10%未満では、Siを含有することによる効果が十分に得られない。一方、熱間圧延線材のSi含有量が1.00%を超えると、伸線加工後に得られる鋼線の延性が低下する。そこで、熱間圧延線材のSi含有量は、0.10〜1.00%の範囲内と定めた。また、Siは鋼材の焼入れ性にも影響する元素である。このことから、安定して所望のミクロ組織を有する線材を得るために、熱間圧延線材のSi含有量を0.20〜0.50%の範囲内に調整することがより望ましい。
Mn:0.40〜1.10%
Mnは、オーステナイトからの相変態時間に影響し、安定したパーライト組織を有する熱間圧延線材を得るために有効な成分である。しかし、熱間圧延線材のMn含有量が0.40%未満であると、Mnを含有することによる効果が十分に得られない。一方、Mnは偏析しやすい元素であり、熱間圧延線材のMn含有量が1.10%を超えると、特に中心部にMnが濃化する。その結果、熱間圧延線材の中心部にマルテンサイトが生成されて、フェライト組織および/またはパーライト組織が不足し、伸線加工中に断線しやすくなってしまう。そこで、熱間圧延線材のMn含有量は0.40〜1.10%の範囲内と定めた。熱間圧延線材のMn含有量は、0.60〜0.90%であることが望ましい。
以上の各元素(C、Si、Mn)に対する残部は、不純物およびFeである。本実施形態の熱間圧延線材においては、不純物として含まれるAl、Ti、N、P、S、Oの含有量を、下記の通りに規制する。
Al:0.003%以下
Alは、Alを主成分とする酸化物系介在物を形成して、熱間圧延線材の伸線加工性を低下させる元素である。特に、熱間圧延線材のAl含有量が0.003%を超えると、前記酸化物系介在物が粗大化して伸線加工中に断線が多発し、伸線加工性の低下が著しくなる。そこで、Al含有量は0.003%以下に規制する。好ましくは、Al含有量は0.002%以下である。
Ti:0.003%以下
Tiは、熱間圧延線材中にNとともに含まれていると、TiNを形成しやすい。TiNは、非常に硬質であり、熱間圧延や伸線加工で変形しない。このため、伸線加工中に断線の起点となりやすい。製造方法に配慮しても、熱間圧延線材のTi含有量が0.003%を超えると、伸線加工中に断線しやすくなる。そこで、Ti含有量は0.003%以下に規制する。Ti含有量は、好ましくは0.002%以下である。
N:0.0080%以下
Nは、熱間圧延線材中にTiとともに含まれていると、TiNを形成しやすい。TiNは、非常に硬質であり、熱間圧延や伸線加工で変形しない。このため、伸線加工中に断線の起点となりやすい。製造方法に配慮しても、熱間圧延線材のN含有量が0.0080%を超えると、伸線加工中に断線しやすくなる。そこで、N含有量は0.0080%以下に規制する。N含有量は、好ましくは0.0050%以下である。
P:0.030%以下
Pは、粒界に偏析して伸線加工性を低下させてしまう元素である。特に、熱間圧延線材のP含有量が0.030%を超えると、伸線加工性の低下が著しくなる。そこで、P含有量は0.030%以下に規制する。P含有量は、好ましくは0.020%以下である。
S:0.020%以下
Sは、伸線加工性を低下させてしまう元素である。熱間圧延線材のS含有量が、0.020%を超えると、伸線加工性の低下が著しくなる、このことから、S含有量は0.020%以下に規制する。S含有量は、好ましくは0.010%以下である。
O:0.0030%以下
O(酸素)は、酸化物を形成しやすい元素である。Oは、熱間圧延線材中にAlとともに存在していると、硬質なAlを主成分とする酸化物系介在物を形成して伸線加工性を低下させる。特に、O含有量が0.0030%を超えると、Al含有量を本発明の範囲内にしても前記酸化物系介在物が粗大化して伸線加工中に断線が多発し、伸線加工性の低下が著しくなる。そこで、O含有量は0.0030%以下に規制する。好ましくは、O含有量は0.0025%以下である。
更に、本発明においては、上記で説明した成分に加え、Cr:0.03〜0.70%、Mo:0.02〜0.20%またはB:0.0003〜0.0030%の1種又は2種以上を含有させてもよい。
Cr:0.03〜0.70%
Crの添加は任意である。Crは、伸線加工後に得られる鋼線の引張強さをより高める効果を発揮する。この効果を得るには、熱間圧延線材のCr含有量を0.03%以上にすることが好ましい。しかし、Cr含有量が0.70%を超えると、マルテンサイト組織が生成しやすくなり、伸線加工性が低下する場合がある。したがって、Crを熱間圧延線材中に積極的に添加する場合のCr含有量は、0.03〜0.70%の範囲内が好ましい。より好ましいCr含有量は0.50%以下である。一方、伸線加工後に得られる鋼線の引張強さと延性をより高める観点から、熱間圧延線材のCr含有量を0.10%以上とすることがより好ましい。
Mo:0.02〜0.20%
