JP2007029327A - 洗濯乾燥機のモータ駆動装置 - Google Patents

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光幸 木内
Sadayuki Tamae
貞之 玉江
Hisashi Hagiwara
久 萩原
Masahiro Suzuki
将大 鈴木
Shuichi Kojima
修一 小島
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Abstract

【課題】複数のモータを同時に駆動し、一方のモータ回転速度を一定に制御する。
【解決手段】交流電源1の交流電力を整流回路2により直流電力に変換し、直流電力を第1のインバータ回路3Aおよび第2のインバータ回路3Bにより交流電力に変換し、回転ドラム5を駆動する回転ドラム駆動モータ(第1のモータ)4Aと回転ドラム5内に送風する送風ファン6を駆動する送風ファンモータ(第2のモータ)4Bを、第1のインバータ回路3Aと第2のインバータ回路3Bを介して、制御手段7により制御し、制御手段7は、送風ファンモータ4Bを周波数一定駆動して、回転ドラム駆動モータ4Aの回転変動による送風ファンモータ4Bの回転速度変動を無くすことができるので、これに起因する騒音変動を無くすことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のインバータ回路により複数のモータを同時に駆動する洗濯乾燥機のモータ駆動装置に関するものである。
従来、この種の洗濯乾燥機のモータ駆動装置は、複数のモータをそれぞれ駆動する複数のインバータ回路を備え、回転ドラムと送風ファンをそれぞれインバータ回路とモータにより回転駆動していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−166090号公報
しかし、このような従来の洗濯乾燥機のモータ駆動装置は、回転ドラムを回転駆動する第1のモータを駆動するインバータ回路と、送風ファンを回転駆動する第2のモータを駆動するインバータ回路の交流電源あるいは直流電源を共用しているため、回転ドラムを正反転起動停止するとその第1のモータの電流変動が大きいので、直流電源の電圧の変動が大きくなり、それによって第2のモータの回転速度が変動し、第2のモータの回転騒音が耳障りとなるといった課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、第2のモータをロータ位置を検出しないオープンループ回転速度制御することにより、モータ駆動周波数を一定にして第2のモータを駆動することで、電源電圧変動、あるいは負荷変動による回転速度変動を無くすことができるので、耳障りな回転騒音がほとんど無い洗濯乾燥機のモータ駆動装置を提供することを目的とするものである。
上記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯乾燥機のモータ駆動装置は、交流電源の交流電力を整流回路により直流電力に変換し、直流電力を第1および第2のインバータ回路により交流電力に変換し、回転ドラムを駆動する第1のモータと、回転ドラム内に送風する送風ファンあるいは熱交換器用圧縮機を駆動する第2のモータを制御手段により制御し、第2のモータが周波数一定駆動されるようにしたものである。
これによって、送風ファンモータや圧縮機モータの電源電圧変動、あるいは負荷変動による回転速度変動を無くすことができるので、回転ドラムの起動停止による電源電圧変動や回転ドラム内の衣類の回転変動に起因するファンモータ回転速度変動、あるいはヒートポンプ圧縮機駆動モータ回転速度変動を無くすことができる。
本発明の洗濯乾燥機のモータ駆動装置は、送風ファンモータやヒートポンプの圧縮機駆動モータの回転速度変動を無くすことができるので、これに起因する騒音変動を無くすことができ、低騒音の洗濯乾燥機を実現することができる。
