JP2007039554A - 電解質膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の芳香族主鎖の炭化水素系高分子よりも、耐久性や機械的強度に優れ、かつ多湿環境や有機溶媒等に暴露されるような環境においても、寸法安定性が良好である電解質膜の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質を含有する膜を、該膜を膨潤可能な液体で膨潤させ、膨潤した膜を1軸または2軸方向に延伸する工程を含む、電解質膜の製造方法。
Figure 2007039554

(Yは(k+2)価の芳香族残基を表し、Pは −CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CONH−、−C(CF−、単結合から選ばれる連結基であり、kは1〜4の整数であって、式中の側鎖部分Zは、下記式で表される。 Z=−(XAr(B))−(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr) (式中、B〜Bn−1は、側鎖部分Zにおける特定構造の分岐鎖を意味する)
【選択図】 なし

Description

本発明は高分子電解質を用いた電解質膜の製造方法に関する。
電解質膜、特に燃料電池に用いられる電解質膜は、イオン伝導性が良好な点から従来パーフルオロアルキルスルホン酸高分子からなる材料が主体として使用されていたが、燃料電池の運転条件から、電解質膜の耐熱性向上が必要となってきている。さらには燃料が水素からメタノールへとシフトしつつあることから、燃料であるメタノールの膜透過性を低減するため、前記高分子以外の材料の開発が進んでいる。その中でも芳香族を主鎖に有する炭化水素系高分子を主体とした材料が有望視されており、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリーレン、ポリベンズイミダゾール等を利用した材料が多数開発されている。
上記の高分子を使用した膜を製造する方法は、高分子を溶媒に溶解させ、その溶液をキャスト成型する方法が一般的である。キャスト成型しただけの膜は機械的強度が低いため、処々の方法によって強度を向上させる必要がある。例えば特許文献1には、ポリアリーレンを用いた膜を延伸する方法が記載されている。
特開2002−11787号公報
しかし前述のような、従来知られている芳香族主鎖の炭化水素系高分子は、耐熱性が良好である反面、芳香環部位が酸化性物質に犯されやすいという難点を有している。特に燃料電池用途においては、燃料電池運転時に過酸化水素やラジカルが発生し、これらの酸化性物質が高濃度に存在する環境に暴露されるため、膜の劣化を生じやすくなる。
本発明は、従来の芳香族主鎖の炭化水素系高分子よりも、耐久性や機械的強度に優れ、かつ多湿環境や有機溶媒等に暴露されるような環境においても、寸法安定性が良好である電解質膜の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題の解決方法として、本発明者らは下記の手段を開示する。
1.少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質を含有する膜を、該膜を膨潤可能な液体で膨潤させ、膨潤した膜を1軸または2軸方向に延伸する工程を含む、電解質膜の製造方法。
Figure 2007039554
(Yは(k+2)価の芳香族残基を表し、Pは −CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CONH−、−C(CF−、単結合から選ばれる連結基であり、kは1〜4の整数であって、式中の側鎖部分Zは、下記一般式(2)で表される。
Z=−(XAr(B))−(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr) (2)
上記一般式(2)中のB〜Bn−1は、側鎖部分Zにおける分岐鎖を意味し、以下の式で表される。
=−〔(XAr(B))−(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr)〕
=−〔(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr)〕



n−1=−〔XAr
上記一般式(2)中
nは各々独立に2〜5の整数、
fは各々独立に0〜5の整数、
Ar〜Arは各々独立に芳香族残基であって、
〜Xは各々独立に−CO−、−CONH−、−(CF−(pは1〜10の整数)、−C(CF−、−COO−、−SO−、−SO−から選ばれる連結基である。そして、Zは−SOH基の1.0を超える数を有する。)
2.膨潤した膜中に含有される溶媒重量の割合が、膨潤した膜の全重量に対して5〜70重量%となるように膨潤させる、項目1に記載の電解質膜の製造方法。
3.最終的な延伸倍率が延伸前の膜の縦及び/又は横の寸法の1.1〜2.0倍である、項目1または2に記載の電解質膜の製造方法。
本発明の電解質膜は、耐酸化性や機械的強度が高い。
本発明について、以下具体的に説明する。
<高分子電解質>
本発明の電解質膜に使用される高分子電解質は、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位(A)を有する。
Figure 2007039554
上記一般式(1)中、kは通常1〜4の整数であって、好ましくは1または2である。上記一般式(1)中、Yは(k+2)価の芳香族残基であり、例えば、下記式(3)に示す3価の芳香族残基、下記式(4)に示す4価の芳香族残基、下記式(5)に示す5価の芳香族残基などが挙げられる。これら芳香族残基の水素原子がアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、−CN、−NO、−COR、−COOR(Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる。)、−CONRR’(R’はRと同様である。)、−SOR、−SOR、−SORで置換されていてもよく、F、パーフルオロアルキル、−CN、−NO、−COR、−COOR、−CONRR’、−SOR、−SOR、−SOR等の電子吸引基が置換していることが好ましい。
Figure 2007039554
Figure 2007039554
Figure 2007039554
上記一般式(3)〜(5)における2価の基Qは−CO−、−COO−、−O−、−S−、−SO−、−SO −、−CCR −(Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる)、単結合から選ばれ、好ましくは−CO−、−O−、−S−、−SO −から選ばれる。
上記一般式(1)中、Pは −CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CONH−、−C(CF−、単結合から選ばれる連結基であり、好ましくは、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CF−から選ばれる連結基であり、さらに好ましくは−CO−、−O−、−S−、−SO−から選ばれる連結基である。
上記一般式(1)中の側鎖部分Zは、下記一般式(2)で表される。
Z=−(XAr(B))−(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr) (2)
上記一般式(2)中のB〜Bn−1は、側鎖部分Zにおける分岐鎖を意味し、以下の式で表される。
=−〔(XAr(B))−(XAr(B))−・・・−(Xn−1rn−1(Bn−1))−(XAr)〕
=−〔(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr)〕



n−1=−〔XAr
上記一般式(2)中nはそれぞれ独立に2〜5から選ばれる整数を表し、好ましくは2〜4から選ばれ、さらに好ましくは2〜3から選ばれる。fはそれぞれ独立に0〜5から選ばれる整数を表し、好ましくは0〜2から選ばれ、かつ、少なくとも一つのfが1または2であり、さらに好ましくは0〜1から選ばれ、かつ、少なくとも一つのfが1である。
上記一般式(2)において、fが1以上である場合、上記一般式(2)で表される側鎖は芳香族残基Ar〜Arn−1 において分岐構造をとるが、その際、各分岐鎖は各々異なった鎖長および分岐構造をとることもできる。すなわち、本発明の上記一般式(2)で表される側鎖は、例えば、下記式(6)に示す構造をとることができる。
Figure 2007039554
上記一般式(2)におけるAr〜Arn−1は(f+2)価の芳香族残基を表し、例えば下記式(7)に示す2価の芳香族残基、上記一般式(3)に示す3価の芳香族残基、上記一般式(4)に示す4価の芳香族残基、上記一般式(5)に示す5価の芳香族残基などが挙げられる。これら芳香族残基の水素原子がアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、−CN、−NO、−COR、−COOR(Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる。)、−CONRR’(R’はRと同様である。)、−SOR、−SOR、−SORで置換されていてもよく、F、パーフルオロアルキル、−CN、−NO、−COR、−COOR、−CONRR’、−SOR、−SOR、−SOR等の電子吸引基が置換していることが好ましい。また、Ar〜Arn−1は互いに同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2007039554
さらに上記一般式(2)におけるArは側鎖末端のアリール基を表し、例えば、下記式(8)に示すアリール基が挙げられ、当該アリール基の水素原子がアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、−CN、−NO、−COR、−COOR(Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる。)、−CONRR’(R’はRと同様である。)、−SOR、−SOR、−SORで置換されていてもよく、Arは互いに同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2007039554
また上記一般式(2)におけるX〜Xは2価の電子吸引基を表し、例えば、−CO−、−CONH−、−(CF−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF−、−COO−、−SO−、−SO−などが挙げられ、好ましくは−CO−、−C(CF−、−SO−、−SO−さらに好ましくは−CO−、−SO−、−SO−などが用いられる。X〜Xは互いに同じであっても異なっていてもよい。本発明の上記一般式(1)中、Zで表される側鎖の具体例としては、例えば、下記式(9)の基が挙げられる。
Figure 2007039554
(上記式中、スルホン酸基は記載していない。)
本発明では、通常、非分岐型側鎖、分岐型側鎖から選ばれる側鎖が用いられ、好ましくは分岐型側鎖が用いられる。分岐型側鎖は、(i)スルホン化が容易な末端芳香環の数が多く、高分子(主鎖)までの距離が同じスルホン酸基を同一側鎖に複数導入することが可能であり、プロトン伝導性に必要なイオンクラスター構造を形成し易く、それゆえプロトン伝導性が高いものと考えられる。また、(ii)側鎖の形状が嵩高くなるので異なる高
分子鎖間の側鎖が互いに絡み合うものと推察され、その結果、電解質膜の強度が高く、寸法安定性も高いものと考えられる。
上記一般式(2)において、fが1以上である場合、上記一般式(2)で表される側鎖は芳香族残基Ar〜Arn−1において分岐構造をとるが、その際、各分岐鎖は各々異なった鎖長および分岐構造をとることもできる。すなわち、本発明の上記一般式(2)で表される側鎖は、例えば、上記式(6)に示す構造をとることができる。
本発明の高分子電解質は、少なくとも上記一般式(1)で表される繰り返し単位(A)を有する。本発明の高分子電解質としては、通常、上記一般式(1)で表される繰り返し単位(A)を1〜100モル%、好ましくは5〜95モル%、さらに好ましくは10〜80モル%、特に好ましくは15〜75モル%含み、その重量平均分子量が1000〜100万、好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは2万〜80万、特に好ましくは3万〜40万の重合体である高分子電解質が挙げられる。
