JP2007031755A - 回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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【課題】高速回転するモータの回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備する無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.06%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb:0.02%超を含有し、Nb、Ti、ZrおよびVの群から選択される少なくとも1種の元素を下記式(1)の範囲で含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなる鋼塊または鋼片に、熱間圧延工程と、熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施すことにより、板厚が0.15mm以上0.80mm以下であり引張強さが850MPa以上である冷間圧延鋼板を作製する冷間圧延工程と、冷間圧延鋼板を820℃以下で均熱する均熱処理工程とを有する。 0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10-3 (1)
【選択図】図3

Description

本発明は、電気自動車、ハイブリッド自動車の駆動モータ、ロボット、工作機械などのサーボモータといった高効率モータの回転子に用いられる無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。特に、高速回転する永久磁石埋め込み式モータの回転子として好適な優れた機械特性と磁気特性とを兼ね備えた無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
近年の地球環境問題の高まりから、多くの分野において省エネルギー、環境対策技術が進展している。自動車分野も例外ではなく、排ガス低減、燃費向上技術が急速に進歩している。電気自動車およびハイブリッド自動車はこれらの技術の集大成といっても過言ではなく、自動車駆動モータ(以下、単に「駆動モータ」ともいう。)の性能が自動車性能を大きく左右する。
駆動モータの多くは永久磁石を用いており、巻き線を施した固定子(ステータ)部分と永久磁石を配置した回転子(ロータ)部分とから構成される。最近では永久磁石を回転子内部に埋め込んだ形状(永久磁石埋め込み型モータ;IPMモータ)が主流となっている。また、パワーエレクトロニクス技術の進展により回転数は任意に制御可能であり、高速化傾向にある。したがって、鉄心素材は商用周波数(50〜60Hz)以上の高周波数域で励磁される割合が高まっており、商用周波数での磁気特性のみでなく、400Hz〜数kHzでの磁気特性改善が要求されるようになってきた。また、回転子は高速回転時の遠心力のみならず回転数変動にともなう応力変動を常時うけることから、回転子の鉄心素材には機械特性も要求されている。特に、IPMモータの場合には複雑な回転子形状を有することから、回転子用の鉄心材料には応力集中を考慮して遠心力ならびに応力変動に耐えうるだけの機械特性が必要となる。また、ロボット、工作機械用のサーボモータ分野でも、駆動モータと同様に回転数の高速化が今後進行していくと予測される。
従来、駆動モータの固定子は主に打ち抜き加工した無方向性電磁鋼板の積層により製造されていたが、回転子はロストワックス鋳造法あるいは焼結法などにより製造されることもあった。これは固定子には優れた磁気特性が、回転子には堅牢な機械特性が要求されることによる。しかしながら、モータ性能は回転子−固定子間のエアギャップに大きく影響されるため、上述の回転子では精密加工の必要性が生じ鉄心製造コストが大幅に増加するという問題があった。コスト削減の観点からは、打ち抜き加工した電磁鋼板を使用すればよいが、回転子に必要な磁気特性と機械特性とを兼備した無方向性電磁鋼板は見出されていないのが現状であった。
優れた機械特性を有する電磁鋼板としては、例えば特許文献1に、3.5〜7%のSiに加えて、Ti,W,Mo,Mn,Ni,CoおよびAlのうちの1種または2種以上を20%を超えない範囲で含有する鋼板が提案されている。この方法では鋼の強化機構として固溶強化を利用している。しかしながら、固溶強化の場合には冷間圧延母材も同時に高強度化されるため冷間圧延が困難であり、またこの方法においては温間圧延という特殊工程が必須であることから、生産性向上や歩留まり向上など改善の余地がある。
また、特許文献2には、2.0〜3.5%のSi、0.1〜6.0%のMnに加えてBおよび多量のNiを含有し、結晶粒径が30μm以下である鋼板が提案されている。この方法では鋼の強化機構として固溶強化と結晶粒径微細化による強化とを利用している。しかしながら、結晶粒微細化による強化は比較的効果が小さいため、特許文献2の実施例に示されるようにSiを3.0%程度含有させた上に高価なNiを多量に含有させることが必須であり、冷間圧延時に割れが多発するという問題や、合金コスト増加という課題が残っている。
さらに、特許文献3および特許文献4には、2.0〜4.0%のSiに加えてNb,Zr,B,TiまたはVなどを含有する鋼板が提案されている。これらの方法ではSiによる固溶強化に加えてNb,Zr,TiまたはVの析出物による析出強化を利用している。しかしながら、このような析出物による強化は比較的効果が小さいため、特許文献3および特許文献4の実施例に示されるようにSiを3.0%程度させる必要があり、特に特許文献3の方法では高価なNiを多量に含有させることも必要となる。そのため冷間圧延時に割れが多発するという問題や、合金コスト増加という課題が残っている。
また、特許文献5および特許文献6には、SiおよびAlを0.03〜0.5%と制限した上でTi,NbおよびV、あるいはPおよびNiを含有する鋼板がそれぞれ提案されている。これらの方法では、Siによる固溶強化よりも炭化物の析出強化およびPの固溶強化を利用している。しかしながら、これらの方法では、後述する駆動モータの回転子として必要な強度レベルを確保することができないという問題や、特許文献5および特許文献6の実施例に示されているように2.0%以上のNi含有が必須であり、合金コストが高いという問題がある。
さらに、特許文献7には、Si:1.6〜2.8%であって、結晶粒径、内部酸化層厚み、および降伏点を限定した永久磁石埋め込み型モータ用無方向性電磁鋼板が提案されている。しかしながら、この方法による鋼板の降伏点では、高速回転する駆動モータの回転子としては強度不足である。
