JP2008106477A - 雨水流出量推定装置およびプログラム - Google Patents

雨水流出量推定装置およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】降雨に応じて任意の対象区域から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水の流出量を時系列で容易に推定する。
【解決手段】降水量積算手段16Bにより、各積算期間Xに基づいて対象区域3の各計測メッシュMの降水量データ15Aを積算することにより、積算期間Xごとに、各計測メッシュMにおける積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データ15Fを算出し、相関値算出手段16Cにより、これら積算降水量データ15Fと流量データ15Bの時系列変化をそれぞれパターンマッチング分析して、両者の相関値15Gを各計測メッシュについて積算期間Xごとに算出し、流出量推定手段16Dにより、各積算期間Xの積算降水量データ15Fと相関値15Gとの積和演算値を計測メッシュごとに算出し、これら積和演算値の総和に基づき対象区域3から流出する雨水流出量の推定データを算出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、雨水流出量推定技術に関し、特に降雨に応じて任意の対象区域から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水の流出量を推定する技術に関する。
家庭や事業所などから出る生活排水(汚水)と雨(雨水)とを、地下に敷設した同じ系統の管渠を用いて下水処理場まで運ぶ合流式下水道では、下水処理場の処理区域に降った雨が管渠に流れ込むため、晴天時に比べて雨天時の下水流入量が大幅に増加する。また生活排水と雨をそれぞれ異なる系統の管渠を用いて下水処理場まで別個に運ぶ分流式においても、特に都市型の集中豪雨が発生した場合は、雨水が管渠に短時間で大量に流入する。このため、これら管渠や河川に必要とされる規模を決定し、浸水・洪水対策計画を適切に策定するには、降雨時に任意の地区から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水の流出量を時系列で精度よく推定する必要がある。
従来、このような任意の対象区域からの雨水流出量を推定する技術に類似する技術として、対象区域の降雨データやその土地の保水性を示すデータを収集して、雨水による氾濫解析モデルを生成することにより、対象区域の溢水発生を推定して溢水区域を特定する技術が提案されている(例えば、非特許文献1など参照)。
http://www.kkr.mlit.go.jp/kingi/database/kannai/h15/07/720-naisuihanran.pdf、「内水氾濫を考慮した氾濫解析モデルの構築」、平成15年度管内技術研究発表会(論文データ PDF)、国土交通省近畿地方整備局近畿技術事務所
しかしながら、このような従来技術では、氾濫解析モデルを生成する際に、降雨データに加えて、河道や下水道に関する構造・設備データ、対象区域の地形データや土地の保水性を示すデータなど、極めて多くの種類のデータを収集する必要があるため、対象区域の溢水発生や溢水領域を容易に推定できないという問題点があった。特に、土地の保水性を示す粗度係数や流出率などのデータについては土質調査が必要となり、作業負担やコストの面で実施が難しい。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、降雨に応じて任意の対象区域から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水の流出量を時系列で容易に推定できる雨水流出量推定装置およびプログラムを提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる雨水流出量推定装置は、降雨に応じて任意の対象区域から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水流出量の時系列変化を推定する雨水流出量推定装置であって、対象区域を格子状に分割して設けた各計測メッシュにおける降水量の時系列変化を示す降水量データと、幹線水路の下流側に設けられた計測点における流量の時系列変化を示す流量データと、降水量データに対する複数の積算期間を示す積算期間データとを記憶する記憶部と、各積算期間に基づいて各計測メッシュの降水量データをそれぞれ積算することにより、積算期間ごとに、各計測メッシュにおける積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出する降水量積算手段と、積算降水量データと流量データの時系列変化をそれぞれパターンマッチング分析し、両者の相関値を各計測メッシュについて積算期間ごとに算出する相関値算出手段と、各積算期間の積算降水量データと相関値との積和演算値を計測メッシュごとに算出し、これら積和演算値の総和に基づき対象区域から流出する雨水流出量の時系列変化を示す流出量推定データを算出する流出量推定手段とを備えている。
この際、各計測メッシュの降水量データを相互に補間演算することにより、各計測メッシュを格子状に分割して設けた各ブロックにおける降水量の時系列変化を示す単位降水量データをそれぞれ算出する単位降水量算出手段をさらに備え、記憶部で、各ブロックのうち対象区域を構成する解析ブロックを記憶し、降水量積算手段で、解析ブロックについて算出した単位降水量データに基づいて解析ブロックごとに積算降水量データをそれぞれ算出し、流出量推定手段で、解析ブロックごとに積和演算値を算出し、これら積和演算値の総和に基づき対象区域から流出する雨水流出量の時系列変化を示す流出量推定データを算出するようにしてもよい。