Moの添加は任意である。Moは、伸線加工後に得られる鋼線の引張強さをより高める効果を発揮する。この効果を得るには、熱間圧延線材のMo含有量を0.02%以上にすることが好ましい。しかし、Mo含有量が0.20%を超えると、マルテンサイト組織が生成しやすくなり、伸線加工性が低下する場合がある。したがって、Moを熱間圧延線材中に積極的に添加する場合のMo含有量は、0.02〜0.20%の範囲内が好ましい。より好ましいMo含有量は0.10%以下である。一方、伸線加工後に得られる鋼線の引張強さと疲労寿命をより高める観点から、熱間圧延線材のMo含有量を0.04%以上とすることがより好ましい。
B:0.0003〜0.0030%
Bの添加は任意である。Bは、伸線加工後に得られる鋼線の引張強さをより高める効果を発揮する。この効果を得るには、熱間圧延線材のB含有量を0.0003%以上にすることが好ましい。しかし、B含有量が0.0030%を超えると、粗大なBNが生成しやすくなり、伸線加工性が低下する場合がある。したがって、Bを熱間圧延線材中に積極的に添加する場合のB含有量は、0.0003〜0.0030%の範囲内が好ましい。より好ましいB含有量は、0.0020%以下である。一方、伸線加工後に得られる鋼線の引張強さと疲労寿命をより高める観点から、熱間圧延線材のB含有量を0.0005%以上とすることがより好ましい。
<フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率>
熱間圧延線材は、フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率が90%以上である金属組織を有する必要がある。このような金属組織を有する熱間圧延線材であることにより、線材にパテンティング処理を行うことなく、例えば、真歪みで5.25以上の加工量で伸線加工を行うことにより、3000MPa以上の高い引張強さと優れた延性を有する鋼線が得られる。熱間圧延線材のフェライト組織とパーライト組織との合計の体積率が90%未満であると、マルテンサイト組織やベイナイト組織の体積分率が増えるため、伸線加工中に断線しやすくなるとともに、伸線加工後に得られる鋼線の引張強さが不足する。フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率は95%以上であることが好ましい。熱間圧延線材の金属組織おいて、フェライト組織およびパーライト組織を除く残部の組織は、ベイナイト組織とマルテンサイト組織のいずれか1種又は2種以上である。
<金属組織の測定方法>
熱間圧延線材のフェライト組織およびパーライト組織の体積率は、次の方法によって測定する。まず、熱間圧延線材の横断面(長さ方向に直角な切断面)を鏡面研磨する。その後、切断面をピクラールで腐食し、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、倍率3000倍で観察し、切断面の中心で1箇所、中心から半径の1/3の距離の位置で4箇所、中心から半径の2/3の距離の位置で4箇所の写真を撮影する。なお、1視野あたりの面積は、5.0×10−4mm(縦20μm、横25μm)とする。次いで、撮影した各写真について、通常の画像解析によりフェライト組織およびパーライト組織以外の組織の面積率を求め、その平均値を算出する。各組織の面積率は、各組織の体積率と同じである。したがって、全体(100%)からフェライト組織およびパーライト組織以外の組織の面積率の平均値を除いた値を、フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率とする。
<熱間圧延線材の中心部のMn濃度の最大値>
熱間圧延線材の長さ方向に直角な切断面における中心から直径の1/10までの中心部(以下「中心部」という場合がある。)において、1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の最大値は、全体のMn濃度の2.0倍以下である。中心部の1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の最大値が、全体のMn濃度の2.0倍を超えると、Mnの偏析による中心部の変形能の低下が顕著になる。その結果、伸線加工中に断線が生じやすくなる。そこで、中心部の1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の最大値を、全体のMn濃度の2.0倍以下とし、好ましくは1.7倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下とする。
<熱間圧延線材の外周部のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)>