本発明の高分子電解質が、従来の高分子電解質と比較して、(1)耐酸化性が高く、(2)高温でも脱スルホンが起こりにくく、(3)プロトン伝導性が高いという、優れた性能を併せ持つ理由は未だ明確ではないが、およそ次のように推定される。
(1)耐酸化性が高い理由:燃料電池運転時には過酸化水素や・OOHラジカルのような酸化性物質が生成することが知られている。そのため、高分子電解質としては化学的に安定な高分子パーフルオロスルホン酸が用いられてきた。従来の炭化水素系高分子スルホン酸では耐酸化性が不十分であることは、例えば特許文献6および7において、耐酸化性を補うために酸化防止剤を併用していることからも明らかである。上記特許文献6および7で用いられている高分子電解質(本発明の比較例1にその一つを示す)は、スルホン酸が置換した芳香環が電子供与性連結基(−O−)で連なる構造の側鎖を有している。酸化性物質例えば・OOHラジカルは芳香環を親電子的に攻撃するので、電子密度の高い芳香環ほど攻撃されやすく、特許文献6および7で用いられる電解質は耐酸化性が低いものと推察される。一方、本発明の電解質は、スルホン酸が置換した芳香環が電子吸引性連結基で連なる特定構造の側鎖を有する。すなわち、本発明の方法では電子吸引性連結基を用いることにより芳香環の電子密度を低下させ、それゆえ、酸化性物質が反応し難く、耐酸化性が高いものと考えられる。
(2)脱スルホンが起こり難い理由:一方、芳香族スルホン酸は、高温ほど脱スルホンが進行することが知られており、燃料電池運転温度である100℃付近での脱スルホンも皆無ではないため、この点を改良することは高分子スルホン酸電解質の課題の一つであった。脱スルホン反応は芳香族スルホン酸へのプロトンの攻撃により開始すると考えられ、したがって、電子密度の高い芳香環ほど脱スルホンし易いものと推測される。先述のように、電子吸引性連結基が置換した本発明の電解質は芳香環の電子密度が低いので、脱スルホンし難いものと推測される。
(3)プロトン伝導度が高い理由:電子吸引性連結基が置換した本発明の電解質は芳香環の電子密度が低い。したがって解離したスルホン酸アニオンを安定化するために酸解離定数が高く、それゆえ、プロトン伝導度が高いものと推測される。
本発明の高分子電解質は従来知られていない。それには必然的な理由があったからである。すなわち、従来知られている、側鎖スルホン酸を有する高分子電解質(例えば、比較例2で用いた高分子電解質)は、スルホン酸が置換した芳香環が電子供与性連結基で連なる構造を有している。通常、芳香環をスルホン化する場合、電子吸引性基が置換していると、当該芳香環の反応性が著しく低下し、その結果スルホン化を進行させることが困難となってしまう。それゆえ、従来の方法では、芳香環を活性化しスルホン化の進行を容易にするために電子供与基を置換せざるを得なかったのである。その結果、本発明のような側鎖電子吸引性連結基を有する高分子電解質は合成が困難であった。一方、本発明において
は、電子吸引性連結基へ変換可能な電子供与性連結基前駆体を用いることにより、(1)スルホン化反応性の促進と、(2)電子吸引性連結基の使用、を両立することが初めて可能となり、その結果、本発明の優れた効果を見出すことが可能となったのである。
本発明の高分子電解質の製造方法は特に限定されるものではない。例えば、
(M1)高分子に側鎖導入剤を反応させて側鎖を導入する方法
上記一般式(1)においてZが置換していない構造に相当する、−Y−P−(Yは2価の芳香族残基、Pは前記のとおり)を繰り返し単位として有する高分子へ側鎖導入剤を反応させてZを導入させても良いし、予め反応性の置換基を導入した−Y(M)−P−(Yは3価の芳香族残基、Mは反応性基、Pは前記のとおり)に、Mと反応する側鎖導入剤を反応させることによりZを導入しても良い。
(M2)少なくとも側鎖を有するモノマーを重合させて製造する方法
繰り返し構造単位(A)に対応するモノマーおよび他の繰り返し単位に対応するモノマーを重合することによっても得られるし、繰り返し単位(A)に対応するモノマーや他の繰り返し単位に対応するモノマーからまずオリゴマーを合成し、次に当該オリゴマー同士または当該オリゴマーとモノマーを反応させることにより得ることもできる。また、繰り返し単位(A)と一つのまたは複数の他の繰り返し単位が連結した構造に対応するモノマーを予め合成し、このものの単独重合や、このものと他の繰り返し構造に対応するモノマーとの重合によって合成することもできる。
前記方法(M1)の通常用いられる具体例を次に示す。すなわち、下記一般式(10)で表される繰り返し単位を有する高分子と下記一般式(11)で表される側鎖導入剤を反応させることにより、上記一般式(1)で示される高分子電解質を製造することができる。なお、この場合には、上記一般式(2)におけるXは−CO−および−SO−から選ばれる。
Figure 2007039554
上記一般式(10)において、YおよびP、kは上記一般式(1)に記載のものと同様であり、Uは水素原子、−COX、−SOXから選ばれる反応性基であり、Xはハロゲン原子、OR(Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基)、水酸基から選ばれる。
Z’−V (11)
上記一般式(10)のUが水素原子の場合、Vは−COX、−SOXから選ばれる反応性基であり、Uが−COX、−SOXから選ばれる反応性基である場合には、Vは水素原子であり、Z’は、下記一般式(12)で表される。
Z’=−(Ar(B))−(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr) (12)
(上記一般式(12)中、Ar、B、nは上記一般式(2)に記載のものと同様であり、Xは上記一般式(2)に記載の連結基及び連結基前駆体から選ばれる。)
連結基前駆体とは、連結基に変換することのできる基をいう。連結基前駆体を連結基に変換する方法としては公知の方法を用いることができる。表1に例を示す。
Figure 2007039554
連結基前駆体を連結基に変換するのはいずれの時点でもよいが、好ましくは次の方法が用いられる。すなわち、上記一般式(10)で表される繰り返し単位を有する高分子と上記一般式(11)で表される側鎖導入剤を反応させるに際し、
(i)側鎖導入剤がスルホン酸基またはその前駆体を有せず、かつ、側鎖導入剤のXが、電子供与性の連結基前駆体であって、高分子と反応後、スルホン酸化を行い、続いて連結基前駆体を電子吸引性の連結基に変換することにより、または、
(ii)側鎖導入剤がスルホン酸基またはその前駆体を有し、かつ、側鎖導入剤のXが、(ii−1)電子供与性の連結基前駆体である場合には、続いて連結基前駆体を電子吸引性の連結基に変換することにより、(ii−2)電子吸引性の連結基である場合には、その状態で、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する燃料電池用高分子電解質を得る方法である。
本発明で使用する、上記一般式(10)で表される繰り返し単位を有する高分子の例を以下に示す。
Uが水素原子のもの:上記一般式(7)で示される残基から選ばれる2価芳香族残基と、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CONH−、−C(CF−、単結合から選ばれる連結基Pの組み合わせからなる高分子が通常用いられ、好ましくは、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレンから選ばれる2価芳香族残基と−CO−、−O−、−S−、−SO−から選ばれる連結基Pの組み合わせが用いられ、より好ましくはポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルケトン、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンが用いられ
、さらに好ましくは、下式で表される高分子においてZが水素原子のものが用いられる。
Figure 2007039554
Figure 2007039554
Uが−COXまたは−SOXのもの:上記一般式(7)で示される残基から選ばれる2価芳香族残基と、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CONH−、−C(CF−、単結合から選ばれる連結基Pの組み合わせからなる高分子に−COXまたは−SOXを導入したものが通常用いられ、好ましくは、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレンから選ばれる2価芳香族残基と−CO−、−O−、−S−、−SO−から選ばれる連結基Pの組み合わせの高分子に−COXまたは−SOXを導入したものが用いられ、より好ましくはポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルケトン、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンに−COXまたは−SOXを導入したものが用いられ、さらに好ましくは、上式で表される高分子においてZが−COXまたは−SOXを導入したものが用いられる。(−COXまたは−SOXの導入には公知の導入方法を用いることができる)。上記一般式(10)のUがCOX、SOXである場合のXは、通常、ハロゲン原子、OR(Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基)、水酸基から選ばれ、好ましくは、ハロゲン原子、水酸基から選ばれる。上記一般式(7)で表される側鎖導入剤の例を次に示す。
側鎖導入剤がスルホン酸基またはその前駆体を有し、かつ、側鎖導入剤のXが電子吸引性の連結基であり、さらに、Vが−COX、−SOXから選ばれる反応性基である場合の、好ましいZ’−Vの例を下記一般式(12)および下記一般式(13)に示す。さらに好ましいZ’−Vは下記一般式(13)に示す分岐構造である。(式中、−SORはスルホン酸基またはその前駆体を表し、Rは水酸基、アルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれる。)
Figure 2007039554
Figure 2007039554
側鎖導入剤がスルホン酸基またはその前駆体を有せず、かつ、側鎖導入剤のXが、電子供与性の連結基前駆体であり、さらに、Vが−COX、−SOXから選ばれる反応性基である場合の、好ましいZ’−Vの例を下記一般式(14)および下記一般式(15)に示す。さらに好ましいZ’は下記一般式(15)に示す分岐構造である。Vが水素原子である場合の好ましいZ’−Vの例を下記一般式(16)および下記一般式(17)に示す。
Figure 2007039554
Figure 2007039554
Figure 2007039554
Figure 2007039554
上記一般式(11)のVにおけるXは通常、ハロゲン原子、OR(Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基)、水酸基から選ばれ、好ましくは、ハロゲン原子、水酸基から選ばれる。
高分子に側鎖導入剤を反応させる際の反応の種類は、特に制限されない。上記一般式(10)で表される高分子と上記一般式(11)で表される側鎖導入剤を反応させる際の好ましい方法としては次の方法が挙げられる。
(i)上記一般式(10)のUが水素原子で、上記一般式(11)のVが−COX(Xがハロゲン原子または水酸基)であるか、または、上記一般式(10)のUが−COX(Xがハロゲン原子)で、上記一般式(11)のVが水素原子である場合:フリーデル・クラフツ−アシル化反応を用いることができる。
(ii)上記一般式(10)のUが水素原子で、上記一般式(11)のVが−SOX(Xがハロゲン原子または水酸基)であるか、または、上記一般式(10)のUが−SOX(Xがハロゲン原子)で、上記一般式(11)のVが水素原子である場合:フリーデル・クラフツ型スルホニル化反応を用いることができる。
(iii)上記一般式(10)のUが水素原子で、上記一般式(11)のVが−COOHまたは−SOHであるか、または、上記一般式(10)のUが−COOHまたは−SOHで、上記一般式(11)のVが水素原子である場合:脱水縮合反応を用いることができる。
前記方法(M2)の具体例を次に示す。すなわち、少なくとも上記一般式(16)で示されるモノマーを用いて重合させることにより、上記一般式(1)で示される高分子電解質を製造することができる。
連結基前駆体を連結基に変換するのはいずれの時点でもよいが、好ましくは次の方法が用いられる。すなわち、少なくとも下記一般式(18)で表されるモノマーを重合させるに際し、
