JP2007035312A - 燃料電池の排出ガス処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 希釈容器の形状自由度を制限せずに、排液性を向上できる燃料電池の排出ガス処理装置を提供する。
【解決手段】 希釈容器と、アノードオフガスを前記希釈容器内に導入するアノードオフガス導入路と、前記希釈ガスを前記希釈容器内に導入する希釈ガス導入部と、前記希釈ガス導入部から導入される希釈ガスを連通させる連通路と、を備える。連通路は、前記希釈容器底面の各隅部を通るように周縁側に沿って形成され、記連通路の底面側には、少なくとも2箇所に開口部が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池から排出されるガスを希釈処理する排出ガス処理装置に関するものである。
燃料電池車両等に搭載される燃料電池には、反応ガスを電気化学反応させて電力を得るものがある。この種の燃料電池として、固体高分子電解質膜の両側にアノードとカソードとを備え、アノードに燃料ガス(例えば水素ガス)を供給し、カソードに酸化剤ガス(例えば酸素を含む空気)を供給して、これら反応ガスの酸化還元反応にかかる化学エネルギを直接電気エネルギとして抽出するようにしたものがある。
この燃料電池では、発電に伴ってカソード側で水が生成され、この生成水の一部は固体高分子電解質膜を透過してアノード側にも浸入する。また、カソードに供給された空気中の窒素は微量ながら固体高分子電解質膜をアノード側に透過して水素ガスに混入する。アノード側におけるこれら水分や窒素等の不純物は、燃料電池の発電を不安定にする虞がある。
特に、燃料の利用率を上げるために燃料電池から排出される未反応の水素(アノードオフガス)をリサイクルさせて新鮮な水素ガスと混合して再度燃料電池に供給する循環型の燃料電池システムでは、アノード側の前記不純物濃度が徐々に高まる傾向にある。
そこで、この種の燃料電池では、アノードオフガスが循環するアノードオフガス循環路から定期的に排出弁を開放して前記不純物を含むアノードオフガスを排出し、アノードオフガス中の不純物濃度を低減させている。
このアノードオフガス循環路から排出されるアノードオフガスを外部(大気)に排出する際には、排出ガス処理装置によって、希釈ガス(例えば、カソードから排出されるカソードオフガスとしての空気)で前記アノードオフガスを希釈し、水素濃度を低減してから排出している。
特許文献1には従来の排出ガス処理装置の一例が開示されている。この排出ガス処理装置では、カソードオフガス流路(酸素オフガス排出流路)から分岐した分岐導入流路を希釈器に接続して、該分岐導入流路を介して希釈器内にカソードオフガスを導入している。
特開2003−132915号公報
しかしながら、従来の技術では、以下のような問題がある。
すなわち、上述した従来の技術のように、希釈ガスとしてカソードオフガスを用いる場合には、希釈用に新たにガスを用意する必要が無い点で好ましいものの、カソードオフガス中には多量の水分が含まれているので、希釈処理を継続するにつれて希釈容器内に水が滞留してしまう。その結果、希釈容器内に滞留した水が、希釈性能を低下させる虞があるという問題がある。
また、希釈ガスとしてカソードオフガスを用いない場合であっても、アノードオフガス中にも水分が含まれているので、希釈処理を継続していくとやはり希釈容器内に水が滞留して、同様の問題を引き起こす虞がある。
この対策として、希釈容器内に滞留する水を除去する排水路を形成する技術が検討されつつあるが、希釈容器内に滞留する水を排水路に集中させるために希釈器の底面形状が制限されてしまい(例えば楕円形や円形)、希釈容器が嵩張ってしまうという問題がある。
本発明は、希釈容器の形状自由度を制限せずに、排液性を良好に確保でき、レイアウト性を向上できる燃料電池の排出ガス処理装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガスを希釈ガスと混合し排出する燃料電池の排出ガス処理装置において、希釈容器と、前記アノードオフガスを前記希釈容器内に導入するアノードオフガス導入路(例えば、実施の形態におけるアノードオフガス導入管52)と、前記希釈ガスを前記希釈容器内に導入する希釈ガス導入部(例えば、実施の形態における希釈ガス放出孔58)と、前記希釈ガス導入部から導入される希釈ガスを連通させる連通路(例えば、実施の形態における希釈ガス連通路57c)と、を備え、前記連通路は、前記希釈容器底面の各隅部を通るように周縁側に沿って形成され、前記連通路の底面側には、少なくとも2箇所に開口部(例えば、実施の形態における排液孔60)が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、希釈容器内底面に集まった希釈容器内の液体を前記開口部を介して連通路に排出し、希釈ガスとともに希釈容器の外に排出することができる。