また、記憶部で、各解析ブロック内における対象区域の割合を示す面積補正係数をそれぞれ記憶し、流出量推定手段で、解析ブロックごとに算出した積和演算値を当該計測メッシュの面積補正係数で補正した後、これら補正後の積和演算値の総和に基づき対象区域から流出する雨水流出量の時系列変化を示す流出量推定データを算出するようにしてもよい。
また、流量データとして、対象区域から流出した雨水を含む雨天時の流量と非雨天時の流量との差を示す雨天増分流量を用いてもよい。
本発明にかかるプログラムは、降雨に応じて任意の対象区域から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水の流出量を推定する雨水流出量推定装置のコンピュータに、対象区域における降水量の時系列変化を示す降水量データと、幹線水路の下流側に設けられた計測点での流量の時系列変化を示す流量データと、降水量データに対する複数の積算期間を示す積算期間データとを記憶部で記憶する記憶ステップと、降水量積算手段により、積算期間データの各積算期間に基づいて降水量データを積算することにより、積算期間ごとに、対象区域における積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出する降水量積算ステップと、相関値算出手段により、各積算期間の積算降水量データと流量データの時系列変化をそれぞれパターンマッチング分析し、両者の相関値を積算期間ごとに算出する相関値算出ステップと、流出量推定手段により、各積算期間の積算降水量データと相関値との積和演算値を対象区域から流出する雨水流出量の推定データとして出力する流出量推定ステップとを実行させる。
本発明によれば、降水量積算手段により、所定の各積算期間に基づいて各計測メッシュの降水量データがそれぞれ積算されて、積算期間ごとに、各計測メッシュにおける積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データが算出され、相関値算出手段により、積算降水量データと流量データの時系列変化がそれぞれパターンマッチング分析されて、両者の相関値が各計測メッシュについて積算期間ごとに算出され、流出量推定手段により、各積算期間の積算降水量データと相関値との積和演算値が各計測メッシュごとに算出され、これら積和演算値の総和に基づき対象区域から流出する雨水流出量の時系列変化を示す流出量推定データが算出される。
これにより、河道や下水道に関する構造・設備データ、対象区域の地形データや土地の保水性を示すデータなど、極めて多くの種類のデータを収集することなく、降雨に応じて任意の対象区域から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水の流出量を時系列で容易に推定できる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる雨水流出量推定装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる雨水流出量推定装置の構成を示すブロック図である。
この雨水流出量推定装置10は、下水道や河川などの幹線水路2の流域である対象流域1で計測された降水量データ61と、幹線水路2のうち対象流域1の下流側に設けた計測点Pで計測された流量データ62とを計測データ6として取り込み、これら計測データ6に基づいて、降雨時に対象流域1内の任意の対象区域3から幹線水路2へ流出する雨水流出量を時系列で推定する装置である。
本実施の形態は、所定の各積算期間に基づいて各計測メッシュの降水量データをそれぞれ積算することにより、積算期間ごとに、各計測メッシュにおける積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出し、積算降水量データと流量データの時系列変化をそれぞれパターンマッチング分析し、両者の相関値を各計測メッシュについて積算期間ごとに算出し、各積算期間の積算降水量データと相関値との積和演算値を計測メッシュごとに算出し、これら積和演算値の総和に基づき対象区域から流出する雨水流出量の時系列変化を示す流出量推定データを算出するようにしたものである。
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる雨水流出量推定装置10の構成について詳細に説明する。
雨水流出量推定装置10は、全体として、入力された処理情報に対して演算処理を行うことにより所望の情報を出力するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置からなり、データ入力部11、操作入力部12、画面表示部13、データ出力部14、記憶部15、および演算処理部16が設けられている。
データ入力部11は、専用インターフェース回路部からなり、外部の装置または記録媒体から雨水流出量推定処理に用いる計測データ6やその他データを取り込む機能と、取り込んだデータを記憶部15へ保存する機能とを有している。
このデータ入力部11で取り込まれる主な計測データ6としては、降水量データ61と流量データ62がある。
降水量データ61は、雨水流出量の推定を行うために選択した所定の推定対象期間において、対象流域1のうち計測点Pの上流側に位置する任意の対象区域3で計測された降水量の時系列変化を示すデータである。対象区域3は、幹線水路2に接続されている支水路の構成に基づき区分されている。この降水量データ61は、一般的な気象データを提供するアメダスなどの気象観測システム4から所望のパラメータを入手すればよく、例えば気象庁からは1時間周期で、また河川情報センタからは10分周期でそれぞれ提供されている。
