以上のように除湿装置に用いられる熱交換器は様々な形態のものが提案されている。特許文献1に例示される熱交換器は、複数枚の伝熱板に間隔板を挟んで積層した構造であり、伝熱面が密に形成できて小型化が可能である。
しかしながら、この熱交換器は、再生空気通路と冷却空気通路の気密性を確保するのに、間隔板の頂辺部を伝熱板に接着剤等で固定する必要があり、接着剤の塗布バラツキや凝縮水による接着強度低下により、気密性の維持および確保が困難であり、また、塗布した接着剤や間隔板枚数分の重量が嵩んで重くなるという課題があった。
また、再生空気通路内で間隔板の波形頂角部分に凝縮した水滴は表面張力により、容易に滴下せずに通路内に滞留し、通風抵抗を増加させるという課題があった。
また、特許文献2に例示される熱交換器は、内部を多数の通路に分割した通路群形成体を複数段交互に積層固着した構造であり、再生空気通路と冷却空気通路の気密性の確保が容易である。
しかしながら、この熱交換器は、再生空気と冷却空気の間に、各々の通路群形成対の外壁面が2枚と各々の外壁面同士の密着面が存在するので、熱抵抗が高くなり熱交換効率が低下し、また、密着面の接着剤塗布バラツキにより熱交換効率の維持が困難であるという課題があった。
また、再生空気通路側において通路群形成体に設けた多数の内部通路の角部に凝縮した水滴は表面張力により、容易に滴下せずに内部通路に滞留し、通風抵抗を増加させるという課題があった。
また、特許文献3に例示される熱交換器は、中空状の樹脂成形部品から構成し、気密性の確保と構造の簡略化が図られている。
しかしながら、この中空状熱交換器は、伝熱面をパイプ状に形成するため、同一体積内に形成できる伝熱面積が、上記特許文献1に例示される積層型熱交換器の略1/5程度と少なく、熱交換効率が悪いという課題があった。
また、低い熱交換効率により再生空気通路内が露点温度40℃前後の高湿状態になるので、再生空気の漏洩による装置外部への水分排出量が多くなり除湿性能が低下する、さらに除湿ローターを再生させる空気もより高温に加熱して乾燥度を高める必要があるため、エネルギーが増加し、除湿効率(除湿した水分の凝縮潜熱量/除湿に要するエネルギー量)が悪いという課題があった。
また、伝熱面をパイプ状に形成するのに所定の肉厚、具体的には0.5〜1.0mm程度の平均肉厚が必要になり、熱抵抗が大きくなり熱交換効率が低下し、また、肉厚分の重量が嵩んで熱交換器が重くなるという課題があった。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、熱交換効率を向上でき、小型軽量化が図れ、再生空気通路の水滴滞留も少なく、また、接着剤を用いずに再生空気通路と冷却空気通路の気密性を高められる熱交換器を搭載することによって、除湿効率(除湿した水分の凝縮潜熱量/除湿に要するエネルギー量)を向上した除湿装置を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、本発明が講じた第1の課題解決手段は、供給空気から吸湿するとともに加熱空気に水分を放出して再生する除湿ローター(2)と、前記除湿ローター(2)に空気を供給して水分を吸湿させる吸湿経路(6)と、前記除湿ローター(2)に再生空気を循環させて水分を放出させる循環経路(8)と、前記除湿ローター(2)に供給する再生空気を加熱する加熱器(9)と、前記循環経路(8)の一画を形成する再生空気通路(11)および冷却空気が流れる冷却空気通路(12)を有する熱交換器(10)とを備え、前記熱交換器(10)は、薄板状の伝熱板(23a、23b)を所定の間隔で複数枚積層し、前記伝熱板(23a、23b)の積層間隙に再生空気と冷却空気とを交互に流して前記再生空気通路(11)と前記冷却空気通路(12)を形成し、前記伝熱板(23a、23b)の通路開口部以外の端面を隣り合う同士で溶着して前記再生空気通路(11)と前記冷却空気通路(12)の気密性を確保し、再生空気と冷却空気を前記伝熱板(23a、23b)の各々を介して熱交換させて再生空気中の水分を凝縮させる構成としたものである。
そして、上記第1の課題解決手段は、次の作用を有する。すなわち、除湿ローター(2)は吸湿経路(6)において供給空気から吸湿し、この吸湿した水分を循環経路(8)において加熱器(9)で加熱された高温の再生空気に放出する。除湿ローター(2)が放出した水分を含み高湿となった再生空気は、熱交換器(10)の再生空気通路(11)に供給されて冷却空気通路(12)を流れる冷却空気との熱交換を行う。この再生空気通路(11)および冷却空気通路(12)は、所定間隔をおいて複数枚積層された伝熱板(23a、23b)の積層間隙の一段おきに形成されており、この伝熱板(23a、23b)の通路開口部以外の端面は隣り合う同士で溶着されている。この溶着接合により複数枚の伝熱板(23a、23b)が強固に固定され、再生空気通路(11)と冷却空気通路(12)の気密性が確保される。また、再生空気と冷却空気との間には伝熱板(23a、23b)一枚のみが介在するだけなので熱抵抗が小さくなり熱交換効率が向上する。さらに再生空気通路(11)と冷却空気通路(12)が交互に複数段形成されるので伝熱面が密に形成されて熱交換器(10)が小型で軽量になる。そして熱交換器(10)で高効率な熱交換を行った再生空気は十分低い温度に冷却されて飽和水蒸気量が小さくなり水分が飽和する。この再生空気から飽和した水分が凝縮水として回収される。この凝縮水回収量が除湿装置の除湿量となるので熱交換効率を向上し再生空気の飽和水蒸気量を下げた分、除湿量が増加することになる。また、再生空気通路(11)には間隔板や通路分割板が存在しないので、凝縮した水滴に表面張力が働きにくくなり水滴が自重によって円滑に滴下して水滴滞留が抑制される。そして熱交換器(10)で十分に冷却された再生空気は、循環経路(8)を循環して再び加熱器(9)に戻る。この加熱器(9)で再生空気を従来同等の温度まで加熱した場合は、飽和水蒸気量が小さい分だけ相対湿度が低下し、より乾燥した高温の空気となる。したがって除湿ローター(2)が水分を放出しやすくなり、再生空気への水分放出が増加し、熱交換器(10)での凝縮水回収量も増加することになる。また、再生空気の飽和水蒸気量が小さいので空気漏洩に伴う水分漏洩量も減少し、水分漏洩による除湿量低下が抑制される。このような相乗作用によって除湿装置の除湿効率(除湿した水分の凝縮潜熱量/除湿に使用したエネルギー量)が向上することになる。
また、本発明が講じた第2の課題解決手段は、上記第1の課題解決手段において、前記伝熱板(23a、23b)と一体形成された間隔リブ(24a、24b)によって前記伝熱板(23a、23b)の積層間隔を保持したものである。
そして、上記第2の課題解決手段は、上記第1の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、伝熱板(23a、23b)に一体形成された間隔リブ(24a、24b)によって積層間隔が保持されるので、積層間隔が精度良く確保されて通風抵抗の増加が抑制される。
また、本発明が講じた第3の課題解決手段は、上記第1または第2のいずれかの課題解決手段において、前記再生空気通路(11)内に突設する誘導リブ(27a、27b)を、前記伝熱板(23a、23b)と一体に形成したものである。
そして、上記第3の課題解決手段は、上記第1または第2のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、再生空気通路(11)に結露した水滴が再生空気通路(11)内に突設した誘導リブ(27a、27b)に沿って円滑に滴下し、再生空気通路(11)内の水滴滞留が抑制される。
また、本発明が講じた第4の課題解決手段は、上記第3の課題解決手段において、前記誘導リブ(27a、27b)を、再生空気の送風方向において連続に形成したものである。
そして、上記第4の課題解決手段は、上記第3の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、誘導リブ(27a、27b)が再生空気の送風方向において連続に形成されているので、リブ不連続部での水滴滞留が発生せずに再生空気通路(11)に結露した水滴が速やかに滴下する。
また、本発明が講じた第5の課題解決手段は、上記第1または第2のいずれかの課題解決手段において、前記冷却空気通路(12)内に突設する整流リブ(28)を、前記伝熱板(23a、23b)と一体に形成したものである。
そして、上記第5の課題解決手段は、上記第1または第2のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、冷却空気通路(12)に供給された冷却空気が整流リブ(28)に沿って均一に流れることにより再生空気との熱交換効率が向上する。
また、本発明が講じた第6の課題解決手段は、上記第5の課題解決手段において、前記整流リブ(28)を、冷却空気の送風方向において不連続に形成したものである。
そして、上記第6の課題解決手段は、上記第5の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、整流リブ(28)に沿って流れる冷却空気が整流リブ(28)の不連続部において均圧して風速分布が平準化し、熱交換効率が更に向上する。
また、本発明が講じた第7の課題解決手段は、上記第1乃至第6のいずれかの課題解決手段において、前記伝熱板(23a、23b)の外形を、長辺側の対辺と短辺側の対辺を有する多角形状に形成し、長辺側に前記冷却空気通路(12)を配設して短辺側に前記再生空気通路(11)を配設したものである。
