JP2007039604A - 光学樹脂用重合性組成物、および光学素子の製造方法 - Google Patents

光学樹脂用重合性組成物、および光学素子の製造方法 Download PDF

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徹 齋藤
Akinori Yamamoto
明典 山本
Takeaki Iryo
毅明 井領
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Abstract

【課題】 屈折率が高く、耐熱性が高いプラスチックレンズを製造可能な光学樹脂用重合
性組成物を提供する。
【解決手段】 芳香族ポリイソシアネート化合物(例えば、m−キシリレンジイソシアネ
ート)と、脂環族ポリイソシアネート化合物(例えば、ノルボルナンジイソシアネート)
と、特定のポリチオール化合物(例えば、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチ
ルチオ)プロパンを主成分とする化合物)とを含む混合物を準備し、30℃〜70℃の範
囲で、望ましくは30℃〜40℃の範囲で攪拌する。この条件で製造された光学樹脂用重
合性組成物によりレンズ基材を成形する際の注入歪みを抑制でき、透明度が高く、高屈折
率で、高耐熱のレンズ基材およびそれを用いた眼鏡レンズを提供できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、高耐熱性で透明度が高く、さらに高屈折率の光学材料あるいは光学素子を得
ることができる光学樹脂用の重合性組成物の製造方法に関するものである。
プラスチックレンズなどのプラスチック製の光学素子は、ガラスレンズなどのガラス製
の光学素子に比べて軽量であり、成形性や加工性が良く、割れ難く安全性も高い等の様々
なメリットを備えている。このため、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の分野で広く用いられ
ている。
特開平2−270859号公報 特開平7−252207号公報 特開2001−342252号公報
プラスチックレンズなどを成型するために用いられる光学樹脂としては、屈折率が高く
、耐熱性の高いものが望まれている。しかしながら、高い耐熱性と高屈折率とを両立させ
ることは困難であった。
特許文献1には、メルカプト化合物を用いた樹脂によりプラスチックレンズを生成する
ことが記載されている。このレンズは屈折率が1.66の高屈折率レンズであると言うこ
とができる。しかしながら、このレンズの熱変形温度は、98℃程度であり、耐熱性が十
分ではない。
特許文献2には、ポリチオール化合物を用いた含硫ウレタン系樹脂によりプラスチック
レンズを生成することが記載されている。このレンズも屈折率は1.66と高屈折率であ
る。しかしながら、熱変形温度(Tg:ガラス転移点)は約100℃であり、耐熱性が十
分ではない。すなわち、熱変形温度がこの程度では、熱によるレンズの度数ボケが懸念さ
れ、さらに、プラスチックレンズを製造する際の表面処理時、あるいは染色時の加熱でレ
ンズが変形してしまう可能性がある。
特許文献3には、ポリチオール化合物を含有する重合性組成物であって、それを用いる
ことにより屈折率が1.68〜1.70のレンズを成形できる重合性組成物が開示されて
いる。さらに、この重合性組成物を用いたレンズは、熱変形温度Tgが約110〜115
℃と上記のレンズよりも耐熱性が優れている。しかしながら、特許文献3のレンズは、透
明とは言っても実際には黄色味が強く着色されたものになってしまい、プラスチックレン
ズとしての用途が限定されてしまう。また、製造時のレンズ変形の可能性を考慮すると、
熱変形温度Tgはさらに高いことが望ましい。
最近の表面処理技術の進歩によって、レンズの表面に形成されるハードコート層あるい
は反射防止層の耐熱性は、110℃を超えるものとなっている。したがって、レンズ素材
としても、ガラス転移温度Tgが110℃を超えるものが求められている。そして、レン
ズ素材として工業的に利用価値が高いものは、高耐熱であることに加えて、高屈折率であ
り、透明度が高く、さらに、光学素子として成形しやすいものであることが要求される。
芳香族ポリイソシアネート化合物は、屈折率を向上するのに効果がある。脂環族ポリイ
ソシアネート化合物は、耐熱性の向上に効果がある。さらに、特定構造のポリチオール化
合物は、屈折率の向上と、耐熱性の向上の両面で効果がある。イソシアネート化合物およ
びチオール化合物は、1種または2種以上の組み合わせが可能である。しかしながら、モ
ノマーの相溶性の観点から、芳香族同士、または脂環族同士で組み合わせることはあって
も、芳香族と脂環族とを組み合わせることは一般的とは言えない。
本発明の一形態は、光学樹脂用の重合性組成物を製造する方法であり、少なくとも1種
類の芳香族ポリイソシアネート化合物を含む第1の組成と、少なくとも1種類の脂環族ポ
リイソシアネート化合物を含む第2の組成と、以下の一般式(1)で表され、分子内に2
個以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物を少なくとも1種類は含む第3の組成
とを少なくとも原組成として、光学樹脂用重合性組成物を製造する方法であって、第1の
組成、第2の組成および第3の組成を少なくとも含む混合物を準備する工程と、混合物を
30℃〜70℃の温度範囲で混合攪拌する工程とを有する。
−(SCHSH)n ・・・(1)
(式中Rは芳香環を除く有機残基であり、nは1以上の整数である。)
この製造方法により製造される、光学樹脂用重合性組成物は、相溶性の観点から組み合
わされることが予想されない、芳香族と脂環族とを第1および第2の組成として含む。そ
して、第3の組成として上記のポリチオール化合物を組み合わせ、さらに、混合攪拌する
条件を上記の温度範囲にすることにより、これらの組成が相溶した光学樹脂用重合性組成
物を製造できる。したがって、この製造方法により製造された光学樹脂用重合性組成物を
用いて光学素子を成形したときに、成形物に歪みや白濁が生じるのを防止できる。また、
上記の温度範囲で混合攪拌することにより、混合攪拌による粘性の増加も抑制され、工業
的に利用可能なポットライフを備えた重合性組成物を製造できる。したがって、この製造
方法により製造された光学樹脂用重合性組成物は、光学素子を成形する型に注入し易く、
光学素子を成形したときに、注入歪みが生ずるのを防止できる。
すなわち、混合攪拌する工程において、混合物の温度が70℃を超えると、相溶性は向
上される可能性はあるが、原料(混合物)の増粘が進行し、ポットライフが短くなり過ぎ
て、工業的に使用できるものにならない。さらに、そのような増粘した原料を用いて重合
硬化すると、重合歪みが発生しやすくなり、外観不良が発生し易い。一方、混合物の温度
が30℃を下回ると、原料の粘度の上昇は抑制でき、ポットライフは長くなるとしても、
芳香族と脂環族とが光学樹脂用として十分な性能を発揮するほどには相溶せず、成形物に
歪みや白濁が生じるのを防止できない。
混合攪拌する工程では、混合物を30℃〜40℃の温度範囲で混合攪拌することが、さ
らに望ましい。この範囲の温度で混合攪拌された光学樹脂用重合性組成物は、第1、第2
および第3の組成が光学樹脂用の材料として十分に相溶している。さらに、ポットライフ
は、光学素子の製造にある程度の余裕を見込める時間となる。したがって、この製造方法
により製造された重合性組成物を用いることにより、生産性をさらに向上でき、製造され
る光学素子の歩留まりをさらに向上できる。
準備する工程では、第1の組成、第2の組成および第3の組成の比率が次の条件(2)
および(3)を満たす混合物を準備することが、さらに望ましい。
0.5≦α≦2.0・・・(2)
0.1≦β≦0.9・・・(3)
ただし、α=(Am+Bm)/Cm、β=Am/(Am+Bm)である。また、Amは
、第1の組成中のイソシアネート基のモル数、Bmは、第2の組成中のイソシアネート基
のモル数、Cmは、第3の組成中のメルカプト基のモル数である。
上記の条件(2)において、((Am+Bm)/Cm)を示すαが2.0を超える場合
は、重合硬化後の第1の組成、第2の組成中のイソシアネート基の未反応分が非常に多く
、硬化後の樹脂の耐候性が低下したり、樹脂の色調が表れる傾向がある。また、αが0.
