JP2007029842A - 有機性廃棄物の減容方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒーター等の加熱手段を必要とすることなしに有機性廃棄物を加熱して発酵分解処理を行なうことができ、さらには、回転軸方向の撹拌作用にも優れ、場所によって発酵分解処理にムラを生じることのない有機性廃棄物の減容方法とその装置を提供する。
【解決手段】 生ゴミ11等の有機性廃棄物を好気性微生物によって発酵分解処理することによりその容積を減容化する有機性廃棄物の減容装置において、密閉式の処理槽1と、モータ7によって回転駆動される回転軸8に固設された螺旋の向きを逆巻きとされた一対のスクリューと、処理槽内に外部空気を導入・排出する吸排気手段4〜6とを備え、 処理槽1内に投入された生ゴミ11等の有機性廃棄物の発酵分解処理に際し、有機性廃棄物を発酵分解に適した温度まで加熱するための加熱手段として、鉄分を主成分とする酸化発熱剤12を用いた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機性廃棄物(例えば、家庭や飲食店等から出る生ゴミ、下水処理等で発生する有機成分を含んだし渣や汚泥等)を発酵分解してその容積を減容化する方法と、この方法を利用した有機性廃棄物の減容装置に関するものである。
例えば、家庭から出る生ゴミ等の処理方法として、微生物によって生ゴミを分解発酵させ、その容積を減容化する方法が広く知られている。この生ゴミの分解発酵を効率良く行なわせるには、生ゴミを撹拌しながら発酵させる際に、処理槽内の生ゴミを微生物の活動に適した温度まで加熱する必要がある。従来、この加熱方法として、処理槽下底あるいは処理槽全体をヒーター等の加熱手段によって加熱する方法(特許文献1参照)や、ヒーターなどの加熱手段によって加熱した高温空気を処理槽の下底部等から処理槽内に吹き込む方法(特許文献2参照)等が採用されている。
特開2004−82110号公報 特開2001−121123号公報
しかしながら、ヒーター等で処理槽を加熱したり、ヒーター等で加熱した高温空気を処理槽の下底部等から吹き込む方法の場合、生ゴミ等の有機性廃棄物の撹拌に滞留が生じると、処理槽内壁と接する部分で有機性廃棄物が炭化し、最悪の場合、火災を引き起こす危険性があった。また、従来装置の場合、生ゴミ等の有機性廃棄物の撹拌は、回転軸に立設した板状のパドル(特許文献1,2参照)で行なっており、周方向の撹拌作用は十分であるが、回転軸方向の撹拌作用が十分でなく、有機性廃棄物の投入口付近と投入口から離れた場所とでは発酵分解処理にムラを生じ、均一な処理を行なうことが難しいという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、ヒーター等の加熱手段を必要とすることなしに有機性廃棄物を加熱して発酵分解処理を行なうことができ、さらには、回転軸方向の撹拌作用にも優れ、処理槽内の場所によって発酵分解処理にムラを生じることのない有機性廃棄物の減容方法とその装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明では次のような手段を採用した。
すなわち、請求項1に係る発明は、有機性廃棄物を好気性微生物によって発酵分解処理することによりその容積を減容化する有機性廃棄物の減容方法であって、撹拌混合される有機性廃棄物中に鉄分を主成分とする酸化発熱剤を添加し、該酸化発熱剤の酸化発熱によって有機性廃棄物を発酵分解に適した温度まで加熱することを特徴とするものである。このような構成とすることにより、ヒーター等の加熱手段を必要とすることなしに有機性廃棄物を加熱することができ、処理槽内壁と接する部分で有機性廃棄物が炭化して火災を引き起こすというような問題をなくすことができる。
