JP2007026717A - 非水電解液電池 - Google Patents

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賢太 山本
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Abstract

【課題】 誤使用対策としての構成部品を設けることなく、誤使用による異常発熱を防止できる非水電解液電池を提供する。
【解決手段】 非水電解液電池は、正極合剤を塗布してなる正極2と、負極3と、有機溶媒に電解質を溶解させてなる電解液とを備える。正極合剤中には、エチレン共重合樹脂を含む。これにより、誤使用対策としての構成部品を設けることなく、誤使用による異常発熱を防止できる。さらに、構成部品を減らすことができるので、製造コストを削減できる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、非水電解液電池、例えば二硫化鉄を正極活物質とする正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、有機溶媒に電解質を溶解した電解液とからなるリチウム/二硫化鉄一次電池に関する。
現在、市販されている1.5V級一次電池には、水溶液を電解液に用いるマンガン電池、アルカリマンガン電池、酸化銀電池、空気電池、ニッケル/亜鉛電池、及び有機溶媒を電解液に用いるリチウム/二硫化鉄一次電池等がある。
リチウム/二硫化鉄一次電池は、正極活物質の二硫化鉄が約894mAh/g、負極活物質のリチウムが約3863mAh/gと、既存の電池材料の中でも高い理論容量を示す材料から構成されており、高容量を実現できる。さらに、リチウム/二硫化鉄一次電池は、負荷特性、低温特性等の電池特性の面からも、他の1.5V級一次電池とは一線を隔する極めて優れた電池である。
しかしながら、リチウム/二硫化鉄一次電池は、負極として金属リチウムを、電解液として有機溶媒を用いるために、例えば、充電、外部短絡、多本数使用の機器に対して逆奏填する等の誤使用を行った場合は、極めて大きな電流が流れ、これに伴い電池が異常発熱する。電池が異常発熱すると、電池の破裂、熱暴走を引き起こすおそれがある。
誤使用による電池の破裂、熱暴走を防止するための対策としては、例えば下記特許文献1に記載されているように、電池構成部材中に熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)を設けることが提案されている。
特開平10−214613号公報
熱感抵抗素子は、電池が異常発熱すると、その熱によって抵抗が増大し、熱暴走の原因となる大電流の通電を抑制する機能を有しており、リチウム/二硫化鉄一次電池以外にも、例えばリチウムイオン二次電池等に対して一般的に使用されるものである。
しかしながら、誤使用による異常発熱を防止するために、誤使用対策としての構成部品である熱感抵抗素子を設けることによって、電池の構成部品が増加するので、製造コストの増加、電池の小型化の妨げとなる問題があった。
したがって、この発明の目的は、誤使用対策としての構成部品を設けることなく、誤使用による異常発熱を防止できる非水電解液電池を提供することにある。
本願発明者等は、誤使用による異常発熱を防止できる安全機構を開発するために鋭意検討を続けてきた。その結果、正極合剤中に、エチレン共重合樹脂を添加することで、誤使用による異常発熱を防止できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上述した課題を解決するために、この発明は、
正極合剤を正極集電体に塗布してなる正極と、負極と、有機溶媒に電解質を溶解してなる電解液とを備え、
正極合剤中に、エチレン共重合樹脂を含むことを特徴とする非水電解液電池である。
この発明によれば、誤使用対策としての構成部品を設けることなく、誤使用による異常発熱を防止できる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態によるリチウム/二硫化鉄一次電池の構成の一例を示す。図1に示すように、ほぼ中空円柱状の電池缶1の内部に、渦巻型電極体を有する。
この渦巻型電極体は、正極活物質を含む正極合剤を、例えばCu電極箔に塗布されてなる帯状の正極2と、負極活物質である例えばリチウム金属からなる帯状の負極3とが、イオン透過性を有するセパレータ4を介して多数回巻回されてなる。
電池缶1は、例えばニッケルめっきが施された鉄により構成されており、一端部が閉鎖され、他端部が開放されている。また、電池缶1の内部には、渦巻型電極体を挟み込むように周面に対して垂直に一対の絶縁板5,6がそれぞれ配置されている。
電池缶1の開放端部には、電池蓋7と、この電池蓋7の内側に設けられた安全弁8が、封口ガスケット9を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶1の内部が密閉される。電池蓋7は、例えば電池缶1と同様の材料により構成されている。