そして、前記開口部は少なくとも2箇所に形成されているので、希釈容器が傾斜していずれか一方の開口部の高さ位置が上昇しても、他方の開口部から液体を連通路に排出することができる。よって、希釈容器内に滞留する水を開口部に集中させる特別な形状に前記希釈容器の形状を設計しなくても、排液性を良好に確保することができ、希釈容器のレイアウト性を向上できる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のものであって、前記連通路の底面側には、少なくとも3箇所に開口部が形成されており、それぞれの開口部は、少なくとも互いに異なる2つの直線(例えば、実施の形態におけるラインL1、L2)上の位置に形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、少なくとも3箇所形成された開口部は、少なくとも互いに異なる2つの直線上の位置に形成され、同一直線上の位置には形成されていない。ゆえに、希釈容器が傾斜して、上述の2つの直線のいずれか一方の高さ位置が上昇しても、他方の直線上に位置する開口部から液体を連通路に排出することができる。よって、希釈容器内に滞留する水を開口部に集中させる特別な形状に前記希釈容器の形状を設計しなくても、排液性をさらに良好に確保することができ、希釈容器のレイアウト性をさらに向上できる。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のものであって、前記連通路は、前記希釈容器の壁面を利用して形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、前記連通路は、前記希釈容器の壁面を利用して形成して、該壁面を構成要素の一部とすることで、残りの部分のみを前記希釈容器とは別の部材で形成すればよいので、前記連通路を前記希釈容器と独立した配管によって形成する場合に比して、連通路の形成に必要な部材を略半分程度に抑えることができる。従って、希釈容器に必要な部品点数を低減できるとともに、希釈容器を軽量化することが可能となる。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のものであって、前記それぞれの開口部は、希釈容器の底面形状が四角形であり、四角形の隅部になる位置に形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、希釈容器の姿勢が変動して傾斜する場合であっても、傾斜状態に応じて各開口部の少なくともいずれかに排液を集中させて連通路に排出することができる。従って、希釈容器の様々な傾斜状態に対応して希釈容器内から排液を行うことができ、排液性能をさらに向上することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のものであって、前記燃料電池は、車両に搭載されるものであることを特徴とする。
この発明によれば、車両に発生する振動や車両の姿勢に伴って希釈容器に振動が発生したり傾斜した場合であっても、前記連通路に形成された各開口部の少なくともいずれかにより希釈容器内の液体を連通路に排出することができる。よって、搭載される車両に適した形状に希釈容器の形状を設定しつつ、排液性を良好に確保することができる。
請求項1に係る発明によれば、希釈容器内に滞留する水を開口部に集中させる特別な形状に前記希釈容器の形状を設計しなくても、排液性を良好に確保することができ、希釈容器のレイアウト性を向上できる。
請求項2に係る発明によれば、排液性をさらに良好に確保することができ、希釈容器のレイアウト性をさらに向上できる。
請求項3に係る発明によれば、希釈容器に必要な部品点数を低減できるとともに、希釈容器を軽量化することが可能となる。
請求項4に係る発明によれば、希釈容器の様々な傾斜状態に対応して希釈容器内から排液を行うことができ、排液性能をさらに向上することができる。
請求項5に係る発明によれば、搭載される車両に適した形状に希釈容器の形状を設定しつつ、排液性を良好に確保することができる。
以下、この発明に係る燃料電池の排出ガス処理装置の実施例を図1から図3の図面を参照して説明する
図1は、この発明に係る排出ガス処理装置を備えた燃料電池システムの概略構成図であり、この実施例では燃料電池車両に搭載されている。
