JP2007031631A - 架橋性ニトリルゴム組成物および架橋物 - Google Patents

架橋性ニトリルゴム組成物および架橋物 Download PDF

Info

Publication number
JP2007031631A
JP2007031631A JP2005220027A JP2005220027A JP2007031631A JP 2007031631 A JP2007031631 A JP 2007031631A JP 2005220027 A JP2005220027 A JP 2005220027A JP 2005220027 A JP2005220027 A JP 2005220027A JP 2007031631 A JP2007031631 A JP 2007031631A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nitrile rubber
group
compound
ethylenically unsaturated
nitrile
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005220027A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5176266B2 (ja
Inventor
Akira Tsukada
亮 塚田
Shigeru Fujita
茂 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2005220027A priority Critical patent/JP5176266B2/ja
Publication of JP2007031631A publication Critical patent/JP2007031631A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5176266B2 publication Critical patent/JP5176266B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)

Abstract

【課題】 引張強さおよび引裂強さに優れた架橋物を与える、ニトリル基含有高飽和共重合体を用いたゴム組成物を提供する。
【解決手段】 α、β−エチレン性不飽和ニトリル単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位を有し、ヨウ素価が120以下であるニトリルゴム(a)100重量部に対し、多価アルコール化合物(b1)、多価エポキシ化合物(b2)および多価イソシアネート化合物(b3)よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、該化合物の水酸基、エポキシ基、または/およびイソシアネート基の量が、前記ニトリルゴム(a)の有するカルボキシル基に対して0.2〜5当量となる重量部含有してなる架橋性ニトリルゴム組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、引張強さおよび引裂強さに優れた架橋物を与えるニトリルゴム組成物に関する。
従来から、耐油性、耐熱性および耐オゾン性を有するゴムとして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが知られている。ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの架橋物は、ベルト、ホース、ガスケット、パッキン、オイルシールなどのような種々の自動車用ゴム製品の材料として用いられている。最近は機械的強度の一層の向上が望まれ、特に繊維含浸体や金属複合体以外のバルクのゴム製品における引張強さや引裂強さの改善が求められるようになってきた。
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの引張強さおよび引裂強さを改良する試みとして、特許文献1はニトリル基含有高飽和共重合体ゴムに無水マレイン酸を付加させることを提案しているが、引張強さや引裂強さの更なる改善が求められていた。
特開平7−268004号公報
本発明の目的は、引張強さおよび引裂強さに優れた架橋物を与える、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いたゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位を含有するニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを、カルボキシル基間架橋性を有する特定の多価官能性化合物を特定量用いて得られる架橋物により上記の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、α、β−エチレン性不飽和ニトリル単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位を有し、ヨウ素価が120以下であるニトリルゴム(a)100重量部に対し、多価アルコール化合物(b1)、多価エポキシ化合物(b2)および多価イソシアネート化合物(b3)よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、該化合物の水酸基、エポキシ基、または/およびイソシアネート基の量が、前記ニトリルゴム(a)の有するカルボキシル基に対して0.2〜5当量となる重量部含有してなる架橋性ニトリルゴム組成物が提供される。本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、好ましくは、前記ニトリルゴム(a)の有するカルボキシル基の量が、5×10−4〜5×10−1ephrである。
また別の本発明によれば、上記のいずれかの架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなる架橋物が提供される。
本発明により、引張強さおよび引裂強さに優れた架橋物を与える、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いたゴム組成物が提供される。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、α、β−エチレン性不飽和ニトリル単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位を有し、ヨウ素価が120以下であるニトリルゴム(a)100重量部に対し、多価アルコール化合物(b1)、多価エポキシ化合物(b2)および多価イソシアネート化合物(b3)よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、該化合物の水酸基、エポキシ基、または/およびイソシアネート基の量が、前記ニトリルゴム(a)の有するカルボキシル基に対して0.2〜5当量となる重量部含有してなるものである。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位を形成する単量体であるα,β−エチレン性不飽和ニトリルは、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば限定されず、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられ、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリルはこれらの複数種を併用してもよい。
