JP4828991B2 - 溢水発生推定装置およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、溢水領域推定技術に関し、特に河川領域での降雨に起因する溢水の発生領域を推定する技術に関する。
家庭や事業所などから出る生活排水(汚水)と雨(雨水)とを、地下に敷設した同じ系統の管渠を用いて下水処理場まで運ぶ合流式下水道では、下水処理場の処理区域に降った雨が管渠に流れ込むため、晴天時に比べて雨天時の下水流入量が大幅に増加する。また生活排水と雨をそれぞれ異なる系統の管渠を用いて下水処理場まで別個に運ぶ分流式においても、特に都市型の集中豪雨が発生した場合は、雨水が管渠に短時間で大量に流入する。このため、土地の標高が低い領域や管渠が能力不足の領域では、管渠から水が溢れる溢水被害が発生しやすく、このような溢水被害に対する対策として、溢水が予想される箇所を特定する必要がある。
従来、このような溢水領域を特定する技術として、溢水に関わる各種データ、例えば対象地区の降雨データやその土地の保水性を示すデータを収集して、雨水による氾濫解析モデルを生成し、この氾濫解析モデルに基づき対象地区の溢水発生を推定して溢水区域を特定する技術が提案されている(例えば、非特許文献1など参照)
http://www.kkr.mlit.go.jp/kingi/database/kannai/h15/07/720-naisuihanran.pdf、「内水氾濫を考慮した氾濫解析モデルの構築」、平成15年度管内技術研究発表会(論文データ PDF)、国土交通省近畿地方整備局近畿技術事務所
しかしながら、このような従来技術では、氾濫解析モデルを生成する際に、降雨データに加えて、河道や下水道に関する構造・設備データ、対象地区の地形データや土地の保水性を示すデータなど、極めて多くのデータを収集する必要があるため、対象地区の溢水発生や溢水領域を容易に推定できないという問題点があった。特に、土地の保水性を示す粗度係数や流出率などのデータについては土質調査が必要となり、作業負担やコストの面で実施が難しい。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、比較的入手しやすいデータに基づいて溢水領域を容易に推定できる溢水発生推定装置および方法を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる溢水発生推定装置は、任意の対象地区について地下に埋設されている管渠から降雨に応じて溢水が発生する度合いを推定する溢水発生推定装置であって、対象地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと、管渠の下流に設けられた計測点での下水流量の時系列変化を示す下水流量データとを記憶する記憶部と、降水量データと下水流量データとを所定の単位区間についてパターンマッチング分析し、両者のパターンマッチ度に基づき下水流量に対する降水量の影響度を算出するパターンマッチング分析手段と、影響度に基づいて対象地区での溢水発生度合いを示す溢水発生推定データを生成する溢水発生推定手段とを備えている。
これに加えて、降水量データを所定の積算時間ごとに積算し、得られた積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出するデータ積算手段と、降水量データおよび積算降水量データをそれぞれ所定のしきい値と比較して、対象地区で溢水が発生しうる解析対象期間を選択する解析対象期間選択手段とをさらに備え、パターンマッチング分析手段は、解析対象期間における降水量データと下水流量データとをパターンマッチング分析するようにしたものである
また、降水量データと下水流量データの時間差を順次シフトさせて両者の相関値をそれぞれ求め、これら相関値のうち最大相関値が得られた時間差で両者の時間位置を整合させるデータ整合手段をさらに備え、パターンマッチング分析手段で、整合後の降水量データと下水流量データとをパターンマッチング分析するようにしてもよい。
また、溢水発生推定手段で、複数の対象地区の位置情報に基づいて対象地区ごとに得られた影響度を補間処理し、各対象地区での溢水発生度合いを示す2次元の溢水発生分布データを生成し、溢水発生推定データとして出力するようにしてもよい。
また、溢水発生推定手段で、影響度と所定の影響度しきい値との比較結果に応じて、対象地区での溢水発生有無を推定し、溢水発生推定データとして出力するようにしてもよい。
また、本発明にかかるプログラムは、任意の対象地区について地下に埋設されている管渠から降雨に応じて溢水が発生する度合いを推定する溢水発生推定装置のコンピュータに、記憶部により、対象地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと、管渠の下流に設けられた計測点での下水流量の時系列変化を示す下水流量データとを記憶する記憶ステップと、パターンマッチング分析手段により、降水量データと下水流量データとを所定の単位区間についてパターンマッチング分析し、両者のパターンマッチ度に基づき下水流量に対する降水量の影響度を算出するパターンマッチング分析ステップと、溢水発生推定手段により、影響度に基づいて対象地区での溢水発生度合いを示す溢水発生推定データを生成する溢水発生推定ステップとを実行させる。