(i)Z”がスルホン酸基またはその前駆体を有せず、かつ、Z”のXが電子供与性の連結基前駆体であって、重合後、スルホン酸化を行い、続いて連結基前駆体を電子吸引性の連結基に変換することにより、または、
(ii)Z”がスルホン酸基またはその前駆体を有し、かつ、Z”のXが、(ii−1)電子供与性の連結基前駆体である場合には、続いて連結基前駆体を電子吸引性の連結基に変換することにより、(ii−2)電子吸引性の連結基である場合には、その状態で、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する燃料電池用高分子電解質を得る方法である。
Figure 2007039554
(式中、P、kおよびYは上記一般式(1)と同様であり、WおよびW’は水素原子、ハロゲン、−COX(XはハロゲンまたはOR(Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基))、−OH、−SH、−SO X(Xは前記のとおり)から選ばれ、同一であっても異なっていても良く、Z”はXが連結基及び前記の連結基前駆体から選ばれ、Arがスルホン酸基を有していてよいことを除いて上記一般式(1)のZと同様である。)
また、本発明の重合体において、繰り返し単位(A)以外の他の繰り返し単位としては、重合できるものであればいずれも用いることができ、下記一般式(19)で表される繰り返し単位(B)が好ましく用いられる。
−Y−P− (19)
(式中、Yは上記一般式(7)に示されるものと同様の2価の芳香族残基から選ばれ、当該芳香族残基の水素原子がアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基で置換されていてもよく、P は−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−COO−、−SO−、−CONH−、単結合から選ばれ、好ましくは−CO−、−O−、−S−、−SO−から選ばれる。)
本発明の好ましい重合体において、繰り返し単位(A)と他の繰り返し単位は、(以下、簡単のため本段落ではYの側鎖基Zを略す)例えば−Y−P−Y−P−Y−P−のように、YまたはYがPまたはPを介してYまたはYと結合していればよく、任意の繰返し順序を取ることができる。例えば、−(Y−P)−(Y−P−(m、nは正の整数)のようなブロック高分子であってもよく、またはランダム高分子であってもよい。 繰り返し単位(A)と他の繰り返し単位の割合は、繰り返し単位(A)5〜95モル%、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは15〜75モル%、他の繰り返し単位が95〜5モル%、好ましくは90〜20モル%、より好ましくは85〜25モル%である。繰り返し単位(A)以外の他の繰り返し単位が、繰り返し単位(B)からなる場合、同一種類の繰り返し単位(B)が用いられても良いし複数の種類の繰り返し単位(B)が用いられても良い。
以下、前記方法(M2)として通常用いられる合成法の例を述べる。
[合成方法−1]本発明において、連結基Pが単結合である重合体を製造する際の反応として好ましく用いられるのは、遷移触媒を用いた、芳香族ハロゲン化物同士のカップリング反応である。例えば米国特許第5403675号明細書および特開2003−201352に記載された方法を用いることができる。
[合成方法−2]本発明において、連結基Pおよび/またはPが−O−である重合体を製造する際の反応として好ましく用いられるのは、芳香族ヒドロキシ化合物と芳香族ハロゲン化物の芳香族求核置換反応による芳香族ポリエーテルの合成反応である。
例えば、高分子学会編「高性能芳香族系高分子材料」(丸善株式会社 1990年3月30日)p.128〜132に記載された方法を用いることができる。別の方法としては、芳香族ハロゲン化物同士を炭酸塩と触媒の存在下に反応させて芳香族ポリエーテル類を合成する反応を用いることができる。例えば、Macromolecules,1991年,24巻 p.3838(Fukawaら)に記載された方法を用いることができる。
[合成方法−3]本発明において、連結基Pおよび/またはPが−S−である重合体を製造する際の反応として好ましく用いられるのは、前記合成方法−2における芳香族ヒド
ロキシ化合物の代わりに芳香族チオール化合物を用いて芳香族ポリスルフィド類を合成する方法である。また、別の方法としては、芳香族ジクロリドと硫化ナトリウムから芳香族ポリスルフィドを合成する反応を用いることができる。例えば、高分子学会編「高性能芳香族系高分子材料」(丸善株式会社 1990年3月30日)のp.133〜134に記載された方法を用いることができる。
[合成方法−4]本発明において、連結基Pおよび/またはPが−SO−である重合体を製造する際の反応として好ましく用いられるのは、上記合成法−3で製造した芳香族スルフィド類を過酸化水素などの酸化剤を用いて酸化する方法である。
また、別の方法としては、水素原子を芳香環に有する芳香族化合物に、芳香族スルホン酸ハライドを親電子置換反応させて芳香族スルホン結合を形成する方法を用いることができる。例えば、高分子学会編「高性能芳香族系高分子材料」(丸善株式会社 1990年3月30日)のp.132〜133に記載された方法を用いることができる。
[合成方法−5]本発明において、連結基Pおよび/またはPが−CO−である重合体を製造する際の反応として好ましく用いられるのは、フリーデル・クラフツ−アシル化反応である。例えば、高分子学会編「高性能芳香族系高分子材料」(丸善株式会社 1990年3月30日)のp.132〜133に記載された方法を用いることができる。
次に、前記方法(M2)による好ましい合成法の例を説明する
[重合体の例−1]重合体が繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなり、連結基PおよびP がいずれも−O−の場合:例えば下記一般式(20)に示す繰り返し単位(A)モノマーと、下記一般式(21)に示す繰り返し単位(B)モノマーとの反応、または、下記一般式(22)に示す繰り返し単位(A)モノマーと、下記一般式(23)に示す繰り返し単位(B)モノマーとの反応、または、下記一般式(24)に示す繰り返し単位(A)モノマーと、下記一般式(25)に示す繰り返し単位(B)モノマーとの反応により、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなる下記一般式(26)で示される重合体を得ることができる。
Figure 2007039554
(式中、Xはハロゲン原子を表し、Y 、Y 、Z、kは前記のとおりである。)
Figure 2007039554
なお、上記一般式(21),(22),(24),(25)における酸素原子の代わり
にイオウ原子を用いた原料を用いることにより、連結基P およびPがいずれも−S−の重合体を得ることができる。
上記一般式(20)で表される繰り返し単位(A)モノマーの具体例としては、2,5−ジクロロ−4’−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、2,5−ジブロモ−4’−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、2,5−ジヨード−4’−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、;2,5−ジクロロ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、2,5−ジブロモ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、2,5−ジヨード−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン;2,5−ジクロロ−4’−チオフェノキシベンゾフェノン、2,5−ジブロモ−4’−チオフェノキシベンゾフェノン、2,5−ジヨード−4’−チオフェノキシベンゾフェノン;2,5−ジクロロ−1−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン、2,5−ジブロモ−1−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン、2,5−ジヨード−1−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン;2,5−ジクロロ−1−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン、2,5−ジブロモ−1−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン、2,5−ジヨード−1−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン;2,5−ジクロロ−4’−(4−ベンゾイル)ベンゾイルベンゾフェノン、2,5−ジブロモ−4’−(4−ベンゾイル)ベンゾイルベンゾフェノン、2,5−ジヨード−4’−(4−ベンゾイル)ベンゾイルベンゾフェノン;2,5−ジクロロ−4’−ベンゾイルベンゾフェノン、2,5−ジブロモ−4’−ベンゾイルベンゾフェノン、2,5−ジヨード−4’−ベンゾイルベンゾフェノン、およびこれらの位置異性体などが挙げられる。
上記一般式(22)で表される繰り返し単位(A)モノマーの具体例としては、2,5−ジヒドロキシ−4’−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン;2,5−ジヒドロキシ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン;2,5−ジヒドロキシ−4’−チオフェノキシベンゾフェノン;2,5−ジヒドロキシ−1−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン;2,5−ジヒドロキシ−1−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン;2,5−ジヒドロキシ−4’−(4−ベンゾイル)ベンゾイルベンゾフェノン;2,5−ジヒドロキシ−4’−ベンゾイルベンゾフェノンおよびこれらの位置異性体などが挙げられる。
上記一般式(24)で表される繰り返し単位(A)モノマーの具体例としては、2−クロロ−5−ヒドロキシ−4’−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、2−ブロモ−5−ヒドロキシ−4’−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、2−ヨード−5−ヒドロキシ−4’−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、;2−クロロ−5−ヒドロキシ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、2−ブロモ−5−ヒドロキシ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン、2−ヨード−5−ヒドロキシ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン;2−クロロ−5−ヒドロキシ−4’−チオフェノキシベンゾフェノン、2−ブロモ−5−ヒドロキシ−4’−チオフェノキシベンゾフェノン、2−ヨード−5−ヒドロキシ−4’−チオフェノキシベンゾフェノン;2−クロロ−5−ヒドロキシ−1−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン、2−ブロモ−5−ヒドロキシ−1−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン、2−ヨード−5−ヒドロキシ−1−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン;2−クロロ−5−ヒドロキシ−1−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン、2,5−ジブロモ−1−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン、2−ヨード−5−