ニトリルゴム(a)におけるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位の含有量は、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜55重量%、特に好ましくは20〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位の含有量が上記範囲より少ないと架橋物の耐油性が低下するおそれがあり、上記範囲より多いと耐寒性が低下する可能性がある。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位を形成する好ましい方法は、上記α,β−エチレン性不飽和ニトリルにα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単量体を共重合させる方法である。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルのアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜6である。アルキル基の炭素数が小さすぎるとニトリルゴム組成物の加工安定性が低下するおそれがあり、逆に大きすぎると架橋速度が遅くなったり、架橋物の物性が低下したりする可能性がある。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単量体の例としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;などが挙げられ、イタコン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチルおよびマレイン酸モノn−ブチルが特に好ましい。
ニトリルゴム(a)は、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位を有することにより、架橋物の引裂強さおよび引張強さが向上する傾向を有する。
ニトリルゴム(a)におけるα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位の含有量は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは1.5〜10重量%である。ニトリルゴム(a)のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位の含有量が少なすぎると架橋性ニトリルゴム組成物が十分に架橋しないために引裂強さおよび引張強さが低下するおそれがあり、多すぎると疲労性が低下する可能性がある。
ニトリルゴム(a)は、上記のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位の他に、架橋物がゴム弾性を保有するために、通常、ジエン単位またはα−オレフィン単位をも有する。
ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの炭素数が4以上の共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの好ましくは炭素数が5〜12の非共役ジエンが挙げられる。これらの中では共役ジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
α−オレフィンとしては、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。
ニトリルゴム(a)におけるジエン単位またはα−オレフィン単位の含有量は、好ましくは25〜85重量%、より好ましくは35〜80重量%、特に好ましくは45〜75重量%である。これらの単位が少なすぎると架橋物のゴム弾性が低下するおそれがあり、多すぎると耐熱性や耐化学的安定性が損なわれる可能性がある。
ニトリルゴム(a)は、また、α,β−エチレン性不飽和ニトリル、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル、および、ジエンまたはα−オレフィンと共重合可能なその他の単量体、の単位を含有することができる。このようなその他の単量体としては、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル、芳香族ビニル、フッ素含有ビニル、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物、共重合性老化防止剤などが例示される。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルであって、アルキル基の炭素数が1〜18のもの;アクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸メトキシエチルなどのアクリル酸アルコキシアルキルエステルおよびメタクリル酸アルコキシエステルであって、アルコキシアルキル基の炭素数が2〜12のもの;アクリル酸α−シアノエチル、アクリル酸β−シアノエチル、メタクリル酸シアノブチルなどのアクリル酸シアノアルキルエステルおよびメタクリル酸シアノアルキルエステルであって、シアノアルキル基の炭素数が2〜12のもの;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよびメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであって、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜12のもの; マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチルなどの不飽和多価カルボン酸ポリアルキルエステル;アクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピルなどのフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルおよびフルオロアルキル基含有メタクリル酸エステル;アクリル酸フルオロベンジル、メタクリル酸フルオロベンジルなどのフッ素置換ベンジル基含有アクリル酸エステルおよびフッ素置換ベンジル基含有メタクリル酸エステル;などが挙げられる。
芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