流量データ62は、上記推定対象期間において、幹線水路2の下流側に設けられた計測点Pで計測された水の流量の時系列変化を示すデータである。幹線水路2が下水管渠の場合には、下水処理場で計測した下水流入量を用いればよく、幹線水路2が河川の場合には、河川に設けられた観測所で計測した河川流量を用いればよい。この流量データ62は、例えば面速式流量計測方法など公知の計測方法で計測したものを用いればよい。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部16へ出力する機能を有している。
画面表示部13は、LCDやPDPなどの画面表示装置からなり、演算処理部16からの指示に応じて、操作メニューや流出量推定データを画面表示する機能を有している。
データ出力部14は、専用インターフェース回路からなり、演算処理部16からの指示に応じて、流出量推定データ7などの各種処理データを外部装置や記録媒体へ出力する機能を有している。
記憶部15は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、演算処理部16での処理に用いる各種処理データやプログラム15Pを記憶する機能を有している。プログラム15Pは、演算処理部16に読み込まれて実行されるプログラムであり、外部装置や記憶媒体から予め読み込まれて記憶部15へ保存される。
記憶部15で記憶される主な処理データとしては、降水量データ15A、流量データ15B、積算期間データ15C、対象区域データ15D、単位降水量データ15E、積算降水量データ15F、相関値15G、および流出量推定データ15Hがある。
降水量データ15Aおよび流量データ15Bは、データ入力部11で計測データ6として取り込まれた降水量データ61や流量データ62が保存されたものである。
積算期間データ15Cは、降水量データ15Aに対する複数の積算期間を示すデータであり、予めデータ入力部11や操作入力部12から入力されて記憶部15へ保存されている。
対象区域データ15Dは、対象流域1内の対象区域3の構成を示すデータであり、予めデータ入力部11や操作入力部12から入力されて記憶部15へ保存されている。
一般に、降水量データは例えば1km四方の計測メッシュごとに提供されており、対象区域3が複数の計測メッシュにわたる場合には、対象区域3と計測メッシュの対応関係を示すデータが必要となる。また、対象区域3の境界が計測メッシュを横切る場合の面積補正に対応するため、計測メッシュを格子状のブロックに分割した場合、これらブロックのうち対象区域3内に含まれるものを解析ブロックとして区別する必要があり、計測メッシュごとに解析ブロックの割合を示す面積補正係数が必要となる。本実施の形態では、これら対象区域3と計測メッシュとの対応関係、対象区域3に含まれる解析ブロックを示す識別情報、および計測メッシュごとの面積補正係数を対象区域データ15Dとして予め記憶部15に保存しておく。
単位降水量データ15Eは、各解析ブロックにおける降水量を示す時系列データであり、演算処理部16により、各計測メッシュの降水量データ15Aが相互に補間演算されて算出され、記憶部15に保存される。
積算降水量データ15Fは、各解析ブロックの単位降水量データ15Eを積算期間ごとに積算した時系列データであり、演算処理部16により、各解析ブロックの単位降水量データ15Eが積算期間データ15Cの積算期間ごとに積算されて算出され、記憶部15に保存される。
相関値15Gは、各解析ブロックの単位降水量データ15Eと流量データ15Bとの相関値を示すデータであり、演算処理部16により、各解析ブロックの単位降水量データ15Eと流量データ15Bの時系列変化がそれぞれパターンマッチング分析されて、それぞれの最大相関値が算出され、記憶部15に保存される。
流出量推定データ15Hは、降雨に応じて対象区域3から幹線水路2へ流出した雨水の流出量を示すデータであり、演算処理部16により、各解析ブロックの積算降水量データ15Fと相関値15Gとの積和演算値に基づいて算出され、記憶部15に保存される。
演算処理部16は、CPUやDSPなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部15からプログラム15Pを読み込んで実行することにより、雨水流出量推定処理に必要な各種機能手段を実現する。
演算処理部16により実現される主な機能手段としては、単位降水量推定手段16A、降水量積算手段16B、相関値算出手段16C、および流出量推定手段16Dがある。
単位降水量推定手段16Aは、記憶部15に保存されている各計測メッシュの降水量データ15Aを相互に補間演算することにより、各解析ブロックにおける降水量の時系列変化を示す単位降水量データ15Eをそれぞれ算出して、記憶部15へ保存する機能を有している。
降水量積算手段16Bは、記憶部15に保存されている各解析ブロックの単位降水量データ15Eを積算期間データ15Cの積算期間ごとに積算することにより、各解析ブロックにおける積算降水量データ15Fをそれぞれ算出して、記憶部15へ保存する機能を有している。
相関値算出手段16Cは、記憶部15に保存されている各解析ブロックの単位降水量データ15Eと流量データ15Bの時系列変化を、積算期間ごとにそれぞれパターンマッチング分析する機能と、この分析結果に基づき両者の相関値15Gをそれぞれ算出して、記憶部15へ保存する機能を有している。
流出量推定手段16Dは、解析ブロックごとに、記憶部15に保存されている各積算期間の相関値15Gと積算降水量データ15Fとを積和演算する機能と、計測メッシュごとに、当該計測メッシュ内の各解析ブロックの積和演算値の総和を算出する機能と、これら総和に当該計測メッシュの面積補正係数を積算して当該計測メッシュの雨水流出量を算出する機能と、これら各計測メッシュの雨水流出量の総和を算出し、対象区域3から流出する所望の流出量推定データ15Hとして記憶部15へ保存する機能とを有している。
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる雨水流出量推定装置の動作について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる雨水流出量推定装置の動作を示す動作フロー図である。
