以下、本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1にかかる除湿機の斜視図、図2は除湿機の分解斜視図である。図1および図2において、除湿機の外郭を形成するハウジング1は、楕円形の水平断面形状を有しており、このハウジング1の長辺側に吸気口3が開口されている。この吸気口3には着脱自在にフィルター2が配設されており、このフィルター2によって吸気口3から吸引される空気中に含まれる塵埃などの異物を補足し、ハウジング1内への異物流入を抑制している。また、吸気口3はハウジング1の長辺側片面のみに開口されているので、ハウジング1内に空気を吸い込むための吸込空間をハウジング1の吸気口3が開口した片面側にのみ設ければよく、設置における制約も緩和されて使い勝手が向上することになる。
また、ハウジング1の底部には凝縮水を排水するためのタンク4を収納する収納部が形設され、この収納部にタンク4が吸気口3逆面側から収脱可能に収納されている。このタンク4の引出面には把持部が形成され、この把持部を掴んでタンク4の収脱操作を容易に行うことができるように構成されている。したがって引出距離の短いハウジング1の短辺方向からタンク4の収脱操作を容易に実行することが可能となり排水時や装着時の作業性が向上することになる。
また、ハウジング1の上面には除湿機の運転を操作するための操作部5、除湿機を運搬するときに把持するハンドル6、および乾燥空気を排出するための排気口7が設けられており、操作部5、ハンドル6および排気口7は、ハウジング1の長辺方向に沿うように矩形状に形設されている。この排気口7の上部には排気口7から排出される乾燥空気の風向を自動的に変更するための風向変更手段8が配設されており、風向変更手段8は、排気口7からの排出空気を偏向するためのルーバー9と、ルーバー9の軸と係合してルーバー9を回転させるための駆動モーター10を具備している。したがって、この風向変更手段8により排気口7から排出される乾燥空気を広角度に排出でき、また、ハウジング1の長手方向に沿って矩形状に開口している排気口7から幅広く排出することができるため、この排出空気を、例えば衣類などの乾燥に利用する場合には、排出角度と排出幅の拡大によって乾燥対象物に広範囲に風が当たって乾燥効率が向上することになる。
また、ハウジング1内には、内部を短辺方向において区画する区画壁11が形設されており、この区画壁11に円盤状のローター12と矩形状の凝縮器13が水平方向に並んで収容されている。また、区画壁11の吸気口3側には、ヒーター14を内包して加熱用開口部15を開口した扇形断面のヒーターケース16がローター12に近接するように付設されており、ヒーターケース16の下方には循環ファン17を収納した循環ケーシング18が配設されている。また、区画壁11の排気口7側には、ローター12を介してヒーターケース16の加熱用開口部15と相対する扇形断面のチャンバー19が付設されており、チャンバー19の排気口7側にハウジング1内に送風するためのファン20が配設されている。このようにハウジング1内の長手方向においてローター12と凝縮器13が水平方向に並設される配置のため、ハウジング1内に部品を高密度に配置することが可能となり、機器の小型化が図れるとともに、ハウジング1の高さも低くなるので、例えば、階段の昇降などの運搬作業を楽な姿勢で実行することが可能となり使い勝手も向上することになる。
ファン20は、区画壁11に対向するようにハウジング1の長辺側に開口した吸込口21と排気口7に対向するように上方に開口した吹出口22を形成するファンケーシング23と、ファンケーシング23に収容される羽根24と、羽根24に連結されるモーター25を具備しており、モーター25の駆動によって羽根24を回転させ、吸込口21から空気を吸い込んで吹出口22から空気を排出するものである。したがってファン20が運転すると、吸気口3からハウジング1内に空気が吸引され、この吸引された空気がハウジング1長辺側に水平方向に並設されているローター12と凝縮器13とに分かれて各々をハウジング1の短辺方向に並行に流れた後、ともに吸込口21からファン20に吸い込まれて羽根24により攪拌されて排気口7から排出される送風動作が実行される。このように吸気口3から吸引される空気は、ローター12と凝縮器13の各々に分流してハウジング1の短辺方向を並行に流れるので、風路面積が広くとれるとともに風路距離が短くなって機内通風抵抗が減少し、ハウジング1内に大量の空気が供給されることになる。
また、ファン20の吸込口21が吸気口3と対向するようにハウジング1の長辺方向に開口しているので、吸気口3および吸込口21の吸込面積が広く確保でき、また、吸気口3から吸込口21に直線状に円滑に空気が導入できる。また、ファン20の吹出口22も排気口7と対向するように配設されているので、吹出口22から吐出した空気が排気口7に円滑に送られることになる。このように吸気口3から吸込口21に円滑に空気を導き、また、吹出口22から排気口7に円滑に空気を送出できるため、ファン20の通風抵抗が抑制されて送風量が増加することになる。
図3および図4は、除湿機を長辺方向おいて切断した断面図である。図に示すようにハウジング1内の長辺方向に円盤状のローター12と矩形状の凝縮器13が並設されており、その下方に凝縮器13で結露した凝縮水を貯水するためのタンク4が配設されている。凝縮器13は、後述するようにファン20によって供給される空気を通す外部通路と、循環ファン17によって循環する再生空気を通す内部通路を有しており、外部通路を水平方向に形成し、内部通路を鉛直方向に形成して内部通路の入口部25を上面側、出口部26を下面側に配設している。したがって循環ファン17により循環する再生空気は、凝縮器13において内部通路を下向きに流れることになる。
凝縮器13の内部通路は、上部の入口部25がローター12の上方に形成される第1ダクト27を介してチャンバー19と連通し、また、下部の出口部26がローター12の下方に形成される第2ダクト28を介して循環ケーシング18に形成される循環ファン17の吸込口と連通している。したがって循環ケーシング18から吐出した再生空気が、矢符に示すように、循環ケーシング18と接続されたヒーターケース16に流入し、ヒーターケース16に開口した扇形の加熱用開口部15からローター12を介してチャンバー19に受風され、チャンバー19から第1ダクト27を通って凝縮器13の内部通路に入り、内部通路から第2ダクト28を通って循環ファン17に廻流する循環経路29が形設されることになる。