フッ素含有ビニルとしては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸などが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが例示される。
これらの共重合可能な他の単量体は、複数種類を併用してもよい。ニトリルゴム(a)が有する、これらの他の単量体単位の含有量は、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。
本発明で使用するニトリルゴム(a)におけるカルボキシル基の含有量、すなわち、ニトリルゴム(a)100g当たりのカルボキシル基数は、5×10−4〜5×10−1ephr、好ましくは1×10−3〜1×10−1ephr、より好ましくは5×10−3〜6×10−2ephrである。ニトリルゴム(a)のカルボキシル基含有量が少なすぎると架橋性ニトリルゴム組成物が十分に架橋しないために引裂強さおよび引張強さが低下するおそれがあり、多すぎると架橋物の疲労性が低下する可能性がある。
ニトリルゴム(a)は、そのヨウ素価が120以下、好ましくは80以下、さらに好ましくは50以下、より好ましくは25以下、特に好ましくは15以下のものである。ニトリルゴム(a)のヨウ素価が高すぎると、架橋物の耐オゾン性が低下するおそれがある。
また、ニトリルゴム(a)のムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は、好ましくは15〜200、より好ましくは30〜100、特に好ましくは45〜90である。ニトリルゴム(a)のムーニー粘度が低すぎると架橋物の強度特性が低下するおそれがあり、ムーニー粘度が高すぎるとニトリルゴム組成物の加工性が低下するおそれがある。
上記ニトリルゴム(a)の製造方法は特に限定されない。一般的には、α,β−エチレン性不飽和ニトリル、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル、ジエンまたはα−オレフィン、および必要に応じて加えられるこれらと共重合可能なその他の単量体を共重合する方法が便利で好ましい。重合法としては、公知の乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法および溶液重合法のいずれをも用いることができるが、重合反応の制御の容易性等から、乳化重合法が好ましい。
共重合して得られた共重合体のヨウ素価が上記の範囲より高い場合は、共重合体の水素化(水素添加反応)を行うと良い。
水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、上記ニトリルゴム(a)のカルボキシル基を架橋するために架橋剤を必須成分として含有する。
本発明で使用される上記架橋剤は、多価アルコール化合物(b1)、多価エポキシ化合物(b2)および多価イソシアネート化合物(b3)よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物である。
多価アルコール化合物(b1)は、水酸基を2個以上、好ましくは2〜6個有する、炭素数が2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の有機化合物であれば限定されない。多価アルコール化合物(b1)1g中のOH基に相当する水酸化カリウムのmg数である水酸基価は、好ましくは5〜1,800mgKOH/g、より好ましくは20〜1,750mgKOH/g、特に好ましくは100〜1,700mgKOH/gである。
多価アルコール化合物(b1)の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリト−ル、ヒドロキノン、ジヒドロキシエチルエーテルおよびビスフェノールA等のポリオール;上記ポリオールとアルキレンオキシドとの付加重合物;ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等のアミノ基を有するポリオール;エチルアミン、プロピルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミンおよびジエチレントリアミン等の低分子量アミンにアルキレンオキシドを付加重合させたポリオール;アルビトール、ソルビト−ル、ソルビタン、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、ソルボース、フラクトース、パラチノース、マルトトリオ−ス、マレジトースおよびソルビタンプロピルエステル等の多糖類;ポリグリセリンエステル類;ポリビニルアルコール等の水酸基を複数有するポリオレフィン系オリゴマー;エチレン−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体等の分子内に水酸基を複数有するアクリレート系重合体;スピログリコールおよびジオキサングリコール等の環状エーテル構造を有するポリオール;トリシクロデカン−ジメタノール等の脂環式構造を有するポリオール;末端に水酸基を有しポリスチレンを側鎖に持つマクロモノマー;等が挙げられる。上記多価アルコール化合物は、1種単独でも2種以上を併用して用いても良いが、本発明の効果がより顕著に現れることから、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールが特に好ましい。
多価エポキシ化合物(b2)は、エポキシ基を2個以上有する有機化合物であれば限定されない。多価エポキシ化合物(b2)のエポキシ基1個当りの分子量であるエポキシ当量は、好ましくは10〜10,000(g/eq)、より好ましくは50〜1,000(g/eq)である。
多価エポキシ化合物(b2)の例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジβ−メチルグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテル、4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、カテコールジグリシジルエーテル、1,5−ナフタレンジグリシジルエーテル、1,6−ナフタレンジグリシジルエーテル、2,7−ナフタレンジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クロル化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ノボラックジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジグリシジルエーテル、1,5−ペンタンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、1,7−ヘプタンジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジグリシジルエーテル、1,9−ノナンジグリシジルエーテル、1,10−デカンジグリシジルエーテル、ソルビトールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルおよびエポキシウレタン樹脂等のグリシジルエーテル型化合物;
