JP2007027106A - オキソカーボン酸を含む電解質及びその用途 - Google Patents

オキソカーボン酸を含む電解質及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】水素ガスなどの気体燃料やメタノールやジメチルエーテルなどの液体燃料を用い
る固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜用の材料として有用であり、従来の電解質と比
して高いプロトン伝導性を示す電解質を提供する。
【解決手段】〔1〕分子軌道法を用いて分子構造を安定化した状態に対して算出した、水素イオンが非解離の状態の生成熱をE1(kcal/mol)、分子中で最も解離エネルギーの低い水素イオンが解離した状態の生成熱をE2(kcal/mol)としたときに、
ΔE=E2−E1(kcal/mol)
で定義される生成熱差ΔEが
ΔE<−70 (kcal/mol)
の範囲であるオキソカーボン酸を含むことを特徴とする電解質。
〔2〕〔1〕の電解質を有効成分とする高分子電解質。
〔3〕〔2〕の高分子電解質を有する、電池。
【選択図】なし

Description

本発明はオキソカーボン酸を含む電解質及びその用途に関する。
高分子電解質型燃料電池等に適用される電解質膜は、スルホン酸基を有する高分子化合物が主として用いられている。例えばナフィオン(デュポン社の登録商標)をはじめとするフッ素系高分子、ポリエーテルケトン類にスルホン酸基を導入した高分子(例えば、特許文献1参照)、ポリエーテルスルホン類にスルホン酸基を導入した高分子(例えば、非特許文献3参照)、ポリイミド類にスルホン酸基を導入した高分子(特許文献2)、ポリフェニレン類にスルホン酸基を導入した高分子(例えば、特許文献3参照)等が上記高分子電解質として提案されている。
一方、スクアリン酸(四角酸)に代表されるオキソカーボン酸は、オキソカーボン基における水素が解離した状態が共鳴による安定な構造となるため酸性度が高いことが知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。しかしながら、オキソカーボン酸を含む電解質を有する燃料電池、特に、オキソカーボン酸を含む燃料電池用プロトン伝導膜については、従来ほとんど検討されていなかった。
Oxocarbons、45頁(Edited by Robert West)、Academic Press(1980),(ISBN:0−12−744580−3) Journal of the American Chemical Society,95,8703(1973) J.Membrane Science,83,211(1993) 米国特許5438082号公報 特開2003−277501号公報 米国特許5403675号公報
本発明の目的は、固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜用材料として有用な、高いプロトン伝導性を有し、燃料電池用プロトン伝導膜として、高い発電性能を示すことが期待される電解質を提供することにある。
本発明者等は、オキソカーボン酸を含む燃料電池、特に、燃料電池に適用した場合に好適なオキソカーボン酸について鋭意検討した結果、驚くべきことに、該オキソカーボン酸の水素イオンが非解離状態と解離状態の生成熱差と、プロトン伝導性に相関があることを見出し、該生成熱差に着目した、ある特定の式を満たすオキソカーボン酸を含む電解質を製造し種々検討を重ねた結果、このようなオキソカーボン酸を含む電解質が、水素ガスなどの気体燃料やメタノールやジメチルエーテルなどの液体燃料を用いる固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜用の材料、すなわち高分子電解質用の材料として有用であることを見出すとともに、従来の電解質と比して高いプロトン伝導性を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、〔1〕分子軌道法を用いて分子構造を安定化した状態に対して算出した、水素イオンが非解離の状態の生成熱をE1(kcal/mol)、分子中で最も解離エネルギーの低い水素イオンが解離した状態の生成熱をE2(kcal/mol)としたときに、
ΔE=E2−E1(kcal/mol)
で定義される生成熱差ΔEが
ΔE<−70 (kcal/mol)
の範囲であるオキソカーボン酸を含むことを特徴とする電解質に係るものである。
さらに、本発明は、〔2〕水素イオンが非解離の状態のオキソカーボン分子が遊離酸の形で表して下式(1)で表されるオキソカーボン酸を含む、〔1〕に記載の電解質、
Figure 2007027106
(式中、X1、X2はそれぞれ独立に−O−、−S−又は−NR−を表し、Zは−CO−、−C(S)−、−C(NR’)−、置換基を有していても良いアルキレン基または置換基を有していても良いアリーレン基を表す。R、R’は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。nは繰り返しの数を表わし、0〜10の整数を表わす。nが複数である場合、n個あるZは互いに同じであっても良いし、異なっていても良い。Aは1価の基を表す)
〔3〕分子中で最も解離エネルギーの低い水素イオンが解離した状態が下式(2)で表されるオキソカーボン酸を含む、〔1〕または〔2〕に記載の電解質、
Figure 2007027106
(式中、X1、X2、Z、n、Aは前記と同じ意味を示す)
〔4〕生成熱差ΔEが
ΔE<−75 (kcal/mol)