そして、上記第7の課題解決手段は、上記第1乃至第6のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、長辺側に配設された冷却空気通路(12)の通路断面積が、短辺側に配設された再生空気通路(11)の通路断面積よりも広くなるので、冷却空気通路(12)の通風抵抗が再生空気通路(11)の通風抵抗よりも低くなり冷却空気を再生空気よりも多く供給することが容易になる。
また、本発明が講じた第8の課題解決手段は、上記第1乃至第6のいずれかの課題解決手段において、前記伝熱板(23a、23b)の外形を、長辺側の対辺と短辺側の対辺を有する多角形状に形成し、長辺側に前記再生空気通路(11)を配設して短辺側に前記冷却空気通路(12)を配設したものである。
そして、上記第8の課題解決手段は、上記第1乃至第6のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、長辺側に配設された再生空気通路(11)の通路断面積が、短辺側に配設された冷却空気通路(12)の通路断面積よりも広くなるので、再生空気通路(11)の通風抵抗が冷却空気通路(12)の通風抵抗よりも低くなり再生空気を冷却空気よりも多く供給することが容易になる。
また、本発明が講じた第9の課題解決手段は、上記第7または第8のいずれかの課題解決手段において、前記再生空気通路(11)内を再生空気が鉛直下向きに流れるように前記伝熱板(23a、23b)を配設したものである。
そして、上記第9の課題解決手段は、上記第7または第8のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、再生空気通路(11)に結露した水滴が、水滴自身の自重と鉛直下向きに流れる再生空気の風圧によって速やかに滴下し、水滴滞留による通風抵抗の増加が抑制される。
また、本発明が講じた第10の課題解決手段は、上記第9の課題解決手段において、前記伝熱板(23a、23b)の前記再生空気通路(11)の出口側に対応する一辺を水平方向に対して傾斜させたものである。
そして、上記第10の課題解決手段は、上記第9の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、再生空気通路(11)に結露して通路出口まで滴下した水滴が、出口側に対応する一辺の傾斜に沿って移動し、傾斜の最下頂点部に集まって大粒となり、表面張力に自重が勝って出口部分から容易に分離するため、再生空気通路(11)出口部での表面張力による水滴滞留が減少して通路閉塞が抑制される。
また、本発明が講じた第11の課題解決手段は、上記第9の課題解決手段において、前記伝熱板(23a、23b)の前記再生空気通路(11)の入口側に対応する一辺を水平方向に対して傾斜させたものである。
そして、上記第11の課題解決手段は、上記第9の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、再生空気通路(11)の入口側を再生空気の供給方向に対して手前から奥に向けて上り勾配に形成できるため、再生空気通路(11)に流入する再生空気の風速分布が均一化して熱交換効率が向上する。
また、本発明が講じた第12の課題解決手段は、上記第1乃至第11のいずれかの課題解決手段において、前記伝熱板(23a、23b)の積層方向両端に前記再生空気通路(11)を配列したものである。
そして、上記第12の課題解決手段は、上記第1乃至第11のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、積層方向両端に配列された再生空気通路(11)内を流れる再生空気と熱交換器(10)の外周を流れる空気との熱交換が行われて伝熱板(23a、23b)の全てが伝熱面として有効に作用する。
また、本発明が講じた第13の課題解決手段は、上記第1乃至第11のいずれかの課題解決手段において、前記伝熱板(23a、23b)の積層方向両端に前記冷却空気通路(12)を配列したものである。
そして、上記第13の課題解決手段は、上記第1乃至第11のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、積層方向両端に配列された冷却空気通路(12)が、その外側に配設される熱交換器(10)の固定部と、その内側に配列される再生空気通路(11)内の再生空気とを断熱するため、高温の再生空気による固定部の熱変形が抑制される。
また、本発明が講じた第14の課題解決手段は、上記第1乃至第13のいずれかの課題解決手段において、前記伝熱板(23a、23b)を、熱可塑性樹脂材料からなるシート材(30)から成形したものである。
そして、上記第14の課題解決手段は、上記第1乃至第13のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、すなわち、熱可塑性樹脂材料の成形容易性により、伝熱板(23a、23b)に一体形成する間隔リブ(24a、24b)、誘導リブ(27a、27b)、整流リブ(28)などの凹凸部の成形が容易になる。
また、本発明が講じた第15の課題解決手段は、上記第1乃至第13のいずれかの課題解決手段において、前記伝熱板(23a、23b)を、熱可塑性樹脂材料にゴム粒子を分散させたシート材(30)から成形したものである。
そして、上記第15の課題解決手段は、上記第1乃至第13のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、すなわち、熱可塑性樹脂材料の成形容易性により、伝熱板(23a、23b)に一体形成する間隔リブ(24a、24b)、誘導リブ(27a、27b)、整流リブ(28)などの凹凸部の成形が容易となり、また、熱可塑性樹脂材料に分散したゴム粒子の弾性性質により、凹凸部の成形時にひびや割れが発生しにくくなる。
また、本発明が講じた第16の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)の熱可塑性樹脂材料を、ポリスチレンとしたものである。
そして、上記第16の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、ポリスチレンの寸法安定性により、成形後の凹凸部の寸法収縮が小さくなり、間隔リブ(24a、24b)が精度良く形成されて再生空気通路(11)および冷却空気通路(12)の通路間隔が適正に保持される。
また、本発明が講じた第17の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)の熱可塑性樹脂材料を、ポリプロピレンとしたものである。
そして、上記第17の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、ポリプロピレンのこしの強さにより、シート材(30)の成形時や伝熱板(23a、23b)の積層時に板折れや曲がりが起こりにくくなり、取り扱い性が向上する。
また、本発明が講じた第18の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)の熱可塑性樹脂材料を、ポリカーボネートとしたものである。
そして、上記第18の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、ポリカーボネートの形状維持性により、積層状態における隣接する伝熱板(23a、23b)の各々の当接箇所の強度が確保されて再生空気通路(11)および冷却空気通路(12)の通路間隔が確実に保持される。
また、本発明が講じた第19の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)の熱可塑性樹脂材料を、ポリエチレンテフタレートとしたものである。
そして、上記第19の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、ポリエチレンテフタレートの耐熱性により、伝熱板(23a、23b)の耐熱性が向上し、異常時の温度上昇による伝熱板(23a、23b)の熱変形が抑制される。
また、本発明が講じた第20の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)の熱可塑性樹脂材料を、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンとしたものである。
そして、上記第20の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの耐衝撃性により、伝熱板(23a、23b)の耐衝撃性が向上し、凹凸部の成形時や積層時にひびや割れが発生しにくくなり、伝熱板(23a、23b)の気密性が確保される。
また、本発明が講じた第21の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)を、ハイインパクトポリスチレンシートとしたものである。
そして、上記第21の課題解決手段は、上記第14または第15のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、ハイインパクトポリスチレンの寸法安定性により、成形後の凹凸部の寸法収縮が小さくなり、間隔リブ(24a、24b)の寸法精度が向上し、適正な通路間隔が保持され、また、ハイインパクトポリスチレンに含まれるゴム粒子の弾性性質により、凹凸部の成形時におけるひびや割れが発生しにくくなる。
また、本発明が講じた第22の課題解決手段は、上記第14乃至第21のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)の厚みを0.05〜0.5mmの範囲としたものである。