雨水流出量推定装置10の演算処理部16は、オペレータによる雨水流出量推定処理の開始要求操作が操作入力部12により検出された場合、図2の雨水流出量推定処理を開始する。以下では、幹線水路2が下水幹線からなり、降雨に応じて対象流域1の対象区域3から合流点Jを介して幹線水路2へ流出する雨水の量を推定する場合を例に説明する。
雨水流出量推定処理には、主な処理として、単位降水量推定手段16Aによる単位降水量推定処理、降水量積算手段16Bによる降水量積算処理、相関値算出手段16Cによる相関値算出処理、および流出量推定手段16Dによる流出量推定処理がある。以下、これら処理についてそれぞれ詳細に説明する。
この際、雨水流出量推定処理の開始時には、データ入力部11により、計測データ6が取り込まれて記憶部15に保存されているものとする。この場合、気象観測システム4で得られた降水量データ61が降水量データ15Aとして保存され、流量計測システム5で得られた流量データ62が流量データ15Bとして保存される。
図3は、降水量データを示す説明図である。降水量データ61は、対象流域1内の各地点で計測した降水量変化を示す時系列データからなり、雨水流出量推定処理では、数年間の長期にわたって計測したものを用いる。気象観測システムでは、一般的に観測領域を格子状に分割し、個々の計測メッシュごとに降水量データを提供しており、雨水流出量推定処理では、対象流域1に対応する計測メッシュの降水量データ61を用いる。
図4は、流量データを示す説明図である。流量データ62は、計測点Pで計測した幹線水路2の流量変化を示す時系列データからなり、雨水流出量推定処理では、数年間の長期にわたって計測したものを用いる。本実施の形態のように、下水幹線からなる幹線水路2へ流出する雨水を推定する場合、幹線水路2の下流に設けられている下水処理場の流量計測システム5で計測した下水流入量を流量データ62として用いればよい。
[単位降水量推定処理]
まず、図5〜図7を参照して、雨水流出量推定処理における単位降水量推定処理について説明する。図5は、単位降水量推定処理を示すフローチャートである。図6は、対象区域と計測メッシュとの関係を示す説明図である。図7は、計測メッシュと解析ブロックとの関係を示す説明図である。
前述したように、気象観測システム4で得られた降水量データ61は、予め気象観測システムで設定した計測メッシュMごとに計測したデータである。アメダスなどの気象観測システムでは、1km四方の計測メッシュごとに計測した降水量データが提供されている。このため、図6に示すように、雨水流出量の推定対象となる対象区域3の複雑な形状と矩形の計測メッシュMとの差が大きく、降水量データ61をそのまま利用した場合、上記形状の差に起因する誤差が生じ、雨水流出量の推定精度は低下する。
本実施の形態では、図7に示すように、計測メッシュMをさらに格子状のブロックBに16分割し、これらブロックごとの降水量すなわち単位降水量を用いて雨水流出量を推定している。これにより、250m四方のブロックごとに単位降水量データが得られるため、対象区域3とブロックとの形状誤差が少なくなり、雨水流出量の推定精度を向上させることができる。この際、対象区域3の境界がブロック内を横切る場合もある。このため、本実施の形態では、各ブロック内における対象区域3の面積占有率を面積補正係数として対象区域データ15Dで管理しておき、各ブロックについて雨水流出量を推定する際に面積補正係数を用いて補正している。
この単位降水量推定処理では、計測メッシュMごとに得られた降水量データを補間することにより、各ブロックBの単位降水量データR(B)を推定している。なお、これら対象区域3と計測メッシュとの対応関係や、対象区域3に含まれる解析ブロックを示す識別情報は、予め記憶部15に保存されている対象区域データ15Dを参照すればよい。
図5の単位降水量推定において、演算処理部16の単位降水量推定手段16Aは、まず、記憶部15の降水量データ15Aから、対象流域1内の各計測メッシュMにおける降水量データR(M)を取得し(ステップ100)、各計測メッシュMにおける降水量データR(M)を相互に補間演算する(ステップ101)。この際、降水量データR(M)は時系列データであることから、同一時刻ごとに各計測メッシュMにおける降水量データR(M)を相互に補間演算する。なお、補間演算については、例えば多変数スプライン処理を用いて等高線データを算出するなど多くの算出手法が提案されており、公知の演算処理を利用すればよい。
続いて、単位降水量推定手段16Aは、記憶部15の対象区域データ15Dを参照して、各ブロックBのうち対象区域3を構成する解析ブロックBを確認し(ステップ102)、上記補間演算結果に基づいて、これら解析ブロックBごとに時系列で変化する降水量、すなわち単位降水量データR(B)を算出した後、記憶部15へ単位降水量データ15Eとして保存し(ステップ103)、一連の単位降水量算出処理を終了する。
[降水量積算処理]
次に、図8〜10を参照して、雨水流出量推定処理における降水量積算処理について説明する。図8は、降水量積算処理を示すフローチャートである。図9は、単位降水量データを示す説明図である。図10は、積算降水量データを示す説明図である。
幹線水路2の下流側に設けられた計測点Pにおける流量には、実質的にその上流側の対象区域3での降水量が含まれる。この際、計測点Pでの流量は、対象区域3での降水量そのものより、これを積算した積算降水量と相関が高く、このような関係は、例えば降水量に基づき流量を推定する推定モデルにおいて入出力変数として利用されている(例えば、特許3795775号公報など参照)。
