JP2007023608A - 河川流量推定システムおよび方法、河川水位推定システムおよび方法、並びにプログラム - Google Patents

河川流量推定システムおよび方法、河川水位推定システムおよび方法、並びにプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】河川観測点における河川流量に対する降雨影響範囲を正確に決定でき、結果として河川流量を精度よく推定できるようにする。
【解決手段】降雨影響範囲決定装置10により、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析して、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定し、推定装置20により、降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川流量データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成し、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定モデルを用いて推定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、河川流量/河川水位推定技術に関し、特に所定の河川観測点における河川流量/河川水位をその上流地域の降水量に基づき推定する河川流量/河川水位推定技術に関する。
河川事業を実施する場合、河川の河川流量や河川水位を正確に把握することが重要となる。例えば河川の環境保全事業において河川の水質汚濁を管理するには、正確な河川流量が必要となる。また河川の治水事業では、河川流域での降雨による河川増水を推定し、適切な整備や対策を行う必要がある。
河川や下水道を含めた水循環を考えた場合、下水道を流れた後に河川に放流される水量は下水処理場などで計測できるが、このような設備を通らずに直接河川に流入する水量を計測あるいは算出することは困難である。また、河川流量を実測する場合、河川の水路断面を予め測量して、所定範囲の流速分布から得た流速と河川水位との関係から河川流量を算出する計測方法(例えば面速式流量計測方法など)があるが、規模の大きい河川では誤差が大きい。また河川水位や流速を実測する必要があり、降雨による河川増水を推定できない。
従来、任意の推定モデルを用いて、河川流域での降水量から河川流量を推定する河川流量推定技術が提案されている(例えば、非特許文献1,2参照)。このような河川流量推定技術では、任意の河川観測点における河川流量を推定する場合、所望の推定河川流量に影響を与える降雨地域すなわち降雨影響範囲を正確に特定する必要がある。従来の河川流量推定技術で用いるモデルの多くは、河川流域の地形標高データから、当該流域の落水線を作成して、降雨影響範囲を決定している。
http://www.pwri.go.jp/team/suiri/yata-r/3-1.htm、「WEPモデル(水循環解析ツール)の紹介」、独立行政法人土木研究所 http://www1.gsi.go.jp/geowww/globalmap-gsi/utilization/pamph-moc/j_comp_assess_4_2.html、「水文環境モデルIISDHM(Institute of Industrial Science Distributed Hydrological Model)」、東京大学生産技術研究所
しかしながら、このような従来技術では、河川流域の地形標高データから当該流域の落水線を作成して降雨影響範囲を決定しているため、地表面以外の経路を経由して流入する雨水については考慮されていない。したがって、降雨影響範囲を正確に決定できず、結果として河川流量を精度よく推定できないないという問題点があった。
河川流量の変動は、地表面を介して中小の支河川から流入する雨水に大きく影響を受けるため、マクロ的には河川流域の地形と降雨影響範囲とが大きな相関関係を持つ。しかし、雨水の流入経路は地表面だけでなく、例えば地下の水脈を介して山尾根の反対にある支河川へ流入する経路、地下の雨水管を介して支河川へ流入する経路、あるいは下水管から下水処理場を介して支河川へ流入する経路など、他の流入経路を経由する場合も多く、このような複雑な流入経路からの雨水については、河川流域の地形標高データから導出することはできない。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、河川観測点における河川流量に対する降雨影響範囲を正確に決定でき、結果として河川流量を精度よく推定できる河川流量推定システム、方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる河川流量推定システムは、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析部と、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定部とを有する降雨影響範囲決定装置と、降雨影響範囲決定装置で決定された降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川流量データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成部と、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定モデルを用いて推定する出力推定部とを有する推定装置とを備えている。
この際、パターンマッチング分析部で、各地区の降水量データと河川流量データとの相関値をそれぞれ算出し、降雨影響範囲決定部で、各地区のうち相関値がしきい値以上となった地区を降雨影響範囲とするようにしてもよい。
また、パターンマッチング分析部で、降水量データとして、各計測時点から任意の積算期間にわたって遡って積算した降水量を各計測時点の降水量とする積算降水量データを積算期間ごとにそれぞれ算出し、降雨影響範囲決定部で、各地区のうち任意の積算期間における相関値がしきい値以上となった地区を降雨影響範囲とするようにしてもよい。
また、パターンマッチング分析部で、降水量データと河川流量データの時間位置を順次シフトさせて両者の相関値をそれぞれ算出し、これら相関値のうち最大相関値を両者の相関値とするようにしてもよい。
また、推定モデル作成部で、任意の時点における特定地区の降水量を含むモデル入力データとこれに対応する時点における河川観測点の河川流量からなるモデル出力データとの組からなる複数の履歴データに基づいて、これら1つ以上の履歴データを代表する入力値と出力値との組からなる複数の事例データを生成し、これら事例データを用いた事例ベースから推定モデルを作成し、出力推定部で、推定条件データと一致または類似する入力値を持つ事例データを推定モデルの事例ベースから検索し、検索した事例データの出力値に基づき当該推定条件データに対応する河川流量を算出するようにしてもよい。
また、出力推定部で、推定河川流量を河川観測点における所定流速で除算して当該推定河川流量に対応する流水断面積を求め、この流水断面積から河川観測点における流水断面積と河川水位との関係を示す関数に基づき河川観測点における河川水位を算出するようにしてもよい。
また、本発明にかかる河川水位推定システムは、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析部と、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定部とを有する降雨影響範囲決定装置と、降雨影響範囲決定装置で決定された降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川水位データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成部と、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川水位を推定モデルを用いて推定する出力推定部とを有する河川水位推定装置とを備えている。