5未満の場合には、重合硬化後の第3の組成中のメルカプト基の未反応分が非常に多く、
硬化後の樹脂の耐候性が低下したり、樹脂の耐熱性が低下する傾向がある。
上記の条件(3)において、(Am/(Am+Bm))を示すβが、0.1未満の場合
、あるいは0.9を超える場合は、第1の組成の芳香族イソシアネートと、第2の組成の
脂環族イソシアネートとを混合した効果が得られ難い。すなわち、βが0.1未満の場合
は、第2の組成の脂環族イソシアネートにより耐熱性は向上するが、イソシアネート成分
とチオール成分の溶解性が悪く、硬化後の樹脂が白濁するなどの外観不良が現れやすく、
また、屈折率も低下する。一方、βが0.9を超える場合は、第1の組成の芳香族イソシ
アネートにより溶解性は改善され、屈折率も向上するが、硬化後の樹脂色調が表れ黄色く
なりやすく、また、耐熱性も若干低下してしまう。
第1の組成の芳香族ポリイソシアネート化合物の好適な例は、キシリレンジイソシアネ
ートである。その他の芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば以下のようなも
のが挙げられる。1,2−ジイソシアナトベンゼン、1,3−ジイソシアナトベンゼン、
1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、エチルフェニレン
ジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイ
ソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソ
シアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ビ
フェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フ
ェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(2−メチルフェニルイソシアネート
)、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン
第2の組成の脂環族ポリイソシアネート化合物の好適な例は、水添キシリレンジイソシ
アネートおよびノルボルナンジイソシアネートであり、双方を用いても良い。その他の脂
環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば以下のようなものが挙げられる。イソホ
ロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソ
シアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4’−メ
チレンビス(2−メチルシクロヘキシルイソシアネート)、3,8−ビス(イソシアナト
メチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4
,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチ
ル)トリシクロデカン。
第3の組成のポリチオール化合物の好適な例は、1,1,3,3−テトラキス(メルカ
プトメチルチオ)プロパンおよび1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)
エタンであり、双方を用いても良い。その他の上記の一般式(1)で表されるポリチオー
ル化合物としては、例えば以下のようなものが挙げられる。1,2,5−トリメルカプト
−4−チアペンタン、3,3−ジメルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジ
チアペンタン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン
、3−メルカプトメチルチオ−1,7−ジメルカプト−2,6−ジチアヘプタン、3,6
−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3,7−
ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、4,6−ジ
メルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3−メルカプ
トメチル−1,6−ジメルカプト−2,5−ジチアヘキサン、3−メルカプトメチルチオ
−1,5−ジメルカプト−2−チアペンタン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプト
メチルチオ)エタン、1,4,8,11−テトラメルカプト−2,6,10−トリチアウ
ンデカン、1,4,9,12−テトラメルカプト−2,6,7,11−テトラチアドデカ
ン、2,3−ジチア−1,4−ブタンジチオール、2,3,5,6−テトラチア−1,7
−ヘプタンジチオール、2,3,5,6,8,9−ヘキサチア−1,10−デカンジチオ
ール、4,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチオラン、4,6−ビス(メ
ルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−ビス(メルカプトメチルチオ)メチルー
1,3−ジチエタン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−
ジチエタン。
本発明の他の形態の1つは、上記の製造方法により得られた光学樹脂用重合性組成物を
重合して、光学樹脂を製造する光学樹脂の製造方法である。また、本発明の他の形態の1
つは、上記の製造方法により得られた光学樹脂用重合性組成物を、成形型に入れて重合し
、光学基材を成型する工程を有する光学素子の製造方法であり、熱変形温度がさらに高く
、透明度も高い高屈折率の樹脂製の光学素子を提供できる。光学素子は、例えば、プラス
チックレンズであり、屈折率の高いプラスチックレンズは、プラスレンズの場合にはレン
ズの中心厚を薄くすることが可能であり、また、マイナスレンズの場合にはレンズのコバ
厚を薄くすることが可能なため、レンズの薄型化に効果が大きい。さらに、このプラスチ
ックレンズは、耐熱性が高いので、加熱時の熱変形も少なく、耐熱性の高い各種の表面処
理加工と組み合わせることによって、レンズ全体としての耐熱性が向上する。また、染色
工程にも耐え、安定した性能を得易い。さらに、このプラスチックレンズは、黄色の色調
もほとんど表れないので用途が限定されない高性能の眼鏡レンズとなる。
光学素子は、プラスチックレンズあるいは眼鏡レンズに限定されることなく、画像表示
装置の光学系の素子、プリズム、光ファイバー、情報記録媒体用の素子、フィルタ等など
を挙げることができる。
光学素子の製造方法は、成型した基材表面に所望の機能を付与する機能膜を形成する工
程をさらに含む。機能膜の例は、プライマー層、ハードコート層、さらにハードコート層
の表面に積層される反射防止膜である。基材の耐熱性を向上し、熱変形を抑えることによ
り、基材に、ハードコート層、プライマー層、反射防止膜を重ねて形成する光学素子にお
いては、基材が高温の環境に耐えるだけではなく、これらの機能膜の性能を十分に発揮さ
せることが可能となり、温度などに起因するクラックの発生を抑制でき、耐久性の高い光
学素子を提供できる。
レンズ基材の耐熱性の向上によるメリットは多い。例えば、レンズのハードコート加工
(形成)工程における加熱焼成のときに、レンズの変形が少ない。したがって、この工程
におけるレンズの冶具からの落下を防止でき、この点でも歩留まりを向上できる。さらに
、この工程あるいは他の工程において、レンズ(基材)を高温から急速に冷却しても、冷
却による変形が生じ難くい。
1. 実施例
1.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
1.1.1 光学樹脂用重合性組成物K1の準備
レンズ基材L1を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物K1を製造す
る。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A1成
分)を47.0gと、第2の組成の脂環族イソシアネートとして、ノルボルネンイソシア
ネート(B1成分)を51.5gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオール
として、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分とする
ポリチオール組成物(C1成分)101.9gとを含む混合物を準備した。
この混合物の各イソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m
:B1m:C1mは、0.5:0.5:1.0である。すなわち、A1mは、A1成分中
のイソシアネート基のモル数、B1mは、B1成分中のイソシアネート基のモル数、C1
mは、C1成分中のメルカプト基のモル数を比率で示している。また、値α1(=(A1