本実施の形態では、対象区域3の積算降水量を算出し、上記のような積算降水量と流量の関係を利用して、対象区域3からの雨水流出量を推定している。したがって、降水量積算処理を開始する前に、例えば上記推定モデルを用いて、計測点Pの流量と相関の高い積算降水量をいくつか特定しておき、これら積算降水量の算出に用いた積算期間Xを積算期間データ15Cとして予め記憶部15に保存しておけばよい。
図8の降水量積算処理において、演算処理部16の降水量積算手段16Bは、まず、記憶部15の積算期間データ15Cから各積算期間Xを取得し(ステップ110)、対象区域3のうち降水流積算処理が終了していない未処理の解析ブロックBを選択する(ステップ111)。
次に、降水量積算手段16Bは、記憶部15の単位降水量データ15Eから当該解析ブロックBの単位降水量データR(B)を取得し(ステップ112)、積算期間Xごとに単位降水量データR(B)を積算して積算降水量データRa(X,B)を算出し、積算降水量データ15Fとして記憶部15へ順次保存する(ステップ113)。
図9の単位降水量データR(B)は、解析ブロックBにおける単位時間、ここでは1時間当たりの降水量の時系列変化を示すデータからなる。積算期間Xは、数時間から数十時間の期間長示すデータであり、図10ではX1〜Xnのn個の積算期間が用いられている。この際、例えば時刻tにおける積算期間X1の積算降水量データRa(X1,B,t)は、時刻tの単位降水量データR(B,t)から時刻t+X1の単位降水量データR(B,t+X1)まで積算することにより求められる。
このようにして、選択した解析ブロックBについて、積算期間Xごとに積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データRa(X,B)が算出され、対象区域3内のすべての解析ブロックBについて降水量積算処理が終了していない場合には(ステップ114:NO)、ステップ111へ戻って次の未処理解析ブロックに関する降水量積算処理を実行する(ステップ111〜113)。
また、対象区域3内のすべての解析ブロックBについて降水量積算処理が終了した場合には(ステップ114:NO)、一連の降水量積算処理を終了する。
[相関値算出処理]
次に、図11および図12を参照して、雨水流出量推定処理における相関値算出処理について説明する。図11は、相関値算出処理を示すフローチャートである。図12は、パターンマッチング分析処理を示す説明図である。
前述したように、計測点Pでの流量は、対象区域3での降水量そのものより、これを積算した積算降水量と相関が高く、このことから、計測点Pの流量には、対象区域3の降水量のうち、各積算期間Xの積算降水量の成分がそれぞれ固有の比率ずつ含まれていると捉えることができる。
本実施の形態では、各積算期間Xの積算降水量の成分が計測点Pの流量に含まれる比率として、時系列の積算降水量データRa(X,B)と流量データWとのパターンマッチング分析で得られる相関値を算出している。
図11の相関値算出処理において、演算処理部16の相関値算出手段16Cは、まず、記憶部15から流量データ15Bを取得し(ステップ120)、対象区域3のうち降水流積算処理が終了していない未処理の解析ブロックBを選択する(ステップ121)。
次に、相関値算出手段16Cは、積算期間Xごとに、記憶部15の単位降水量データ15Eから当該解析ブロックBの降水量積算データRa(X,B)を取得し、この降水量積算データRa(X,B)と流量データWとをパターンマッチング分析する(ステップ122)。
パターンマッチング分析処理では、図12に示すように、積算降水量データRa(X,B)を時間軸上で順次シフトさせて、流量Wとの相関値をそれぞれ求める。そして、その最大相関値を両者の相関値C(T,P)として選択し、相関値15Gとして記憶部15へ順次保存する(ステップ123)。
この際、流量データ15Bには、降雨により対象流域1から流出した雨水のほか、対象流域1全域にわたって降雨が観測されていない非雨天時でも流入する生活排水や工場排水が含まれている可能性がある。
ここで、このような非雨天時流量が小さく、所望する雨水流出量推定の許容誤差範囲内である場合は、幹線水路2から計測された流量データ15Bを用いればよい。
一方、非雨天時流量が大きい場合には、流量データ15Bとして、計測流量から非雨天時流量を除いた雨天増水分流量を用いればよい。季節や気温、さらには曜日や休日に応じて、上水道の消費量は変化するものの、非雨天下における上水道の消費量すなわち非雨天下水量は、24時間ごとにほぼ同一パターンで変化することが知られており、この下水量については精度よく推定することができる(例えば、特許3754267号公報など参照)。
このようにして、選択した解析ブロックBについて、積算期間Xごとに積算降水量データRa(X,B)と流量データWの相関値C(X,B)が算出され、対象区域3内のすべての解析ブロックBについて相関値算出処理が終了していない場合には(ステップ124:NO)、ステップ121へ戻って次の未処理解析ブロックに関する降水量積算処理を実行する(ステップ121〜123)。
また、対象区域3内のすべての解析ブロックBについて降水量積算処理が終了した場合には(ステップ124:NO)、一連の相関値算出処理を終了する。
[流出量推定処理]
次に、図13を参照して、雨水流出量推定処理における流出量推定処理について説明する。図13は、流出量推定処理を示すフローチャートである。
本実施の形態では、各積算期間Xの積算降水量の成分が計測点Pの流量に含まれる比率として相関値15Gを用い、これら積算降水量データ15Fと相関値15Gの積和演算値に基づき、対象区域3からの雨水流出量を推定している。
図13の流出量推定処理において、演算処理部16の流出量推定手段16Dは、まず、対象区域3のうち積和演算処理が終了していない未処理の解析ブロックBを選択し(ステップ130)、記憶部15の積算降水量データ15Fから当該解析ブロックにおける各積算期間Xの積算降水量Ra(X,B)を取得するとともに、相関値15Gから当該解析ブロックにおける各積算期間Xの相関値C(X,B)を取得する(ステップ131)。