また、図に示すように第1ダクト27はローター12の上方に配設され、また、第2ダクト28はローター12の下方に配設されている。したがってファン20からの供給空気を通すローター12の領域部分は、接続ダクトで遮蔽されずに空気供給方向に対して広く開放されている。このためファン20のローター12供給経路における通路抵抗が低くなり、ローター12への供給風量が増加することになる。
また、第1ダクト27は凝縮器13方向に向けて下り勾配が形成されており、この下り勾配に沿って第1ダクト27内に結露した水滴が凝縮器13の内部通路側に移動する。このため第1ダクト27内の水滴滞留が抑制されることになる。また、第2ダクト28の最下点近傍には排水口30が設けられており、この排水口30にタンク4と係合するようにストッパー31が付設されている。このストッパー31は、タンク4が未装着の場合に排水口30を閉塞し、タンク4装着時に排水口30を開放するように作動するものである。
第2ダクト28の上面側には、チャンバー19の最下点と連通する連通管32および循環ケーシング18の最下点と連通するドレン孔33が接続されている。したがってチャンバー19内に結露した水滴は連通管32を通って第2ダクト28に滴下し、また、循環ケーシング18内に結露した水滴はドレン孔33を通じて第2ダクト28内に滴下することになる。また、第1ダクト27内に結露した水滴は、上述したように凝縮器13の内部通路に移動して凝縮器13の内部通路に結露する凝縮水とともに下方に位置する第2ダクト28に滴下する。したがって循環経路29内に発生する水滴や凝縮水がすべて第2ダクト28に集水されることになり、循環経路29の水滴滞留は全面的に抑制されることになる。
また、第2ダクト28に集水された凝縮水は、排水口30を通じて全てタンク4に排水されるので、排水口30以外からの漏水も発生し難い構成となっている。そしてタンク4未装着時にはストッパー31が排水口30を閉塞するため、排水口30からの水垂れも防止できる。さらに循環ケーシング18の吐出部が上方に向いてヒーターケース16と接続しており、循環ケーシング18内に結露した水滴のヒーターケース16への流入も容易に抑制できる。
図5は、除湿機の内部主要部品の分解斜視図である。図に示すように区画壁11には円形開口部34および矩形開口部35が開口しており、円形開口部34には、ローター12の回転軸36を備えて扇帯状の周壁面37により扇形断面を形成したチャンバー19が配設されている。このチャンバー19は、円形開口部34の外周部において区画壁11と螺子止めにより接合されており、チャンバー19の再生空気出口側に相当する第1ダクト27との接続口38を上面に開口している。また、チャンバー19内部には、ローター12と対向する扇形部分を覆うように遮熱板39が配設されており、この遮熱板39は、さらにチャンバー19の周壁面37のローター12回転方向後段側に位置する半径部分も覆うように延設されている。この遮熱板39は、反射率が高く防錆のあるアルミニウムもしくはステンレス等の金属板にプレス加工や曲げ加工を施すことにより形成される。そしてチャンバー19に一体形成された回転軸36を挿嵌するようにローター12が円形開口部34に収容され、矩形開口部35には凝縮器13が収容される。したがってローター12と凝縮器13の相対位置関係が区画壁11によって所定位置に規定され、ファン20によって供給される空気がローター12と凝縮器13とに適正に分流されることになる。また、円形開口部34の内径は、ローター12の外形よりも小さく形成されているので、ローター12の外周を通ってローター12をバイパスする空気が減少し、吸湿効率の低下が抑制されることになる。
この円形開口部34にローター12が収容された状態で、チャンバー19の逆側から断面扇形のヒーターケース16が取り付けられる。ヒーターケース16はローター12の回転軸36と円形開口部34の外周側においてチャンバー19と螺子止めにより固定される。したがってローター12は、その中心部と外周部においてチャンバー19とヒーターケース16により回転可能に挟持されることになり、区画壁11に反りが発生してもローター12の回転動作に影響は及ばない。また、上述の構成によりヒーターケース16とチャンバー19の間隔は全周において常に適正に保持されることになり、この間隔は、ローター12の厚みに対して0.3〜1.5mmの範囲で広く設定するのが好ましい。その理由としては、この間隔がローター12の厚みに対して0.3mm未満になるとローター12の回転動作を円滑に実行できなくなり、逆にこの間隔がローター12の厚みに対して1.5mm以上になるとローター12とヒーターケース16の隙間およびローター12とチャンバー19との隙間からの空気漏洩が増加して除湿効率が大きく低下するためである。このようにヒーターケース16とチャンバー19との間隔が狭くなるほどローター12の駆動性が低下する傾向にあり、逆に、ヒーターケース16とチャンバー19の間隔が広くなるほど、空気漏洩が増加して除湿効率が低下する傾向にある。したがってローター12の駆動性と除湿効率を満足するには、ヒーターケース16とチャンバー19との間隔はローター12の厚みに対して0.3〜1.5mmの範囲で広く形成することが好ましく、さらにはローター12の厚みに対して0.5〜1.2mmの範囲で広く形成することが最も望ましい。
また、ヒーターケース16のローター12対向面に開口する扇形の加熱用開口部15は、チャンバー19の扇形断面部と相対するように配設され、ヒーターケース16内に収容されたヒーター14の輻射熱をローター12に直接照射するように構成されている。この加熱用開口部15から照射される輻射熱はローター12を介してチャンバー19内部にも到達する。このチャンバー19内に照射された輻射熱は、加熱用開口部15に対峙するようにチャンバー19内部に配設される遮熱板39によって遮熱される。したがってチャンバー19の輻射熱による熱変形が抑制されることになる。また、遮熱板39は反射率の高いアルミニウムやステンレスなどの鏡面金属板を加工して形成されている。これにより遮熱板39に照射された輻射熱は、ローター12方向に反射し、ローター12からの水分放出が促されることになる。さらに遮熱板39は、チャンバー19のローター12回転方向後段側に位置する周壁面37の半径部分も覆うように延設されている。したがって加熱用開口部15からの輻射熱照射により表面温度が上昇したローター12が、回転動作に伴って回転方向後段側に位置する周壁面37に近接しても、ローター12から放熱を遮熱板39が遮って周壁面37の熱変形が抑制されることになる。また、第1ダクト27との接続口38は、輻射熱が照射される加熱用開口部15と対向しないようにチャンバー19の上面側に開口されている。したがって加熱用開口部15から照射された輻射熱が直接第1ダクト27内に入射することがなく、第1ダクト27の熱変形が抑制されることになる。
