JP2642012B2 - 導電性シリコーンゴム組成物 - Google Patents

導電性シリコーンゴム組成物

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JP2642012B2
JP2642012B2 JP538792A JP538792A JP2642012B2 JP 2642012 B2 JP2642012 B2 JP 2642012B2 JP 538792 A JP538792 A JP 538792A JP 538792 A JP538792 A JP 538792A JP 2642012 B2 JP2642012 B2 JP 2642012B2
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聡志 渡辺
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、非帯電性や導電性を有す
るシリコーンゴム組成物に係り、さらに詳しくは着色可
能な導電性シリコーンゴム組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景とその問題点】従来から、硬化して
シリコーンゴムとなるシリコーン組成物はよく知られて
おり、その耐候性、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性等の優
れた性質を利用して、電気・電子部品のポッティング
材、コーティング材、型取り用等の成形材料等に、幅広
く使用されている。また、本来絶縁材料であるシリコー
ン組成物に導電性を付与して使用することも行われてい
る。上述したようなシリコーン組成物に導電性を付与す
る方法としては、一般的には導電性カーボンブラックを
配合する方法が多用されている。このようなカーボンブ
ラックを配合した系では、当然ながらコンパウンドが黒
色となる。導電性シリコーンゴムにおいても、その用途
の多様化に応じるため、コンパウンドを着色可能とする
ことが求められている。このような要望に対応するた
め、導電性付与剤としてカーボンブラック以外の充填剤
の検討もなされており、調色可能状態もしくは白色状態
を得るための導電性充填剤としては、例えば酸化チタン
や酸化亜鉛、雲母などの表面を酸化アンチモンと酸化ス
ズとでコーティングした各種充填剤、表面を金属でコー
ティングした各種充填剤、金属粉等の使用が検討されて
いる。
【0003】
【発明の目的】しかしながら、上述したようなカーボン
ブラック以外の導電性充填剤は、それぞれ以下に示すよ
うな欠点を有していた。すなわち、酸化チタンや酸化亜
鉛、雲母などの表面を酸化アンチモンと酸化錫とでコー
ティングした各種充填剤では、コンパウンドの色が灰色
となってしまい、容易に調色可能な程度とすることはで
きなかった。また、紫外線の照射で暗色へ変色すること
が多かった。一方、金属粉や表面を金属でコーティング
した各種充填剤は、同様に灰色となってしまい、また水
中や多湿下において、その特性が経時的に劣化するとい
う欠点を有しており、さらに顔料をいくら工夫しても明
色の発色は望めなかった。このようなことから、コンパ
ウンドの色を容易に調色可能とすることができる導電性
充填剤が強く望まれている。本発明は、このような課題
に対処するためになされたもので、コンパウンドを着色
可能とすることができ、さらに配合制限や使用制限のな
い導電性シリコーンゴム組成物を提供することを目的と
するものである。
【0004】
【発明の構成】すなわち、本発明の導電性シリコーンゴ
ム組成物は、導電性充填剤が配合された導電性シリコー
ンゴム組成物において、前記導電性充填剤として、ホウ
酸アルミニウムの表面に酸化スズおよび酸化アンチモン
層を形成してなる材料を用いたことを特徴とするもので
ある。
【0005】本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、
基本的には常温または加熱等によって硬化させることに
よりゴム弾性体となる(A)ポリオルガノシロキサン組
成物に、(B)ホウ酸アルミニウムの表面に酸化錫と酸
化アンチモンをコーティングした粉体を配合したもので
ある。上記(A)成分のポリオルガノシロキサン組成物
は、(a)ポリオルガノシロキサンベースポリマーと、
(b)硬化剤と、必要に応じて各種添加剤等とを均一に
分散させたものである。このような組成物に用いられる
各種成分のうち、(a)ポリオルガノシロキサンベース
ポリマーと(b)硬化剤とは、ゴム弾性体を得るための
反応機構に応じて適宜選択されるものである。その反応
機構としては、(1) 有機過酸化物加硫剤による架橋方