請求項2に係る発明は、前記請求項1記載の減容方法において、前記酸化発熱剤に、発酵助剤として少なくとも腐植酸とフルボ酸を添加したことを特徴とするものである。このような構成とすることにより、有機性廃棄物の発酵分解をより速めることができるとともに、発酵分解過程で発生する悪臭物質(例えばアンモニアガス等)を腐植酸やフルボ酸による化学反応及び微生物による生物反応によって分解し、無臭化することができるので、加熱効果だけでなく脱臭効果も図ることができる。
請求項3に係る発明は、前記請求項1または2記載の減容方法において、前記酸化発熱剤に、酸化助剤として炭素粉末(活性炭、木粉等)を添加したことを特徴とするものである。このような構成とすることにより、炭素粉末が空気中の酸素を吸着して鉄分の酸化に必要な酸素濃度を高めることができ、微生物による発酵分解をより促進することができる。
請求項4に係る発明は、前記請求項1〜3のいずれかに記載の減容方法において、前記酸化発熱剤をペレット状としたことを特徴とするものである。このように酸化発熱剤をペレット状とすることにより、酸化発熱剤の取り扱いや管理・保管を容易化することができる。
請求項5に係る発明は、有機性廃棄物を好気性微生物によって発酵分解処理することによりその容積を減容化する有機性廃棄物の減容装置であって、有機性廃棄物を投入して発酵分解処理を行なう処理槽と、該処理槽内に配置された撹拌手段と、該撹拌手段を回転駆動する駆動手段と、前記処理槽内に外部空気を導入・排出するための吸排気手段とを備え、前記処理槽内に投入された有機性廃棄物の発酵分解処理に際し、有機性廃棄物を発酵分解に適した温度まで加熱するための加熱手段として、鉄分を主成分とする酸化発熱剤を用いたことを特徴とするものである。
このような構成とすることにより、ヒーター等の加熱手段を必要とすることなしに有機性廃棄物を加熱することができ、しかも、有機性廃棄物を処理槽の左右両側から処理槽中心側に向けて送りながら撹拌混合することができるので、有機性廃棄物が処理槽内で滞留するようなこともなくなり、処理槽の内壁と接する部分で有機性廃棄物が炭化して火災を引き起こすというような問題を防止することができる。また、ヒーター等の加熱手段や加熱空気の送風手段等を不要とすることができるので、装置の構成を簡素化することができ、装置の小型化を図ることができる。
請求項6に係る発明は、前記請求項5記載の減容装置において、前記撹拌手段が、前記駆動手段によって回転駆動される回転軸と、該回転軸のまわりに固設され、かつ、回転軸の軸方向中央部付近を境として逆向きの螺旋状とされた左右一対のスクリューとからなることを特徴とするものである。このような構成とすることにより、撹拌混合時の有機性廃棄物の送り方向が左右のスクリューで反対方向となり、大きな撹拌効果を発揮することができる。
請求項7に係る発明は、前記請求項6記載の減容装置において、前記処理槽の下底部を、前記左右一対のスクリューの外端縁が摺接するか或いは僅かなすき間をおいて対向するように、半円筒形状としたことを特徴とするものである。このような構成とすることにより、処理槽とスクリューとの間のすき間がほとんどなくなるで、スクリューによる撹拌効果をより向上することができ、発酵分解の処理効率を上げることができる。
請求項8に係る発明は、前記請求項6または7記載の減容装置において、前記回転軸の回転方向を所定時間毎に正転方向と逆転方向に交互に切り換え、回転軸に固設された左右一対のスクリューの回転方向を所定時間毎に正逆切り換えるようにしたことを特徴とするものである。
このような構成とすることにより、正転時、有機性廃棄物は左右一対のスクリューによって処理槽中央部側へ向けて送られ、処理槽中央部付近でお互いにぶつかり合い、下から上へ掬い上げるようにして掻き混ぜながら撹拌混合されるので、極めて大きな撹拌効果を得ることができる。一方、逆転時には、有機性廃棄物の送り方向がお互いに外側へ向かって離れていく方向となる。このため、前記正転時に有機性廃棄物がぶつかり合って撹拌混合される際に、含有水分や粘性の関係で有機性廃棄物同士が団子状に固まるようなことがあったとしても、お互いがぶつかることのないように外側へ向かって送りながら、団子状になった有機性廃棄物をスクリューによって細かく砕いて元の粒状の状態に戻すことができ、左右一対のスクリューの持つ高い撹拌効果をいつまでも維持することができる。