また、JIS C 2552に規定の無方向性電磁鋼板としては、いわゆる高グレード無方向性電磁鋼板(35A210,35A230など)が最も合金含有量が高く高強度であるが、機械特性レベルは上述の高張力電磁鋼板を下回っており高速回転する駆動モータの回転子としては強度不足である。
特開昭60-238421号公報 特開平1−162748号公報 特開平2−8346号公報 特開平6−330255号公報 特開2001−234302号公報 特開2002−146493号公報 特開2001−172752号公報
上述したように、無方向性電磁鋼板の高強度化手法として従来から提案されている固溶強化および析出強化では冷間圧延の母材も強化されてしまうことから冷間圧延時に割れが多発し、結晶粒微細化による高強度化ではその強化量が不十分であるため回転子用途として実用に耐える強度を実現することができない。また、本発明者らは変態強化についても検討を行ったが、変態強化ではマルテンサイト等の変態組織が鉄損を著しく増大させることが判明し、回転子用途として実用に耐える磁気特性を実現することができない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高速回転するモータの回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備する無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者らは、回転子に適した磁気特性と機械特性とを兼ね備えた無方向性電磁鋼板の有するべき鋼組織について種々検討を行い、従来全く検討されていなかった加工硬化による高強度化に着目した。そして、加工時に導入される転位は鉄損に及ぼす影響が比較的小さいとの新知見を得て、従来の無方向性電磁鋼板の技術認識である完全な再結晶フェライト組織とは全く逆の技術思想に立脚して、鋼板の組織を多量の転位が残存した加工組織および回復状態の組織(以下、「回復組織」と称する)とすることにより、回転子に要求される磁気特性および機械特性が得られることを見出した。さらに、回復組織を得るためにはNb,Zr,TiおよびVの含有量を所定の範囲とすることが必要であることを見出し、これらの知見に基づいて、特願2004−183554、特願2004−252395にて高速回転するモータの回転子用として必要な優れた機械特性と磁気特性とを具備する無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提案している。本発明者らは、回復組織を得るための条件についてさらに詳細に検討し、Nb,Zr,TiおよびVのなかでも特にNbを積極的に含有させることが最も効果的であることを見出した。さらに、本発明者らは、Nbを積極的に含有させた鋼を用いて所望の機械特性を得るためには、均熱処理工程に供する前段階における鋼板の引張強さを制御すればよいとの新たな知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.06%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb:0.02%超を含有し、Nb、Ti、ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記式(1)を満足する範囲で含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなる鋼塊または鋼片に、熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施すことにより、板厚が0.15mm以上0.80mm以下であり引張強さが850MPa以上である冷間圧延鋼板を作製する冷間圧延工程と、上記冷間圧延鋼板を820℃以下で均熱する均熱処理工程とを有することを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10-3 (1)
(ここで、式(1)中、Nb、Zr、Ti、V、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
本発明によれば、Nb、Zr、TiおよびVの含有量を適正に制御し、再結晶および結晶粒成長を目的として実施される均熱処理工程での均熱温度を所定の範囲とすることにより、再結晶を抑制し、均熱処理工程の前までに導入された転位の消滅を抑制して、多量の転位を残存させた加工組織および回復組織を主体とする鋼板を得ることができる。これにより高強度の無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。このような鋼板の高強度化は、従来の固溶強化や析出強化のように冷間圧延に供する鋼板、すなわち冷間圧延の母材の高強度化を伴うことがないので、冷間圧延時の破断を抑制することができるという利点を有する。
また本発明は、上述したように均熱処理工程の前までに導入された転位の消滅を抑制して高強度化を図るものであるから、均熱処理工程の前までに転位を十分に導入することが必要である。本発明においては、冷間圧延鋼板の板厚を所定の範囲とすることにより、冷間圧延工程の際に十分に転位を導入することが可能である。
鋼がNb,Zr,TiおよびVを含有する場合、上述したとおり均熱処理工程での転位の消滅が抑制されることから、均熱処理工程の前までに導入される転位の量が多いほど、均熱処理工程後に残存する転位の量は多くなり、強度が向上する。均熱処理工程に供する前段階での転位の量は、均熱処理工程に供する前段階での強度、すなわち冷間圧延のままの鋼板の強度、例えば引張強さを指標とすることができる。そのため、Nb,Zr,TiおよびVを含有する鋼では、均熱処理工程に供する前段階における鋼板の引張強さ、すなわち冷間圧延鋼板の引張強さを所定の範囲とすることで、高強度化に必要な導入すべき転位の量を確保でき、より確実に高強度化を図ることができる。
このように本発明においては、従来のように高価な鋼成分を用いることも、特殊な工程を経ることもなく、例えば駆動モータの回転子として必要な磁気特性および機械特性を満足する回転子用無方向性電磁鋼板を安定して製造することができる。
また本発明においては、上記鋼塊または鋼片が、上記Feの一部に代えて、Cu、Ni、Cr、Mo、CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することが好ましい。
Cu:0.01%以上8.0%以下 Ni:0.01%以上2.0%以下
Cr:0.01%以上15.0%以下 Mo:0.005%以上4.0%以下
Co:0.01%以上4.0%以下 W:0.01%以上4.0%以下
上記元素の高強度化作用により、鋼板の強度をより高めることが可能となるからである。