燃料電池1は、反応ガスを電気化学反応させて電力を得るタイプのもので、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜2をアノード3とカソード4とで両側から挟み込んで形成されたセルを複数積層して構成されており(図1では単セルのみを示す)、アノード3に燃料ガスとして水素ガス(反応ガス)を供給し、カソード4に酸化剤ガスとして酸素(反応ガス)を含む空気を供給すると、アノード3で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜2を通過してカソード4まで移動して、カソード4で酸素と電気化学反応を起こして発電し、水が生成される。カソード側で生じた生成水の一部は固体高分子電解質膜2を透過してアノード側に逆拡散するため、アノード側にも生成水が存在する。
空気はスーパーチャージャー(S/C)などのコンプレッサ7により所定圧力に加圧され、空気供給路8を通って燃料電池1のカソード4に供給される。燃料電池1に供給された空気は発電に供された後、燃料電池1からカソード側の生成水と共に空気排出路9に排出され、圧力制御弁10を介して排出ガス処理装置50に導入される。以下、燃料電池1に供給される空気を供給空気、燃料電池1から排出される空気を排出空気として区別する。尚、希釈ガスとしては、供給空気、排出空気のいずれを用いてもよい。
一方、水素タンク15から供給される水素ガスは水素ガス供給路17を流通し、その途中でレギュレータ16によって所定圧力に減圧され、流量制御弁23により所定流量に制御され、エゼクタ19を通って燃料電池1のアノード3に供給される。そして、消費されなかった未反応の水素ガスは、燃料電池1からアノードオフガスとして排出され、アノードオフガス路18を通ってエゼクタ19に吸引され、水素タンク15から供給される新鮮な水素ガスと合流し再び燃料電池1のアノード3に供給される。すなわち、燃料電池1から排出されるアノードオフガスは、アノードオフガス路18、およびエゼクタ19よりも下流の水素ガス供給路17を通って、燃料電池1を循環する。なお、この実施例において、エゼクタ19よりも下流の水素ガス供給路17とアノードオフガス路18は燃料ガス循環路20を構成する。
アノードオフガス路18からは、排出弁21を備えたアノードオフガス排出路22が分岐しており、アノードオフガス排出路22は排出ガス処理装置50に接続されている。この排出ガス処理装置50において、アノードオフガス排出路22から排出されたアノードオフガスは、空気排出路9から排出された排出空気によって希釈され、混合ガス排出路30を介して排出部へ排出される。
アノードオフガス路18からは、排出弁21を備えたアノードオフガス排出路22が分岐しており、アノードオフガス排出路22は排出ガス処理装置50に接続されている。この排出ガス処理装置50において、アノードオフガス排出路22から排出されたアノードオフガスは、空気排出路9から排出された排出空気によって希釈され、混合ガス排出路30を介して排出部へ排出される。
このように構成された燃料電池システムにおいては、連続運転をしていると、前述したように燃料ガス循環路20を流通する水素ガス中の不純物(水分や窒素など)の濃度が高まってきて燃料電池1の発電が不安定になる場合がある。
そのため、この燃料電池システムでは、ECU40により、燃料電池システムが一定時間連続運転したと判断されたとき、あるいは、燃料電池1の発電の安定性が低下したと判断されたときに、不純物排出要求ありと判断して排出弁21を開き、不純物を含むアノードオフガスをアノードオフガス路18からアノードオフガス排出路22を介して排出ガス処理装置50に排出し、燃料電池1のアノード3を流通する水素ガス中の不純物濃度を所定値以下となるように管理して、燃料電池1の発電を安定した状態に保持する。
次に、排出ガス処理装置50の構成を図2から図6の図面を参照して詳述する。排出ガス処理装置50は、密閉角筒状の希釈容器51を備えている。希釈容器51は、その軸心(この場合は希釈容器51の長手方向であって、端板51a、51bの重心を通る軸)を略水平方向に沿わせた姿勢で車両に設置されており、軸心方向の全長に亘って、軸心方向に直交する断面形状が同一の矩形状をなしている。また、希釈容器51の角部には、それぞれ面取り処理が施されている。
希釈容器51の軸心方向一端側の端板51aには、軸心を希釈容器51の軸心よりも若干下方において水平姿勢に配置されたアノードオフガス導入管52が貫通固定されている。希釈容器51内に挿入されたアノードオフガス導入管52の先端はアノードオフガス放出孔52aにされている。このアノードオフガス導入管52の基端にアノードオフガス排出路22が接続されており、排出弁21が開いたときにアノードオフガスがアノードオフガス放出孔52aから希釈容器51内に導入される。
