本発明の原料として用いられる式IIで表される化合物は、公知の方法により合成することができる。(例えば、国際公開第03/040146号パンフレット参照)
式IIで表される化合物において、Ar1は置換されていてもよいアリール基を表し、R1はトリアルキルシリル基、アリルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、置換されていてもよいベンジル基、置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、tert−ブチル基、トリチル基、アシル基またはメトキシメチル基を表し、R5は水素原子またはメチル基を表す。
置換されていてもよいアリール基におけるアリール基としては、特に限定はされないが、例えば、フェニル基、ピリジル基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基またはトリアジニル基等が挙げられる。
ここで、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基上の置換基としては、特に限定はされないが、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アシル基、低級チオアシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルチオカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アミノ基、アミノカルボニルオキシ基、アミノカルボニルチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、(アルキルチオ)カルボニルアミノ基、ウレア基、チオウレア基、アミド基、チオアミド基、アミノカルボニル基、アミノチオカルボニル基、カルボキシル基、スルホンアミド基、アルコキシスルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、トリフルオロメチル基またはトリアルキルシリル基等が挙げられる。これらの置換基は、さらに上記置換基で置換されていてもよい。なお、これらの置換基のうち、隣接する置換基同士が結合して、アリール環を構成する炭素原子とともに環を形成していてもよいし、置換基同士で結合して環を形成していてもよい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
低級アルコキシ基としては、前記低級アルキル基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の直鎖上、分岐鎖状または環状の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
低級アルキルチオ基としては、前記低級アルキル基と硫黄原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ピリジル基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基またはトリアジニル基等が挙げられる。
低級アシル基としては、カルボニル基と前記低級アルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基等が挙げられる。
低級チオアシル基としては、チオカルボニル基と前記低級アルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えば、チオアセチル基、エチルチオカルボニル基等が挙げられる。
低級アルコキシカルボニル基としては、カルボニル基と前記低級アルコキシ基とから構成されるものが挙げられ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
低級アルコキシチオカルボニル基としては、チオカルボニル基と前記低級アルコキシ基とから構成されるものが挙げられ、例えば、メトキシチオカルボニル基、エトキシチオカルボニル基等が挙げられる。
アリールカルボニル基としては、カルボニル基と前記アリール基とから構成されるものが挙げられ、例えば、ベンゾイル基、3−ピリジルカルボニル基、2−チエニルカルボニル基等が挙げられる。
アリールチオカルボニル基としては、チオカルボニル基と前記アリール基とから構成されるものが挙げられ、例えば、チオベンゾイル基、3−ピリジルチオカルボニル基、2−チエニルチオカルボニル基等が挙げられる。
アミノ基としては、窒素原子と水素原子または前記置換基とから構成されるものが挙げられ、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、メトキシアミノ基、フェニルアミノ基等の1級アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、イソプロピルエチルアミノ基等の2級アミノ基、アゼチジル基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等の環状アミノ基等が挙げられる。
アミノカルボニルオキシ基としては、前記アミノ基、カルボニル基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、アミノカルボニルオキシ基、メチルアミノカルボニルオキシ基、エチルアミノカルボニルオキシ基、イソプロピルアミノカルボニルオキシ基、シクロヘキシルアミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシエチルアミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシアミノカルボニルオキシ基、メトキシアミノカルボニルオキシ基、フェニルアミノカルボニルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基、イソプロピルエチルアミノカルボニルオキシ基、アゼチジルカルボニルオキシ基、ピロリジノカルボニルオキシ基、ピペリジノカルボニルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アミノカルボニルチオ基としては、前記アミノ基、カルボニル基と硫黄原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、アミノカルボニルチオ基、メチルアミノカルボニルチオ基、エチルアミノカルボニルチオ基、ジメチルアミノカルボニルチオ基、ピペリジノカルボニルチオ基、モルホリノカルボニルチオ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニルアミノ基としては、前記アルコキシ基、カルボニル基と窒素原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
(アルキルチオ)カルボニルアミノ基としては、前記アルキルチオ基、カルボニル基と窒素原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、(メチルチオ)カルボニルアミノ基、(エチルチオ)カルボニルアミノ基等が挙げられる。
ウレア基としては、前記アミノ基、カルボニル基と窒素原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、アミノカルボニルアミノ基、メチルアミノカルボニルアミノ基、フェニルアミノカルボニルアミノ基等が挙げられる。
チオウレア基としては、前記アミノ基、チオカルボニル基と窒素原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、アミノチオカルボニルアミノ基、メチルアミノチオカルボニルアミノ基、フェニルアミノチオカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アミド基としては、水素原子または前記低級アルキル基または前記アリール基、カルボニル基と窒素原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ベンズアミド基等が挙げられる。