m+B1m)/C1m)は1、値β1(=A1m/(A1m+B1m))は0.5であり
、上記の式(2)および式(3)の範囲に入る。
1.1.2 攪拌混合
この混合物を窒素雰囲気中、約20℃で十分攪拌して均一にした後、必要量を秤量して
調合タンクに入れ、温度を維持しながら窒素雰囲気中で攪拌を行った。設定温度および攪
拌した時間は、図1に示す通りである。設定温度は、10℃から80℃まで10℃間隔に
加えて27℃および43℃の10段階で変え、攪拌時間は、0.1時間、0.5時間、1
.0時間および3.0時間の4段階に変えて、攪拌混合を行なった。また、攪拌する際に
は、調合タンク内に、上記光学樹脂用重合性組成物100重量部あたり、内部離型剤とし
てZelecUN(stepan社製)0.08重量部と、紫外線吸収剤としてSEES
ORB701(シプロ化成(株)製)0.05重量部とを添加し、完全に溶解させた。さら
に、重合触媒としてジブチル錫ジクロライド0.02重量部を加えた。
上記の様に0.1時間〜3時間の所定の時間、攪拌し、さらに、その後に、調合タンク
を5mmHgに減圧して、攪拌しながら10分間脱気を行い、レンズ基材L1の原料とな
る光学樹脂用重合性組成物K1を得た。したがって、図1に示す攪拌時間は、調合タンク
に混合物を入れ、各添加剤や触媒を入れて攪拌を始めてから脱気を開始するまでの時間を
示している。
1.2 レンズ基材の製造
1.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)K1を、熱硬化してレンズ
基材(レンズ生地)を製造した。テープにて外周部を封止した2枚のレンズ成形用のガラ
スモールド(ガラス型)の中に光学樹脂用重合性組成物K1を注入し、35℃から120
℃まで20時間かけて昇温させ重合硬化した。そして、硬化したレンズ基材L1を、ガラ
ス型から離型し、130℃で2時間加熱してアニール処理を行った。本例のガラス型は、
度数が−6Dのレンズ基材を製造するためのものである。
1.2.2 レンズ基材の外観に基づく光学樹脂用重合性組成物の評価
図1に、攪拌時の温度および攪拌時間を変えた光学樹脂用重合性組成物K1により成形
したレンズ基材の外観を評価した結果を示してある。「○」はレンズ基材の外観に注目す
べき点が無かったことを示している。「△」は、レンズ基材の製品としては問題ないと判
断できる程度ではあるが、白濁あるいは歪みが僅かに表れていることを示している。「×
」は、攪拌温度が高い領域では、レンズ基材に注入歪みが発生していることが明らかに見
て取れる状態であることを示している。また、攪拌温度が低い領域では、レンズ基材に白
濁の発生あるいは内部歪みが明らかに見て取れる状態であることを示している。「−」は
、反応が進み過ぎて、レンズ基材を製作できなかったことを示している。
図1に纏めたように、攪拌温度が80℃以上の光学樹脂用重合性組成物K1を用いて成
形したレンズ基材では、攪拌時間を最小にしても注入歪みが見られ、レンズ基材を成形す
るには、光学樹脂用重合性組成物の反応が進みすぎているか、粘度が高すぎると判断され
る。また、攪拌温度が27℃以下の光学樹脂用重合性組成物を用いて成形したレンズ基材
では、攪拌時間を最大にしても白濁あるいは内部歪みが見られ、光学樹脂用重合性組成物
中の各組成が光学用としては十分に相溶していないと判断される。したがって、光学素子
を成形するのに適した光学樹脂用重合性組成物を得るためには、攪拌温度は、30℃〜7
0℃にすることが望ましい。一方、攪拌温度が43℃以上の光学樹脂用重合性組成物では
、攪拌時間を延ばした光学樹脂用重合性組成物を用いてレンズを成形したときに注入歪み
が表れる傾向がある。また、光学樹脂用重合性組成物は、成形型に注入するまで調合タン
ク内で攪拌を続けるので、攪拌時間を光学樹脂用重合性組成物のポットライフ(可使時間
)と見なした。そして、ポットライフが長いことは、レンズ基材の生産性の向上に寄与す
る。したがって、攪拌温度は、30℃〜40℃が好ましい。このため、以下においては、
攪拌温度が30℃、攪拌時間が1時間の光学樹脂用重合性組成物K1を用いて成形された
レンズ基材L1について、その物性を確認した。
1.2.3 レンズ基材L1の物性の評価
レンズ基材L1の屈折率、Tg(ガラス転移点)および外観について、次の評価方法お
よび基準で評価した。
屈折率の評価は、基材の状態での屈折率を、アタゴ社のアッベ屈折率計を用いてe線(
波長546nm)で測定した。屈折率を測定するために、攪拌温度が30℃の光学樹脂用
重合性組成物K1を用いて、2mm厚のフラット板を生成して、測定に使用した。フラッ
ト板は、厚みが2mmとなる様にテープにて外周部を封止した2枚のガラス平板中に、光
学樹脂用重合性組成物K1を注入し、上記したレンズ基材の製造条件で、重合硬化、離型
およびアニール処理して製造した。
Tg(ガラス転移点)は、熱機械分析装置((株)島津製作所製:TMA60)を用い
て、荷重50g、針入プローブ(2mmφ)、昇温スピードが10℃/minの条件によ
り測定した。
外観は、レンズ基材に、プロジェクターと水銀灯とを照射し、目視(肉眼)で、クラッ
クの発生や濁り(白濁)を観察した。外観の評価において、「◎」は、無色透明で着色が
認められないことを示し、「○」は、無色透明であるが、僅かに着色が見られることを示
し、「×」は、着色または白濁が認められることを示している。
図3に、レンズ基材L1の各物性の評価結果を示してある。レンズ基材L1は、屈折率
(ne)が1.67と十分に高く、ガラス転移温度Tgが120℃と高耐熱性のレンズ基
材であることが認められた。さらに、レンズ基材の外観も、歪みや白濁が確認されず、良
好であった。したがって、レンズ基材L1は、高屈折率で耐熱性が高く、さらに、透明度
の高いプラスチックレンズ基材であることが認められた。
1.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材L1の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能層
を成膜し、眼鏡レンズを製造した。実施例1では、レンズ基材L1を用いて4種類のサン
プルS1〜S4を製造した。サンプルS1は、プライマー層を形成せず、レンズ基材L1
に直にハードコート層H1を形成し、さらに有機系の反射防止層AR1を成膜した。サン
プルS2は、プライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1
を成膜した。サンプルS3は、プライマー層を形成せず、レンズ基材L1に直にハードコ
ート層H1を形成し、さらに無機系の反射防止層AR2を成膜した。サンプルS4は、プ
ライマー層P1、ハードコート層H1、および無機系の反射防止層AR2を成膜した。
1.3.1 プライマー層の成膜
プライマー層P1を形成する塗布液(組成物)PLを調合した。ポリエステル系熱可塑
性エラストマーの一種であるポリエステル樹脂(高松油脂(株)製:A−160P、水分
散エマルション、固形分濃度25%)100重量部に、酸化チタン系複合微粒子(触媒化
成工業(株)製:オプトレイク1130F−2(A−8))84重量部と、希釈溶剤とし
てメチルアルコール640重量部と、レベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(日本
ユニカー(株)製:SILWET L−77)1重量部とを混合する。そして、3時間撹
拌して、プライマー層用の塗布液PLとした。
このプライマー層用の塗布液PLを、成型したレンズ基材L1に、浸漬法(引き上げ速
度20cm/min)にて塗布した。さらに、100℃で15分間、硬化処理して、レン
ズ基材の表面に、膜厚0.8〜1.0μmのプライマー層P1を形成した。
1.3.2 ハードコート層の成膜
ハードコート層H1を形成する塗布液(組成物)HLを調合した。ブチルセロソルブ1
00重量部と、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン155重量部とを混合し、
十分に撹拌して均一にし混合液を得た。さらに、この混合液に0.1N塩酸水溶液43重
量部を撹拌しながら滴下し、室温で4時間撹拌した。その後、冷蔵庫に入れて一昼夜熟成
させた。さらに、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製:L−7001)0.
3重量部を添加して撹拌した。その後、メタノール分散二酸化チタン/二酸化ジルコニウ
ム/二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業(株)製:固形分濃度20重量%)70
0重量部を混合して、十分に撹拌した。さらに、Fe(III)アセチルアセトネート0.
7重量部を添加した後、室温で3時間撹拌した。そして、冷蔵庫で一昼夜熟成させて、ハ
ードコート層H1用の塗布液HLとした。
このハードコート層H1用の塗布液HLを、レンズ基材L1、またはレンズ基材L1の
表面に形成されたプライマー層P1に、浸漬法(引き上げ速度18cm/min)にて塗
布した。80℃で20分間風乾した後、さらに、120℃で120分間焼成し、膜厚2.
