JP2007031651A - 防カビ性シリコーンゴム組成物 - Google Patents

防カビ性シリコーンゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 防カビ性に優れ、従来提案されている無機系防カビ剤が持つ変色等の問題もないシリコーンゴム組成物を提供する。
【解決手段】 シリコーンゴムベースポリマー100重量部に対し、0.01〜10重量部のホウ酸カルシウム化合物を配合する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防カビ性に優れたシリコーンゴム組成物に係わる。
シリコーンゴム組成物に防カビ・抗菌特性を付与することは以前から行われており、その方法としては、通常、防カビ・抗菌剤の配合が一般的であり、それら薬剤として、有機系としてイミダゾール系、チアゾール系、ピリジン系、ブロム系などが知られ、無機系としては特許文献1に示されるような、銀置換ゼオライトの如く銀イオンの高い抗菌作用を利用したものが多い。また、特許文献2ではベンゾイミダゾリルカルバメートとビス(2−ピリジオチオ−1−オキシド)亜鉛を併用配合することが、特許文献3ではモルデンフッ石群とヒノキチオールを併用配合することが提案されている。
特開平7−62242号公報 特開平6−40821号公報 特開2002−363413号公報
上記の従来技術によれば、一定の防カビ性を発揮するものの、その効果は十分満足できるものとは言いがたく、耐性を持ってきている現在のカビに十分対応できるものではなかった。特に、1成分型の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物のうちケトオキシム基含有のオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物を含むものの場合、銀系などの無機系防カビ剤を配合すると変色や発泡・膨潤等の問題が発生する場合があることに加え、防カビ効果も不十分であった。尚、これは、無機の銀系防カビ剤は担持させる物質の影響により変色や発泡・膨潤等が発生すると考えられ、また無機系の銀はイオン化されないとその効果が十分に発揮されないためと考えられる。
本発明者は、防カビ性に優れたシリコーンゴム組成物を得るべく鋭意検討した結果、ホウ酸カルシウム化合物はシリコーンゴム中で優れた防カビ性を示し、従来提案されている銀系などの無機系防カビ剤が持つ問題も有しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、シリコーンゴムベースポリマー100重量部に対し、0.01〜10重量部のホウ酸カルシウム化合物を配合したことを特徴とする防カビ性シリコーンゴム組成物である。
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明におけるシリコーンゴム組成物は、常温または加熱等によって硬化させることによりゴム弾性体となるものであり、(a)シリコーンゴムベースポリマーと、(b)硬化剤と、必要に応じて各種添加剤等とを均一に分散させたものである。このような組成物に用いられる各種成分のうち、(a)シリコーンゴムベースポリマーと(b)硬化剤とは、ゴム弾性体を得るための反応機構に応じて適宜選択されるものである。その反応機構としては、(1)有機過酸化物加硫剤による架橋方法、(2)縮合反応による方法、(3)付加反応による方法等が知られており、その反応機構によって、(a)成分と(b)成分すなわち硬化用触媒もしくは架橋剤との好ましい組合せが決まることは周知である。尚、シリコーンゴムを化学的に説明すると、
Figure 2007031651
を単位として、その鎖状高分子として形成されている。この単位はオルガノシロキサンと呼ばれるためシリコーンゴムベースポリマーを化学的にはポリオルガノシロキサンと表現できる。このような各種の反応機構において用いられる(a)成分のベースポリマーとしてのポリオルガノシロキサンにおける有機基は、1価の置換または非置換の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基のようなアルキル基、フェニル基のようなアリール基、β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基のようなアラルキル基等の非置換の炭化水素基や、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換炭化水素基が例示される。なお、一般的にはメチル基が合成のし易さ等から多用される。以下、上記(1)〜(3)の夫々の反応機構における(a)ベースポリマーと、(b)硬化剤とについて説明する。