ヒドロキシ−1−(4−チオフェノキシ−4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゼン;2−クロロ−5−ヒドロキシ−4’−(4−ベンゾイル)ベンゾイルベンゾフェノン、2−ブロモ−5−ヒドロキシ−4’−(4−ベンゾイル)ベンゾイルベンゾフェノン、2−ヨード−5−ヒドロキシ−4’−(4−ベンゾイル)ベンゾイルベンゾフェノン;2−クロロ−5−ヒドロキシ−4’−ベンゾイルベンゾフェノン、2−ブロモ−5−ヒドロキシ−4’−ベンゾイルベンゾフェノン、2−ヨード−5−ヒドロキシ−4’−ベンゾイルベンゾフェノン、およびこれらの位置異性体などが挙げられる。
上記一般式(21)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例としては、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3′−ジヒドロキシベンゾフェノン;4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3′−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4′−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、2,4′−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、3,3′−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン;ビス(ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン;4−ヒドロキシ安息香酸−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸−3−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシ安息香酸−3−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシ安息香酸−4−ヒドロキシフェニル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−ヒドロキシフェニル)スルホン;2,5−ジヒドロキシ4′−フェノキシベンゾフェノン、p−ジヒドロキシベンゼン、2,5−ジヒドロキシトルエン、2,5−ジヒドロキシp−キシレン、2,5−ジヒドロキシベンゾトリフルオライド、1,4−ジヒドロキシ2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン;4,4′−ジヒドロキシビフェニル;m−ジヒドロキシベンゼン、2,4−ジヒドロキシトルエン、3,5−ジヒドロキシトルエン、2,6−ジヒドロキシトルエンなどが挙げられる。
上記一般式(23)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例としては、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、2,4′−ジクロロベンゾフェノン、3,3′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ジブロモベンゾフェノン、2,4′−ジブロモベンゾフェノン、3,3′−ジブロモベンゾフェノン、4,4′−ジヨードベンゾフェノン、2,4′−ジヨードベンゾフェノン、3,3′−ジヨードベンゾフェノン;4,4′−ジクロロジフェニルエーテル、2,4′−ジクロロジフェニルエーテル、3,3′−ジクロロジフェニルエーテル、4,4′−ジブロモジフェニルエーテル、2,4′−ジブロモジフェニルエーテル、3,3′−、ジブロモジフェニルエーテル、4,4′−ジヨードジフェニルエーテル、2,4′−ジヨードジフェニルエーテル、3,3′−ジヨードジフェニルエーテル;4,4′−ジクロロジフェニルチオエーテル、2,4′−ジクロロジフェニルチオエーテル、3,3′−ジクロロジフェニルチオエーテル、4,4′−ジブロモジフェニルチオエーテル、2,4′−ジブロモジフェニルチオエーテル、3,3′−、ジブロモジフェニルチオエーテル、4,4′−ジヨードジフェニルチオエーテル、2,4′−ジヨードジフェニルチオエーテル、3,3′−ジヨードジフェニルチオエーテル:
2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロパン;ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、ビス(ブロモフェニル)ジフルオロメタン、ビス(ヨードフェニル)ジフルオロメタン;4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニル、4−クロロ安息香酸−3−クロロフェニル、3−クロロ安息香酸−3−クロロフェニル、3−クロロ安息香酸−4−クロロフェニル、4−ブロモ安息香酸−4−ブロモフェニル、4−ブロモ安息香酸−3−ブロモフェニル、3−ブロモ安
息香酸−3−ブロモフェニル、3−ブロモ安息香酸−4−ブロモフェニル;ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(3−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−ブロモフェニル)スルホキシド、ビス(3−ブロモフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヨードフェニル)スルホキシド、ビス(3−ヨードフェニル)スルホキシド;
ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(3−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−ブロモフェニル)スルホン、ビス(3−ブロモフェニル)スルホン、ビス(4−ヨードフェニル)スルホン、ビス(3−ヨードフェニル)スルホン;2,5−ジクロロ−4′−フェノキシベンゾフェノン、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、2,5−ジブロモ−p−キシレン、2,5−ジヨード−p−キシレン、2,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,5−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,4−ジクロロ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジヨード−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン;4,4′−ジクロロビフェニル、4,4′−ジブロモビフェニル、4,4′−ジヨードビフェニル、4,4′−ジブロモオクタフルオロビフェニル;m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼンなどが挙げられる。なお、上記具体例において、一般式(13)における二つのXのうち一つをフッ素原子に置換したものも好ましく用いることができる。
上記一般式(26)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例としては、上記一般式(15)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例における、非フッ素ハロゲン原子の一つを水酸基で置換した構造およびその位置異性体が挙げられる。
重合体が繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなり、連結基PおよびPがいずれも−O−の場合の合成例を以下に具体的に例示する。繰り返し単位(A)のモノマーとして2,5−ジクロロ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノンを用い、繰り返し単位(B)のモノマーとしてp,p’−ジヒドロキシベンゾフェノンを用いる。両者を炭酸カリウムの存在下で共重合し、次いで、スルホン酸化剤を用いて、スルホン酸化した後に、スルフィド結合を酸化剤を用いて酸化してスルホンへ転化することで、連結基P=O、P=Oの下記一般式(27)に示す高分子(Q=−CO−)のスルホン酸化物が高分子電解質として得られる。
Figure 2007039554
(式中、Z”は側鎖基を示す。)
同様にして、Qが−O−、−S−、−SO−、−CR −(Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる)または単結合である高分子を合成することができる。
[重合体の例−2]重合体が繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなり、連結基PおよびPがいずれも単結合の場合:下記一般式(28)に示す、繰り返し単位(A)モノマーと、下記一般式(29)に示す、繰り返し単位(B)モノマーとの反応により、
繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなる、下記一般式(30)で示される重合体を得ることができる。下記一般式(28)で表される繰り返し単位(A)モノマーの具体例としては、上記一般式(20)に対する具体例と同様の化合物が挙げられる。下記一般式(29)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例としては、上記一般式(23)に対する具体例と同様の化合物が挙げられる。
Figure 2007039554
(式中、X、X’は互いに同一であっても異なっていても良いハロゲン原子を表し、Y 、Y 、Z、kは前記のとおりである。)
Figure 2007039554
重合体が繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなり、連結基PおよびPがいずれも単結合の場合の例を以下に具体的に例示する。繰り返し単位(A)のモノマーとして2,5−ジクロロ−4’−チオフェノキシベンゾフェノンを用い、繰り返し単位(B)のモノマーとしてp,p’−ジクロロジフェニルスルホンを用いる。両者を、遷移金属化合物を含む触媒の存在下で共重合し、次いで、スルホン酸化剤を用いて、スルホン酸化した後に、スルフィド結合を酸化剤を用いて酸化してスルホンへ転化することで、連結基P=単結合、P=単結合の下記一般式(31)に示す高分子(Q=−SO−)のスルホン酸化物が高分子電解質として得られる。
Figure 2007039554
(式中、Z”は側鎖基を示す。)
[重合体の例−3]重合体が繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなり、連結基PおよびPがいずれも−CO−の場合:例えば下記一般式(32)に示す、繰り返し単位(A)モノマーと、下記一般式(33)に示す、繰り返し単位(B)モノマーとの反応、または、下記一般式(34)に示す、繰り返し単位(A)モノマーと、下記一般式(35)に示す、繰り返し単位(B)モノマーとの反応により、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなる、下記一般式(36)で示される重合体を得ることができる。なお、下記一般式(33),(34)におけるCOの代わりにSOを用いた原料を使用することにより、連結基PおよびPがいずれも−SO−の重合体が得られる。(式中、Xはハロゲン原子を表し、Y、Y、Zは前記のとおりである。)
Figure 2007039554
Figure 2007039554
上記一般式(32)で表される繰り返し単位(A)モノマーの具体例としては、 上記一般式(20)で表される繰り返し単位(A)モノマーの具体例における、−Xを水素原子で置換した構造のものおよびその位置異性体が挙げられる。
上記一般式(34)で表される繰り返し単位(A)モノマーの具体例としては、上記一般式(20)で表される繰り返し単位(A)モノマーの具体例における、−Xを−COX(Xはハロゲン原子を示す)で置換した構造のものおよびその位置異性体が挙げられる。
上記一般式(33)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例としては、上記一般式(23)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例における、−Xを−COX(Xはハロゲン原子を示す)で置換した構造のものおよびその位置異性体が挙げられる。
上記一般式(35)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例としては、上記一般式(23)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例における、Xを水素原子で置換した構造のものが挙げられる。