そして、上記第22の課題解決手段は、上記第14乃至第21のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、シート材(30)の厚みが0.05〜0.5mmの範囲のため、凹凸部成形時に破れにくくなり、また、伝熱板(23a、23b)の熱抵抗も小さいので熱交換効率の向上が図られる。
また、本発明が講じた第23の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)に抗菌剤を添加したものである。
そして、上記第23の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、シート材(30)から成形される伝熱板(23a、23b)に抗菌処理が施されるので、熱交換器(10)内の水滴残留に起因する菌やカビの発生が抑制される。
また、本発明が講じた第24の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)に帯電防止剤を添加したものである。
そして、上記第24の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、シート材(30)から成形される伝熱板(23a、23b)に帯電防止処理が施されるので、熱交換器(10)で回収した凝縮水に帯電しにくくなり、排水作業時の放電現象が抑制される。
また、本発明が講じた第25の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)に難燃剤を添加したものである。
そして、上記第25の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、すなわち、シート材(30)から成形される伝熱板(23a、23b)に難燃処理が施されるので、異常時の温度上昇による伝熱板(23a、23b)の熱変形が抑制される。
また、本発明が講じた第26の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)に脱臭剤を添加したものである。
そして、上記第26の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、シート材(30)から成形される伝熱板(23a、23b)に脱臭処理が施されるので、熱交換器(10)内の残留水滴や熱交換器(10)に混入した異物からの臭気発生が抑制される。
また、本発明が講じた第27の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)の表面を撥水性としたものである。
そして、上記第27の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、シート材(30)から成形される伝熱板(23a、23b)の表面が撥水性を有するので、再生空気通路(11)に結露した水滴の接触角が大きくなり、水滴が速やかに滴下する。
また、本発明が講じた第28の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段において、前記シート材(30)の表面を親水性としたものである。
そして、上記第28の課題解決手段は、上記第14乃至第22のいずれかの課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、シート材(30)から成形される伝熱板(23a、23b)の表面が親水性を有するので、再生空気通路(11)に結露した水滴が液膜状に広がり、水滴のブリッジ現象が抑制される。
本発明の請求項1記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、次に記載する効果を奏する。すなわち、複数枚の伝熱板(23a、23b)の通路開口以外の端面を隣り合う同士で溶着して、接着剤を用いずに伝熱板(23a、23b)の積層状態を強固に固定するとともに再生空気通路(11)と冷却空気通路(12)の気密性を確保することができる。また、各々の伝熱板(23a、23b)一枚のみを介して再生空気と冷却空気を熱交換させることにより熱抵抗を抑えて熱交換効率を向上することができる。また、接着剤や間隔板などの別部品を設けずに伝熱面を密に形成して熱交換器(10)の小型軽量化を図ることができる。また、間隔板や通路分割板などの頂角部分を設けずに表面張力による水滴滞留を抑制し、凝縮した水滴を円滑に滴下させることができる。また、熱交換器(10)において高効率な熱交換を行って再生空気の飽和水蒸気量を小さくし、加熱器(9)に戻すことにより、除湿ローター(2)の水分放出量および熱交換器(10)での凝縮水回収量を増加させるとともに空気漏洩による除湿量低下を抑制して除湿効率(除湿した水分の凝縮潜熱量/除湿に要するエネルギー量)を向上することができる。
また、本発明の請求項2記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項1記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すわなち、複数枚の伝熱板(23a、23b)と一体で形成した間隔リブ(24a、24b)により、再生空気通路(11)および冷却空気通路(12)の通路間隔を適正に確保して通風抵抗の増加を抑制することができる。
また、本発明の請求項3記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項1または2のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、再生空気通路(11)に結露した水滴を誘導リブ(27a、27b)に沿わせて円滑に滴下させ再生空気通路(11)内の水滴滞留を抑制することができる。
また、本発明の請求項4記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項3記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、誘導リブ(27a、27b)を再生空気の送風方向において連続に形成したので、リブ不連続部での水滴滞留を抑制し、再生空気通路(11)に結露した水滴を速やかに滴下させることができる。
また、本発明の請求項5記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項1または2のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、冷却空気通路(12)に供給された冷却空気を整流リブ(28)に沿わせて均一に流し、再生空気との熱交換効率を向上することができる。
また、本発明の請求項6記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項5記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、整流リブ(28)に沿って流れる冷却空気を整流リブ(28)の不連続部において均圧して風速分布を平準化し、熱交換効率を更に向上することができる。
また、本発明の請求項7記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項1乃至6のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、冷却空気通路(12)の通路断面積を再生空気通路(11)の通路断面積よりも広くし、冷却空気通路(12)の通風抵抗を再生空気通路(11)の通風抵抗よりも小さくすることで再生空気よりも多くの冷却空気を容易に供給することができる。
また、本発明の請求項8記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項1乃至6のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、再生空気通路(11)の通路断面積を冷却空気通路(12)の通路断面積よりも広くして再生空気通路(11)の通風抵抗を冷却空気通路(12)の通風抵抗よりも小さくし、冷却空気よりも多くの再生空気を容易に供給することができる。
また、本発明の請求項9記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項7または8のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、再生空気通路(11)に結露した水滴を水滴自身の自重と鉛直下向きに流れる再生空気の風圧により速やかに滴下させ、水滴滞留による通風抵抗の増加を抑制することができる。
また、本発明の請求項10記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項9記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、再生空気通路(11)に結露して通路出口まで滴下した水滴を出口側に対応する一辺の傾斜に沿わせて最下頂点部まで移動させて大粒にし、自重により出口部分から容易に分離させ、表面張力による水滴滞留を減らして通路閉塞を抑制することができる。
また、本発明の請求項11記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項9記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、再生空気通路(11)の入口側を再生空気の供給方向に対して手前から奥に向けて上り勾配に形成し、再生空気通路(11)に流入する再生空気の風速分布を均一化して熱交換効率を向上することができる。