さらに本発明においては、上記鋼塊または鋼片が、上記Feの一部に代えて、Sn、Sb、Se、Bi、Ge、TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することが好ましい。
Sn:0.5%以下 Sb:0.5%以下 Se:0.3%以下 Bi:0.2%以下
Ge:0.5%以下 Te:0.3%以下 B:0.01%以下
上記元素の粒界偏析により、効果的に再結晶を抑制することができるからである。
またさらに本発明においては、上記鋼塊または鋼片が、上記Feの一部に代えて、Ca、MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することが好ましい。
Ca:0.03%以下 Mg:0.02%以下 REM:0.1%以下
上記元素の硫化物形態制御作用により、磁気特性をさらに改善することができるからである。
また、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法は、上記熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を有していてもよい。熱延板焼鈍を施すことにより、鋼板の延性が向上し冷間圧延工程での破断を抑制できるからである。
本発明によれば、高速回転するモータの回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備した無方向性電磁鋼板を、多大なコスト増加を招くことなくより安定的に製造することが可能である。そのため、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動モータ分野などにおける回転数の高速化に十分対応でき、その工業的価値は極めて高い。
本発明で言及する回転子に用いる電磁鋼板として必要な特性とは、第一に機械特性であり、降伏点および引張強さである。これは高速回転時の回転子の変形抑制のみならず、応力変動に起因する疲労破壊抑制を目的としている。近年の電気自動車、ハイブリッド自動車の駆動モータでは、回転子は250MPa程度の平均応力下で150MPa程度の応力振幅を受ける。したがって、変形抑制の観点から降伏点は400MPa以上、安全率を考慮すると500MPa以上を満たす必要がある。好ましくは550MPa以上である。また、上述の応力状態での疲労破壊を抑制する観点から引張強さは550MPa以上、安全率を考慮すると600MPa、好ましくは700MPa以上必要である。
また、回転子に用いる電磁鋼板として必要な第二の特性は磁束密度である。IPMモータのようにリラクタンストルクを活用するモータでは回転子に用いられる材質の磁束密度もトルクに影響を及ぼし、磁束密度が低いと所望のトルクを得られない。
さらに、回転子に用いる電磁鋼板として必要な第三の特性は鉄損である。鉄損は不可逆な磁壁移動に起因するヒステリシス損失と、磁化変化に起因して発生する渦電流によるジュール熱(渦電流損失)とから構成され、電磁鋼板の鉄損はこれらの総和であるトータルの鉄損で評価される。回転子で発生する損失はモータ効率そのものを支配するものではないが、回転子の損失すなわち発熱により永久磁石が減磁するため、間接的にモータ性能を劣化させる。したがって、回転子に使用される材質の鉄損値の上限は永久磁石の耐熱温度の観点から決定され、固定子に使用される材質よりも鉄損値が高くとも許容されると想起される。
本発明者らは、これらの特性を満足する無方向性電磁鋼板について鋭意検討を行った。まず、上述の着想をもとに回転子に適した磁気特性と機械特性とを兼ね備えた無方向性電磁鋼板の有するべき鋼組織について種々検討を行った。その結果、固溶強化および析出強化では冷間圧延母材も高強度化されるため冷間圧延時の破断が避けられないこと、結晶粒微細化のみでは要求レベルの機械特性を達成できないこと、および、マルテンサイト等の変態組織では鉄損が著しく増大することが判明した。さらに、強化機構として加工硬化について検討した結果、加工時に導入される転位は鉄損に及ぼす影響が比較的小さいことが判明した。これらの結果から、従来の無方向性電磁鋼板の技術認識である完全な再結晶フェライト組織とは全く逆に、多量の転位が残存した加工組織および回復組織とすることにより、回転子に要求される磁気特性と機械特性とが達成されるとの知見を得た。
加工組織および回復組織は、所定の板厚への加工時に導入された転位を均熱処理時に消滅させることなく、あるいは消滅を抑制して残存させることにより得られる。そのため、固溶強化あるいは析出強化主体の従来技術とは異なり、冷間圧延母材の高強度化を伴うことなく高強度化が可能であり、冷間圧延時の破断を抑制できる。このような加工組織および回復組織を得るためには、通常冷間圧延後に行われる均熱処理での転位の消滅および再結晶を抑制することが必要である。また、均熱処理時に転位の消滅および再結晶を抑制するには、Nb,Zr,TiおよびVを含有させることが必要であり、特にNbの寄与が大きいためにNbを中心に適正量含有させる必要がある。ただし、Nb,Zr,TiおよびVを過度に含有させると表面性状が劣化するため、Nb,Zr,TiおよびVの含有量の適正化が重要となる。
以下、本発明を完成させるに至った知見について説明する。
まず、本発明の特徴であるNbに関する知見について述べる。
主要成分が質量%で、Si:2.0%、Mn:0.2%、Al:0.3%、N:0.002%、P:0.01%であり、C,SおよびNbの含有量をそれぞれC:0.001〜0.04%、S:0.0002〜0.03%、Nb:0.001〜0.6%と変化させた鋼と、主要成分が質量%で、Si:2.0%、Mn:0.2%、Al:0.3%、N:0.002%、P:0.01%であり、C,SおよびTiの含有量をそれぞれC:0.001〜0.04%、S:0.0002〜0.03%、Ti:0.001〜0.3%と変化させた鋼に、熱間圧延を施して2.3mmとした後、800℃で10時間の熱延板焼鈍を行い、さらに0.35mmまで冷間圧延し、700℃で20秒間保持あるいは750℃で20秒間保持の2つの条件で均熱処理を施した。このようにして得られた鋼板の引張強さを測定した。
図1および図2に、700℃または750℃で20秒間保持の均熱処理を施したそれぞれの鋼板について、Nb,C,N、およびTi,C,Nの含有量により規定される下記式(2)および(3)で示されるNbおよびTiと、鋼板の引張強さとの関係を示す。
Nb=Nb/93−C/12−N/14 (2)
Ti=Ti/48−C/12−N/14 (3)
(ここで、式(2)および(3)中、Nb、Ti、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