また、ヒーターケース16の下方には循環ファン17を収容した循環ケーシング18が配設される。循環ケーシング18は、アルミニウムやステンレスなどの耐腐食性金属板にプレス加工や曲げ加工を施して形成される金属部40と、循環ファン17を収容してドレン孔35を開口した樹脂部41とを備えており、循環ファン17は、樹脂部41に付設されるモーター42に連結されている。したがってモーター42を駆動すると循環ファン17が回転し、金属部40に開口した吸込口43から空気を吸い込んで、ヒーターケース16に接続される吐出口から吹き出す送風動作が実行される。この吐出口44近傍には、アルミニウムやステンレスなどの耐腐食性金属板にプレス加工や曲げ加工を施して形成される遮熱部材45が付設されており、この遮熱部材45によってヒーター14からの放熱やヒーターケース16からの伝熱に起因する樹脂部41の熱変形が抑制されることになる。
また、循環ケーシング18は、矢符で示すローター12回転方向におけるヒーターケース16の後段位置に金属部40をローター12に対向して近接するように配設される。したがってヒーター14により加熱されたローター12からの熱放射が金属部40を介して循環ケーシング18内に伝達し、循環ケーシング18内部の結露発生が抑制されることになる。また、樹脂部41へのローター12からの熱放射も金属部40によって遮熱されるため樹脂部41の熱変形も抑制されることになる。
このように循環ケーシング18、チャンバー19および第1ダクト27は、ヒーター14からの熱放射の影響を比較的受けやすい位置に配設されるので、これらを樹脂材料にて形成する場合には、耐熱性の高い材料を用いることが好ましい。例えば、ポリエチレンテフタレート、ポリフェニレンサルファイドのような耐熱性樹脂を用いて循環ケーシング18、チャンバー19および第1ダクト27を形成した場合には、ローター12の回転動作不良、ファン20および循環ファン17の送風動作不良などの異常発生時に各部の温度が過昇状態となっても樹脂の熱変形が抑制されることになる。
図6は、ローター12の詳細構成を示す分解斜視図である。ローター12は、セラミック繊維、ガラス繊維等の無機繊維、もしくはそれら無機繊維とパルプとを混合して抄造した平面紙とコルゲート加工を施した波型紙を巻装したドーナツ状の円盤体に、吸湿剤46として、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機質の吸着型吸湿剤、有機高分子電解質すなわちイオン交換樹脂などの吸湿剤、塩化リチウムなどの吸収型吸湿剤を1種類もしくは2種類以上を複合して担持した吸湿素子47を備えている。この吸湿素子47は、外周にギア48を周設したリング状のフレームA49と、外輪50から吸湿素子47の中心穴51と係合する内輪52に向けて放射状に複数本のリブ53が架橋されたフレームB54とで両軸側から挟み込んで収納される。そしてフレームA49とフレームB54が外周で複数螺子止めされるとともに、フレームB54の逆側から吸湿素子47の中心穴51に軸受部55が嵌入され、フレームB54の内輪52と軸受部55が螺子止めされることにより吸湿素子47が保護される構成となる。
このように構成されるローター12は、フレームB54に架橋したリブ53がローター12回転時にヒーター14で直接加熱されて変形等生じないように、ヒーターケース16側にフレームA49、チャンバー19側にフレームB54が対向する向きでケーシング1内部に配設される。また、ローター12を回転させる駆動手段56は、フレームA49のギア48と噛合する歯車57と、歯車57を回転させる駆動モーター58により構成され、このギア48に歯車57を噛合わせた状態で駆動モーター58を回転させることにより、歯車57を介してフレームA49のギア48に駆動力を伝達し、フレームA49とフレームB54で固定保持される吸湿素子47の回転動作を円滑に実行するように構成している。このローター12の回転速度は、通常、毎時10〜40回転の範囲に設定される。
フレームA49には外周に沿ってギア48の凹状部を覆うように第1遮蔽壁59が一体形成されており、また、歯車57にも外周に沿って歯合する凹状部を覆うように第2遮蔽壁60が一体形成されている。このフレームA49に周設された第1遮蔽壁59は、ファン20によりローター12に供給される空気がギア48の凹状部を通ってローター12をバイパスするのを抑制するものであり、また、歯車57外周に周設された第2遮蔽壁60も、ファン20によりローター12に供給される空気が歯車57の凹状部を通ってローター12をバイパスするのを抑制するものである。このように第1遮蔽壁59および第2遮蔽壁60がギア48や歯車57の凹状部を通ってローター12をバイパスする空気量を減少させるように作用するため、ローター12の吸湿効率が向上することになる。
また、フレームB54に形成されたリブ53は、ローター12回転時に循環経路29において高湿の再生空気と接触するため、リブ53の錆付きによるローター12の回転不具合などを防止するには、アルミニウムやステンレスなどの耐腐食性を有する金属板にプレス加工や曲げ加工を施してフレームB54を形成することが好ましい。また、この金属板は0.1〜0.3mmの範囲の板厚を用いることが好ましい。その理由としては、フレームB54の厚みが0.1mm未満だと、フレームB54に一体形成されるリブ53の強度が低下して吸湿素子47を十分に保持することができなくなり、また、フレームB54の厚みが0.3mm以上になると、リブ53の端部と吸湿素子47の表面との空隙が大きくなり、この空隙分の空気漏洩がフレームB54とチャンバー19との隙間で発生して除湿効率が低下してしまうためである。このようにフレームB54の厚みが薄くなるほど、リブ53の強度が低下する傾向にあり、逆にフレームB54の厚みが厚くなるほど、空気漏洩量が増えて除湿効率が低下する傾向にある。したがってリブ53の強度と除湿効率を満足するには、フレームB54の板厚は、0.1〜0.3mmの範囲であることが好ましく、さらには0.15〜0.25mmの範囲であることが最も望ましい。