0〜2.2μmのハードコート層H1を形成した。
1.3.3 有機系の反射防止層の成膜
有機系の反射防止層AR1を形成するための塗布液(低屈折率膜コーティング組成物)
ARL1を調製した。ステンレス製容器内に、テトラメトキシシラン208重量部を投入
し、メタノール356重量部を加える。さらに、水18重量部と、0.01規定の塩酸水
溶液18重量部とを加え、これらを良く混合して混合液を得た。この混合液を25℃の恒
温槽中で2時間攪拌してシラン加水分解物を得た。このシラン加水分解物中に中空シリカ
−イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製:固形分濃度20%、平均一次粒子
径35nm、外殻厚み8nm)を、シラン加水分解物に対して重量比70/30となるよ
うに配合した。
次に、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製:商品名L−7001)1重量
部を混合した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルで全固形分量が2%となるよ
うに希釈し、有機系の反射防止膜の塗布液ARL1を得た。
この塗布液ARL1を、ハードコート層H1が成膜されたレンズ基材に塗布した。まず
、ハードコート層H1の表面を、プラズマ処理(大気プラズマ)で表面処理し、塗布液A
RL1の中にレンズ基材を浸漬し、引き上げ速度5cm/minで引き上げて塗布した。
その後、80℃で30分焼成し、100℃に設定したオーブン内で2時間加熱し、反射防
止膜AR1を形成した。この有機系の反射防止膜AR1の膜厚は100nmであった。
1.3.4 無機系の反射防止層の成膜
無機系の反射防止層AR2を真空蒸着法により形成した。真空度2×10−5Torr
で、レンズ基材L1の上に形成されたハードコート層H1に重ねて、SiOからなる低
屈折率の第1層(屈折率1.46、膜厚0.4875λ(λは500nmである))と、
蒸着組成物Dからなる高屈折率の第2層(屈折率2.12、膜厚0.0502λ)と、S
iOからなる低屈折率の第3層(屈折率1.46、膜厚0.0764λ)と、蒸着組成
物Dからなる高屈折率の第4層(屈折率2.12、膜厚0.4952λ)と、SiO
らなる低屈折率の第5層(屈折率1.46、膜厚0.2372λ)とを蒸着により反射防
止膜AR2として形成した。蒸着組成物Dは、Nb2O5粉末、ZrO粉末、Y
粉末を重量%でNb:ZrO:Yが76:16.6:7.4となるように
混合し、300kg/cmでプレス加圧し、焼結温度1300℃で焼結したものである
。また、蒸着組成物Dの蒸着時の電子銃出力電流は170mAである。
1.3.5 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS1〜S4について、耐熱性および外観を評価し
た。耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS1〜S4を同一形状のメタルフレームに枠
入れ加工し、熱クラックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。
熱クラックの発生温度は、次のように測定した。メタルフレームに枠入れされたサンプ
ルレンズ(眼鏡レンズ)を、60℃に設定した恒温槽に入れて30分間放置した。その後
、恒温槽から取り出し、室温に戻った後に、サンプルレンズの外観を目視で観察し、加熱
による熱クラック(ひび割れ)の発生の有無を確認した。そして、サンプルレンズを入れ
た恒温槽の設定温度を、5℃ずつ上げて同様の操作とクラックの発生の有無を確認し、最
初に、クラックが見られた温度を熱クラックの発生温度とした。
中心部の変形温度は、次のように測定した。メタルフレームに枠入れされたサンプルレ
ンズ(眼鏡レンズ)を、60℃に設定した恒温槽に入れて30分間放置した。その後、恒
温槽から取り出し、室温に戻った後に、レンズメーター((株)ニコン製:PL−2)で
度数を測定し、レンズの中央部に変形が起きているかどうかを判断した。そして、サンプ
ルレンズを入れた恒温槽の設定温度を、5℃ずつ上げて同様の操作をし、レンズメーター
のターゲットがぼやけていないかを評価し、ターゲットがぼやけ始める温度を中央部の変
形温度とした。
外観は、サンプルレンズ(眼鏡レンズ)の色を目視により観察し、着色の有無を評価し
た。
これらの評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材L1を用いたサンプルS
1〜S4においては、熱クラック発生温度は115〜120℃と高く、また、中心部の変
形温度は110℃と高く、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。また、
上記の各機能層を形成した眼鏡レンズにしても、着色あるいは白濁は見られず、透明な眼
鏡レンズが得られた。
2. 実施例2
2.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
2.1.1 光学樹脂用重合性組成物K2の準備
レンズ基材L2を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物K2を製造す
る。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A1成
分)を47.0gと、第2の組成の脂環族イソシアネートとして、水添m−キシリレンイ
ソシアネート(B2成分)を、48.5gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリ
チオールとして、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成
分とするポリチオール組成物(C1成分)101.9gとを含む混合物を準備した。
この混合物の各イソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m
:B2m:C1mは、0.5:0.5:1.0である。また、値α2(=(A1m+B2
m)/C1m)は1、値β2(=A1m/(A1m+B2m))は0.5であり、上記の
式(2)および式(3)の範囲に入る。
2.1.2 攪拌混合
この混合物を実施例1と同様に調合タンクに入れ、温度を30℃に維持しながら攪拌を
1時間行い、光学樹脂用重合性組成物K2を得た。なお、攪拌混合における条件は、上記
の項目1.1.2に説明した通りである。
2.2 レンズ基材の製造
2.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)K2を、熱硬化してレンズ
基材(レンズ生地)L2を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述した
項目1.2.1と同じである。
2.2.2 レンズ基材の外観に基づく光学樹脂用重合性組成物の評価
上記にて成形されたレンズ基材L2には、注入歪みは見られず、また、内部歪みも白濁
も見られなかった。したがって、上記の条件で製造された光学樹脂用重合性組成物K2は
、適度な粘性を備えポットライフが十分に長く、光学樹脂用の重合性組成物として、各組
成物が十分に相溶していたと判断される。
2.2.3 レンズ基材L2の物性の評価
このレンズ基材L2の物性を、上記の項目1.2.3と同様の方法により評価した。そ
の結果を図3に纏めてある。レンズ基材L2の屈折率(ne)は1.67と十分に高く、
また、ガラス転移温度Tgは115℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認められた。
さらに、レンズ基材の外観も、歪みや白濁が確認されず、良好であった。したがって、レ
ンズ基材L2は、高屈折率で耐熱性が高く、さらに、透明度の高いプラスチックレンズ基
材であることが認められた。
2.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材L2の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能層
を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この実施例2では、レンズ基材L2を用いて2種類の
サンプルS5およびS6を製造した。サンプルS5は、レンズ基材L2の表面にプライマ
ー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1を成膜した。サンプル
S6は、レンズ基材L2の表面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および無機系
の反射防止層AR2を成膜した。各機能層の製造方法は、項目1.3.1〜1.3.4に
おいて上述した通りである。
2.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS5およびS6について、耐熱性および外観を評
価した。耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS5およびS6を同一形状のメタルフレ
ームに枠入れ加工し、熱クラックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法
は、項目1.3.5において説明した通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材L2を用いたサンプルS5および
S6においては、熱クラック発生温度は115℃と高く、また、中心部の変形温度は10
5℃と高く、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。また、上記の各機能
層を形成した眼鏡レンズにしても、着色あるいは白濁は見られず、透明な眼鏡レンズが得
られた。
3. 実施例3
3.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
3.1.1 光学樹脂用重合性組成物K3の準備
レンズ基材L3を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物K3を製造す
る。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A1成
分)を47.0gと、第2の組成の脂環族イソシアネートとして、ノルボルネンイソシア
ネート(B1成分)を51.5gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオール
として、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン(C2成分)を9
7.9gとを含む混合物を準備した。
この混合物の各イソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m
:B1m:C2mは、0.5:0.5:1.0である。また、値α3(=(A1m+B1
m)/C2m)は1、値β3(=A1m/(A1m+B1m))は0.5であり、上記の
式(2)および式(3)の範囲に入る。
3.1.2 攪拌混合
この混合物を調合タンクに入れ、温度を30℃に維持しながら攪拌を1時間行い、光学
樹脂用重合性組成物K3を得た。なお、攪拌混合における条件は、項目1.1.2に説明
した通りである。
3.2 レンズ基材の製造
3.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)K3を、熱硬化してレンズ
基材(レンズ生地)L3を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述した
項目1.2.1と同じである。
3.2.2 レンズ基材の外観に基づく光学樹脂用重合性組成物の評価
上記にて成形されたレンズ基材L3には、注入歪みは見られず、また、内部歪みも白濁
も見られなかった。したがって、上記の条件で製造された光学樹脂用重合性組成物K3は
、適度な粘性を備えポットライフが十分に長く、また、光学樹脂用の重合性組成物として
各組成物が十分に相溶していたと判断される。
3.2.3 レンズ基材L3の物性の評価