安全弁8は、電池蓋7と電気的に接続されており、外部からの加熱等がなされ、電池の内圧が一定以上となった場合に、電池内部のガスを、弁作動で外部に放出することによって、電池の破裂を防止する機構を備えている。封口ガスケット9は、例えば絶縁材料により構成されており、表面には、例えばアスファルトが塗布されている。
正極2には、例えばアルミニウム等よりなる正極リード10が接続されている。負極3には、例えばニッケル等よりなる負極リード11が接続されている。正極リード10は、安全弁8に溶接されることによって、電池蓋7と電気的に接続される。負極リード11は、電池缶1に溶接されることによって、電気的に接続される。
また、正極2と負極3との間のセパレータ4には、非水電解質として例えば非水電解液が含浸されている。セパレータ4は、正極2と負極3との間に配されることによって、これらの物理的接触を防止する機能を有する。
さらに、セパレータ4は、孔中に非水電解液を保持する機能を有する。すなわち、セパレータ4が非水電解液を吸収することによって、放電時にリチウムイオンを通過させることができる。
[正極2]
正極2は、帯状の形状を有する正極集電体と、この正極集電体の両面に形成された正極合剤層とからなる。正極集電体としては、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔、またはステンレス箔等金属箔を用いることができる。
正極合剤層は、例えば、正極活物質である二硫化鉄と、導電助剤と、結着剤と、エチレン共重合樹脂とからなる。二硫化鉄としては、主に自然界に存在する黄鉄鉱(pyrite)を粉砕したものを用いることができる。
さらに、二硫化鉄としては、例えば化学合成して得られるものを用いることができる。具体的には、例えば、塩化第一鉄(FeCl2)を硫化水素(H2S)中にて焼成して得られる二硫化鉄等を用いることができる。
導電助剤としては、正極活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば、特に制限なく用いることができる。導電助剤としては、例えば、グラファイト、カーボンブラックなどの炭素粉末を用いることができる。
結着剤としては、公知の結着剤を用いることができ、例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂を用いることができる。
エチレン共重合樹脂としては、例えば、エチレン−アクリレート共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等を用いることができる。
エチレン共重合樹脂の形状としては、正極合剤中に、樹脂が均一に分布するようなものであれば使用可能であり、例えば粉末形状等を挙げることができる。
正極合剤中に含まれるエチレン共重合樹脂は、誤使用により電池に大電流が流れると発生するジュール熱によって、溶融する。溶融したエチレン共重合樹脂は、電池の抵抗を上昇させ、大電流の通電を抑制することによって、電池の異常発熱を防止することができる。
さらに、例えば誤使用による異常発熱を抑制する対策として用いる例えば熱感抵抗素子を設ける必要がなくなるので、構成部品を減らすことができ、これにより、製造コストを削減できる。
また、エチレン共重合樹脂の含有量は、通常使用時における電池の放電特性に悪影響を与えず、かつより効果的な大電流遮断機能を得ることができる点から、正極合剤に対して、5重量%〜10重量%が好ましい。
さらに、エチレン共重合樹脂の融点は、通常使用時における電池の放電特性に悪影響を与えず、かつより効果的な大電流遮断機能を得ることができる点から、80℃以上105℃以下が好ましい。
[負極3]
負極3は、例えば、帯状の形状を有する負極活物質としての金属箔からなる。金属箔の材料としては、例えば、リチウム金属またはリチウムにアルミニウムなどの合金元素を添加したリチウム合金等を用いることができる。
[電解液]
電解液としては、例えばリチウム塩を電解質として、これを有機溶媒に溶解させた電解液を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の単独または二種類以上の混合溶媒を用いることができる。
電解質としては、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ヨウ化リチウム(LiI)等を用いることができる。
[セパレータ]
セパレータとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系の微多孔性フィルム等を用いることができる。
次に、この発明の一実施形態によるリチウム/二硫化鉄一次電池の製造方法について説明する。
まず、例えば、正極活物質と、結着剤と、導電助剤と、エチレン共重合樹脂とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散してペースト状の正極合剤スラリーとする。
