JP2007039309A - 偏光ガラスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱延伸したガラスシート内部の残留歪をより確実に除去することができる。
【解決手段】偏光ガラスの製造方法であって、ハロゲン化金属を含むガラスを溶解した後に、ガラス内に分散されたハロゲン化金属を所定粒径に析出させてガラスプリフォームを形成する析出工程と、ガラスプリフォームを所定温度に加熱延伸して延伸されたハロゲン化金属粒子を有するガラスシートを形成する延伸工程と、ガラスシートをガラスの転移点温度以下かつ歪点温度以上の温度まで加熱してアニール処理するアニール工程と、アニール工程においてアニール処理したガラスシートを研磨する研磨工程と、研磨工程において研磨したガラスシートにおいて、ハロゲン化金属粒子を還元する還元工程とを備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光ガラスの製造方法に関する。特に本発明は、ガラスプリフォームに含まれるハロゲン化金属粒子を引き伸ばしてガラスシートを得る延伸工程を有する偏光ガラスの製造方法に関する。
偏光ガラスは光通信用途として、近赤外域における偏波依存型の光アイソレータに用いられている。光アイソレータは、2枚の偏光ガラス及びその間に挟まれた磁性ガーネット膜を有する。光アイソレータは、光源であるレーザーダイオード(LD)から入射する光を透過するとともに、LDに戻る光を遮断する。
上記光アイソレータに用いられる偏光ガラスは、ハロゲン化物を含む母材ガラスを溶解する工程、母材ガラス内にハロゲン化金属粒子を析出させる析出(または熱処理)工程、ハロゲン化金属粒子を含むガラスを引き伸ばす延伸工程、引き延ばしたガラスを研磨する研磨工程、及び、ガラス内のハロゲン化金属粒子を還元処理する還元工程により製造される。
これらの工程の中で、延伸工程は、ガラスプリフォームに応力を加えてガラスプリフォームに含まれるハロゲン化金属粒子を引き伸ばして、ガラスシートとする。この工程において、ハロゲン化金属粒子を引き伸ばして所定のアスペクト比を得るべく、延伸時のガラスの粘度は約1×1010ポイズで、応力は200Kg/cm〜700Kg/cmでガラスプリフォームが延伸される。しかしながらこの場合に、延伸後にガラスシート内部に残留歪が生じ、そのためにその後の仕上げ研磨工程中にガラスシートが破損もしくは破壊しやすいという問題があった。
延伸後のガラスシートの破損や破壊を防ぐ方法として、加熱延伸後のガラスシートに対してアニール処理を施すことで、延伸工程によってガラスシート内部に生じた残留歪を緩和する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記文献には、加熱延伸されたガラスシートにアニール処理を施す際の温度は、ガラスシートに含まれるハロゲン化金属の融点以下であることが条件として明示されている。
特開平2005−47734号公報
ガラスの歪は、徐冷点温度から歪点温度までの間における所定の温度から歪点温度までの間を、ゆっくりと温度を下げていくと除去されることが知られている。ここで、偏光ガラスでは、徐冷点温度はハロゲン化金属の融点より高く、歪点温度はハロゲン化金属の融点と同程度となる。
よって、歪点温度とハロゲン化金属の融点は非常に近いので、上記文献の提案に従ったアニール処理の温度幅は、非常に狭い。または、ガラスや配合するハロゲン化金属の組成によっては、ハロゲン化金属の融点がガラスの歪点温度よりも低いので、この場合には、上記文献の提案に従ったアニール処理の温度領域が存在しない。
上記課題を解決することを目的として、本発明の第1の形態においては、偏光ガラスの製造方法であって、ハロゲン化金属を含むガラスを溶解した後に、ガラス内に分散されたハロゲン化金属を所定粒径に析出させてガラスプリフォームを形成する析出工程と、ガラスプリフォームを所定温度に加熱延伸して延伸されたハロゲン化金属粒子を有するガラスシートを形成する延伸工程と、ガラスシートをガラスの転移点温度以下かつ歪点温度以上の温度まで加熱してアニール処理するアニール工程と、アニール工程においてアニール処理したガラスシートを研磨する研磨工程と、研磨工程において研磨したガラスシートにおいて、ハロゲン化金属粒子を還元する還元工程とを備える。これにより、延伸工程によってガラスシート内部に生じた残留歪を除去するアニール工程の温度領域が広くなる。よって、アニール工程の温度制御が容易になり、ガラスシート内部の残留歪をより確実に除去することができる。