図1および図2より、Nb>0、Ti>0の場合にのみ優れた機械特性が得られることがわかった。また、鋼組織を調査した結果、Nb>0、Ti>0の場合にのみ再結晶が抑制されており、鋼組織は加工組織および回復組織であった。Nb、Tiは固溶Nb、固溶Ti含有量と対応しており、再結晶抑制には固溶Nb、固溶Ti含有量の確保が重要であると判明した。さらに、NbとTiを比較すれば、Nbの再結晶抑制効果の方がTiのそれよりも大きいため高強度化にはより有効であり、均熱処理での均熱温度が高温化した場合ほどその効果の差が大きくなることも判明した。
また、ZrおよびVについても、上記と同様の検討を行い、それらの知見を合わせて、再結晶抑制にはNb,Zr,TiおよびVの中でもNbを積極的に含有させたうえで下記式(1)を満足させる必要があると判明した。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10-3 (1)
(ここで、式(1)中、Nb、Zr、Ti、V、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
次に、Nbを積極的に含有させた鋼を用いて所望の機械特性をより安定して確保する手段についての知見を述べる。
質量%で、C:0.003%、Si:2.9%、Mn:0.2%、Al:1.1%、S:0.001%、N:0.002%、P:0.01%、Nb:0.001%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼(上述のNb<0の鋼)と、C:0.002%、Si:2.8%、Mn:0.2%、Al:1.2%、S:0.006%、N:0.002%、P:0.01%、Nb:0.09%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼(上述のNb>0の鋼)とに、熱間圧延を施して2.0mmとした後、750℃で10時間の熱延板焼鈍を行い、一回の冷間圧延にて0.35〜1.2mmの種々の板厚まで仕上げ、700℃で20秒間保持する均熱処理を施した。一部の熱延板については、熱延板焼鈍後に中間板厚を0.4〜1.8mm、中間焼鈍条件を750℃で10時間保持とした二回の冷間圧延にて0.35mmまで仕上げ、同様に700℃で20秒間保持する均熱処理を施した。これらの鋼板について均熱処理前後で圧延方向を長手方向として引張試験を実施した。
図3に均熱処理工程前後の引張強さの関係、図4に均熱処理工程前の引張強さと均熱処理工程後の降伏点との関係をそれぞれ示す。図3より、Nb>0の鋼に限り、冷間圧延の回数にかかわらず、均熱処理工程前の引張強さ、すなわち冷間圧延のままの引張強さが大きくなるとともに均熱処理工程後の引張強さも大きくなることがわかる。また、図4より、上記の場合と同様に、Nb>0の鋼に限り、冷間圧延の回数にかかわらず、均熱処理工程前の引張強さ、すなわち冷間圧延のままの引張強さが大きくなるとともに均熱処理工程後の降伏点も大きくなることがわかる。
ここで、冷間圧延のままの引張強さは、冷間圧延の前までに導入された転位と冷間圧延により導入された転位との合計量の指標、すなわち、均熱処理工程の前までに導入された転位の量の指標となる。本発明は、均熱処理工程の前までに導入された転位が均熱処理時に消滅するのを抑制することで鋼板の高強度化を図るものである。したがって、均熱処理後に十分に転位を残留させるためには、均熱処理工程の前までに多量の転位を導入することが必要であり、冷間圧延時に多量の転位を導入することが重要である。
しかしながら、固溶Nbを含有しない鋼(Nb<0の鋼)では、均熱処理時の転位の消滅を抑制することができないため、均熱処理工程の前までに多量の転位を導入する、すなわち均熱処理工程前の引張強さを大きくしても、均熱処理後に残存する転位の量が少なくなり、均熱処理後において十分な強度を確保することはできない。これに対して、固溶Nbを含有する鋼(Nb>0の鋼)では均熱処理時の転位の消滅が抑制されるため、均熱処理工程の前までに導入される転位の量が多ければ、すなわち均熱処理工程前の引張強さが大きければ、均熱処理後に残存する転位の量も多くなり、均熱処理後において強度を安定して確保することができるのである。したがって、固溶Nbを含有する鋼(Nb>0の鋼)では、均熱処理後の鋼板の引張強さ、降伏点といった強度を確保するために必要な導入すべき転位の量の目安として、均熱処理前の引張強さを採用することができる。
Ti,ZrおよびVについても上記と同様の検討を行い、本発明の鋼組成を備えていれば、均熱処理工程での転位の消滅が抑制されるため、均熱処理工程後の引張強さおよび降伏点等の強度の指標として、均熱処理工程前の引張強さを採用することができるとの知見を得た。
そして、均熱処理工程後に引張強さおよび降伏点等の強度を十分に確保するために必要な条件として、均熱処理工程の前段階で850MPa以上の引張強さを確保することが重要と判明し、本発明を完成させたのである。
以下、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法について詳細に説明する。
本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.06%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb:0.02%超を含有し、Nb、Ti、ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を上記式(1)を満足する範囲で含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなる鋼塊または鋼片に、熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施すことにより、板厚が0.15mm以上0.80mm以下であり引張強さが850MPa以上である冷間圧延鋼板を作製する冷間圧延工程と、上記冷間圧延鋼板を820℃以下で均熱する均熱処理工程とを有することを特徴とするものである。
以下、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法における鋼塊または鋼片、および各工程について説明する。
1.鋼塊または鋼片
本発明に用いられる鋼塊または鋼片は、質量%で、C:0.06%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb:0.02%超を含有し、Nb、Ti、ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を上記式(1)を満足する範囲で含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなるものである。
なお、各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。また、本発明において、「残部が実質的にFeおよび不純物からなる」とは、本発明の効果を阻害しない範囲で他の元素を含有する場合を含むことを意味する。