また、本発明にかかる河川流量推定方法は、任意の推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定する河川流量推定システムで用いられる河川流量推定方法であって、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析ステップと、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定ステップと、降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川流量データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成ステップと、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定モデルを用いて推定する出力推定ステップとを備えている。
この際、推定河川流量を河川観測点における所定流速で除算して当該推定河川流量に対応する流水断面積を求め、この流水断面積から河川観測点における流水断面積と河川水位との関係を示す関数に基づき河川観測点における河川水位を算出するステップをさらに備えてもよい。
また、本発明にかかる河川水位推定方法は、任意の推定条件データから河川観測点での推定河川水位を推定する河川水位推定システムで用いられる河川水位推定方法であって、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析ステップと、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定ステップと、降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川水位データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成ステップと、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川水位を推定モデルを用いて推定する出力推定ステップとを備えている。
また、本発明にかかるプログラムは、任意の推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定する河川流量推定システムのコンピュータに、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析ステップと、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定ステップと、降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川流量データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成ステップと、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定モデルを用いて推定する出力推定ステップとを実行させる。
この際、推定河川流量を河川観測点における所定流速で除算して当該推定河川流量に対応する流水断面積を求め、この流水断面積から河川観測点における流水断面積と河川水位との関係を示す関数に基づき河川観測点における河川水位を算出するステップをさらに実行させてもよい。
また、本発明にかかる他のプログラムは、任意の推定条件データから河川観測点での推定河川水位を推定する河川水位推定システムのコンピュータに、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析ステップと、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定ステップと、降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川水位データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成ステップと、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川水位を推定モデルを用いて推定する出力推定ステップとを実行させる。
本発明によれば、降雨影響範囲決定装置により、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとがパターンマッチング分析されて、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲が決定され、推定装置により、降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川流量データとを含む履歴データが用いられて推定モデルが作成され、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川流量が推定モデルを用いて推定される。
また、推定装置により、降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川水位データとが用いられて推定モデルが作成され、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川水位が推定モデルを用いて推定される。
これにより、従来のように河川流域の地形標高データから当該流域の落水線を作成して地表面での流入経路を特定することにより降雨影響範囲を決定する場合と比較して、地表面での流入経路だけでなく、地下の水脈や雨水管、さらには下水管および下水処理場を経由する流入経路など、すべての流入経路を考慮した降雨影響範囲を決定できる。
したがって、河川観測点の河川流量や河川水位に影響を与える特定地区の降水量を過不足なく用いて所望の河川流量や河川水位を推定することができ、極めて高い精度で河川流量や河川水位を推定できる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる河川流量推定システムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる河川流量推定システムの構成を示すブロック図である。
この河川流量推定システムは、所定の推定モデルを用いて、河川流域での降水量から河川観測点における河川流量をリアルタイムで推定するシステムであり、降雨影響範囲決定装置10と推定装置20とから構成されている。
降雨影響範囲決定装置10は、全体として、入力された処理情報に対して演算処理を行うことにより所望の情報を出力するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置からなり、河川流域内の各地区における降水量と河川観測点での河川流量とから、河川観測点での推定河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する機能を有している。
推定装置20は、全体として、入力された処理情報に対して演算処理を行うことにより所望の情報を出力するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置からなり、降雨影響範囲決定装置で決定された降雨影響範囲内の特定地区での降水量の時系列変化を示す降水量データと河川観測点での河川流量を示す河川流量データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する機能と、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定モデルを用いて推定する機能を有している。
本実施の形態は、降雨影響範囲決定装置10により、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析し、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定するようにしたものである。