第1の形態において、還元工程におけるガラスシートの温度は、アニール工程において加熱したガラスシートの温度よりも低くてもよい。アニール温度はハロゲン化金属粒子が再球状化する下限温度より低く設定している。しかし、再球状化温度と非再球状化温度との境界は明確でないため、アニール処理温度の予期せぬ変動やガラスシートの熱物性温度幅(通常、ガラスの熱物性値は数℃以上の温度範囲を有している)など、場合によっては、短時間といえども再球状化温度域にガラスシートが置かれて極僅かだけアスペクト比が小さくなる可能性もある。通常この程度であれば消光比特性に重大な悪影響を及ぼすほどではないが、後工程である還元工程における処理温度がアニール温度と同等か、それより高いと、アスペクト比がさらに小さくなり、ついには所定の波長において消光比を得られなくなることも十分考えられる。そのため、還元温度をアニール温度より低くしておけば、それは再球状化温度の下限よりも確実に低いため、再球状化は全く生じない。したがって、還元工程において歩留まりを低下させることがない。
また、還元工程におけるガラスシートの温度は、ハロゲン化金属の融点よりも高くてもよい。これにより、還元工程に要する時間を短くすることができる。さらに、ガラスシート内のハロゲン化金属粒子が融解し粒子内で流動するので、より多くのハロゲン化金属が還元雰囲気に接触して還元される。
この場合、ガラスシートを揺り動かしてもよい。これにより、ガラスシート内の流動性を持ったハロゲン化金属粒子を、より短時間で効率的に還元することができる。
また、析出工程において、所定粒径は60nm以下であってもよい。これにより、後工程である延伸工程、アニール工程、研磨工程、還元工程、を経てもハロゲン化金属粒子が再球状化することなく、その結果、良好な光学的特性を有する偏光ガラスを提供することができる。
また、延伸工程において、ガラスプリフォームを1×10ポイズから1×1014ポイズになる温度に加熱して、100Kg/cmから700Kg/cmの引張応力で引っ張ってもよい。これにより、延伸されたハロゲン化金属粒子のアスペクト比を制御することができ、偏光ガラスにおいて、要求する光学的特性を満たすことができる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、偏光ガラスの製造において、延伸工程によってガラスシート内部に生じた残留歪を除去するアニール工程の温度領域が広くなる。よって、アニール工程の温度制御が容易になり、ガラスシート内部の残留歪をより確実に除去することができる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本実施形態にかかる偏光ガラスの製造方法は、ハロゲン化物を含む母材ガラスを溶解する工程、母材ガラス内にハロゲン化金属粒子を析出させる析出工程、ハロゲン化金属粒子を含むガラスを引き伸ばす延伸工程、引き延ばしたガラスをアニール処理する工程、アニール処理したガラスを研磨する研磨工程、及び、研磨したガラス内のハロゲン化金属粒子を還元処理する還元工程を備える。
本実施形態では、ハロゲン化金属が分散されているガラスを原料として用いる。ここで、ハロゲン化金属は、例えば、AgCl及びAgBrである。表1に、本実施形態の原料ガラスの組成を示す。
Figure 2007039309
析出工程では、ハロゲン化金属を含むガラスを溶解した後に、ガラス内に分散されたハロゲン化金属を所定粒径に析出させてガラスプリフォームを作製する。詳しくは、まず、上記ハロゲン化金属が分散されているガラスを溶解した後、この溶解したガラスを、板状もしくはブロック状に成形する。その後、当該ガラスを加熱してハロゲン化金属粒子を析出させる。次に加熱後のガラスを短冊形状に切り出してガラスプリフォームを作製する。析出するハロゲン化金属粒子は、AgCl、AgBrもしくはAgClBrの混晶と考えられる。ここで、AgClの融点は449℃、AgBrの融点は434℃である。表2に、本実施形態の原料ガラスの熱物性を示す。ただし、温度の誤差は±10℃程度である。
Figure 2007039309
金属粒子のアスペクト比は、延伸工程において延伸された後、還元工程において還元された金属粒子の長径と短径の比である。このアスペクト比は、偏光ガラスの特性、特に消光比に影響を与える。ここで、析出工程において析出したハロゲン化金属粒子の粒径が大きいほど、表面張力により、延伸後のハロゲン化金属粒子が融解した場合に再球状化し易くなり、アスペクト比が小さくなる。よって、析出工程においては、アニール工程及び還元工程においてもハロゲン化金属粒子が再球状化することがない程度に粒径を小さくしておくことが好ましい。そこで、本実施形態の析出工程において、析出するハロゲン化金属粒子の粒径は60nm以下であることが好ましい。これにより、延伸後のガラスシートをアニール工程や還元工程においてハロゲン化金属の融点よりも高い温度に加熱しても、延伸されたハロゲン化金属粒子を再球状化しにくくすることができる。