続いて、流出量推定手段16Dは、各積算期間Xの積算降水量Ra(X,B)と相関値C(X,B)との積和演算値Y(B)=ΣRa(Xi,B)・C(Xi,B)、但しXi=X1〜Xnを算出する(ステップ132)。
次に、流出量推定手段16Dは、記憶部15の対象区域データ15Dから当該解析ブロックBの面積補正係数S(B)を取得し(ステップ133)、この面積補正係数S(B)で積和演算値Y(B)を補正することにより、当該解析ブロックBからの雨水流出量Q(B)=S(B)・Y(B)を算出する(ステップ134)。
このようにして、選択した解析ブロックBについて雨水流出量Q(B)が算出され、対象区域3内のすべての解析ブロックBについて積和演算処理が終了していない場合には(ステップ135:NO)、ステップ130へ戻って次の未処理解析ブロックに関する積和演算処理を実行する(ステップ130〜132)。
また、対象区域3内のすべての解析ブロックBについて積和演算処理が終了した場合は(ステップ135:NO)、流出量推定手段16Dは、各解析ブロックBの雨水流出量QB)の総和を得ることにより、対象区域3からの雨水流出量の推定値Qを算出し、流出量推定データ15Hとして記憶部15へ保存し、必要に応じて画面表示部13により画面表示し、あるいはデータ出力部14から外部装置や記録媒体へ出力し(ステップ136)、一連の流出量推定処理を終了する。
このように、本実施の形態は、演算処理部16において、降水量積算手段16Bにより、所定の各積算期間Xに基づいて対象区域3を格子状に分割して設けた各計測メッシュMの降水量データ15Aを積算することにより、積算期間Xごとに、各計測メッシュMにおける積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データ15Fを算出し、相関値算出手段16Cにより、これら積算降水量データ15Fと流量データ15Bの時系列変化をそれぞれパターンマッチング分析して、両者の相関値15Gを各計測メッシュについて積算期間Xごとに算出し、流出量推定手段16Dにより、各積算期間Xの積算降水量データ15Fと相関値15Gとの積和演算値を計測メッシュごとに算出し、これら積和演算値の総和に基づき対象区域3から流出する雨水流出量の推定データを算出している。
これにより、河道や下水道に関する構造・設備データ、対象区域の地形データや土地の保水性を示すデータなど、極めて多くの種類のデータを収集することなく、降雨に応じて任意の対象区域から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水の流出量を時系列で容易に推定できる。
また、本実施の形態では、対象区域3を格子状に分割して設けた計測メッシュごとに、積算降水量、相関値、および積和演算値をそれぞれ算出し、得られた積和演算値の総和に基づき、対象区域3から流出する雨水流出量を推定するようにしたので、雨水流出量を推定する対象区域3全体の降水量が得られない場合でも、対象区域3の雨水流出量を推定できる。
また、本実施の形態において、計測メッシュMをブロックBに細分化し、対象区域3と対応する解析ブロックBごとに、積算降水量、相関値、および積和演算値をそれぞれ算出し、得られた積和演算値の総和に基づき、対象区域3から流出する雨水流出量を推定するようにしてもよく、計測メッシュを単位として算出した積和演算値に基づき雨水流出量を推定する場合と比較して、解析ブロックBと対象区域3の形状を一致させることができ、形状の相違による推定誤差を抑制でき、高い精度で雨水流出量を推定できる。
さらに、解析ブロック内における対象区域3の割合を示す面積補正係数に基づいて、解析ブロックごとに算出した積和演算値を補正した後、これら補正後の積和演算値の総和に基づき雨水流出量を推定するようにしたので、単に解析ブロックごとに積和演算値に基づき雨水流出量を推定する場合と比較して、極めて高い精度で雨水流出量を推定できる。
また、本実施の形態において、流量データ15Bとして、対象区域3から流出した雨水を含む雨天時の流量と非雨天時の流量との差を示す雨天増分流量を用いてもよく、非雨天時の流量に起因する推定誤差を抑制でき、極めて高い精度で雨水流出量を推定できる。
[第2の実施の形態]
次に、図14を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる雨水流出量推定装置を用いた雨水流出量推定システムについて説明する。図14は、本発明の第2の実施の形態にかかる雨水流出量推定システムの構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、降水量データの積算期間Xは、予め積算期間データ15Cとして記憶部15に設定されている場合を例として説明した。本実施の形態では、第1の実施の形態にかかる雨水流出量推定装置10で用いた積算期間Xを決定する機能を有する雨水流出量推定システムについて説明する。
この雨水流出量推定システムは、配水量予測装置20、流入量予測装置30、および雨水流出量推定装置10から構成されている。
雨水流出量推定装置10は、第1の実施の形態で説明した雨水流出量推定装置からなり、流入量予測装置30からの積算期間データ33をデータ入力部11から取り込み、積算期間データ15Cとして記憶部15に保存する機能と、配水量予測装置20からの配水量予測データ24を非雨天時流量データと見なしてデータ入力部11から取り込み、流量データ62から非雨天時流量データを減算したものを流量データ15Bとして記憶部15へ保存する機能を有している。