法、(2) 縮合反応による方法、(3) 付加反応による方法
等が知られており、その反応機構によって、(a)成分
と(b)成分すなわち硬化用触媒もしくは架橋剤との好
ましい組合せが決まることは周知である。このような各
種の反応機構において用いられる(a)成分のベースポ
リマーとしてのポリオルガノシロキサンにおける有機基
は、1価の置換または非置換の炭化水素基であり、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、
ドデシル基のようなアルキル基、フェニル基のようなア
リール基、β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピ
ル基のようなアラルキル基等の非置換の炭化水素基や、
クロロメチル基、3,3,3 −トリフルオロプロピル基等の
置換炭化水素基が例示される。なお、一般的にはメチル
基が合成のし易さ等から多用される。
【0006】以下、上記(1) 〜(3) の夫々の反応機構に
おける(a)ポリオルガノシロキサンベースポリマー
と、(b)硬化剤とについて説明する。先ず、上記(1)
の架橋方法を適用する場合においては、通常、(a)成
分のベースポリマーとしては、1分子中のケイ素原子に
結合した有機基のうち、少なくとも2個がビニル、プロ
ペニル、ブテニル、ヘキセニルなどのアルケニル基であ
るポリオルガノシロキサンが用いられる。特に合成の容
易さ、原料の入手のし易さから、上記基の中でもビニル
基が好ましい。また、(b)成分の硬化剤としては、ベ
ンゾイルペルオキシド、2,4 −ジクロロベンゾイルペル
オキシド、ジクミルペルオキシド、クミル−t−ブチル
ペルオキシド、2,5 −ジメチル−2,5 −ジ−t−ブチル
ペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド等の
各種の有機過酸化物加硫剤が用いられ、特に低い圧縮永
久歪みを与えることから、ジクミルペルオキシド、クミ
ル−t−ブチルペルオキシド、2,5 −ジメチル−2,5 −
ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルペ
ルオキシドが好ましい。なお、これらの有機過酸化物加
硫剤は、1種または2種以上の混合物として用いられ
る。(b)成分の硬化剤である有機過酸化物の配合量
は、(a)成分のポリオルガノシロキサンベースポリマ
ー 100重量部に対し0.05〜15重量部の範囲が好ましい。
有機過酸化物の配合量が0.05重量部未満では加硫が十分
に行われず、15重量部を超えて配合してもそれ以上の格
別な効果がないばかりか、得られたシリコーンゴムの物
性に悪影響を与えることがあるからである。
【0007】また、上記(2) の縮合反応を適用する場合
においては、(a)成分のベースポリマーとしては両末
端に水酸基を有するポリオルガノシロキサンが用いられ
る。(b)成分の硬化剤としては、まず架橋剤として、
エチルシリケート、プロピルシリケート、メチルトリメ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルト
リス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メト
キシエトキシ)シラン、メチルトリプロペノキシシラン
等のアルコキシ型;メチルトリアセトキシシラン、ビニ
ルトリアセトキシシラン等のアセトキシ型;メチルトリ
(アセトンオキシム)シラン、ビニルトリ(アセトンオ
キシム)シラン、メチルトリ(メチルエチルケトキシ
ム)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシム)シ
ラン等、およびその部分加水分解物が例示される。ま
た、ヘキサメチル−ビス(ジエチルアミノキシ)シクロ
テトラシロキサン、テトラメチルジブチル−ビス(ジエ
チルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ヘプタメチ
ル(ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ペ
ンタメチル−トリス(ジエチルアミノキシ)シクロテト
ラシロキサン、ヘキサメチル−ビス(メチルエチルアミ
ノキシ)シクロテトラシロキサン、テトラメチル−ビス
(ジエチルアミノキシ)−モノ(メチルエチルアミノキ
シ)シクロテトラシロキサンのような環状シロキサン等
も例示される。このように、架橋剤はシランやシロキサ
ン構造のいずれでもよく、またそのシロキサン構造は直
鎖状、分岐状および環状のいずれでもよい。さらに、こ
れらを使用する際には、1種類に限定される必要はな