また、本発明の請求項12記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項1乃至11のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、積層方向両端に配列された再生空気通路(11)内を流れる再生空気と熱交換器(10)の外周を流れる空気との熱交換を図り、伝熱板(23a、23b)の全てを伝熱面として有効に作用させることができる。
また、本発明の請求項13記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項1乃至11のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、積層方向両端に配列した冷却空気通路(12)によって、その外側に配設される熱交換器(10)の固定部と、その内側に配列される再生空気通路(11)内の再生空気との断熱を図り、高温の再生空気による固定部の熱変形を抑制することができる。
また、本発明の請求項14記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項1乃至13のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、熱可塑性樹脂材料の成形容易性により、伝熱板(23a、23b)に一体形成する間隔リブ(24a、24b)、誘導リブ(27a、27b)、整流リブ(28)などの凹凸部の成形性を向上することができる。
また、本発明の請求項15記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項1乃至13のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、熱可塑性樹脂材料の成形容易性により、伝熱板(23a、23b)に一体形成する間隔リブ(24a、24b)、誘導リブ(27a、27b)、整流リブ(28)などの凹凸部の成形性を向上でき、また、熱可塑性樹脂材料に分散したゴム粒子の弾性性質により、凹凸部の成形時のひびや割れの発生を抑制することができる。
また、本発明の請求項16記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14または15のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、ポリスチレンの寸法安定性により、成形後の凹凸部の寸法収縮を抑え、間隔リブ(24a、24b)を精度良く形成し、再生空気通路(11)および冷却空気通路(12)の通路間隔を適正に保持することができる。
また、本発明の請求項17記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14または15いずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、ポリプロピレンのこしの強さにより、シート材(30)成形時や伝熱板(23a、23b)積層時における板折れや曲がりの発生を抑制し、取り扱い性を向上することができる。
また、本発明の請求項18記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14または15のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、ポリカーボネートの形状維持性により、積層状態において隣接する伝熱板(23a、23b)の各々の当接箇所の強度を確保し、再生空気通路(11)および冷却空気通路(12)の通路間隔を確実に保持することができる。
また、本発明の請求項19記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14または15のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、ポリエチレンテフタレートの耐熱性により、伝熱板(23a、23b)の耐熱性を向上させ、異常時の温度上昇による伝熱板(23a、23b)の熱変形を抑制することができる。
また、本発明の請求項20記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14または15のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの耐衝撃性により、伝熱板(23a、23b)の対衝撃性を向上させ、凹凸部の成形時や積層時のひびや割れの発生を抑制し、伝熱板(23a、23b)の気密性を確保することができる。
また、本発明の請求項21記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14または15のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、ハイインパクトポリスチレンの寸法安定性により、成形後の凹凸部の寸法収縮を抑え、間隔リブ(24a、24b)を精度良く形成して再生空気通路(11)および冷却空気通路(12)の通路間隔を適正に保持するとともに、ハイインパクトポリスチレンに含まれるゴム粒子の弾性性質により、凹凸部成形時のひびや割れの発生を抑制することができる。
また、本発明の請求項22記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14乃至21のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、シート材(30)の厚みが0.05〜0.5mmの範囲のため、凹凸部成形時に破れにくくできるとともに、伝熱板(23a、23b)の熱抵抗を少なくして熱交換効率を向上することができる。
また、本発明の請求項23記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14乃至22のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、伝熱板(23a、23b)に抗菌処理が施されるので、熱交換器(10)内の水滴残留に起因する菌やカビの発生を抑制することができる。
また、本発明の請求項24記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14乃至22のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、伝熱板(23a、23b)に帯電防止処理が施されるので、熱交換器(10)で回収した凝縮水に帯電しにくくして、排水作業時の放電現象を抑制することができる。
また、本発明の請求項25記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14乃至22のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、伝熱板(23a、23b)に難燃処理が施されるので、異常時の温度上昇による伝熱板(23a、23b)の熱変形を抑制することができる。
また、本発明の請求項26記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14乃至22のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、伝熱板(23a、23b)に脱臭処理が施されるので、熱交換器(10)内の残留水滴や熱交換器(10)に混入した異物からの臭気発生を抑制することができる。
また、本発明の請求項27記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14乃至22のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、伝熱板(23a、23b)の表面を撥水性にして再生空気通路(11)に結露した水滴の接触角を大きくし、水滴を速やかに滴下させることができる。
また、本発明の請求項28記載の除湿装置は、かかる構成とすることにより、上記請求項14乃至22のいずれか1項記載の除湿装置が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、伝熱板(23a、23b)の表面を親水性にして再生空気通路(11)に結露した水滴を液膜状に広げ、水滴のブリッジ現象を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜5に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる除湿装置の概略断面図である。図1に示すように、本体1の内部に、空気から吸湿する除湿ローター2を回転可能に立設するとともに、本体1の側面に開口した吸込口3から処理ファン4により空気を吸引して除湿ローター2に供給し、本体1の上部に開口した吹出口5から排出する吸湿経路6を形設している。また、再生ファン7によって供給される再生空気が除湿ローター2を循環するように循環経路8を形成し、この循環経路8の除湿ローター2の風上側近傍に再生空気を加熱する加熱器9を配設している。この加熱器9としては、発熱動作を行い得るものであれよく、例えば、ニクロムヒーター、ハロゲンヒーター、カーボンヒーター、シーズヒーター、PTCヒーター等を用いることができる。また、循環経路8の除湿ローター2の風下側かつ吸湿経路6の風上側に概略台形状の熱交換器10を配設して、この熱交換器10に、循環経路8の一画を形成し再生空気を通す再生空気通路11と、吸湿経路6を流れる空気を通す冷却空気通路12を形設している。この再生空気通路11は、再生空気の入口側が上部に、かつ再生空気の出口側が下部となるように鉛直方向に配設されており、再生空気通路11の空気入口側は、再生空気通路11に供給される再生空気が方向転換なく流入可能なように再生空気の供給方向に対して手前から奥に向けて約10°の上り勾配の傾斜を持たせ、また、再生空気通路11の再生空気出口側は、通路出口に到達した水滴が円滑に移動可能なように水平方向に対して約10°の傾斜を持たせている。これら傾斜角度は、構成に応じて適宜設定可能であるが、後述する通路入口側の風速分布均一化作用と通路出口側の水滴移動作用を満足するには、少なくとも5°以上の傾斜角度に設定することが望ましい。また、再生空気通路11内を流れる再生空気と熱交換する冷却空気を流す冷却空気通路12は、大略水平方向に配設されており、再生空気と冷却空気が略直交方向に交差して熱交換を行うように構成されている。そして、再生空気通路11の出口側と再生ファン7を接続する経路中には循環経路8から凝縮水を排水するための排水口13を開口し、排水口13の下方に凝縮水を受けて貯留するための排水タンク14を着脱自在に配設している。