先ず、上記(1)の架橋方法を適用する場合においては、通常、(a)成分のベースポリマーとしては、1分子中のケイ素原子に結合した有機基のうち、少なくとも2個がビニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニルなどのアルケニル基であるポリオルガノシロキサンが用いられる。特に合成の容易さ、原料の入手のし易さから、上記基の中でもビニル基が好ましい。また、(b)成分の硬化剤としては、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クミル−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド等の各種の有機過酸化物加硫剤が用いられ、特に低い圧縮永久歪みを与えることから、ジクミルペルオキシド、クミル−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシドが好ましい。なお、これらの有機過酸化物加硫剤は、1種または2種以上の混合物として用いられる。
(b)成分の硬化剤である有機過酸化物の配合量は、(a)成分のベースポリマー100重量部に対し、0.05〜15重量部の範囲が好ましい。有機過酸化物の配合量が0.05重量部未満では加硫が十分に行われず、15重量部を超えて配合してもそれ以上の格別な効果がないばかりか、得られたシリコーンゴムの物性に悪影響を与えることがあるからである。
また、上記(2)の縮合反応を適用する場合においては、(a)成分のベースポリマーとしては両末端に水酸基を有するポリオルガノシロキサンが用いられる。(b)成分の硬化剤としては、まず架橋剤として、エチルシリケート、プロピルシリケート、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリプロペノキシシラン等のアルコキシ型;メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等の等のアセトキシ型;メチルトリ(アセトンオキシム)シラン、ビニルトリ(アセトンオキシム)シラン、メチルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン等、およびその部分加水分解物が例示される。また、ヘキサメチル−ビス(ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、テトラメチルジブチル−ビス(ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ヘプタメチル(ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ペンタメチル−トリス(ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ヘキサメチル−ビス(メチルエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、テトラメチル−ビス(ジエチルアミノキシ)−モノ(メチルエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサンのような環状シロキサン等も例示される。このように、架橋剤はシランやシロキサン構造のいずれでもよく、またそのシロキサン構造は直鎖状、分岐状および環状のいすれでもよい。さらに、これらを使用する際には、1種類に限定される必要はなく、2種以上の併用も可能である。
特に前述した通り、ケトオキシム基含有のオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物を含む、従来技術では優れた防カビ性が得られなかった組成物に対し本発明は好ましく適用される。
また、(b)成分の硬化剤のうち、硬化用触媒としては、鉄オクトエート、コバルトオクトエート、マンガンオクトエート、ススナフテネート、スズカプリレート、スズオレエートのようなカルボン酸金属塩;ジメチルスズジオレエート、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレエート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジオクチルスズジラウレートのような有機スズ化合物が用いられる。(b)成分の硬化剤のうち、上記架橋剤の配合量は(a)成分のベースポリマー100重量部に対し、0.1〜20重量部が好ましい。架橋剤の使用量が0.1重量部未満では、硬化後のゴムに充分な強度が得られず、また20重量部を超えると得られるゴムが脆くなり、いずれも実用に耐え難い。また、硬化用触媒の配合量は(a)成分のベースポリマー100重量部に対し0.01〜5重量部が好ましい。これより少ない量では硬化用触媒として不十分であって、硬化に長時間を要し、また空気との接触面から遠い内部での硬化が不良となる。他方、これよりも多い場合には、保存安定性が低下してしまう。より好ましい配合量の範囲としては、0.1〜3重量部の範囲である。