の範囲であるオキソカーボン分子を含むことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の電解質、
〔5〕式(1)において、Zが、−CO−、−C(S)−又は−C(NH)−であるオキソカーボン酸を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の電解質、
〔6〕式(1)において、X1とX2が−O−、Zが−CO−、nが0〜2の整数であるオキソカーボン酸を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の電解質、
〔7〕前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の電解質を有効成分とする高分子電解質、
〔8〕前記の〔7〕記載の高分子電解質を有する、高分子電解質膜、
〔9〕前記の〔7〕に記載の高分子電解質または〔8〕に記載の高分子電解質膜の少なくとも一つを有する、電池、
〔10〕前記の〔7〕に記載の高分子電解質または〔8〕に記載の高分子電解質膜の少なくとも一つを有する、燃料電池、
に係るものである。
本発明の特定の式を満たすオキソカーボン酸を含有する電解質は、水素ガスなどの気体燃料やメタノールやジメチルエーテルなどの液体燃料を用いる固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜用材料すなわち高分子電解質用の材料として有用である。殊に式を満たさない電解質に比して高いプロトン伝導性を有するために燃料電池のプロトン伝導膜として使用した場合に高い発電性能を示すことが期待されるなど本発明の電解質は実用面でも有利となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電解質は、分子軌道法を用いて分子構造を安定化した状態に対して算出した、水素イオンが非解離の状態の生成熱をE1(kcal/mol)、分子中で最も解離エネルギーの低い水素イオンが解離した状態の生成熱をE2(kcal/mol)としたときに、
ΔE=E2−E1(kcal/mol)
で定義される生成熱差ΔEが
ΔE<−70 (kcal/mol)
の範囲であるオキソカーボン酸を含むことを特徴とする。
本発明において、前記生成熱E1(kcal/mol)およびE2(kcal/mol)は分子軌道法プログラムであるMOPAC2002 Ver1.00(富士通製)を用い、キーワードとしてPM5 EF PRECISEを用い、さらに水素イオンが解離した状態の計算にはCHARGE=−1をキーワードに追加して算出する。
本発明の電解質は、上記のようにΔEが特定の範囲であるオキソカーボン酸を含み、該オキソカーボン酸として、水素イオンが非解離の状態のオキソカーボン分子が遊離酸の形で表して下式(1)で表されるオキソカーボン酸が好ましい。

Figure 2007027106
(式中、X1、X2はそれぞれ独立に−O−、−S−又は−NR−を表し、Zは−CO−、−C(S)−、−C(NR’)−、置換基を有していても良いアルキレン基または置換基を有していても良いアリーレン基を表す。R、R’は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。nは繰り返しの数を表わし、0〜10の整数を表わす。nが複数である場合、n個あるZは互いに同じであっても良いし、異なっていても良い。Aは1価の基を表す)
また、本発明の電解質に含まれるオキソカーボン酸として、分子中で最も解離エネルギーの低い水素イオンが解離した状態が下式(2)で表されるオキソカーボン酸が好ましい。
Figure 2007027106
(式中、X1、X2、Z、n、Aは前記と同じ意味を示す)
ここで水素イオンが解離した状態とは、水素イオンが陰イオンから無限遠に遠ざけられたときの状態を意味する。
上記式中、X1、X2は、それぞれ独立に−O−、−S−又は−NR−を表す。Rは、水素原子;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。Rとして好ましくは水素原子である。X1、X2として好ましくは−O−、−S−であり、特に好ましくは−O−である。
またZは−CO−、−C(S)−、−C(NR’)−、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリーレン基を表す。R’は、水素原子;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。R’として好ましくは水素原子である。
ここで、炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、i−プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。また炭素数6〜10のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。置換基を有する場合の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子が挙げられ、なかでもフッ素原子が好ましく用いられる。
Zは、好ましくは−CO−、−C(S)−、−C(NR’)−、メチレン基、ジフルオロメチレン基、フェニレン基、テトラフルオロフェニレン基等であり、より好ましくは−CO−、−C(S)−等であり、特に好ましくは−CO−等である。
nは、Zの繰り返しの数を表わし、0〜10の整数を表わす。n個あるZは、互いに同じであっても良いし、異なっていても良い。nは、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは1である。