図7は、凝縮器13の詳細構成を示す概略分解斜視図である。凝縮器13は、例えば、厚み0.05〜0.5mmの範囲のシートに凹凸部を所定のパターンで形成した伝熱板61aと、同様の薄厚のシートに伝熱板61aと異なる凹凸部のパターンを形成した伝熱板61bを交互に複数枚積層した積層型熱交換器で構成される。この伝熱板61aおよび伝熱板61bの板厚は、後述する凹凸部の成形性、強度および形状維持性の面から0.05mm以上であることが好ましく、また、伝熱性確保の面から0.5mm以下であることが好ましい。そして、複数枚積層された伝熱板61aおよび伝熱板61bの各々の間隙に循環ファン17により循環する再生空気とファン20により供給される空気を交互に流すことにより、再生空気が流れる内部通路62とファン20により供給される空気が流れる外部通路63が一段おきに形成され、この内部通路62を流れる再生空気と外部通路63を流れる空気が伝熱板61aおよび伝熱板61bの各々を介して熱交換するように構成されている。したがって熱交換の阻害要因は伝熱板61aおよび伝熱板61bの一枚分の熱抵抗のみとなり高効率な熱交換が行われて凝縮器13における冷却効率が向上することになる。伝熱板61aおよび伝熱板61bは、実際は、合計20枚〜60枚程度を積層するが、簡略のため伝熱板61aおよび伝熱板61bの各々2枚ずつを積層方向において分解して示している。
この伝熱板61aおよび伝熱板61bは、長辺側と短辺側の二組の対辺を有する平面形状であり、長辺側の対辺が鉛直方向平行状態となるように配設され、その時、下辺に位置する短辺が後述するように水平方向に対して約10°傾斜するような直角台形平面状に形成されている。伝熱板61aには、長辺側の対辺各々に沿って、幅4mm程度の中空凸状の間隔リブ64aを突設しており、また、伝熱板61bにも短辺側の対辺各々に沿って伝熱板61aと同様に幅4mm程度の中空凸状の間隔リブ64bを突設している。伝熱板61aの間隔リブ64aは、凸状の高さが3mm程度に形成され、この間隔リブ64aの突設面が積層状態において伝熱板61bに当接することにより、内部通路62の通路間隔が所定寸法、すなわち約3mmに規定されて保持される。一方、伝熱板61bの間隔リブ64bは、凸状の高さが2mm程度に形成され、この間隔リブ64bの突設面が積層状態において伝熱板61aに当接することにより、外部通路63の通路間隔が所定寸法、すなわち約2mmに規定されて保持される。
また、間隔リブ64aは、積層状態で伝熱板61bに突設した間隔リブ64bと重なる両端の角部65を、間隔リブ64bの高さ分、即ち2mm程度更に突設させて、この角部65を間隔リブ64bの裏面中空凹状部分に勘合させ、突設面全体が伝熱板61bに当接するように形成される。同様に間隔リブ64bも、積層状態で伝熱板61aに突設した間隔リブ64aと重なる両端の角部66を、間隔リブ64aの高さ分、即ち3mm程度更に突設させて、この角部66を間隔リブ64aの裏面中空凹状部分に勘合させて突設面全体が伝熱板61aに当接するように形成される。このように間隔リブ64aおよび間隔リブ64bは、その突設面全体を隣接する伝熱板61bおよび伝熱板61aに当接するように形設されており、これにより積層状態において内部通路62の通路間隔が全て適正な所定の寸法、即ち約3mmに保持され、また、外部通路63の通路間隔も同様に全て適正な所定の寸法、即ち約2mmに保持されることになる。
以上のように伝熱板61aに突設した間隔リブ64aのリブ高さにより内部通路62側の積層間隔が約3mmに設定され、また、伝熱板61bに突設した間隔リブ64bのリブ高さにより外部通路63側の積層間隔が約2mmに設定されるので、内部通路62の通路間隔は、外部通路63の通路間隔より約1mm広くなる。このように内部通路62の通路間隔を外部通路63の通路間隔よりも広く設定すると、内部通路62で結露した水滴のブリッジ現象を抑制して水滴を円滑に滴下させ、水滴滞留による内部通路62の通風抵抗増加を抑制できるとともに、外部通路63側は、余分な通路間隔を設けずに密に形成されるので、凝縮器13の小型化と冷却効率の向上が図られることになる。ここで外部通路63を流れる空気が、例えば、異物を大量に含むような環境で使用される場合には、外部通路63の通路間隔が2mm程度だと異物が通路の間隙に堆積して通風抵抗が増加し、また、熱交換の妨げにもなる。このような場合は、間隔リブ64bのリブ高さを間隔リブ64aのリブ高さよりも高く、例えば4mm程度に設定して、外部通路63の通路間隔を広げることにより異物の堆積を抑制することができる。このように間隔リブ64aおよび間隔リブ64bのリブ高さは、各々の通路を流れる空気の状態、例えば、水滴発生状態や異物含有状態に応じて適性に調整することが好ましいのである。
また、伝熱板61aの水平方向中央部には、間隔リブ64aと同一方向に幅2mm程度の中空凸状の誘導リブ67aを連続に形成し、伝熱板61bの鉛直方向には、間隔リブ64bの逆方向に突設する幅2mm程度の中空凸状の誘導リブ67bを連続に2本形成している。この誘導リブ67bは、積層状態において間隔リブ61aと誘導リブ67aの中央部分に位置するように形設されている。したがって積層状態において誘導リブ67aおよび誘導リブ67bは、内部通路62内に両面側よりリブ間隔が略等間隔となるように、かつ再生空気の送風方向に対して連続的に突設形成されることになるので、内部通路62に結露した水滴が誘導リブ67aおよび誘導リブ67bに沿って速やかに滴下し、内部通路62内の水滴滞留がさらに抑制されることになる。この誘導リブ67aおよび誘導リブ67bのリブ高さは、間隔リブ64a以下であれば適宜設定可能であるが、内部通路62の間隔保持状況や水滴滴下状況に基づいて設定することが好ましい。例えば、誘導リブ67aのリブ高さを間隔リブ64aと同一の3mm程度に設定し、誘導リブ67bのリブ高さを誘導リブ67aよりも低い1mm程度に設定すると、内部通路62の通路間隔が中央部でも適正に保持されるとともに、内部通路62の通路断面積も広く形成されて通風抵抗を低減でき、さらに通路内に結露した水滴もブリッジすることなく円滑に滴下させることができる。