請求項9に係る発明は、前記請求項5〜8のいずれかに記載の減容装置において、前記酸化発熱剤に、発酵助剤として少なくとも腐植酸とフルボ酸を添加したことを特徴とするものである。このような構成とすることにより、有機性廃棄物の発酵分解をより速めることができるとともに、発酵分解過程で発生する悪臭物質(例えばアンモニアガス等)を腐植酸やフルボ酸による化学反応及び微生物による生物反応によって分解し、無臭化することができるので、加熱効果だけでなく脱臭効果も図ることができる。
請求項10に係る発明は、前記請求項5〜9のいずれかに記載の減容装置において、前記酸化発熱剤に、炭素粉末(活性炭、木粉等)を添加したことを特徴とするものである。このような構成とすることにより、炭素粉末が空気中の酸素を吸着して鉄分の酸化作用に必要な酸素濃度を高めることができ、鉄分の酸化発熱をより確実に行なわせることができる。
請求項11に係る発明は、前記請求項5〜10のいずれかに記載の減容装置において、前記酸化発熱剤をペレット状としたことを特徴とするものである。このように酸化発熱剤をペレット状とすることにより、酸化発熱剤の取り扱いや保管、管理を容易化することができ、装置としての使用性、操作性を向上することができる。
上記したように、本発明によれば、ヒーター等の加熱手段を必要とすることなしに有機性廃棄物を加熱して発酵分解処理を行なうことができる。また、回転軸方向の撹拌作用にも優れ、場所によって発酵分解処理にムラを生じることのない有機性廃棄物の減容方法とその装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に、本発明方法を適用して構成した本発明に係る有機性廃棄物の減容装置の一実施例を示す。(a)は減容装置の略示縦断面図、(b)は(a)中のI−I線断面図である。
図において、1は密閉された処理槽であって、その下底部1aは半円筒形状とされている。この処理槽1の上面中央位置には開閉蓋2を備えた有機性廃棄物の投入口3が形成されているとともに、槽上部側の左右壁には吸気口4と排気口5が形成されている。さらに、排気口5には、微生物による発酵分解に必要な空気(酸素)を吸気口4から導入するとともに、槽内の空気や発生ガス(炭酸ガス等)を排出するための排気ファン6が設けられている。なお、これら吸気口4、排気口5、排気ファン6が、特許請求の範囲で言うところの「吸排気手段」を構成している。なお、処理槽1は、使用形態によっては開放式としてもよい。
一方、処理槽1内には、モータ7などの駆動手段によって回転駆動される回転軸8が処理槽1の半円筒形状をした下底部1aの筒軸方向に沿って同心に架け渡されており、この回転軸8に撹拌用の2つのリボンスクリュー9a,9bが取り付けられている。
一対のリボンスクリュー9a,9bは、それぞれ帯状をした細幅の金属板体からなり、この帯状をした細幅の金属板体を回転軸8のまわりに所定のすき間をおいて螺旋状に巻き付けたもので、その外端縁が処理槽1の半円筒形状をした下底部1aの内周面に摺接するか或いは僅かなすき間をおいて相対するように、連結部材10によって回転軸8に固設されている。従って、このリボンスクリュー9a,9bは、回転軸8の回転に伴って、回転軸8と一緒になって回転する。
上記一対のリボンスクリュー9a,9bは、回転軸8の中央位置付近で左右に分割されており、この回転軸8の軸方向中央部付近を境にしてその螺旋の向きが反対向き、すなわち逆巻きとされている。このように、一対のリボンスクリュー9a、9bを逆巻きに形成することにより、後述する処理動作の説明から明らかとなるように、生ゴミ等の有機性廃棄物を処理槽1の左右両側から処理槽中央部側に向けて送りながら撹拌混合することができ、極めて大きな撹拌効果を得ることができる。なお、これら回転軸8,リボンスクリュー9a、9bが、特許請求の範囲で言うところの「撹拌手段」を構成している。