チオアミド基としては、水素原子または前記低級アルキル基または前記アリール基、チオカルボニル基と窒素原子とから構成されるものが挙げられ、例えば、チオホルムアミド基、チオアセトアミド基、チオプロピオンアミド基、チオベンズアミド基等が挙げられる。
アミノカルボニル基としては、前記アミノ基とカルボニル基とから構成されるものが挙げられ、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、ヒドロキシエチルアミノカルボニル基、ヒドロキシアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、アゼチジルカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
アミノチオカルボニル基としては、前記アミノ基とチオカルボニル基とから構成されるものが挙げられ、例えば、アミノチオカルボニル基、メチルアミノチオカルボニル基、エチルアミノチオカルボニル基、ジメチルアミノチオカルボニル基、ピペリジノチオカルボニル基、モルホリノチオカルボニル基等が挙げられる。
スルホンアミド基としては、前記アミノ基とスルホニル基とから構成されるものが挙げられ、例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基等が挙げられる。
アルコキシスルホニル基としては、スルホニル基と前記低級アルコキシ基とから構成されるものが挙げられ、例えばメトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基等が挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、スルホニル基と前記低級アルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられる。
アリールスルホニル基としては、スルホニル基と前記アリール基とから構成されるものが挙げられ、例えばベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等が挙げられる。
置換基の一部に、N−H,S−HまたはO−Hという官能基が含まれる場合には、あらかじめ、N−Z,S−ZまたはO−Z(Zは保護基)のように、保護しておくことが好ましい。かかる保護基としては、通常用いられる保護基が可能であるが、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジル基またはベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Ar1が下記式A
で表される基の場合、Wは単結合またはアルキレン鎖を表し、XおよびYは同一または相異なり、単結合、酸素原子、硫黄原子またはN−Zを表し、Zは水素原子もしくは保護基を表し、R
7は低級アルキル基を表す。
ここで、アルキレン鎖としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、シクロプロピリデン基またはシクロヘキシリデン基等の直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキレン鎖が挙げられる。低級アルキル基としては、例えば、前記と同様のものが挙げられ、保護基Zとしては、通常用いられる保護基が可能であるが、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジル基またはベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
R2で示される置換基のうち、トリアルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等が挙げられ、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく用いられる。
置換されていてもよいベンジル基またはベンジルオキシカルボニル基上の置換基としては、例えば、前記の置換基が挙げられ、置換されていてもよいベンジル基または置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基の例としては、例えば、ベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基または4−メトキシベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換基の一部に、N−HまたはO−Hという官能基が含まれる場合には、あらかじめ、N−ZまたはO−Z(Zは保護基)のように、保護しておくことが好ましい。かかる保護基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、ベンジル基またはベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウム等が挙げられる。
かかる式IIで表される原料化合物の例としては、特に限定はされないが、例えば、以下に例示した化合物を挙げることができる。なお、本明細書において記載の簡略化のために次の略号を使用することもある。
Me:メチル
Et:エチル
t−Bu:tert−ブチル
Ph:フェニル
Allyl:アリル
TMS:トリメチルシリル
TES:トリエチルシリル
TBS:tert−ブチルジメチルシリル
Alloc:アリルオキシカルボニル
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル
式IIで表される化合物は、式IIIで表されるアリルグリオキシレート化合物と、脱水剤の存在下に反応させるか、または還流下に脱水しながら反応させることにより、式IVで表される化合物へと導くことができる。
式IIIで表されるアリルグリオキシレート化合物において、R3およびR4は同一または相異なり、水素原子または低級アルキル基を表し、水素原子またはメチル基であることが好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
かかる式IIIで表されるアリルグリオキシレート化合物としては、例えば、アリルグリオキサレート、クロチルグリオキサレートまたは3,3−ジメチルアリルグリオキサレート等が挙げられる。
反応は通常、溶媒の存在下に実施され、かかる溶媒としては、反応に不活性であれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒またはこれら溶媒の混合溶媒またはこれら溶媒とヘキサンまたはヘプタン等の炭化水素系溶媒との混合溶媒が挙げられ、好ましくは、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒が挙げられる。
脱水剤を使用する場合、用いられる脱水剤としては、例えば、モレキュラーシーブス3Aまたはモレキュラーシーブス4A等が挙げられ、その使用量は通常、式IIで表される化合物に対し、0.05重量倍〜1重量倍程度である。
反応温度は通常、40℃〜溶媒の還流温度であり、好ましくは60℃〜溶媒の還流温度である。
本工程において通常は、式IIIで表される化合物は、式IIで表される化合物に対して過剰に用いられ、通常1.0〜5.0モル倍、好ましくは1.1〜2.0モル倍である。この際、未反応の式IIIで表される化合物が反応混合物中に残存することになるが、この反応混合物をそのまま次工程に用いると、次工程の収率が低下する。そのため、式IIIで表される化合物を、蒸留または水洗により除去してから次工程に用いることが重要であり、本発明の一部をなす。
式IIIで表される化合物を除去する方法としては、例えば、反応混合物を水洗処理する方法や、キシレンまたはクロロベンゼン等の沸点の高い溶媒を加えて蒸留する方法が挙げられる。
反応混合物を水洗処理する場合、例えば、得られる反応混合物に水を加え、攪拌後、分液にて水層を除去する方法等が挙げられる。この時、式IIIで表される化合物は、水層側に除去される。用いられる水の量は通常、式IIで表される化合物に対して通常、1倍量〜50倍量であり、水洗処理時の温度は通常、0℃〜50℃程度である。この水洗処理は、繰り返し実施してもよい。