このレンズ基材L3の物性を、項目1.2.3と同様の方法により評価した。その結果
を図3に纏めてある。レンズ基材L3の屈折率(ne)は、1.69と十分に高く、また
、ガラス転移温度Tgは、125℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認められた。さ
らに、レンズ基材の外観も、歪みや白濁が確認されず、良好であった。したがって、レン
ズ基材L3は、高屈折率で耐熱性が高く、さらに、透明度の高いプラスチックレンズ基材
であることが認められた。
3.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材L3の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能層
を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この実施例3では、レンズ基材L3を用いて2種類の
サンプルS7およびS8を製造した。サンプルS7は、レンズ基材L3の表面にプライマ
ー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1を成膜した。サンプル
S8は、レンズ基材L3の表面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および無機系
の反射防止層AR2を成膜した。各機能層の製造方法は、項目1.3.1〜1.3.4に
おいて上述した通りである。
3.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS7およびS8について、耐熱性および外観を評
価した。耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS7およびS8を同一形状のメタルフレ
ームに枠入れ加工し、熱クラックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法
は、項目1.3.5において説明した通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材L3を用いたサンプルS7および
S8においては、熱クラック発生温度は120℃以上と高く、また、中心部の変形温度は
115℃と高く、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。また、上記の各
機能層を形成した眼鏡レンズにしても、着色あるいは白濁は見られず、透明な眼鏡レンズ
が得られた。
4. 実施例4
4.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
4.1.1 光学樹脂用重合性組成物K4の準備
レンズ基材L4を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物K4を製造す
る。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A1成
分)を70.5gと、第2の組成の脂環族イソシアネートとして、ノルボルネンイソシア
ネート(B1成分)を25.8gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオール
として、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分とする
ポリチオール組成物(C1成分)を101.9gとを含む混合物を準備した。
この混合物の各イソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m
:B1m:C1mは、0.75:0.25:1.0である。また、値α4(=(A1m+
B1m)/C1m)は1、値β4(=A1m/(A1m+B1m))は0.75であり、
上記の式(2)および式(3)の範囲に入る。
4.1.2 攪拌混合
この混合物を調合タンクに入れ、温度を維持しながら攪拌を行った。設定温度および攪
拌した時間は、図2に示す通りである。すなわち、上記の項目1.1.2と同様に、設定
温度は、10℃から80℃まで10℃間隔に加えて27℃および43℃の10段階で変え
て、攪拌時間は、0.1時間、0.5時間、1.0時間、および3.0時間の4段階に変
えて攪拌混合を行なった。なお、その他の攪拌混合における条件は、上記の項目1.1.
2に説明した通りである。
4.2 レンズ基材の製造
4.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)K4を熱硬化して、レンズ
基材(レンズ生地)を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述した項目
1.2.1と同じである。
4.2.2 レンズ基材の外観に基づく光学樹脂用重合性組成物の評価
図2に、攪拌温度および攪拌時間を変えた光学樹脂用重合性組成物K4により成形した
レンズ基材の外観を評価した結果を示してある。評価の判断は、項目1.2.2において
説明した通りである。
図2に纏めたように、この光学樹脂用重合性組成物K4においても、攪拌温度が80℃
以上の光学樹脂用重合性組成物K4を用いて成形したレンズ基材では、攪拌時間を最小に
しても注入歪みが見られ、レンズを成形するには光学樹脂用重合性組成物の粘性が高すぎ
ると判断される。また、攪拌温度が27℃以下の光学樹脂用重合性組成物K4を用いて成
形したレンズ基材では、攪拌時間を最大にしても白濁あるいは内部歪みが若干見られた。
このため、光学樹脂用重合性組成物K4中の各組成が光学用としては適当な範囲ではある
としても、十分に相溶していないと判断される。したがって、光学素子を成形するのに適
した光学樹脂用重合性組成物K4を得るためには、実施例1と同様に攪拌温度は、30℃
〜70℃にすることが望ましい。
一方、攪拌温度が43℃以上の光学樹脂用重合性組成物K4では、攪拌時間を延ばした
光学樹脂用重合性組成物K4を用いてレンズを成形したときに、注入歪みが表れる傾向が
あることも同様である。したがって、光学樹脂用重合性組成物K3の組成比を若干変えた
本例においても、実施例1と同様に、攪拌温度は、30℃〜40℃が好ましいことが分か
った。このため、以下においては、攪拌温度が30℃、攪拌時間が1時間の光学樹脂用重
合性組成物K4を用いて成形されたレンズ基材L4について、その物性を確認した。
4.2.3 レンズ基材L4の物性の評価
このレンズ基材L4の物性を、項目1.2.3と同様の方法により評価した。その結果
を図3に纏めてある。レンズ基材L4の屈折率(ne)は1.68と十分に高く、また、
ガラス転移温度Tgは、118℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認められた。さら
に、レンズ基材の外観も、歪みや白濁が確認されず、良好であった。したがって、レンズ
基材L4は、高屈折率で耐熱性が高く、さらに、透明度の高いプラスチックレンズ基材で
あることが認められた。
4.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材L4の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能層
を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この実施例のサンプルS9は、レンズ基材L4の表面
にプライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1を成膜した
。各機能層の製造方法は、項目1.3.1〜1.3.3において上述した通りである。
4.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS9について、耐熱性および外観を評価した。耐
熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS9をメタルフレームに枠入れ加工し、熱クラック
の発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法は、項目1.3.5において説明
した通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材L4を用いたサンプルS9におい
ては、熱クラック発生温度は115℃と高く、また、中心部の変形温度も110℃と高く
、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。また、上記の各機能層を形成し
た眼鏡レンズにしても、着色あるいは白濁は見られず、透明な眼鏡レンズが得られた。
5. 実施例5
5.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
5.1.1 光学樹脂用重合性組成物K5の準備
レンズ基材L5を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物K5を製造す
る。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A1成
分)を23.5gと、第2の組成の脂環族イソシアネートとして、ノルボルネンイソシア
ネート(B1成分)を77.3gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオール
として、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分とする
ポリチオール組成物(C1成分)を101.9gとを含む混合物を準備した。
この混合物の各イソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m
:B1m:C1mは、0.25:0.75:1.0である。また、値α5(=(A1m+
B1m)/C1m)は1、値β5(=A1m/(A1m+B1m))は0.25であり、
上記の式(2)および式(3)の範囲に入る。
5.1.2 攪拌混合
この混合物を調合タンクに入れ、温度を30℃に維持しながら攪拌を1時間行い、光学
樹脂用重合性組成物K5を得た。なお、攪拌混合における条件は、項目1.1.2に説明
した通りである。
5.2 レンズ基材の製造
5.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)K5を、熱硬化してレンズ
基材(レンズ生地)L5を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述した
項目1.2.1と同じである。
5.2.2 レンズ基材の外観に基づく光学樹脂用重合性組成物の評価
上記にて成形されたレンズ基材L5には、注入歪みは見られず、また、内部歪みも白濁
も見られなかった。したがって、上記の条件で製造された光学樹脂用重合性組成物K5は
、適度な粘性を備え、ポットライフが十分に長く、光学樹脂用の重合性組成物として各組
成物が十分に相溶していたと判断される。
5.2.3 レンズ基材L5の物性の評価
このレンズ基材L5の物性を、上記の項目1.2.3と同様の方法により評価した。そ
の結果を図3に纏めてある。レンズ基材L5の屈折率(ne)は1.66と十分に高く、
また、ガラス転移温度Tgは123℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認められた。
さらに、レンズ基材の外観も、歪みや白濁が確認されず、良好であった。したがって、レ
ンズ基材L5は、高屈折率で耐熱性が高く、さらに、透明度の高いプラスチックレンズ基
材であることが認められた。
5.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材L5の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能層
を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この実施例のサンプルS10は、レンズ基材L5の表
面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1を成膜し