上記(3)の付加反応を適用する場合の(a)成分のベースポリマーとしては、上記(1)におけるベースポリマーと同様なものが用いられる。また、(b)成分の硬化剤としては、硬化用触媒として、塩化白金酸、白金オレフィン錯体、白金ビニルシロキサン錯体、白金黒、白金トリフェニルホスフィン錯体等の白金系触媒が用いられ、架橋剤として、ケイ素原子に結合した水素原子が1分子中に少なくとも平均2個を超える数を有するポリオルガノシロキサンが用いられる。(b)成分の硬化剤のうち、硬化用触媒の配合量は、(a)成分のベースポリマーに対し白金元素量で1〜1000ppmの範囲となる量が好ましい。硬化用触媒の配合量が白金元素量として1ppm未満では、充分に硬化が進行せず、また1000ppmを超えても特に硬化速度の向上等が期待できない。また、架橋剤の配合量は、(a)成分中のアルケニル基1個に対し、架橋剤中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5〜4.0個となるような量が好ましく、さらに好ましくは1.0〜3.0個となるような量である。水素原子の量が0.5個未満である場合は、組成物の硬化が充分に進行せずに、硬化後の組成物の硬さが低くなり、また水素原子の量が4.0個を超えると硬化後の組成物の物理的性質と耐熱性が低下する。
次に本発明の特徴的成分であるホウ酸カルシウム化合物とは、ホウ酸カルシウムを主成分とするものであれば特に制限はなく、ホウ酸カルシウム単体の他に、天然のホウ酸カルシウム鉱物(鉱物名コレマナイト、構造式2CaO・3B・5HO)等を使用することができる。
コレマナイトおよびその加工品は、各種市販されており、昭和鉱業(株)製商品名コレマサイド等が挙げられる。
本発明において、ホウ酸カルシウム化合物の配合量は、シリコーンゴムベースポリマー100重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部である。
0.01重量部より少ないと防カビの付与が難しく、10重量部より多いと硬化後のゴム状弾性体の機械的特性が低下する。
尚、本発明のシリコーンゴム組成物には、充填剤、顔料、耐熱性向上剤、難燃剤等を随時付加的に配合してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で他のポリオルガノシロキサンを併用してもよい。このようなものとしては、通常、煙霧質シリカ、沈殿法シリカ、けいそう土等の補強性充填剤、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、マイカ、クレイ、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、水酸化セリウム、ガラスビーズ、ポリジメチルシロキサン、アルケニル基含有ポリシロキサン等が例示される。
特に微粉末状のシリカの使用が好ましく、シリコーンゴムベースポリマー100重量部に対し12〜50重量部程度配合される。使用するシリカとしては、未処理のものでも、ヘキサメチルジシラザン等で表面処理したもの、疎水化処理したものでもよい。
また、本発明の組成物には、シリコーンゴムベースポリマー100重量部に対して0.01〜15重量部程度のアミノシラン及び/又はエポキシシランを配合することも好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、以下の文中における「部」は、すべて「重量部」を示すものとする。
実施例1
分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された25℃における粘度が3000cPのジメチルポリシロキサン100部と、架橋剤であるメチルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン6.8部を予め湿気を遮断した状態で均一に混合し、次に微粉末シリカ12部、架橋触媒であるジブチルスズジラウレート0.07部、ホウ酸カルシウム化合物(昭和鉱業(株)製商品名コレマサイド)1部、さらにアミノシランとエポキシシランの加熱混合物0.35部を、湿気を遮断した状態で均一に混合した。この組成物を厚さ1mm、長さ10cm四方のゴムシーラントに加工し、カビ抵抗性を評価した。
試験方法はJIS Z 2911に従ったが、供試菌株はAlternaria steyiae(NBRC3112)、Ulocladium botrytis(NBRC5370)、Phoma citrcarpa(NBRC5287)、Aspergillus niger(NBRC6321)、Penicillium citrinum(NBRC6352)を使用した。
その結果、28日間の培養で、いずれもシーラント表面にカビが生えず、阻止円を形成した。
比較例1
ホウ酸カルシウム化合物に代えて銀ゼオライトを使用した以外は実施例1と同様にして組成物およびゴムシーラントを作成し、カビ抵抗性を評価した。
その結果、28日間の培養で、Alternaria steyiae(NBRC3112)、Aspergillus niger(NBRC6321)に対してシーラント表面にカビが生えた。

Claims (1)

  1. シリコーンゴムベースポリマー100重量部に対し、0.01〜10重量部のホウ酸カルシウム化合物を配合したことを特徴とする防カビ性シリコーンゴム組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115232600A (zh) * 2021-11-22 2022-10-25 镇江华核装备有限公司 一种长期效耐老化防霉密封胶及其制备方法

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