溶媒として、親水性溶媒を使用している場合は、蒸留にて溶媒を留去後、疎水性溶媒と水を加え、攪拌後、分液する方法や、あるいは直接反応混合物に疎水性溶媒と水を加え、攪拌後、分液する方法等が挙げられる。疎水性溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテルまたはtert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒またはこれら溶媒の混合溶媒、またはこれら溶媒とヘキサンまたはヘプタン等の炭化水素系溶媒との混合溶媒等が挙げられる。
沸点の高い溶媒を加えて蒸留する場合、用いられる溶媒としては、式IIIで表される化合物と共沸する溶媒か、あるいは沸点100℃以上の溶媒が用いられ、好ましくは沸点120℃以上の溶媒が用いられる。かかる溶媒としては、例えば、キシレンまたはクロロベンゼン等が挙げられる。
反応に用いた溶媒が低沸点の溶媒であった場合には、例えばあらかじめ低沸点溶媒を蒸留にて除去した後、上記溶媒を加え、蒸留する方法等が挙げられる。
蒸留は、常圧下で実施してもよいし、減圧下に実施してもよい。また、蒸留後、さらに溶媒を加え、蒸留することを繰り返し実施してもよい。
得られた式IVで表される化合物は、塩基の存在下にハロゲン化剤で処理した後、塩基の存在下にPAr2 3と反応させることにより、式Vで表される化合物へと導くことができる。
用いられるハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル、ホスゲン、オキシ塩化リンまたは臭化チオニル等が挙げられ、その使用量は、式IVで表される化合物に対し、通常0.8〜5モル倍、好ましくは1〜2モル倍である。
用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、2,6−ルチジンまたはN,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、または炭酸ナトリウム、重曹または炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、2,6−ルチジンまたはN,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。その使用量は、式IVで表される化合物に対し、通常、0.8〜5モル倍、好ましくは1〜2モル倍である。
ハロゲン化反応は通常、溶媒の存在下に実施され、かかる溶媒としては、反応に不活性なものなら限定されず、例えば、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒またはこれら溶媒の混合溶媒またはこれら溶媒とヘキサンまたはヘプタン等の炭化水素系溶媒との混合溶媒が挙げられ、好ましくは、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒が挙げられる。
ハロゲン化の反応温度は、通常、−30℃〜100℃、好ましくは−20〜20℃である。
ハロゲン化反応終了後は、そのまま塩基とPAr2 3を加えて反応させても良いが、収率を向上させるため、過剰のハロゲン化剤を除去してから塩基とPAr2 3を加えることが好ましい。ハロゲン化剤の除去方法としては、例えば、蒸留による除去等が挙げられる。
得られた反応混合物に、塩基とPAr2 3を加えることにより、式Vで表される化合物を合成することができる。
用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、2,6−ルチジンまたはN,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、または炭酸ナトリウム、重曹または炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、2,6−ルチジンまたはN,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。その使用量は、式IVで表される化合物に対し、通常、0.8〜5モル倍、好ましくは1〜2モル倍である。
PAr2 3で表される化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィンまたはトリ(o−トリル)ホスフィン等が挙げられる。
反応は通常、溶媒の存在下に実施され、かかる溶媒としては、反応に不活性なものなら限定されず、例えば、前記と同様のものが挙げられる。
反応温度は通常、20℃〜溶媒の還流温度、好ましくは40℃〜溶媒の還流温度である。
得られた反応混合物は、水洗処理することにより副生する塩を除去した後、必要に応じ溶媒を留去することにより、式Vで表される化合物を含む粗生成物を得ることができる。この粗生成物は、これ以上精製されることなく、次工程に用いることができる。溶媒を完全に留去することなく、溶液として次工程に用いてもよい。
このようにして得られた式Vで表される化合物を、必要に応じヒドロキシル基の保護基および/またはAr1上の保護基を除去し、必要に応じ再度ヒドロキシル基を保護した後、加熱することにより、式VIで表される化合物へと導くことができる。
この式Vで表される化合物に、必要に応じヒドロキシル基の保護基および/またはAr1上の保護基を除去した後、酸水溶液および有機溶媒を加え、分液により有機溶媒層を除去することにより、式Vで表される化合物のホスホニウム塩が水層に残り、中性不純物が有機層に除去され、カラム精製を実施することなく精製することができる。得られる式Vで表される化合物には、原料化合物である式IIで表される化合物中に含まれる不純物や、前工程での副生成物や過剰に使用した原料等の不純物を含んでいるため、この精製を実施することが好ましい。
ヒドロキシル基の保護基およびAr1上の保護基の除去方法は、それ自体は公知であり、例えば、T.W.Greene: Protective Groups in Organic Synthesis,J.Wiley&Sons Inc.,1981を参照することができる。また、ヒドロキシル基上の保護基および/またはAr1上の保護基を酸の水溶液で除去する場合には、以下に述べる精製を、脱保護の反応液をそのまま用いて実施することもできる。
精製を実施する場合、用いられる酸の水溶液としては、例えば、塩酸または硫酸等の鉱酸類の水溶液、またはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類の水溶液等が挙げられ、好ましくは塩酸または硫酸等の鉱酸類の水溶液、さらに好ましくは5規定以上の塩酸または硫酸等の鉱酸類、最も好ましくは5規定以上の塩酸水が用いられる。
用いられる有機溶媒としては、水に不溶で、反応に不活性であり、かつ式Vで表される化合物のホスホニウム塩を抽出できないものであれば限定されず、例えば、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテルまたはtert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒が挙げられ、好ましくは芳香族系溶媒が用いられる。
ヒドロキシル基の保護基および/またはAr1上の保護基を酸の水溶液を用いて除去し、その反応液に有機溶媒を加えて分液することによりこの精製を実施する場合には、これらの溶媒は、あらかじめ反応前に加えておいてもよいし、反応後に加えてもよいし、反応前に加え、反応後にさらに追加してもよい。
この操作時の温度は通常、−10℃〜50℃,好ましくは−5℃〜20℃程度である。
分液により得られた式Vで表される化合物のホスホニウム塩を含む水層は、さらに前記溶媒を加え、分液を繰り返してもよい。
得られた水層は、式Vで表される化合物のホスホニウム塩を抽出できる水に不溶な溶媒で抽出した後、塩基の水溶液で洗浄し、さらに必要に応じ水洗を実施した後、溶媒を留去するか、または塩基を加えて塩基性にした後、有機溶媒で抽出し、さらに必要に応じ水洗を実施した後、必要に応じ溶媒を留去することにより、式Vで表される化合物またはその溶液を得ることができる。得られた式Vで表される化合物またはその溶液は、これ以上精製されることなく次工程に用いることができる。
式Vで表される化合物のホスホニウム塩を抽出できる水に不溶な溶媒としては、例えば、ジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒が用いられる。
