JP2007038526A - インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な吐出を実現し、安定生産可能なインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法の提供。
【解決手段】 Si基板上に形成されたデバイス面をエッチング液から保護する為の保護膜に、シリコーン化合物を添加することで、前記保護膜の弾性を向上させ、水素ガスの成長によって前記保護膜が受ける応力を前記保護膜が変形することで吸収し、破壊を防止することにより、保護膜破壊によるパターニング不良の発生を抑制することが可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明はインクジェット記録方式に用いる記録液小滴を発生する為のインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法に関するものである。
インクジェット記録方式(液体噴射記録方式)に適用されるインクジェット記録ヘッドは、一般に微細なインク吐出口(以下、オリフィスと称す)、液流路及び該液流路の一部に設けられる液体吐出エネルギー発生部を複数備えている。従来、このようなインクジェット記録ヘッドを作製する方法としては、例えば特許文献1記載の次のような工程が知られている。
まず、インク吐出圧力発生素子が形成されたSi基板上に溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成し、このインク流路パターン上に、インク流路壁となるエポキシ樹脂及び光カチオン重合開始剤を含む被覆樹脂層を形成し、フォトリソグラフィーによりインク吐出圧力発生素子上にオリフィスを形成し、次いでエッチング液を用いたSi基板の異方性エッチングによりインク供給口を形成し、最後に前記溶解可能な樹脂を溶出してインク流路壁となる被覆樹脂層を硬化するものである。
特許文献2に記載されているように、前記エッチング液としては、アルカリ系のエッチング液が用いられ、例えばTMAHやKOHなど、結晶面によるエッチング速度差を生じるものが挙げられる。この際、Si基板上に形成されたデバイス面をエッチング液から保護する為に予め保護膜形成を行う。この保護膜としては、アルカリエッチングにおける耐アルカリ性に優れ、機能素子を化学的に侵すことがなく、さらにエッチング後容易に除去可能なものであるものが好ましく、例えば、環化ゴム系の樹脂やワックスなどが挙げられる。特に環化ゴム系の樹脂は、常温でコーティングでき、アルカリエッチング液に対する耐性に優れる為、特に好ましい。
ところが、上述のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、何らかの理由で生じたインク流路形成材の中の欠陥が、Si基板のエッチング時に発生する水素ガスが保護膜を透過することにより成長し、前記保護膜を破壊してパターニング不良を引き起こす、という課題がある。
特開平6−286149号公報 特開2000−351214号公報
本発明は前述した従来技術における課題を解決し、保護膜破壊によるパターニング不良の発生を抑制した、安定生産可能なインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、
インクを吐出するためのインクジェット記録ヘッドを、エッチング液を用いてエッチングする工程を含んで製造する際に、インクジェット記録ヘッドを構成する基板上に形成されたデバイス面を前記エッチング液から保護するための保護膜を形成するステップを有しているインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
前記保護膜にはシリコーン化合物が添加されていることを特徴とする。
また、前記シリコーン化合物は、ポリエーテル変性シリコーン、或いは脂肪酸変性シリコーン、或いはフルオロシリコーン、或いはアルキル/アラルキル変性シリコーン、或いはアミノ変性シリコーン、或いはエポキシ変性シリコーン、或いはアルコール変性シリコーンのいずれかであることを特徴とする。
また、前記保護膜が環化ゴム系のコーティング材であることを特徴とする。
前記保護膜に前記シリコーン化合物を添加することで、前記保護膜の弾性を向上させ、水素ガスの成長によって前記保護膜が受ける応力を前記保護膜が変形することで吸収し、破壊を防止することにより、保護膜破壊によるパターニング不良の発生を抑制することが可能となる。
本発明のインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法によれば、保護膜破壊によるパターニング不良発生を抑制した、安定生産可能なインクジェット記録ヘッドインクジェット記録ヘッドが得られる。
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
[評価1]
本実施例では表1記載のエッチング保護膜形成材料を用いて以下の製造方法でインクジェット記録ヘッドを作成し、保護膜破壊の評価を行った。
図2に示すようにインク供給口形成用マスク3を設けた結晶軸(100)のSiウエハ基板1上にインク圧力発生素子として電熱変換素子2を配置し、更に保護層4、キャビテーション保護層5を形成した。なお、電熱変換素子2にはその素子を動作させるための制御信号入力電極が接続されている(不図示)。
図3に図2のA−A’断面図を示す。
次いで図4に示すように、基板1上にポリメチルイソプロペニルケトンを適当な溶媒に溶解させたもの6をソルベントコートにて成膜し、フォトリソグラフィーによってインク流路パターンを形成した。
次いで、オリフィス形成材料を適当な溶媒に溶解させたもの7を基板1上にソルベントコートにて形成し、フォトリソグラフィーによってオリフィス8を形成した(図5参照)。
次いで、表1記載の保護膜形成材料をスピンコートによる成膜後、80℃〜120℃で乾燥させて、エッチング保護膜9を形成した(図1)。
その後、前記基板1をTMAHを用いて、Si異方性エッチングし、インク供給口10を形成した(図6参照)。
次いで、保護膜除去、及びポリメチルイソプロペニルケトンからなるインク流路パターン6を除去し、さらにノズル構成部材である前記エポキシ樹脂7を完全に硬化させるために、200℃1時間加熱を行い、インクジェット記録ヘッドを得た(図7参照)。
なお、表1に示すように、本実施形態の製法によるインクジェット記録ヘッドによると、保護膜破壊によるパターニング不良の発生が抑制されることが判明した。
Figure 2007038526
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
符号の説明
1 Si基板
2 インク吐出圧力発生素子
3 インク供給口
4 保護膜
5 キャビテーション保護膜
6 インク流路パターン
7 インク流路壁形成材料
8 吐出口
9 エッチング保護膜
10 インク供給口

Claims (4)

  1. インクを吐出するためのインクジェット記録ヘッドを、エッチング液を用いてエッチングする工程を含んで製造する際に、インクジェット記録ヘッドを構成する基板上に形成されたデバイス面を前記エッチング液から保護するための保護膜を形成するステップを有しているインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    前記保護膜にはシリコーン化合物が添加されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 前記シリコーン化合物は、ポリエーテル変性シリコーン、或いは脂肪酸変性シリコーン、或いはフルオロシリコーン、或いはアルキル/アラルキル変性シリコーン、或いはアミノ変性シリコーン、或いはエポキシ変性シリコーン、或いはアルコール変性シリコーンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 前記保護膜が環化ゴム系のコーティング材であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法により製造されることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014180864A (ja) * 2013-03-21 2014-09-29 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドの製造方法

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