また、伝熱板61bには水平方向に略等間隔に幅1mm程度の中空凸状の整流リブ68を、間隔リブ64bと同一方向に複数本突設させており、この整流リブ68の突設面は、伝熱板61bの逆面側に突設した誘導リブ67b中空凹部分において不連続となるように形成されている。したがって整流リブ68は、伝熱板積層状態において伝熱板61b側から外部通路63内に突設して、かつファン20により供給される空気の送風方向に対して不連続に形設されるので、外部通路63に供給された空気が、整流リブ68に沿って均一に流れるとともに、整流リブ68の不連続部において均圧して風速分布が平準化し、再生空気との高効率な熱交換が行われることになる。この整流リブ68のリブ高さは、間隔リブ64b以下であれば適宜設定可能であるが、例えば、整流リブ68を間隔リブ64bと同一のリブ高さ、すなわち2mm程度に設定すると、外部通路63を流れる空気の風速分布均一化を図るとともに外部通路63の通路間隔保持作用も兼ねることができる。
このように凝縮器13は、伝熱板61aおよび伝熱板61bに一体形成された間隔リブ64aおよび間隔リブ64b、誘導リブ67aおよび誘導リブ67b、整流リブ68などの突設部により伝熱板61aおよび伝熱板61bの積層間隔を適正に保持して内部通路62および外部通路63の通風抵抗の増加を抑制するように構成されている。また、直角台形状に形成された伝熱板61aおよび伝熱板61bの短辺側の対辺に内部通路62が配設され、内部通路62と概略直交する長辺側の対辺に外部通路63が配設されるので、外部通路63の通路断面積が、内部通路62の通路断面積よりも広く形成されて外部通路63の通風抵抗が内部通路62の通風抵抗よりも低くなり、再生空気よりも多くの空気を外部通路63に容易に供給できる。したがって再生空気をより多くの空気で冷却することが可能となり高い冷却効率を確保することができる。
また内部通路62は、再生空気が下向きに流れるように鉛直方向に配設されるので、内部通路62に結露した水滴が、その自重と下向きに流れる再生空気の風圧により速やかに滴下して内部通路62内の水滴滞留による通路閉塞が抑制される。また、外部通路63は内部通路62と直交するように水平方向に配設されるので、ファン20により供給される空気がローター12と外部通路63をともに水平方向に略平行状態で流れるため、ファン20の通風抵抗が減少し、ファン20の風量が増加することになる。また、内部通路62の出口まで滴下した水滴は、直角台形状に形成された伝熱板61aおよび伝熱板61bの傾斜面に沿って最下点まで順次移動し、最下点において大粒となって自重により速やかに滴下分離する。したがって内部通路62の出口部分における通路閉塞も抑制されることになる。この内部通路62の下辺の傾斜角度は5〜20°の範囲に形成することが好ましい。その理由としては、傾斜角度が5°未満だと、傾斜が緩すぎて内部通路62出口まで滴下した水滴が円滑に最下点まで移動せずに通路出口部分で滞留して通路抵抗が増加するためであり、また、傾斜角度が20°以上だと、傾斜が急すぎて凝縮器13を収納するのに必要な容積の中に占める伝熱面積の割合が減少し、冷却効率が低下するためである。このように伝熱板61aおよび伝熱板61bの下辺の傾斜角度が緩くなるほど、水滴分離性が低下する傾向にあり、逆に傾斜角度が急になるほど冷却効率が低下する傾向にある。したがって水滴分離性と冷却効率の双方を満足するには、伝熱板61aおよび伝熱板61bの下辺の傾斜角度は、5〜20°の範囲であることが好ましく、さらには約10°に形成することが最も望ましい。
また、凝縮器13は、伝熱板61aと伝熱板61bの積層パターンによって、内部通路62と外部通路63の配列を機器構成に応じて調整することが可能である。例えば、間隔リブ64aおよび間隔リブ64bの突設面側に順に積層していくとすると、図7のように伝熱板61aから始めて、伝熱板61b、伝熱板61aを交互に同枚数積層すると、積層方向の両端側に内部通路62が配列される。このような配列パターンで凝縮器13を構成し、凝縮器13の積層方向外周に空気が流れるように機器を構成すると、積層方向の両端に配列された内部通路62を流れる再生空気と凝縮器13の外周を流れる空気との熱交換が行われ、伝熱板61aおよび伝熱板61bの全てを伝熱面として利用することができる。逆に伝熱板61bから初めて、伝熱板61a、伝熱板61bを交互に同枚数積層すると、積層方向の両端側に外部通路63が配列される。このような配列パターンで凝縮器13を構成し、凝縮器13の積層方向外周に伝熱板積層状態を保持する固定部などを配設すると、積層方向両端に配列した外部通路63によって、その外側に配設される固定部と、その内側に配列される内部通路62を流れる再生空気とが断熱され高温の再生空気による固定部の熱変形を抑制することができる。このように内部通路62と外部通路63の配列パターンは機器構成に応じて都度最適な配列を設定することができるのである。
図8は、凝縮器13の固定保持状態を示す分解斜視図である。凝縮器13は、図7に示したように伝熱板61aと伝熱板61bを交互に所定枚数、すなわち合計40枚積層して構成される。この時の積層完了寸法Aは、伝熱板61aに形成された間隔リブ64aのリブ高さ寸法3mmに伝熱板61aの枚数を掛けた値、すなわち60mmと、伝熱板61bに形成された間隔リブ64bのリブ高さ寸法2mmに伝熱板61bの枚数を掛けた値、すなわち40mmと、伝熱板61aおよび伝熱板61bの厚み、例えば0.25mmに伝熱板合計枚数を掛けた値、すなわち10mmの合算値、すなわち110mmとなる。この凝縮器13を収納して固定保持するケース体69には、積層完了寸法Aよりも小さい幅寸法B、例えば、105mmの幅寸法の収納部70が形成されている。この収納部70に伝熱板積層状態の凝縮器13を白抜矢印に示すように挿入すると、ケース体69の凝縮器13の収納方向奥面に付設した係止部71に凝縮器13が当接して収納が完了する。この収納完了状態において収納部70の幅寸法Bは、積層完了寸法Aよりも5mm小さいので、積層状態の伝熱板61aおよび伝熱板61bの各々に、この5mm分の押圧力が積層方向より加わることになる。この押圧力によって伝熱板61aに形成された間隔リブ64aの突設面と、この突設面と接する伝熱板61bとの当接力が増加して内部通路62の気密性が高められ、また、伝熱板61bに形成された間隔リブ64bの突設面と、この突設面と接する伝熱板61aとの当接力が増加して外部通路63の気密性が高められることになる。