これに加えて、データ積算手段により、降水量データを所定の積算時間ごとに積算し、得られた積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出するデータ積算ステップと、解析対象期間選択手段により、降水量データおよび積算降水量データをそれぞれ所定のしきい値と比較して、対象地区で溢水が発生しうる解析対象期間を選択する解析対象期間選択ステップとを実行し、パターンマッチング分析ステップで、パターンマッチング分析手段により、解析対象期間における降水量データと下水流量データとをパターンマッチング分析するようにしたものである
また、データ整合手段により、降水量データと下水流量データの時間差を順次シフトさせて両者の相関値をそれぞれ求め、これら相関値のうち最大相関値が得られた時間差で両者の時間位置を整合させるデータ整合ステップをさらに実行し、パターンマッチング分析ステップで、パターンマッチング分析手段により、整合後の降水量データと下水流量データとをパターンマッチング分析するようにしてもよい。
また、溢水発生推定ステップで、溢水発生推定手段により、複数の対象地区の位置情報に基づいて対象地区ごとに得られた影響度を補間処理し、各対象地区での溢水発生度合いを示す2次元の溢水発生分布データを生成し、溢水発生推定データとして出力するようにしてもよい。
また、溢水発生推定ステップで、溢水発生推定手段により、影響度と所定の影響度しきい値との比較結果に応じて、対象地区での溢水発生有無を推定し、溢水発生推定データとして出力するようにしてもよい。
本発明によれば、対象地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと、管渠の下流に設けられた下水流量計測点での下水流量の時系列変化を示す下水流量データとを、パターンマッチング分析手段により、所定の単位区間についてパターンマッチング分析して、両者のパターンマッチ度に基づき下水流量に対する降水量の影響度を算出し、溢水発生推定手段により、この影響度に基づいて対象地区での溢水発生度合いを示す溢水発生推定データを生成し、この際、データ積算手段により、降水量データを所定の積算時間ごとに積算し、得られた積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出し、解析対象期間選択手段により、降水量データおよび積算降水量データをそれぞれ所定のしきい値と比較して、対象地区で溢水が発生しうる解析対象期間を選択し、パターンマッチング分析手段により、解析対象期間における降水量データと下水流量データとをパターンマッチング分析するようにしたので、比較的入手しやすい降水量データや下水流量データに基づいて対象地区の溢水発生を容易に推定できる。
これにより、従来の河道や下水道に関する構造・設備データ、対象地区の地形データや土地の保水性を示すデータなど、極めて多くのデータを収集して氾濫解析モデルを生成する手法と比較して、極めて容易に対象地区の溢水発生を容易に推定できる。特に、土地の保水性を示す粗度係数や流出率などのデータについては土質調査が必要となり、作業負担やコストの面で実施が難しいが、本実施の形態で用いる降水量データや下水流量データは、例えばインターネットを介して容易かつ安価に入手することができ、溢水発生の推定に要する作業負担やコストを大幅に削減できる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる溢水発生推定装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の構成を示すブロック図である。
この溢水発生推定装置1は、下水処理場などの下水流量計測点7の上流下水処理区域4で計測された降水量データ21と、その下水流量計測点7で計測された下水流量データ22とを履歴データ2として取り込み、これら履歴データ2から上流下水処理区域4の各対象地区について地下に埋設されている管渠から降雨に応じて溢水が発生する度合いを推定する装置である。
本実施の形態は、対象地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと、管渠の下流に設けられた計測点での下水流量の時系列変化を示す下水流量データとを、単位区間についてパターンマッチング分析し、両者のパターンマッチ度に基づき下水流量に対する降水量の影響度を算出し、この影響度に基づいて対象地区での溢水発生度合いを示す溢水発生推定データを生成するようにしたものである。
以下、図1を参照して、溢水発生推定装置1の構成について詳細に説明する。
溢水発生推定装置1は、全体として、入力された処理情報に対して演算処理を行うことにより所望の情報を出力するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置からなり、データ入力部11、操作入力部12、画面表示部13、記憶部14、演算処理部15、およびデータ出力部16が設けられている。
データ入力部11は、専用インターフェース回路部からなり、外部の装置または記録媒体から溢水発生推定処理に用いる履歴データ2やその他データを取り込む機能と、取り込んだデータを記憶部14へ保存する機能とを有している。
このデータ入力部11で取り込まれる主な履歴データ2としては、降水量データ21と下水流量データ22がある。
降水量データ21は、下水流量計測点7の下水処理区域4の各対象地区で計測された降水量の時系列変化を示すデータである。これら対象地区は、下水処理区域4に設定した候補エリアをメッシュ状に区画して設けられている。
下水流量データ22は、溢水発生推定の対象となる管渠6の下流に設けられた下水流量計測点7で計測された下水流量の時系列変化を示すデータである。
なお、各対象地区の降水量データ21は、一般的な気象データを提供するアメダスなどの気象データ観測システム5から所望のパラメータを入手すればよく、例えば気象庁からは1時間周期で、また河川情報センタからは10分周期でそれぞれ提供されている。