以下、鋼組成について説明する。
(1)C
CはNb,Zr,TiまたはVと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb,Zr,TiおよびVにより、冷間圧延後の均熱処理工程において進行する転位の消滅および再結晶の進行を抑制するためには、C含有量は低減することが好ましい。しかしながら、過度のC含有量の低減は製鋼コストが増加する点や、C含有量が多くてもNb,Zr,TiおよびVの含有量をそれに応じて増加させれば固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量は確保される点を鑑み、C含有量の上限値は0.06%とする。好ましくは0.04%以下、さらに好ましくは0.02%以下である。C含有量が0.01%以下であれば、Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)>0なる条件を満たすのに必要なNb,Zr,TiおよびVの含有量が少なくてすむので製造コストの観点から望ましい。
(2)Si
Siは電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果を有する元素である。しかしながら、多量のSiを含有させた場合には冷間圧延時の割れを誘発し、鋼板の歩留まり低下により製造コストが増加する。そのためSi含有量は3.5%以下とする。また、割れ抑制の観点からは3.0%以下が好ましい。さらに、Siを脱酸剤として使用する場合は0.01%以上含有させることが必要であるが、Alを脱酸剤として使用する場合もあるため、Si含有量の下限値は特に限定しない。固溶強化による鋼板の高強度化という観点からは、望ましい下限値は1.0%である。
(3)Mn
MnはSiと同様に電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果がある。しかしながら、Mnを多量に含有させると合金コストが増加するため、Mn含有量の上限は3.0%とする。一方、Mn含有量の下限はSを固定する観点から定められるものであり、0.05%とする。
(4)Al
Alは電気抵抗を高めるためSiと同様に渦電流損失を低減する。しかしながら、多量にAlを含有させると合金コストが増加するとともに、飽和磁束密度低下により磁束の漏れが発生するためモータ効率が低下する。これらの観点からAl含有量の上限は2.5%とする。また、Alを脱酸剤として使用する場合は0.01%以上含有させることが必要であるが、Siを脱酸剤として使用する場合があるため、Al含有量の下限値は特に限定しない。固溶強化による鋼板の高強度化という観点からは、望ましい下限値は0.2%である。
(5)P
Pは固溶強化により鋼板の強度を高める効果があるが、多量にPを含有する場合には冷間圧延時の割れを誘発する。そのためP含有量は0.30%以下とする。
(6)S
Sは鋼中に不可避的に混入する不純物であるが、製鋼段階で低減するにはコストが増加するためS含有量としては0.04%を上限とする。
(7)N
NはNb,Zr,TiまたはVと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb,Zr,TiおよびVによって再結晶を抑制するためには、N含有量は低減することが好ましい。しかしながら、N含有量が多くてもNb,Zr,TiおよびVの含有量をそれに応じて増加させれば固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量は確保できる点を鑑み、N含有量の上限は0.02%とする。好ましくは0.01%以下である。N含有量が0.005%以下であれば、Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)>0なる条件を満たすのに必要なNb,Zr,TiおよびVの含有量が少なくてすむので製造コストの観点から望ましい。
(8)Nb,Zr,TiおよびV
均熱処理中の転位の消滅および再結晶を抑制し、加工組織および回復組織を得るためには析出物を形成していない固溶した状態のNb,Zr,TiまたはVを含有させることが必要である。したがって、Nb,Zr,TiおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を、下記式(4)を満足する範囲で含有させることが必要である。
Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)>0 (4)
(ここで、式(4)中、Nb,Zr,Ti,V,CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
上記式(4)の左辺は、Nb,Zr,TiおよびVの含有量とCおよびNの含有量との差を表しており、この値が正であることは炭化物、窒化物または炭窒化物といった析出物を形成していない固溶した状態のNb,Zr,TiまたはVを含有していることに対応する。
上述のとおり、これらの元素のなかでも固溶Nbの寄与が特に大きいため、本発明ではNbを積極的に含有させるものとし、Nb含有量は0.02%を超えるものとする。好ましくは0.04%以上である。Nbを積極的に含有させることは後述するように生産性向上にも大きく寄与する。Nb含有量の上限は、後述する上記式(1)の上限を超えない範囲とする。
図1および図2に示すように、均熱処理時の均熱温度が高温の場合、固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量が多ければ多いほど転位の消滅および再結晶を抑制する効果は大きくなり、加工組織または回復組織を得るには有効である。
しかしながら、過度に固溶Nb,Zr,TiおよびVを含有する場合には熱間圧延時および熱延板焼鈍時にも転位の消滅および再結晶が抑制されるため、冷間圧延前の組織が未再結晶状態となる場合がある。その結果としてリジングと呼ばれる表面欠陥が生じ、鉄心に積層した場合の占積率が低下しモータ効率が低下するため好ましくない。また、冷間圧延時に割れが生じる場合もある。固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量の上限値はこの観点から定められ、Nb,Zr,TiおよびVは下記式(1)で示される範囲で含有させる必要がある。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10-3 (1)
(ここで、式(1)中、Nb、Zr、Ti、V、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