次に、この正極合剤スラリーを正極集電体上に塗布して乾燥させた後、例えばローラプレス機等で圧縮成型して正極合剤層を形成し、帯状の正極2を作製する。
次に、帯状の形状を有する正極2と、帯状の形状を有する負極3と、帯状の形状を有するセパレータ3とを、例えば正極2、セパレータ4、負極3、セパレータ4の順に積層し、長手方向に多数回巻回して、渦巻型電極体を作製する。
次に、渦巻型電極体を電池缶1に収納する。渦巻型電極体を収納する前に、電池缶1の内側に例えばニッケルメッキを施し、電池缶1の下部に絶縁板6を挿入しておく。電池缶1に、渦巻型電極体を収納した後、渦巻型電極体の上面に絶縁板5を配設する。
次に、負極3の集電をとるために、例えばニッケルからなる負極リード12の一端を負極3に取り付け、他端を電池缶1に溶接する。負極リード12が負極3および電池缶1に接続されると、電池缶1は、負極3と導通を有することとなり、外部負極となる。
次に、正極2の集電をとるために、例えばアルミニウムからなる正極リード11の一端を正極2に取り付け、他端を安全弁8を介して電池蓋7と電気的に接続する。正極リード11が正極2および電池蓋7に接続されると、電池蓋7は、正極2と導通を有することとなり、外部正極となる。
次に、この電池缶1の中に、電解質を有機溶媒に溶解させて調製した電解液を注入し、アスファルトを塗布した封口ガスケット10を介して電池缶1をかしめる。これにより、電池蓋7が固定される。以上により、この発明の一実施形態によるリチウム/二硫化鉄一次電池が作製される。
エチレン共重合樹脂の組成に関する検討
はじめに、二硫化鉄と、導電助剤としての炭素粉末と、結着剤と、エチレン−アクリレート共重合樹脂(融点:90℃)とを混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させた正極合剤を用いた実施例1〜実施例16および比較例1のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表1に、実施例1〜実施例16および比較例1のリチウム/二硫化鉄一次電池に用いた正極合剤の組成を示す。
Figure 2007026717
<実施例1>
まず、正極活物質である二硫化鉄94重量%と、導電助剤である炭素粉末、1.0重量%と、結着剤4.0重量%(乾燥重量)と、エチレン−アクリレート共重合樹脂1.0重量%とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに十分に分散させて正極合剤スラリーとした。
次に、正極集電体として厚さ20μmのアルミニウム箔を用い、正極集電体の両面に対して、正極合剤スラリーを、正極集電体の一端部に未塗布部を残すように塗布した。
次に、正極集電体に塗布された正極合剤を、120℃の温度条件で、2時間乾燥させてN−メチル−2−ピロリドンを揮発させた後、一定圧力下、ローラプレス機で圧縮成型を行うことによって、厚さ150μmの帯状の正極を作製した。なお、正極容量は、約1300mAhとなるように設計した。
次に、以上のようにして作製した帯状の正極2と、厚さ150μmの金属リチウム負極3とを、正極2、セパレータ4、負極3、セパレータ4の順に積層してから多数回巻回し、外径9mmの渦巻型電極体を作製した。
次に、以上のようにして得た渦巻型電極体を、ニッケルメッキを施した鉄製の電池缶1に収納した。そして、渦巻型電極体の上下両面に絶縁板5,6を配設し、アルミニウム製の正極リード10を正極集電体から導出して電池蓋7に、ニッケル製の負極リード11を負極集電体から導出して電池缶1に溶接した。
次に、1,2−ジメトキシエタン(DME)と、1,3−ジオキソランとを1:1の体積比で混合した溶媒に、ヨウ化リチウム(LiI)を1.0mol/lとなるように添加した電解液を作製し、その後、この電解液を、渦巻型電極体が収納された電池缶1の中に注入した。
次に、アスファルトが表面に塗布された絶縁封口ガスケット9を介して、電池缶1をかしめることによって、電池蓋7および安全弁8を固定し、電池内の気密性を保持させた。以上の工程によって、直径約10mm、高さ約44mmを有する円筒型のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<実施例2〜実施例16、比較例1>
正極合剤を構成する二硫化鉄と、エチレン−アクリレート共重合樹脂と、導電助剤である炭素粉末と、結着剤とを表1に示す組成とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜実施例16および比較例1のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