また、下水流量データ22は、面速式流量計測方法など公知の計測方法で計測したものを用いればよい。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部15へ出力する機能を有している。
画面表示部13は、LCDやPDPなどの画面表示装置からなり、演算処理部15からの指示に応じて、操作メニューや溢水発生推定データを画面表示する機能を有している。
記憶部14は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、演算処理部15での処理に用いる各種処理データやプログラム14Pを記憶する機能を有している。プログラム14Pは、演算処理部15に読み込まれて実行されるプログラムであり、外部装置や記憶媒体から予め読み込まれて記憶部14へ保存される。
記憶部14で記憶される主な処理データとしては、降水量データ14A、下水流量データ14B、積算降水量データ14C、積算下水流量データ14D、影響度(パターンマッチ度)14E、および溢水発生推定データ14Fがある。
降水量データ14Aおよび下水流量データ14Bは、データ入力部11で取り込まれた降水量データ21や下水流量データ22が保存されたものである。
積算降水量データ14Cおよび積算下水流量データ14Dは、演算処理部15により、降水量データ14Aおよび下水流量データ14Bが積算されたものである。
影響度14Eは、演算処理部15により、降水量データ14Aと下水流量データ14Bがパターンマッチング分析された結果である。
溢水発生推定データ14Fは、演算処理部15により、影響度14Eから生成された対象地区の溢水発生度合いを示すデータである。
演算処理部15は、CPUやDSPなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14からプログラム14Pを読み込んで実行することにより、溢水発生推定処理に必要な各種機能手段を実現する。
演算処理部15により実現される主な機能手段としては、データ積算手段15A、データ整合手段15B、解析対象期間選択手段15C、パターンマッチング分析手段15D、および溢水発生推定手段15Eがある。
データ積算手段15Aは、下水処理区域4内の任意の対象地区Pにおける降水量の時系列変化を示す降水量データ14Aを記憶部14から読み出す機能と、任意の積算期間Tでそれぞれ積算して積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データ14Cを生成する機能と、この積算降水量データ14Cを記憶部14へ保存する機能と、下水流量計測点7における下水流量の時系列変化を示す下水流量データ14Bを記憶部14から読み出す機能と、任意の積算期間Tでそれぞれ積算して積算下水流量の時系列変化を示す積算下水流量データ14Dを生成する機能と、この積算下水流量データ14Dを記憶部14へ保存する機能とを有している。
データ整合手段15Bは、記憶部14から対象地区Pにおける積算降水量データ14Cと積算下水流量データ14Dを読み出す機能と、これら積算降水量データ14Cと積算下水流量データ14Dを異なる時間差でそれぞれパターンマッチング分析しそれぞれの相関値(パターンマッチ度)を算出する機能と、これら相関値から両者の最大相関値(最大パターンマッチ度)を算出する機能と、この最大相関値が得られた時間差Δtに基づき対象地区Pにおける降水量データ14Aと下水流量データ14Bの時間位置を整合させて記憶部14へ保存する機能とを有している。
解析対象期間選択手段15Cは、記憶部14から対象地区Pにおける降水量データ14Aと積算降水量データ14Cを読み出す機能と、これら降水量データ14Aと積算降水量データ14Cをそれぞれ所定のしきい値と比較して、対象地区Pで溢水が発生しうる解析対象期間Xを選択する機能とを有している。
パターンマッチング分析手段15Dは、記憶部14から対象地区Pでの解析対象期間Xにおける整合後の降水量データ14Aと下水流量データ14Bを読み出す機能と、これら降水量データ14Aと下水流量データ14Bを所定の単位区間S,Swでパターンマッチング分析しそれぞれの相関値(パターンマッチ度)を算出する機能と、これら相関値を対象地区Pでの単位区間Sにおける下水流量に対する降水量の影響度14Eとして記憶部14へ保存する機能とを有している。
溢水発生推定手段15Eは、記憶部14から影響度14Eを読み出す機能と、この影響度14Eから対象地区Pでの溢水発生を示す溢水発生推定データ14Fを生成する機能と、溢水発生推定データ14F(3)を記憶部14、画面表示部13、またはデータ出力部16へ出力する機能とを有している。
データ出力部16は、専用インターフェース回路からなり、演算処理部15からの指示に応じて、溢水発生推定データ3などの各種処理データを外部装置や記録媒体へ出力する機能を有している。
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2および図3を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の動作について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の溢水発生推定動作を示す概略フロー図である。図3は、本発明の第1の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の溢水発生推定処理を示すフローチャートである。