また、硫化物を考慮すると固溶状態のNb,Zr,TiおよびVの含有量はS含有量にも影響される。しかしながら、上述したS含有量の範囲内では再結晶抑制効果に及ぼすSによる影響は認められなかったため、本発明においてはSの項を省略した上記式(1)を採用した。Sの影響が認められなかった理由は明確でないが、凝固末期のSが濃化した領域からMnSとなって晶出するなどしてMnによりSが固定されたためと考えられる。
(9)Cu,Ni,Cr,Mo,CoおよびW
本発明においては、再結晶粒径の細粒化ではなく再結晶そのものを抑制することにより磁気特性と機械特性の両立を図っているため、この再結晶抑制効果を損なわない範囲でCu,Ni,Cr,Mo,CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させることができる。これらの元素は鋼板を高強度化する作用を有するので、鋼板の強度をさらに高めるのに有効であり好ましい。
Cuは鋼板の固有抵抗を増加し、鉄損を低減する効果がある。しかしながら過度にCuを含有させると表面疵や冷間圧延時の割れの発生につながるため、Cu含有量は0.01%以上8.0%以下とすることが好ましい。表面疵を抑制する観点からは1.0%以下とすることが好ましい。
NiおよびMoは過度に含有させると冷間圧延時の割れの発生やコスト増加につながるため、Ni含有量は0.01%以上2.0%以下、Mo含有量は0.005%以上4.0%以下とすることが好ましい。
Crは鋼板の固有抵抗を増加し、鉄損を低減する効果がある。また耐食性を改善する効果も有する。しかしながら過度にCrを含有させるとコストが増加するため、Cr含有量は0.01%以上15.0%以下とすることが好ましい。
CoおよびWは、過度に含有させるとコストが増加するため、Co含有量は0.01%以上4.0%以下、W含有量は0.01%以上4.0%以下とすることが好ましい。
(10)Sn,Sb,Se,Bi,Ge,TeおよびB
本発明は再結晶を抑制することにより磁気特性と機械特性の両立を図っているため、粒界偏析により再結晶を抑制する効果を有するSn,Sb,Se,Bi,Ge,TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させることが好ましい。これらの元素を含有させる場合には、熱間圧延工程での割れの発生およびコスト増加を抑制する観点から、各元素の含有量をSn:0.5%以下、Sb:0.5%以下、Se:0.3%以下、Bi:0.2%以下、Ge:0.5%以下、Te:0.3%以下、B:0.01%以下とすることが好ましい。これらの元素の再結晶抑制効果を確実に得るには、各元素の含有量をSn:0.001%以上、Sb:0.0005%以上、Se:0.0005%以上、Bi:0.0005%以上、Ge:0.001%以上、Te:0.0005%以上、B:0.0002%以上とすることが好ましい。
(11)Ca,MgおよびREM
本発明で規定するS含有量の範囲内では再結晶抑制効果に及ぼすSの影響は認められなかったため、本発明においては硫化物の形態制御による磁気特性改善を目的としてCa,MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種を含有させることができる。
ここでREMとは、原子番号57〜71までの15元素、ならびにScおよびYの2元素の合計17元素をさす。
各元素の含有量は、Ca:0.03%以下、Mg:0.02%以下、REM:0.1%以下が好ましい。上記効果を確実に得るためには、各元素の含有量をCa:0.0001%以上、Mg:0.0001%以上、REM:0.0001%以上とすることが好ましい。
(12)その他
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で上述した元素以外の元素を含有させることが可能である。本発明は、再結晶組織を前提とした従来技術とは異なり、多くの転位が残存した加工組織および回復組織とすることにより強度を高めるものであるから、再結晶組織を前提とした従来技術において制限されていた元素の含有をより高いレベルまで許容することができる。例えば、Ta,Hf,As,Au,Be,Zn,Pb,Tc,Re,Ru,Os,Rh,Ir,Pd,Pt,Ag,Cd,HgおよびPoを総和で0.1%以下含有することができる。
2.熱間圧延工程
本発明における熱間圧延工程は、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」ともいう)に熱間圧延を施す工程である。
本工程においては、上述した鋼組成を有する鋼を、連続鋳造法あるいは鋼塊を分塊圧延する方法など一般的な方法によりスラブとし、加熱炉に装入して熱間圧延を施す。この際、スラブ温度が高い場合には加熱炉に装入しないで熱間圧延を行ってもよい。
スラブ温度は特に限定されるものではないが、コストおよび熱間圧延性の観点から1000〜1300℃とすることが好ましい。より好ましくは1050〜1250℃である。
また、熱間圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、例えば仕上げ温度が700〜950℃、巻き取り温度が750℃以下など、一般的な条件に従って行えばよい。
熱間圧延鋼板は、通常、熱間圧延の際に鋼板表面に生成したスケールを酸洗により除去してから冷間圧延に供される。熱間圧延鋼板に後述する熱延板焼鈍を施す場合には、熱延板焼鈍前あるいは熱延板焼鈍後のいずれかにおいて酸洗すればよい。
3.冷間圧延工程
本発明における冷間圧延工程は、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施すことにより、板厚が0.15mm以上0.80mm以下であり引張強さが850MPa以上である冷間圧延鋼板を作製する工程である。
本工程においては、鋼板を所定の板厚に仕上げる。この際、一回の冷間圧延で所定の板厚まで仕上げてもよいし、中間焼鈍を含む二回以上の冷間圧延によって仕上げてもよい。
板厚は、0.15mm以上0.80mm以下とする。板厚が上記範囲未満では、過度の加工が必要となって冷間圧延時に破断するおそれがある。また、後述する均熱処理工程での生産性が悪くなるばかりか、占積率やカシメ強度が低下する可能性もある。一方、板厚が上記範囲を超えると、渦電流損失が増加するため、モータ効率が低下するおそれがある。また、冷間圧延時に導入される転位の量が低下するために、均熱処理に供する前の鋼板、すなわち冷間圧延鋼板の引張強度を確保することが困難になり、製品の機械特性が劣化するおそれもある。このような観点から、好ましい板厚は0.20mm以上0.70mm以下である。