なお、本発明では、河川流量はそのほとんどが雨水であると見なしている。また、降雨から1ヶ月以上の長期を経て河川に流入する地下水については降雨との因果関係を特定できず、本発明のような十数時間程度の推定スパンでは取り扱う必要がないと判断し処理対象外とした。また、河川表面からの蒸発分については非常に少なく誤差の範囲であることから対象外とした。
[降雨影響範囲決定装置]
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる河川流量推定システムで用いられる降雨影響範囲決定装置の構成について詳細に説明する。
降雨影響範囲決定装置10には、機能部として、入力部11、パターンマッチング分析部12、および降雨影響範囲決定部13が設けられている。
これら機能部は、専用回路部や演算処理部、または記憶部により実現される。このうち、演算処理部はCPUやDSPなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、マイクロプロセッサ内部や周辺回路のメモリあるいは記憶部からプログラムを読み込んで実行することにより各種機能部を実現する。また、記憶部はハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、専用回路部や演算処理部での処理動作に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する。
入力部11は、専用インターフェース回路部からなり、外部の装置または記録媒体から降雨影響範囲処理に用いる処理情報その他のデータを取り込む機能と、取り込んだデータを記憶部(図示せず)へ保存する機能とを有している。
この入力部11で取り込まれる主な処理情報としては、降水量データ41と河川流量データ42とからなる履歴データ40がある。
降水量データ41は、河川観測点30の上流側河川流域の各地区で計測された降水量の時系列変化を示すデータである。これら地区は、河川流域に設定した候補エリアをメッシュ状に区画して設けられている。河川流量データ42は、河川流量推定の対象となる河川の河川観測点30で計測された河川流量の時系列変化を示すデータである。
なお、各地区の降水量データ41は、一般的な気象データを提供する提供機関から所望のパラメータを入手すればよく、例えば気象庁からは1時間周期で、また河川情報センターからは10分周期でそれぞれ提供されている。また、河川流量データ42は、面速式流量計測方法など公知の計測方法で計測したものを用いればよい。
パターンマッチング分析部12は、演算処理部からなり、入力部11により取り込まれた各地区の降水量データと河川流量データとの相関値をそれぞれ算出することにより両者をパターンマッチング分析する機能と、この際、降水量データとして各計測時点から任意の積算期間にわたって遡って積算した降水量を各計測時点の降水量とする積算降水量データを積算期間ごとにそれぞれ算出する機能と、降水量データと河川流量データの時間位置を順次シフトさせて両者の相関値をそれぞれ算出しこれら相関値のうち最大相関値を両者の相関値とする機能とを有している。
降雨影響範囲決定部13は、演算処理部からなり、各地区のうちパターンマッチング分析部12で算出された相関値がしきい値以上となった地区を降雨影響範囲とする機能と、各地区のうち任意の積算期間における相関値がしきい値以上となった地区を降雨影響範囲とする機能と、決定した降雨影響範囲を構成する各地区すなわち特定地区を示す識別情報を降雨影響範囲決定情報43として出力する機能とを有している。
[推定装置]
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置の構成について詳細に説明する。
推定装置20には、入力部21、推定モデル作成部23、適応学習部25、および出力推定部26が設けられている。
これら機能部は、専用回路部や演算処理部、または記憶部により実現される。このうち、演算処理部はCPUやDSPなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、マイクロプロセッサ内部や周辺回路のメモリあるいは記憶部からプログラムを読み込んで実行することにより各種機能部を実現する。また、記憶部はハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、専用回路部や演算処理部での処理動作に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する。
入力部21は、専用インターフェース回路部からなり、外部の装置または記録媒体から推定モデル作成処理や河川流量推定処理に用いる処理情報その他のデータを取り込む機能と、取り込んだデータを記憶部(図示せず)へ保存する機能とを有している。
この入力部21で取り込まれる主な処理情報としては、降雨影響範囲決定装置10から出力された降雨影響範囲決定情報43、推定モデル作成処理に用いる履歴データ50、および河川流量推定処理に用いる推定条件データ60がある。
履歴データ50は、気象データ51、時間データ52、および河川流量データ53から構成されている。
気象データ51は各地区において計測された降水量、気温、天候などを示すデータであり、推定モデル作成時にモデル入力データとして用いられる。時間データ52は、河川流量データ53が得られた時刻、日種別(曜日や祭日など)、季節などを示すデータであり、推定モデル作成時にモデル入力データとして用いられる。河川流量データ53は、河川流量推定の対象となる河川の河川観測点30で計測された河川流量時系列変化を示すデータであり、推定モデル作成時にモデル出力データとして用いられる。
推定条件データ60は、推定装置20で推定する河川流量を規定する変数値であり、気象パラメータ61と時間パラメータ62から構成される。
気象パラメータ61は、履歴データ50の気象データ51に対応するものであり、河川流量の推定に用いる特定地区で計測されたあるいは予報された降水量、気温、さらには天候などの気象環境に関する情報が用いられる。
時間パラメータ62は、履歴データ50の時間データ52に対応するものであり、河川流量を推定する日の種別、例えば曜日、平日、休日、旧前日、祭日、年末年始、稼働日などを示す日種別情報のほか、時刻情報やその日が属する季節を示す季節情報などの時間に関する情報が、単独であるいは組み合わせて用いられる。
推定モデル作成部23は、演算処理部からなり、入力部21で取り込まれて記憶部へ保存された履歴データ22に基づいて、推定条件データ60に対応する推定河川流量を推定するための非線形ブラックボックス推定モデルからなる推定モデル24を作成する機能と、作成した推定モデル24を記憶部へ保存する機能とを有している。
非線形ブラックボックス推定モデルは、対象の詳細な構成を数式化して同定する物理モデルとは異なり、対象の詳細な構成を把握することなく、対象の入出力データに基づき同定する推定モデルである。推定モデル作成部23で作成する推定モデル24の構成とその作成技術については、非線形ブラックボックス推定モデルに関する公知のモデリング技術を利用すればよい。
このような非線形のブラックボックス推定モデルには、事例ベース、ファジー推論ベース、さらにはニューラルネットワークなどを用いたモデルがある。特に、事例ベース推論モデルでは、位相(トポロジー)の概念に基づき、システムの入出力関係の連続性が成り立つ一般的な対象に適用可能な公知のモデリング技術である(例えば、特許2632117号公報など参照)。本実施の形態では、この事例ベースを推定モデル24として用いる場合を例として説明する。
適応学習部25は、演算処理部からなり、河川観測点30で新たに計測された河川流量を含む履歴データ50に基づき、推定モデル24を改訂する機能を有している。
推定モデル24として事例ベースを用いた場合、適応学習部25は、事例ベースを構成する各事例データのうち、これら履歴データ50に対応する事例データの出力値を、この履歴データ50の出力値により所定の比率で変更する。なお、履歴データ50に対応する事例データが存在しなかった場合、適応学習部25は、履歴データ50を新たな事例データとして推定モデル24へ追加する。
出力推定部26は、演算処理部からなり、入力部21から入力された特定地区における新たな降水量を含む推定条件データ60から、河川観測点30での推定河川流量70を、推定モデル作成部23で作成された推定モデル24を用いて推定出力する機能を有している。