次に、延伸工程では、析出工程においてその内部に所定粒径のハロゲン化金属粒子が析出したガラスプリフォームを所定温度に加熱延伸して延伸されたハロゲン化金属を有するガラスシートを形成する。
図1は、本実施形態の延伸工程に用いる延伸装置100の構成を示す概略図である。図2は、延伸装置100における引張手段40の構成を示す概略図である。また、図3は、ガラスプリフォーム11が延伸工程において延伸される場合に、ガラスプリフォーム11内のハロゲン化金属粒子30が延伸される様子を示す概略図である。
図1に示すように、延伸装置100は、電気炉17と、電気炉17の内部に設けられたガラス支持具15と、同じく電気炉17の内部に設けられたメインヒータ20、サブヒータ22、24、26、およびサイドヒータ28と、ガラスプリフォーム11の長手方向に関して上記の各種ヒータより下方に設けられた引張手段40とを備える。
延伸工程では、ガラスプリフォーム11の長手方向の一端がガラス支持具15に固定されて、延伸装置100の電気炉17の内部に設けられたメインヒータ20、サブヒータ22、24、26、およびサイドヒータ28で加熱されながら引張手段40でガラスプリフォーム11の他端が長手方向に引っ張られる。このとき、ガラスプリフォーム11は、その長手方向の一端を固定するガラス支持具15を引張手段40の側にゆっくり移動させながら、引張手段40で引っ張られる。
ガラスプリフォーム11は、その幅方向の収縮が生じる延伸部13における短冊形状の正面から、延伸部13の幅方向の中心付近を加熱するメインヒータ20と、延伸部13における短冊形状の側方から、延伸部13の側面を加熱するサイドヒータ28と、メインヒータ20の上方に所定の間隔で配されるサブヒータ22、24及び26で加熱される。
メインヒータ20と、サブヒータ22、24及び26は、ガラスプリフォーム11よりやや幅が広い。また、メインヒータ20、サブヒータ22、24、26、およびサイドヒータ28の出力は、それぞれ独立して制御され、ガラスプリフォーム11およびガラスプリフォーム11に含まれるハロゲン化金属粒子30は、これらが良好に延伸される温度分布に加熱される。サブヒータ22、24、及び26は、延伸部13の上方を段階的に加熱する。
図2に示すように、引張手段40は、ガラスシート19の表裏面を挟む一対のローラ42、44と、これら一対のローラ42、44のそれぞれと一体的に回転する従動軸43、45と、これら従動軸43、45を機械的に同期して回転させる駆動軸46と、この駆動軸46に回転駆動力を与えるモータ47とを有する。従動軸43、45には互いにピッチの等しいねじり歯車が形成され、駆動軸46には従動軸43、45に形成されたねじり歯車にそれぞれ噛み合う歯車が形成される。
ガラスプリフォーム11は、延伸されるときに、1×10ポイズから1×1014ポイズになる温度に加熱されることが好ましく、100Kg/cmから700Kg/cmの引張応力で引っ張られることが好ましい。上記延伸工程により、ガラスプリフォーム11およびその内部に含むハロゲン化金属粒子30は引き延ばされて、延伸されたハロゲン化金属粒子32を内部に含んだガラスシート19が生成される。
アニール工程では、ガラスシート19を、ガラスの転移点温度以下かつ歪点温度以上の温度まで加熱して冷却する。ここで、アニール工程は、熱処理や切削加工などによって個体材料の内部構造に生じる残留応力(残留歪)の緩和を目的とした加熱および冷却の操作、所謂焼きなましを含む。本実施形態において、アニール工程は、延伸工程によって形成したガラスシート19内部の残留歪を除去することを目的とした加熱および冷却の操作を含む。
本実施形態のアニール工程において、表1に示した熱物性および上記ハロゲン化金属の融点は、ガラスの歪点温度と近い。よって、ガラスの転移点温度以下かつ歪点温度以上の温度領域で、ガラスシート19内の延伸されたハロゲン化金属粒子32は溶解していると考えられる。しかしながら、ガラスシート19自体は剛性状態を維持しており、延伸されたハロゲン化金属粒子32は溶解した状態でも周囲のガラス相によって延伸された形状のまま保持される。
仮に、ガラスシート19を転移点温度以上まで加熱すると、ガラスが粘弾性状態となり、ガラスシート19内の延伸されたハロゲン化金属粒子32が再球状化してアスペクト比が低下する。よって、消光比の低下など偏光ガラスとして所望の光学的特性を得ることが難しい。一方、ガラスシート19を歪点温度以下までしか加熱しないと、ガラスシート19内部の残留歪を除去しにくい。