次に、二硫化鉄と、導電助剤としての炭素粉末と、結着剤と、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂(融点:90℃)とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いた実施例17〜実施例32および比較例2のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表2に、実施例17〜実施例32および比較例2のリチウム/二硫化鉄一次電池に用いた正極合剤の組成を示す。
Figure 2007026717
<実施例17>
二硫化鉄94.0重量%と、導電助剤である炭素粉末1.0重量%と、結着剤と4.0重量%、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂1.0重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<実施例18〜実施例32、比較例2>
二硫化鉄と、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂と、導電助剤である炭素粉末と、結着剤とを表2に示す組成とした以外は、実施例17と同様にして、実施例18〜実施例32および比較例2のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
次に、二硫化鉄と、導電助剤としての炭素粉末と、結着剤と、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂(融点:90℃)とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いた実施例33〜実施例48および比較例3のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表3に、実施例33〜実施例48および比較例3のリチウム/二硫化鉄一次電池に用いた正極合剤の組成を示す。
Figure 2007026717
<実施例33>
二硫化鉄94重量%と、導電助剤である炭素粉末1.0重量%と、結着剤4.0重量%と、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂1.0重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<実施例34〜実施例48、比較例3>
二硫化鉄と、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂と、導電助剤である炭素粉末と、結着剤とを表3に示す組成とした以外は、実施例33と同様にして、実施例34〜実施例48および比較例3のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
次に、二硫化鉄と、導電助剤としての炭素粉末と、結着剤と、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(融点:90℃)とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いた実施例49〜実施例64および比較例4のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表4に、実施例49〜実施例64および比較例4のリチウム/二硫化鉄一次電池に用いた正極合剤の組成を示す。
Figure 2007026717
<実施例49>
二硫化鉄94.0重量%と、導電助剤である炭素粉末1.0重量%と、結着剤4.0重量%と、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂1.0重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<実施例50〜実施例64、比較例4>
二硫化鉄と、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂と、導電助剤である炭素粉末と、結着剤とを表4に示す組成とした以外は、実施例49と同様にして、実施例50〜実施例64および比較例4のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
次に、上述のようにして得られた実施例1〜実施例64および比較例1〜比較例4のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で1.3時間(130mAh)の条件で予備放電した。リチウム/二硫化鉄電池系では作製直後の開路電圧は2V以上と高いため、上述のように予備放電と呼ばれる工程により電池容量の10%程度を放電させて電位を降下させるのが一般的である。
次に、誤使用条件として逆装填を想定し、実施例1〜実施例64および比較例1〜比較例4の電池を各100本準備し、定電流電源装置を用いて、5Aの電流にて充電試験を行った。表1〜表4に測定結果を示す。
表1に示すように、比較例1は、充電試験中に、電池温度が高温に達し、その後電池が非常に高い確率で熱暴走に至る。これに対して、実施例6〜実施例16は、電池温度が低く、電池が熱暴走に至らないことがわかる。さらに、実施例1〜実施例5に関しては、比較例1に対して熱暴走に至る確率が低いことがわかる。