p−グリシジルエーテル安息香酸グリシジルエステル等のグリシジルエーテルエステル型化合物;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステルおよびフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル型化合物;ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のグリシジルアミン型化合物;ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、リモネンジオキサイド等の脂環族エポキシ化合物;1,2,7,8−ジエポキシオクタン等の線状短鎖脂肪族エポキシ化合物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の線状長鎖脂肪族エポキシ化合物;ポリアミドエピクロルヒドリン等のエピクロルヒドリン化合物;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ハロゲノ化ビスフェノール型エポキシ樹脂およびフェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物等のエポキシ樹脂;等が挙げられる。上記多価エポキシ化合物は、1種単独でも2種以上を併用して用いても良いが、本発明の効果がより顕著に現れることから、エポキシ樹脂が特に好ましい。
多価イソシアネート化合物(b3)は、イソシアネート基を2個以上有する有機化合物であれば限定されない。多価イソシアネート化合物(b3)のイソシアネート基含有量は、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
多価イソシアネート化合物(b3)の例としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、トリメチロールプロパン−TDIアダクト(商品名:DesmodurL、バイエル社製等)、水素化トリレンジイソシアネート(水素化TDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化MDI、o−トルイレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、オルソトリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイシシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、アリレンスルホンエーテルジイソシアネート、アリルシアンジイソシアネート、N−アシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンまたはノルボルナン−ジイソシアネートメチル、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、クロロフェニルジイソシアネート、ジメトキシジフェニルジイソシアネート、ジメチルジフェニレンジイソシアネート、テトラメチルジフェニレンジイソシアネート、ジフェニルジフェニレンジイソシアネート、ジクロロジフェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、トランスビニレンジイソシアネート、N,N’−(4,4’−ジメチル−3,3’−ジフェニルジイソシアネート)ウレジオン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートおよび1,5−ナフチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート;
1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(p−イソシアネートフェニル)チオホスファイト、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、4,4’,4”−トリメチル−3,3’,3”−トリイソシアネート−2,4,6−トリフェニルシアヌレートなどのトリイソシアネート;ジメチレントリフェニルメタンテトライソシアネートなどのテトライソシアネート;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、多官能芳香族ポリイソシアネート、多官能脂肪族ポリイソシアネート、変性多官能脂肪族ポリイソシアネート、変性多官能芳香族ポリイソシアネートおよびポリイソシアネートプレポリマー等のポリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネートの二量体等のダイマー;グリセリンやトリメチロールプロパン等のポリオールと上記ジイソシアネートとの付加反応物;等が挙げられる。上記多価イソシアネート化合物は、1種単独でも2種以上を併用して用いても良いが、本発明の効果がより顕著に現れることから、ポリイソシアネート(下記に記載のブロック化物を含む。)が特に好ましい。
また、多価イソシアネート化合物(b3)は、2価以上の多官能イソシアネートとブロック化剤とを反応させて得られる化合物であるブロック化イソシアネート化合物でもよい。多価イソシアネート化合物(b3)がブロック化イソシアネート化合物の場合は、熱処理等によってイソシアネート基を2個以上脱ブロック化した後のイソシアネート基含有量が、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
ブロック化剤としては、例えばジフェニルアミン、ビス(ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、フェニルイソプロピルアミン、フェニルナフチルアミン、ナフチルフェニレンジアミン、ジフェニルフェニレンジアミン、ジナフチルフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−メチルフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−エチルフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピルフェニレンジアミン、アニリンおよびカルバゾール等のアミン;フェノール、クレゾール、キシレノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、メチレンビス(エチル−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、チモール、ナフトール、ニトロフェノールおよびクロロフェノール等のフェノール;メタノール、エタノール、ブロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブおよびシクロヘキサノール等のアルコール;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルおよびアセト酢酸エチル等の活性メチレン化合物;ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンおよびチオフェノール等のメルカプタン;アセトアニリド、アセトアニシジド、酢酸アミド、ベンズアミドおよびスルフェンアミド等のアミド;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミド等のイミド;イミダゾール、エチルイミダゾールおよびメルカプトベンツイミダゾール等のイミダゾール;尿素、エチレン尿素およびチオ尿素等の尿素;フェニルカルバミン酸フェニルおよびオキサゾリドン等のカルバミン酸塩;エチレンイミン等のイミン;ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、メチルエチルケトオキシムおよびシクロヘキサノンオキシム等のオキシム;ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジンおよびトリルビグアニド等のグアニジン;亜硫酸水酸化ナトリウムおよび亜硫酸水素カリウム等の亜硫酸塩;ε−カプロラクタム等のラクタム類;などが挙げられる。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物における架橋剤である多価アルコール化合物(b1)、多価エポキシ化合物(b2)および多価イソシアネート化合物(b3)よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物の含有量は、該化合物の水酸基、エポキシ基または/およびイソシアネート基の量が、ニトリルゴム(a)の有するカルボキシル基に対して0.2〜5当量、好ましくは0.3〜4当量、より好ましくは0.4〜3当量である。架橋性ニトリルゴム組成物における上記化合物の含有量が少なすぎると架橋物は引張強さおよび引裂強さが低下するおそれがあり、多すぎると疲労性が低下する可能性がある。
なお、上記において「水酸基、エポキシ基または/およびイソシアネート基の量」とは、b1、b2またはb3を併用する場合は、その合計の量を表す。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、上記ニトリルゴム(a)、並びに、多価アルコール化合物(b1)、多価エポキシ化合物(b2)および多価イソシアネート化合物(b3)よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物以外に、ゴム加工分野において通常使用される配合剤、例えば、カーボンブラックやシリカなどの補強性充填材、炭酸カルシウムやクレーなどの非補強性充填材、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、硫黄架橋剤、有機過酸化物架橋剤、架橋助剤、架橋遅延剤などを配合することができる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を適宜配合することができる。
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、ニトリルゴム(a)以外のゴムを配合してもよい。ニトリルゴム(a)以外のゴムには特に限定がない。しかし、一般的なアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムのように、不飽和度の高いニトリル基含有共重合体ゴムを配合する場合は、ニトリルゴム(a)100重量部当たり30重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下使用すべきである。不飽和度の高いニトリル基含有共重合体ゴムの配合量が多すぎると、本発明の架橋物が有する後述の特性が発揮されない。
本発明のニトリルゴム組成物は、上記各成分を非水系で混合して調製される。
本発明のニトリルゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、架橋剤および熱に不安定な架橋助剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、ロールなどに移して加硫剤等を加えて二次混練する。
調製されたニトリルゴム組成物は実質的に非含水組成物で、水分含有量は好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ニトリルゴム組成物を架橋して本発明の架橋物を得るには、所望の形状に対応した成形機、例えば押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、また、架橋反応により架橋物として形状を固定化する。予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
また、架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
本発明の架橋物は、耐油性、耐熱性および耐オゾン性に優れるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの特性に加えて、引張強さおよび引裂強さが大きい特徴を有する。そのため本発明の架橋物は、O−リング、パッキン、ダイアフラムなどの各種シール用ゴム製品;コンベアーベルト、Vベルト、タイミングベルトなどの各種ベルト;バルブおよびバブルシート、BOP(Blow Out Preventar)、プラターなどの油田用シールゴム部品;クッション材、防振材などの減衰材ゴム部品;オイルホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;印刷用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;などの激しい剪断応力を繰り返し受ける用途をはじめ、ガスケット、自動車内装部材、靴底など幅広い用途に使用することができる。特に繊維含浸体や金属複合体以外のバルクのゴム製品において、改善された引張強さおよび引裂強さの効果が活かされる。
以下に製造例、実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下の配合において〔部〕は、特に断わりのない限り重量基準である。
試験、評価は下記によった。
(1)カルボキシル基含有量
カルボキシル基含有量は、水酸化カリウムの0.02Nエタノール溶液を用いて、室温でチモールフタレインを指示薬とする滴定により、ゴム100gに対するカルボキシル基の数を求めた。単位はephrである。
(2)ムーニー粘度
JIS K 6300に従って測定した。
(3)常態物性(引張強さ、伸び)
架橋性ニトリルゴム組成物を縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、加圧しながら170℃で20分間プレス成形してシート状架橋物を得た。得られたシート状架橋物を3号形ダンベルで打ち抜き、試験片を作製した。これらの試験片を用いて、JIS K 6251に従い、架橋物の引張強さおよび伸びを測定した。
(4)常態物性(硬さ)