く、2種以上の併用も可能である。また、(b)成分の
硬化剤のうち、硬化用触媒としては、鉄オクトエート、
コバルトオクトエート、マンガンオクトエート、スズナ
フテネート、スズカプリレート、スズオレエートのよう
なカルボン酸金属塩;ジメチルスズジオレエート、ジメ
チルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジ
ブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレー
ト、ジブチルスズジオレエート、ジフェニルスズジアセ
テート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキシ
ド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジオ
クチルスズジラウレートのような有機スズ化合物が用い
られる。(b)成分の硬化剤のうち、上記架橋剤の配合
量は(a)成分のベースポリマー 100重量部に対し 0.1
〜20重量部が好ましい。架橋剤の使用量が 0.1重量部未
満では、硬化後のゴムに充分な強度が得られず、また20
重量部を超えると得られるゴムが脆くなり、いずれも実
用に耐え難い。また、硬化用触媒の配合量は(a)成分
のベースポリマー 100重量部に対し0.01〜5重量部が好
ましい。これより少ない量では硬化用触媒として不十分
であって、硬化に長時間を要し、また空気との接触面か
ら遠い内部での硬化が不良となる。他方、これよりも多
い場合には、保存安定性が低下してしまう。より好まし
い配合量の範囲としては、 0.1〜3重量部の範囲であ
る。
【0008】上記(3) の付加反応を適用する場合の
(a)成分のベースポリマーとしては、上記(1) におけ
るベースポリマーと同様なものが用いられる。また、
(b)成分の硬化剤としては、硬化用触媒として、塩化
白金酸、白金オレフィン錯体、白金ビニルシロキサン錯
体、白金黒、白金トリフェニルホスフィン錯体等の白金
系触媒が用いられ、架橋剤として、ケイ素原子に結合し
た水素原子が1分子中に少なくとも平均2個を超える数
を有するポリオルガノシロキサンが用いられる。(b)
成分の硬化剤のうち、硬化用触媒の配合量は、(a)成
分のベースポリマーに対し白金元素量で1〜1000ppm の
範囲となる量が好ましい。硬化用触媒の配合量が白金元
素量として1ppm 未満では、充分に硬化が進行せず、ま
た1000ppm を超えても特に硬化速度の向上等が期待でき
ない。また、架橋剤の配合量は、(a)成分中のアルケ
ニル基1個に対し、架橋剤中のケイ素原子に結合した水
素原子が 0.5〜4.0 個となるような量が好ましく、さら
に好ましくは 1.0〜3.0 個となるような量である。水素
原子の量が 0.5個未満である場合は、組成物の硬化が充
分に進行せずに、硬化後の組成物の硬さが低くなり、ま
た水素原子の量が4.0 個を超えると硬化後の組成物の物
理的性質と耐熱性が低下する。
【0009】本発明の導電性シリコーンゴム組成物にお
いて、上記硬化機構およびポリシロキサンベースポリマ
ーは特に限定されるものではないが、導電特性の点から
は(3) の付加反応、または(1) の有機過酸化物加硫によ
るものが好ましく、またポリシロキサンベースポリマー
の重合度は1000以上のもの、いわゆるミラブル型と称す
るものが好ましい。これは、混合時の剪断応力が適度で
あるために、配合によって前述の効果がより発揮される
ものと推察される。
【0010】本発明の組成物における(B)成分のホウ
酸アルミニウムの表面に酸化スズと酸化アンチモンをコ
ーティングした材料は、シリコーンゴムに導電性を付与
すると共に、コンパウンドの呈色を抑制することが可能
な導電性充填剤であり、本発明における特徴的な成分で
ある。ホウ酸アルミニウムは、9Al2O3 ・2B2O3で示さ
れる融点約1440℃、モース硬度7、比重2.93の物質であ
る。この形状は特に問わないが、アスペクト比を有する
線状・ウィスカー状のものが低充填量でより導電性能を
発揮させるので好ましい。アスペクト比としては5〜 1
00が適しており、より好ましくは5〜30である。酸化ス
ズと酸化アンチモンのコーティングは、ホウ酸アルミニ
ウムの全表面でも一部でも良い。表面にコーティングさ
れる酸化スズ、酸化アンチモンの膜厚は1〜30nmが良
く、更に5.0 〜12.0nmが透明性の付与の点から好まし
い。この様な(B)の配合量は一般に(a)のポリオル
ガノシロキサンベースポリマー100 重量部に対し、10〜
800 重量部、好ましくは50〜400 重量部の範囲で用いら
れる。
【0011】なお、本発明の導電性シリコーンゴム組成