熱間圧延線材の中心部より外側の外周部において、1%以上のSおよび/または1%以上のOが存在しない領域のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)は2.0以下である。上記のMn濃度の最大値と最小値との比が2.0を超えると、熱間圧延線材において、Mnの偏析によるバンド状の初析フェライトの生成が顕著になる。そのため、伸線加工による集合組織の発達が大きく促進され、伸線加工後に得られる鋼線の延性低下が顕著になる。そこで、上記のMn濃度の最大値と最小値との比を2.0以下とし、好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.4以下とする。
<中心部および外周部のMn濃度の測定方法>
熱間圧延線材の中心部の1%以上のSが存在しない領域のMn濃度は、次の方法によって測定する。まず、熱間圧延線材から、長さ200mmの間隔で5箇所の横断面(長さ方向に直角な切断面)を切り出す。次に、図1に示すように、各切断面の中心から直径の1/10までの範囲のMn、S、Oの各元素について、エネルギー分散型の電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて線分析を行ない、各切断面における各元素の濃度分布を測定する。EPMAによる線分析は、ビーム直径を1μm、走査速度を200μm/分として行う。
次に、得られたMnの線分析の結果から、1%以上のSが存在している領域のMn濃度の結果を除外する。このことにより、Mnの線分析の結果から、介在物であるMnSを主体とする硫化物の存在領域を除く。そして、1%以上のSが存在している領域の結果を除外した各切断面のMn濃度の最大値を求め、5箇所の切断面のMn濃度の最大値を、中心部の1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の最大値とする。
熱間圧延線材の外周部における1%以上のSおよび/または1%以上のOが存在しない領域のMn濃度は、次の方法によって測定する。まず、中心部の1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の測定と同様に、5箇所の横断面(長さ方向に直角な切断面)を切り出す。次に、図2に示すように、各切断面の中心から直径の1/10までの範囲(中心部)より外側の外周部であって、切断面の縁部から0.1mm内側の領域を除く範囲内について、中心部の1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の測定と同様にして、各元素の濃度分布を測定する。
次に、得られたMnの線分析の結果から、1%以上のSが存在している領域および/または1%以上のOが存在している領域のMn濃度の結果を除外する。このことにより、Mnの線分析の結果から、介在物である硫化物および酸化物の存在領域を除く。そして、1%以上のSが存在している領域および/または1%以上のOが存在している領域の結果を除外した各切断面のMn濃度の最大値を求め、5箇所の切断面のMn濃度の最大値を、外周部の1%以上のSおよび/または1%以上のOが存在しない領域のMn濃度の最大値とする。また、上記の領域の結果を除外した各切断面のMn濃度の最小値を求め、5箇所の切断面のMn濃度の最小値を、外周部の1%以上のSがおよび/または1%以上のOが存在しない領域のMn濃度の最小値とする。次に、このようにして得られた最大値および最小値の結果を用いて、最大値と最小値との比(最大値/最小値)を算出し、外周部における1%以上のSおよび/または1%以上のOが存在しない領域のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)とする。
<引張り強さ>
熱間圧延線材の引張り強さが800MPaを超えると、本発明の他の要件を満たしていても、直径が4.0〜6.0mmである熱間圧延線材を本発明の目標である直径0.32mmまで安定して伸線できない。一方、引張り強さが650MPa未満であると、熱間圧延線材を直径0.32mmまで伸線しても、伸線加工後に得られる鋼線の引張り強さの平均値が3000MPaに達しない。そこで、熱間圧延線材の引張り強さを650〜800MPaの範囲内とし、好ましくは680〜750MPaの範囲とする。
本実施形態における「熱間圧延線材の引張り強さ」とは、熱間圧延線材の10箇所の位置から、それぞれ試験材を切り出して引張り試験を行い、得られた10箇所の引張り強さの平均値を意味する。
<引張り試験の絞り>
熱間圧延線材の引張り試験の絞りが50%未満であると、本発明の他の要件を満たしていても、伸線加工中の断線を十分に防止できない。このため、直径が4.0〜6.0mmである熱間圧延線材を本発明の目標である直径0.32mmまで安定して伸線できない。よって、引張り試験の絞りは50%以上とし、好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上とする。引張り試験の絞りの上限については特に規定しないが、75%以上にするには製造コストがかさむため、75%未満が好ましい。