上記(3)と同様にして得たシート状ゴム架橋物につき、JIS K 6253に従い、デュロメータ硬さ試験機タイプAを用いて架橋物の硬さを測定した。
(5)引裂強さ
上記(3)と同様にして得たシート状ゴム架橋物につき、JIS K 6252に従い、切込み無しアングル形のダンベルで打ち抜き架橋物の引裂強さを測定した。
(4)疲労性(定伸長疲労試験)
JIS K 6260に規定の屈曲疲労試験機を用い、上記(3)と同様にして得たシート状ゴム架橋物につき、JIS K 6251に定められた3号ダンベル形の試験片を作製し、伸び測定用の標線を付け、伸びが100%になるまで伸長させ、それを歪みがなくなるまで戻す操作を20万回繰り返し、試験片が破断するかを見た。各試料に対し6試験片について試験し、下記基準で評価した。○が疲労性に優れる。
○:6つとも破断しない。
×:破断した試験片が少なくとも1個ある。
(製造例1)
金属製ボトルに、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル37部、イタコン酸モノn−ブチル4部、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、ブタジエン61部を仕込んだ。金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合触媒)0.1部を仕込み、金属製ボトルを回転させながら16時間重合反応した。濃度10重量%のハイドドキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、アクリロニトリル単位36重量%、ブタジエン単位60重量%、イタコン酸モノn−ブチル単位4重量%のアクリロニトリル−ブタジエン−α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル共重合体ゴムラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
該ラテックスに含有される乾燥ゴム重量に対してパラジウム含有量が1,000ppmになるようにオートクレーブにパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液に等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムラテックスを得た。
得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴムラテックスに2倍容量のメタノールを加えて、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを凝固した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリルゴム(a)を得た。ニトリルゴム(a)のヨウ素価は10、カルボキシル基含有量は2.2×10−2ephr、ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕 は85であった。
(製造例2)
製造例1において、イタコン酸モノn−ブチル4部に代えて、メタクリル酸2部を用いた他は製造例1と同様に行って、ニトリルゴム(b)を得た。ニトリルゴム(b)のヨウ素価は8、カルボキシル基含有量は2.3×10−2ephr、ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕 は80であった。
(実施例1)
バンバリーミキサを用いてニトリルゴム(a)100部に、ステアリン酸1部、FEFカーボンブラック(旭60、旭カーボン社製)40部、可塑剤(アデカサイザーC−8、旭電化社製)5部、4,4’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(ノクラックCD、大内新興社製)1.5部および2−メルカプトベンズイミダゾール(ノクラックMB、大内新興社製)1.5部を添加して混合し、次いで、混合物をロールに移して1,3−ジ−o−トリルグアニジン(ノクセラーDT、大内新興社製)2部、および、多価アルコール化合物(b1)であるペンタエリスリトールをニトリルゴム(a)含有カルボキシル基に対して0.5当量添加して混練し、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。この組成物を架橋して得た架橋物について常態物性、引裂強さおよび定伸長疲労試験を試験、評価した結果を表1に記す。
(実施例2〜8、比較例1〜4)
実施例1において、ペンタエリスリトール0.5当量に代えて、表1に記すペンタエリスリトール、多価エポキシ化合物(b2)であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量約190g/eq)または多価イソシアネート化合物(b3)であるブロック化ポリイソシアネート(コロネート2503、日本ポリウレタン社製、有効イソシアネート基含有量約10%)を、表1に記す当量用いた他は実施例1と同様に行ってそれぞれ架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。得られた架橋性ニトリルゴム組成物について、実施例1と同様に試験、評価した結果を表1に記す。
(比較例5)
実施例1において、ペンタエリスリトール0.5当量に代えて、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(製品名Diak#1、デュポン社製)をニトリルゴム(a)含有カルボキシル基に対して1当量用いた他は実施例1と同様に行って、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。得られた架橋性ニトリルゴム組成物について実施例1と同様に試験、評価した結果を表1に記す。
(比較例6)
実施例1において、ニトリルゴム(a)に代えてニトリルゴム(b)を用いた他は実施例1と同様に行って架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。得られた架橋性ニトリルゴム組成物について実施例1と同様に試験、評価した結果を表1に記す。
Figure 2007031631
表1が示すように、架橋剤として多価アルコール化合物、多価エポキシ化合物または多価イソシアネート化合物を、ニトリルゴム(a)の有するカルボキシル基に対して特定当量用いる本発明の架橋性ニトリルゴム組成物による架橋物は、引張強さ、引裂強さ、伸び、および疲労性の全てに優れていた(実施例1〜8)。
一方、多価アルコール化合物、多価エポキシ化合物または多価イソシアネート化合物の使用量を規定より少なく、または多く用いると、少ない場合は架橋物の引裂強さが低下し、多い場合は引裂強さおよび疲労性に劣った(比較例1〜4)。
また、架橋剤として多価アルコール化合物、多価エポキシ化合物および多価イソシアネート化合物のいずれも使用せずに、ヘキサメチレンジアミンカルバーメートを用いた場合は、疲労性が劣った(比較例5)。
さらに、ニトリルゴム(a)に代えてニトリルゴム(b)について多価アルコール化合物による架橋を行っても、引張強さおよび引裂強さが著しく低い架橋物となった(比較例6)。