第1の発明は、交流電源と、前記交流電源の交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路の直流電力を交流電力に変換する第1および第2のインバータ回路と、前記第1および第2のインバータ回路を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1のインバータ回路により洗濯乾燥機の回転ドラムを駆動する第1のモータを駆動し、前記第2のインバータ回路により前記回転ドラム内に送風する送風ファンあるいは熱交換器用圧縮機を駆動する第2のモータを駆動するものであって、前記第2のモータが周波数一定駆動されるようにした洗濯乾燥機のモータ駆動装置としたものであり、電源電圧変動あるいは負荷変動に関わらず、第2のモータの回転速度を一定とすることができ、回転ドラムを駆動する第1のモータの起動停止による電源電圧変動や回転ドラム内の衣類のアンバランスによる第1のモータの回転むらによって発生する第2のモータの回転速度変動を無くすことができるので、これに起因する騒音変動を無くすことができ、低騒音の洗濯乾燥機を実現することができる。
第2の発明は、第1の発明における洗濯乾燥機のモータ駆動装置の第2のモータは、永久磁石同期モータより構成され、制御手段は、前記第2のモータの駆動周波数に対する印加電圧の比を制御するようにしたものであり、駆動周波数に応じて印加電圧を制御することにより、ロータの位置を検出したり、あるいは位置を推定したりせずに回転駆動することができるので、周波数一定駆動による回転速度一定制御が可能となり、電源電圧変動あるいは負荷変動に関わらず第2のモータの回転速度を一定制御することができる。
第3の発明は、第1の発明における洗濯乾燥機のモータ駆動装置は、整流回路の直流電圧を検出する直流電圧検知手段を備え、制御手段は、前記直流電圧検知手段の電圧信号に応じて第2のインバータ回路の出力電圧を制御するようにしたものであり、直流電源電圧に応じてPulseWidthModulation(以下、PWMと略す)変調度を制御することにより、第2のモータ駆動周波数に対するモータ印加電圧の比をほぼ一定に制御することができ、ロータ位置検出、あるいは位置推定せずに周波数一定駆動による回転速度一定制御が可能となり、電源電圧変動あるいは負荷変動に関わらず第2のモータを安定制御することができる。
第4の発明は、第1の発明における洗濯乾燥機のモータ駆動装置は、第2のインバータ回路の出力電流を検出する電流検出手段を備え、制御手段は、前記電流検出手段が検出した出力電流に応じて前記第2のインバータ回路の出力電圧を制御するようにしたものであり、第2のインバータ回路出力電流、すなわち第2のモータ電流に応じてモータ印加電圧を制御することで、負荷変動や電源電圧変動による電流変動を検知して第2のモータを制御できるので、第2のモータの安定な回転制御が可能となる。
第5の発明は、第1の発明における洗濯乾燥機のモータ駆動装置は、第2のインバータ回路の出力電流を検出する電流検出手段を備え、制御手段は、前記電流検出手段が検出した出力電流から、前記第2のインバータ回路の出力電圧に対する無効電流成分を演算し、前記無効電流成分に応じて前記第2のインバータ回路の出力電圧を制御するようにしたものであり、無効電流成分を所定値に制御することにより、定格負荷から無負荷までにおいて周波数一定駆動可能となり、電源電圧変動や負荷変動に関わらず第2のモータ回転速度を一定に安定制御できるので、第2のモータ回転速度変動によるファン騒音やコンプレッサ騒音変動のない低騒音の洗濯乾燥機を実現できる。
第6の発明は、第1の発明における洗濯乾燥機のモータ駆動装置は、第2のインバータ回路の出力電流を検出する電流検出手段を備え、制御手段は、前記電流検出手段が検出した出力電流から、前記第2のインバータ回路の出力電圧に対する無効電流成分を演算し、前記有効電流成分に応じて前記第2のインバータ回路の出力電圧を制御するようにしたものであり、有効電流成分を所定値に制御することにより、トルクに対応した制御が可能となり、第2のモータを一定回転速度に制御することができるので、ファンやコンプレッサ騒音変動のない低騒音の洗濯乾燥機を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における洗濯乾燥機のモータ駆動装置のブロック図を示すものである。