表2に示すように、比較例2は、充電試験中に、電池温度が高温に達し、その後電池が非常に高い確率で熱暴走に至る。これに対して、実施例22〜実施例32は、電池温度が低く、電池が熱暴走に至らないことがわかる。さらに、実施例17〜実施例21に関しては、比較例2に対して熱暴走に至る確率が低いことがわかる。
表3に示すように、比較例3は、充電試験中に、電池温度が高温に達し、その後電池が非常に高い確率で熱暴走に至る。これに対して、実施例38〜実施例48は、電池温度が低く、電池が熱暴走に至らないことがわかる。さらに、実施例33〜実施例37に関しては、比較例3に対して熱暴走に至る確率が低いことがわかる。
表4に示すように、比較例4は、充電試験中に、電池温度が高温に達し、その後電池が非常に高い確率で熱暴走に至る。これに対して、実施例54〜実施例64は、電池温度が低く、電池が熱暴走に至らないことがわかる。さらに、実施例49〜実施例53に関しては、比較例4に対して熱暴走に至る確率が低いことがわかる。
また、予備放電後の実施例1〜実施例64および比較例1〜比較例4の電池を、1Aの定電流で電池電圧が1.0Vになるまで本放電を行い、放電容量を測定した。表1〜表4に測定結果を示す。
表1に示すように、実施例1〜実施例12の放電容量は、比較例1の放電容量に対して、顕著な差をもたない。一方、実施例13〜実施例16の放電容量は、比較例1の放電容量に対して、極端に小さくなっている。放電容量は900mAh以上あれば実用上問題が無いので、この結果からエチレン−アクリレート共重合樹脂は10重量%以下が良い。
表2に示すように、実施例17〜実施例28の放電容量は、比較例2の放電容量に対して、顕著な差をもたない。一方、実施例29〜実施例32の放電容量は、比較例2の放電容量に対して、極端に小さくなっている。放電容量は900mAh以上あれば実用上問題が無いので、この結果からエチレン−エチルアクリレート共重合樹脂は10重量%以下が良い。
表3に示すように、実施例33〜実施例44の放電容量は、比較例3の放電容量に対して、顕著な差をもたない。一方、実施例45〜実施例48の放電容量は、比較例3の放電容量に対して、極端に小さくなっている。放電容量は900mAh以上あれば実用上問題が無いので、この結果からエチレン−メタクリル酸共重合樹脂は10重量%以下が良い。
表4に示すように、実施例49〜実施例60の放電容量は、比較例4の放電容量に対して、顕著な差をもたない。一方、実施例61〜実施例64の放電容量は、比較例4の放電容量に対して、極端に小さくなっている。放電容量は900mAh以上あれば実用上問題が無いので、この結果からエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は10重量%以下が良い。
以上の結果より、エチレン共重合樹脂の添加量は、通常使用時における電池の放電特性に悪影響を与えず、かつより効果的な大電流遮断機能を得ることができる点から、正極合剤に対し、5重量%〜10重量%が好ましいことがわかる。
エチレン共重合樹脂の融点に関する検討
はじめに、二硫化鉄と、導電助剤としての炭素粉末と、結着剤と、エチレン−アクリレート共重合樹脂とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いた実施例65〜実施例76および比較例5のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表5に、実施例65〜実施例76および比較例5のリチウム/二硫化鉄一次電池に用いた正極合剤の組成およびエチレン−アクリレート共重合樹脂の融点を示す。
Figure 2007026717
<実施例65>
二硫化鉄87重量%と、導電助剤である炭素粉末1.0重量%と、結着剤4.0重量%と、融点120℃のエチレン−アクリレート共重合樹脂8.0重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<比較例5>
二硫化鉄と、エチレン−アクリレート共重合樹脂と、導電助剤である炭素粉末と、結着剤とを表5に示す組成とした以外は、実施例65と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<実施例66〜実施例76>
表5に示す融点のエチレン−アクリレート共重合樹脂を用いた以外は、実施例65と同様にして、実施例66〜実施例76のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
次に、二硫化鉄と、導電助剤としての炭素粉末と、結着剤と、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いた実施例77〜実施例88および比較例6のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表6に、実施例77〜実施例88および比較例6のリチウム/二硫化鉄一次電池に用いた正極合剤の組成およびエチレン−エチルアクリレート共重合樹脂の融点を示す。