上記構成において、吸湿経路6では、処理ファン4によって供給される空気から除湿ローター2が吸湿し、除湿ローター2に水分を吸湿除去された乾燥空気が吹出口5から本体1外部に供給される。吸湿経路6で水分を吸湿した除湿ローター2は、循環経路8に回転移動し、加熱器9で加熱された高温の再生空気に水分を放出して吸湿可能に再生する。除湿ローター2は吸湿経路6と循環経路8に跨設して連続的に回転しており、吸湿経路6における水分吸湿と循環経路8における放出再生を連続的に繰り返している。一方、除湿ローター2が放出した水分を含んで高湿となった再生空気は、熱交換器10の再生空気通路11に供給される。再生空気通路11の入口部は、再生空気の供給方向に対して手前から奥に向けて上り勾配が形成されているので、再生空気通路11内に供給される再生空気の風速分布の均一化が図られる。再生空気通路11に供給された再生空気は、処理ファン4によって吸込口3から冷却空気通路12に供給された冷却空気と熱交換し、この熱交換過程において再生空気は冷却されて飽和水蒸気量が下がり水分が飽和する。この飽和した水分は再生空気通路11内に結露し、再生空気通路11内を下向きに流れる再生空気の風圧と水滴自身の自重により円滑に滴下する。再生空気通路11内を滴下して通路出口まで到達した水滴は、通路出口部に形成された傾斜に沿って最下頂点部15まで移動するので、通路出口部の表面張力による水滴滞留が抑制される。最下頂点部15に順次移動した水滴は大粒となり、その自重により通路から分離して排水タンク14に滴下し、凝縮水として回収される。熱交換器10において水分を冷却除去された再生空気は、再生ファン7に吸込まれ、再び加熱器9に供給されて循環経路8を循環する。
図2は、除湿ローター2の詳細構成を示す概略分解斜視図である。除湿ローター2は、セラミック繊維、ガラス繊維等の無機繊維、もしくはそれら無機繊維とパルプとを混合して抄造した平面紙と、コルゲート加工を施した波型紙を巻装したコルゲート構造の円盤体に、吸湿剤、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機質の吸着型吸湿剤、有機高分子電解質、すなわちイオン交換樹脂などの吸湿剤、塩化リチウムなどの吸収型吸湿剤を1種類もしくは2種類以上を複合して担持したもので、軸方向に通風可能に構成されている。この除湿ローター2を、外周に歯車部16を周設したフレームA17と、複数本のリブを放射状に架橋したフレームB18で、両軸側から挟み込んで収納し、フレームA17とフレームB18を外周から複数螺子止めするとともに、除湿ローター2の中心穴19に嵌挿する軸受部20とフレームB18の中心部分を螺子止めして除湿ローター2の固定および保持を行っている。そしてフレームA17の歯車部16に駆動モーター21のギア22を噛み合せて、駆動モーター21を回転することにより、除湿ローター2の回転動作が為される。この時、除湿ローター2の回転速度は毎時10回転から40回転程度に設定される。また、フレームB18に形成されたリブの高さが、除湿ローター2の表面とリブ先端との間に形成される空間の容積を決定し、この空間容積が吸湿経路6と循環経路8の空気漏洩量に影響するので、フレームB18は、薄い板厚でリブの強度を確保できる材料、例えば、板厚0.4〜1.0mm程度のステンレス鋼板に、プレス加工、曲げ加工を施してリブを形成し、構成することが好ましい。このようにすると吸湿経路6と循環経路8の空気漏洩を抑制することができる。また、除湿ローター2の回転方法は、上記構成に限るものではなく、例えば、除湿ローター2の中心部に駆動モーター21を連結して直接回転させるように構成してもよく、また、除湿ローター2の外周に周設したギアにベルトをかけて、ベルトを介して駆動モーター21を連結し回転動作を行うように構成してもよい。
図3は、熱交換器10の詳細構成を示す概略分解斜視図である。熱交換器10は、薄板、例えば、厚み0.05〜0.5mmの範囲のシート材に凹凸部を所定のパターンで形成した伝熱板23aと、同様の薄板に伝熱板23aと異なる凹凸部のパターンを形成した伝熱板23bを交互に複数枚積層して構成される。この伝熱板23aおよび伝熱板23bの板厚は、後述する凹凸部の成形性、強度および形状維持性の面から0.05mm以上であることが望ましく、また、伝熱性確保の面から0.5mm以下であることが望ましい。そして、積層した伝熱板23aおよび伝熱板23bの各々の間隙に再生空気と冷却空気を交互に流すことにより再生空気通路11と冷却空気通路12を一段おきに形成し、この再生空気通路11を流れる再生空気と冷却空気通路12を流れる冷却空気を伝熱板23aおよび伝熱板23bの各々を介して熱交換させるものである。したがって熱交換阻害要因は伝熱板23aおよび伝熱板23bの一枚分の熱抵抗のみであり再生空気と冷却空気が高効率な熱交換を行うことができる。伝熱板23aおよび伝熱板23bは、実際は、合計20枚〜60枚程度を積層するが、簡略のため伝熱板23aおよび伝熱板23bの各々2枚ずつを積層方向において分解して図示している。
伝熱板23aおよび伝熱板23bは、長辺側と短辺側の二組の対辺を有する概略台形状の平面形状を有しており、長辺側の対辺を鉛直方向平行状態に形成し、短辺側の対辺を水平方向に対して約10°傾斜するように形成している。伝熱板23aには、長辺側の対辺各々に沿って、幅4mm程度の中空凸状の間隔リブ24aを突設しており、また、伝熱板23bには短辺側の対辺各々に沿って伝熱板23aと同様に幅4mm程度の中空凸状の間隔リブ24bを突設している。伝熱板23aの間隔リブ24aは、凸状の高さが3mm程度に形成され、この間隔リブ24aの突設面が積層状態において伝熱板23bに当接することにより、再生空気通路11の通路間隔が所定寸法、すなわち約3mmに規定されて保持される。一方、伝熱板23bの間隔リブ24bは、凸状の高さが2mm程度に形成され、この間隔リブ24bの突設面が積層状態において伝熱板23aに当接することにより、冷却空気通路12の通路間隔が所定寸法、すなわち約2mmに規定されて保持される。また、間隔リブ24aは、積層状態で伝熱板23bに突設した間隔リブ24bと重なる両端の角部25を、間隔リブ24bの高さ分、即ち2mm程度更に突設させて、この角部25を間隔リブ24bの裏面中空凹状部分に勘合させ、突設面全てが伝熱板23bに当接するように形成している。同様に間隔リブ24bも、積層状態で伝熱板23aに突設した間隔リブ24aと重なる両端の角部26を、間隔リブ24aの高さ分、即ち3mm程度更に突設させて、この角部26を間隔リブ24aの裏面中空凹状部分に勘合させて突設面全てが伝熱板23aに当接するように形成している。このように間隔リブ24aおよび間隔リブ24bは、その突設面全体を隣接する伝熱板23bおよび伝熱板23aに当接するように形設され、これにより積層状態において再生空気通路11の通路間隔が適正な所定の寸法、即ち約3mmに保持され、また、冷却空気通路12の通路間隔も同様に適正な所定の寸法、即ち約2mmに保持されることになる。このように伝熱板23aに突設した間隔リブ24aのリブ高さにより再生空気通路11側の積層間隔が規定され、また伝熱板23bに突設した間隔リブ24bのリブ高さにより冷却空気通路12側の積層間隔が規定される。
また、伝熱板23aの水平方向中央部には、間隔リブ24aと同一方向に幅2mm程度の中空凸状の誘導リブ27aを連続に形成し、伝熱板23bの鉛直方向には、間隔リブ24bの逆方向に突設する幅2mm程度の中空凸状の誘導リブ27bを連続に2本形成している。この誘導リブ27bは、積層状態において間隔リブ24aと誘導リブ27aの中央部分に位置するように形設されている。したがって積層状態において誘導リブ27aおよび誘導リブ27bは、再生空気通路11内に両面側よりリブ間隔が略等間隔となるように、かつ再生空気の送風方向に対して連続的に突設形成されるので、再生空気通路11に結露した水滴が誘導リブ27aおよび誘導リブ27bに沿って速やかに滴下し、再生空気通路11内の水滴滞留が抑制されることになる。この誘導リブ27aおよび誘導リブ27bのリブ高さは、間隔リブ24a以下であれば適宜設定可能であるが、再生空気通路11の間隔保持状況や水滴滴下状況に基づいて設定することが望ましい。例えば、誘導リブ27aのリブ高さを間隔リブ24aと同一の3mm程度に設定し、誘導リブ27bのリブ高さを誘導リブ27aよりも低い1mm程度に設定すると、再生空気通路11の通路間隔が中央部でも適正に保持されるとともに、再生空気通路11の通路断面積も広くとれて通風抵抗を低減でき、さらに通路内に結露した水滴もブリッジすることなく円滑に滴下させることができる。