溢水発生推定装置1の演算処理部15は、操作入力部12により検出されたオペレータの処理開始操作に応じて、記憶部14からプログラム14Pを読み込んで、図3に示す溢水発生推定処理を開始する。ここでは、下水処理区域4内の任意の対象地区Pにおける溢水発生を推定する場合について説明する。
演算処理部15は、まず、データ入力部11により、下水処理区域4内の各対象地区の降水量データ21と下水流量計測点7の下水流量データ22を、外部装置や記録媒体から取り込んで、記憶部14へ降水量データ14Aおよび下水流量データ14Bとして保存する(ステップ100)。この際、降水量データ14Aおよび下水流量データ14Bとしては、例えば数年間の長期にわたって計測した下水流量および降水量のデータ列を用いる。
図4は、降水量データを示す説明図である。この降水量データR(P)は対象地区Pにおける各時点tに計測された単位時間当たりの降水量R(P,0),R(P,1),R(P,2),…からなる時系列データである。
図5は、下水流量データを示す説明図である。この下水流量データWは、下水流量計測点7における各時点tに計測された単位時間当たりの下水流量W(0),W(1),W(2),…からなる時系列データである。
次に、演算処理部15は、データ積算手段15Aにより、記憶部14から下水流量データ14Bを読み出して、降水量データ14Aを積算した際と同じ積算期間Tで、各時点tの下水流量W(t)をそれぞれ積算して、積算下水流量Wa(T,t)の時系列変化を示す積算下水流量データ14Dを算出し、記憶部14へ保存する(ステップ101)。この際、積算下水流量Wa(T,t)は、時点tから過去積算期間Tにわたる下水流量W(t−T)〜W(t)を積算して求める。
また、演算処理部15は、データ積算手段15Aにより、記憶部14から降水量データ14Aを読み出して、任意の積算期間Tで、各時点tの降水量R(P,t)をそれぞれ積算して、積算降水量Ra(P,T,t)の時系列変化を示す積算降水量データ14Cを算出し、記憶部14へ保存する(ステップ102)。この際、時点tにおける積算降水量Ra(P,T,t)は、時点tから過去積算期間Tにわたる当該対象地区Pの降水量R(P,t−T)〜R(P,t)を積算して求める。
図6は、積算下水流量データを示す説明図である。図6(a)は履歴データ2として入力された下水流量データ22(14A)を示しており、1時間当たりの下水流量(T=1時間と同じ)から構成されている。図6(b)は積算時間T=3時間のときに算出された積算下水流量データを示しており、計測時点tごとに過去3時間当たりの下水流量が合計された積算下水流量から構成されている。なお、図6(a)のように、入力された下水流量データ22の単位計測期間(1時間)と積算時間(T=1時間)が一致する場合、積算処理を省略して下水流量データ22をそのまま積算下水流量データ14Dとして利用すればよい。
次に、演算処理部15は、データ整合手段15Bにより、対象地区Pの積算降水量データ14Cと積算下水流量データ14Dを記憶部14から読み出し、異なる時間差Δtでそれぞれパターンマッチング分析する。次に、両者のマッチングの度合いを示す指標として、時間差Δtごとに相関値(パターンマッチ度)を算出して、これら相関値から両者の最大相関値(最大パターンマッチ度)を算出し、最大相関値が得られたときの時間差Δtに基づき、記憶部14から読み出した対象地区Pの降水量データ14Aと下水流量データ14Bとを時間的に整合させる(ステップ103)。
図7は、データ整合時のパターンマッチング分析を示す説明図である。パターンマッチング分析の具体例としては、図7に示すように、いずれか一方、例えば積算下水流量データWaを時間軸上で固定し、他方の積算降水量データRa(P)を時間軸上で順次シフトさせて両者の相関値C(P)をそれぞれ求め、その最大相関値Cmax(P,t)を選択すればよい。
なお、本実施の形態では、パターンマッチ度として両者の相関値を求める場合を例として説明したが、積算降水量データ14Cと積算下水流量データ14Dの類似性を表す指標であればよく、相関値以外のパターンマッチ度を用いてもよい。
また、上記整合の際、例えば下水流量データ14Bを時間差Δtだけ時間シフトさせて対象地区Pの降水量データ14Aに整合させ、対象地区Pの降水量データR(P)に対応した下水流量データWa(P,t)=W(t+Δt)として記憶部14へ保存してもよい(ステップ103)。あるいは、時間差Δtを記憶部14へ保存しておき、後述するパターンマッチング分析手段15Dにより対象地区Pの降水量データ14Aと下水流量データ14Bとを記憶部14から読み出す場合に、上記時間差Δtを考慮して対象地区Pの降水量データ14Aと下水流量データ14Bとを読み出すようにしてもよい。
なお、対象地区Pの降水量データ14Aと下水流量データ14Bとの時間差Δtが既知の場合には、データ整合手段15Bによる上記パターンマッチング分析を省くことができ、また履歴データ2においてすでに時間的整合が取れている場合には整合処理も省くことができる。
次に、演算処理部15は、解析対象期間選択手段15Cにより、記憶部14から対象地区Pにおける降水量データ14Aと積算降水量データ14Cを読み出し、これら降水量データ14Aと積算降水量データ14Cをそれぞれ所定のしきい値と比較して、対象地区Pで溢水が発生しうる解析対象期間Xを選択する(ステップ104)。
通常、短期間に集中して降雨があっただけでは雨水が地面にある程度吸収されるため溢水は発生しにくく、これに前後してある程度の期間にわたり降雨があった場合には地面の雨水が飽和状態となり溢水が発生しやすいと考えられる。したがって、対象地区Pの単位時間当たりの降水量すなわち降水量データ14Aが所定の短時間降水量しきい値を上回り、対象地区Pの長時間当たりの降水量すなわち積算降水量データ14Cが所定の長時間降水量しきい値を上回った場合、溢水が発生しうる解析対象期間Xとして選択する。