図1において、交流電源1より全波整流回路20と電解コンデンサ21より構成される整流回路2に交流電力を加えて直流電力に変換し、第1のインバータ回路3Aおよび第2のインバータ回路3Bにより、直流電力を3相交流電力に変換して、回転ドラム駆動モータ(第1のモータ)4Aおよび送風ファンモータ(第2のモータ)4Bを駆動する。第1のインバータ回路3Aは、回転ドラム駆動モータ4Aを駆動して回転ドラム5を回転駆動し、第2のインバータ回路3Bは、送風ファンモータ4Bを駆動して送風ファン6を回転駆動し、回転ドラム5内に温風、あるいは冷風を送風し回転ドラム5内の衣類を乾燥させる。
回転ドラム駆動モータ4Aおよび送風ファンモータ4Bは、それぞれ永久磁石同期モータより構成されている。回転ドラム駆動モータ4Aのロータ位置を検出するロータ位置センサ40aは、ロータ磁極位置に対応して電気角60度毎のロータ位置信号を出力し、回転ドラム駆動モータ4Aは、ロータ位置信号に同期して正弦波駆動される。一方、送風ファンモータ4Bにはロータ位置検出手段はなく、送風ファンモータ4Bは、位置センサレス正弦波駆動により回転制御される。
制御手段7は、インバータ回路3A、3Bを制御するもので、第1のインバータ回路3Aの下アームスイッチングトランジスタ(図示せず)のエミッタ端子にそれぞれ接続された3シャント式の第1の電流検出手段70Aと、第2のインバータ回路3Bの下アームスイッチングトランジスタ(図示せず)のエミッタ端子にそれぞれ接続された3シャント式の第2の電流検出手段70Bと、整流回路2の直流電圧を検知する直流電圧検知手段71と、ロータ位置センサ40aのロータ位置信号、電流検出手段70A、70Bの出力信号と直流電圧検知手段71の出力信号によりインバータ回路3A、3Bをそれぞれ制御するインバータ制御手段72とにより構成されている。
インバータ制御手段72は、インバータ回路3A、3BをPWM制御するPWM制御手段および高速A/D変換手段を複数個内蔵するマイクロコンピュータ、あるいは、ディジタルシグナルプロセッサ(略してDSPと称す)等の高速プロセッサにより構成され、第1のインバータ回路3Aと第2のインバータ回路3Bとを同時に制御するもので、回転ドラム駆動モータ4Aと送風ファンモータ4Bとをそれぞれ異なる回転速度で制御する。
第1のインバータ回路3Aは、回転ドラム駆動モータ4Aをベクトル制御するものであり、回転ドラム駆動モータ4Aの位置センサ40aによりロータ永久磁石の位置を検出し、第1の電流検出手段70Aにより回転ドラム駆動モータ4Aの相電流を検出して、ロータ永久磁石のd軸方向と直角のq軸方向のベクトルに座標変換(d−q変換)して、回転ドラム駆動モータ4Aをベクトル制御する。また、回転ドラム駆動モータ4Aが表面磁石モータの場合、電流検知しないオープンループベクトル制御により電流値を演算により求めて制御することも可能である。
第2のインバータ回路3Bは、送風ファンモータ4Bをオープンループ回転速度制御により位置センサレス正弦波駆動するものであり、送風ファンモータ4Bに正弦波電流を流して電流制御するもので、モータ誘起電圧と印加電圧の比率、すなわち、誘起電圧はモータ回転速度に比例するので、印加電圧と駆動周波数の比率をモータ電流により制御することにより安定化制御する。特に、永久磁石同期モータの回転速度はロータ磁極対数npと駆動周波数fの積となるので、駆動周波数fを一定にすると、電源電圧変動や負荷変動とは無関係に送風ファンモータ4Bの回転速度は一定となる。