塩基性にした後、抽出に用いられる溶媒としては、水に不溶で、式Vで表される化合物を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテルまたはtert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒またはこれら溶媒の混合物が挙げられる。
得られた式Vで表される化合物は、さらに必要に応じ再度ヒドロキシル基を保護した後、加熱して閉環させることにより、式VIで表されるカルバペネム化合物へと導くことができる。閉環の収率を向上させるため、ヒドロキシル基はあらかじめ保護しておくことが好ましい。
ヒドロキシル基の保護基としては、例えば、トリメチルシリル基またはトリエチルシリル基等のトリアルキルシリル基、ベンジル基または4−ニトロベンジル基等の置換されていてもよいベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基または4−ニトロベンジルオキシカルボニル基等の置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチル基、トリチル基、アシル基またはメトキシメチル基等が挙げられ、後の脱保護の容易さを考慮すると、トリメチルシリル基が好ましく用いられる。
ヒドロキシル基の保護の方法は、それ自体は公知であり、例えば、T.W.Greene: Protective Groups in Organic Synthesis,J.Wiley&Sons Inc.,1981を参照することができる。
式Vで表される化合物を加熱して閉環させることにより式VIで表されるカルバペネム化合物へと導く反応には、通常、溶媒が用いられ、用いられる溶媒としては、反応に不活性であるものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒等が挙げられる。
反応温度は通常、50℃〜溶媒の還流温度、好ましくは80℃〜溶媒の還流温度である。
ヒドロキシル基の保護基として、トリアルキルシリル基を用いた場合、反応は、同種のシリル化剤の存在下に実施してもよく、そのシリル化剤としては、例えば、N,O−ビストリアルキルシリルアセトアミドまたはN,N’−ビストリアルキルシリルウレア等が挙げられ、その使用量は通常、式Vで表される化合物に対し、0.05〜1モル倍である。
反応には、酸化による生成物の分解を防止するため、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールのような、酸化防止剤の存在下に実施してもよい。
反応後は、溶媒を留去することにより、式VIで表される化合物を含む粗生成物を得ることができる。
得られる粗生成物は、必要に応じ副生するトリアリールホスフィンオキシドを晶析にて除去してから、溶媒の存在下、吸着剤で処理することにより、純度を向上させることができる。
トリアリールホスフィンオキシド除去に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒またはこれら溶媒の混合溶媒、またはこれら溶媒とヘキサンまたはヘプタン等の炭化水素系溶媒との混合溶媒が挙げられ、好ましくは、エステル系溶媒と炭化水素系溶媒の混合溶媒が挙げられる。
吸着剤としては、例えば、活性アルミナ、シリカゲルまたは活性炭等が挙げられ、その使用量は通常、式VIで表される化合物に対し、0.1重量倍〜10重量倍、好ましくは0.2重量倍〜5重量倍程度である。
吸着剤による処理は、反応により得られる式VIで表される化合物を含む粗生成物またはトリアリールホスフィンを晶析除去して得られる式VIで表される化合物を含む溶液中に、溶媒の存在下、吸着剤を加え、撹拌後、ろ過により吸着剤を除去することにより達成される。使用される溶媒は、例えば、前記と同様のものが挙げられる。
吸着剤による処理の後、得られた溶液から、溶媒を留去することにより、式VIで表される化合物を含む混合物を得ることができる。
式VIで表される化合物は、必要に応じヒドロキシル基上の保護基を脱保護した後、カルボキシル基上のアリル保護基を脱保護することにより、式Iで表されるカルバペネム化合物へと導くことができる。
ヒドロキシル基上の保護基の除去方法は、それ自体は公知であり、例えば、T.W.Greene: Protective Groups in Organic Synthesis,J.Wiley&Sons Inc.,1981を参照することができる。強酸性条件または強アルカリ性条件では原料、生成物とも分解が速いため、弱酸性〜弱塩基性条件で実施することが好ましく、それゆえ弱酸、弱塩基または還元条件で脱保護しうる保護基をあらかじめ選択しておくことが好ましい。
カルボキシル基上の保護基の除去方法は、それ自体は公知であり、例えば、T.W.Greene: Protective Groups in Organic Synthesis,J.Wiley&Sons Inc.,1981を参照することができる。
例えば、特に限定はされないが、式VIで表される化合物に、有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下、パラジウム触媒を加えることにより、式Iで表される化合物を得ることができる。
有機酸のアルカリ金属塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸カリウム、安息香酸ナトリウムまたは安息香酸カリウム等のカルボン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、メタンスルホン酸ナトリウムまたはp−トルエンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩が挙げられ、好ましくはカルボン酸塩が挙げられる。有機酸のアルカリ土類金属塩としては、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウムまたは2−エチルヘキサン酸カルシウム等が挙げられる。有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の使用量は、通常、式Vで表される化合物に対し、0.8モル倍〜1.5モル倍、好ましくは0.9モル倍〜1.2モル倍である。
パラジウム触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられ、その使用量は通常、式Vで表される化合物に対し、0.001モル倍〜0.5モル倍、好ましくは0.005モル倍〜0.1モル倍である。
反応は溶媒の存在下に実施され、用いられる溶媒としては、反応に不活性であれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒またはこれら溶媒の混合溶媒、またはこれら溶媒とヘキサンまたはヘプタン等の炭化水素系溶媒との混合溶媒が挙げられる。
反応で得られた式Iで表される化合物は、必要によりさらに溶媒を加えた後、析出した固体をろ過することにより単離することができる。加える溶媒としては、例えば、前記と同様のものが挙げられる。
かくして得られた式Iで表される化合物は、必要に応じ、再結晶やカラム精製することにより、さらに高純度なものにすることができる。また、WO03/040146記載の方法により、生体内で加水分解されてカルボキシル基を再生するエステルへと変換し、プロドラッグへと導くこともできる。
かくして得られる式Iで表される化合物の例としては、特に限定はされないが、例えば、以下に例示した化合物を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
参考例1:
4−メトキシカルボニルアミノメチルアセトフェノン6527gおよびアセトニトリル25.7kgからなる混合液にN,N−ジメチルアミノピリジン380gを加えた後、室温にてジ−tert−ブチルジカーボネート10.2kgを含むアセトニトリル溶液20.5kgを加え、1時間撹拌した。得られた反応混合物から減圧下に溶媒を留去した後、トルエン32.3kgを加え、5%硫酸水素カリウム水溶液32.3kg、5%重曹水32.3kg、水32.3kgの順に洗浄後、減圧下に溶媒を留去することにより、4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチルアセトフェノン9830gをオイルとして得た。
参考例2:
参考例1で得た4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチルアセトフェノン8454gおよびジクロロメタン42.3kgの混合液にトリエチルアミン3.91kgを加え、5℃に冷却した。この混合液中に、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート6.44kgを滴下し、1時間撹拌した。この反応混合物中に、ヨウ化亜鉛5.29kgを加えた後、(3R,4R)−4−アセトキシ−3−((R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−エチル)−2−アゼチジノン7.12kgおよびジクロロメタン8.45kgの混合溶液を加え、18〜23℃に昇温して、3時間撹拌した。得られた反応混合物を水42kgで2回洗浄後、さらに、水21kg、5%重曹水42kg、水42kgの順に洗浄した。得られた有機層から溶媒を留去することにより、茶褐色のオイルとして、4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノン15.75kgを得た。一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製することにより、純度は83%と評価された。収率98%((3R,4R)−4−アセトキシ−3−((R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−エチル)−2−アゼチジノン基準)。
実施例1:
参考例2と同様の方法によって得た4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノン20g(純度:92%)とトルエン80gの混合溶液に活性炭1gを加え、室温で2時間撹拌後、ろ過にて活性炭を除去し、ろ過残はトルエン10gで洗浄した。得られたろ洗液にアリルグリオキサレート7.41gを加え、還流するまで加熱し、還流脱水をおこないながら3.5時間撹拌した。得られた反応液から減圧下、溶媒を留去し、さらに減圧下80℃に加熱して撹拌し、残留物(オイル)として、4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソ−N−[アリルオキシカルボニル(α−ヒドロキシ)メチル]アゼチジン−2−イル}アセトフェノン28gを得た。このうち、14gにキシレン30gを加え、80℃、減圧下に溶媒を留去した。この操作を5回繰り返し、過剰のアリルグリオキサレートが除去された4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソ−N−[アリルオキシカルボニル(α−ヒドロキシ)メチル]アゼチジン−2−イル}アセトフェノン18.9gを得た。得られた化合物に、トルエン61gおよび2,6−ルチジン3.0gを加え、氷浴で冷却した後、同温度で塩化チオニル3.3gを滴下し、1時間撹拌した。反応液を減圧下に溶媒留去し、トルエン25g加え、さらに減圧濃縮を実施した。残留物にトルエン6g,2,6−ルチジン3.0gおよびトリフェニルホスフィン7.4gを加え、50℃に昇温し、5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、水25g,2%塩酸25g,水25gの順に洗浄し、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル((2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−{2−[4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル]フェニル−2−オキソエチル}−4−オキソアゼチジン−1−イル)(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物20.0gを得た。高速液体クロマトグラフィーによる含量分析の結果、含量は68.5%であり、4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノンに対する収率は、89%であった。
比較例1: (アリルグリオキサレート蒸留なし)
参考例2と同様の方法によって得た4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノンを実施例1と同様に活性炭で処理した後、減圧下に溶媒を留去した。得られた4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノン 5g(純度:84%)とトルエン20gの混合溶液を還流するまで加熱し、還流脱水をおこないながらアリルグリオキサレート1.85gとトルエン10gからなる溶液を20分かけて滴下し、還流脱水をおこないながら3.5時間撹拌した。得られた反応液から減圧下、溶媒を留去し、さらに減圧下80℃に加熱して撹拌し、残留物(オイル)として、4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソ−N−[アリルオキシカルボニル(α−ヒドロキシ)メチル]アゼチジン−2−イル}アセトフェノン 5.89gを得た。このうち、2.95gにトルエン14.7gおよび2,6−ルチジン730mgを加え、氷浴で冷却した後、同温度で塩化チオニル811mgを滴下し、1時間撹拌した。反応液を減圧下に溶媒留去し、トルエン15gを加え、さらに減圧濃縮を実施した。残留物にトルエン8g,2,6−ルチジン730mgおよびトリフェニルホスフィン1.79gを加え、50℃に昇温し、5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、水5g,2%塩酸5g,水5gの順に洗浄し、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル((2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−{2−[4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル]フェニル−2−オキソエチル}−4−オキソアゼチジン−1−イル)(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物5.22gを得た。高速液体クロマトグラフィーによる含量分析の結果、含量は45.1%であり、4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノンに対する収率は、67%であった。
実施例2:
参考例2で得た4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノンにトルエン56kgを加え、活性炭693gを加え、室温で1時間撹拌した後、ろ過により活性炭を除去し、4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノンを含むトルエン溶液を得た。このうち、4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノン純分として11.46kg分を還流するまで加熱し、還流脱水をおこないながらアリルグリオキサレート4.25kgとトルエン11.3kgからなる溶液を滴下し、還流脱水をおこないながら4時間撹拌した。得られた反応液から減圧下、溶媒を留去した。残渣にキシレン34kgを加え、減圧濃縮する操作を4回実施し、残留するアリルグリオキサレートを除去することにより、4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソ−N−[アリルオキシカルボニル(α−ヒドロキシ)メチル]アゼチジン−2−イル}アセトフェノンを含む混合物を残渣として得た。これにトルエン69kgおよび2,6−ルチジン3.45kgを加え、氷浴で冷却した後、同温度で塩化チオニル3.83kgを滴下し、5時間撹拌した。反応液を減圧下に溶媒留去し、トルエン28.5kgを加え、さらに減圧濃縮を実施した。残留物にトルエン14kg,2,6−ルチジン3.45kgおよびトリフェニルホスフィン8.43kgを加え、50℃に昇温し、6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、水29kg,0.1規定塩酸29kg,水29kgの順に洗浄し、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル((2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−{2−[4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル]フェニル−2−オキソエチル}−4−オキソアゼチジン−1−イル)(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物31.32kgを得た。