本実施形態における「熱間圧延線材の引張り試験の絞り」とは、熱間圧延線材の10箇所の位置から、それぞれ試験材を切り出して引張り試験を行い、得られた10箇所の絞りの最小値を意味する。
<引張り強さと、引張り試験の絞りの測定方法>
熱間圧延線材の1m間隔で離間している10箇所の位置から、それぞれ長さ200mmの試験材を切り出す。次いで、チャック間距離を100mmとして、各試験材の引張り試験を行い、一般的な方法で引張り強さと絞りを測定する。その後、得られた10箇所の引張り強さの平均値を算出し、引張り強さとする。また、得られた10箇所の絞りの最小値を、引張り試験の絞りとする。
<熱間圧延線材の直径>
熱間圧延線材の直径が6.0mmを超えると、本発明の他の要件を満たしていても、本発明の目標である直径0.32mmまで伸線できなかったり、本発明の目標とする延性(鋼線の引張り試験の絞り)が得られなかったりする。一方、熱間圧延線材の直径を4.0mm未満にすると、熱間圧延での生産効率が大きく低下し、コストがかさむ。このため、伸線加工時のパテンティング処理をなくすメリットがなくなってしまう。そこで、熱間圧延線材の直径を4.0〜6.0mmの範囲内とし、好ましくは4.5〜6.0mmの範囲内、さらに好ましくは4.5〜5.5mmの範囲とする。
「製造方法」
次に、本発明の熱間圧延線材を製造する方法の一例について説明する。なお、本発明の熱間圧延線材を製造する方法は、次に説明する方法に限られないことはもちろんである。
本発明の熱間圧延線材を製造する場合、成分組成、フェライト組織とパーライト組織の体積率、引張り強さ、絞り、Mn偏析、直径の各条件を確実に満たし得るように、各製造工程における条件を設定する。
本実施形態では、熱間圧延線材の製造方法の一例として、C:0.30〜0.50%、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.40〜1.10%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、不純物としてAl:0.003%以下、Ti:0.003%以下、N:0.0080%以下、P:0.030%以下、S:0.020%以下、O:0.0030%以下を含有する鋼を用いた場合について説明する。
上記の成分組成を有する鋼を鋳造する方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
例えば、実験のために少量の鋼を鋳造する場合、内部の平均断面積が120cm以下である鋳型を用いて鋳造し、インゴットを得る方法が挙げられる。インゴットを得る際に用いる鋳型の材質としては、例えば、鋳鉄などが挙げられる。
次に、鋳造したインゴットを、1260〜1300℃で8〜12時間加熱し、炉内で500℃以下まで冷却する。次いで、インゴットを1200〜1250℃に加熱した後、熱間鍛造することにより鋼片を得る。
上記の成分組成を有する鋼を鋳造する方法として、例えば、連続鋳造を行う場合、転炉によって溶製した後、溶鋼の電磁攪拌を十分に行い、凝固開始から凝固終了までの平均冷却速度を5℃/分以上とし、さらに凝固途中で圧下を行うことにより鋳片を得る方法が挙げられる。
次に、鋳造した鋳片を、1260〜1300℃で8〜12時間加熱し、炉内で500℃以下まで冷却する。次いで、鋳片を1200〜1250℃に加熱した後、分塊圧延することにより鋼片を得る。
次に、上記の方法で製造した鋼片を加熱温度1050〜1150℃で加熱し、圧延仕上げ温度を850〜950℃として直径が4.0〜6.0mmの範囲内となるように熱間圧延工程を行う。
熱間圧延工程では、仕上げ圧延後、水冷と大気による風冷とを組み合わせて、平均冷却速度80℃/秒以上で650〜700℃の温度範囲に入るまで線材を冷却する。次に、上記平均冷却速度で650〜700℃の温度範囲に入るまで冷却した線材を、大気による風冷によって平均冷却速度18〜30℃/秒で600〜560℃の温度範囲に入るまで冷却する。その後、上記平均冷却速度で600〜560℃の温度範囲に入るまで冷却した線材を、線材表面の温度が500℃以下になるまで放冷する。
なお、本明細書における鋼片の加熱温度とは鋼片の表面温度を指し、圧延仕上げ温度とは仕上げ圧延直後の線材の表面温度を指し、仕上げ圧延後の温度は線材の表面温度を指し、平均冷却速度は線材の表面の平均冷却速度を指す。
以上の工程を行うことにより、本実施形態の熱間圧延線材が得られる。