第1のインバータ回路3Aと第2のインバータ回路3Bは、交流電源1と整流回路2を共用しているので、洗濯物が収容された回転ドラム5を回転起動および回転停止させるため、回転ドラム駆動モータ4Aを回転駆動した場合、洗濯物の負荷抵抗等により、直流電源電圧変動は非常に大きくなるが、送風ファンモータ4Bをオープンループ駆動周波数一定制御した場合、直流電源電圧変動に関わらず送風ファン6を駆動する送風ファンモータ4Bの回転速度を一定とすることができるので、送風ファン6のファン騒音は変化せず、回転速度変動による耳障りなファン騒音変動を無くすことができる。
図2は、本発明の第1の実施の形態における第2のインバータ回路3Bを制御するインバータ回路制御手段72のブロック図であり、図3は、その制御ベクトル図を示す。3シャント式電流検出手段70BのUVW各相に対応した出力信号veu、vev、vewが高速A/D変換手段700に入力され、高速A/D変換手段700は各相電流に対応した電流信号Iu、Iv、Iwを3相/2相・母線軸変換手段701に加える。3相/2相・母線軸変換手段701は、3相電流を2相電流に変換した後、インバータ出力電圧軸に座標変換するもので、数式1に従い演算し有効電流成分Iaと無効電流成分Irを求める。
図3の制御ベクトル図は、表面磁石モータにおけるロータ回転軸(d−q軸)とインバータ出力電圧軸(a−r軸)の関係を示し、モータ電流Iをインバータ出力電圧Vaと同方向軸(a軸)の成分Iaとインバータ出力電圧軸(a軸)と直角のr軸成分Irに分解し、電流Iと電圧Vaの位相をφ、電流Iと誘起電圧Emの位相をγ、電圧Vaと誘起電圧Emの位相(内部相差角)をδとしている。表面磁石モータにおいては、電流位相をq軸からわずかに遅れるように、無効電流Irあるいは有効電流Iaを制御すると安定な回転制御が可能となる。負荷変動が少ない場合には、無効電流Irと有効電流Irの比(力率)、あるいは、力率角φを制御してもよい。
3相/2相・母線軸変換手段701の無効電流成分出力信号Irと、駆動条件設定手段702より無効電流設定手段703を介して出力される無効電流設定信号Irsとを電流比較手段704に加え、電流比較手段704はIrsとIrの誤差信号ΔIrを出力し、誤差信号演算手段705に加える。誤差信号演算手段705は、誤差信号ΔIrを比例積分演算して電圧補正信号ΔVaを出力する。駆動条件設定手段702は、前述したように回転速度と負荷トルクに対応したモータ駆動条件を出力するもので、オープンループによる回転速度設定手段706を介して駆動周波数fを設定し、V/f設定手段707は、駆動周波数fに対応した印加電圧を設定することにより、モータ印加電圧と駆動周波数の比、いわゆるV/f値を設定し、出力電圧補正手段708に出力する。
出力電圧補正手段708は、回転速度Nと誘起電圧定数Keより求めた誘起電圧に所定の係数(印加電圧定数kr)を掛け、電圧補正信号ΔVaを加えてインバータ出力電圧Vaを数式2より求め、2相/3相・母線軸逆変換手段709によりUVW各相の出力電圧信号vu、vv、vwを数式3に従い演算する。電圧補正信号ΔVaは、数式2に示すように誤差信号ΔIrに比例定数Kpを掛けた値と、誤差信号ΔIrの積分値に積分定数Ksを掛けた値の和より求める。
インバータ出力電圧軸(a−r軸)のr軸電圧成分Vrは零なので、数式3においては、Vaのみ計算すればよいので、演算が簡単となる特長がある。PWM制御手段710は、正弦波出力電圧に対応してPWM制御するもので超音波周波数の三角波キャリヤ信号で変調し、6個のスイッチングトランジスタを制御するインバータ制御ゲート信号GBを出力する。直流電圧検知手段71は、整流回路2の直流電圧Edcを検知してPWM制御手段710の変調度Mを制御するもので、直流電圧Edcに逆比例して変調度Mを制御することにより直流電源電圧が変動しても一定のインバータ出力電圧が得られ、電圧変動による乱調や脱調を防止できる。すなわち、正弦波駆動の出力電圧Voは数式4で表され、変調度Mが一定ならば直流電圧Edcに比例して出力電圧が変動する。よって、数式5に示すように基準直流電圧Edsに対する直流電圧Edcの比率に応じて変調度MをM1に変換することにより一定出力が得られる。