推定モデル24として事例ベースを用いた場合、出力推定部26は、事例ベースを構成する各事例データから推定条件データ60に類似する類似事例データを検索する。そして、検索された1つ以上の類似事例データから推定条件データ60に対応する推定河川流量70を推定し、例えば60分後〜120分後の推定河川流量70を出力する。
[降雨影響範囲決定動作]
次に、図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる降雨影響範囲決定装置での降雨影響範囲決定動作について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる降雨影響範囲決定装置での降雨影響範囲決定処理を示すフローチャートである。
降雨影響範囲決定装置10の演算処理部(図示せず)は、オペレータの推定要求操作に応じて、図2の降雨影響範囲決定処理を開始する。
まず、入力部11は、外部装置や記録媒体、あるいはオペレータの入力操作に応じて履歴データ40を取り込み、記憶部へ保存する(ステップ100)。図3は、履歴データとして取り込まれる降水量データ41であり、各地区での降水量の時系列変化を示している。図4は、履歴データとして取り込まれる河川流量データ42であり、河川観測点での河川流量の時系列変化を示している。
次に、パターンマッチング分析部12は、予め積算時間として指定されている例えば1時間〜16時間のいずれか未処理の積算期間Tを選択し(ステップ101)、入力部11で取り込んだ河川流量データ42について、各計測時点tにおける河川流量Q(t)から積算期間Tにわたって遡って積算した河川流量Qa(T,t)を各計測時点tの河川流量とする積算河川流量データQa(T)を算出する(ステップ102)。
図5は、積算河川流量データを示す説明図であり、図5(a)は履歴データ40として入力された河川流量データ42を示しており、1時間あたりの河川流量(T=1時間と同じ)から構成されている。図5(b)は積算時間T=3時間のときに算出された積算河川流量データを示しており、計測時点tごとに過去3時間あたりの河川流量が合計された積算河川流量から構成されている。なお、図5(a)のように、入力された河川流量データ42の単位計測期間(1時間)と積算時間(T=1時間)が一致する場合、積算処理を省略して河川流量データ42をそのまま積算河川流量として利用すればよい。
続いて、パターンマッチング分析部12は、河川観測点30の河川流域に設定した候補エリア内の各地区のうち、いずれか未処理の地区Pを選択し(ステップ103)、前述した河川流量の場合と同様に、当該地区Pの降水量データ41について、各計測時点tにおける降水量W(P,t)から積算期間Tにわたって遡って積算した降水量Wa(P,T,t)を各計測時点tの降水量とする積算降水量データWa(P,T)を算出する(ステップ104)。
次に、パターンマッチング分析部12は、算出した積算河川流量データQa(T)と積算降水量データWa(P,T)のパターンマッチング処理を行い、そのマッチングの度合いを示す指標として、両者の最大相関値Cmax(P,T)を算出する(ステップ105)。この際、図6に示すように、いずれか一方、例えば積算降水量データWa(T,P)を時間軸上で順次シフトさせて両者の相関値C(T,P)をそれぞれ求め、その最大相関値Cmax(P,T)を両者の相関値として選択する。また、分析する積算河川流量データQa(T)と積算降水量データWa(P,T)としては、数年間にわたって計測した河川流量および降水量のデータ列をそれぞれパターンとして用いる。
パターンマッチング分析部12は、このようにして、任意の区間Pについてパターンマッチング処理を行った後、河川観測点30の河川流域に設定した候補エリア内のすべての地区についてパターンマッチング処理が終了したか判断し(ステップ106)、未処理の地区が存在する場合には(ステップ106:NO)、ステップ103へ戻って未処理の地区に対するパターンマッチング処理を繰り返す。
一方、すべての地区に対するパターンマッチング処理が終了した場合(ステップ106:YES)、各積算期間のすべてについてパターンマッチング処理が終了したか判断し(ステップ107)、未処理の積算期間が存在する場合には(ステップ107:NO)、ステップ101へ戻って未処理の積算期間に対するパターンマッチング処理を繰り返す。
そして、すべての積算期間に対するパターンマッチング処理が終了した場合(ステップ107:YES)、各地区のうち、任意の積算期間Tでの最大相関値Cmax(P,T)がしきい値Cth以上となった地区Pを、河川観測点30での推定河川流量に影響を与える降雨影響範囲を構成する特定地区として選択し(ステップ108)、これら特定地区を示す識別情報を降雨影響範囲決定情報43として推定装置20へ出力し(ステップ109)、一連の降雨影響範囲決定処理を終了する。
図7は、積算期間T=1時間の場合の各地区の相関値マップである。図8は、積算期間T=15時間の場合の各地区の相関値マップである。この場合、候補エリア31内にメッシュ状設けた地区ごとに、それぞれの最大相関値が色でランク分け表示されている。
特に、図7の場合、最大相関値の最高ランク地区32が河川観測点30の付近に集中しているが、ある程度距離のある地区も含まれていたり、距離的に近い地区でも影響の少ない地区も存在しており、複雑な流入経路の存在が推察できる。また、図8の場合、最大相関値の最高ランク地区32が河川観測点30から離れた地域(山間部)に分散して一様に分布していないことから、山尾根を超える地下水脈など、複雑な流入経路の存在が推察できる。
図9は、パターンマッチング分析結果を示す降雨影響範囲マップである。図7や図8に示した各積算時間の相関値マップから、その最高ランク地区32を特定地区としてそれぞれ選択し、各積算時間の特定地区を合成(論理和)することにより降雨影響範囲33を決定した場合が示されている。
[推定モデル作成動作]
次に、図10および図11を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での推定モデル作成動作について説明する。図10は、本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での推定モデル作成処理を示すフローチャートである。図11は、本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での推定モデル作成動作にかかるフロー図である。
推定装置20の演算処理部(図示せず)は、オペレータの推定モデル作成要求操作に応じて、図10の推定モデル作成処理を開始する。ここでは、1つ以上の特定地区の降水量および気温とそのときの曜日をモデル入力データとし、河川観測点30で計測された河川流量をモデル出力データとして、推定モデルを作成する場合を例として説明する。
また、本実施の形態では、任意の気象パラメータや時間パラメータからなる推定条件データから河川流量を推定するブラックボックス推定モデルとして、事例ベースを用いる場合を例として説明する。
まず、入力部21は、外部装置や記録媒体、あるいはオペレータの入力操作に応じて、各地区に関する気象データ51、時間データ52、および河川流量データ53からなる履歴データ50を取り込み、記憶部(図示せず)へ履歴データ22として保存する(ステップ110)。また、入力部21は、降雨影響範囲決定装置10からの降雨影響範囲決定情報43を取り込み、記憶部へ保存する。
次に、推定モデル作成部23は、記憶部の降雨影響範囲決定情報43に基づいて、履歴データ22の気象データ51のそれぞれに付与されている当該地区の識別情報を参照して降雨影響範囲33を構成する特定地区に関する降水量データと気温データを気象データ51から選択し、この降水量が計測された曜日データを時間データ52から選択するとともに、履歴データ22の河川流量データ53を選択する(ステップ111)。
続いて、推定モデル作成部23は、各特定地区の降水量(時系列データ)、気温(時系列データ)、および曜日からなるモデル入力データ27Aと、河川流量からなるモデル出力データ27Bとの組(履歴)27Cを、それぞれの時刻ごとに作成する。