Aは、一価の基を表し、例えば、−OH、−SH、−NH2、ハロゲン原子、または一価の有機基を表し、好ましくは一価の有機基である。一価の有機基としては、置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有していても良い炭素数7〜16のアラルキル基などの式量5000未満の有機基でも良いし、式量5000以上の有機基でも良い。
式量5000以上の有機基としては、ビニル重合体、ポリオキシアルキレン類、ポリシロキサン類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリベンズオキサゾール類、ポリベンズイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、ポリアリーレン類、ポリアリーレンスルフィド類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン類、ポリホスファゼン類等、およびこれらの共重合体等からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体から水素原子が引き抜かれた形の基等が挙げられる。また、オキソカーボン基、すなわち一般式(1)においてAを除いた基は、1分子内に2つ以上存在していても良い。
ここで、炭素数1〜18のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキル基が置換基を有する場合の置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基等の炭素数1〜5のフルオロアルキル基等が挙げられる。
また炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。炭素数6〜18のアリール基が置換基を有する場合の置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基等の炭素数1〜5のフルオロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基などが挙げられる。
炭素数7〜16のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。炭素数7〜16のアラルキル基が置換基を有する場合の置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基等の炭素数1〜5のフルオロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基などが挙げられる。
Aとして、好ましくは置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有していても良い炭素数7〜16のアラルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、ナフチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ベンジル基であり、さらに好ましくはトリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基であり、特に好ましくはフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基である。
なお、式(1)は、遊離酸の形で表記しているが、表記された水素原子が一価の金属イオンに置換していても良い。一価の金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオンが挙げられる。
本発明の電解質を燃料電池用のプロトン伝導膜として使用する場合には、遊離酸の状態であることが好ましく、本発明の電解質をリチウム二次電池用電解質として用いる場合には、水素原子がリチウムイオンで置換されているものが好ましい。
本発明における好適なオキソカーボン酸である、式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記の化合物が挙げられる。なお、例示したオキソカーボン分子を呼称する番号に付記した「−o」、「−m」又は「−p」の表記は、式(1)におけるAが置換基を1つ有するフェニル基であり、該フェニル基の置換基の置換位置が、オキソカーボン基から見て、それぞれ、オルソ位、メタ位またはパラ位であることを表す。
Figure 2007027106

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これらのオキソカーボン酸を、前記の分子軌道法にてΔEを算出した結果を、表1〜表4に示す。
Figure 2007027106
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これらのオキソカーボン酸はいずれも、生成熱差ΔE<−70(kcal/mol)を満たすことから、本発明の電解質として好適に用いることができる。
本発明においては、上記のようなオキソカーボン酸が用いられるが、これらの中でも、生成熱差ΔEとしては、ΔE<−72(kcal/mol)を満たすことが好ましく、ΔE<−74(kcal/mol)を満たすことがさらに好ましく、ΔE<−75(kcal/mol)を満たすことが、より好ましく、ΔE<−78(kcal/mol)を満たすことが特に好ましい。