また、希釈容器51の内部には、アノードオフガス導入管52の先端よりも前方であって希釈容器51の軸心方向略中央に、仕切部53が略鉛直姿勢に立設されている。
仕切部53は、平面視で矩形状に形成されている。仕切部53はその上部を切り欠いた形状をなし、その切り欠き部68を除いて希釈容器51の内面に密接して固定されている。希釈容器51内は仕切部53によって、アノードオフガス導入管52および後述する希釈ガス放出孔58に連通する上流室54と、後述する混合ガス排出孔61に連通する下流室55に区画され、切り欠き部68よりも上側は上流室54と下流室55とを連通する連通ガス路56となる。
仕切部53の切り欠き部68は希釈容器51の軸心よりも十分上方に位置しており、アノードオフガス導入管52の軸心延長上にも仕切部53が存在する。したがって、図2に示すように、アノードオフガス放出孔52aから放出されるアノードオフガスの多くは仕切部53に向かって放出されることとなる。
また、希釈容器51には、希釈ガス路57を介して希釈ガスが導入される。希釈ガス路57は、希釈容器51外部に設けられる上流側端部57aおよび下流側端部57bと、希釈容器51内部に設けられる希釈ガス連通路57cとで構成されている。希釈容器51外部では、上流側端部57aに空気排出路9が、下流側端部57bに混合ガス排出路30が、それぞれ接続されている。そして、希釈容器51内部では、上流側端部57aと下流側端部57bとを連通させる希釈ガス連通路57cが、希釈容器51底面の四隅部を通るように周縁側に沿って形成されている。この希釈ガス連通路57cは仕切部53をも貫通している。燃料電池1のカソードから空気排出路9に排出された排出空気は、希釈ガス路57を通り、混合ガス排出路30を通って排出部に排出される。
希釈ガス連通路57cにおいて上流室54内に収容されている部分には、上流側端部57aの近傍に、希釈ガス放出孔58が設けられている。希釈ガス放出孔58は希釈ガス連通路57cの頂部に開口しており、アノードオフガス導入管52のアノードオフガス放出孔52aよりも端板51aに接近した位置に設けられている。この希釈ガス放出孔58は、希釈ガス路57を流通する排出空気の一部を上流室54に放出する。
また、希釈ガス連通路57cにおいて上流室54内に収容されている部分には、希釈ガス放出孔58よりも下流側に、希釈ガス路57の上部を凹ませて開口面積を縮小させた絞り部59が設けられている。この絞り部59の絞り具合(開口面積)によって、希釈ガス放出孔58から上流室54内に導入される排出空気流量を調整することができる。
なお、この実施例においては、希釈ガス路57は絞り部59を除き同一管径に形成されている。
希釈ガス連通路57cは、希釈容器51の壁面を利用して形成している。すなわち、図3、図4、図6に示すように、平面視略コ字状かつ断面凸状に形成した仕切部材64を、希釈容器51周縁側に沿って固着して、仕切部材64の凸状部分と希釈容器51の底辺部分の壁面とで希釈容器51の内部空間を区画して、希釈ガス連通路57cを形成している。本実施例においては、仕切部材64の凸状部分から外方に延在する両縁部を希釈容器51内壁面に溶接して、希釈容器51と一体化させている。
そして、図5に示すように、仕切部材64には、希釈容器51底面の四隅部に対応する希釈ガス連通路57cの屈曲部に、半円状に切り欠いた排液孔60…60が4つ形成されている。それぞれの排液孔60…60は、同一直線上ではなく、互いに異なる2つの直線(例えば、図3に示す軸方向に形成したラインL1、L2)上の位置に形成されている。
また、希釈ガス連通路57cにおいて下流室55内に収容されている部分には、下流側端部57bの近傍に、混合ガス排出孔61が設けられている。混合ガス排出孔61は希釈ガス路57の頂部に開口しており、この混合ガス排出孔61を介して下流室55内のガスが希釈ガス路57内に排出される。
次に、この排出ガス処理装置50の作用を説明する。
この排出ガス処理装置では、コンプレッサ7から燃料電池1のカソード4に空気を供給している間は常時、燃料電池1のカソード4から排出される排出空気が、空気排出路9および圧力制御弁10を介して排出ガス処理装置50の希釈ガス路57に導入され、該希釈ガス路57を混合ガス排出路30に向かって流通しており、希釈ガス路57を流通する排出空気の一部が希釈ガス放出孔58から上流室54内に放出される。