なお、図示実施例では、撹拌手段を構成するスクリューとして、上記したいわゆるリボンスクリュー9a,9bを用いたが、撹拌用のスクリューはこのリボンスクリューに限られるものではなく、回転軸8との間にすき間のない全面螺旋翼状をした通常のスクリューであってもよい。
次に、上記装置の処理動作を説明する。
まず、上記装置の使用に際しては、従来用いられていたヒーター等の加熱手段による加熱に代えるため、生ゴミ等の有機性廃棄物を酸化発熱によって加熱する酸化発熱剤を用意しておく。この酸化発熱剤としては、鉄粉を主成分とし、補助剤として炭素粉末(活性炭、木粉等)等を混合したものを用いる。炭素粉末(活性炭、木粉等)は、空気中の酸素を吸着して鉄分の酸化作用に必要な酸素濃度を高め、鉄分の酸化発熱をより効率よく行なわせるための補助剤である。なお、この酸化発熱剤は、処理槽1への投入の容易化、保管や管理の容易化等を図るため、前記鉄粉と炭素粉末を混練して適当な大きさのペレット状に形成しておくことが望ましい。
さらに、この実施例では、有機性廃棄物の発酵と分解をより積極的に行なわせるため、上記酸化発熱剤からなるペレット中に、腐植酸(フミン酸)、フルボ酸、好気性微生物等の発酵助剤を添加した。
通常、生ゴミなどの有機性廃棄物中にはバクテリア等の好気性微生物が自然発生的に存在する。したがって、特に発酵用の微生物を投入しなくても、新鮮な空気の供給と適度な温度、適度な水分を与えさえすれば自然発生的に発酵が始まり、有機性廃棄物の分解が行なわれるが、本実施例では、この発酵と分解をより積極的に行わせるため、さらに発酵助剤として上記腐植酸(フミン酸)、フルボ酸、好気性微生物を添加したものである。これにより、有機性廃棄物の発酵と分解がより速やかに行なわれるとともに、発酵分解過程で発生する悪臭物質(例えばアンモニアガス等)を腐植酸(フミン酸)やフルボ酸による化学反応及び微生物による生物反応によって分解して無臭化することができ、鉄分の酸化発熱による加熱効果だけでなく脱臭効果も図ることができる。
発酵分解処理を開始するには、モータ7を駆動して回転軸8を矢印の向きに回転させ、回転軸8に一体に固設されたリボンスクリュー9a,9bを回転軸8と一緒になって回転させる。また、排気ファン6を回し、吸気口4から外部の新鮮な空気(酸素)を処理槽1内に導入するとともに、内部の古い空気を排気口5から排出し、処理槽1内に常に新しい空気が供給されるようにする。なお、排気口5には、必要に応じて脱臭器を取り付けてもよい。
上記の状態で、有機性廃棄物、例えば台所から出た生ゴミ11等を投入口3から処理槽1内へ投入する。さらに、ペレット状の酸化発熱剤12を規定量投入する。
投入された生ゴミ11と酸化発熱剤12は、回転するリボンスクリュー9a,9bによって砕かれながら混合撹拌される。細かく砕かれた酸化発熱剤12がリボンスクリュー9a,9bによって掻き混ぜられながら処理槽1内の空気(酸素)に触れると、酸化発熱剤12の主成分である鉄分が空気中の酸素と生ゴミに含まれる水分と化学反応して急激に酸化し、酸化熱を発生する。撹拌混合される生ゴミはこの酸化熱によって加熱され、微生物による好気性発酵が開始し、生ゴミは時間の経過とともに分解されていく。
なお、酸化発熱剤12による発熱量は、投入された生ゴミ11に対する酸化発熱剤12の添加量によって調整することができる。したがって、生ゴミの温度が発酵分解処理に適した温度(処理対象物にもよるが40℃〜70℃程度)となるように、予め生ゴミに対する酸化発熱剤の添加量を定めておき、投入される生ゴミの量に応じて酸化発熱剤の添加量を調整すればよい。