重合体が繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなり、連結基PおよびPがいずれも−CO−の場合の合成例を以下に具体的に例示する。繰り返し単位(A)のモノマーとして2−[4−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾイル]テレフタルクロリドを用い、繰り返し単位(B)のモノマーとしてジフェニルエーテルを用いる。両者を塩化アルミニウム等のフリーデルクラフツ触媒の存在下で共重合し、次いで、スルホン酸化剤を用いて、スルホン酸化した後に、スルフィド結合を酸化剤を用いて酸化してスルホンへ転化することで、連結基P=CO、P=COの下記一般式(37)に示す高分子(Q=−O−)のスルホン酸化物が高分子電解質として得られる。
Figure 2007039554
(式中、Z”は側鎖基を示す。)
同様にして、Qが−CO−、−S−、−SO−、−CR −(Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基から選ばれる)または単結
合である高分子を合成することができる。
[重合体の例−4]重合体が繰り返し単位(A)と複数の繰り返し単位(B)からなり、連結基Pが単結合、連結基Pが−O−の場合:例えば下記一般式(38)に示す、繰り返し単位(A)モノマーと、下記一般式(39)および下記一般式(40)に示す、繰り返し単位(B)モノマーとの反応により、繰り返し単位(A)と2種類の繰り返し単位(B)からなる、下記一般式(41)で示される重合体を得ることができる。
Figure 2007039554
(式中、X、X’、X’’はハロゲン原子を表し互いに異なっていても同一でも良く、Y’はYと同様の基であり、Y 、Y、Z、kは前記のとおりである。)
Figure 2007039554
上記一般式(38)で表される繰り返し単位(A)モノマーの具体例としては、上記一般式(20)に対する具体例と同様の化合物が挙げられる。上記一般式(39)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例としては、上記一般式(23)に対する具体例と同様の化合物が挙げられる。上記一般式(40)で表される繰り返し単位(B)モノマーの具体例としては、上記一般式(21)に対する具体例と同様の化合物が挙げられる。
重合体が繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなり、連結基Pが単結合、連結基Pが−O−の場合の例を以下に具体的に例示する。繰り返し単位(A)のモノマーとして2,5−ジクロロ−4’−チオフェノキシベンゾフェノンを用い、繰り返し単位(B)のモノマーとして4−クロロフルオロベンゼンと4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンを用いる。まず、4−クロロフルオロベンゼンとビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンを炭酸カリウムの存在下で反応させてビス[4−(4−クロロフェノキシ)フェニル]スルホンを合成する。次にこのものと2,5−ジクロロ−4’−チオフェノキシベンゾフェノンを、遷移金属化合物を含む触媒の存在下で共重合し、次いで、スルホン酸化剤を用いて、スルホン酸化した後に、スルフィド結合を酸化剤を用いて酸化してスルホンへ転化することで、連結基P=単結合、P=−O−結合の下記一般式(42)に示す高分子(Q=−SO−)のスルホン酸化物が高分子電解質として得られる。本発明の重合体において、他の繰り返し単位中の繰り返し単位(B)の割合は、10〜100モル%、好ましくは20〜100モル%である。
Figure 2007039554
(式中、Z”は側鎖基を示す。)
本発明の高分子電解質の主鎖に含まれる芳香族残基は少なくとも一つの電子吸引基が結合していることが好ましい。この場合の電子吸引基は、例えば、−CO−、−CONH−、−(CF−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF−、−COO−、−SO−、−SO−などの2価の基;F、パーフルオロアルキル、−CN、−NO、−COR、−COOR(Rは水素、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基から選ばれる)、−CONRR’(R’は前記Rと同様の基である。)、−SOR、−SOR、−SORなどの1価の基が挙げられる。
本発明の高分子電解質の構造例を以下に示す(式中、Zは上記一般式(1)で表される側鎖を示す)。
Figure 2007039554
Figure 2007039554
Figure 2007039554
Figure 2007039554
本発明の高分子電解質においては、側鎖Zにスルホン酸基が存在する。そして、少なくともn≧2で、かつ、スルホン酸基の1.0を超える数が導入されたZを有する。なお、Zが直鎖状の場合には、同一側鎖の複数のAr基にスルホン酸基が導入されていてもよい。さらに付加的に主鎖がスルホン酸基で置換されてもよい。本発明の製造方法においてスルホン酸基の導入方法は限定されず、例えば(1)重合体をスルホン酸化することにより導入してもよいし、(2)スルホン酸基を含有するモノマーを重合してもよいし、(3)スルホン酸基誘導体、スルホン酸基前駆体から選ばれる基を含有するモノマーを重合した後に当該基をスルホン酸基に変換することによりスルホン酸基を導入することもできる。
本発明の高分子電解質の製造方法のおいて、スルホン酸基を導入する方法として、スルホン基を含有しない高分子をスルホン酸化することにより導入する場合には、スルホン酸化剤による常法のスルホン酸化を用いることができる。スルホン酸基を導入する方法としては、例えば、上記スルホン酸基を有しない高分子を、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン酸化剤を用いて、公知の条件でスルホン酸化することができる(本発明において、スルホン酸化とは、−Hなる基の水素原子をSOHで置換する反応を示す。)。
このスルホン酸化の反応条件としては、上記スルホン酸基を有しない高分子を、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、上記スルホン酸化剤と反応させる。溶剤としては、例えばn−ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような非プ
ロトン系極性溶剤のほか、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
このようにして得られる、本発明のスルホン酸基含有重合体中の、スルホン酸基量は、0.5〜5ミリグラム当量/g、好ましくは0.7〜4ミリグラム当量/g、さらに好ましくは0.8〜3ミリグラム当量/gである。低いスルホン酸基量では、プロトン伝導性が上がらず、一方、スルホン酸基量が高いと、親水性が向上し、構造によっては水溶性高分子となってしまう。上記のスルホン酸基量は、反応条件(温度、時間)や仕込量(組成)により調整することができる。
また、このようにして得られる本発明の高分子電解質の、スルホン酸化前またはスルホン酸の前駆体の高分子の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、1000〜100万、好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは2万〜80万、特に好ましくは3万〜40万である。1000未満では、成形フィルムが割れ易く、また強度的性質にも問題がある。一方、100万を超えると、溶解性が不充分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題がある。
次に、本発明の高分子電解質は、上記スルホン酸基含有重合体からなるが、上記スルホン酸基含有重合体以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用しても良い。
<膜の製造>
次に、上記高分子を用いた膜の製造方法について述べる。
まず、膨潤前の膜の製造方法であるが、これは背景技術の部分で述べたとおり、高分子を溶媒に溶解し、それを基体上に流延して成型するキャスト法がもっとも一般的である。この場合に用いられる溶媒としては、アルコール(多価アルコールを含む)、エーテル、エステル、ハロゲン系炭化水素等があるが、その中でも、好ましいのは水、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、メタノール、アセトン、およびこれらの混合溶媒である。
高分子溶媒を基体上にキャストした後、溶媒を乾燥させて膜を形成する。その後の膨潤工程において、膜の中に取り込まれている溶媒量を明確にするため、この乾燥工程では膜内の溶媒をできるだけ少なくするようにする。真空乾燥と併用して、膜内の溶媒を揮発性の高い溶媒で置換し、乾燥することによって、溶媒を除去する等の方法をとることが好ましい。
<膨潤条件>
次に、前記方法で作成された膜を膨潤させる方法について述べる。
前記高分子膜を膨潤させるには、高分子鎖中に浸透する液体を用いる。使用可能な溶媒としては、前述の膜の製造で用いられたキャスト溶媒の他に、水、無極性溶媒などである。これらの溶媒は混合して用いてもかまわない。特に高分子の溶解性が高い溶媒を用いる場合は、溶解性が低い溶媒と混合して用いることが好ましい。特に好ましい膨潤溶媒は、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、および水と上記有機溶媒の混合物である。膨潤を行うには、膜を前述の溶媒の中に浸漬する。溶媒が揮発しない程度の加熱条件下で膨潤を行うと効率がよい。
膨潤の度合いは、膨潤した膜中に含有される溶媒重量の割合が、膜の全重量の5〜70重量%となる程度までに行う。好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜50%重量%である。その程度までに膨潤させるために要する浸漬時間は溶剤の種類によるが、10分〜1日である。
膜の膨潤時の溶媒含有割合は、乾燥した元膜の重量を測定しておいた上で、膨潤操作を行い、膨潤溶媒から引き上げて、表面の溶媒を軽く拭き取った後の重量を測定し、この重量差を膜に取り込まれた溶媒重量とみなして、次の式から溶媒含有割合を求めてモニタリングすればよい。
溶媒含有割合(%)=((膨潤時の膜重量−元膜の重量)/膨潤時の膜重量)×100
また、後述するが、遠心と膨潤を複数回実施する場合も、乾燥した元膜、途中の膨潤工程を施す前の膜、膨潤された膜の重量変化で、溶媒の含有割合をチェックする。
<延伸条件>
次に、膨潤された膜を1軸あるいは2軸方向に延伸する。延伸により分子鎖が配向し、膜の強度と寸法安定性が向上する。延伸は一回で最終延伸倍率まで行う必要はなく、膨潤と延伸を繰り返し行って少しずつ延伸倍率を伸ばしていくことも可能である。このようにすれば、工程中での膜破断を防止でき、かつ分子鎖の配向状態が良好になるため強度が向上する。延伸倍率は最終的に元の膜の縦及び/又は横の寸法の1.1〜2.0倍となるようにするのが好ましい。更に好ましくは1.2〜1.5倍である。延伸は膜を50〜150℃程度に加熱して行うことにより、高倍率の延伸が容易になる。複数回の延伸を行う場合は、低温での延伸工程と高温での延伸工程を組み合わせて実施しても良い。
膨潤・延伸後の膜に対して、必要に応じてアニール処理を行ってもよい。これは、膜を延伸状態のまま固定し、50〜200℃の加熱状態を10分〜10時間保つことで、残留応力を緩和し、寸法安定性を良好にする効果を有する。したがってアニールは、最終延伸工程で行うのが好ましい。
膜中に存在する溶媒は、最終的には一定以下の残存量とすることが好ましい。残存量が少ないほうが、電解質膜の使用環境においての寸法安定性が良好となる。したがって、最終延伸工程が終了した段階で乾燥または溶媒置換によって溶媒除去をすることが好ましい。アニール工程を減圧環境下で行って溶媒を除去することも可能である。残存する溶媒量は、膜全体の重量に対して5重量%以下であることが好ましい。
以上の工程を経て作成された電解質膜は、高分子自体の耐酸化性が良好であることに加えて、機械的強度、寸法安定性に優れるものである。
本発明を実施例に基づいて説明する。各測定項目は次の要領で求めた。