例えば、図11では、時刻T0〜T10における特定地区A〜Nのぞれぞれの降水量(時系列データ)および気温(時系列データ)と時刻T10における曜日とからなるモデル入力データと、時刻T10における河川観測点30での河川流量とから1つの組27Cが作成されている。また、時刻T0〜T10から単位時間だけシフトした時刻T1〜T11における特定地区A〜Nのぞれぞれの降水量(時系列データ)および気温(時系列データ)と時刻T11における曜日とからなるモデル入力データ27Aと、時刻11における河川観測点30での河川流量とから次の組27Cが作成されている。
なお、上記では、降水量(時系列データ)および気温(時系列データ)の最後尾データの時刻と河川流量の時刻とが一致している場合を例として説明したが、降水量(時系列データ)および気温(時系列データ)と河川流量との時間位置関係は一致している必要はなく、両者に時間的なずれがあってもよい。
例えば、特定地区ごとに、その降水量データ(時系列データ)や気温(時系列データ)と河川流量データ(時系列データ)の時間位置を順次シフトしてそれぞれ相関値を求め、最大相関値が得られた際の時間シフト量に基づき、当該特定地区の降水量と河川流量を対応させて組27Cを作成してもよい。これにより、より精度の高い推定モデルを作成することができる。
また、降雨影響範囲33を構成するすべての特定地区をモデル作成の対象としてもよいが、これら特定地区のうちから選択した1つ以上の地区をモデル作成の対象としてもよい。例えば、各特定地区の降水量と河川流量との相関値を求め、その相関値の大きい特定地区をモデル作成の対象とすればよい。これにより、モデル入力データ数さらには推定条件データ数を削減できるため推定モデルの規模を縮小でき、モデル作成時さらにはモデル推定時の処理負担を大幅に軽減できるとともに、推定誤差の要因となる地区のデータを排除することができ、より精度の高い推定モデルを作成することができる。
このようにして組27Cをそれぞれ作成した後、推定モデル作成部23は、これら1つ以上の組(履歴)27Cを代表する入力値と出力値との組からなる複数の事例データを生成し、これら事例データを用いた事例ベースから推定モデル24を作成し(ステップ112〜114)、一連の推定モデル作成処理を終了する。なお、事例ベース作成の詳細な処理手順は以下で説明する。
[事例ベース]
次に、図12および図13を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置で推定モデルとして用いる事例ベースについて説明する。図12は、本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置で用いる事例ベースの作成を示す説明図である。図13は、事例ベースにおける類似度の定義を示す説明図である。
事例ベース推論(CBR:Case-Based Reasoning)とは、入出力関係の定性的な意味づけを行うことなく、学習データから所定のアルゴリズムに則って入出力間の関係付けを行うブラックボックスモデリングの1つであり、与えられた問題に類似する過去の事例を直接利用して所望の解を導く手法である。
本実施の形態では、このような事例ベース推論のうち、TCBM(Topological Case-Based Modeling)を用いる場合を例として説明する。
TCBMは、推論の対象における入出力関係に連続性が成り立つことを前提条件として、事例ベース推論の枠組みを用いるモデリング手法であり、その特徴は、数学の位相論(トポロジー)における連続写像の概念に基づいて、出力の解像度すなわち出力誤差許容幅に応じた事例ベースと、各事例間の関係を示す類似度とを定義した点にある。
図12(a)に示すように、対象から過去に得られた履歴データとして、モデル入力データx1,x2とモデル出力データyとの組が複数得られた場合、これら履歴データは、図12(b)に示すように入力空間に配置される。
ここで、事例ベースに求められる推定誤差すなわち出力誤差許容幅εが与えられた場合、図12(c)に示すように、この出力誤差許容幅εを用いて入力空間をメッシュと呼ばれる部分区間に分割して量子化することにより、出力近傍の大きさに対応する入力近傍すなわち事例を定義できる。
この際、図12(d)に示すように、同一メッシュに複数の履歴データが振り分けられた場合、当該事例を代表する出力値として各履歴データのモデル出力データyの平均値が用いられるとともに、当該事例を代表する入力値としてそのメッシュの中央値が用いられ、各履歴データが1つの事例として統合される。
これにより、すべての事例について、当該事例のメッシュに振り分けられた各履歴データのモデル出力データと当該事例の出力値との誤差が、出力誤差許容幅εを満足することになる。
また、類似度とは、事例ベースが持つ入力空間に設けられた各メッシュのうち、各事例が新規の推定条件すなわち入力データに対応するメッシュとどの程度の類似性を有しているか示す尺度である。
図13では、入力データに対応する中央メッシュに事例が存在すれば、その事例と入力データとは「類似度=0」であると定義されている。また、中央メッシュの1つ隣に存在する事例とは「類似度=1」となり、以降、中央メッシュから1メッシュずつ離れていくごとに類似度が1ずつ増加していく。
したがって、推定を行う場合、類似度iの事例による推定値は、(i+1)×出力許容幅以内の精度を持つことになる。このとき、推定を行う入力値に対してうまく両側の事例が使用された場合は、(i+1)×出力許容幅よりも良い精度の出力値である場合が予想される。また、推定を行う値に対して片側の事例のみが使用された場合は、(i+1)×出力許容幅程度の精度であることが、入出力の連続性のもとに予想される。
推定モデル作成部23では、このようなモデリング手法を用いて、各組27Cをそのモデル入力データ27Aの降水量、気温、曜日の値に基づき入力空間にプロットし(図10:ステップ112)、出力誤差許容幅εに応じた大きさのメッシュで入力空間を分割して量子化する(ステップ113)。
そして、各メッシュのうち1つ以上の履歴データが振り分けられたメッシュを事例として選択し、そのメッシュ内の履歴データを代表する入出値および出力値を算出して、これら入出値および出力値の組からなる事例データから事例ベースを構成し(ステップ114)、推定モデル24として記憶部へ保存する。
[河川流量推定動作]
次に、図14および図15を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での河川流量推定動作について説明する。図14は、本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での河川流量推定処理を示すフローチャートである。図15は、本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での河川流量推定動作にかかるフロー図である。
推定装置20の演算処理部(図示せず)は、オペレータの推定要求操作に応じてあるいは定期的に、図14の河川流量推定処理を開始する。
まず、入力部21は、外部装置や記録媒体、あるいはオペレータの入力操作に応じて、各特定地区で計測されまたは各特定地区でのデータとして予報された降水量(時系列データ)や気温(時系列データ)を含む気象パラメータ61および推定対象時点の曜日を含む時間パラメータ62からなる推定条件データ60を取り込み、記憶部(図示せず)へ保存する(ステップ120)。
出力推定部26は、記憶部に保存されている推定条件データ60を読み込み、記憶部の推定モデル24の事例ベースから、推定条件データ60と類似する入力値の事例データを検索する(ステップ121)。
そして、検索により得られた類似事例データと推定条件データ60との類似度に基づいて、各類似事例データの出力値を演算することにより推定条件データ60に対する河川流量を推定し(ステップ122)、この河川流量を推定条件データ60に対する推定河川流量70として出力して(ステップ123)、一連の河川流量推定処理を終了する。