本実施形態の熱間圧延線材は、所定の成分組成を有し、フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率が90%以上である金属組織を有し、引張り強さが650〜800MPaであり、引張り試験の絞りが50%以上であり、直径が4.0〜6.0mmであり、長さ方向に直角な切断面における中心から直径の1/10までの中心部において、1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の最大値が、全体のMn濃度の2.0倍以下であり、前記中心部より外側の外周部において、1%以上のSおよび/または1%以上のOが存在しない領域のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)が2.0以下である。
このため、本実施形態の熱間圧延線材では、パテンティング処理を施すことなく、十分な加工量で伸線加工を行うことにより、鋼線を安定して製造できる。具体的には、例えば、パテンティング処理を施すことなく、真歪みで5.25以上の加工量で直径0.32mmまで20kgの熱間圧延線材に湿式伸線加工を行っても、十分に断線を防止できる。また、本実施形態の熱間圧延線材を用いることで、直径が0.25〜0.35mmで、引張強さが3000MPa以上、引張試験での絞りが30%以上であるスチールコードの素材として好適な鋼線が得られる。
次に、本発明の実施例について説明する。実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例である。本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1に示す成分組成(化学組成)の鋼A1〜Z1およびA2を、表1に示す平均断面積の重量が50kgまたは150kgであるインゴットに鋳造した。インゴットを得る際には、表1に示す鋳型材質の鋳型を用いた。
次に、鋳造したインゴットを表1中に示す熱処理条件で熱処理し、炉内で400℃まで冷却した。次いで、インゴットを1230℃に加熱し、熱間鍛造によって、直径80mmの鋼片にし、室温まで放冷した。
Figure 2017095788
また、表2に示す成分組成(化学組成)の鋼B2〜D2を、転炉によって溶製した後、連続鋳造した。鋳造の際、溶鋼の電磁攪拌を十分に行い、凝固開始から凝固終了までの平均冷却速度を6℃/分とし、さらに凝固途中で圧下を行った。次に、鋳造した鋳片を表2中に示す熱処理条件で熱処理し、炉内で500℃以下まで放冷した。次いで、1250℃に加熱した後、分塊圧延によって122mm角の鋼片を得た。
Figure 2017095788
次に、以上の方法で製造した鋼片を、表3に示す鋼片加熱温度で加熱し、表3に示す圧延仕上げ温度で、仕上げ圧延径(直径)が表3に示す範囲内となるように熱間圧延工程を行った。仕上げ圧延後、水冷と大気による風冷とを組み合わせて、表3に示す平均冷却速度で680℃まで線材を冷却した。その後、大気による風冷によって、680℃〜580℃の温度範囲を表3に示す平均冷却速度で線材を冷却した。その後、580℃未満の線材を放冷し、熱間圧延線材を得た。
Figure 2017095788
得られた熱間圧延線材について、上述した方法を用いて、フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率、熱間圧延線材の中心部のMn濃度の最大値、熱間圧延線材の外周部のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)、引張り強さ、引張り試験の絞りを求めた。その結果を表4に示す。
Figure 2017095788
次に、熱間圧延線材について表面スケールの除去、ブラスめっき、伸線を行って、直径0.32mmの鋼線を得た。なお直径2.0mmまでの伸線は、通常の方法で潤滑剤を付けた線材に、各ダイスの減面率が平均で18%となるパススケジュールで行った。引き続き、直径2.0mmまで伸線加工を行った線材に、各ダイスでの減面率が平均で15%となるパススケジュールで、表4に示す真歪みεの加工量で直径0.32mmまで湿式伸線加工(最終伸線加工)を行ない、鋼線を得た。表4に示す真歪みεは、熱間圧延線材の直径をD、鋼線の直径をDとしたとき、ε=2×Ln(D/D)で表される。
最終伸線加工における各線材の伸線加工性を、以下に示す方法により評価した。
最終伸線加工を20kgの各線材に対して行い、伸線加工中の断線回数を記録した。なお、断線回数が2回になった時点で、それ以降の伸線加工を中止した。
そして、直径2.0mmから0.32mmまで20kgの線材を湿式伸線加工(最終伸線加工)した際の断線回数が0回の場合に伸線加工性が良好と評価し、断線回数が1回以上の場合に伸線加工性が悪いと評価した。その結果を表4に示す。
最終伸線加工における断線回数が1回以下であった場合、最終伸線加工後に得られた鋼線について、次のようにして、引張強さと絞りを測定し、評価した。