上記のようにして生ゴミの発酵分解処理が進行していくが、このとき、一対のリボンスクリュー9aと9bはその螺旋の向きが逆巻きとされているので、回転軸8が図中の矢印方向に回転すると、右側のリボンスクリュー9aは生ゴミを処理槽1の中央方向、すなわち左方向に向けて撹拌混合しながら移送していく。一方、左側のリボンスクリュー9bは生ゴミを処理槽1の中央方向、すなわち右方向に向けて撹拌混合しながら移送していく。
そして、左右方向から移送されてきた生ゴミは処理槽1の中央付近でぶつかり合い、図中矢印で示すようにお互いに下から上に向けて掬い上げるように次々と掻き混ぜられていき、極めて良好な撹拌混合が行なわれる。この結果、従来のパドルによる撹拌混合に比べて発酵分解処理がより高速かつ確実に行なわれるようになる。
また、上記発酵分解過程において、炭酸ガスだけでなく悪臭物質(例えばアンモニアガス等)も発生するが、これらの悪臭物質は、酸化発熱剤12に発酵助剤として添加した腐植酸(フミン酸)やフルボ酸による化学反応及び微生物による生物反応によって分解されて脱臭され、無臭化される。したがって、排気口5から排出される排気ガスが悪臭で臭うというようなこともない。
上記した発酵分解処理を所定の時間(例えば、8〜24時間程度)継続すると、投入した生ゴミはその原形をとどめることなく完全に分解され、炭酸ガスとなって排出されるとともに、さらさらとした粒状の残滓物質だけが処理槽1内に残り、その容積が大幅に減容される。例えば、含水率80%程度の生ゴミの場合を例に採ると、その容積を約1/2〜1/10程度まで減容することができる。
上記のようにして発酵分解処理が終了したら、図示を略した取り出し口から処理槽1内に残った残渣物質を取り出せばよい。このとき、残渣物質の何割かを処理槽1内にそのまま残し、次の発酵分解処理のための菌床として利用することが望ましい。なお、残渣物質の取り出し口は、半円筒形状をした下底部1aの左右方向中央部付近に形成することが望ましい。下底部1aの左右方向中央部付近に形成すると、処理槽1内の残渣物質は回転する一対のリボンスクリュー9a,9bによって左右方向から処理槽中央部に向けて送られてくるので、取り出し口の蓋を開くだけで送られてくる残渣物質が次々と取り出し口内に落ち込み、自動的に処理槽外へ排出することができる。
以上のようにして、実施例の減容装置によれば、従来用いられていたヒーター等の加熱手段を必要とすることなしに生ゴミ等の有機性廃棄物を加熱し、発酵分解処理を行なうことができる。したがって、従来装置のように処理槽の内周面と接する部分で有機性廃棄物が炭化するようなことがなくなり、火災等の発生を防止することができる。
また、螺旋の向きを逆巻きとした一対のリボンスクリューを用いて有機性廃棄物を撹拌混合するようにしているので、周方向の撹拌作用だけでなく回転軸方向の撹拌作用にも優れたものとなり、処理槽内の場所によって発酵分解処理にムラを生じるというようなこともなくなる。
なお、上記実施例では、回転軸8を図中の矢印で示した方向へのみ回転(この回転方向を「正転」という)する場合について説明したが、矢印とは反対方向への回転(この回転方向を「逆転」という)も可能とし、この正転と逆転を所定時間毎に交互に繰り返すようにすれば、さらに優れたものとすることができる。
すなわち、モータ7或いはこれに付属したギヤボックス(図示せず)を制御し、回転軸8が所定時間毎に正転と逆転を交互に繰り返すようにすれば、正転時には、上記したように有機性廃棄物は左右一対のリボンスクリュー9a,9bによって処理槽1の中央部側へ向けて移送され、処理槽1の中央部付近でぶつかり合いながら下から上へ掬い上げるようにして撹拌混合され、極めて大きな撹拌効果を得ることができる。一方、逆転時には、有機性廃棄物の送り方向はお互いに外側へ向かって離れていく向きとなるので、正転時に有機性廃棄物がぶつかり合って撹拌混合される際に含有水分や粘性の関係で有機性廃棄物が団子状に固まるようなことがあっても、お互いがぶつからないように外側へ向かって送っていきながら、団子状になった有機性廃棄物をリボンスクリュー9a,9bによって細かく砕いて元のバラバラの状態に戻すことができる。このため、正転と逆転を交互に繰り返すことにより、左右一対のリボンスクリュー9a,9bの持つ高い撹拌効果を発酵分解処理の最初から最後まで高いレベルで維持することができる。