一方、オキソカーボン酸の製造の観点からは(a1)〜(a30)が好ましい。より好ましくは(a2)、(a5)(a8)、(a11)、(a14)、(a17)、(a20−o)、(a20−m)、(a20−p)、(a23)、(a26−o)、(a26−m)、(a26−p)、(a29−o)、(a29−m)、(a29−p)であり、より一層好ましくは(a2)、(a5)、(a8)、(a11)、(a14)、(a17)、(a20−o)、(a20−m)、(a20−p)、(a23)であり、特に好ましくは(a20−m)、(a20−p)、(a23)である。
本発明に適用されるオキソカーボン酸は、例えば下記の方法に準拠して製造し得る。また市場から容易に入手できるものを用いても良い。
(I)リチウム試薬を用いて、式(1)におけるRがアルキル基またはアリール基であるオキソカーボン酸を製造する方法(Journal of Organic Chemistry,53,2482、2477(1988))。
(II)グリニヤール試薬を用いて、式(1)におけるRがアルキル基またはアリール基であるオキソカーボン酸を製造する方法(Heterocycles,27(5),1191(1988))。
(III)スズ試薬を用いて、式(1)におけるRがアルキル基またはアリール基であるオキソカーボン酸を製造する方法(Journal of Organic Chemistry,55,5359(1990)、Tetrahydron Letters,31(30),4293(1990))。
(IV)Friedel Crafts反応を用いて、オキソカーボン分子を製造する方法(Synthesis,46頁(1974))。
これらの方法に準拠することにより様々なオキソカーボン酸を製造することができる。(I)〜(IV)の方法でエステル体を得た場合には、エステル体を酸・アルカリなどで加水分解することで式(1)で表されるオキソカーボン酸を得ることができる。式(1)は、遊離酸の形で表記しているが、式(1)で表記された水素原子が一価の金属イオンに置換された場合には、式(1)で表記された遊離酸のオキソカーボン酸を、アルカリ金属水酸化物を含む溶液等で中和することで得ることができる。
酸性条件下で処理をする際に用いる試薬としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、シュウ酸、およびこれらの混合物等が挙げられる。処理温度としては通常、−150℃〜200℃であり、好ましくは−100℃〜150℃であり、さらに好ましくは−80℃〜120℃である。処理時間としては通常10分〜20時間であり、好ましくは30分〜15時間であり、特に好ましくは1時間〜10時間である。酸性条件下で処理する際には均一系であっても不均一系であってもよい。
本発明の電解質は、前述のようなオキソカーボン酸を含むことを特徴とするが、その実施態様としてはオキソカーボン酸を1種または2種以上を電解質として用いても良いし、他の成分を含んでいても良い。
他の成分を含む場合の実施様態としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、アミド系溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、炭酸エステル類、エステル類、ニトリル類、オリゴアルキレングリコール類、これらの混合物、およびこれらにさらにフッ素置換基を導入したものなどの低分子化合物を他の成分として含有する電解質、
ポリビニルピロリドン類、ポリ(メタ)アクリル酸類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリロニトリル類、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリブテン類、ポリビニリデンフルオリド類、ポリテトラフルオロエチレン類、ポリ塩化ビニル類などに代表されるビニル重合体、ポリオキシアルキレン類、ポリシロキサン類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリベンズオキサゾール類、ポリベンズイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、ポリアリーレン類、ポリアリーレンスルフィド類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン類、ポリホスファゼン類等およびこれらの共重合体およびこれらの混合物等の高分子化合物を他の成分として含む電解質、が挙げられる。
前記の他の成分を含む実施様態について説明する。
まず、第1の実施様態として、低分子化合物を含む電解質を説明する。ここで低分子化合物とは、分子量が1000以下のものである。かかる低分子化合物としては、前記に例示したものを好適に用いることができる。
ここで、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどが、ケトン系溶媒としてはアセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ベンゾフェノンなどが挙げられる。エーテル系溶媒としてはジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(以下THFと略記する)、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