このようにして、伝熱板積層完了寸法Aよりも小さい幅寸法Bの収納部70に凝縮器13を伝熱板積層状態で収納し、伝熱板61aおよび伝熱板61bの各々を積層方向から押圧することにより、内部通路62および外部通路63の気密性の向上が図られる。この積層完了寸法Aと幅寸法Bの差分は、上述の構成では5mmとしたが、この差分は1〜12mmの範囲内に設定することが好ましい。その理由としては、1mm未満だと、収納部70への収納完了状態において、伝熱板61aおよび伝熱板61bの各々に積層方向から加わる押圧力が不足して内部通路62および外部通路63の気密性が低下するためであり、逆に12mmを超えると、収納部70への収納作業が困難となり、また、伝熱板61aおよび伝熱板61bの各々に積層方向から加わる押圧力が過大となって内部通路62および外部通路63の通路間隔が適正に保持できなくなるためである。このように積層完了寸法Aと幅寸法Bの差分が小さくなるほど内部通路62および外部通路63の気密性が低下する傾向にあり、逆に差分が大きくなるほど、内部通路62および外部通路63の通路間隔の保持が困難になる。したがって内部通路62および外部通路63の気密性と通路間隔を適正に確保するには、積層完了寸法Aと幅寸法Bの差分は、1〜12mmの範囲であることが好ましく、さらには2〜8mmの範囲であることが最も望ましい。
この伝熱板61aおよび伝熱板61bは、平板状のシートに、真空成形、圧空成形、超高圧成形、プレス成形等によって間隔リブ64aおよび間隔リブ64b、誘導リブ67aおよび誘導リブ67b、整流リブ68などの凹凸部を一体成形し、この凹凸部が成形されたシートを伝熱板61aおよび伝熱板61bの各々の外周形状と等しい形状に抜き型を押し付けるなどして切断することにより形成される。この伝熱板61aおよび伝熱板61bの素材となるシートは、厚みが0.05〜0.5mmの範囲のものを使用することが好ましい。その理由としては、厚みが0.05mm未満では、凹凸部成形時の伸縮や成形後のシートの強度低下によって破れなどの破損が発生しやすく、また成形された伝熱板61aおよび伝熱板61bもこしが弱く形状維持が困難となるためであり、また、厚みが0.5mmを超えると熱抵抗の増加により伝熱性が大きく低下するためである。このようにシートの厚みが薄くなるほど成形性、強度、形状維持性が低下する傾向にあり、逆にシートの厚みが厚くなるほど、伝熱性が低下する傾向にある。したがって成形性、強度、形状維持性および伝熱性の全てを満足するには、伝熱板61aおよび伝熱板61bの素材となるシートの厚みは、0.05〜0.5mmの範囲であることが好ましく、さらには0.1〜0.3mmの範囲であることが最も望ましい。
また、伝熱板61aおよび伝熱板61bの素材となるシートとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテフタレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、あるいはハイインパクトポリスチレンのような熱可塑性の樹脂材料を用いることが好ましい。このような熱可塑性材料を用いると、成形時の加熱工程においてシートが十分に柔らかくなり成形金型に円滑に張り付いて凹凸部の成形を容易に行うことができる。また、伝熱板61aおよび伝熱板61bの素材となるシートとしては、例えばアルミニウム、ステンレス等の薄肉板金を用いることもできる。この場合、内部通路62側に高温高湿の再生空気が通るので、耐熱性と高湿下における耐腐食性や防錆性を有する金属材料が適し、アルミニウムやステンレスなどの耐腐食性の金属薄板にプレス加工や絞り加工を施して凹凸部を形成して伝熱板として用いることが好ましい。このような金属材料を用いた場合には、伝熱板の強度が向上して形状維持が容易となり、また、樹脂材料に比べて数10倍以上の熱伝導率を有するため、伝熱板1枚あたりの冷却効率を大幅に向上することができる。したがって樹脂材料と同面積の金属材料で凝縮器13を構成した場合には冷却効率の増加による除湿性能の向上が図れ、また、樹脂材料と同等の冷却効率を維持する場合には、凝縮器13の大幅な小型化が図れることになる。
図9は、ヒーターケース16の詳細構成を示す分解斜視図である。ヒーターケース16は、側面に再生空気の流入部72を開口した断面扇形の函体73の扇形開口面74を、加熱用開口部15を開口した扇形板状の蓋体75で覆蓋することにより、断面扇形中空状に形設されている。また、函体73の扇形開口面74周縁には、蓋体75の外形と合致するように平面状のフランジ部76が延設され、蓋体75の半径部分は、函体73側に向けて鋭角状に折り曲げ加工を施して屈曲部77を形成している。そして蓋体75の半径部分に形成された屈曲部77に函体73に周設されたフランジ部76の半径部分を挿嵌することにより函体73と蓋体75が概略固定されることになる。この概略固定状態において函体73は、扇形中心部と、外周方向に延設されたフランジ部76の数点を螺子止めして蓋体75と接合固定される。すなわち、函体73と蓋体75の外周側に設けられた螺合部78と函体73と蓋体75の扇形中心部に設けられた螺合部79において螺子止めにより接合固定される。このように函体73と蓋体75は、互いが概略固定される挿嵌状態において螺子止め加工が施されるため、組立工程における作業性の向上が図られる。また、螺子止め加工が完了した完成状態においては、扇形の外周部に設けられた螺合部78と扇形中心部に設けられた螺合部79において接合固定されるので、函体73および蓋体75の半径方向および外周方向の全面が当接して空気漏洩が抑制される。このように扇形断面函状に形成された函体73の扇形開口面74を扇形板状の蓋体75で覆蓋するという簡単な構成でヒーターケース16の気密性が確保されることになる。