本発明においては、均熱処理工程の前までに導入された転位の均熱処理工程における消滅を抑制して、均熱処理後に転位を十分に残存させることにより高強度化を達成しているため、導入された転位の量が少ない場合には均熱処理後に十分な強度を確保できない。上述したように、均熱処理工程の前までに導入された転位の量は均熱処理工程に供される前の鋼板、すなわち冷間圧延鋼板の引張強さで判別することができる。Nb,Zr,TiおよびVを適正量含有させることにより均熱処理工程における転位の消滅が抑制される鋼の場合、冷間圧延鋼板の引張強さが所定の範囲であれば、均熱処理工程の前までに十分な転位が導入されているため均熱処理工程後に転位を十分に残存させることができ、均熱処理工程後に高い強度を安定して確保することができる。そのため、冷間圧延鋼板の引張強さは、圧延方向を長手方向とした測定値で850MPa以上とする。好ましくは900MPa以上である。
ここで、冷間圧延鋼板の引張強さは圧延方向を長手方向として採取した引張試験片にて測定することができる。
このように本工程においては、所望の鉄損レベルに応じて板厚を適宜選定し、均熱処理工程の前段階における引張強さを十分に確保できるように、すなわち均熱処理工程の前に十分な量の転位を導入できるように冷間圧延を実施すれば本発明の効果を得ることができる。
後述するように、均熱処理工程前に鋼板の平坦度を矯正する目的で軽加工を行う、すなわち矯正工程を行う場合は、矯正工程後の鋼板が上述の引張強さを満足していれば本発明の効果を得ることができる。
上述したように転位が十分に導入されれば本発明の効果を得ることができるため、冷間圧延時の鋼板温度、圧下率、圧延ロール径など、冷間圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、被圧延材の鋼組成、目的とする鋼板の板厚などにより適宜選択するものとする。
4.均熱処理工程
本発明における均熱処理工程は、上記冷間圧延鋼板を820℃以下で均熱する工程である。
本発明は、均熱処理で進行する転位の消滅および再結晶を抑制し、転位を残存させることを骨子としている。したがって、再結晶抑制効果が小さい場合には、均熱温度を通常の無方向性電磁鋼板の均熱温度よりも著しく低温化する必要がある。通常の無方向性電磁鋼板の連続焼鈍ラインでの均熱処理を前提とすれば、炉温が下がり、かつ安定化するまでは均熱処理に供することはできない。さらに、一旦炉温を下げた後は、通常の無方向性電磁鋼板の均熱温度まで炉温が上がり、かつ安定化するまでは、通常の無方向性電磁鋼板を均熱処理に供することもできない。これらのことから、再結晶抑制効果が小さい場合には、生産性を著しく低下させることが容易に想像できる。
本発明においてはNb,Zr,TiおよびVのうち、Nbを積極的に含有させることを特徴としているため、再結晶を抑制する効果が大きい。したがって、均熱処理工程での均熱温度が高くとも加工組織および回復組織を得ることができ、特殊な均熱温度の機会を設ける必要がないため生産性を向上させることができる。具体的には、均熱処理工程の均熱温度が820℃以下であれば、所望の機械特性を得ることができる。機械特性の観点から好ましくは780℃以下、さらに好ましくは750℃以下である。この均熱温度は通常の無方向性電磁鋼板で実施する範囲内であり、生産性を阻害することはない。
一方、均熱温度が低ければ低いほど再結晶の進行が抑制されるが、均熱温度が低すぎると鋼板の平坦が矯正されずに回転子に積層した場合の占積率が低下する場合がある。また、均熱処理を施すことにより冷間圧延のままの状態よりも鉄損を改善する効果も得られることから、均熱温度が低すぎると鉄損の増加に繋がる。さらに、均熱温度が低すぎると、上述のとおり生産性が著しく低下する。そこで、平坦矯正および鉄損改善の観点から、好ましい均熱温度の下限値を500℃とする。さらに好ましくは600℃以上である。
均熱処理は、箱焼鈍および連続焼鈍のいずれの方法で実施してもよいが、生産性の観点からは連続焼鈍ラインにて実施することが望ましい。箱焼鈍では、コイル状態で焼鈍に供されることに起因してコイルの巻きぐせ(コイルセットともいう)により鋼板の平坦度が低下したり、形状が劣化したりすることがあるため、均熱処理工程後に鋼板の平坦度や形状を矯正する矯正工程を行うことが好ましい。
なお、高温での均熱処理により再結晶が進行し、それに起因して機械特性が低下した場合には、工程増加はやむを得ないが均熱処理工程後に加工して強度を確保してもよい。
5.熱延板焼鈍工程
本発明においては、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を行ってもよい。この熱延板焼鈍工程は、熱間圧延工程と冷間圧延工程との間に行われる工程である。
熱延板焼鈍工程は必ずしも必須の工程ではないが、熱延板焼鈍工程を行うことにより、鋼板の延性が向上し冷間圧延工程での破断を抑制できる。また、製品表面における凹凸欠陥の生成を軽減する効果も有する。
熱延板焼鈍は、箱焼鈍および連続焼鈍のいずれの方法で実施してもよい。また、熱延板焼鈍の各種条件は特に限定されるものではなく、熱間圧延鋼板の鋼組成などにより適宜選択するものとする。
6.その他
本発明においては、上記均熱処理工程後に、一般的な方法に従って、有機成分のみ、無機成分のみ、あるいは有機無機複合物からなる絶縁皮膜を鋼板表面に塗布するコーティング工程を行うことが好ましい。環境負荷軽減の観点から、クロムを含有しない絶縁皮膜を塗布しても構わない。また、コーティング工程は、加熱・加圧することにより接着能を発揮する絶縁コーティングを施す工程であってもよい。接着能を発揮するコーティング材料としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはメラミン樹脂などを用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を例示して、本発明を具体的に説明する。
[実施例1〜26]
下記の表1に示す鋼組成を有する鋼を真空溶製し、これらの鋼を1150℃に加熱し、仕上げ温度820℃で熱間圧延を行い580℃で巻き取り、厚さが2.0mmの熱間圧延鋼板を得た。これらの熱間圧延鋼板のうち一部を除いて水素雰囲気中にて10時間保持する箱焼鈍、あるいは1000℃で60秒間保持する連続焼鈍による熱延板焼鈍を施し、一回の冷間圧延にて種々の板厚に仕上げた。また、一部の熱間圧延鋼板については、上記の熱延板焼鈍後、中間板厚まで冷間圧延した後、水素雰囲気中にて750℃または800℃で10時間保持する箱焼鈍、あるいは1000℃で60秒間保持する連続焼鈍による中間焼鈍を実施し、二回目の冷間圧延で種々の板厚に仕上げた。さらに、一部の熱間圧延鋼板については熱延板焼鈍を施すことなく、一回あるいは中間焼鈍を含む二回の冷間圧延にて種々の板厚に仕上げた。その後、実施例1〜9および11〜26では種々の温度で30秒間保持する連続焼鈍による均熱処理を施した。実施例10では500℃で10時間保持する箱焼鈍により均熱処理を施した。