Claims (3)

  1. α、β−エチレン性不飽和ニトリル単位およびα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単位を有し、ヨウ素価が120以下であるニトリルゴム(a)100重量部に対し、
    多価アルコール化合物(b1)、多価エポキシ化合物(b2)および多価イソシアネート化合物(b3)よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、該化合物の水酸基、エポキシ基、または/およびイソシアネート基の量が、
    前記ニトリルゴム(a)の有するカルボキシル基に対して0.2〜5当量となる重量部含有してなる架橋性ニトリルゴム組成物。
  2. 前記ニトリルゴム(a)の有するカルボキシル基の量が、5×10−4〜5×10−1ephrである請求項1記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  3. 請求項1または2記載の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなる架橋物。

JP2005220027A 2005-07-29 2005-07-29 架橋性ニトリルゴム組成物および架橋物 Active JP5176266B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005220027A JP5176266B2 (ja) 2005-07-29 2005-07-29 架橋性ニトリルゴム組成物および架橋物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005220027A JP5176266B2 (ja) 2005-07-29 2005-07-29 架橋性ニトリルゴム組成物および架橋物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007031631A true JP2007031631A (ja) 2007-02-08
JP5176266B2 JP5176266B2 (ja) 2013-04-03

Family

ID=37791259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005220027A Active JP5176266B2 (ja) 2005-07-29 2005-07-29 架橋性ニトリルゴム組成物および架橋物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5176266B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009022660A1 (ja) * 2007-08-10 2009-02-19 Zeon Corporation シール材用高飽和ニトリルゴムおよびゴム架橋物
JP2013531076A (ja) * 2010-04-15 2013-08-01 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー ニトリルゴムのためのイソシアネート基含有架橋剤
CN103951924A (zh) * 2014-05-14 2014-07-30 北京化工大学 一种衣康酸酯基生物工程橡胶阻尼材料及其制备方法
CN104558717A (zh) * 2015-01-21 2015-04-29 山东美晨科技股份有限公司 一种用于制造空滤器出气软管的丁腈橡胶配方
WO2015115521A1 (ja) * 2014-01-30 2015-08-06 日本ゼオン株式会社 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
CN106117665A (zh) * 2016-07-05 2016-11-16 东莞市顺锦贸易有限公司 一种橡皮布翻新用橡胶涂层及翻新工艺
KR20190066151A (ko) * 2017-12-05 2019-06-13 주식회사 엘지화학 딥 성형용 라텍스 조성물, 이의 제조방법 및 이로부터 성형된 성형품
CN110628098A (zh) * 2019-08-16 2019-12-31 广东亿达汽车密封件股份有限公司 一种耐高温丁腈密封材料及其制备方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3822229A (en) * 1972-11-10 1974-07-02 Dow Chemical Co Aqueous binder compositions based on curable liquid synthetic resin,curing agent therefor,hydraulic cement and plasticizing agent
JPS63234075A (ja) * 1987-03-23 1988-09-29 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 接着剤
JPS646039A (en) * 1987-06-29 1989-01-10 Nippon Zeon Co Rubber composition
JP2001055471A (ja) * 1999-08-20 2001-02-27 Nippon Zeon Co Ltd 架橋性ゴム組成物および架橋物
JP2004285293A (ja) * 2003-03-25 2004-10-14 Nippon Zeon Co Ltd 架橋性ニトリル共重合ゴム組成物及び架橋成形体
WO2004101671A1 (de) * 2003-05-15 2004-11-25 Lanxess Deutschland Gmbh Hxnbr-kautschuk als vernetzungsmittel
WO2005030859A1 (ja) * 2003-09-30 2005-04-07 Zeon Corporation 架橋性ゴム組成物及び架橋物
JP2006096862A (ja) * 2004-09-29 2006-04-13 Nippon Zeon Co Ltd 架橋性ゴム組成物及び架橋物