本発明方法を適用して構成した有機性廃棄物の減容装置の一実施例を示すもので、(a)は減容装置の略示縦断面図、(b)は(a)中のI−I線断面図である。
符号の説明
1 処理槽
1a 処理槽の下底部
2 開閉蓋
3 投入口
4 吸気口
5 排気口
6 排気ファン
7 モータ(駆動手段)
8 回転軸
9a,9b リボンスクリュー
10 連結部材
11 生ゴミ(有機性廃棄物)
12 酸化発熱剤

Claims (11)

  1. 有機性廃棄物を好気性微生物によって発酵分解処理することによりその容積を減容化する有機性廃棄物の減容方法において、
    撹拌混合される有機性廃棄物中に鉄分を主成分とする酸化発熱剤を添加し、該酸化発熱剤の酸化発熱によって有機性廃棄物を発酵分解に適した温度まで加熱することを特徴とする有機性廃棄物の減容方法。
  2. 前記酸化発熱剤に、発酵助剤として少なくとも腐植酸とフルボ酸を添加したことを特徴とする請求項1記載の有機性廃棄物の減容方法。
  3. 前記酸化発熱剤に、炭素粉末を添加したことを特徴とする請求項1または2記載の有機性廃棄物の減容方法。
  4. 前記酸化発熱剤をペレット状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機性廃棄物の減容方法。
  5. 有機性廃棄物を好気性微生物によって発酵分解処理することによりその容積を減容化する有機性廃棄物の減容装置であって、
    有機性廃棄物を投入して発酵分解処理を行なう処理槽と、該処理槽内に投入さされた有機性廃棄物を撹拌混合する撹拌手段と、該撹拌手段を回転駆動する駆動手段と、前記処理槽内に外部空気を導入・排出するための吸排気手段とを備え、
    前記処理槽内に投入された有機性廃棄物の発酵分解処理に際し、有機性廃棄物を発酵分解に適した温度まで加熱するための加熱手段として、鉄分を主成分とする酸化発熱剤を用いたことを特徴とする有機性廃棄物の減容装置。
  6. 前記撹拌手段が、前記駆動手段によって回転駆動される回転軸と、該回転軸のまわりに固設され、かつ、回転軸の軸方向中央部付近を境として逆向きの螺旋状とされた左右一対のスクリューとからなることを特徴とする請求項5記載の有機性廃棄物の減容装置。
  7. 前記処理槽の下底部を、前記左右一対のスクリューの外端縁が摺接するか或いは僅かなすき間をおいて対向するように、半円筒形状としたことを特徴とする請求項6記載の有機性廃棄物の減容装置。
  8. 前記回転軸の回転方向を所定時間毎に正転方向と逆転方向に交互に切り換え、回転軸に固設された左右一対のスクリューの回転方向を所定時間毎に正逆切り換えるようにしたことを特徴とする請求項6または7記載の有機性廃棄物の減容装置。
  9. 前記酸化発熱剤に、発酵助剤として少なくとも腐植酸とフルボ酸を添加したことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の有機性廃棄物の減容装置。
  10. 前記酸化発熱剤に、炭素粉末を添加したことを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の有機性廃棄物の減容装置。
  11. 前記酸化発熱剤をペレット状としたことを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の有機性廃棄物の減容装置。
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