実施例3:
実施例2で得られたアリル((2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−{2−[4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル]フェニル−2−オキソエチル}−4−オキソアゼチジン−1−イル)(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物にトルエン31kgを加え、0〜5℃程度まで冷却し、同温度で7規定塩酸89.2kgを滴下した。同温度で4時間撹拌後、静置し、分液し、有機層を7規定塩酸22.3kgで抽出した。得られた水層を合一し、トルエン16.2kgで洗浄した。これらの有機層中に、トリフェニルホスフィンおよび中性不純物が除去されており、アリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[2−(4−メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートはほとんど含まれていなかった。得られた水層をジクロロメタン23.6kgで3回抽出し、有機層を合一して13%炭酸ナトリウム17.3kgを加え、撹拌後、水層を分液で除去し、有機層はさらに水11.8kgで洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[2−(4−メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含むジクロロメタン溶液26.64kgを得た。
実施例4:
実施例3で得られたアリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[2−(4−メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物にトルエン30kgおよびジクロロメタン2.1kgを加え、活性炭500gを加え、室温で2時間撹拌後、ろ過により活性炭を除去した。これを0〜5℃に冷却後、同温度でトリエチルアミン4.70kgおよびクロロトリメチルシラン4.81kgを加え、3時間撹拌した。反応液を飽和食塩水51kg、41kgの順で洗浄し、得られた水層はトルエン13kgで抽出した。有機層を合一後、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−2−[2−(4−メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含むトルエン溶液31.84kgを得た。一部をシリカゲルカラム精製することにより、含量は39%と評価された。収率77%(4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メトキシカルボニル)アミノメチル−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノン基準)
得られたアリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−2−[2−(4−メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含むトルエン溶液のうち、2571g(純分1000g)にトルエン8.4kg、ビストリメチルシリルアセトアミド54gおよび2,6―ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.5gを加え、還流温度で5時間反応させた。反応混合物を冷却後、減圧下に溶媒を留去し、残渣に酢酸エチル1.1kg,2,6―ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.5gおよびヘプタン0.59kgを加え、0〜4℃に冷却し、1.5時間撹拌後、析出した固体をろ過し、ろ過残は酢酸エチル/ヘプタン(10vol/7vol)1kgで洗浄した。ろ洗液に酢酸エチル1kgおよびヘプタン1.1kgを加え、2℃に冷却後、中性アルミナ2kgを加え、同温度で3.5時間撹拌した。中性アルミナをろ過にて除去し、ろ過残は酢酸エチル/ヘプタン(1vol/1vol)6.2kgで洗浄した。ろ洗液から減圧下に溶媒を留去することにより、アリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−3−[4−(メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを含む混合物782gをオイルとして得た。
得られたアリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−3−[4−(メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを含む混合物に、テトラヒドロフラン3.9kgおよび水1.8kgを加え、2℃に冷却後、0.1規定塩酸を滴下してpHを3.1に調整し、同温度で40分撹拌した。反応混合物に5%重曹水を加えてpHを8.6に調整した後、15%食塩水3.1kgおよびトルエン3.1kgを加え、撹拌した。分液にて水層を除去後、水層はトルエン800gで抽出し、得られた有機層を合一後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−3−[4−(メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを含む混合物727gをオイルとして得た。高速液体クロマトグラフィーによる含量分析の結果、アリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−3−[4−(メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの含量は68%であり、アリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−2−[2−(4−メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートに対する収率は、93%であった。
得られたアリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−3−[4−(メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを含む混合物に、テトラヒドロフラン1.7kg,2−エチルヘキサン酸ナトリウム187gおよびトリフェニルホスフィン15gを加え、0〜2℃に冷却し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム14gを加えた。同温度で1.5時間撹拌後、2−エチルヘキサン酸ナトリウム10g追加し、さらに1時間撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチル1.7kgを加え、0〜4℃でさらに終夜撹拌し、ろ過後、ろ上物を酢酸エチル500gおよびトルエン2.5kgで洗浄し、減圧下に乾燥することにより、淡黄色の粉末として、(5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−3−[4−(メトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩 526gを得た。
参考例3:
塩化マグネシウム776gをアセトニトリル2.2kgに懸濁させ、トリエチルアミン2355gを加えた。この混合物にマロン酸ジメチル1538gを2〜30℃で20分かけて滴下し、1.5時間撹拌した。この混合物に4−クロロメチルベンゾイルクロリド2.2kgおよびアセトニトリル550gからなる混合溶液を−8〜10℃で2.5時間かけて滴下し、室温で3時間撹拌し、さらにマロン酸ジメチル461gを加えて一晩撹拌した。得られた反応混合物に6規定塩酸5.2Lを3〜13℃にて2時間かけて滴下し、水6.6Lを加え30分撹拌した。析出した結晶をろ過し、氷水14Lで洗浄後、減圧乾燥することにより、4−クロロメチル−α,α−ビス(メトキシカルボニル)アセトフェノン3617gを得た。
得られた4−クロロメチル−α,α−ビス(メトキシカルボニル)アセトフェノン3.28kgを酢酸3.28kgに懸濁させ、濃硫酸793gおよび水2.2kgからなる水溶液を加え、還流温度で8時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却後、水16Lを加え、酢酸イソプロピル23Lで抽出し、有機層を水16L、5%重曹水16Lで2回の順に洗浄した。この溶液から減圧下に溶媒を留去することにより、4−クロロメチルアセトフェノン1.81kgを得た。
得られた4−クロロメチルアセトフェノン1.81kgに6%炭酸ナトリウム水溶液9.57kgを加え、還流温度で4.5時間撹拌し、さらに10%炭酸ナトリウム水溶液557gを加え、同温度で7.5時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却後、ジクロロメタン5kg、4kg、5kgの順で抽出した。得られた有機層を合一し、20%食塩水5kgで洗浄し、水層はさらにジクロロメタン4kgで抽出した。得られた有機層を合一し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去することにより、4−ヒドロキシメチルアセトフェノン1.40kgを淡黄色結晶として得た。
得られた4−ヒドロキシメチルアセトフェノン1.40kgにジクロロメタン7kgを加えて溶解させ、氷冷下、1,1−カルボニルジイミダゾール1669gを加え、同温度で30分、室温で30分撹拌した。この反応溶液を氷冷下、40%メチルアミンメタノール溶液3626g中に1時間かけて滴下し、同温度で30分撹拌した。得られた反応混合物を5%重曹水1.4kgで洗浄し、水層はジクロロメタン1.4kgで3回抽出した。得られた有機層を合一し、20%食塩水4.2kgで洗浄し、水層はさらにジクロロメタン1.4kgで2回抽出した。得られた有機層を合一し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去した。得られた反応混合物に酢酸エチル8.4kgおよびヘプタン5.3kgを加えて溶解させ、中性シリカゲル2.8kgを加え、室温で2時間撹拌した。シリカゲルをろ過にて除去し、残渣は酢酸エチル2.3kgおよびトルエン1.5kgからなる混合液で洗浄した。ろ洗液を1%塩酸1.4kg、5%重曹水1.4kgの順に洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去し、さらにトルエン2.5kgを加えて溶媒留去した。得られた残渣にトルエン5.9kgを加え、45℃に加熱溶解後、0℃までゆっくり冷却し、同温度で3時間撹拌した。析出した結晶をろ過後、トルエンで洗浄し、減圧下乾燥することにより、4−(メチルアミノカルボニルオキシメチル)アセトフェノン1.29kgを淡黄色結晶として得た。
得られた4−(メチルアミノカルボニルオキシメチル)アセトフェノン880gおよびアセトニトリル3.5kgからなる混合液にN,N−ジメチルアミノピリジン52.7gを加えた後、室温にてジ−tert−ブチルジカーボネート1019gを含むアセトニトリル溶液1.9kgを加え、4時間撹拌し、さらにジ−tert−ブチルジカーボネート13gを加えて1.5時間撹拌した。得られた反応混合物から減圧下に溶媒を留去した後、トルエン4.4kgを加え、5%硫酸水素カリウム水溶液4.4kg、5%重曹水4.4kg、水4.4kgの順に洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去することにより、4−[(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチル)アミノカルボニルオキシメチル]アセトフェノン1347gをオイルとして得た。
参考例4:
参考例3で得られた4−[(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチル)アミノカルボニルオキシメチル]アセトフェノン1216gおよびジクロロメタン3kgの混合液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、ろ過残はジクロロメタン2.8kgで洗浄した。このろ洗液に、トリエチルアミン559gを加え、−3〜5℃に冷却した。この混合溶液中にトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート932gを滴下し、1時間撹拌し、さらにトリエチルアミン35gおよびトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート58gを追加し、1時間撹拌した。この反応混合物中に、ヨウ化亜鉛766gを加えた後、(3R,4R)−4−アセトキシ−3−[(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−アゼチジノン1029gおよびジクロロメタン1586gの混合溶液を0〜3℃で加え、25〜32℃に昇温して、4時間撹拌した。得られた反応混合物を水6kgで3回洗浄後、さらに、5%重曹水6kg、水6kgの順に洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去することにより、4−[(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチル)アミノカルボニルオキシメチル]−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノンを含む混合物2089gをオイルとして得た。
実施例5:
参考例4で得た4−[(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチル)アミノカルボニルオキシメチル]−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノンにトルエン5kgを加え、活性炭90gを加え、室温で1時間撹拌した後、ろ過により活性炭を除去し、4−[(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチル)アミノカルボニルオキシメチル]−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソアゼチジン−2−イル}アセトフェノンを含むトルエン溶液を得た。これを還流するまで加熱し、還流脱水をおこないながらアリルグリオキシレート671gとトルエン1.6kgからなる溶液を滴下し、還流脱水をおこないながら4時間撹拌した。得られた反応液から減圧下、溶媒を留去した。残渣にキシレン5.4kgを加え、減圧濃縮する操作を5回実施し、残留するアリルグリオキサレートを除去することにより、4−[(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチル)アミノカルボニルオキシメチル]−α−{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−オキソ−N−[アリルオキシカルボニル(α−ヒドロキシ)メチル]アゼチジン−2−イル}アセトフェノンを含む混合物2442gを残渣として得た。これにトルエン11kgおよび2,6−ルチジン560gを加え、0〜5℃に冷却した後、同温度で塩化チオニル622gを滴下し、1.5時間撹拌した。反応液を減圧下に溶媒留去し、トルエン4.5kgを加え、さらに減圧濃縮を実施した。残留物にトルエン3.4kg,2,6−ルチジン561gおよびトリフェニルホスフィン1371gを加え、50℃に昇温し、5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、水6.5kg,0.1規定塩酸4.5kg,水4.5kgの順に洗浄し、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル[(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−(2−{4−[(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチル)アミノカルボニルオキシメチル]}フェニル−2−オキソエチル)−4−オキソアゼチジン−1−イル](トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物4010gを得た。