しかしながら、デッドタイムtdの影響により数式6に示すように出力電圧Voは直流電圧Edcにほぼ比例して低下する項があり、変調度M1を直流電圧Edcに逆比例させると、出力電圧Voが低下するのでデッドタイム相当分出力電圧補正する必要がある。簡単な補正方法として、デッドタイム相当のPWMデューティを加算する案が考えられる。
無効電流Irが設定値Irsとなるようにインバータ出力電圧制御する方法、すなわち、無効電流一定制御方式の特長は、駆動周波数一定制御しても、電流位相φ、あるいは、内部相差角δが負荷変動に応じて自動的に変化する点にある。IrとIrsの誤差信号ΔIrを積分制御することにより安定化制御可能となり、定格負荷から無負荷までの負荷変動に対しても安定に動作する。よって、送風ファンの吐出口が衣類により閉塞されたり、回転ドラム5の中の衣類が一杯となって風量がほとんど出ない状態でも、電流が低下して安定に動作する特長がある。しかしながら、有効電流一定方式の場合には、駆動周波数一定にすると負荷変動に対する制御性能は低下し、吐出口を閉塞されると有効電流を増加させるためにモータ電流が大きく増加するため過電流となる課題がある。しかし、通常運転においては回転速度一定制御すると、所定の風量が確保されるので問題なく動作する。
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態における洗濯乾燥機のモータ駆動装置のブロック図を示すものである。実施の形態1と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
図4において、回転ドラム5と送風ファン6とを連通する循環経路には、熱交換用冷媒ガスを圧縮する圧縮機、凝縮器8および蒸発器9等が内蔵されており、いわゆる、ヒートポンプサイクルが形成されている。交流電源1より全波整流回路20と電解コンデンサ21より構成される整流回路2に交流電力を加えて直流電力に変換し、インバータ回路3A、3B、3Cにより直流電力を3相交流電力に変換してモータ4A、4B、4Cを駆動する。本実施の形態2においては、電解コンデンサ1個の事例を示したが、電解コンデンサを複数個使用する全波倍電圧整流回路方式が実用的である。また、チョークコイルは図示していないが、電圧リップルを減らし、高調波を減らすために実際は必要である。
第1のインバータ回路3Aは、回転ドラム駆動モータ4Aを駆動して回転ドラム5を回転駆動し、第2のインバータ回路3Bは、送風ファンモータ4Bを駆動して送風ファン6を回転駆動し、第3のインバータ回路3Cは、ヒートポンプを構成する熱交換用冷媒の圧縮機を駆動する圧縮機モータ(第2のモータ)4Cを駆動する。
シーズヒータあるいはセラミックヒータ(図示せず)により回転ドラム5内に温風を送風する温風ヒータ方式は熱効率が非常に悪いので、ヒートポンプを用いて外気熱あるいは乾燥排気熱を回収することにより、乾燥効率を高めることができる。ヒートポンプサイクルは、凝縮器8が高温側で熱を放出し、蒸発器9が低温側で熱を吸収するので、送風ファン6の吐出側に設けた凝縮器8の熱を回転ドラム5の内部に強制送風し、回転ドラム5の排気側に設けた蒸発器9の熱交換器により除湿および熱回収し、再び送風ファン6により凝縮器8の熱交換器を介して温風を回転ドラム5内に送風する。通常、冷媒ガスを圧縮する圧縮機とモータは一体となっている。なお、図4において、冷媒ガスの配管経路や膨張弁等は図示していない。
圧縮機モータ4Cは、低騒音対策のためにセンサレス正弦波駆動する必要があり、第3の電流検知手段70Cによりモータ相電流を検出して位置推定する方法が一般的である。しかしながら、電源電圧変動が大きくなると位置推定して駆動する従来方式には限界があり、ロータ位置を推定しロータ位置に応じて回転磁界を制御すると電源電圧変動に応じて回転速度が変動するので、乾燥運転中、回転ドラム5を駆動する回転ドラム駆動モータ4Aの駆動停止により回転速度が変動し、圧縮機モータ4Cの振動騒音が、送風ファン6の騒音と同様に耳障りとなる課題が生じる。特に、回転ドラム5を駆動する回転ドラム駆動モータ4Aと圧縮機モータ4Cの直流電源を共用すると直流電源電圧変動はさらに大きくなるので、従来方式によるモータ駆動方式では送風ファン6と圧縮機モータ4Cの回転速度変動が非常に大きくなる。よって、本実施の形態2は、前述した課題を解決するために送風ファン6駆動用の送風ファンモータ4Bと圧縮機モータ4Cを一定周波数駆動するものである。