例えば、図15では、時刻T90〜T100における、特定地区A〜Nのぞれぞれの降水量(時系列データ)および気温(時系列データ)と時刻T100における曜日とからなる推定条件データ60が取り込まれる。そして、この推定条件データ60と類似する入力値を持つ事例データが類似事例データとして推定モデル24の事例ベースから検索され、検索された類似事例データの出力値から時刻T100における河川観測点30での河川流量70が算出される。
図16は、本実施の形態にかかる推定装置による河川流量推定結果を示すグラフである。推定河川流量70は、任意の特定地区で計測された降水量71に基づき推定モデル24を用いて推定した河川観測点30での河川流量である。実際に河川観測点30で実測した実測河川流量72と推定河川流量70とがほとんど重なってプロットされており、極めて高い精度で河川流量が推定されていることがわかる。
なお、本実施の形態にかかる推定モデル24は、入力された推定条件データ60からリアルタイムで河川流量を推定するモデルである。すなわち所望時刻における河川流量を、その所望時刻までの所定期間に計測された各地区の降水量や気温から推定する。したがって、将来の所望時刻における河川流量を予測する場合、その所望時刻までの所定期間における各地区の降水量や気温が必要となる。このような場合は、一般的な気象データを提供する提供機関から予報として提供されているデータを用いればよい。
このように、本実施の形態は、降雨影響範囲決定装置10により、河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析し、この分析結果に基づき河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定するようにしたので、支河川への雨水の流入経路を明確化することなく、河川観測点における河川流量に対する降雨影響範囲を決定できる。
これにより、従来のように河川流域の地形標高データから当該流域の落水線を作成して地表面での流入経路を特定することにより降雨影響範囲を決定する場合と比較して、地表面での流入経路だけでなく、地下の水脈や雨水管、さらには下水管および下水処理場を経由する流入経路など、すべての流入経路を考慮した降雨影響範囲を決定できる。
したがって、推定装置20により、降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと河川観測点の河川流量データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成し、特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定モデルを用いて推定することにより、河川観測点の河川流量に影響を与える特定地区の降水量を過不足なく用いて所望の河川流量を推定することができ、極めて高い精度で河川流量を推定できる。
また、本実施の形態では、パターンマッチング分析の際、各地区の降水量データと河川流量データとの相関値をそれぞれ算出し、各地区のうち相関値がしきい値以上となった地区を降雨影響範囲とするようにしたので、複雑な数式や処理を用いることなく、高い精度で降雨影響範囲を決定できる。
また、パターンマッチング分析の際、降水量データとして、各計測時点から任意の積算期間にわたって遡って積算した降水量を各計測時点の降水量とする積算降水量データを積算期間ごとにそれぞれ算出し、各地区のうち任意の積算期間における相関値がしきい値以上となった地区を降雨影響範囲とするようにしたので、特定地区から河川観測点までの雨水到達の遅れとその積分効果を考慮して降雨影響範囲を決定できる。
また、パターンマッチング分析の際、降水量データと河川流量データの時間位置を順次シフトさせて両者の相関値をそれぞれ算出し、これら相関値のうち最大相関値を両者の相関値とするようにしたので、特定地区から河川観測点までの流入経路やその流入経路による雨水到達の遅れを詳細に把握するための情報および分析処理を必要とすることなく、降水量および河川流量のみを用いて降雨影響範囲を決定できる。
また、推定装置において、任意の時点における特定地区の降水量を含むモデル入力データとこれに対応する時点における河川観測点の河川流量からなるモデル出力データとの組からなる複数の履歴データに基づいて、これら1つ以上の履歴データを代表する入力値と出力値との組からなる複数の事例データを生成し、これら事例データを用いた事例ベースから推定モデルを作成し、推定条件データと一致または類似する入力値を持つ事例データを推定モデルの事例ベースから検索し、検索した事例データの出力値に基づき当該推定条件データに対応する河川流量を算出するようにしている。
これにより、過去に経験した事例(問題と解答)を事例ベースとして蓄積し、システムの入出力関係を内包する入出力事例を用いているため、入出力関係を表すための特殊なモデルを必要としない。したがって、過去に計測した履歴データを用意するだけで、その履歴データに起因する推定精度を持つ推定モデルを容易に作成することができる。
また、検索した類似事例の出力値(解答)から、新たに入力された推定条件(問題)に対する推定河川流量(解答)を算出しているため、推定条件と一致する事例データが存在しない場合でも、類似事例の類似度に応じた推定精度で、所望の推定河川流量を得ることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる河川水位推定システムについて説明する。
前述の第1の実施の形態では、各特定地区で計測された降水量データを含むモデル入力データ27Aと河川観測点30で計測された河川流量データからなるモデル出力データ27Bとを用いて推定モデル24を作成し、この推定モデル24を用いて任意の推定条件データ60に対する推定河川流量70を推定する場合を例として説明した。
河川事業を行う際、河川流量を必要とするが多いが、河川水位を必要とすることもある。例えば、河川の治水事業では、河川流域での降雨による河川増水を推定し、適切な整備や対策を行う必要があるため、河川流量だけでなく河川観測点における河川水位を基準として事業を実施することも多い。
本実施の形態は、前述の第1の実施の形態にかかる推定装置20において、河川流量に代えて河川水位を用いることにより、河川観測点30での河川流量ではなくその河川水位を推定するようにしたものである。なお、本実施の形態にかかる河川水位推定システムの構成および動作については、前述した第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
本実施の形態にかかる推定装置20は、河川流量データ53に代えて河川観測点30における河川水位の時系列変化を示す河川水位データを用いた履歴データ50に基づき推定モデル24を作成し、推定条件データ60に基づき河川観測点30における所望の推定河川水位を推定する。
これにより、河川観測点の河川流量に影響を与える特定地区の降水量を過不足なく用いて所望の河川水位を推定することができ、極めて高い精度で河川水位を推定できる。
また、推定モデル24として、河川流量推定用の推定モデルと河川水位推定用の推定モデルを作成してもよく、河川観測点における河川流量と河川水位の両方を推定できる。
なお、降雨影響範囲決定装置10では、河川流量データ43に代えて河川観測点30における河川水位の時系列変化を示す河川水位データを用いた履歴データ40に基づき降雨影響範囲を決定するようにしてもよい。
[第3の実施の形態]
次に、図17および図18を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる河川流量推定システムについて説明する。図17は、河川水位と河川断面形状の関係を示す説明図である。図18は、河川水位と流水断面積との関係を示す説明図である。
前述の第2の実施の形態では、推定装置20において、河川流量に代えて河川水位を用いることにより、河川観測点30での河川流量ではなくその河川水位を推定する場合について説明した。
本実施の形態では、第1の実施の形態にかかる推定装置20で推定された推定河川流量70から、河川観測点30における河川水位を算出する場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる河川流量推定システムの構成および動作については、前述した第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