また、伝熱板23bには水平方向に略等間隔に幅1mm程度の中空凸状の整流リブ28を、間隔リブ24bと同一方向に複数本突設させており、この整流リブ28の突設面は、伝熱板23bの逆面側に突設した誘導リブ27b中空凹部分において不連続となるように形成されている。したがって整流リブ28は、伝熱板積層状態において伝熱板23b側から冷却空気通路12内に突設して、かつ冷却空気の送風方向に対して不連続に形設されるので、冷却空気通路12に供給された冷却空気が、整流リブ28に沿って均一に流れるとともに、整流リブ28の不連続部において均圧して風速分布が平準化し、再生空気との高効率な熱交換が行われることになる。この整流リブ28のリブ高さは、間隔リブ24b以下であれば適宜設定可能であるが、例えば、整流リブ28を間隔リブ24bと同一のリブ高さ、すなわち2mm程度に設定すると、冷却空気の風速分布均一化を図るとともに冷却空気通路12の通路間隔保持作用も兼ねることができる。
さらに伝熱板23aには、積層時に伝熱板23bに形成した間隔リブ24bに被さる溶融部29aを形成し、また、伝熱板23bには、積層時に伝熱板23aに形成した間隔リブ23bに被さる溶融部29bを形成している。そして伝熱板23aおよび伝熱板23bを所定枚数積層した積層状態において、間隔リブ24bに被さった溶融部29aにヒーターなどにより熱を加えて、間隔リブ24bと溶融部29aを溶かして接合すると、冷却空気通路12の通路開口以外の端面が溶着することになり、冷却空気通路12の気密性が確保される。同様に積層状態において、間隔リブ24aに被さった溶融部29bにヒーターなどにより熱を加えて、間隔リブ24aと溶融部29bを溶かして接合すると、再生空気通路11の通路開口以外の端面が溶着することになり、再生空気通路11の気密性が確保される。このようにして伝熱板23aおよび伝熱板23bの隣り合う同士の通路開口部以外の端面を溶着し、接着剤を用いずに伝熱板23aおよび伝熱板23bの積層状態を強固に固定するとともに再生空気通路11と冷却空気通路12の気密性を確保するようにしている。
以上のように熱交換器10は、間隔リブ24aおよび間隔リブ24b、誘導リブ27aおよび誘導リブ27b、整流リブ28、溶融部29aおよび溶融部29bなどの凹凸部が形成された概略台形状の伝熱板23aおよび伝熱板23bを交互に積層して構成されるものであり、台形の短辺側の対辺に再生空気通路11が配設され、再生空気通路11と概略直交する長辺側の対辺に冷却通路12が配設される構成となる。したがって、冷却空気通路12の通路断面積が、再生空気通路11の通路断面積よりも広く形成されて冷却空気通路12の通風抵抗が再生空気通路11の通風抵抗よりも低くなり、再生空気よりも多くの冷却空気を容易に供給することができる。これにより再生空気を多量の冷却空気で冷却することが可能となるので、この冷却過程で再生空気の温度を更に低下させて飽和水蒸気量を小さくすることができる。また、再生空気通路11と冷却空気通路12の通路断面積は、伝熱板23aおよび伝熱板23bの平面形状の変更により、装置の構成に応じて適宜設定することができる。例えば、冷却空気をあまり流せない装置構成に対応する場合は、台形の短辺側に冷却空気通路12を配し、長辺側に再生空気通路11を配設することで、冷却空気通路12の断面積を再生空気通路11の断面積に対して狭くして、冷却空気通路12と再生空気通路11の通路抵抗を、却空気と再生空気の風量に応じた通風抵抗に調整することができる。
また、熱交換器10は、伝熱板23aと伝熱板23bの積層パターンによって、再生空気通路11と冷却空気通路12の配列を装置構成に応じて調整することが可能である。例えば、間隔リブ24aおよび間隔リブ24bの突設面側に順に積層していくと仮定すると、図3のように伝熱板23aから始めて、伝熱板23bと伝熱板23aを交互に同枚数積層すると、積層方向の両端側に再生空気通路11が配列される。このような配列パターンで熱交換器10を構成し、熱交換器10の積層方向外周に空気が流れるように装置を構成すると、積層方向の両端に配列された再生空気通路11を流れる再生空気と熱交換器10の外周を流れる空気との熱交換が行われ、伝熱板23aおよび伝熱板23bの全てが伝熱面として作用することになる。逆に伝熱板23bから初めて、伝熱板23aと伝熱板23bを交互に同枚数積層すると、積層方向の両端側に冷却空気通路12が配列される。このような配列パターンで熱交換器10を構成し、熱交換器10の積層方向外周に熱交換器10を保持する固定部などを配設すると、積層方向両端に配列した冷却空気通路12によって、その外側に配設される固定部と、その内側に配列される再生空気通路11を流れる再生空気とが断熱されて、高温の再生空気による固定部の熱変形が抑制されることになる。
図4は、伝熱板の成形方法を示す概略工程図である。図4(a)に示すように平板状のシート材30を加熱して柔らかくし、凹凸部を形設した真空成形金型31に乗せて、図示しない真空ポンプによりシート材30を真空成形金型31に張付けて成形する。これにより図4(b)に示すようにシート材30に凹凸部が形成される。この真空成形金型31には、伝熱板23aに一体形成される間隔リブ24a、誘導リブ27a、溶融部29aの凹凸形状に相当する凹凸パターン32aと、伝熱板23bに一体形成される間隔リブ24b、誘導リブ27b、整流リブ28、溶融部29bの凹凸形状に相当する凹凸パターン32bの二種類の凹凸パターンが形設されており、一回の成形作業でシート材30に凹凸部33aと凹凸部33bが同時に成形される。そしてこの凹凸部33aおよび凹凸33bが成形されたシート材30を、図4(c)に示すように、伝熱板23aおよび伝熱板23bの各々の外周形状と等しい形状の抜き刃34を備えた抜き型35を押し付けて切断することにより、凹凸部33aが成形された伝熱板23aと凹凸部33bが成形された伝熱板23bが同時に切断形成される。この切断加工を凹凸部が成形されたシート材30の複数枚に施して、伝熱板23aおよび伝熱板23bを各々所定枚数製作するようにしている。
このシート材30は、厚みが0.05〜0.5mmの範囲のものを使用することが好ましい。その理由としては、厚みが0.05mm未満では、凹凸部成形時の伸縮や成形後のシート材30の強度低下によってシート材30に破れなどの破損が発生しやすく、成形された伝熱板23a、23bもこしが弱くて形状維持が困難であり、また、厚みが0.5mmを超えると熱抵抗の増加により伝熱性が大きく低下するためである。このようにシート材30の厚みが薄くなるほど成形性、強度、形状維持性が低下する傾向にあり、逆にシート材30の厚みが厚くなるほど、伝熱性が低下する傾向にある。したがって成形性、強度、形状維持性および伝熱性を満足するには、シート材30の厚みは、0.05〜0.5mmの範囲であることが好ましく、さらには0.1〜0.3mmの範囲であることが最も望ましい。
また、シート材30の素材としては、熱可塑性の樹脂材料を用いることが望ましい。このような材料を用いると、シート材30が熱可塑性を有することになり、真空成形時に加熱されて十分に柔らかくなって真空成形金型31に円滑に張り付き、凹凸部33aおよび凹凸部33bの成形が容易となるためである。
さらに、シート材30は、熱可塑性樹脂材料にゴム粒子を分散させた素材でもよい。このような素材にすると、熱可塑性樹脂の成形容易性に加え、シート材30に分散したゴムの弾性性質により、真空成形金型31に張り付く際にシート材30に割れやひびが発生しにくくなり、伝熱板23aおよび伝熱板23bの気密性が確保される。例えば、シート材30として、ハイインパクトポリスチレンシートを用いた場合には、熱可塑性樹脂の成形容易性に加え、ポリスチレン樹脂の寸法安定性により、成形後の寸法収縮が少なくなり凹凸部33a、凹凸部33bの寸法精度が向上し、さらにハイインパクトポリスチレンに含まれるゴム粒子の弾性性質により、真空成形時の割れやひびの発生を抑制することができるのである。
このようにシート材30の熱可塑性樹脂材料としてポリスチレンを用いた場合には、真空成形後の寸法収縮が少なくなり、凹凸部33a、凹凸部33bの寸法精度が向上する。したがって間隔リブ24aおよび間隔リブ24bが精度良く形成されて、再生空気通路11および冷却空気通路12の通路間隔が適正に保持される。
また、シート材30の熱可塑性樹脂材料にポリプロピレンを用いることもできる。このような素材にすると、ポリプロピレンのこしの強さにより、シート材30を真空成形金型31から取り外す際にシート材30の板折れや曲がりなど起こりにくくなり、また、伝熱板23aおよび伝熱板23bを積層する際にも、不用意な取り扱いによる板折れや曲がりが起こりにくくなり、取り扱い性が向上する。
また、シート材30の熱可塑性樹脂材料としてポリカーボネートを用いることもできる。このような素材にすると、ポリカーボネートの形状維持性により、間隔リブ24aおよび間隔リブ24b、誘導リブ27aおよび誘導リブ27b、整流リブ28の強度が向上し、積層状態における隣接する伝熱板23aおよび伝熱板23bの各当接箇所の強度が確保されて再生空気通路11および冷却空気通路12の通路間隔が確実に保持される。
また、シート材30の熱可塑性樹脂材料としてポリエチレンテフタレートを用いることもできる。このような素材にすると、ポリエチレンテフタレートの耐熱性により、伝熱板23aおよび伝熱板23bの耐熱性が向上し、異常運転時に熱交換器10に供給される空気の温度が上昇しても伝熱板23aおよび伝熱板23bの熱変形が抑制される。
また、シート材30の熱可塑性樹脂材料としてアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンを用いることもできる。このような素材にすると、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの耐衝撃性により、シート材30を真空成形金型31から取り外す際にシート材30にひびや割れなどが発生しにくくなり、また、伝熱板23aおよび伝熱板23bを積層する際の取り扱いにおいてもびびや割れが発生しにくくなり、伝熱板23aおよび伝熱板23bの気密性が確保される。