制御手段7Aは、インバータ回路3A、3B、3Cとモータ4A、4B、4Cを同時に制御するもので、位置センサ40aの位置信号Ha、電流検出手段70A、70B、70Cのそれぞれの出力信号Vsa、Vsb、Vscと、直流電圧検知手段71の信号をインバータ制御手段72Aに加えてモータ駆動制御する。インバータ制御手段72Aは、3個のモータを制御するために、複数の高速A/D変換手段と複数のPWM制御手段を内蔵するマイクロコンピュータ、あるいはDSPなどの高速プロセッサより構成される。高速プロセッサは、送風ファンモータ4Bと圧縮機モータ4C、凝縮器8および蒸発器9より構成されるヒートポンプサイクル制御用に1個と、回転ドラム5を駆動する回転ドラム駆動モータ4Aおよび各種制御弁やモータ制御用に1個の計2個で構成される。なお、実施の形態1で示したように、送風ファンモータ4Bと回転ドラム5を駆動する回転ドラム駆動モータ4Aを、1つのプロセッサにより制御し、圧縮機モータ4Cを他のプロセッサにより制御してもよい。
図5から図7は、圧縮機モータ4Cの駆動方法を示すフローチャートである。図5はモータ制御のメインフローチャートで、図6はキャリヤ信号割り込みサブルーチンのフローチャート、図7は回転速度制御サブルーチンのフローチャートを示す。
図5において、ステップ100でモータ制御プログラムが開始し、ステップ101にて定常回転速度、あるいは、モータパラメータ等の各種初期設定を行い、次に、ステップ102に進んで起動フラグの判定を行い、起動フラグがあればステップ103に進んで起動制御サブプログラムを実行する。次に、ステップ104に進んでキャリヤ信号割り込みの有無を判定し、キャリヤ信号割り込みがあればステップ105に進んでキャリヤ信号割り込みサブルーチンを実行し、次に、106に進んで回転速度制御サブルーチンを実行し、ステップ107に進んでモータ制御プログラムは終了し、洗濯乾燥機の次行程制御プログラムに移行する。図5に示すように、キャリヤ信号に同期してPWM周期内でモータ制御プログラムは完結する。
図6は、キャリヤ信号割り込みサブルーチンのフローチャートを示し、ステップ200でキャリヤ信号割り込みサブルーチンが開始し、ステップ201にてモータ駆動電気角周波数ωと基準時間からの経過時間tより電気角θを演算し、次にステップ202に進んで電流検出手段70Cからの電流信号を検出する。3シャント式電流検出手段を用いてモータ電流検出するためには、インバータ回路のトランジスタスイッチングの影響を除くために、下アームトランジスタの導通期間に高速A/D変換する。次にステップ203に進んで3相/2相・母線軸座標変換して有効電流Ia、無効電流Irを求め、ステップ204に進んでIa、IrをマイクロコンピュータのRAMにメモリする。次にステップ205に進んで位相φを演算し、ステップ206に進んで図7で述べる回転速度制御サブルーチンで求めたa−r座標におけるインバータ出力電圧Vaと直流電圧Edcを呼び出し、ステップ207に進んで2相/3相・母線軸座標逆変換を実行して3相各相正弦波出力電圧を求め、ステップ208に進んでPWM制御を行う。PWM制御変調度は実施の形態1で述べたように直流電圧Edcに応じて制御する。
一般に、圧縮機モータ回転速度は、6000r/min〜8000r/minに設定され、モータは突極性の埋め込み磁石モータ(IPMモータ)が使用され、進角制御により高速回転制御する。進角30度近傍で最大トルクとなり、無効電流Irは負となるので無効電流は負の設定値に制御する。位相φはほぼ零となるので、位相φを一定制御するか、あるいは、有効電流Iaを一定制御してもよい。ただし、直流電源電圧Edcのリップルが大きくなって、交流電圧の零電圧近辺で直流電圧が低下すると進角が大きくなってトルク最大位相よりも進角の程度が大きくなると回転が不安定となるため、直流電圧Edcに応じて変調度を制御し、進角し過ぎないように制御する。