そこで、本実施形態においては、アニール炉内でガラスシート19をガラスの転移点温度以下かつ歪点温度以上である480℃に加熱後2.2時間保持し、その後、歪点温度よりも低い400℃まで毎分1℃以下のペースでゆっくりと降温させてから炉内で自然放冷する。
上記アニール工程後、研磨工程では、アニールしたガラスシート19を研磨する。本実施形態の研磨工程で、ガラスシート19は片面ずつ研磨される。具体的には、ガラスシート19を研磨盤にワックスを用いて貼り付け、まず片面を研磨する。片面の研磨が終わると、研磨盤に熱を加えてワックスを柔らかくして、ガラスシート19の研磨を終えた面と反対側の面を露出させて再びワックスで固定し、この露出面を研磨する。研磨中は、ガラスシート19が割れない程度の荷重をかけている。
研磨工程に供されるガラスシート19の厚さが、研磨後の目標厚さに近いほど、研磨時間が短くなるので好ましい。一方、ガラスシート19には微少な反りや曲がりがある。そこで、本実施形態においては、研磨工程に供されるガラスシート19の厚さは、少なくとも目標厚さよりも200μm厚く(片面あたり100μm厚く)形成される。これにより、研磨工程において面出しが容易に行える。
上記研磨工程では、ガラスシート19を片面ずつ研磨する方法を用いたが、他にもガラスシート19の両面を同時に研磨する方法などがあり、研磨に供されるガラスシート19の性状や目標とする形状などによって適宜最適な方法を選択する。
上記研磨工程後、還元工程は、ガラスシート19内の延伸されたハロゲン化金属粒子32を還元する。詳しくは、ガラスシート19内部の延伸されたハロゲン化金属粒子32の少なくとも一部を還元処理して、延伸された金属粒子にすることにより、アニール工程において残留歪が除去されたガラスシート19に偏光特性を与える。
還元工程におけるガラスシート19の温度は、アニール工程において加熱したガラスシート19の温度よりも低くてもよい。また、ガラスシート19の温度は、ハロゲン化金属の融点よりも高くてもよい。ここで、アニール工程において加熱したガラスシート19の温度は、本実施形態においては480℃である。
本実施形態の還元工程は、水素雰囲気のチャンバー50内にガラスシート19を置き、約470℃の温度で1時間〜5時間程度熱処理することによって行われる。
この還元工程において、炉内の温度は、ガラスの転移点温度より低いが、延伸されたハロゲン化金属粒子32を構成するハロゲン化金属の融点よりも高い。よって、アニール工程の場合と同様に、還元工程においてもガラスシート19内の延伸されたハロゲン化金属粒子32は融解しているが、周囲のガラス相によって延伸された形状のまま保持されると考えられる。さらに、この延伸されたハロゲン化金属粒子32は、周囲のガラス相により作られる形状内を流動するので、延伸されたハロゲン化金属粒子32を構成するハロゲン化金属の融点より低い温度すなわちガラスシート19内の延伸されたハロゲン化金属粒子32が固体の状態で還元する場合と比べて、より多くのハロゲン化金属が還元雰囲気に接触して還元される。また、延伸されたハロゲン化金属粒子32を構成するハロゲン化金属の融点より低い温度で還元する場合と比べて、還元反応が速やかに進むので、還元工程に要する時間を短くすることができる。
また、還元工程において、ガラスシート19を揺り動かしてもよい。図4は、本実施形態の上記還元工程において、還元雰囲気に保たれたチャンバー50内でガラスシート61、63、65及び67を揺動する揺動装置200の構成を示す概略図である。
揺動装置200は、ガラスシート61、63、65及び67を支持するテーブル57と、チャンバー50内の1面に固定され、固定されている側と反対側の先端にヒンジ53を有する支持棒55と、テーブル57の両端を支持する左側従動軸70および右側従動軸80と、左側従動軸70および右側従動軸80におけるテーブル57を支持している側と反対側の先端にそれぞれ配された左側カムフォロア71および右側カムフォロア81と、これらの左側カムフォロア71および右側カムフォロア81にそれぞれ接する左側カム73および右側カム83とを備える。
支持棒55は、ヒンジ53を介してテーブル57を支持している。テーブル57はヒンジ53を中心に回転することができ、還元冶具62、64、66及び68はテーブル57にネジ等で固定されている。還元冶具62、64、66及び68は、互いに向き合う一対のコの字の形を有し、向かい合うコの字の溝部にガラスシート61、63、65及び67が挿入されて支持される。