数平均、重量平均分子量:スルホン酸化前の前駆体高分子の数平均分子量、重量平均分子量は、溶媒にテトラヒドロフラン(THF)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
膜の膨潤時の溶媒含有割合:元膜の重量を測定しておいた上で、膨潤操作を行い、膨潤溶媒から引き上げて、表面の溶媒を軽く拭き取った後の重量を測定した。この重量差を膜に取り込まれた溶媒重量とみなして、次の式から溶媒含有割合を求めた。
溶媒含有割合(%)=((膨潤時の膜重量−元膜の重量)/膨潤時の膜重量)×100
イオン交換容量:得られた高分子の水洗水が中性になるまで充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点から、イオン交換容量(スルホン酸化当量)を求めた。
プロトン伝導度:100%相対湿度下に置かれた厚み40〜60μmのフィルム状試料を、白金電極に挟み、複素インピーダンス測定を行い、プロトン伝導度を算出した。
フェントン試験:過酸化水素濃度が3重量%、且つ硫酸第2鉄・7水和物を鉄イオンの濃度が20ppmになるようにフェントン試薬を調製した。250ccのポリエチレン製容器に200gのフェントン試薬を採取し、3cm×4cm、膜厚40〜60μmに切削した高分子電解膜を投入後、密栓後、50℃の恒温水槽に浸漬させ、6時間のフェントン
試験を行った。フェントン試験後、フィルムを取り出し、イオン交換水にて水洗後、25℃・50%RH24時間保持して調湿を行い、重量測定を行った。フェントン試験における重量保持率は、下記の数式により算出した。
フェントン試験における重量保持率(%)=(フェントン試験後のフィルム重量/フェントン試験前のフィルム重量)×100
引張強度の向上率:JIS K 7127(1999)に準じた引張強度の測定を行い、原膜の引張強度に対する膨潤・延伸後の膜の引張強度の向上率を次の数式により算出した。
引張強度の向上率(%)=(膨潤・延伸処理後の引張強度/原膜の引張強度)×100
寸法安定性:固体高分子型燃料電池用電解質膜(5cm×4cm)を23℃、関係湿度50%の恒温室で12時間以上放置した後、加熱前の縦方向および横方向の長さを測定した。その後、160℃に加熱したオーブンの中に水平方向に試料をフリーの状態(未拘束状態)で10分間放置したあと、オーブンから取り出し、これを23℃、関係湿度50%の恒温室で1時間以上放置した後、加熱後の縦方向および横方向の長さを測定した。これらの数値を用いて、縦横方向の寸法変化率の平均値を寸法変化率と定義し、寸法変化率を下式により算出した。
寸法変化率(%)=〔{(加熱後膜の縦方向の寸法)−(元膜の縦方向の寸法)/(元膜の縦方向の寸法)}×100+{(加熱後膜の横方向の寸法)−(元膜の横方向の寸法)/(元膜の横方向の寸法)}×100〕/2
以下に実施例で使用した高分子電解質の合成方法を記す。
<高分子電解質1の合成方法>
(1)2,5−ジクロロ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン[下記式(43)]の合成
2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン10.8g(40mmol)、4−フェニルスルファニルチオフェノール8.7g(40mmol)と炭酸カリウム8.29g(60mmol)をディーンスターク管、冷却管、温度計を備えた三口フラスコにとり、ジメチルアセトアミド50gとトルエン50gの混合溶媒を注ぎ、撹拌した。次いで130℃まで昇温し、加熱還流しながら生成する水を除去した。さらにトルエンを系外に除去しながら150℃で4時間反応させた。TLCで反応が終了したことを確認後、室温まで内容物を冷却し、水に注ぎ1時間撹拌した。この混合物溶液中から有機物を分離、さらに酢酸エチルで抽出し、抽出層を水、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。無機塩を濾別後、溶媒を留去し粗生成物を得た。酢酸エチル:n−ヘキサン=1:5(容積比)の混合溶媒で再結晶を行い、目的物を収量85%で得た(15.8g)。
Figure 2007039554
(2)ビス[4−[4−(4−クロロフェニルスルホニル)フェノキシ]フェニル]スルホンの合成
(2−1)4−クロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホンの合成
フルオロベンゼン192g(2.0mol)と塩化アルミニウム69.5g(520mmol)を、温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに入れ、窒素置換し
た。氷水で10℃に冷却しながら、メカニカルスターラーにて撹拌した。4−クロロベンゼンスルホニルクロライド84.4g(400mmol)を滴下ろうとで30分かけて滴下し、室温で4時間撹拌した。反応混合物を、濃塩酸:氷=1:10水溶液に投入し、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去し、ヘキサン: 酢酸エチル混合溶媒で再結晶した。目的物が生成しているのをNMRおよびIRスペクトルで確認した。収率85%(92.0g)。
(2−2)ビス[4−[4−(4−クロロフェニルスルホニル)フェノキシ] フェニル]スルホン[下記式(44)]の合成
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)25.0g(100mmol)と炭酸カリウム30.4g(220mmol)、ジメチルアセトアミド100ml、トルエン50mlを、温度計、Dean−Stark管、還流管、三方コックをつけた三口フラスコに入れ、窒素置換した。オイルバスで130℃に昇温しながら撹拌し、反応により生成する水とトルエンを共沸させ、Dean−Stark管で除去した。水の生成が見られなくなったら、150℃まで昇温し、トルエンを留去した。反応溶液を80℃まで冷却した後、4−クロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン67.6g(250mmol)を入れ、110℃で7h撹拌した。副生成物である無機塩を濾過除去した後、濾液をメタノール500mlに投入して沈殿物をろ過し、トルエンにて再結晶した。目的物が生成しているのをNMRおよびIRスペクトルで確認した。収率71%(51.0g)。
Figure 2007039554
(3)高分子電解質の合成
(3−1)重合
上記で得られたビス[4−[4−(4−クロロフェニルスルホニル)フェノキシ]フェニル]スルホン25.17g(35.0mmol)、2,5−ジクロロ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノン16.3g(35.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.43g(2.2 mmol)、よう化ナトリウム1.37g(9.14mmol)、トリフェニルホスフィン7.73g(29.5mmol)、亜鉛末11.3g(172mmol)を反応容器に入れ、乾燥窒素で系内を置換した。N−メチル−2−ピロリドン(NMP)0.2リットルを加え、80℃に加熱し、4時間攪拌することで重合をおこなった。重合後の反応溶液をテトラヒドロフラン(THF)で希釈し、塩酸とメタノールの混合液を投入することで高分子を回収し、次いでメタノール洗浄を4回繰り返し、THFに溶解させた高分子をメタノールで再沈殿させることにより精製し、濾別した高分子を真空乾燥して、所望の重合体34.7g(95%)を得た。GPC(THF)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は40,000、重量平均分子量は145,000であった。
(3−2)重合体のスルホン酸化
上記で得られた重合体20.0gを0.5リットルの反応溶液に入れ、96%硫酸0.25リットルを加え、窒素下室温で2日間攪拌を続けた。得られた溶液を5リットルのイオン交換水の中に注ぎ入れることで高分子を沈殿させた。洗浄液のpHが5になるまで高分子の水洗を繰り返した。乾燥して、23.7g(95%)のスルホン酸化重合体を得た

(3−3)スルホン酸化重合体の酸化
上記で得られたスルホン酸化重合体20.0gを2リットルのガラス反応容器へ入れ酢酸を0.8リットル、および34%過酸化水素水溶液200gを加え、攪拌しながら徐々に昇温し、90℃で6時間反応を続けた。反応後、放冷し、高分子を濾別水洗後、真空乾燥して、所望の高分子電解質[下記式(45)のスルホン酸化物]19.6g(92%)を得た。構造解析により、スルホン酸基が側鎖当たり複数個側鎖に導入されていることを確認した。これを高分子電解質1と称する。
Figure 2007039554
<高分子電解質2の合成方法>
(1)2,5−ジクロロ−4’−チオフェノキシベンゾフェノン[下記式(46)]の合成
4−フェニルスルファニルチオフェノールの代わりにチオフェノール4.4 g(40mmol)を用いたほかは、高分子電解質1の合成方法中に記載の2,5−ジクロロ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノンの合成と同様の方法を用いて目的物を収率83%で得た(11.9g)。
Figure 2007039554
(2)4,4’−ビス[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]ベンゾフェノンの合成
(2−1)4−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノンの合成
4−クロロベンゼンスルホニルクロライドの代わりに4−クロロベンゾイルクロライド70.0g(400mmol)を用いたほかは高分子電解質1の合成と同様の方法を用い、所望の化合物を得た。NMRおよびIRスペクトルで構造を確認した。収率79%(7
4.1g)。
(2−2)4,4’−ビス[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]ベンゾフェノン[下記式(47)]の合成
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンの代わりに4−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン58.6g(250mmol)を用いたほかは高分子電解質1の合成と同様の方法を用い、所望の化合物を得た。NMRおよびIRスペクトルで構造を確認した。収率75%(48.2g)。
Figure 2007039554
(3)高分子電解質の合成
(3−1)重合
ビス[4−[4−(4−クロロフェニルスルホニル)フェノキシ]フェニル]スルホンの代わりに、上記で得られた4,4’−ビス[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]ベンゾフェノン22.5g(35.0mmol)を用い、2,5−ジクロロ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノンの代わりに2,5−ジクロロ−4’−チオフェノキシベンゾフェノン12.6g(35.0mmol)を用いたほかは高分子電解質1と同様の方法を用い、所望の重合体30.6g(94%)を得た。数平均分子量は44,000、重量平均分子量は150,000 であった。
(3−2)重合体のスルホン酸化
上記で得た重合体を用いたほかは高分子電解質1の合成と同様の方法を用い、スルホン酸化重合体を得た(収率96%)。
(3−3)スルホン酸化重合体の酸化
上記で得たスルホン酸化重合体を用いたほかは高分子電解質1の合成と同様の方法を用い、所望の高分子電解質[下記式(48)のスルホン酸化物](92%)を得た。構造解析により、スルホン酸基が側鎖当たり2.6個側鎖に導入されていることを確認した。これを高分子電解質2と称する。
Figure 2007039554
<高分子電解質3の合成方法>
(1)2,5−ジクロロフェニル−4’−チオフェニルベンゼンスルフィド[下記式(4
9)]の合成
窒素下で撹拌されているキノリン(0.5リットル)と1,2,4−トリクロロベンゼン36g(0.2mol)中に、ナトリウム4−フェニルスルファニルチオフェノラート120g(0.5mol)を加えた。攪拌しながら昇温し反応温度160℃で3時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジイソプロピルエーテルで抽出後、溶媒を除去すると目的物が得られた。収率90%(65.3g)。
Figure 2007039554
(2)高分子電解質の合成
(2−1)重合