た。各機能層の製造方法は、上記の項目1.3.1〜1.3.3に説明した通りである。
5.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS10について、耐熱性および外観を評価した。
耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS10をメタルフレームに枠入れ加工し、熱クラ
ックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法は、上記の項目1.3.5に
おいて説明した通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材L5を用いたサンプルS10にお
いては、熱クラック発生温度は120℃と高く、また、中心部の変形温度は110℃と高
く、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。また、上記の各機能層を形成
した眼鏡レンズにしても、着色あるいは白濁は見られず、透明な眼鏡レンズが得られた。
6. 実施例6
6.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
6.1.1 光学樹脂用重合性組成物K6の準備
レンズ基材L6を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物K6を製造す
る。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A1成
分)を75.2gと、第2の組成の脂環族イソシアネートとして、ノルボルネンイソシア
ネート(B1成分)を20.6gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオール
として、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分とする
ポリチオール組成物(C1成分)を101.9gとを含む混合物を準備した。
この混合物の各イソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m
:B1m:C1mは、0.8:0.2:1.0である。また、値α6(=(A1m+B1
m)/C1m)は1、値β6(=A1m/(A1m+B1m))は0.8であり、上記の
式(2)および式(3)の範囲に入る。
6.1.2 攪拌混合
この混合物を調合タンクに入れ、温度を30℃に維持しながら攪拌を1時間行い、光学
樹脂用重合性組成物K6を得た。なお、攪拌混合における条件は、上記の項目1.1.2
に説明した通りである。
6.2 レンズ基材の製造
6.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)K6を、熱硬化してレンズ
基材(レンズ生地)L6を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述した
項目1.2.1と同じである。
6.2.2 レンズ基材の外観に基づく光学樹脂用重合性組成物の評価
上記にて成形されたレンズ基材L6には、注入歪みは見られず、また、内部歪みも白濁
も見られなかった。また、外観は僅かに着色が見られるが使用可能な程度であった。した
がって、上記の条件で製造された光学樹脂用重合性組成物K6は、適度な粘性を備え、ポ
ットライフが十分に長く、光学樹脂用の重合性組成物として各組成物が十分に相溶してい
たと判断される。
6.2.3 レンズ基材L6の物性の評価
このレンズ基材L6の物性を、項目1.2.3と同様の方法により評価した。その結果
を図3に纏めてある。レンズ基材L6の屈折率(ne)は1.68と十分に高く、また、
ガラス転移温度Tgは117℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認められた。レンズ
基材L6の外観は、歪みや白濁は確認されず、良好であったが、若干の着色が認められた
。しかしながら透明度は十分に高く、レンズ基材L6は、高屈折率で耐熱性が高く、さら
に、透明度の高いプラスチックレンズ基材であることが認められた。
6.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材L6の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能層
を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この実施例のサンプルS11は、レンズ基材L6の表
面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1を成膜し
た。各機能層の製造方法は、項目1.3.1〜1.3.3において上述した通りである。
6.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS11について、耐熱性および外観を評価した。
耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS11をメタルフレームに枠入れ加工し、熱クラ
ックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法は、項目1.3.5において
説明した通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材L6を用いたサンプルS11にお
いては、熱クラック発生温度は115℃と高く、また、中心部の変形温度は105℃と高
く、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。また、上記の各機能層を形成
した眼鏡レンズにしても、着色あるいは白濁は見られず、透明な眼鏡レンズが得られた。
7. 実施例7
7.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
7.1.1 光学樹脂用重合性組成物K7の準備
レンズ基材L7を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物K7を製造す
る。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A1成
分)を47.0gと、第2の組成の脂環族イソシアネートとして、ノルボルネンイソシア
ネート(B1成分)を51.5gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオール
として、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分とする
ポリチオール組成物(C1成分)を112.1gとを含む混合物を準備した。
この混合物の各イソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m
:B1m:C1mは、0.5:0.5:1.1である。また、値α7(=(A1m+B1
m)/C1m)は0.9、値β7(=A1m/(A1m+B1m))は0.5であり、上
記の式(2)および式(3)の範囲に入る。
7.1.2 攪拌混合
この混合物を調合タンクに入れ、温度を30℃に維持しながら、攪拌を1時間行い、光
学樹脂用重合性組成物K7を得た。なお、攪拌混合における条件は、項目1.1.2に説
明した通りである。
7.2 レンズ基材の製造
7.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)K7を、熱硬化してレンズ
基材(レンズ生地)L7を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述した
項目1.2.1と同じである。
7.2.2 レンズ基材の外観に基づく光学樹脂用重合性組成物の評価
上記にて成形されたレンズ基材L7には、注入歪みは見られず、また、内部歪みも白濁
も見られなかった。したがって、上記の条件で製造された光学樹脂用重合性組成物K7は
、適度な粘性を備え、ポットライフが十分に長く、光学樹脂用重合性組成物の各組成は、
光学樹脂用の重合性組成物として十分に相溶していたと判断される。
7.2.3 レンズ基材L7の物性の評価
このレンズ基材L7の物性を、項目1.2.3と同様の方法により評価した。その結果
を図3に纏めてある。レンズ基材L7の屈折率(ne)は、1.68と十分に高く、また
、ガラス転移温度Tgは、113℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認められた。さ
らに、レンズ基材の外観も、歪みや白濁が確認されず、良好であった。したがって、レン
ズ基材L7は、高屈折率で耐熱性が高く、さらに、透明度の高いプラスチックレンズ基材
であることが認められた。
7.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材L7の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能層
を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この実施例のサンプルS12は、レンズ基材L7の表
面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1を成膜し
た。各機能層の製造方法は、項目1.3.1〜1.3.3において上述した通りである。
7.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS12について、耐熱性および外観を評価した。
耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS12をメタルフレームに枠入れ加工し、熱クラ
ックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法は、項目1.3.5において
説明した通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材L7を用いたサンプルS12にお
いては、熱クラック発生温度は115℃と高く、また、中心部の変形温度は105℃と高
く、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。また、上記の各機能層を形成
した眼鏡レンズにしても、着色あるいは白濁は見られず、透明な眼鏡レンズが得られた。
8. 比較例1
8.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
8.1.1 光学樹脂用重合性組成物KR1の準備
レンズ基材LR1を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物KR1を製
造する。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A
1成分)を94.0gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオールとして、1
,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分とするポリチオー
ル組成物(C1成分)を101.9gとを含む混合物を準備した。この混合物には、第2
の組成である脂環族イソシアネートは含まれていない。
この混合物のイソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m:
C1mは、1.0:1.0である。
8.1.2 攪拌混合
この混合物を窒素雰囲気中、約20℃で十分攪拌して均一にした後、必要量を秤量して
調合タンクに入れ、実施例1と同様に温度を30℃に維持しながら、攪拌を1時間行い、
光学樹脂用重合性組成物KR1を得た。なお、攪拌混合における条件は、項目1.1.2
に説明した通りである。
8.2 レンズ基材の製造
8.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)KR1を、熱硬化してレン
ズ基材(レンズ生地)LR1を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述