図7は、回転速度制御サブルーチンのフローチャートで、ステップ300で回転速度制御サブルーチンが開始し、ステップ301にて直流電圧Edcを検出してメモリし、次にステップ302にて設定駆動周波数を呼び出し、ステップ303に進んで有効電流設定値Iasを呼び出し、次にステップ304に進んで有効電流Iaを呼び出し、次にステップ305に進んで印加電圧定数krを呼び出し、ステップ306に進んでIasとIaの誤差信号ΔIaを比例積分して電圧補正信号ΔVaを求め、ステップ307に進んでa−r座標上のインバータ出力電圧Vaを求め、ステップ308に進んでVaをRAMにメモリし、ステップ309に進んでサブルーチンをリターンする。
駆動周波数一定、すなわち、オープンループ回転速度制御により有効電流を所定値に電圧制御することによりモータ出力をほぼ一定にするので、モータトルクはほぼ一定となり、ヒートポンプ圧縮機の如きトルク一定負荷に対して非常に有利となる。起動時、あるいは起動直後は負荷トルクは少ないので、起動時はV/f制御により周波数を時間と共に大きくして起動し、過度的に無効電流一定制御の後、定常時には有効電流一定制御にするとより安定したトルクとなる。実施の形態1で述べたように無効電流一定制御でも、力率角φ一定制御でも駆動周波数一定制御を実現でき、ロータ位置に応じて角速度を制御する従来方式よりも回転速度変動がほとんどない制御を実現できる。
図8は、本実施の形態2のモータ駆動装置の各インバータ回路のPWM周期と電流検出タイミングチャートを示し、送風ファンモータ4B制御用のインバータ回路3Bと、圧縮機モータ4C制御用のインバータ回路3Cのキャリヤ信号Cb、Cc1とA/D変換タイミングDib、Dic1の関係を示している。送風ファンモータ4Cのキャリヤ周波数は静音化のため15kHz以上の超音波周波数に設定し、圧縮機モータ4Cのキャリヤ周波数の整数倍とし、通常4倍から5倍に設定する。圧縮機モータキャリヤ周波数はインバータ回路3Cのスイッチング損失を減らすために3kHzから4kHzに設定する。インバータ回路3Cの出力設定信号Vc1とキャリヤ信号Cc1を比較してVc1が高ければ上アーム出力信号Gp1をハイとし、低ければ下アーム出力信号Gn1をハイとする。インバータ回路3Bの出力設定信号Vbiとキャリヤ信号Cbを比較してVbiが高ければ上アーム出力信号Gpbをハイとし、低ければ下アーム出力信号Gnbをハイとする。Dic1、DibはそれぞれA/D変換タイミング信号である。
図に示すように三角波キャリヤ信号Cc1、Cbのピーク値を同期させ、インバータ回路3B、3Cの下アームトランジスタ導通期間に電流検出手段70B、70Cからの出力信号Vsb、VscをA/D変換させることによりスイッチングノイズの影響を受けずに電流検出が可能となる。電圧リミット信号Vmは、下アーム導通パルス幅の下限値を設定するもので、下アーム導通パルス幅がA/D変換時間より長くなるように設定する。インバータ回路3Cも同様に下アーム導通パルス幅リミッターは必要であるが、本実施の形態2においては省略している。
以上のように本実施の形態1および2によれば、洗濯乾燥機の回転ドラム駆動モータ4Aと同時に運転される乾燥用の送風ファンモータ4Bあるいはヒートポンプサイクルの圧縮機モータ4Cの駆動周波数を一定とすることにより、回転ドラム5の起動停止による直流電圧変動に起因するファン回転速度や圧縮機モータの回転速度変動を無くすことにより耳障りな騒音変動を無くすことができる。さらに、直流電源のリップルが大きくても回転速度変動がないので、電解コンデンサ容量を減らして交流電源の力率を減らすことができ、回転ドラム駆動モータおよびヒートポンプ圧縮機モータ駆動用のインバータ回路直流電源やチョークコイルを共用でき、安価な直流電源を構成できる。