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン25.0g(100mmol)、炭酸カリウム30.4g(220mmol)、ジメチルアセトアミド0.1リットルおよびトルエン0.05リットルを、温度計、ディーンスターク管、還流管、三方コックを付けた三口フラスコへ入れ、窒素置換した。130℃の油浴で加熱しながら攪拌し、反応により生成する水をトルエンで共沸させてディーンスターク管で反応系から分離した。水が生成しなくなった時点で油浴温度を150℃としトルエンを留去した。反応溶液を80℃まで冷却した後、2,5−ジクロロフェニル−4’−チオフェニルベンゼンスルフィド36.3g(100mmol)を入れ、油浴温度150℃で20時間攪拌した。副生物である無機塩を濾過分離した後、濾液をメタノール2リットルに投入して沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄後、真空乾燥することで目的の重合体を得た(収率87%)。数平均分子量は48,000、重量平均分子量は150,000であった。
(2−2) 重合体のスルホン酸化
上記で得た重合体を用いたほかは高分子電解質1の合成と同様の方法を用い、スルホン酸化重合体を得た(収率95%)。
(3−3)スルホン酸化重合体の酸化
上記で得たスルホン酸化重合体を用いたほかは高分子電解質1の合成と同様の方法を用い、所望の高分子電解質[下記式(50)のスルホン酸化物](94%)を得た。構造解析により側鎖当たり2.1個のスルホン酸基が側鎖に導入されていることを確認した。これを高分子電解質3と称する。
Figure 2007039554
<高分子電解質4の合成方法>
(1)高分子電解質の合成
(1−1)重合
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンの代わりに4,4 ’−ジヒドロキシベンゾフェノンを使用し、2,5−ジクロロフェニル−4’−チオフェニルベンゼンスルフィドの代わりに2,5−ジクロロ−4’−(4−チオフェノキシ)チオフェノキシベンゾフェノンを用いたほかは高分子電解質3の合成方法における重合と同様の方法で目的の重合体を得た(収率92%)。数平均分子量は51,000、重量平均分子量は160,000であった。
(1−2)重合体のスルホン酸化
上記で得た重合体を用いたほかは高分子電解質1の合成と同様の方法を用い、スルホン酸化重合体を得た(収率95%)。
(1−3)スルホン酸化重合体の酸化
上記で得たスルホン酸化重合体を用いたほかは高分子電解質1の合成と同様の方法を用い、所望の高分子電解質[下記式(51)のスルホン酸化物](92%)を得た。構造解析により、側鎖当たり1.9個のスルホン酸基が側鎖に導入されていることを確認した。これを高分子電解質4と称する。
Figure 2007039554
<高分子電解質5の合成方法>
(1) 4−(4’−スルホニルフェニルチオ)ベンゼンスルホニルクロライド[下記式(52)]の合成
Figure 2007039554
温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコにジフェニルスルフィド20.0g(108mmol)とクロロホルム35mlを入れ、乾燥窒素で系内を置換した。この溶液を氷水で5℃に冷却し、クロロ硫酸25.1g(215mmol)をゆっくり滴下した。反応溶液を5℃、3時間撹拌すると、白色固体が析出してきた。薄層クロマトグラフィーにて、全てのジフェニルスルフィドが反応したことを確認したあと、塩化チオニル25.6g(215mmol)をゆっくり滴下した。90分還流したあと、溶媒のクロロホルムを留去し、真空乾燥した。収率:96%(37.8g)
(2)ポリエーテルスルホンへの4−(4’−スルホニルフェニルチオ)ベンゼンスルホニルクロライド[上記式(52)]の導入反応[下記式(53)]の合成
Figure 2007039554
ポリエーテルスルホン(ソルベイアドバンストポリマーズ社製、Radel A−200)2.0g、ニトロベンゼン30mlを反応容器に入れ、60℃で加熱溶解しながら乾燥窒素で系内を置換した。この高分子溶液に4−(4’−スルホニルフェニルチオ)ベンゼンスルホニルクロライド[上記式(52)]6.28g(17.24mmol)を入れ、溶解させた。この溶液に塩化アルミニウム2.54g(18.80mmol)を少量ずつ加え、80℃、20時間で撹拌した。反応溶液をメタノール:塩酸=10:1混合溶液500mlに投入し、析出した固体を粉砕しながら撹拌した。この固体をろ過したあと、メタノールで数回洗浄し、80℃で真空乾燥した。収量は2.22gであった。
(3)上記で得た固体(上記式(53))を用いた他は高分子電解質1の合成方法と同様の方法でスルホン酸化を行った。
(4)酸化反応[下記式(54)の合成]
温度計をつけた二口フラスコに側鎖導入反応した式(53)記載の高分子1.0gと酢酸20mlを入れた。この混合物に30%過酸化水素水1000mg(9.0mmol)を加え、3時間還流した。系内の固体を吸引ろ過して水洗し、100℃にて真空乾燥した。NMR、IRより側鎖のスルフィドがスルホンに変換していることを確認した。また、側鎖当たり複数のスルホン酸基が側鎖に導入されていることを確認した。収量は880mgであった。これを高分子電解質5と称する。
Figure 2007039554
<高分子電解質6の合成方法>
(1)ポリエーテルスルホンへの4−(4’−スルホニルフェニルチオ)ベンゼンスルホニルクロライド[上記式(52)]の導入反応(2)
撹拌温度を90℃、撹拌時間を40時間にした以外は高分子電解質1の合成方法の(2)記載と同様の方法にて合成した。
(2)酸化反応
高分子電解質1の合成方法の(3)記載と同様の方法にて酸化反応を行った。これを高分子電解質6と称する。
<高分子電解質7の合成方法>
(1) ポリエーテルエーテルスルホンへの4−(4’−スルホニルフェニルチオ)ベンゼンスルホニルクロライド[上記式(52)]の導入反応[下記式(55)]の合成
ポリエーテルエーテルスルホン(Aldrich製)3.0g、ニトロベンゼン60mlを反応容器に入れ、60℃で加熱溶解しながら乾燥窒素で系内を置換した。この高分子溶液に4−(4’−スルホニルフェニルチオ)ベンゼンスルホニルクロライド[式(52)]3.50g(37mmol)を入れ、溶解させた。この反応溶液に塩化アルミニウム5.44g(40.8mmol)を少量ずつ加え、90℃、40時間で撹拌した。反応溶液をメタノール:塩酸=10:1混合溶液 500mlに投入し、析出した固体を粉砕しながら撹拌した。この固体をろ過したあと、メタノールで数回洗浄し、80℃で真空乾燥して、収量が4.36gの高分子(下記式(55))を得た。
Figure 2007039554
(2)上記で得た高分子(上記式(55))を用いたほかは高分子電解質1の合成と同様の方法を用いてスルホン酸化を行った。
(3)酸化反応[下記式(56)の合成]
Figure 2007039554
高分子電解質1の合成方法の(3)と同様の方法にて酸化反応を行った。側鎖当たり1.6個のスルホン酸基が側鎖に導入されていることを確認した。これを高分子電解質7と称する。
<高分子電解質8の合成方法>
ポリエーテルスルホンへの分岐型側鎖の導入
(1)ビス(チオフェノキシ)ベンゼンスルホニルクロリド(下記式(57))の合成
温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに1,4−ジブロモベンゼン50g(212mmol)とクロロホルム16mlを入れ、乾燥窒素で系内を置換した。これに室温でクロロホルム100mlに溶解したクロロ硫酸27.2g(233mmol)をゆっくり滴下した。室温にて4時間、さらに冷却管を取り付けてクロロホルム還流下で10時間反応させた。薄層クロマトグラフィーにて全ての1,4−ジブロモベンゼンが反応したことを確認したあと、減圧下クロロホルムとクロロ硫酸を留去し精製してジブロモベンゼンスルホン酸56.9g(180mmol)を得た(収率85%)。次にチオフェノール3.5g(79mmol)をディーンスターク管、冷却管、温度計を備えた三口フラスコにとり、水酸化カリウム4.5gとN,N−ジメチルアセトアミド25ml、トルエン25mlを加えてスターラーで攪拌した。150℃まで昇温し、加熱還流しながら生成する水を除去した。これにジブロモベンゼンスルホン酸7.1g(23mmol)を加え、160℃で4時間反応させた。薄層クロマトグラフィーで反応が終了したことを確認後、この混合物溶液中から有機物を分離、再結晶による精製をして、ビス(チオフェノキシ)ベンゼンスルホン酸7.2gを得た(収率84%)。これを温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに入れ、クロロホルム100mlを入れて溶解させる。滴下ろうとで塩化チオニル2.1g(21.2mmol)をゆっくり滴下し、90分還流したあと、クロロホルムを留去して真空乾燥し、ビス(チオフェノキシ)ベンゼンスルホニルクロリド(下記式(57))6.4gを得た(収率85%)。
Figure 2007039554
(2)ポリエーテルスルホンへのビス(チオフェノキシ)ベンゼンスルホニルクロライド(上記式(57))の導入反応[下記式(58)]の合成
ポリエーテルスルホン(ソルベイアドバンストポリマーズ社製、Radel A−200)2.0g、ニトロベンゼン30mlを反応容器に入れ、60℃で加熱溶解しながら乾燥窒素で系内を置換した。この高分子溶液にビス(チオフェノキシ)ベンゼンスルホニルクロライド(上記式(57))6.70g(17.08mmol)を入れ、溶解させた。この溶液に塩化アルミニウム2.54g(18.96mmol)を少量ずつ加え、80℃、20時間で撹拌した。反応溶液をメタノール:塩酸=10:1混合溶液 500mlに投入し、析出した固体を粉砕しながら撹拌した。この固体をろ過したあと、メタノールで数回洗浄し、80℃で真空乾燥して側鎖導入したポリエーテルスルホン(下記式(58))を得た。収量は2.31gであった。
Figure 2007039554
(3)側鎖基のスルホン化
温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに側鎖導入した上記式(58)の高分子2.00gとクロロホルム16mlを入れ、乾燥窒素で系内を置換した。これに室温でクロロホルム100mlに溶解したクロロ硫酸4.0g(40mmol)をゆっくり滴下した。室温にて4時間、さらに冷却管を取り付けてクロロホルム還流下で10時間反応させた。薄層クロマトグラフィーにて全ての原料高分子が反応したことを確認したあと、減圧下クロロホルムとクロロ硫酸を留去し精製して側鎖導入反応したポリエーテルスルホンのスルホン化物(下記式(59))2.03gを得た。
Figure 2007039554
(4)酸化反応
温度計をつけた二口フラスコに、側鎖導入しスルホン化反応した上記式(59)記載の高分子1.0gと酢酸20mlを入れた。この混合物に30%過酸化水素水1000mg(9mmol)を加え、3時間還流した。系内の固体を吸引ろ過して水洗し、100℃にて真空乾燥して最終目的の電解質高分子(下記式(60))を得た。NMR、IRより側鎖のスルフィドがスルホンに変換していることを確認した。収量は0.87gであった。側鎖当たり複数のスルホン酸基が導入されていることを確認した。これを高分子電解質8と称する。
Figure 2007039554
<高分子電解質9の合成方法>
ポリエーテルスルホンへの長分岐側鎖の導入
(1)4−チオフェノキシベンゼンスルフィドの合成
温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに3−ブロモ−1−フルオロベンゼン50.0g(286mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド300mlを入れ、ナトリウムチオメチラート22.0g(314mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド100mlに溶解したものを滴下ろうとでゆっくり滴下し、20℃で100時間攪拌して反応させた。薄層クロマトグラフィーにて全ての3−ブロモ−1−フルオロベンゼンが反応したことを確認したあと、この混合物溶液中から有機物を分離、再結晶による精製をして、4−ブロモフェニルメチルスルフィド49.3g(243mmol)を得た。次に温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに4−ブロモフェニルメチルスルフィド45.0g(222mmol)、酸化銅15.5g、ピリジン60mlキノリン240mlを入れ、チオフェノール26.8g(244mmol)をピリジン20mlキノリン80mlに溶解・分散したものを滴下ろうとで加え、150℃で40時間反応させた。薄層クロマトグラフィーで反応が終了したことを確認後、この混合物溶液中から有機物を分離、再結晶による精製をして、4−チオフェノキシフェニルメチルスルフィド 43.8g(189mmol)を得た。続いて得られた4−チオフェノキシフェニルメチルスルフィド40.0g(172mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド300mlを温度計、冷却管をつけた三口フラスコに入れ、ナトリウムチオt−ブチラート21.3g(190mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド300mlに溶解したものを滴下ろうとで加え、150℃で4時間反応させた。薄層クロマトグラフィーで反応が終了したことを確認後、この混合物溶液中から有機物を分離、再結晶による精製をして、4−チオフェノキシベンゼンスルフィド32.2g(148mmol)を得た(収率86%)。