配水量予測装置20は、公知の配水量予測装置からなり(例えば特許375426号公報など参照)、過去に浄水設備から上水道を介して対象流域1の水需要家に対して配水した配水量と、そのときの対象流域1における時間パラメータ(日時や曜日)や環境パラメータ(気温や天候)との組を実績データ22として取り込み、これら実績データ22から事例ベースモデリング技術を用いて事例ベースからなる配水量予測モデル21を作成する機能と、対象流域1が非雨天時の場合を示す新たな時間パラメータや環境パラメータを予測条件23として取り込んで、配水量予測モデル21を参照して当該予測条件23に対応する配水量を導出し、推定対象期間における非雨天時分の配水量の時系列変化を示す配水量予測データ24として出力する機能とを有している。
流入量予測装置30は、公知の流入量予測装置からなり(例えば特許3795775号公報など参照)、配水量予測装置20で得られた配水量予測データ24を下水処理設備に入流した対象流域1からの非雨天流量と見なし、この非雨天流量データと推定対象期間において計測した下水処理設備への下水流入量を示す流量データとそのときの対象流域1における気象データ(降水量や気温)との組を履歴データ32として取り込み、流量データと非雨天流量データとの差分である雨天増分流量データと気象データとの組から事例ベースモデリング技術を用いて事例ベースからなる流入量予測モデル31を作成する機能と、この流入量予測モデル31の主要入力変数として用いた各積算降水量の積算期間を積算期間データ33として出力する機能を有している。
[第2の実施の形態の動作]
次に、図15を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる雨水流出量推定システムの動作について説明する。図15は、本発明の第2の実施の形態にかかる雨水流出量推定システムでの積算期間選択動作を示すフローチャートである。
まず、配水量予測装置20において、対象流域1から得た実績データ22に基づき配水量予測モデル21を作成し(ステップ200)、対象流域1が非雨天時の場合を示す予測条件23に基づき配水量予測モデル21を参照して、推定対象期間における非雨天時分の配水量の時系列変化を示す配水量を導出し、配水量予測データ24として出力する(ステップ201)。
図16は、雨天増分流量を示す説明図である。前述したように、計測点Pで計測した流量データ15Bには、降雨により対象流域1から流出した雨水のほか、対象流域1全域にわたって降雨が観測されていない非雨天時でも流入する生活排水や工場排水が含まれている可能性がある。したがって、配水量予測モデル21により、対象流域1が非雨天時の場合を示す予測条件23を用いて、推定対象期間における非雨天時分の配水量の時系列変化を示す配水量予測データ24すなわち非雨天流量データを予測しておき、この非雨天流量データと計測点Pで実測した流量データ62との差分から雨天時に増分した流量、すなわち対象流域1からの雨水流出量に対応した雨天増分流量を得ることができる。
次に、流入量予測装置30において、推定対象期間に計測点Pで得られた流量データ15Bから配水量予測装置20で得られた配水量予測データ24すなわち非雨天時流量データを減算することにより雨天増分流量データを算出し(ステップ202)、この雨天増分流量データに基づいて流入量予測モデル31を作成する(ステップ203)。そして、この流入量予測モデル31の主要入力変数として用いた各積算降水量の積算期間を積算期間データ33として出力し(ステップ204)、一連の積算期間選択動作が終了する。
対象流域1からの雨水は、幹線水路2をはじめとする各種経路を介して計測点Pへ到達するため、計測点Pで計測される流量データには、その経路の容量成分に起因した時間遅れや丸め作用が働く。このため、対象流域1での降水量データに比べて、降水量データを積算した積算降水量データのほうが流量データとの相関が高く、流入量予測モデル31でも、予測流入量に対して大きな影響を与える主要入力変数として、積算降水量データが多く用いられている。したがって、これら積算降水量の積算期間は雨水流出量の推定に有用である。
したがって、雨水流出量推定装置10は、流入量予測装置30からの積算期間データ33をデータ入力部11から取り込み、積算期間データ15Cとして記憶部15に保存し、降水量データ15Aの積算に用いればよい。また、配水量予測装置20からの配水量予測データ24を非雨天時流量データと見なしてデータ入力部11から取り込み、流量データ62から非雨天時流量データを減算したものすなわち雨天増分流量を流量データ15Bとして用いてもよい。
このように、本実施の形態では、配水量予測装置20により、対象流域1から得た実績データ22に基づき作成した配水量予測モデル21を参照して、推定対象期間における非雨天時分の配水量の時系列変化を示す配水量予測データ24を導出し、流入量予測装置30により、この配水量予測データ24と計測点Pで計測した流量データ15Bとの差分からなる雨天増分流量データに基づき流入量予測モデル31を作成し、この流入量予測モデル31の主要入力変数として用いた各積算降水量の積算期間を積算期間データ33として出力するようにしたので、雨水流出量の推定に有用な積算期間を容易に選択することができる。
また、本実施の形態では、対象流域1で得た履歴データ32に基づき流入量予測モデル31を作成し、その主要入力変数である積算降水量で用いられた積算期間を選択しているため、対象流域1の水路構成や地形に起因する、対象流域1に固有の雨水流出過程が考慮された、雨水流出量の推定に最適な積算期間を選択することができる。
本発明の第1の実施の形態にかかる雨水流出量推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる雨水流出量推定装置の動作を示す動作フロー図である。 降水量データを示す説明図である。 流量データを示す説明図である。 単位降水量推定処理を示すフローチャートである。 対象区域と計測メッシュとの関係を示す説明図である。 計測メッシュと解析ブロックとの関係を示す説明図である。 降水量積算処理を示すフローチャートである。 単位降水量データを示す説明図である。 積算降水量データを示す説明図である。 相関値算出処理を示すフローチャートである。 パターンマッチング分析処理を示す説明図である。 流出量推定処理を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態にかかる雨水流出量推定システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる雨水流出量推定システムでの積算期間選択動作を示すフローチャートである。 雨天増分流量データを示す説明図である。