左側カム73および右側カム83は、それぞれ左側主動軸75および右側主動軸85に一体的に回転可能に保持されている。これにより、左側主動軸75および右側主動軸85の回転と同期して左側カム73および右側カム83もそれぞれ回転する。ここで、左側主動軸75および右側主動軸85は平行に配置されており、また、左側カム73および右側カム83は形状が同じで、互いにカムの山の先端が、主同軸の中心に対して180度ずれた位置にある。例えば、左側カム73の山の先端が真上を向いているとき(左側カムフォロア71と接しているとき)、右側カム83の山の先端は真下を向いている。
いま、左側主動軸75および右側主動軸85が回転速度および回転方向が同じであるとすれば、左側カム73は山の先端で左側カムフォロア71と接している状態から回転するにつれて、左側従動軸70は鉛直下向きに動く。同様に、右側カム83が回転するにつれて、右側従動軸80は鉛直上向きに動く。これら左側従動軸70および右側従動軸80の鉛直運動により、左側従動軸70および右側従動軸80に支持されたテーブル57が、左斜め上に傾いた位置(図4の位置)から右斜め上に傾いた位置まで、ヒンジ53を中心に回転する。
以上に説明した一連の動作が連続的に繰り返されることで、テーブル57の左側従動軸70および右側従動軸80によって支持されているのと反対側の面に還元冶具62、64、66及び68に入れられて置かれているガラスシート61、63、65及び67の内にそれぞれ含む流動性を持った延伸されたハロゲン化金属粒子32を、より短時間で効率的に還元することができる。
以上、本実施形態によれば、偏光ガラスの製造において、延伸工程によってガラスシート19内部に生じた残留歪を除去するアニール工程の温度領域が広くなる。よって、アニール工程の温度制御が容易になり、ガラスシート19内部の残留歪をより確実に除去することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることは当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
本実施形態の延伸工程に用いる延伸装置100の構成を示す概略図である。 延伸装置100における引張手段40の構成を示す概略図である。 ハロゲン化金属粒子30が延伸される様子を示す概略図である。 ガラスシート61、63、65、67を揺動する揺動装置200の構成を示す概略図である。
符号の説明
11 ガラスプリフォーム、13 延伸部、15 ガラス支持具、17 電気炉、19 ガラスシート、20 メインヒータ、22、24、26 サブヒータ、28 サイドヒータ、30 ハロゲン化金属粒子、32 延伸されたハロゲン化金属粒子、40 引張手段、100 延伸装置、42 ローラ、43 従動軸、44 ローラ、45 従動軸、46 駆動軸、47 モータ、50 チャンバー、53 ヒンジ、55 支持棒、57 テーブル、61、63、65、67 ガラスシート、62、64、66、68 還元冶具、70 左側従動軸、71 左側カムフォロア、73 左側カム、75 左側主動軸、80 右側従動軸、81 右側カムフォロア、83 右側カム、85 右側主動軸、200 揺動装置

Claims (6)

  1. 偏光ガラスの製造方法であって、
    ハロゲン化金属を含むガラスを溶解した後に、前記ガラス内に分散された前記ハロゲン化金属を所定粒径に析出させてガラスプリフォームを形成する析出工程と、
    前記ガラスプリフォームを所定温度に加熱延伸して延伸されたハロゲン化金属粒子を有するガラスシートを形成する延伸工程と、
    前記ガラスシートを前記ガラスの転移点温度以下かつ歪点温度以上の温度まで加熱してアニール処理するアニール工程と、
    前記アニール工程においてアニール処理した前記ガラスシートを研磨する研磨工程と、
    前記研磨工程において研磨した前記ガラスシートにおいて、前記ハロゲン化金属粒子を還元する還元工程と
    を備える偏光ガラスの製造方法。
  2. 前記還元工程における前記ガラスシートの温度は、前記アニール工程において加熱した前記ガラスシートの温度よりも低い請求項1に記載の偏光ガラスの製造方法。
  3. 前記還元工程における前記ガラスシートの温度は、前記ハロゲン化金属の融点よりも高い請求項1または2に記載の偏光ガラスの製造方法。
  4. 前記還元工程において、前記ガラスシートを揺り動かす請求項3に記載の偏光ガラスの製造方法。
  5. 前記析出工程において、前記所定粒径は60nm以下である請求項3または4に記載の偏光ガラスの製造方法。
  6. 前記延伸工程において、前記ガラスプリフォームを1×10ポイズから1×1014ポイズになる温度に加熱して、100Kg/cmから700Kg/cmの引張応力で引っ張る請求項1から5のいずれかに記載の偏光ガラスの製造方法。
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