各鋼線について3本ずつ引張試験を行い、引張強さと絞りを測定し、その平均値を求めた。そして、引張強さが3000MPa以上である場合を、鋼線の引張強さが良好であると評価した。また、鋼線を撚り合わせて撚り鋼線を製造する際の断線の頻度は、引張試験での絞りと相関がある。絞りが30%以上であれば、撚り線時の断線を十分に防止できる。このため、絞りが30%以上の場合を、鋼線の絞り(延性)が良好と評価した。その結果を表4に示す。
表4に示すように、本発明で規定する条件をすべて満たす本発明例では、熱間圧延線材の伸線加工性が良好(断線回数が0回)であった。また、本発明例では、伸線加工後に得られた鋼線の引張強さが良好(3000MPa以上)であり、かつ引張試験の絞り(延性)が良好(30%以上)であった。
これに対し、C含有量の少ない熱間圧延線材を用いた試験番号1では、熱間圧延線材の引張強さが不十分であり、伸線加工後に得られた鋼線の引張強さも不十分であった。
また、熱間圧延線材の中心部のMn濃度の最大値が2.0倍を超え、熱間圧延線材の外周部のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)が2.0を超えた試験番号3、15、20、36では、熱間圧延線材の伸線加工性が悪かった。
Mn含有量の多い熱間圧延線材を用いた試験番号6では、マルテンサイト組織が生成し、フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率が不足し、引張り試験の絞りも不足した。このため、熱間圧延線材の伸線加工性が悪かった。
また、Mn含有量の少ない熱間圧延線材を用いた試験番号8では、熱間圧延線材の引張強さが不十分であり、伸線加工後に得られた鋼線の引張強さも不十分であった。
熱間圧延線材の中心部のMn濃度の最大値が2.0倍を超えた試験番号9、17では、熱間圧延線材の伸線加工性が悪かった。
C含有量の多い熱間圧延線材を用いた試験番号10では、熱間圧延線材の引張強さが高すぎて、熱間圧延線材の伸線加工性が悪かった。
不純物中のAl,Ti、N,Oのいずれかが多い熱間圧延線材を用いた試験番号11〜14では、熱間圧延線材の伸線加工性が悪かった。
熱間圧延線材の外周部のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)が2.0を超えた試験番号16、19では、伸線加工後に得られた鋼線の引張試験の絞りが不十分であった。
熱間圧延線材の引張試験の絞りが不十分である試験番号28、32では、熱間圧延線材の伸線加工性が悪かった。
熱間圧延線材の直径が6.0mmを超える試験番号30では、熱間圧延線材の伸線加工性が悪かった。
熱間圧延線材の引張強さが不十分である試験番号31、35では、伸線加工後に得られた鋼線の引張強さも不十分であった。
マルテンサイト組織が生成し、フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率が不足し、引張り試験の絞りも不足した試験番号34では、熱間圧延線材の伸線加工性が悪かった。
以上、本発明の好ましい実施形態および実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、特許請求の範囲の記載によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C:0.30〜0.50%、
    Si:0.10〜1.00%、
    Mn:0.40〜1.10%、
    を含有すると共に残部がFe及び不純物から成り、かつ不純物中のAl,Ti、N,P,S及びOがそれぞれ
    Al:0.003%以下、
    Ti:0.003%以下、
    N:0.0080%以下、
    P:0.030%以下、
    S:0.020%以下、
    O:0.0030%以下
    である熱間圧延線材であり、
    フェライト組織とパーライト組織の合計の体積率が90%以上である金属組織を有し、引張り強さが650〜800MPaであり、引張り試験の絞りが50%以上であり、直径が4.0〜6.0mmであり、
    長さ方向に直角な切断面における中心から直径の1/10までの中心部において、1%以上のSが存在しない領域のMn濃度の最大値が、全体のMn濃度の2.0倍以下であり、
    前記中心部より外側の外周部において、1%以上のSおよび/または1%以上のOが存在しない領域のMn濃度の最大値と最小値との比(最大値/最小値)が2.0以下であることを特徴とする伸線加工用熱間圧延線材。
  2. 更に、質量%で、
    Cr:0.03〜0.70%、
    Mo:0.02〜0.20%、
    B:0.0003〜0.0030%
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の伸線加工用熱間圧延線材。
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