また、ハロゲン系溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが挙げられ、スルホキシド系溶媒としてはジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記する)が挙げられる。スルホン系溶媒としては、ジフェニルスルホン、スルホラン等が挙げられ、アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと略記する)、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略記する)、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N−メチルピロリドン(以下NMPと略記する)などが挙げられる。脂肪族炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが挙げられ、芳香族炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
また、炭酸エステル類としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどが挙げられ、エステル類としては、ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどが挙げられ、ニトリル類としては、アセトニトリル、ブチロニトリルなどが挙げられ、オリゴアルキレングリコール類としては、オリゴ(エチレングリコール)、オリゴ(プロピレングリコール)、オリゴ(ブチレングリコール)などが挙げられる。
本発明の電解質をリチウム二次電池の電解質として使用する場合には、低分子化合物として非プロトン性溶媒が主に使用される。このような低分子化合物としては、例えば炭酸エステル類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、アミド類、スルホキシド類、スルホン類、これらの混合物、またはこれらにさらにフッ素置換基を導入したものが挙げられる。これらの中でも好ましくは炭酸エステル類、エーテル類、エステル類、これらの混合物、またはこれらにさらにフッ素置換基を導入したものが挙げられる。
前記低分子化合物にはオキソカーボン酸の溶解性やイオン伝導性の観点から誘電率が20以上の高誘電率成分が、低分子化合物の総重量に対して20重量%以上含まれていることが好ましい。誘電率が30以上のものが含まれていることがより好ましく、40以上のものが含まれていることがさらに好ましく、50以上のものが含まれていることが特に好ましい。高誘電率成分は、低分子化合物の総重量に対して30重量%以上含まれていることがより好ましく、40重量%以上含まれていることがさらに好ましく、50重量%以上含まれていることが特に好ましい。ここで、前記誘電率は23℃にて測定された値である。
上記のような観点から本発明の電解質に混合して使用される低分子化合物としては、高い誘電率を有することが知られている環状炭酸エステル類を含むことが好ましい。環状炭酸エステル類は低分子化合物の重量に対して20重量%以上含まれていることが好ましく、30重量%以上含まれていることがより好ましく、40重量%以上含まれていることがさらに好ましく、50重量%以上含まれていることが特に好ましい。環状炭酸エステルとして、特に好ましくはプロピレンカーボネート(誘電率69.0)、プロピレンカーボネート(誘電率69.0)およびこれらの混合物である。ここで、「誘電率」とは、測定温度23℃における誘電率であり、例えば、溶剤ハンドブック(浅原照三/戸倉仁一郎/大河原信/熊野谿従/妹尾学著、講談社、1976年発行)等に記載されている誘電率を参酌して選択することができる。
前記のような低分子化合物と、オキソカーボン酸とを含有する、第1の実施様態の電解質は、[オキソカーボン酸の物質量(mmol)]/[低分子化合物の重量(g)+オキソカーボン酸の重量(g)]で規定されるオキソカーボン当量が通常0.05〜8mmol/gであり、好ましくは0.1〜7mmol/gであり、さらに好ましくは0.3〜6mmol/gであり、最も好ましくは0.5〜5mmol/gである。
ここで、前記オキソカーボン当量が、上記の範囲であると、イオン伝導度が良好であることから発電特性の面で好ましく、前記のオキソカーボン酸と、低分子化合物との相溶性にも優れることから好ましい。
かかるオキソカーボン酸当量は、NMR法を用いて求めることができる。
本発明における、第1の実施様態の電解質は、オキソカーボン酸と低分子化合物を混合することで製造することができる。混合する際には室温でもよいし、低分子化合物の沸点以下で加熱することも可能である。加熱する温度として好ましくは150℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。
かくして、オキソカーボン酸と低分子化合物を含む電解質を製造することができる。
次に、第2の実施様態として、高分子化合物を含む電解質、すなわち高分子組成物を説明する。
該高分子化合物として、好ましくはポリビニルピロリドン類、ポリ(メタ)アクリル酸類、ポリビニルピリジン類、ポリビニリデンフルオリド類、ポリイミド類、ポリベンズオキサゾール類、ポリベンズイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、ポリアリーレン類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン類およびこれらの共重合体およびこれらの混合物等であり、より好ましくはポリビニルピロリドン類、ポリビニルピリジン類、ポリベンズイミダゾール類、ポリエーテルスルホン類およびこれらの共重合体およびこれらの混合物等である。