した項目1.2.1と同じである。
8.2.2 レンズ基材LR1の物性の評価
このレンズ基材LR1の物性を、項目1.2.3と同様の方法により評価した。その結
果を図3に纏めてある。レンズ基材LR1の屈折率(ne)は、1.69と十分に高く、
また、ガラス転移温度Tgは、113℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認められた
。しかしながら、レンズの外観検査では、色調の明確な着色が確認された。したがって、
このレンズ基材LR1を製造した光学樹脂用重合性組成物KR1は、透明な光学素子を製
造するには不向きな樹脂原料であると認められる。
8.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材LR1の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能
層を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この比較例のサンプルS13は、レンズ基材LR1
の表面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1を成
膜した。各機能層の製造方法は、項目1.3.1〜1.3.3において上述した通りであ
る。
8.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS13について、耐熱性および外観を評価した。
耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS13をメタルフレームに枠入れ加工し、熱クラ
ックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法は、項目1.3.5において
説明した通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材LR1を用いたサンプルS13に
おいては、熱クラック発生温度は、115℃と高く、また、中心部の変形温度は105℃
と高く、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。しかしながら、眼鏡レン
ズとした場合も、レンズ基材LR1の着色がそのまま表れており、用途が限定され、量産
には不向きな眼鏡レンズである。
9. 比較例2
9.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
9.1.1 光学樹脂用重合性組成物KR2の準備
レンズ基材LR2を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物KR2を製
造する。第2の組成の脂環族イソシアネートのノルボルネンイソシアネート(B1成分)
を103.0gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオールとして、1,1,
3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分とするポリチオール組成
物(C1成分)を101.9gとを含む混合物を準備した。この混合物には、第1の組成
である芳香族イソシアネートは含まれていない。
この混合物のイソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m:
C1mは、1.0:1.0である。
9.1.2 攪拌混合
この混合物を調合タンクに入れ、温度を30℃に維持しながら、攪拌を1時間行い、光
学樹脂用重合性組成物KR2を得た。なお、攪拌混合における条件は、項目1.1.2に
説明した通りである。
9.2 レンズ基材の製造
9.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)KR2を、熱硬化してレン
ズ基材(レンズ生地)LR2を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述
した項目1.2.1と同じである。
9.2.2 レンズ基材LR2の物性の評価
このレンズ基材LR2の物性を、上記の項目1.2.3と同様の方法により評価した。
その結果を図3に纏めてある。レンズ基材LR2の屈折率(ne)は、1.65と十分に
高く、また、ガラス転移温度Tgは、122℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認め
られた。しかしながら、外観検査によると、レンズ基材に白濁が認められた。したがって
、このレンズ基材LR2を製造した光学樹脂用重合性組成物KR2は、透明な光学素子を
製造するには不向きな樹脂原料であると認められる。
9.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材LR2の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能
層を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この比較例2のサンプルS14は、レンズ基材LR
2の表面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1を
成膜した。各機能層の製造方法は、項目1.3.1〜1.3.3に上述した通りである。
9.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS14について、耐熱性および外観を評価した。
耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS14をメタルフレームに枠入れ加工し、熱クラ
ックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法は、項目1.3.5に上述し
た通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材LR2を用いたサンプルS14に
おいては、熱クラック発生温度は120℃と高く、また、中心部の変形温度は110℃と
高く、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。しかしながら、眼鏡レンズ
とした場合も、レンズ基材LR2の白濁がそのまま表れており、眼鏡レンズの用途には不
適当であった。
10. 比較例3
10.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
10.1.1 光学樹脂用重合性組成物KR3の準備
レンズ基材LR3を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物KR3を製
造する。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A
1成分)を89.3gと、第2の組成の脂環族イソシアネートとして、ノルボルネンイソ
シアネート(B1成分)を5.2gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオー
ルとして、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分とす
るポリチオール組成物(C1成分)を101.9gとを含む混合物を準備した。
この混合物の各イソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m
:B1m:C1mは、0.95:0.05:1.0である。また、値α10(=(A1m
+B1m)/C1m)は1、値β10(=A1m/(A1m+B1m))は0.95であ
り、この混合物は、第2の組成の脂環族イソシアネートを極僅かに含んだものである。
10.1.2 攪拌混合
この混合物を調合タンクに入れ、温度を30℃に維持しながら、攪拌を1時間行い、光
学樹脂用重合性組成物KR3を得た。なお、攪拌混合における条件は、上記の項目1.1
.2に説明した通りである。
10.2 レンズ基材の製造
10.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)KR3を、熱硬化してレン
ズ基材(レンズ生地)LR3を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述
した項目1.2.1と同じである。
10.2.2 レンズ基材LR3の物性の評価
このレンズ基材LR3の物性を、項目1.2.3と同様の方法により評価した。その結
果を図3に纏めてある。レンズ基材LR3の屈折率(ne)は1.69と十分に高く、ま
た、ガラス転移温度Tgは114℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認められた。し
かしながら、レンズ基材LR1ほどではないが、十分に見て取れる程度の色調の着色が認
められた。したがって、このレンズ基材LR3を製造した光学樹脂用重合性組成物KR3
は、透明な光学素子を製造するには不向きな樹脂原料であると認められる。
10.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材LR3の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能
層を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この比較例3のサンプルS15は、レンズ基材LR
3の表面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1を
成膜した。各機能層の製造方法は、項目1.3.1〜1.3.3に上述した通りである。
10.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS15について、耐熱性および外観を評価した。
耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS15をメタルフレームに枠入れ加工し、熱クラ
ックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法は、項目1.3.5に上述し
た通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材LR3を用いたサンプルS15は
、熱クラック発生温度は115℃と高く、また、中心部の変形温度は105℃と高く、両
方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。しかしながら、眼鏡レンズとした場
合も、レンズ基材LR3の着色がそのまま表れており、眼鏡レンズとしての用途が限定さ
れると考えられる。
11. 比較例4
11.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
11.1.1 光学樹脂用重合性組成物KR4の準備
レンズ基材LR4を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物KR4を製
造する。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A
1成分)を4.7gと、第2の組成の脂環族イソシアネートとして、ノルボルネンイソシ
アネート(B1成分)を97.9gと、第3の組成の一般式(1)で表されるポリチオー
ルとして、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分とす
るポリチオール組成物(C1成分)を101.9gとを含む混合物を準備した。
この混合物の各イソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m
:B1m:C1mは、0.05:0.95:1.0である。また、値α11(=(A1m
+B1m)/C1m)は1、値β11(=A1m/(A1m+B1m))は0.05であ
り、この混合物は、第1の組成の芳香族イソシアネートを極僅かに含んだものである。
11.1.2 攪拌混合