Figure 2007026717
<実施例77>
二硫化鉄87重量%と、導電助剤である炭素粉末1.0重量%と、結着剤4.0重量%と、融点120℃のエチレン−エチルアクリレート共重合樹脂8.0重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<比較例6>
二硫化鉄と、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂と、導電助剤である炭素粉末と、結着剤とを表6に示す組成とした以外は、実施例77と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<実施例78〜実施例88>
表6に示す融点のエチレン−エチルアクリレート共重合樹脂を用いた以外は、実施例77と同様にして、実施例78〜実施例88のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
次に、二硫化鉄87.0重量%と、導電助剤としての炭素粉末1.0重量%と、結着剤4.0重量%と、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂8.0重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いた実施例89〜実施例100および比較例7のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表7に、実施例89〜実施例100および比較例7のリチウム/二硫化鉄一次電池に用いた正極合剤の組成およびエチレン−メタクリル酸共重合樹脂の融点を示す。
Figure 2007026717
<実施例89>
二硫化鉄87.0重量%と、導電助剤である炭素粉末1.0重量%と、結着剤4.0重量%と、融点120℃のエチレン−メタクリル酸共重合樹脂8.0重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<比較例7>
二硫化鉄と、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂と、導電助剤である炭素粉末と、結着剤とを表7に示す組成とした以外は、実施例89と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<実施例90〜実施例100>
表7に示す融点のエチレン−メタクリル酸共重合樹脂を用いた以外は、実施例89と同様にして、実施例90〜実施例100のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
次に、二硫化鉄と、導電助剤としての炭素粉末と、結着剤と、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いた実施例101〜実施例112および比較例8のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表8に、実施例101〜実施例112および比較例8のリチウム/二硫化鉄一次電池に用いた正極合剤の組成およびエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の融点を示す。
Figure 2007026717
<実施例101>
二硫化鉄87.0重量%と、導電助剤である炭素粉末1.0重量%と、結着剤4.0重量%と、融点120℃のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂8.0重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させた正極合剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<比較例8>
二硫化鉄と、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂と、導電助剤である炭素粉末と、結着剤とを表8に示す組成とした以外は、実施例101と同様にして、リチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
<実施例102〜実施例112>
表8に示す融点のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を用いた以外は、実施例101と同様にして、実施例102〜実施例112のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。
次に、上述のようにして得られた実施例65〜実施例112および比較例5〜8のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で1.3時間(130mA)の条件で予備放電した。