次に、演算処理部15は、パターンマッチング分析手段15Dにより、上記のようにして整合された対象地区Pでの解析対象期間Xにおける降水量データ14Aと下水流量データ14Bを記憶部14から読み出し、解析対象期間X内の任意の時間位置から固定的に選択した所定期間長Xsを有する下水流量データ14Bの単位区間Swと、同じく解析対象期間X内から選択した所定期間長Xsを有する降水量データ14Aの単位区間Sとをパターンマッチング分析して影響度E(P,S)を算出する。
図8は、影響度の算出を示す説明図である。図8に示すように、パターンマッチング分析手段15Dは、単位区間Sを所定の算出間隔ΔS(Xs>ΔS)で順次時間シフトさせて、それぞれの単位区間Sにおける降水量データR(P,S)と単位区間Swにおける下水流量データW(P,Sw)のマッチングの度合いを示す指標として相関値(パターンマッチ度)すなわち影響度E(P,S)を求める。
対象地区Pの単位区間Sにおける影響度E(P,S)は、そのときの下水流量に対する対象地区Pでの降水量の影響度合いを示しており、対象地区Pでの降水量の変化が下水流量の変化となって表れた場合、両者の相関が高くなって影響度の値も大きくなり、逆に対象地区Pでの降水量の変化が下水流量の変化となって表れなかった場合、両者の相関が低くなって影響度の値も小さくなる。
なお、単位区間Swについては、溢水が発生しやすい時間位置として、例えば解析対象期間X内の下水流量や降水量のピークを含む時間位置やその前後に設定すればよい。また、単位区間Sについては、解析対象期間Xの全域にわたり時間シフトさせてもよいが、例えば単位区間Swの前後所定期間幅で時間シフトさせることにより処理負担を軽減してもよい。
図9は、溢水発生推定対象を示す説明図である。図10は、降水量と影響度の関係を示す説明図であり、横軸は時間(単位区間S)を示し、第1の縦軸(左側)は影響度を示し、第2の縦軸(右側)は降水量を示している。
図9において、対象地区A(41)および対象地区B(42)は、解析対象領域40内に設けられた溢水発生推定対象地区である。また、解析対象領域40内には、管渠61と管渠62が埋設されており、これらが合流点60で下水流量計測点7のある下水処理場への管渠63に結合されている。
このようなケースにおいて、対象地区Aで降水量データ51Aのような降雨があった場合、図10の影響度データ31Aは、降水量の増減に連動して変化し、降水量の増加とともに下水流量の増加が顕著となって影響度が高くなっている。これは、対象地区Aでの降水量の変化が下水流量計測点7での下水流量の変化となって表れていることを示し、対象地区Aでの降雨が管渠61,63をそれぞれ滞りなく流れていることが予想される。
これに対して、対象地区Bで降水量データ51Bのような降雨があった場合、図10の影響度データ31Bは、降水量の増減に連動しておらず、降水量が増加しても下水流量はあまり増加せず影響度が低くなっている。これは、対象地区Bでの降水量の変化が下水流量計測点7での下水流量の変化となって表れていないことを示し、対象地区Bでの降雨が管渠62で滞っていることが予想される。
本実施の形態は、このような下水流量に対する降水量の影響度と溢水発生状況との関係に着目し、対象地区Pでの影響度を求めることにより、対象地区Pでの溢水発生度合いを推定している。
このようにして、演算処理部15は、パターンマッチング分析手段15Dにより対象地区Pでの影響度14Eを求めた後、溢水発生推定手段15Eにより、記憶部14の影響度14Eから、当該対象地区Pにおける溢水発生度合いを示す溢水発生推定データ14F、例えば影響度14Eの値(相関値−1〜1)の色分けデータや百分率に正規化したデータを生成して、記憶部14、画面表示部13、またはデータ出力部16へ出力し(ステップ106)、一連の溢水発生推定処理を終了する。したがって、各単位区間Sにおける影響度の時系列変化をオペレータが確認でき、降雨変化とは異なる変化を呈している場合には、当該対象地区Pが溢水発生領域であると判断できる。
このように、本実施の形態は、対象地区Pにおける降水量の時系列変化を示す降水量データ14Aと、管渠の下流に設けられた下水流量計測点7での下水流量の時系列変化を示す下水流量データ14Bとを、パターンマッチング分析手段15Dにより、所定の単位区間S,Swについてパターンマッチング分析して、両者のパターンマッチ度に基づき下水流量に対する降水量の影響度14Eを算出し、溢水発生推定手段15Eにより、この影響度14Eに基づいて対象地区Pでの溢水発生度合いを示す溢水発生推定データを生成するようにしたので、比較的入手しやすい降水量データや下水流量データに基づいて対象地区の溢水発生を容易に推定できる。
これにより、従来の河道や下水道に関する構造・設備データ、対象地区の地形データや土地の保水性を示すデータなど、極めて多くのデータを収集して氾濫解析モデルを生成する手法と比較して、極めて容易に対象地区の溢水発生を容易に推定できる。特に、土地の保水性を示す粗度係数や流出率などのデータについては土質調査が必要となり、作業負担やコストの面で実施が難しいが、本実施の形態で用いる降水量データや下水流量データは、例えばインターネットを介して容易かつ安価に入手することができ、溢水発生の推定に要する作業負担やコストを大幅に削減できる。