この混合物を調合タンクに入れ、温度を30℃に維持しながら攪拌を1時間行い、光学
樹脂用重合性組成物KR4を得た。なお、攪拌混合における条件は、項目1.1.2に説
明した通りである。
11.2 レンズ基材の製造
11.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)KR4を、熱硬化してレン
ズ基材(レンズ生地)LR4を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述
した項目1.2.1と同じである。
11.2.2 レンズ基材LR4の物性の評価
このレンズ基材LR4の物性を、項目1.2.3と同様の方法により評価した。その結
果を図3に纏めてある。レンズ基材LR4の屈折率(ne)は1.65と十分に高く、ま
た、ガラス転移温度Tgは122℃と高耐熱性のレンズ基材であることが認められた。し
かしながら、レンズ基材LR2ほどではないが、レンズ内に明瞭な白濁が認められた。し
たがって、このレンズ基材LR4を製造した光学樹脂用重合性組成物KR4は、透明な光
学素子を製造するには不向きな樹脂原料であると認められる。
11.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材LR4の表面に、プライマー層、ハードコート層、および反射防止層の各機
能層を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この比較例4のサンプルS16は、レンズ基材L
R4の表面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR1
を成膜した。各機能層の製造方法は、項目1.3.1〜1.3.3において上述した通り
である。
11.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS16について、耐熱性および外観を評価した。
耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS16をメタルフレームに枠入れ加工し、熱クラ
ックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法は、項目1.3.5において
説明した通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材LR4を用いたサンプルS16に
おいては、熱クラック発生温度は120℃と高く、また、中心部の変形温度は110℃と
高く、両方の温度とも100℃をクリアし、高耐熱であった。しかしながら、眼鏡レンズ
とした場合も、レンズ基材LR4の白濁が認められ、眼鏡レンズとしては不向きなもので
あった。
12. 比較例5
12.1 光学樹脂用重合性組成物の製造
12.1.1 光学樹脂用重合性組成物KR5の準備
レンズ基材LR5を成形するための樹脂原料となる光学樹脂用重合性組成物KR5を製
造する。第1の組成の芳香族イソシアネートとして、m−キシリレンイソシアネート(A
1成分)を94.0gと、(R−CH2CH2−SH)構造のポリチオール組成物として
4−メルカプトメチル−3,6-ジチオ−1,8−オクタンジチオール(C3成分)を87
.0gとを含む混合物を準備した。
この混合物のイソシアネート基のモル数およびメルカプト基のモル数の比率、A1m:
C3mは、1.0:1.0である。この混合物は、第2の組成の脂環族イソシアネートを
含んでいない。また、混合物に含められたポリチオールの構造も一般式(1)とは異なる
。したがって、第3の組成のポリチオールも含んでいない。
12.1.2 攪拌混合
この混合物を調合タンクに入れ、温度を30℃に維持しながら、攪拌を1時間行い、光
学樹脂用重合性組成物KR5を得た。なお、攪拌混合における条件は、項目1.1.2に
説明した通りである。
12.2 レンズ基材の製造
12.2.1 レンズ基材の成型
上記にて調合した原料(樹脂材、光学樹脂用重合性組成物)KR5を、熱硬化してレン
ズ基材(レンズ生地)LR5を製造した。レンズ基材の製造方法および製造条件は、上述
した項目1.2.1と同じである。
12.2.2 レンズ基材LR5の物性の評価
このレンズ基材LR5の物性を、項目1.2.3と同様の方法により評価した。その結
果を図3に纏めてある。レンズ基材LR5の屈折率(ne)は1.67と十分に高い。し
かしながら、ガラス転移温度Tgは85℃と低く、高耐熱性のレンズ基材として要求され
るTgが95℃以上という条件を満足するものではなかった。したがって、このレンズ基
材LR5を製造した光学樹脂用重合性組成物KR5は、高耐熱性の光学素子の製造には不
向きな樹脂原料であると認められる。
12.3 眼鏡レンズの製造
レンズ基材LR5の表面に、プライマー層、ハードコート層および反射防止層の各機能
層を成膜し、眼鏡レンズを製造した。この比較例5では3つのサンプルS17〜S19を
用意した。サンプルS17は、レンズ基材LR5の表面にプライマー層なしで、ハードコ
ート層H1および有機系の反射防止層AR1を成膜した。サンプルS18は、レンズ基材
LR5の表面にプライマー層P1、ハードコート層H1、および有機系の反射防止層AR
1を成膜した。サンプルS19は、レンズ基材LR5の表面にプライマー層P1、ハード
コート層H1、および無機系の反射防止層AR2を成膜した。各機能層の製造方法は、項
目1.3.1〜1.3.4において上述した通りである。
12.3.1 眼鏡レンズの評価
上記で形成した眼鏡レンズのサンプルS17〜S19について、耐熱性および外観を評
価した。耐熱性の評価は、眼鏡レンズのサンプルS17〜S19のそれぞれをメタルフレ
ームに枠入れ加工し、熱クラックの発生温度と、中心部の変形温度を測定した。測定方法
は、項目1.3.5において説明した通りである。
評価の結果は、図4に纏めて示してある。レンズ基材LR5を用いたサンプルS17〜
S19は外観検査においては、着色も白濁も認められず、透明な眼鏡レンズであった。し
かしながら、サンプルS17〜S19の熱クラック発生温度は、100℃以下であった。
また、サンプルS17〜S19の中心部の変形温度は、75℃であった。眼鏡レンズの耐
熱性として要望される基準は、基材のガラス転移温度Tgが110℃以上であり、中心部
の変形温度が95℃以上である。したがって、比較例5のレンズ基材LR5は、ガラス転
移温度Tgおよび中心部の変形温度のいずれも基準値に達しておらず、耐熱性が低いと認
められる。
以上に説明したように、実施例1〜7に示した光学樹脂用重合性組成物K1〜K7は、
少なくとも1種類の芳香族ポリイソシアネート化合物を含む第1の組成と、少なくとも1
種類の脂環族ポリイソシアネート化合物を含む第2の組成と、上述した一般式(1)で表
され、分子内に2個以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物を少なくとも1種類
は含む第3の組成とを少なくとも原組成としたものである。そして、この光学樹脂用重合
性組成物K1〜K7を製造するときに、上記の第1〜第3の組成を含む混合物を30℃〜
70℃、さらに好ましくは30℃〜40℃の範囲で混合攪拌することにより、注入歪みの
無いレンズ基材L1〜L7を製造できる。
そして、図3に纏めて示すように、これらのレンズ基材L1〜L7は、白濁も認められ
ず、着色もほとんど見られない透明なレンズ基材であった。さらに、レンズ基材L1〜L
7のガラス転移温度Tgは、耐熱性の基準値である110℃を上回り、また、屈折率も1
.65を上回った。したがって、光学樹脂用重合性組成物K1〜K7は、透明であって、
さらに高耐熱、高屈折率の光学素子を製造するのに適した樹脂原料であるといえる。
また、図4に纏めて示すように、これらのレンズ基材L1〜L7を用いて製造された眼
鏡レンズS1〜S12は、着色および白濁は認められず、透明な眼鏡レンズであった。さ
らに、熱クラックの発生温度は110℃以上であり、また、中心部の変形温度は105℃
以上であった。したがって、眼鏡レンズS1〜S12は、耐熱性の基準として要望される
中心部の変形温度95℃以上という基準を満足する耐熱性の高いものであった。さらに、
上記の実施例1〜7により得られたサンプルS1〜S12は、いずれも、熱クラックの発
生温度と中心部の変形温度が100℃を超えており、耐熱性の基準を大幅に上回る、高耐
熱の眼鏡レンズであった。
なお、光学樹脂用重合性組成物を樹脂原料として製造できる光学素子は、眼鏡レンズあ
るいはその他のレンズに限らない。画像表示装置のパネル、プリズム、光ファイバー、情
報記録媒体の光学系、光学フィルタなど、多種多様なものが含まれる。
実施例1においてK1を製造する際の攪拌温度と時間と、K1を用いて成形されたレンズ基材の外観検査との関係を示す図。 実施例4においてK4を製造する際の攪拌温度と時間と、K4を用いて成形されたレンズ基材の外観検査との関係を示す図。 実施例1〜7および比較例1〜5により製造されたレンズ基材の特性を示す図。 実施例1〜7および比較例1〜5のレンズ基材を用いて製造された眼鏡レンズの特性を示す図。

Claims (8)

  1. 少なくとも1種類の芳香族ポリイソシアネート化合物を含む第1の組成と、
    少なくとも1種類の脂環族ポリイソシアネート化合物を含む第2の組成と、
    以下の一般式(1)で表され、分子内に2個以上のメルカプト基を有するポリチオール
    化合物を少なくとも1種類含む第3の組成とを少なくとも原組成として、光学樹脂用重合
    性組成物を製造する方法であって、
    前記第1の組成、前記第2の組成および前記第3の組成を少なくとも含む混合物を準備
    する工程と、
    前記混合物を30℃〜70℃の温度範囲で混合攪拌する工程とを有する、光学樹脂用重
    合性組成物の製造方法。
    −(SCHSH)n ・・・(1)
    (式中Rは芳香環を除く有機残基であり、nは1以上の整数である。)
  2. 請求項1において、前記混合攪拌する工程では、前記混合物を30℃〜40℃の温度範
    囲で混合攪拌する、光学樹脂用重合性組成物の製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記準備する工程では、前記第1の組成、前記第2の組成
    および前記第3の組成の比率が次の条件(2)および(3)を満たす前記混合物を準備す
    る、光学樹脂用重合性組成物の製造方法。
    0.5≦ (Am+Bm)/Cm ≦ 2.0・・・(2)
    0.1≦ Am/(Am+Bm) ≦ 0.9・・・(3)
    ただし、Amは、前記第1の組成中のイソシアネート基のモル数、Bmは、前記第2の
    組成中のイソシアネート基のモル数、Cmは、前記第3の組成中のメルカプト基のモル数
    である。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記芳香族ポリイソシアネート化合物は、キシ
    リレンジイソシアネートである、光学樹脂用重合性組成物の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記脂環族ポリイソシアネート化合物は、水添
    キシリレンジイソシアネートおよびノルボルナンジイソシアネートの少なくともいずれか
    である、光学樹脂用重合性組成物の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記ポリチオール化合物は、1,1,3,3−
    テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンおよび1,1,2,2−テトラキス(メル
    カプトメチルチオ)エタンの少なくともいずれかである、光学樹脂用重合性組成物の製造
    方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法により得られた光学樹脂用重合性組成物
    を、成形型に入れて重合し、光学基材を成型する工程を有する、光学素子の製造方法。
  8. 請求項7において、前記成型した光学基材表面に所望の機能を付与する機能膜を形成す
    る工程をさらに有する、光学素子の製造方法。
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