一方、アノードオフガスは、前述したように、ECU40が不純物排出要求ありと判断したときに排出弁21が開いて、アノードオフガス路18から排出され、アノードオフガス排出路22を介して排出ガス処理装置50のアノードオフガス導入管52に導入され、アノードオフガス放出孔52aから上流室54内に放出される。
したがって、アノードオフガス放出孔52aから上流室54にアノードオフガスが放出されていないとき(すなわち、排出弁21が閉じているとき)には、希釈容器51内の圧力は殆ど上昇しないが、排出弁21が開いてアノードオフガス放出孔52aから上流室54にアノードオフガスが放出されたときには急激に希釈容器51の内圧が高まる。
アノードオフガス放出孔52aから放出されたアノードオフガスは、仕切部53に衝突して流れの向きを変え、且つ、仕切部53に衝突することによって流速を低下させ、適度な流速で上流室54内のほぼ全体に広がっていく。そして、仕切部53に衝突したアノードオフガスは拡散されて排出空気との混合が促進される。このように、上流室54内においてアノードオフガスは排出空気と一部混合されながら、連通ガス路56を通って下流室55へ流入し、混合ガス排出孔61へ向かって流れていく。この間にも上流室54から流入する混合ガスと下流室55内のガスとの混合がさらに行われる。そして、下流室55のガスは混合ガス排出孔61から希釈ガス路57に排出され、希釈ガス路57を流通する排出空気と混合され、さらに希釈されて排出される。
この実施例では、仕切部53を設けたことにより希釈容器51内でのガスの移動距離を長くすることができる。さらに、希釈ガス放出孔58を希釈容器51における軸心方向の一端部近傍に配置し、混合ガス排出孔61を希釈容器51における軸心方向の他端部近傍に配置したことによっても、希釈容器51内でのガスの移動距離を長くすることができる。その結果、希釈容器51内でのガスの滞留時間を稼ぐことができ、希釈に必要な時間を確保することができるので、アノードオフガスを確実に希釈することができる。
また、前述したように希釈容器51に導入されるアノードオフガス中には、液体あるいは気体(蒸気)の状態で水分が含まれている。
さらに、この実施例では、アノードオフガス導入管52からアノードオフガスを仕切部53に向かって放出しているので、アノードオフガスに含まれる液体は、仕切部53に衝突して付着し、鉛直姿勢の仕切部53を伝わって落下していく。また、アノードオフガス中の蒸気も仕切部53に衝突することで凝縮を促進され、この凝縮液も鉛直姿勢の仕切部53を伝わって落下していく。つまり、仕切部53はアノードオフガス中の水分を捕捉し、希釈容器51の下方に集合させ易くする。
また、アノードオフガス中の水分(液体および蒸気)は、希釈容器51の内面においても捕捉される。希釈容器51の内面に付着した液体、および、希釈容器51の内面において凝縮した凝縮液は、希釈容器51の内面を伝わって落下していく。
この実施例では、希釈容器51内底面に集まった希釈容器51内の液体を排液孔60…60を介して希釈ガス連通路57cに排出し、希釈ガスとともに希釈容器51の外に排出することができる。
そして、4箇所に形成された排液孔60…60は、少なくとも互いに異なる2つのラインL1、L2上の位置に形成され、同一直線上の位置には形成されていない。ゆえに、希釈容器51が傾斜して、上述のラインL1、L2のいずれか一方(例えばラインL1)の高さ位置が上昇しても、他方のライン(上述の例ではラインL2)に位置する排液孔60、60から液体を希釈ガス連通路57cに排出することができる。
よって、希釈容器51内に滞留する水を排液孔60…60に集中させる特別な形状に希釈容器51の形状を設計しなくても、排液性を良好に確保することができ、希釈容器51のレイアウト性を向上できる。
また、希釈ガス連通路57cは、希釈容器51の壁面を利用して形成しているので、希釈ガス連通路57cを希釈容器51と独立した配管によって形成する場合に比して、希釈ガス連通路57cの形成に必要な部材を略半分程度に抑えることができる。従って、希釈容器51に必要な部品点数を低減できるとともに、希釈容器51を軽量化することが可能となる。
また、本実施例では、それぞれの排液孔60…60は、希釈容器51底面の四隅部に対応する希釈ガス連通路57cの屈曲部に形成しており、それぞれの排液孔60…60で囲まれる面積が最大になっている。すなわち、各排液孔60…60により囲まれる面積が希釈容器51の底面の面積と略同等となっている。これにより、希釈容器51の姿勢が変動して傾斜する場合であっても、傾斜状態に応じて各排液孔60…60の少なくともいずれかに排液を集中させて希釈ガス連通路57cに排出することができる。従って、希釈容器51の様々な傾斜状態に対応して希釈容器51内から排液を行うことができ、排液性能をさらに向上することができる。