また、本実施の形態では、データ積算手段15Aにより、降水量データ14Aを所定の積算時間ごとに積算し、得られた積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データ14Cを算出し、解析対象期間選択手段15Cにより、降水量データ14Aおよび積算降水量データ14Cをそれぞれ所定のしきい値と比較して、対象地区Pで溢水が発生しうる解析対象期間Xを選択し、パターンマッチング分析手段15Dにより、解析対象期間Xにおける降水量データ14Aと下水流量データ14Bとをパターンマッチング分析するようにしたので、膨大に履歴データ2から溢水発生を推定する際でも、効率よくかつ精度良く溢水発生を推定できる。
また、本実施の形態では、データ整合手段15Bにより、降水量データ14Aと下水流量データ14Bの時間差を順次シフトさせて両者の相関値をそれぞれ求め、これら相関値のうち最大相関値が得られた時間差で両者の時間位置を整合させ、パターンマッチング分析手段15Dにより、整合後の降水量データ14Aと下水流量データ14Bとをパターンマッチング分析するようにしたので、特定地区から下水流量計測点7までの管渠経路やその管渠経路による雨水到達の遅れを詳細に把握するための情報および分析処理を必要とすることなく、対象地区Pと下水流量計測点7の間の時間遅れを考慮して、降水量および河川水量のみを用いて溢水発生を推定できる。
また、本実施の形態では、パターンマッチング分析手段15Dにより、単位区間Sごとに影響度をそれぞれ算出する場合について説明したが、解析対象期間X内の任意の時間位置に設けた1つの単位区間Sについて1つの影響度を算出するようにしてもよく、少ない処理量で効率よく影響度を得ることができる。
[第2の実施の形態]
次に、図11を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる溢水発生推定装置について説明する。図11は、本発明の第2の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の溢水発生分布生成処理を示すフローチャートである。
第1の実施の形態では、任意の対象地区に着目してその溢水発生を推定する場合を例として説明した。本実施の形態では、複数の対象地区に着目して溢水発生の分布を推定する場合について説明する。なお、溢水発生推定装置1の構成は前述の第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
[第2の実施の形態の動作]
溢水発生推定装置1の演算処理部15は、操作入力部12により検出されたオペレータの処理開始操作に応じて、記憶部14からプログラム14Pを読み込んで、図11に示す溢水発生分布生成処理を開始する。なお、以下の説明では、各対象地区Pの降水量データ21と下水流量計測点7の下水流量データ22からなる履歴データ2は、データ入力部11により、すでに記憶部14へ降水量データ14Aおよび下水流量データ14Bとして保存されているものとする。
演算処理部15は、まず、対象地区群(=P0,P1,P2,…)から、未処理の対象地区Pを選択し(ステップ110)、データ整合手段15Bにより、前述した図3のステップ103と同様にして、対象地区Pの降水量データ14Aに整合した下水流量データ14Bを生成する(ステップ111)。
次に、演算処理部15は、解析対象期間選択手段15Cにより、前述した図3のステップ104と同様にして、対象地区Pの解析対象期間Xを選択し(ステップ112)、パターンマッチング分析手段15Dにより、前述した図3のステップ105と同様にして、単位区間Sごとに解析対象期間X内の降水量データ14Aと下水流量データ14Bとをパターンマッチング分析し、両者の相関値を影響度E(P,S)として算出する(ステップ113)。
この後、演算処理部15は、全対象地区の処理が終了するまでステップ110に戻って上記処理を繰り返し実行する(ステップ114:NO)。
全対象地区の処理が終了した場合(ステップ114:YES)、演算処理部15は、溢水発生推定手段15Eにより、各対象地区Pの位置情報に基づき各影響度E(P,S)を補間処理し、対象地区の存在しない各地点の影響度を推定する(ステップ115)。
その後、溢水発生推定手段15Eは、これら影響度のうち同一値の地点を線分で結ぶことにより2次元の等高線マップを生成し(ステップ116)、単位区間Sに関する溢水発生分布を示す溢水発生推定データ14Fとして出力し(ステップ117)、一連の溢水発生分布生成処理を終了する。
なお、各単位区間Sに関する溢水発生分布を得る場合には、図11のステップ113,115−117を単位区間Sごとに繰り返し実行してもよく、図11の溢水発生分布生成処理全体を単位区間Sごとに繰り返し実行してもよい。
図12は、溢水発生分布の出力例を示す説明図である。解析対象領域内にメッシュ状に区画して設けられ対象地区ごとに算出された影響度14Eが、図12(a)に示すように2次元の等高線マップからなる溢水発生分布(14F)として表示され、極めて具体的に溢水発生領域を推定することができる。この際、当該解析対象領域の地図と重ね合わせて表示してもよい。
なお、図12(b)に示すように、等高線マップに代えて、各対象地区の影響度E(P,S)を所定数のクラスに正規化し、各対象地区の位置情報に基づき2次元で色分け表示した溢水発生分布データを生成し、溢水発生推定データとして出力してもよい。
[第3の実施の形態]
次に、図13を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる溢水発生推定装置について説明する。図13は、本発明の第3の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の溢水発生推定処理を示す説明図である。