また、本実施の形態におけるモータ制御方式は、周波数制御ループがないオープンループ周波数制御であり、座標変換演算、あるいは電圧制御演算も簡単なので、プロセッサへのタスクが軽くなり1つのプロセッサにより複数のインバータ回路を同時に制御でき、プロセッサを減らすことにより部品点数が少なく、安価で信頼性の高いモータ駆動装置を実現できる。
以上のように、本発明にかかる洗濯乾燥機のモータ駆動装置は、電源電圧変動や負荷変動に関わらずオープンループ回転速度制御が実現でき、負荷変動や起動停止による電圧変動の大きい場合の回転速度制御が容易となるので、空調機の室外機における圧縮機モータと冷却モータの同時駆動、空調機の室内機における送風ファンモータと風向き制御モータの同時駆動、複数の圧縮機モータを同時に駆動する大型冷蔵庫等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における洗濯乾燥機のモータ駆動装置のブロック図 同モータ駆動装置のインバータ回路制御手段のブロック図 同モータ駆動装置の制御ベクトル図 本発明の実施の形態2における洗濯乾燥機のモータ駆動装置のブロック図 同モータ駆動装置のモータ制御プログラムのフローチャート 同モータ駆動装置のキャリヤ信号割り込みサブルーチンのフローチャート 同モータ駆動装置の回転速度制御サブルーチンのフローチャート 同モータ駆動装置の各インバータ回路のPWM周期と電流検出タイミングのタイミングチャート
符号の説明
1 交流電源
2 整流回路
3A 第1のインバータ回路
3B 第2のインバータ回路
4A 回転ドラム駆動モータ(第1のモータ)
4B 送風ファンモータ(第2のモータ)
5 回転ドラム
6 送風ファン
7 制御手段

Claims (6)

  1. 交流電源と、前記交流電源の交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路の直流電力を交流電力に変換する第1および第2のインバータ回路と、前記第1および第2のインバータ回路を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1のインバータ回路により洗濯乾燥機の回転ドラムを駆動する第1のモータを駆動し、前記第2のインバータ回路により前記回転ドラム内に送風する送風ファンあるいは熱交換器用圧縮機を駆動する第2のモータを駆動するものであって、前記第2のモータが周波数一定駆動されるようにした洗濯乾燥機のモータ駆動装置。
  2. 第2のモータは、永久磁石同期モータより構成され、制御手段は、前記第2のモータの駆動周波数に対する印加電圧の比を制御するようにした請求項1記載の洗濯乾燥機のモータ駆動装置。
  3. 整流回路の直流電圧を検出する直流電圧検知手段を備え、制御手段は、前記直流電圧検知手段の電圧信号に応じて第2のインバータ回路の出力電圧を制御するようにした請求項1記載の洗濯乾燥機のモータ駆動装置。
  4. 第2のインバータ回路の出力電流を検出する電流検出手段を備え、制御手段は、前記電流検出手段が検出した出力電流に応じて前記第2のインバータ回路の出力電圧を制御するようにした請求項1記載の洗濯乾燥機のモータ駆動装置。
  5. 第2のインバータ回路の出力電流を検出する電流検出手段を備え、制御手段は、前記電流検出手段が検出した出力電流から、前記第2のインバータ回路の出力電圧に対する無効電流成分を演算し、前記無効電流成分に応じて前記第2のインバータ回路の出力電圧を制御するようにした請求項1記載の洗濯乾燥機のモータ駆動装置。
  6. 第2のインバータ回路の出力電流を検出する電流検出手段を備え、制御手段は、前記電流検出手段が検出した出力電流から、前記第2のインバータ回路の出力電圧に対する無効電流成分を演算し、前記有効電流成分に応じて前記第2のインバータ回路の出力電圧を制御するようにした請求項1記載の洗濯乾燥機のモータ駆動装置。
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