物には、補強性充填剤、耐熱性向上剤、難燃剤、発泡剤
等の各種添加剤を随時付加的に配合してもよい。このよ
うなものとしては、通常、煙霧質シリカ、沈澱法シリ
カ、けいそう土等の補強性充填剤、酸化アルミニウム、
マイカ、クレイ、炭酸亜鉛、ガラスビーズ、ポリジメチ
ルシロキサン、アルケニル基含有ポリシロキサン等が例
示される。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、以下の文中における「部」は、全て「重量部」を示
すものとする。
【0013】実施例1、比較例1 末端がトリメチルシリル基で閉塞され、メチルビニルシ
ロキサン単位を0.15モル%含有するビニル基含有ポリジ
メチルシロキサン(重合度約6000)100 部に、アスペク
ト比が5〜60のホウ酸アルミニウムの表面に酸化スズお
よび酸化アンチモンがコーティングされた材料〔商品名
「Pastran 5110」(三井金属鉱業(株)製)〕(以下
(B)と略す)を、表1に示す割合で個々に配合し、ニ
ーダーに仕込み混練を行って、コンパウンドがまとまっ
てから取り出した。次いで、これに架橋剤として、2,5
−ジメチル−2,5 −ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン
2部を均一に混合して導電性シリコーンゴム組成物を調
製した。また、本発明との比較として、導電剤として用
いられているSnO2・Sb2O3 を表面被覆した平均粒子径0.
2nm の導電性酸化チタン(商品名W−1;三菱マテリア
ル(株)製)を用いる以外は、実施例1と同様にして導
電性シリコーンゴム組成物を調製した。このようにして
得た各導電性シリコーンゴム組成物(コンパウンド)を
1mm厚シートとして、 170℃、10分間の条件でプレス加
硫を行った後、二次加硫として200 ℃、4時間の条件で
あと加硫を行い、常温に戻してそれぞれシリコーンゴム
シートを得た。これらシリコーンゴムシートの体積抵抗
率をJIS K6911 (熱硬化性プラスチック一般試験方法)
に示される体積抵抗率の測定方法に従い、500Vの印加電
圧条件下で測定した。それらの結果を各組成物の配合比
と併せて表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】表1に示した結果から明らかなように、
(B)を導電性付与剤として用いた実施例1のシリコー
ンゴムは、十分な導電性を有する。これに対し、比較例
1によるシリコーンゴムは、導電性の付与が不十分であ
る。
【0016】実施例2、比較例2 分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された25℃における
粘度が4000cPであるポリジメチルシロキサン 100部に、
前述の(B)を80部と、二酸化チタン粉末5部とを配合
し、さらに架橋剤としてエチルシリケート2部、硬化用
触媒としてジブチルスズジラウレート 0.2部を配合し、
ニーダーで十分に混合して導電性シリコーンゴム組成物
を調製した。また、本発明との比較として、(B)に代
えて、白色導電剤として導電性酸化亜鉛(商品名23−
K;白水化学工業(株)製)を用いる以外は、実施例2
と同様にして導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0017】このようにして得た各導電性シリコーンゴ
ム組成物を、それぞれ25℃、相対湿度60%の雰囲気中に
1週間放置して硬化させ、各々シリコーンゴムシートを
得た。これらシリコーンゴムシートの体積抵抗率を実施
例1と同様にして測定すると共に、ハンター白色度を測
定した。それらの結果を各組成物の配合比と併せて表2
に示す。
【0018】
【表2】
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の導電性シ
リコーンゴム組成物によれば、コンパウンドを呈色させ
ることなく、十分な導電性を付与することが可能である
ため、良好な導電性を有すると共に、容易に着色するこ
とが可能なシリコーンゴムを安定して提供することが可
能となる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホウ酸アルミニウムの表面に酸化スズお
    よび酸化アンチモン層を形成してなる材料を配合したこ
    とを特徴とする導電性シリコーンゴム組成物。
JP538792A 1992-01-16 1992-01-16 導電性シリコーンゴム組成物 Expired - Lifetime JP2642012B2 (ja)

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