下記の表2に、各鋼板の熱延板焼鈍条件、冷間圧延条件、および均熱処理条件をそれぞれ示す。
Figure 2007031755
[比較例1〜11]
上記表1に示す鋼組成を有する鋼を用いて、実施例1〜26と同様にして鋼板を作製した。
[評価]
実施例1〜26および比較例1〜11の鋼板について、均熱処理の前段階における機械特性、ならびに均熱処理後の機械特性および磁気特性を評価した。
機械特性は、圧延方向を長手方向としたJIS5号試験片を用いた引張試験を行い評価した。均熱処理の前段階については引張強さ:TSにて、均熱処理後については降伏点:YPおよび引張強さ:TSにて評価した。
磁気特性は、55mm角の単板試験片にて、最大磁束密度:1.0T、励磁周波数:400Hzでの鉄損W10/400と磁化力5000A/mでの磁束密度B50とを測定した。測定は圧延方向と圧延直角方向について実施し、それらの平均値を採用した。
表2に、評価結果をそれぞれ示す。
Figure 2007031755
比較例1の鋼板はSi含有量が高いために冷間圧延時に破断した。また、比較例2の鋼板はAl含有量が高いために磁束密度が低かった。比較例3の鋼板はP含有量が高いために冷間圧延時に破断した。さらに、比較例4の鋼板はCおよびMnの含有量が高く、鋼組織がマルテンサイト組織であるために鉄損が著しく増大し、磁束密度も低かった。比較例5の鋼板はNb,Zr,TiおよびVの含有量が本発明範囲外であるために均熱処理にて転位の消滅が十分に抑制されず、均熱処理工程の前までに導入された転位の量が十分であっても、均熱処理後の降伏点および引張強さともに劣っていた。比較例6の鋼板は均熱処理工程の前までに導入される転位の量が十分でなかったため、降伏点および引張強さともに劣っていた。比較例7の鋼板は均熱温度が高過ぎるために降伏点および引張強さともに劣っていた。比較例8の鋼板は均熱処理工程の前までに導入される転位の量が十分でなく、かつ均熱温度が高過ぎるために降伏点および引張強さともに劣っていた。比較例9の鋼板はNb,Zr,TiおよびVの含有量が本発明範囲の上限を超えているために冷間圧延時に破断した。比較例10の鋼板は冷間圧延後の板厚が本発明範囲の上限を超えていたために鉄損が増加した。比較例11の鋼板は、冷間圧延後の板厚が本発明範囲の下限を下回っていたため、冷間圧延時に耳割れが発生した。このため均熱処理に供することができなかった。
これに対して本発明で規定する要件を満足する実施例1〜26の鋼板では、熱延板焼鈍の方法、冷間圧延の回数にかかわらず、磁気特性・機械特性とも優れた値を示していた。
また、均熱温度が比較的高い条件であっても再結晶抑制効果が大きいため優れた磁気特性および機械特性を有していることがわかった。さらに、実施例13および14を比較することにより、S含有量が変化しても機械特性は変化しないことがわかった。また、実施例17〜26に示されるように、Cu,Ni,Cr,Mo,Co,W,Sn,Sb,Se,Bi,Ge,Te,B,Ca,Mg,REMを適正量含有する場合も本発明の効果が得られることがわかった。さらに、Ta,Hf,As,Au,Be,Zn,Pb,Tc,Re,Ru,Os,Rh,Ir,Pd,Pt,Ag,Cd,Hg,Poの含有量が適正である場合にも本発明の効果が得られることがわかった。
700℃で20秒間保持の均熱処理を行った鋼板についての、Nb(=Nb/93−C/12−N/14)およびTi(=Ti/48−C/12−N/14)と引張強さとの関係を示す図である。 750℃で20秒間保持の均熱処理を行った鋼板についての、Nb(=Nb/93−C/12−N/14)およびTi(=Ti/48−C/12−N/14)と引張強さとの関係を示す図である。 均熱処理工程前後の引張強さの関係を示す図である。 均熱処理工程前の引張強さと均熱処理工程後の降伏点との関係を示す図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.06%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb:0.02%超を含有し、Nb、Ti、ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記式(1)を満足する範囲で含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなる鋼塊または鋼片に、熱間圧延を施す熱間圧延工程と、前記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施すことにより、板厚が0.15mm以上0.80mm以下であり引張強さが850MPa以上である冷間圧延鋼板を作製する冷間圧延工程と、前記冷間圧延鋼板を820℃以下で均熱する均熱処理工程とを有することを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
    0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10-3 (1)
    (ここで、式(1)中、Nb、Zr、Ti、V、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
  2. 前記鋼塊または鋼片が、前記Feの一部に代えて、Cu、Ni、Cr、Mo、CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することを特徴とする請求項1に記載の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
    Cu:0.01%以上8.0%以下 Ni:0.01%以上2.0%以下
    Cr:0.01%以上15.0%以下 Mo:0.005%以上4.0%以下
    Co:0.01%以上4.0%以下 W:0.01%以上4.0%以下
  3. 前記鋼塊または鋼片が、前記Feの一部に代えて、Sn、Sb、Se、Bi、Ge、TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
    Sn:0.5%以下 Sb:0.5%以下 Se:0.3%以下 Bi:0.2%以下
    Ge:0.5%以下 Te:0.3%以下 B:0.01%以下
  4. 前記鋼塊または鋼片が、前記Feの一部に代えて、Ca、MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
    Ca:0.03%以下 Mg:0.02%以下 REM:0.1%以下
  5. 前記熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
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