(2)長分岐型スルフィドの合成
(1)でチオフェノールの代わりに(1)で得た4−チオフェノキシベンゼンスルフィド30.0g(138mmol)を用いる以外は同様にして、長分岐型スルフィド(下記式(61))31.0gを得た(収率83%)。
Figure 2007039554
(3)スルホン化反応
温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに長分岐スルフィド(上記式(61))31.0g(57.2mmol)とクロロホルム200mlを入れ、乾燥窒素で系内を置換した。これに室温でクロロホルム100mlに溶解したクロロ硫酸7.34g(63.0mmol)をゆっくり滴下した。室温にて4時間、さらに冷却管を取り付けてクロロホルム還流下で10時間反応させた。薄層クロマトグラフィーにて全ての原料高分子が反応したことを確認したあと、減圧下クロロホルムとクロロ硫酸を留去し精製して長分岐スルフィドのスルホン化物(下記式(62))36.1gを得た(収率90%)。
Figure 2007039554
(4)酸化反応
温度計をつけた二口フラスコに、長分岐スルフィドのスルホン化物36.0g(51.3mmol)と酢酸200mlを入れた。この混合物に30%過酸化水素水116g(1.03mmol)を加え、3時間還流した。系内の固体を吸引ろ過して水洗し、100℃にて真空乾燥して長分岐型スルホンのスルホン化物(下記式(63))42.8gを得た(収率95%)。
Figure 2007039554
(5)塩素化
長分岐型スルホンのスルホン化物(上記式(63))30.0g(34.2mmol)を温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに入れ、クロロホルム100mlを入れて溶解させる。滴下ろうとで塩化チオニル3.74g(37.6mmol)をゆっくり滴下し、90分還流したあと、クロロホルムを留去して真空乾燥し、長分岐型スルホンの塩化スルホニル(下記式(64))27.0gを得た(収率88%)。
Figure 2007039554
(6)ポリエーテルスルホンへの長分岐型スルホンの塩化スルホニルの導入反応
高分子電解質8の合成方法の(2)のビス(チオフェノキシ)ベンゼンスルホニルクロライドの代わりに長分岐型スルホンの塩化スルホニルを用いる以外は同様にして、長分岐型スルホンの側鎖を有するポリエーテルスルホン(下記式(65))を得た。収量は2.05gであった。これを高分子電解質9と称する。
Figure 2007039554
<高分子電解質10の合成方法>
ポリエーテルスルホンへの多分岐側鎖の導入
(1)ビス(3,5−チオフェノキシ)ベンゼンスルフィドの合成
温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに3,5−ジブロモ-1-フルオロベンゼン50.0g(197mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド300mlを入れ、ナトリウムチオメチラート15.2g(217mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド100mlに溶解したものを滴下ろうとでゆっくり滴下し、20℃で4.5日間攪拌して反応させた。薄層クロマトグラフィーにて全ての3,5−ジブロモ-1-フルオロベンゼンが反応したことを確認したあと、この混合物溶液中から有機物を分離、再結晶による精製をして、3,5−ジブロモフェニルメチルスルフィド48.3g(171mol)を得た(収率87%)。次に温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに3,5−ジブロモフェニルメチルスルフィド45g(160mmol)、酸化銅22.4g、ピリジン60mlキノリン240mlを入れ、チオフェノール38.7g(352mmol)をピリジン20mlキノリン80mlに溶解・分散したものを滴下ろうとで加え、150℃で40時間反応させた。薄層クロマトグラフィーで反応が終了したことを確認後、この混合物溶液中から有機物を分離、再結晶による精製をして、ビス(3,5−チオフェノキシ)フェニルメチルスルフィド45.7g(134mmol)を得た。続いて得られたビス(3,5−チオフェノキシ)フェニルメチルスルフィド40.0g(118mmol)を温度計、冷却管をつけた三口フラスコに入れ、ナトリウムチオt−ブチラート14.5g(129mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド300mlに溶解したものを滴下ろうとで加え、150℃で4時間反応させた。薄層クロマトグラフィーで反応が終了したことを確認後、この混合物溶液中から有機物を分離、再結晶による精製をして、ビス(3,5−チオフェノキシ)ベンゼンスルフィド33.1g(101mmol)を得た(収率86%)。
(2)多分岐型スルフィド(下記式(66))の合成
(1)でチオフェノールの代わりに(1)で得たビス(3,5−チオフェノキシ)ベンゼンスルフィド30.0g(92.0mmol)を用いる以外は同様にして、多分岐型スルフィド(下記式(66))31.4gを得た。(収率90%)
Figure 2007039554
(3)スルホン化反応
温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに多分岐型スルフィド(上記式(66))30.0g(39.6mmol)とクロロホルム200mlを入れ、乾燥窒素で系内を置換した。これに室温でクロロホルム100mlに溶解したクロロ硫酸5.07g(43.5mmol)をゆっくり滴下した。室温にて4時間、さらに冷却管を取り付けてクロロホルム還流下で10時間反応させた。薄層クロマトグラフィーにて全ての原料スルフィドが反応したことを確認したあと、減圧下クロロホルムとクロロ硫酸を留去し精製して多分岐型スルフィドのスルホン化物(下記式(67))36.3gを得た(収率85%)。
Figure 2007039554
(4)酸化反応
温度計をつけた二口フラスコに、多分岐型スルフィドのスルホン化物36.0g(33.4mmol)と酢酸200mlを入れた。この混合物に30%過酸化水素水114g(1.00mol)を加え、3時間還流した。系内の固体を吸引ろ過して水洗し、100℃にて真空乾燥して多分岐型スルホンのスルホン化物(下記式(68))39.6gを得た(収率90%)。
Figure 2007039554
(5)塩素化
多分岐型スルホンのスルホン化物(式(68))30.0g(22.8mol)を温度計、滴下ろうと、三方コックをつけた三口フラスコに入れ、クロロホルム100mlを入れて溶解させる。滴下ろうとで塩化チオニル2.49g(25.0mmol)をゆっくり滴下し、90分還流したあと、クロロホルムを留去して真空乾燥し、多分岐型スルホンのスルホニルクロライド(下記式(69))27.1gを得た(収率89%)。
Figure 2007039554
(6)ポリエーテルスルホンへの多分岐型スルホンのスルホニルクロライドの導入反応
高分子電解質8の合成方法の(2)でビス(チオフェノキシ)ベンゼンスルホニルクロライドの代わりに多分岐型スルホンの塩化スルホニルを用いる以外は同様にして、多分岐型スルホンの側鎖を有するポリエーテルスルホン(下記式(70))を得た。収量は2.10gであった。これを高分子電解質10と称する。
Figure 2007039554
[実施例1〜10]
前述の高分子電解質1〜10につき、各々濃度が30重量%溶液となるようにN−メチル−2−ピロリドン(以降NMPと称する)に溶解した。液を80℃に加熱して完全に溶解させた上で、その溶液を200μmバーコーターを用いてガラス基板上に塗工した。これを、真空乾燥機で、80℃環境下0.5時間乾燥させた後、形成された膜を基板から剥離した。さらにこれを100℃、3時間真空乾燥した。これを元膜と称する。この元膜を、膜重量の1000倍以上の水/エタノール混合溶媒(混合重量比=1:1)に浸漬し、室温で1日放置して膨潤させた。この膜を80℃に加熱し、縦横1.2倍に2軸延伸した。その後、真空乾燥機で80℃環境下1日乾燥して電解質膜を作成した。各実施例に付き、膨潤時の溶媒含有割合、イオン交換容量、プロトン伝導度、フェントン試験重量保持率、引張強度向上率、寸法変化率を評価した。結果を表2に示す。実施例1〜10のいずれも、フェントン試験重量保持率が高く、また、膨潤・延伸処理を施さない元膜に対して、引張強度が向上している。寸法安定性も良好である。
[比較例1]
ポリエーテルエーテルケトン(ICI社)を高分子電解質1と同様の方法でスルホン酸化して、スルホン酸化ポリエーテルエーテルケトン[S−PEEK、下記式(71)]を得た。
Figure 2007039554
この高分子電解質を、実施例1〜10と同様の方法で電解質膜とし、同様の評価を行った。結果を表2に示す。元膜に対する引張強度は向上したものの、フェントン試験重量保持率が低い結果となった。
[比較例2]
特開2003−201403号公報の参考例2に記載の方法で下記式(72)に示す高分子のスルホン酸化物を得、実施例1〜10と同様の方法で電解質膜とし、評価を行った
Figure 2007039554
(但し、j/k=6.9であり、nは5.5である。)
結果を表2に示す。元膜に対する引張強度は向上したものの、フェントン試験重量保持率は著しく低い。
Figure 2007039554
本発明の電解質膜は、イオン交換膜として、或いは一次電池、二次電池、コンデンサ、燃料電池の電解質膜として好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位(A)を有する高分子電解質を含有する膜を、該膜を膨潤可能な液体で膨潤させ、膨潤した膜を1軸または2軸方向に延伸する工程を含む、電解質膜の製造方法。
    Figure 2007039554
    (Yは(k+2)価の芳香族残基を表し、Pは −CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CONH−、−C(CF−、単結合から選ばれる連結基であり、kは1〜4の整数であって、式中の側鎖部分Zは、下記一般式(2)で表される。
    Z=−(XAr(B))−(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr) (2)
    上記一般式(2)中のB〜Bn−1は、側鎖部分Zにおける分岐鎖を意味し、以下の式で表される。
    =−〔(XAr(B))−(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr)〕
    =−〔(XAr(B))−・・・−(Xn−1Arn−1(Bn−1))−(XAr)〕



    n−1=−〔XAr
    上記一般式(2)中
    nは各々独立に2〜5の整数、
    fは各々独立に0〜5の整数、
    Ar〜Arは各々独立に芳香族残基であって、
    〜Xは各々独立に−CO−、−CONH−、−(CF−(pは1〜10の整数)、−C(CF−、−COO−、−SO−、−SO−から選ばれる連結基である。そして、Zは−SOH基の1.0を超える数を有する。)
  2. 膨潤した膜中に含有される溶媒重量の割合が、膨潤した膜の全重量に対して5〜70重量%となるように膨潤させる、請求項1に記載の電解質膜の製造方法。
  3. 最終的な延伸倍率が延伸前の膜の縦及び/又は横の寸法の1.1〜2.0倍である、請求項1に記載の電解質膜の製造方法。
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