第2の実施の形態では、任意の対象地区に着目してその溢水発生を影響度という度合いで出力する場合を例として説明した。本実施の形態では、対象地区の影響度と所定の影響度しきい値とを比較し、その比較結果に応じて当該対象地区での溢水発生有無を推定する場合について説明する。なお、溢水発生推定装置1の構成は前述の第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
[第3の実施の形態の動作]
溢水発生推定装置1の演算処理部15は、操作入力部12により検出されたオペレータの処理開始操作に応じて、記憶部14からプログラム14Pを読み込んで、前述した図3に示す溢水発生推定処理を開始する。
演算処理部15は、前述と同様に、図3のステップ100〜105を実行し、単位区間Sごとに対象地区Pにおける影響度E(P,S)をそれぞれ算出する。
次に、演算処理部15は、溢水発生推定手段15Eにより、記憶部14の影響度14Eを読み出し、個々の影響度E(P,S)と予め記憶部14に設定されている影響度しきい値14Gとそれぞれ比較する。ここで、影響度E(P,S)が影響度しきい値14Gを下回った場合、その下回った状態32を溢水発生と判断し、その判断結果に基づき溢水発生の有無を示す溢水発生推定データ14Fを記憶部14、画面表示部13、またはデータ出力部16へ出力し(ステップ106)、一連の溢水発生推定処理を終了する。
なお、影響度しきい値は、過去に溢水が発生した事例の履歴データに基づき、どの程度影響度が低下した場合に溢水が発生するかを統計処理して予め求めておけばよい。また、影響度しきい値は、各対象地区に共通の値を用いてもよいが、個々の対象地区Pの位置、地形、管渠構成などの特徴に応じて溢水発生条件が異なることから、対象地区ごとに影響度しきい値を求めておいてもよい。また、降雨の強さや継続時間などの降雨パターンに応じて溢水発生条件が異なることから、降水量データ14Aをいくつかにパターン化し、これらパターンごとに影響度しきい値を求めておいてもよい。
このように、本実施の形態は、溢水発生推定手段15Eにより、各影響度E(P,S)と影響度しきい値14Gとそれぞれ比較し、その比較結果に応じて当該対象地区での溢水発生有無を推定するようにしたので、影響度から得た溢水発生度合いと比較して、具体的な溢水発生推定データを提供できる。
[実施の形態の拡張]
以上の各実施の形態では、影響度算出に用いる下水流量データ14Bとして、下水流量計測点7で計測した下水流量データ22を用いる場合について説明したが、家庭や事業所などから出る生活排水(汚水)と雨(雨水)とを、地下に敷設した同じ系統の管渠を用いて下水処理場まで運ぶ合流式下水道が解析対象領域で用いられている場合、実測の下水流量データ22には、雨天時の下水流量データであっても、生活排水など晴天時の定常的な変動成分が含まれている。
このような場合には、下水流量データ22に基づき晴天時における下水流量を別途推定し、演算処理部15により、得られた晴天時下水流量を下水流量データ22から減算して雨天時下水流量を算出し、これを影響度算出に用いる下水流量データ14Bとして利用すればよい。晴天時下水流量については、例えば特開2002-208734号公報などの公知技術に基づき推定すればよい。
同様に、規模の大きい工場から定期的に処理水が排水される場合など、定期的な変動成分が下水流量データ22には、演算処理部15により、記憶部14の下水流量データ14Bから定常的な変動成分を除去しておけばよい。
また、対象地区については、下水処理区域内の降水量が得られる複数の計測ポイントを統合して設けてもよい。この場合は、統合の対象となる計測ポイントで計測された降水量の統計値、例えば平均値や代表値などそれぞれ算出し、当該対象地区の降水量として用いればよい。
本発明の第1の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の溢水発生推定動作を示す概略フロー図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の溢水発生推定処理を示すフローチャートである。 降水量データを示す説明図である。 下水流量データを示す説明図である。 積算下水流量データを示す説明図である。 データ整合時のパターンマッチング分析を示す説明図である。 影響度の算出を示す説明図である。 溢水発生推定対象を示す説明図である。 降水量と影響度の関係を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の溢水発生分布生成処理を示すフローチャートである。 溢水発生分布の出力例を示す説明図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる溢水発生推定装置の溢水発生推定処理を示す説明図である。
符号の説明
1…溢水発生推定装置、11…データ入力部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…記憶部、14A…降水量データ、14B…下水流量データ、14C…積算降水量データ、14D…積算下水流量データ、14E…影響度、14F…溢水発生推定データ、14P…プログラム、15…演算処理部、15A…データ積算手段、15B…データ整合手段、15C…解析対象期間選択手段、15D…パターンマッチング分析手段、15E…溢水発生推定手段、16…データ出力部、2…履歴データ、21…降水量データ、22…下水流量データ、3…溢水発生推定データ、31A…影響度データ(対象地区A)、31B…影響度データ(対象地区B)、32…溢水発生期間、4…下水処理区域、40…解析対象領域、41…対象地区A、42…対象地区B、5…気象データ観測システム、51A…降水量データ(対象地区A)、51B…降水量データ(対象地区B)、6,61,62,63…管渠、60…合流点、7…下水流量計測点、P…対象地区、S…単位区間(降水量データ)、Sw…単位区間(下水流量データ)、X…解析対象期間、Xs…期間長(単位区間)。