図17に示すように、河川水位Hは川底から水面までの高さで定義される。このため、川底の断面形状を予め測量しておけば、図18に示すように、河川を流れる水の流水断面積Sと河川水位Hとの関係を関数Fで算出できる。
一方、流水断面積Sは、単位時間あたりの河川流量Qをそのときの流速Vで除算することにより求められる。
本実施の形態にかかる推定装置20は、出力推定部26において、第1の実施の形態と同様にして推定河川流量70を推定した後、この推定河川流量70を流速Vで除算して流水断面積Sを求め、流水断面積Sと河川水位Hとの関係を示す関数Fを用いて流水断面積Sに対応する河川水位Hを算出する。なお、流速Vや関数Fについては、予め計測して記憶部に保存しておけばよい。特に流速Vは河川の傾斜に大きく依存するため、河川観測点30に固有の値を用いることもできる。
これにより、第1の実施の形態にかかる河川流量推定システムを大幅に変更することなく、高い精度で河川水位を推定できる。
図19は、本実施の形態での河川水位算出に用いた河川流量データであり、図20は、本実施の形態により図19の河川流量データから算出した河川水位データである。
[実施の形態の拡張]
以上の各実施の形態では、降雨影響範囲決定装置10と推定装置20とが別個の装置で構成されている場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば1つのパーソナルコンピュータでこれら降雨影響範囲決定装置10と推定装置20を実現してもよい。
あるいは、ネットワークを介して1つの降雨影響範囲決定装置10と複数の推定装置20とを接続し、1つの降雨影響範囲決定装置10で、各推定装置20が推定処理の対象とする個々の河川流域について、それぞれの最適な降雨影響範囲を決定するようにしてもよい。これにより、効率よく河川流量推定システムや河川水位推定システムを構築することができる。
また、推定装置20における推定モデル作成時に、推定モデル作成部23により、降雨影響範囲決定情報43で指定された特定地区の履歴データを選択する場合を例として説明したが、入力部21で全地区の履歴データ50を取り込んだ際に、各履歴データに付与されている当該地域の識別情報を参照して降雨影響範囲決定情報43で指定された特定地区の履歴データを選択してもよい。
また、入力部21で履歴データ50を取り込む際、外部装置や記録媒体から各履歴データに付与されている当該地域の識別情報を参照して降雨影響範囲決定情報43で指定された特定地区の履歴データを選択して取り込んでもよい。あるいは履歴データ50として降雨影響範囲決定情報43で指定された特定地区の履歴データ50のみを外部装置で選択して推定装置20へ入力するようにしてもよい。
また、各地区については、河川流域内の各計測ポイントに対応して設けてもよいが、複数の計測ポイントを統合して設けてもよい。この場合は、統合の対象となる計測ポイントで計測された降水量や気温の統計値、例えば平均値や代表値などそれぞれ算出し、当該地区の降水量や気温として用いればよい。
また、以上の各実施の形態では、降水量に加えて気温や曜日をモデル入力データとして推定モデルを作成する場合を例として説明したが、河川流量に対する影響が最も大きいのは降水量である。したがって、モデル入力データとして降水量だけ用いた場合でも、河川流量を推定できる。なお、気温や曜日、さらには推定実施時点までの期間における河川観測点20における河川流量の時系列データなど、他のデータをモデル入力データとして加えることにより、より精度の高い河川流量推定を実現できる。
また、以上の各実施の形態では、降雨影響範囲決定装置10での降雨影響範囲決定動作と推定装置20での推定動作とが個別に実行される場合を例として説明したが、これら動作を連携させてもよい。
例えば、1回あるいは複数回の推定動作が終了するだびに、推定装置20の出力推定部26から降雨影響範囲決定装置10へ降雨影響範囲決定動作の開始を指示するようにしてもよい。
あるいは、適用学習部25により、推定値と後から入力された対応する実測値とを比較して推定誤差を求め、この推定誤差がしきい値を上回った時点で降雨影響範囲決定装置10へ降雨影響範囲決定動作の開始を指示するようにしてもよい。
これにより、常に正確な降雨影響範囲に基づき河川流量や河川水位を予測することができ、高い推定精度が得られる。
本発明の第1の実施の形態にかかる河川流量推定システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる降雨影響範囲決定装置での降雨影響範囲決定処理を示すフローチャートである。 履歴データとして用いる降水量データ例である。 履歴データとして用いる河川流量データ例である。 積算河川流量データを示す説明図である。 パターンマッチング分析を示す説明図である。 各地区の相関値マップ例(積算期間T=1時間)である。 各地区の相関値マップ例(積算期間T=16時間)である。 パターンマッチング分析結果を示す降雨影響範囲マップである。 本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での推定モデル作成処理を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での推定モデル作成動作を示すフロー図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置で用いる事例ベースの作成を示す説明図である。 事例ベースにおける類似度の定義を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での河川流量推定処理を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態にかかる推定装置での河川流量推定動作を示すフロー図である。 本実施の形態にかかる推定装置による河川流量推定結果を示すグラフである。 河川水位と河川断面形状の関係を示す説明図である。 河川水位と流水断面積との関係を示す説明図である。 第3の実施の形態での河川水位算出に用いる河川流量データ例である。 第3の実施の形態により図19の河川流量データから算出した河川水位データ例である。
符号の説明
10…降雨影響範囲決定装置、11…入力部、12…パターンマッチング分析部、13…降雨影響範囲決定部、20…推定装置、21…入力部、22…履歴データ、27A…モデル入力データ、27B…モデル出力データ、27C…組、23…推定モデル作成部、24…推定モデル、25…適応学習部、26…出力推定部、30…河川観測点、31…候補エリア、32…特定地区、33…降雨影響範囲、40…履歴データ、41…降水量データ、42…河川流量データ、43…降雨影響範囲決定情報、50…履歴データ、51…気象データ、52…時間データ、53…河川流量データ、60…推定条件データ、61…気象パラメータ、62…時間パラメータ、70…推定河川流量、71…降水量、72…実測河川流量。

Claims (13)

  1. 河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析部と、この分析結果に基づき前記河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定部とを有する降雨影響範囲決定装置と、
    前記降雨影響範囲決定装置で決定された降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと前記河川観測点の河川流量データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成部と、前記特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから前記河川観測点での推定河川流量を前記推定モデルを用いて推定する出力推定部とを有する推定装置と
    を備えることを特徴とする河川流量推定システム。
  2. 請求項1に記載の河川流量推定システムにおいて、
    前記パターンマッチング分析部は、前記各地区の降水量データと前記河川流量データとの相関値をそれぞれ算出し、