また、ヒーターケース16は、ハウジング1内において蓋体75がローター12と対峙する向きでローター12に密接するように配設される。ここで函体73と蓋体75を固定する螺合部78および螺合部79は、ローター12の外周側およびローター12の回転軸36部分に位置し、ローター12対峙面にはヒーターケース16自身を接合するための螺合部が存在しない状態となる。したがってヒーターケース16のローター12対峙面において加熱用開口部15が広範囲に確保され、ローター12の通風面全体をファン20により供給される空気が通過する水分吸湿領域と加熱用開口部15に対峙した水分放出領域として有効に活用することができる。また、ヒーターケース16は、ローター12を介してチャンバー19と相対するように配設され、函体73と蓋体75を外周側で接合している螺合部78と同円周上に位置するローター12の外周側と函体73と蓋体75を扇形中心部において接合している螺合部79に合わさるローター12の回転軸36において、チャンバー19と螺子止めされる。このとき、函体73、蓋体75、回転軸36を螺合部79において共締めして固定すると組立工数が削減できる。
また、蓋体75の加熱用開口部15の周縁にはローター12方向に突出する扇形の突出面80が形設されている。この突出面80は、ヒーターケース16取り付け状態において、チャンバー19の扇形断面を形成する周壁面37と相対するように配設され、この突出面80と周壁面37の間隔が、ヒーターケース16とチャンバー19の間隔を規定することになる。したがって前述したように突出面80と周壁面37の間隔を所定値、すなわちローター12の厚みに対して0.3〜1.5mmの範囲で広く設定することにより、ローター12の円滑な回転動作を確保するとともに、ローター12と突出面80およびローター12と周壁面37の隙間からの空気漏洩を抑制して除湿効率の向上を図ることができる。前述したように、突出面80と周壁面37の間隔がローター12の厚みに対して0.3mm未満になるとローター12の回転動作を円滑に実行できなくなり、逆に、この間隔がローター12の厚みに対して1.5mm以上になるとローター12と突出面80の隙間およびローター12と周壁面37の隙間からの空気漏洩が増加して除湿効率が低下することになる。このように突出面80と周壁面37の間隔が狭くなるほどローター12の駆動性が低下する傾向にあり、逆に突出面80と周壁面37の間隔が広くなるほど、空気漏洩量が増加して除湿効率が低下する傾向にある。したがってローター12の駆動性と除湿効率を満足するには、突出面80と周壁面37の間隔は、ローター12の厚みに対して0.3〜1.5mmの範囲で広く形成することが好ましく、さらにはローター12の厚みに対して0.5〜1.0mmの範囲で広く形成することが最も望ましい。
また、ヒーター14にはニクロム線が用いられており、このヒーター14は、ヒーターケース16内に構設されたヒーター枠81によって固定保持がなされている。このヒーター枠81は、ヒーター14をヒーターケース16と絶縁状態で収容する断面五角形状のヒーター収容部82を中空状態に設けており、このヒーター収容部82内に半径方向および円周方向に複数架設した絶縁支持板83でニクロム線からなるヒーター14を加熱用開口部15に近接するように支持している。これによりヒーター14の絶縁性が確保されるとともに加熱用開口部15からローター12に対して安定的に輻射熱が供給されることになる。さらにヒーター収容部82の五角形状底面部分は、反射率の高い金属板、例えば、アルミニウムやステンレスからなる鏡面状の反射板85で形設されている。この反射板85がヒーター収容部82の底部に照射されたヒーター14の輻射熱をローター12側に反射することにより、ローター12の水分放出が促進する。
また、ヒーターケース16内のヒーター枠81の周囲には矢符に示すように流入部72からヒーターケース16内に流入した再生空気を通す分岐風路84を形設している。この分岐風路84に供給された再生空気は、ヒーターケース16内に照射されるヒーター14の輻射熱を回収して温度を高めつつ、加熱用開口部15とヒーター枠81との隙間を通ってローター12に供給される。これによりヒーターケース16の外部に漏れるべき熱量が分岐風路84に供給される再生空気により回収され、ローター12の水分放出に再利用されるのでヒーター14のエネルギーロスが削減される。この分岐風路84を流れる再生空気の一部は、ヒーター収容部82の底面および側面に開口した通風孔86からヒーター収容部82内に供給される。このヒーター収容部82内に供給された再生空気は、ヒーター収容部82内に滞留する熱を奪って加熱用開口部15からローター12に供給される。したがってヒーター収容部82内に滞留すべき熱量が通風孔86から供給される再生空気に回収されてローター12の水分放出に利用されるので、ヒーター14のエネルギーロスが削減されるとともにヒーター収容部82内の温度上昇も抑制されることになる。
図10は、除湿機の運転動作を示す簡易水平断面図である。図示しない操作部において除湿機の運転を指示すると、ファン20、循環ファン17、駆動モーター58、ヒーター14が各々駆動する。まずファン20の駆動によって吸気口3からハウジング1内に空気が吸引される。この時、空気中の塵埃は吸気口3に付設されたフィルター2により除去される。ハウジング1内に吸引された空気は、ハウジング1の長辺方向においてファン20の風上側に水平方向に並設されているローター12と凝縮器13に供給される。この空気は、ローター12と凝縮器13に分流し、かつハウジング1の概略短辺方向を並行に流れるため、通風抵抗が並列に分散して通風距離も短くなり、ファン20に対する機内抵抗が低下してファン20の送風量が増加することになる。ローター12側に分流した空気は、凝縮熱を受けずにローター12に供給される。したがってローター12において吸湿効率の低下はなく、供給空気は湿気を除去されるとともに吸着熱を与えられて高温低湿になる。一方、凝縮器13側に分流した空気は、吸着熱を受けず凝縮器13の外部通路63に供給される。したがって凝縮器13において冷却効率の低下はなく、供給空気は内部通路62を流れる再生空気を冷却して凝縮熱を奪い高温になる。ローター12で吸湿された高温低湿の空気と凝縮器13で凝縮熱を奪った高温の空気は、ともにファン20に吸込まれて攪拌され排気口7から排出される。この排出空気は、ローター12において吸湿効率の低下がなく十分に吸湿された空気と、凝縮器13において冷却効率の低下がなく十分に凝縮熱を奪った空気との混合空気であり高い乾燥度を有している。また、この空気は上述したようにファン20に対する機内抵抗の低下により十分に風量も確保されているので、この高乾燥度かつ大風量の排出空気を排気口7から衣類等の乾燥対象物に供給すると、極めて高い乾燥効率が得られることになる。