また、本実施例における車両に搭載される希釈容器51では、車両に発生する振動や車両の姿勢に伴って希釈容器51に振動が発生したり傾斜した場合であっても、希釈ガス連通路57cに形成された各排液孔60…60の少なくともいずれかにより希釈容器51内の液体を希釈ガス連通路57cに排出することができる。よって、搭載される車両に適した形状に希釈容器51の形状を設定しつつ、排液性を良好に確保することができる。
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、図7に示すように、希釈ガス路57を構成する上流側端部57aと下流側端部57bとを、希釈容器51の同一面に形成してもよい。この場合であっても、希釈ガス連通路57cを希釈容器51底面の四隅部を通るように周縁側に沿って形成して、希釈容器51底面の四隅部に対応する希釈ガス連通路57cの屈曲部に排液孔60…60を形成しているので、前述した実施例と同様に、排液性を良好に確保することができる。
また、前述した実施例では、希釈容器の断面を長方形にしているが、楕円形や円形にすることも可能である。ここで、希釈容器の軸心方向に対し直交する断面形状が、その閉断面の全周に亘って外側に凸曲状をなす曲線(楕円)で構成すると、耐圧性をさらに向上できる点で好ましいが、この形状に限定されない。このように、希釈容器の形状が限定されないので、レイアウト性を向上することができる。
前述した実施例では、希釈ガスとして燃料電池のカソードから排出される排出空気(カソードオフガス)を用いたが、希釈ガスはこれに限られるものではなく、例えば供給空気を用いてもよい。
また、前記アノードオフガス供給口、前記希釈ガス供給口、前記混合ガス排出口は、前記容器内に形成してもよいし、前記容器表面に形成してもよい。
また、前述した実施例では、排液孔60…60を希釈容器51底面の四隅部に対応して形成しているので、排液性を良好に確保できる点で好ましいが、排液孔60の形成箇所や個数はこれに限られるものではなく、少なくとも2箇所に排液孔60を希釈ガス連通路57cの底面側に形成すればよい。
この発明に係る排出ガス処理装置を備えた燃料電池システムの概略構成図である。 実施例における排出ガス処理装置の斜視図である。 前記排出ガス処理装置の平面図である。 前記排出ガス処理装置の断面図である。 この発明の排出ガス処理装置の排液孔およびその周縁部を示す拡大斜視図である。 図5に示す部位に相当する拡大断面図である。 この発明の排出ガス処理装置の他の変形実施例を示す、概略平面図である。
符号の説明
1…燃料電池
3…アノード
50…排出ガス処理装置
51…希釈容器
52…アノードオフガス導入管(アノードオフガス導入路)
57…希釈ガス路
57c…希釈ガス連通路(連通路)
58…希釈ガス放出孔(希釈ガス導入部)
60…排液孔(開口部)

Claims (5)

  1. 燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガスを希釈ガスと混合し排出する燃料電池の排出ガス処理装置において、
    希釈容器と、
    前記アノードオフガスを前記希釈容器内に導入するアノードオフガス導入路と、
    前記希釈ガスを前記希釈容器内に導入する希釈ガス導入部と、
    前記希釈ガス導入部から導入される希釈ガスを連通させる連通路と、を備え、
    前記連通路は、前記希釈容器底面の各隅部を通るように周縁側に沿って形成され、
    前記連通路の底面側には、少なくとも2箇所に開口部が形成されていることを特徴とする燃料電池の排出ガス処理装置。
  2. 前記連通路の底面側には、少なくとも3箇所に開口部が形成されており、
    それぞれの開口部は、少なくとも互いに異なる2つの直線上の位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。
  3. 前記連通路は、前記希釈容器の壁面を利用して形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。
  4. 前記それぞれの開口部は、希釈容器の底面形状が四角形であり、四角形の隅部になる位置に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料電池の排出ガス処理装置。
  5. 前記燃料電池は、車両に搭載されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料電池の排出ガス処理装置。

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