実施例6:
実施例5で得られたアリル[(2R,3S)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−(2−{4−[(N−tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチル)アミノカルボニルオキシメチル]}フェニル−2−オキソエチル)−4−オキソアゼチジン−1−イル](トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物にトルエン7.4kgを加え、0〜5℃程度まで冷却し、同温度で7規定塩酸18.8kgを滴下した。同温度で2時間撹拌後、静置し、分液し、有機層を7規定塩酸4.7kgで抽出した。得られた水層を合一し、トルエン2.5kgで洗浄した。これらの有機層中に、トリフェニルホスフィンおよび中性不純物が除去されており、アリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[2−(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートはほとんど含まれていなかった。得られた水層をジクロロメタン10kgで1回,5kgで2回抽出し、有機層を合一して13%炭酸ナトリウム5.7kgを加え、撹拌後、水層を分液で除去し、有機層はさらに水5kgで洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[2−(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物2286gを得た。
実施例7:
実施例6で得られたアリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[2−(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物にトルエン2.2kgおよびジクロロメタン2.6kgを加え、活性炭81gを加え、室温で1時間撹拌後、ろ過により活性炭を除去し、残渣を、トルエン109gとジクロロメタン72gからなる混合液、ジクロロメタン700gの順に洗浄した。このろ洗液を0〜5℃に冷却後、同温度でトリエチルアミン799gおよびクロロトリメチルシラン818gを加え、30分撹拌した。反応液を10%食塩水5kg、2.6kgの順に洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−2−[2−(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物2438gを得た。
得られたアリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−2−[2−(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを含む混合物にトルエン20kg、ビストリメチルシリルアセトアミド97gおよび2,6―ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.9gを加え、還流温度で5時間反応させた。反応混合物を冷却後、減圧下に溶媒を留去し、残渣に酢酸エチル2kg,2,6―ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.9gおよびヘプタン1kgを加え、0〜4℃に冷却し、1時間撹拌後、析出した固体をろ過し、ろ過残は酢酸エチル1.7kgとヘプタン1.8kgからなる混合液で洗浄した。ろ洗液に酢酸エチル1.8kgおよびヘプタン2.1kgを加え、0〜5℃に冷却後、中性アルミナ3678gを加え、同温度で3時間撹拌した。中性アルミナをろ過にて除去し、ろ過残は酢酸エチル/ヘプタン(1vol/1vol)混合液10kgで洗浄した、ろ洗液から減圧下に溶媒を留去することにより、アリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−3−[(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを含む混合物1459gをオイルとして得た。
得られたアリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−3−[(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを含む混合物に、テトラヒドロフラン4.4kgおよび水2.0kgを加え、3℃に冷却後、0.1規定塩酸を滴下してpHを3.0に調整し、同温度で2時間撹拌した。反応混合物に5%重曹水を加えてpHを8.5に調整した後、15%食塩水3.5kgおよびトルエン3.5kgを加え、撹拌した。分液にて水層を除去後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下に溶媒を留去することにより、アリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−3−[(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを含む混合物1454gをオイル混じりの結晶として得た。これにテトラヒドロフラン1490gを加え、テトラヒドロフラン溶液として、高速液体クロマトグラフィーによる含量分析の結果、アリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−3−[(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの含量は68%であり、アリル{(2R,3S)−3−[(1R)−1−(トリメチルシリルオキシ)エチル]−2−[2−(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル−2−オキソエチル]−4−オキソアゼチジン−1−イル}(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートに対する収率は、93%であった。
得られたアリル(5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−3−[(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを含むテトラヒドロフラン溶液に、テトラヒドロフラン980g,2−エチルヘキサン酸ナトリウム366gおよびトリフェニルホスフィン28gを加え、0〜5℃に冷却し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム25gを加え、同温度で2時間撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチル3kgを加え、0〜5℃でさらに1時間撹拌し、ろ過後、ろ上物を酢酸エチル1.2kgおよびトルエン4.4kgで洗浄し、減圧下に乾燥することにより、淡黄色の粉末として、(5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−3−[(4−メチルアミノカルボニルオキシメチル)フェニル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩 968gを得た。見掛けの通算収率は、(3R,4R)−4−アセトキシ−3−((R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル)−2−アゼチジノン基準で、71%であった。