該高分子化合物の分子量は、数平均分子量で表して1000以上のものであり、通常1000〜2000000程度であり、好ましくは2000〜1000000程度である。また膜形状で使用する場合には、数平均分子量は5000〜1000000程度であることが好ましく、該高分子化合物の数平均分子量が上記の範囲であると、かかる電解質から得られた膜を容易に製造することができ、また得られた膜の形状が良好となることから好ましい。ここで、「数平均分子量」とは、当該分野で周知の分析技術であるゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(以下、「GPC法」と呼ぶ)で測定される、ポリスチレン換算数平均分子量またはポリアルキレングリコール換算数平均分子量のいずれかであり、使用する高分子電解質に対して、適宜GPC法に係る分析条件を最適化して求めることができる。
前記のような高分子化合物と、オキソカーボン酸とを含有する、第2の実施様態である高分子組成物は、[オキソカーボン酸の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン酸の重量(g)]で規定されるオキソカーボン当量が、好ましくは0.05〜8mmol/gであり、さらに好ましくは0.1〜7mmol/gであり、とりわけ好ましくは0.3〜6mmol/gであり、特に好ましくは0.5〜5mmol/gである。
ここで、高分子組成物中のオキソカーボン当量が、0.05mmol/g以上であるとイオン伝導性がより向上する傾向にあるため好ましく、8mmol/g以下であると耐水性の面でより好ましい傾向にある。
オキソカーボン酸は、通常、高分子組成物のイオン交換当量が上記の範囲となるように使用される。本発明において、高分子組成物中のオキソカーボン酸の当量は、NMR法で測定される。
このような高分子組成物は、高分子化合物とオキソカーボン酸とを含有することを特徴とするものであり、その製造方法は特に限定はないが、例えば高分子化合物とオキソカーボン酸を溶媒に溶解、分散または懸濁させて混合し、その後に溶媒を除去して得る方法、オキソカーボン分子の存在下で高分子を合成して得る方法等が挙げられる。
ここで、前者の方法における溶媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、アミド系溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、およびこれらの混合溶媒などの中から適宜選択される。これらの溶媒は先述と同じものが例示される。
溶媒を除去する方法としては、混合した溶液、分散液または懸濁液の溶媒を蒸発させて留去する方法等が挙げられるが、後述の溶媒キャスト法を用いることにより膜状に成型することも可能である。
またオキソカーボン酸の存在下で高分子を合成して高分子組成物を得る方法としては、オキソカーボン酸の存在下に、公知の重合方法、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、Zieglar-Natta触媒を用いたイオン重合、開環重合、脱離重合、重付加、重縮合、付加縮合などを用いて高分子を合成する(「高分子合成の実験法」(株)化学同人125〜357頁(1972))と同時に高分子組成物を得る方法等が挙げられる。なお、重合反応中でオキソカーボン分子が重合を阻害するような副反応を起こしうる場合、例えば水酸基を有するオキソカーボン分子の存在下、アニオン重合を行う場合には、この基を例えばアルコキシ基、シロキシ基、エステル基などで保護するという公知の保護方法を用いて、水酸基を保護して用いることができる。この場合は重合後に公知の方法により保護基を除去することにより目的物が得られる。
次に、本発明の電解質を燃料電池等の電気化学デバイスの、隔膜材料として使用する場合について説明する。
この場合、本発明の電解質としては、単独または適当な高分子と混合した組成物(高分子組成物)が好適であり、かかる電解質をフィルムの形態に転化して使用される。ここで、フィルムへ転化する方法に特に制限はないが、操作が簡便であることから溶液状態より製膜する方法(溶媒キャスト法)が好ましく使用される。
具体的には、本発明の電解質または高分子組成物を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板上に塗布し、溶媒を除去することにより製膜される。製膜に用いる溶媒は、高分子を溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と呼ぶ)、ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と呼ぶ)、N−メチルピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ)、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」と呼ぶ)等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、「THF」と呼ぶ)、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、クラウンエーテル類等のエーテル系溶媒、水が好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。
中でもDMSO、DMF、DMAc、NMP、THF、1,3−ジオキソラン、水等が本発明の電解質、高分子組成物の溶解性が高く好ましい。