次に、誤使用条件として逆装填を想定し、実施例65〜実施例112および比較例5〜比較例8の電池に対して、定電流電源装置を用いて、5Aの電流にて充電試験を行った。表5〜表8に測定結果を示す。
表5に示すように、比較例5は、充電試験中に、電池温度が高温に達し、その後電池が非常に高い確率で熱暴走に至る。これに対して、実施例68〜実施例76は、電池温度が低く、電池が熱暴走に至らないことがわかる。さらに、実施例65〜実施例67に関しては、比較例5に対して熱暴走に至る確率が低いことがわかる。
表6に示すように、比較例6は、充電試験中に、電池温度が高温に達し、その後電池が非常に高い確率で熱暴走に至る。これに対して、実施例80〜実施例88は、電池温度が低く、電池が熱暴走に至らないことがわかる。さらに、実施例77〜実施例79に関しては、比較例6に対して熱暴走に至る確率が低いことがわかる。
表7に示すように、比較例7は、充電試験中に、電池温度が高温に達し、その後電池が非常に高い確率で熱暴走に至る。これに対して、実施例92〜実施例100は、電池温度が低く、電池が熱暴走に至らないことがわかる。さらに、実施例89〜実施例91に関しては、比較例7に対して熱暴走に至る確率が低いことがわかる。
表8に示すように、比較例8は、充電試験中に、電池温度が高温に達し、その後電池が非常に高い確率で熱暴走に至る。これに対して、実施例104〜実施例112は、電池温度が低く、電池が熱暴走に至らないことがわかる。さらに、実施例101〜実施例103に関しては、比較例8に対して熱暴走に至る確率が低いことがわかる。
また、予備放電後の実施例65〜実施例112および比較例5〜比較例8の電池を、1Aの定電流で電池電圧が1.0Vになるまで本放電を行い、放電容量を測定した。表5〜表8に測定結果を示す。
表5に示すように、実施例65〜実施例72の放電容量は、比較例5の放電容量に対して、顕著な差をもたない。一方、実施例73〜実施例76の放電容量は、比較例5の放電容量に対して、極端に小さくなっている。
表6に示すように、実施例77〜実施例84の放電容量は、比較例6の放電容量に対して、顕著な差をもたない。一方、実施例85〜実施例88の放電容量は、比較例6の放電容量に対して、極端に小さくなっている。
表7に示すように、実施例89〜実施例96の放電容量は、比較例7の放電容量に対して、顕著な差をもたない。一方、実施例97〜実施例100の放電容量は、比較例7の放電容量に対して、極端に小さくなっている。
表8に示すように、実施例101〜実施例108の放電容量は、比較例8の放電容量に対して、顕著な差をもたない。一方、実施例109〜実施例112の放電容量は、比較例8の放電容量に対して、極端に小さくなっている。
以上の結果より、エチレン共重合樹脂の融点は、通常使用時における電池の放電特性に悪影響を与えず、かつより効果的な大電流遮断機能を得ることができる点から、80℃以上105℃以下が好ましいことがわかる。
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
また、上述の一実施形態では、円筒型のリチウム/二硫化鉄一次電池に対してこの発明を適用した例について示したが、この発明はこの形状の電池に限定されるものではない。例えば、この発明は、筒型に加え、ボタン型、コイン型、角型等の他の形状の非水電解液電池に対しても適用可能である。
さらに、例えば、正極活物質として酸化第二銅、硫化鉄、鉄複合酸化物、三酸化ビスマス等を用い、負極としては、リチウムに加え、ナトリウム等のアルカリ金属やそれらの合金等を用いた場合にも適用可能である。
この発明の一実施形態によるリチウム/二硫化鉄一次電池の構成の一例を示す断面図である。
符号の説明
1・・・電池缶
2・・・正極
3・・・負極
4・・・セパレータ
5・・・絶縁板
6・・・絶縁板
7・・・電池蓋
8・・・安全弁
9・・・封口ガスケット
10・・・正極リード
11・・・負極リード

Claims (4)

  1. 正極合剤を正極集電体に塗布してなる正極と、負極と、有機溶媒に電解質を溶解してなる電解液とを備え、
    上記正極合剤中に、エチレン共重合樹脂を含むことを特徴とする非水電解液電池。
  2. 請求項1において、
    上記正極合剤中に、上記エチレン共重合樹脂を、上記正極合剤に対して、5重量%以上10重量%以下含むことを特徴とする非水電解液電池。
  3. 請求項1において、
    上記エチレン共重合樹脂の融点が80℃以上105℃以下であることを特徴とする非水電解液電池。
  4. 請求項1において、
    上記エチレン共重合樹脂は、エチレン−アクリレート、エチレン−エチルアクリレート、エチレン−メタクリル酸、エチレン−酢酸ビニルの何れか一つを含むことを特徴とする非水電解液電池。

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