    前記降雨影響範囲決定部は、前記各地区のうち前記相関値がしきい値以上となった地区を降雨影響範囲とする
    ことを特徴とする河川流量推定システム。
  3. 請求項1に記載の河川流量推定システムにおいて、
    前記パターンマッチング分析部は、前記降水量データとして、各計測時点から任意の積算期間にわたって遡って積算した降水量を各計測時点の降水量とする積算降水量データを積算期間ごとにそれぞれ算出し、
    前記降雨影響範囲決定部は、前記各地区のうち任意の積算期間における相関値がしきい値以上となった地区を降雨影響範囲とする
    ことを特徴とする河川流量推定システム。
  4. 請求項2または請求項3に記載の河川流量推定システムにおいて、
    前記パターンマッチング分析部は、前記降水量データと前記河川流量データの時間位置を順次シフトさせて両者の相関値をそれぞれ算出し、これら相関値のうち最大相関値を両者の相関値とすることを特徴とする河川流量推定システム。
  5. 請求項1に記載の河川流量推定システムにおいて、
    前記推定モデル作成部は、任意の時点における前記特定地区の降水量を含むモデル入力データとこれに対応する時点における前記河川観測点の河川流量からなるモデル出力データとの組からなる複数の履歴データに基づいて、これら1つ以上の履歴データを代表する入力値と出力値との組からなる複数の事例データを生成し、これら事例データを用いた事例ベースから前記推定モデルを作成し、
    前記出力推定部は、前記推定条件データと一致または類似する入力値を持つ事例データを前記推定モデルの事例ベースから検索し、検索した事例データの出力値に基づき当該推定条件データに対応する河川流量を算出する
    ことを特徴とする河川流量推定システム。
  6. 請求項1に記載の河川流量推定システムにおいて、
    前記出力推定部は、前記推定河川流量を前記河川観測点における所定流速で除算して当該推定河川流量に対応する流水断面積を求め、この流水断面積から前記河川観測点における流水断面積と河川水位との関係を示す関数に基づき前記河川観測点における河川水位を算出することを特徴とする河川流量推定システム。
  7. 河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析部と、この分析結果に基づき前記河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定部とを有する降雨影響範囲決定装置と、
    前記降雨影響範囲決定装置で決定された降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと前記河川観測点の河川水位データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成部と、前記特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから前記河川観測点での推定河川水位を前記推定モデルを用いて推定する出力推定部とを有する河川水位推定装置と
    を備えることを特徴とする河川水位推定システム。
  8. 任意の推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定する河川流量推定システムで用いられる河川流量推定方法であって、
    河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析ステップと、
    この分析結果に基づき前記河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定ステップと、
    前記降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと前記河川観測点の河川流量データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成ステップと、
    前記特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから前記河川観測点での推定河川流量を前記推定モデルを用いて推定する出力推定ステップと
    を備えることを特徴とする河川流量推定方法。
  9. 請求項8に記載の河川流量推定方法において、
    前記推定河川流量を前記河川観測点における所定流速で除算して当該推定河川流量に対応する流水断面積を求め、この流水断面積から前記河川観測点における流水断面積と河川水位との関係を示す関数に基づき前記河川観測点における河川水位を算出するステップをさらに備えることを特徴とする河川流量推定方法。
  10. 任意の推定条件データから河川観測点での推定河川水位を推定する河川水位推定システムで用いられる河川水位推定方法であって、
    河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析ステップと、
    この分析結果に基づき前記河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定ステップと、
    前記降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと前記河川観測点の河川水位データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成ステップと、
    前記特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから前記河川観測点での推定河川水位を前記推定モデルを用いて推定する出力推定ステップと
    を備えることを特徴とする河川水位推定方法。
  11. 任意の推定条件データから河川観測点での推定河川流量を推定する河川流量推定システムのコンピュータに、
    河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析ステップと、
    この分析結果に基づき前記河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定ステップと、
    前記降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと前記河川観測点の河川流量データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成ステップと、
    前記特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから前記河川観測点での推定河川流量を前記推定モデルを用いて推定する出力推定ステップと
    を実行させるプログラム。
  12. 請求項11に記載のプログラムにおいて、
    前記推定河川流量を前記河川観測点における所定流速で除算して当該推定河川流量に対応する流水断面積を求め、この流水断面積から前記河川観測点における流水断面積と河川水位との関係を示す関数に基づき前記河川観測点における河川水位を算出するステップをさらに実行させるプログラム。
  13. 任意の推定条件データから河川観測点での推定河川水位を推定する河川水位推定システムのコンピュータに、
    河川流域内の各地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと任意の河川観測点での河川流量の時系列変化を示す河川流量データとをパターンマッチング分析するパターンマッチング分析ステップと、
    この分析結果に基づき前記河川観測点における河川流量に影響する降雨影響範囲を決定する降雨影響範囲決定ステップと、
    前記降雨影響範囲内の任意の特定地区における降水量データと前記河川観測点の河川水位データとを含む履歴データを用いて推定モデルを作成する推定モデル作成ステップと、
    前記特定地区における新たな降水量を含む推定条件データから前記河川観測点での推定河川水位を前記推定モデルを用いて推定する出力推定ステップと
    を実行させるプログラム。
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