フィルムの厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましく、20〜100μmが特に好ましい。フィルムの厚みが上記の範囲であると、実用的なフィルム強度が十分で得られ、膜抵抗も良好となることから、電気化学デバイスの隔膜等で使用する場合、好適である。なお、膜厚は溶液の濃度および基板上への塗布厚により制御できる。
また、フィルムの各種物性改良を目的として、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等を高分子に含有させることができる。また、同一溶剤に混合共キャストするなどの方法により、他のポリマーを複合アロイ化することも可能である。
燃料電池用途では他に水管理を容易にするために、無機あるいは有機の微粒子を保水剤として添加する事も知られている。これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。
また、フィルムの機械的強度の向上などを目的として、電子線・放射線などを照射して架橋することもできる(例えば、特開平11−111310号公報)。さらには、多孔性のフィルムやシートに含浸複合化したり(特開平6−29032号公報)、ファイバーやパルプを混合してフィルムを補強する方法などが知られており、これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。
次に本発明の燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、フィルムの両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。白金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられ、好ましく用いられる。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーに白金微粒子または白金微粒子を担持したカーボンを接合させる方法、およびそれを高分子電解質フィルムと接合させる方法については、例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9),2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
また、本発明における高分子組成物は、固体高分子形燃料電池の触媒層を構成する触媒組成物の一成分であるプロトン伝導材料としても使用可能である。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノール、ジメチルエーテル等を用いる各種の形式で使用可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
プロトン伝導度(σ)は以下のようにして測定した。
幅1.0cmの短冊状膜試料の表面に白金板(幅:5.0mm)を間隔が1.0cmになるように押しあて、80℃、相対湿度100%の恒温恒湿槽中に試料を保持し、白金板間の106〜10-1Hzにおける交流インピーダンスを測定し、下記式より求めた。
σ(S/cm)=1/(R×d)
(ただし、コール・コールプロット上において、複素インピーダンスの虚数成分が0の時、複素インピーダンスの実数成分をR(Ω)とする。dは膜厚(cm)を表す。)
(実施例1)
4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−シクロブテン−3−エン−1,2−ジオン(IV)および組成物の製造
Journal of Organic Chemistry,1990,55,5359に記載されている方法に準拠して4−(1−メチルエトキシ)−3−(トリ−n−ブチルスタニル)シクロブテン−3−エン−1,2−ジオン(II)を製造した。
次に、不活性ガス置換したフラスコに、ヨウ化銅(I)92.0mg(0.49mmol)、パラフルオロヨードベンゼン1.17g(5.24mmol)、(C65CH2)ClPd(PPh320.22g(0.29mmol)を加え、DMF6.0mlに溶解させた後、上で合成した(II)2.00g(4.8mmol)を滴下した。4時間攪拌後、反応液をジエチルエーテル50mlで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液50mlで1回、10wt%フッ化カリウム水溶液50mlで3回洗浄した。エーテル及びDMFを留去し、得られた粗生成物を、シリカゲルを充填剤とし、ヘキサン:エーテル=3:1(vol/vol)を展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーで精製し、0.55gの4−(4−フルオロフェニル)−3−(1−メチルエトキシ)−シクロブテン−3−エン−1,2−ジオン(III)を得た。
次に、(III)0.37g(1.26mmol)をTHF0.1mlに溶解し、12規定の塩酸7.0mlを加えて3時間攪拌した。その後、反応液に水10mlを加えて希釈し、CH2Cl210mlで1回洗浄した。水層の水を留去して4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−シクロブテン−3−エン−1,2−ジオン(IV)0.179gを得た。構造は1H NMR,19F NMRで確認した。純度をHPLCで確認したところ99%以上であった。
次に、内容積20mlの容器にポリ(N−ビニルピロリドン)(アルドリッチ社製、以下PVPと略記する)41.0mg、上で合成した(III)17.7mg(0.0921mmol)、イオン交換水3.0mlを入れて、室温で30分攪拌して均一溶液とした。この溶液をシャーレに広げて80℃で水を留去し、厚さ145μmの膜(f)を得た。(f)のプロトン伝導度を表5に示す。