符号の説明
1…対象流域、2…幹線水路、3…対象区域、4…気象観測システム、5…流量計測システム、6…計測データ、61…降水量データ、62…流量データ、7…流出量推定データ、10…雨水流出量推定装置、11…データ入力部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…データ出力部、15…記憶部、15A…降水量データ、15B…流量データ、15C…積算期間データ、15D…対象区域データ、15E…単位降水量データ、15F…積算降水量データ、15G…相関値、15H…流出量推定データ、15P…プログラム、16…演算処理部、16A…単位降水量推定手段、16B…降水量積算手段、16C…相関値算出手段、16D…流出量推定手段、20…配水量予測装置、21…配水量予測モデル、22…実績データ、23…予測条件、24…配水量予測データ、30…流入量予測装置、31…流入量予測モデル、32…履歴データ、33…積算期間データ、P…計測点、J…合流点、M…計測メッシュ、B…解析ブロック。

Claims (5)

  1. 降雨に応じて任意の対象区域から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水流出量の時系列変化を推定する雨水流出量推定装置であって、
    前記対象区域を格子状に分割して設けた各計測メッシュにおける降水量の時系列変化を示す降水量データと、前記幹線水路の下流側に設けられた計測点における流量の時系列変化を示す流量データと、前記降水量データに対する複数の積算期間を示す積算期間データとを記憶する記憶部と、
    前記各積算期間に基づいて前記各計測メッシュの前記降水量データをそれぞれ積算することにより、前記積算期間ごとに、前記各計測メッシュにおける積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出する降水量積算手段と、
    前記積算降水量データと前記流量データの時系列変化をそれぞれパターンマッチング分析し、両者の相関値を前記各計測メッシュについて前記積算期間ごとに算出する相関値算出手段と、
    前記各積算期間の前記積算降水量データと前記相関値との積和演算値を前記計測メッシュごとに算出し、これら積和演算値の総和に基づき前記対象区域から流出する雨水流出量の時系列変化を示す流出量推定データを算出する流出量推定手段と
    を備えることを特徴とする雨水流出量推定装置。
  2. 請求項1に記載の雨水流出量推定装置において、
    前記各計測メッシュの降水量データを相互に補間演算することにより、前記各計測メッシュを格子状に分割して設けた各ブロックにおける降水量の時系列変化を示す単位降水量データをそれぞれ算出する単位降水量算出手段をさらに備え、
    前記記憶部は、前記各ブロックのうち前記対象区域を構成する解析ブロックを記憶し、
    前記降水量積算手段は、前記解析ブロックについて算出した単位降水量データに基づいて前記解析ブロックごとに前記積算降水量データをそれぞれ算出し、
    前記流出量推定手段は、前記解析ブロックごとに前記積和演算値を算出し、これら積和演算値の総和に基づき前記対象区域から流出する雨水流出量の時系列変化を示す流出量推定データを算出する
    ことを特徴とする雨水流出量推定装置。
  3. 請求項1に記載の雨水流出量推定装置において、
    前記記憶部は、前記各解析ブロック内における前記対象区域の割合を示す面積補正係数をそれぞれ記憶し、
    前記流出量推定手段は、前記解析ブロックごとに算出した前記積和演算値を当該計測メッシュの面積補正係数で補正した後、これら補正後の積和演算値の総和に基づき前記対象区域から流出する雨水流出量の時系列変化を示す流出量推定データを算出する
    ことを特徴とする雨水流出量推定装置。
  4. 請求項1に記載の雨水流出量推定装置において、
    前記流量データは、前記対象区域から流出した雨水を含む雨天時の流量と非雨天時の流量との差を示す雨天増分流量からなることを特徴とする雨水流出量推定装置。
  5. 降雨に応じて任意の対象区域から下水道や河川などの幹線水路に流出する雨水の流出量を推定する雨水流出量推定装置のコンピュータに、
    前記対象区域における降水量の時系列変化を示す降水量データと、前記幹線水路の下流側に設けられた計測点での流量の時系列変化を示す流量データと、前記降水量データに対する複数の積算期間を示す積算期間データとを記憶部で記憶する記憶ステップと、
    降水量積算手段により、前記積算期間データの各積算期間に基づいて前記降水量データを積算することにより、前記積算期間ごとに、前記対象区域における積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出する降水量積算ステップと、
    相関値算出手段により、前記各積算期間の積算降水量データと前記流量データの時系列変化をそれぞれパターンマッチング分析し、両者の相関値を前記積算期間ごとに算出する相関値算出ステップと、
    流出量推定手段により、前記各積算期間の前記積算降水量データと前記相関値との積和演算値を前記対象区域から流出する雨水流出量の推定データとして出力する流出量推定ステップと
    を実行させるプログラム。
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