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3822229A (en) * 1972-11-10 1974-07-02 Dow Chemical Co Aqueous binder compositions based on curable liquid synthetic resin,curing agent therefor,hydraulic cement and plasticizing agent
JPS63234075A (ja) * 1987-03-23 1988-09-29 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 接着剤
JPS646039A (en) * 1987-06-29 1989-01-10 Nippon Zeon Co Rubber composition
JP2001055471A (ja) * 1999-08-20 2001-02-27 Nippon Zeon Co Ltd 架橋性ゴム組成物および架橋物
JP2004285293A (ja) * 2003-03-25 2004-10-14 Nippon Zeon Co Ltd 架橋性ニトリル共重合ゴム組成物及び架橋成形体
WO2004101671A1 (de) * 2003-05-15 2004-11-25 Lanxess Deutschland Gmbh Hxnbr-kautschuk als vernetzungsmittel
WO2005030859A1 (ja) * 2003-09-30 2005-04-07 Zeon Corporation 架橋性ゴム組成物及び架橋物
JP2006096862A (ja) * 2004-09-29 2006-04-13 Nippon Zeon Co Ltd 架橋性ゴム組成物及び架橋物

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009022660A1 (ja) * 2007-08-10 2009-02-19 Zeon Corporation シール材用高飽和ニトリルゴムおよびゴム架橋物
JP2013531076A (ja) * 2010-04-15 2013-08-01 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー ニトリルゴムのためのイソシアネート基含有架橋剤
US10597467B2 (en) 2010-04-15 2020-03-24 Arlanxeo Deutschland Gmbh Cross-linking agents containing isocyanate groups for nitrile rubbers
US10196499B2 (en) * 2014-01-30 2019-02-05 Zeon Corporation Cross-linkable nitrile rubber composition and cross-linked rubber
WO2015115521A1 (ja) * 2014-01-30 2015-08-06 日本ゼオン株式会社 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
CN105934474A (zh) * 2014-01-30 2016-09-07 日本瑞翁株式会社 交联性腈橡胶组合物及橡胶交联物
US20170009051A1 (en) * 2014-01-30 2017-01-12 Zeon Corporation Cross-linkable nitrile rubber composition and cross-linked rubber
JPWO2015115521A1 (ja) * 2014-01-30 2017-03-23 日本ゼオン株式会社 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
CN103951924A (zh) * 2014-05-14 2014-07-30 北京化工大学 一种衣康酸酯基生物工程橡胶阻尼材料及其制备方法
CN104558717A (zh) * 2015-01-21 2015-04-29 山东美晨科技股份有限公司 一种用于制造空滤器出气软管的丁腈橡胶配方
CN106117665A (zh) * 2016-07-05 2016-11-16 东莞市顺锦贸易有限公司 一种橡皮布翻新用橡胶涂层及翻新工艺
KR20190066151A (ko) * 2017-12-05 2019-06-13 주식회사 엘지화학 딥 성형용 라텍스 조성물, 이의 제조방법 및 이로부터 성형된 성형품
KR102367422B1 (ko) 2017-12-05 2022-02-23 주식회사 엘지화학 딥 성형용 라텍스 조성물, 이의 제조방법 및 이로부터 성형된 성형품
CN110628098A (zh) * 2019-08-16 2019-12-31 广东亿达汽车密封件股份有限公司 一种耐高温丁腈密封材料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5176266B2 (ja) 2013-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5176266B2 (ja) 架橋性ニトリルゴム組成物および架橋物
JP5888384B2 (ja) 架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物
JP5176267B2 (ja) ニトリルゴム組成物および架橋物
EP2392599B1 (en) Highly saturated copolymer rubber containing nitrile groups
EP2009050B1 (en) Crosslinkable nitrile rubber composition and crosslinked rubber product
JP5487541B2 (ja) ニトリルゴム、ニトリルゴム組成物および架橋物
EP2239297B1 (en) Crosslinkable nitrile rubber composition and crosslinked rubber
CN102575066B (zh) 交联性腈橡胶组合物及其制造方法
JP5152451B2 (ja) 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JP6113402B2 (ja) ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JP6881318B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
EP3124533B1 (en) Crosslinking rubber composition and crosslinked rubber production method
JP5716585B2 (ja) 架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物
JP2008138048A (ja) 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JP4505913B2 (ja) アクリル系エラストマー組成物およびその架橋性組成物
JP5644485B2 (ja) ゴム積層体
WO2015194539A1 (ja) ゴム架橋物
JPWO2019049855A1 (ja) カルボキシル基含有ニトリルゴム、架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JPS62207316A (ja) クロロプレンゴム系組成物
WO2015194538A1 (ja) ゴム架橋物
JPH04304251A (ja) 水膨張性組成物とその製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110316

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110511

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110511

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120306

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120416

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121224

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5176266

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250