さらに上記した素材から構成されるシート材30には、抗菌剤、帯電防止剤、難燃剤、脱臭剤などを各々個別に、もしくは複合して添加することもできる。シート材30に抗菌剤、例えば、イソチアン酸アリル、ヒノキチオール、キトサンなどの天然系抗菌剤、銀などの金属系抗菌剤、酸化チタン光触媒などの光触媒系抗菌剤などの何れかを添加した場合は、シート材30から成形される伝熱板23aおよび伝熱板23bに抗菌処理が施されることになり、熱交換器10への水滴残留に起因する菌やカビの発生が抑制される。また、シート材30に帯電防止剤、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系の低分子型帯電防止剤や金属フィラーなどを添加した場合は、シート材30から成形される伝熱板23aおよび伝熱板23bに帯電防止処理が施されることになり、熱交換器10で回収した凝縮水への帯電が抑制されて、排水作業時に放電現象が起こりにくくなる。また、シート材30に難燃剤、例えば、ハロゲン系、リン系、無機系などの難燃剤を添加した場合は、シート材30から成形される伝熱板23aおよび伝熱板23bに難燃処理が施されることになり、異常時の熱交換器10への供給空気の温度上昇による伝熱板23aおよび伝熱板23bの熱変形が抑制されることになる。さらに、シート材30に脱臭剤、例えば、活性炭や光触媒などを添加した場合は、シート材30から成形される伝熱板23aおよび伝熱板23bに脱臭処理が施されることになり、熱交換器10内の残留水滴や熱交換器10に混入した異物からの臭気発生が抑制される。
また、シート材30の表面は、水滴の滞留を抑制するために撥水性もしくは親水性にすることが望ましい。例えば、熱可塑性樹脂材料を素材としたシート材30は、特殊処理を施さなくてもシート材30の表面は撥水性を有しており、さらに表面にフッ素系撥水材料などをコーティングするとより撥水性が高まる。このようなシート材30を用いて伝熱板23aおよび伝熱板23bを成形すると、成形された伝熱板23aおよび伝熱板23bの表面も撥水性となり、再生空気通路11の表面に結露した水滴が、表面の撥水作用により接触角が大きくなって、再生空気通路11内を速やかに滴下することになる。また、このシート材30を親水性塗料、例えば、フッ素系の親水塗料などでコーティングすると、シート材30の表面に親水性を持たせることができる。このようにすると、シート材30から成形される伝熱板23aおよび伝熱板23bの表面も親水性を有することになり、再生空気通路11の表面に結露した水滴が親水作用によって液膜状に広がって水滴のブリッジ現象が抑制されることになる。
図5は、除湿装置の循環経路8を循環する再生空気の状態変化を示す湿り空気線図である。図5において、点36、点37、点38を結んだ実線は、本実施形態に係る除湿装置の再生空気の状態変化を示しており、点39、点40、点41を結んだ破線は、従来の除湿装置の再生空気の状態変化を示している。ここで、点36および点39は、熱交換器10の出口の空気状態を示しており、点37および点40は加熱器9の出口の空気状態を示している。また、点38および点41は、除湿ローター2の出口、すなわち熱交換器10の入口の空気状態を示している。本実施形態の除湿装置では、従来の除湿装置に対して熱交換器10で再生空気と冷却空気の高効率な熱交換を行うため再生空気がより冷却されて低温となる。従って、従来の点39で示される熱交換器10出口の温度Tbに対して、本実施形態の点36で示される熱交換器10出口の温度Taは、低い値となる。例えば、20℃の冷却空気を用いた場合に、従来の熱交換器10出口の温度Tbは、35℃前後までしか冷やせないのに対し、本実施形態では、熱交換器10出口の温度Taは、30℃以下まで冷却できる。また、熱交換器10出口の空気は、冷却されて水分が飽和した飽和空気であるので飽和水蒸気量は絶対湿度と等しくなる。本実施形態では、この飽和空気である熱交換器10出口の温度が従来に対して低い温度となるので、相応して絶対湿度も低い値となる。すなわち、従来の点39で示される熱交換器10出口の絶対湿度Xbに対して、本実施形態の点36で示される熱交換器10出口の絶対湿度Xaが低い値となる。具体的には、従来の熱交換器10出口の絶対湿度Xbが約5g/kg(DA)であるのに対し、本実施形態の熱交換器10出口の絶対湿度Xaは、約3g/kg(DA)まで下がっている。この絶対湿度、すなわち飽和水蒸気量の小さい再生空気が加熱器9に供給されるので、加熱器9で加熱された空気は、相対湿度が十分に低下して、より乾いた乾燥空気となる。すなわち、点40で示される従来の加熱器9出口の相対湿度に対して、点37で示される本実施形態の加熱器9出口の相対湿度が低い値となる。この十分に乾燥した空気が除湿ローター2に供給されるので、除湿ローター2からの水分放出量が増加し、熱交換器10における凝縮水回収量、すなわち除湿量も増加することになる。さらに、除湿ローター2と加熱器9等の隙間から漏洩する再生空気の飽和水蒸気量も小さくなるので、この空気漏洩に伴う水蒸気の漏洩量も減少し、水蒸気漏洩による除湿量低下が抑制されることになる。このような複合作用により、本実施形態の除湿装置は、除湿効率(除湿した水分の凝縮潜熱量/除湿に要するエネルギー量)を向上させるものであり、例えば、従来の除湿装置の除湿効率が約32%であるのに対して本実施形態では除湿効率を約40%まで向上することができるのである。
以上、説明したように本実施形態の除湿装置は、以下の効果を奏するものである。
すなわち、伝熱板23aおよび伝熱板23bの通路開口以外の端面を隣り合う同士で溶着して、つまり、間隔リブ24aと溶融部29bを溶着するとともに間隔リブ24bと溶融部29aを溶着して、接着剤を用いずに伝熱板23aおよび伝熱板23bの積層状態を強固に固定するとともに再生空気通路11と冷却空気通路12の気密性を確保することができる。
また、伝熱板23aおよび伝熱板23bの各々一枚のみを介して再生空気と冷却空気を熱交換させることにより熱抵抗を抑えて熱交換効率を向上することができる。
また、間隔板などの別部品を設けずに伝熱面を密に形成して熱交換器10の小型軽量化を図ることができる。
また、間隔板や通路分割板などの頂角部分を設けずに表面張力による水滴滞留を抑制し、凝縮した水滴を円滑に滴下させることができる。
また、熱交換器10において高効率な熱交換を行って再生空気の飽和水蒸気量を小さくし、加熱器9に戻すことにより、除湿ローター2の水分放出量および熱交換器10での凝縮水回収量を増加させるとともに空気漏洩による除湿量低下を抑制して除湿効率(除湿した水分の凝縮潜熱量/除湿に要するエネルギー量)を向上することができる。
また、伝熱板23aと一体で形成した間隔リブ24aおよび伝熱板23bと一体で形成した間隔リブ24bにより、再生空気通路11および冷却空気通路12の通路間隔を適正に確保して通風抵抗の増加を抑制することができる。
また、再生空気通路11に結露した水滴を誘導リブ27aおよび誘導リブ27bに沿わせて円滑に滴下させ、再生空気通路11内の水滴滞留を抑制することができる。
また、誘導リブ27aおよび誘導リブ27bを再生空気の送風方向において連続に形成したので、リブ不連続部での水滴滞留を抑制し、再生空気通路11に結露した水滴を速やかに滴下させることができる。
また、冷却空気通路12に供給された冷却空気を整流リブ28に沿わせて均一に流し、再生空気との熱交換効率を向上することができる。
また、整流リブ28に沿って流れる冷却空気を整流リブ28の不連続部において均圧して風速分布を平準化し、熱交換効率を更に向上することができる。
また、伝熱板23aおよび伝熱板23bの長辺側に再生空気通路11を配し、短辺側に冷却空気通路12を配設したので、冷却空気通路12の通路断面積を再生空気通路11の通路断面積よりも広くし、冷却空気通路12の通風抵抗を再生空気通路11の通風抵抗よりも小さくして、再生空気よりも多くの冷却空気を容易に供給することができる。
また、伝熱板23aおよび伝熱板23bの長辺側に冷却空気通路12を配し、短辺側に再生空気通路11を配設した場合は、再生空気通路11の通路断面積を冷却空気通路12の通路断面積よりも広くし、再生空気通路11の通風抵抗を冷却空気通路12の通風抵抗よりも小さくして、冷却空気よりも多くの再生空気を容易に供給することができる。
また、再生空気通路11内を再生空気が鉛直下向きに流れるように伝熱板23aおよび伝熱板23bを配設したので、再生空気通路11に結露した水滴を水滴自身の自重と鉛直下向きに流れる再生空気の風圧により速やかに滴下させ、水滴滞留による通風抵抗の増加を抑制することができる。
また、伝熱板23aおよび伝熱板23bの再生空気通路11の出口側に対応する一辺を水平方向に対して傾斜させたので、再生空気通路11に結露して通路出口まで滴下した水滴を出口側に対応する一辺の傾斜に沿わせて最下頂点部15まで移動させて大粒にし、自重により出口部分から容易に分離させ、表面張力による水滴滞留を減らして通路閉塞を抑制することができる。
また、伝熱板23aおよび伝熱板23bの再生空気通路11の入口側に対応する一辺を水平方向に対して傾斜させ、再生空気通路11の入口側を再生空気の供給方向に対して手前から奥に向けて上り勾配に形成したので、再生空気通路11に流入する再生空気の風速分布を均一化して熱交換効率を向上することができる。
また、伝熱板23aおよび伝熱板23bの積層方向両端に再生空気通路11を配列した場合には、この積層方向両端に配列された再生空気通路11内を流れる再生空気と熱交換器10の外周を流れる空気との熱交換を図り、伝熱板23aおよび伝熱板23bの全てを伝熱面として有効に作用させることができる。