(f)の生成熱差ΔEは−78.6kcal/molであった。
(実施例2)
3−ヒドロキシ−4−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−シクロブテン−3−エン−1,2−ジオン(VI)および組成物の製造
不活性ガス置換したフラスコに、ヨウ化銅(I)18.0mg(0.095mmol)、パラフルオロヨードベンゼン0.30g(1.00mmol)、(C65CH2)ClPd(PPh3243.0mg(0.057mmol)を加え、DMF1.0mlに溶解させた後、(II)0.40g(0.93mmol)を滴下した。4時間攪拌後、反応液をジエチルエーテル50mlで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液50mlで1回、10wt%フッ化カリウム水溶液50mlで3回洗浄した。エーテル及びDMFを留去し、得られた粗生成物を、シリカゲルを充填剤とし、ヘキサン:エーテル=3:1(vol/vol)を展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーで精製し、0.053gの4−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−3−(1−メチルエトキシ)−シクロブテン−3−エン−1,2−ジオン(V)を製造した。
次に、(V)0.053g(0.145mmol)をTHF0.1mlに溶解し、12規定の塩酸1.5mlを加えて3時間攪拌した。その後、反応液に水10mlを加えて希釈し、CH2Cl210mlで1回洗浄した。水層の水を留去して3−ヒドロキシ−4−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−シクロブテン−3−エン−1,2−ジオン(VI)23mgを得た。構造は19F NMRで確認した。1H NMRではピークが観測されなかった。純度をHPLCで確認したところ99%以上であった。
次に、内容積20mlの容器にポリ(N−ビニルピロリドン)(アルドリッチ社製、以下PVPと略記する)32.5mg、上で合成した(III)23.0mg(0.0871mmol)、イオン交換水3.0mlを入れて、室温で30分攪拌して均一溶液とした。この溶液をシャーレに広げて80℃で水を留去し、厚さ158μmの膜(g)を得た。(g)のプロトン伝導度を表5に示す。
(g)の生成熱差ΔEは−89.9kcal/molであった。
Figure 2007027106

(表5は、プロトン伝導度および生成熱差ΔEを示す。)

Claims (10)

  1. 分子軌道法を用いて分子構造を安定化した状態に対して算出した、水素イオンが非解離の状態の生成熱をE1(kcal/mol)、分子中で最も解離エネルギーの低い水素イオンが解離した状態の生成熱をE2(kcal/mol)としたときに、
    ΔE=E2−E1(kcal/mol)
    で定義される生成熱差ΔEが
    ΔE<−70 (kcal/mol)
    の範囲であるオキソカーボン酸を含む電解質。
  2. 水素イオンが非解離の状態のオキソカーボン酸が、遊離酸の形で表して下式(1)で表されるオキソカーボン酸である請求項1に記載の電解質。
    Figure 2007027106
    (式中、X1、X2はそれぞれ独立に−O−、−S−又は−NR−を表し、Zは−CO−、−C(S)−、−C(NR’)−、置換基を有していても良いアルキレン基または置換基を有していても良いアリーレン基を表す。R、R’は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。nは繰り返しの数を表わし、0〜10の整数を表わす。nが複数である場合、n個あるZは互いに同じであっても良いし、異なっていても良い。Aは1価の基を表す)
  3. 分子中で最も解離エネルギーの低い水素イオンが解離した状態が下式(2)で表されるオキソカーボン酸を含む、請求項1または2に記載の電解質。
    Figure 2007027106
    (式中、X1、X2、Z、n、Aは前記と同じ意味を示す)
  4. 生成熱差ΔEが
    ΔE<−75 (kcal/mol)
    の範囲であるオキソカーボン酸を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の電解質。
  5. 式(1)において、Zが、−CO−、−C(S)−または−C(NH)−であるオキソカーボン酸を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の電解質。
  6. 式(1)において、X1とX2が−O−、Zが−CO−、nが0〜2の整数であるオキソカーボン酸を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の電解質。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の電解質を有効成分とする高分子電解質。
  8. 請求項7記載の高分子電解質を含む、高分子電解質膜。
  9. 請求項7に記載の高分子電解質または請求項8に記載の高分子電解質膜の少なくとも一つを有する、電池。
  10. 請求項7に記載の高分子電解質または請求項8に記載の高分子電解質膜の少なくとも一つを有する、燃料電池。
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