一方、水分を吸湿したローター12は、駆動モーター58の駆動により循環経路29に移動し、ヒーター14により加熱されて水分を放出する。ここでヒーター14は、ファン20によりローター12に供給される空気の風向きに対して風上側からローター12に輻射熱を照射する。したがってファン20の風上側に位置するローター12の上流部分87に輻射熱が照射される。このローター12の上流部分87は、ファン20により供給される空気と始めに接触する部分であり、空気からの吸湿量が高く、多量の水分を保有している部分である。このローター12の水分を多く保有している上流部分87に対してヒーター14の輻射熱が照射されるので、輻射熱の直接照射によるローター12からの水分放出量が増加し、輻射熱が水分放出に有効に利用されることになる。このローター12から放出された水分は、ヒーターケース16においてヒーター14の発熱により加熱された高温の再生空気に含まれる。この水分を含んだ高湿の再生空気はチャンバー19で受風された後、凝縮器13の内部通路62に流入し、ファン20により供給される空気によって冷却されて水分が飽和する。凝縮器13で水分を除去された再生空気は循環ファン17に吸込まれ、ヒーターケース16に戻って循環経路29を循環する。
ここで、ヒーターケース16およびチャンバー19は、ローター12の円滑な回転動作を促すため、各々ローター12との間に所定の間隙を設けて配設される。したがって、この間隙を通じて循環経路29は、ファン20の送風経路と連通し、再生空気とファン20が送風する空気との空気移行が発生する。例えば、ローター12を通過する再生空気の風速がファン20によりローター12に供給される空気の風速より遅い場合、すなわち循環経路29側のローター12通風圧損が低い場合は、ヒーターケース16とローター12の間隙88において循環経路29内に外部から空気が流入し、チャンバー19とローター12の間隙89において循環経路29内部から外部に空気が流出する。この場合、ヒーター14の熱は、循環経路29外部に漏洩することなく全てローター12に供給される。また、ローター12を通過する再生空気の風速がファン20によりローター12に供給される空気の風速より速い場合、すなわち循環経路29側のローター12通風圧損が高い場合は、ヒーターケース16とローター12の間隙88において循環経路29から外部に空気が流出し、チャンバー19とローター12の間隙89において循環経路29内に外部から空気が流入する。この場合、ヒーター14の熱の一部が空気流出に伴い循環経路29の外部に一旦漏洩することになるが、この漏洩した熱は、点線に示すようにローター12のヒーターケース16の回転方向前後に近接した部分に供給され、ローター12下流側においてチャンバー19とローター12の間隙89からチャンバー19に流入して循環経路29内に回収される。このようにローター12の前後において循環経路29と外部との空気移行が発生しても、ヒーター14の熱量の大部分をローター12からの水分放出に利用してエネルギーロスを低減している。これにより極めて高い除湿効率が得られることになる。
以上、説明したように本実施形態の除湿装置は、かかる構成とすることにより、以下の効果を奏するものである。
すなわち、吸気口3から供給された空気をローター12と凝縮器13の各々に分流して概略短辺方向を流すことにより、風路距離が短くなり通風抵抗が減少して多量の空気を供給することができる。
また、吸気口3から吸引された空気を、凝縮熱を与えずにローター12へ供給することにより、吸湿効率の低下を抑制することができる。
また、吸気口3から吸引された空気を、吸着熱を与えずに凝縮器13へ供給することにより、冷却効率の低下を抑制することができる。
また、通風抵抗の減少によって十分な風量が確保され、また吸湿効率と冷却効率の低下がなく高い乾燥度を有した空気を排気口7から乾燥対象物に供給することにより乾燥効率を大幅に向上することができる。
また、吸気口3をハウジング1の片面のみに開口可能としたことにより設置場所の制約が減少して使い勝手を向上することができる。
また、ハウジング1の長辺方向にローター12と凝縮器13を並設することにより、ハウジング1内に部品を高密度に配置して機器の小型化を図ることができる。
また、吸気面積を広く確保し、吸気口3から吸引した空気を円滑にファン20に送り、ファン20から吐出した空気を円滑に排気口7に送ることにより、通路抵抗を低減してファン20の送風量を増加させ乾燥効率を向上することができる。
また、排気口7を、ハウジング1の長辺方向に沿って矩形状に開口することにより、乾燥空気を幅広く吹出して乾燥効率を向上することができる。
また、風向変更手段8で排気口7から排出される空気の風向を、望ましくは自動的に変更し、高乾燥度かつ大風量の排出空気を乾燥対象物に広範囲に供給して乾燥効率を向上することができる。
また、吸気口3に着脱自在に配設したフィルター2で、吸気口3から吸引される空気中に含まれる異物を補足し、ハウジング1内への異物流入を抑制することができる。
また、凝縮器13で回収した凝縮水を貯留するタンク4を、ハウジング1の短辺方向から収脱可能に配設してタンク4の移動距離を短縮し排水作業や装着作業における作業性を向上することができる。
以上説明した内容は、発明を実施するための一形態についてのみ説明したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、ハウジング1の水平断面形状を概略楕円状としたが、少なくとも一組の長辺側と短辺側を有する形状であればよく矩形状や六角形状などに形成してもよい。
また、ギア48の凹状部を覆う第1遮蔽壁59をフレームA49と一体で形成する構成としたが、フレームB54と一体に形成してもよい。
また、第1ダクト27を凝縮器13側に向けて下り勾配に形成したが、チャンバー19側もしくは凝縮器13とチャンバー19の両側に向けて下り勾配に形成してもよい。
また、伝熱板積層完了寸法よりも小さい幅寸法のケース体69に伝熱板を積層状態で挿入して伝熱板61aおよび伝熱板61bの各々を押圧する構成としたが、積層状態の伝熱板に弾性体を嵌めて押圧するような構成としてもよい。
また、ヒーター14としてニクロム線を用いたが、輻射熱を多少なりとも照射可能なものであればよく、ハロゲンヒーター、カーボンヒーター、シーズヒーターあるいはセラミックヒーターなどを用いてもよい。