Claims (8)

  1. 任意の対象地区について地下に埋設されている管渠から降雨に応じて溢水が発生する度合いを推定する溢水発生推定装置であって、
    前記対象地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと、前記管渠の下流に設けられた計測点での下水流量の時系列変化を示す下水流量データとを記憶する記憶部と、
    前記降水量データと前記下水流量データとを所定の単位区間についてパターンマッチング分析し、両者のパターンマッチ度に基づき前記下水流量に対する前記降水量の影響度を算出するパターンマッチング分析手段と、
    前記影響度に基づいて前記対象地区での溢水発生度合いを示す溢水発生推定データを生成する溢水発生推定手段と
    を備えるとともに、
    前記降水量データを所定の積算時間ごとに積算し、得られた積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出するデータ積算手段と、
    前記降水量データおよび前記積算降水量データをそれぞれ所定のしきい値と比較して、前記対象地区で溢水が発生しうる解析対象期間を選択する解析対象期間選択手段と
    をさらに備え、
    前記パターンマッチング分析手段は、前記解析対象期間における前記降水量データと前記下水流量データとをパターンマッチング分析する
    ことを特徴とする溢水発生推定装置。
  2. 請求項1に記載の溢水発生推定装置において、
    前記降水量データと前記下水流量データの時間差を順次シフトさせて両者の相関値をそれぞれ求め、これら相関値のうち最大相関値が得られた時間差で両者の時間位置を整合させるデータ整合手段をさらに備え、
    前記パターンマッチング分析手段は、前記整合後の降水量データと下水流量データとをパターンマッチング分析する
    ことを特徴とする溢水発生推定装置。
  3. 請求項1に記載の溢水発生推定装置において、
    前記溢水発生推定手段は、複数の対象地区の位置情報に基づいて前記対象地区ごとに得られた前記影響度を補間処理し、前記各対象地区での溢水発生度合いを示す2次元の溢水発生分布データを生成し、前記溢水発生推定データとして出力することを特徴とする溢水発生推定装置。
  4. 請求項1に記載の溢水発生推定装置において、
    前記溢水発生推定手段は、前記影響度と所定の影響度しきい値との比較結果に応じて、前記対象地区での溢水発生有無を推定し、前記溢水発生推定データとして出力することを特徴とする溢水発生推定装置。
  5. 任意の対象地区について地下に埋設されている管渠から降雨に応じて溢水が発生する度合いを推定する溢水発生推定装置のコンピュータに、
    記憶部により、前記対象地区における降水量の時系列変化を示す降水量データと、前記管渠の下流に設けられた計測点での下水流量の時系列変化を示す下水流量データとを記憶する記憶ステップと、
    パターンマッチング分析手段により、前記降水量データと前記下水流量データとを所定の単位区間についてパターンマッチング分析し、両者のパターンマッチ度に基づき前記下水流量に対する前記降水量の影響度を算出するパターンマッチング分析ステップと、
    溢水発生推定手段により、前記影響度に基づいて前記対象地区での溢水発生度合いを示す溢水発生推定データを生成する溢水発生推定ステップと
    を実行するとともに、
    データ積算手段により、前記降水量データを所定の積算時間ごとに積算し、得られた積算降水量の時系列変化を示す積算降水量データを算出するデータ積算ステップと、
    解析対象期間選択手段により、前記降水量データおよび前記積算降水量データをそれぞれ所定のしきい値と比較して、前記対象地区で溢水が発生しうる解析対象期間を選択する解析対象期間選択ステップと
    をさらに実行し、
    前記パターンマッチング分析ステップで、前記パターンマッチング分析手段により、前記解析対象期間における前記降水量データと前記下水流量データとをパターンマッチング分析する
    ことを特徴とするプログラム。
  6. 請求項に記載のプログラムにおいて、
    データ整合手段により、前記降水量データと前記下水流量データの時間差を順次シフトさせて両者の相関値をそれぞれ求め、これら相関値のうち最大相関値が得られた時間差で両者の時間位置を整合させるデータ整合ステップをさらに実行し、
    前記パターンマッチング分析ステップで、前記パターンマッチング分析手段により、前記整合後の降水量データと下水流量データとをパターンマッチング分析する
    ことを特徴とするプログラム。
  7. 請求項に記載のプログラムにおいて、
    前記溢水発生推定ステップで、前記溢水発生推定手段により、複数の対象地区の位置情報に基づいて前記対象地区ごとに得られた前記影響度を補間処理し、前記各対象地区での溢水発生度合いを示す2次元の溢水発生分布データを生成し、前記溢水発生推定データとして出力することを特徴とするプログラム。
  8. 請求項に記載のプログラムにおいて、
    前記溢水発生推定ステップで、前記溢水発生推定手段により、前記影響度と所定の影響度しきい値との比較結果に応じて、前記対象地区での溢水発生有無を推定し、前記溢水発生推定データとして出力することを特徴とするプログラム。
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