また、伝熱板23aおよび伝熱板23bの積層方向両端に冷却空気通路12を配列した場合には、この積層方向両端に配列した冷却空気通路12によって、その外側に配設される熱交換器10の固定部と、その内側に配列される再生空気通路11内の再生空気との断熱を図り、高温の再生空気による固定部の熱変形を抑制することができる。
また、伝熱板23aおよび伝熱板23bを、熱可塑性樹脂材料からなるシート材30から成形したので、熱可塑性樹脂材料の成形容易性により、伝熱板23aに一体成形する間隔リブ24aおよび誘導リブ27aや、伝熱板23bに一体形成する間隔リブ24b、誘導リブ27bおよび整流リブ28などの凹凸部の成形性を向上することができる。
さらに、シート材30にゴム粒子を分散させた場合には、シート材30に分散したゴム粒子の弾性性質により、凹凸部の成形時のひびや割れの発生を抑制することができる。
また、シート材30の熱可塑性樹脂材料としてポリスチレンを用いた場合には、ポリスチレンの寸法安定性により、成形後の凹凸部の寸法収縮を抑え、間隔リブ24aおよび間隔リブ24bを精度良く形成し、再生空気通路11および冷却空気通路12の通路間隔を適正に保持することができる。
また、シート材30の熱可塑性樹脂材料としてポリプロピレンを用いた場合には、ポリプロピレンのこしの強さにより、シート材30の成形時や伝熱板23aおよび伝熱板23bの積層時における板折れや曲がりの発生を抑制し、取り扱い性を向上することができる。
また、シート材30の熱可塑性樹脂材料としてポリカーボネートを用いた場合には、ポリカーボネートの形状維持性により、積層状態において隣接する伝熱板23aおよび伝熱板23bの各当接箇所の強度を確保し、再生空気通路11および冷却空気通路12の通路間隔を確実に保持することができる。
また、シート材30の熱可塑性樹脂材料としてポリエチレンテフタレートを用いた場合には、ポリエチレンテフタレートの耐熱性により、伝熱板23aおよび伝熱板23bの耐熱性を向上させ、異常時の温度上昇による伝熱板23aおよび伝熱板23bの熱変形を抑制することができる。
また、シート材30の熱可塑性樹脂材料としてアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンを用いた場合には、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの耐衝撃性により、伝熱板23aおよび伝熱板23bの対衝撃性を向上させ、凹凸部の成形時や積層時のひびや割れの発生を抑制し、伝熱板23aおよび伝熱板23bの気密性を確保することができる。
また、シート材30に、ハイインパクトポリスチレンシートを用いた場合には、ハイインパクトポリスチレンの寸法安定性により、成形後の凹凸部の寸法収縮を抑え、間隔リブ24aおよび間隔リブ24bを精度良く形成して再生空気通路11および冷却空気通路12の通路間隔を適正に保持するとともに、ハイインパクトポリスチレンに含まれるゴム粒子の弾性性質により、凹凸部成形時にひびや割れの発生を抑制することができる。
また、シート材30の厚みを0.05〜0.5mmの範囲としたので、凹凸部成形時に破れにくくできるとともに、伝熱板23aおよび伝熱板23bの熱抵抗を少なくして熱交換効率を向上することができる。
また、シート材30に抗菌剤を添加した場合には、伝熱板23aおよび伝熱板23bに抗菌処理が施されるので、熱交換器10内の水滴残留に起因する菌やカビの発生を抑制することができる。
また、シート材30に帯電防止剤を添加した場合には、伝熱板23aおよび伝熱板23bに帯電防止処理が施されるので、熱交換器10で回収した凝縮水に帯電しにくくして、排水作業時の放電現象を抑制することができる。
また、シート材30に難燃剤を添加した場合には、伝熱板23aおよび伝熱板23bに難燃処理が施されるので、異常時の温度上昇による伝熱板23aおよび伝熱板23bの熱変形を抑制することができる。
また、シート材30に脱臭剤を添加した場合には、伝熱板23aおよび伝熱板23bに脱臭処理が施されるので、熱交換器10内の残留水滴や熱交換器10に混入した異物からの臭気発生を抑制することができる。
また、シート材30の表面を撥水性とした場合には、シート材30から成形される伝熱板23aおよび伝熱板23bの表面も撥水性を有するので、再生空気通路11に結露した水滴の接触角を大きくし、水滴を速やかに滴下させることができる。
また、シート材30の表面を親水性とした場合には、シート材30から成形される伝熱板23aおよび伝熱板23bの表面も親水性を有するので、再生空気通路11に結露した水滴を液膜状に広げて水滴のブリッジ現象を抑制することができる。
以上説明した内容は、発明を実施するための一形態についてのみ説明したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、熱交換器10の冷却空気通路12に供給する冷却空気として処理ファン4によって吸湿経路6に供給される空気を用いたが、冷却空気は再生空気を冷却できるものであればよいのであって、吸湿経路6とは別経路の空気を供給してもよく、また、処理ファン4とは別のファンを用いて空気を供給するように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、伝熱板23aおよび伝熱板23bの外形を台形状に形成したが、伝熱板23aおよび伝熱板23bは、再生空気通路11と冷却空気通路12が形成可能なように少なくとも二組の対辺を有する形状であればよく、矩形状、平行四辺形状、直角台形状などに形成してもよい。また、外形を四角形以上のn角形状に形成し、再生空気通路11の開口となる対辺および冷却空気通路12の開口となる対辺以外の辺をシール面として形成してもよい。
また、上記実施の形態では、間隔リブ24aの凸部寸法を幅4mm程度、高さ3mm程度としたが、これら寸法は、使用条件等を踏まえて適宜設計すればよい。同様に間隔リブ24bの凸部寸法も、幅4mm程度、高さ2mm程度に設定したが、これら寸法も使用条件等を踏まえて適宜設定可能である。
また、上記実施の形態では、再生空気通路11内に伝熱板23a側から幅2mm程度、高さ3mm程度の誘導リブ27aを突設させ、伝熱板23b側から幅2mm程度、高さ1mm程度の誘導リブ27bを2本突設させる構成としたが、誘導リブの本数、位置、幅寸法、リブ高さ寸法はこれに限るものではない。例えば、再生空気通路11内に伝熱板23a側もしくは伝熱板23b側の何れか一方向側からリブを突設させる構成としてもよく、リブ本数やリブ幅寸法も再生空気通路11の通路幅などに応じて適宜設定可能である。また、リブ高さ寸法も再生空気通路11の通路間隔を規定する間隔リブ24a以下であれば、再生空気通路11の通路間隔などに応じて適宜設定すればよいのである。
また、上記実施の形態では、冷却空気通路12内に伝熱板23b側から、幅1mm程度、高さ2mm程度の整流リブ28を複数本突設させる構成としたが、整流リブの本数、位置、幅寸法、リブ高さ寸法はこれに限るものではない。例えば、冷却空気通路12内に伝熱板23a側と伝熱板23b側の両側からリブを突設させる構成としてもよく、リブ本数やリブ幅寸法も冷却空気通路12の通路幅などに応じて適宜設計可能である。また、リブ高さ寸法も冷却空気通路12の通路間隔を規定する間隔リブ24b以下であれば、冷却空気通路12の通路間隔などに応じて適宜設定すればよいのである。
また、上記実施の形態では、再生空気通路11と冷却空通路12の配列パターンとして、積層方向両端側に再生空気通路11が配列される場合、もしくは積層方向両端側に冷却空気通路12が配列される場合について説明したが、実施可能な配列パターンはこれに限るものではない。すなわち、積層方向の両端の一方に再生空気通路11を配し、他方に冷却空気通路12を配列してもよい。これら配列パターンは装置構成に応じて適宜選定可能である。
また、上記実施の形態では、伝熱板23aおよび伝熱板23bの固定および再生空気通路11と冷却空気通路12の気密性を確保する方法として、間隔リブ24aと溶融部29bを溶着するとともに間隔リブ24bと溶融部29aを溶着する方法を示したが、積層状態において伝熱板の通路開口部以外の端面を隣り合う同士で溶着できるように構成すればよく、これに限るものではない。
また、上記実施の形態では、間隔リブ、誘導リブ、整流リブ、溶融部などの凹凸部を伝熱板に一体形成する方法として、真空成形により平板状のシート材30に凹凸部を形成する方法を示したが、成形方法は、これに限るものではなく、例えば、圧空成形、超高圧成形、プレス成形等によりシート材30に凹凸部を形成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、真空成形金型31に凹凸パターン32aおよび凹凸パターン32bの二種類の凹凸パターンを形成し、一回の成形で伝熱板23aの凹凸形状である凹凸部33aと伝熱板23bの凹凸形状である凹凸部33bを同時に成形する方法を示したが、成形方法は、これに限るものではなく、凹凸部33aおよび凹凸部33bを各々個別に成形してもよく、また凹凸部33aおよび凹凸部33bを各々同時に複数個成形できるように真空成形金型31を構成してもよい。これらは、成形時間、成形数量に基づいて適宜設定すればよい。
また、上記実施の形態では、伝熱板23a、伝熱板23bの各々の外周形状と等しい形状の抜き刃34を備えた抜き型35を、凹凸部33aおよび凹凸部33bが成形されたシート材30に押し付けて切断し、伝熱板23aおよび伝熱板23bを形成する方法を示したが、切断方法はこれに限るものではなく、例えば、シート材30を超音波カッターやレーザーなどにより所定外形に切断するように構成してもよい。