JP2007022868A - ガラスの製造方法 - Google Patents

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紀之 吉田
Hironori Takase
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    • C03B5/16Special features of the melting process; Auxiliary means specially adapted for glass-melting furnaces
    • C03B5/42Details of construction of furnace walls, e.g. to prevent corrosion; Use of materials for furnace walls
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Abstract

【課題】 白金との接触に起因する泡の発生を抑制するとともに、うねりが小さいガラスを作製可能なガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】 ガラス原料を溶融する溶融槽と、溶融されたガラス融液を攪拌する攪拌槽と、ガラス融液を成形する成形装置とを含み、攪拌槽と成形装置とが白金製の供給経路にて接続されたガラス製造装置において、前記供給経路が密閉構造であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明はガラスの製造装置及び製造方法に関するものであり、電子デバイス用板ガラス、特に液晶ディスプレイ用基板ガラスのような高い品質が求められるディスプレイ用基板ガラスの製造に好適なガラスの製造装置及び製造方法に関するものである。
ガラスを工業的に生産する場合、ガラス原料を溶融し、清澄、攪拌した後、ガラス融液を成形装置に供給して所望の形状に成形する方法が一般的に用いられている。特に液晶ディスプレイの基板ガラスのような高品質が求められる板ガラスでは、製造装置からの汚染等によって表示欠陥となる異物や泡が発生しないように、清澄、攪拌、供給等の各工程を白金容器内で行っている。
ところが従来より、白金とガラス融液との接触に起因して泡が発生するという問題が指摘されている。この現象は電池現象と呼ばれ、ガラス融液−白金−雰囲気の三相が接する部分が存在し、ガラス融液の温度差や組成の濃淡が生じた場合に起こることが報告されている。(例えば非特許文献1)
そこでこの問題を解決すべく、特許文献1ではガラス融液と接する雰囲気を、酸素分圧の低い状態にする技術が提案されている。
"An Electrochemical Theory for Oxygen Reboil" by J. H. Cowan, Journal of The American Ceramic Society, Vol.49, No.10 特公昭43−21644号公報
特許文献1では、ガラス融液が白金と接する部位の雰囲気に、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性な気体を供給して酸素分圧を低下させ、白金との接触に起因する泡の発生を防止している。
ところが、この方法を利用してガラス、特に板ガラスを製造すると、ガラス表面に大きなうねりが発生することが確認された。うねりの高さが大きいと、特に液晶ディスプレイ等の基板用ガラスでは、成膜工程でパターンが断線したり、ショートしたりするという不具合を引き起こすことがある。なおここでいう「うねりの高さ」とは、板ガラス表面上の一定長さ(例えば20mm)内における表面凹凸の高低差の最大値を意味する。
本発明の目的は、白金との接触に起因する泡の発生を抑制するとともに、うねりが小さいガラスを作製可能なガラスの製造方法を提供することである。
本発明者等は種々の検討を行った結果、ガラス融液上に不活性な気体を導入する上記特許文献1の方法では、導入される気体とガラス融液との温度差が大きいためにガラス融液の不均質を招き、ガラス表面のうねりが大きくなることに着目した。導入される気体の温度を溶融ガラスと同等になるように調節することも考えられるが、これを適用するには大がかりな装置が必要となり、現実的でない。そこで攪拌され均質化された後のガラス融液を、酸素含有雰囲気、即ち外部雰囲気と接しないようにしながら成形装置へ供給することにより、上記目的が達成できることを見いだし、本発明として提案するものである。
即ち、本発明のガラス製造装置は、ガラス原料を溶融する溶融槽と、溶融されたガラス融液を攪拌する攪拌槽と、ガラス融液を成形する成形装置とを含み、攪拌槽と成形装置とが白金製の供給経路にて接続されたガラス製造装置において、前記供給経路が密閉構造であることを特徴とする。
また本発明のガラスの製造方法は、ガラス原料を溶融し、攪拌した後、白金製の供給経路でガラス融液を成形装置に供給し、成形するガラスの製造方法において、供給経路内のガラス融液を外部雰囲気と接することなく成形装置に供給することを特徴とする。
本発明によれば、攪拌後の清浄なガラス融液が、酸素雰囲気と接することなく成形装置に供給されるため、白金との接触に起因する泡を減少させることができ、泡品位に優れたガラスを作製することができる。しかも不活性な気体をガラス融液上に導入する必要がないため、ガラスの品位に悪影響を及ぼすことがない。
本発明において、白金接触に起因する泡が減少すると考えられる理由を説明する。
白金容器内では、ガラス融液−白金−雰囲気の三相が接する部分で以下の反応(反応A)が生じて雰囲気中の酸素がガラス融液中に供給される。
反応A: 1/2O2 (雰囲気中) + 2e- → O2-
またこのとき消費される電子は、ガラス融液−白金界面で以下の反応(反応B)が起こることによって提供されると考えられる。その結果として白金界面で酸素泡が発生することになる。
反応B: O2- → 1/2O2 (酸素泡)+ 2e-
この現象は、一般に電池現象と呼ばれ、ガラス融液の温度差や濃度差がきっかけとなって生じると説明されている。
ところでガラス製品に混入する泡は、ガラス製造の様々な工程で発生するが、早い時期に生じた泡は、清澄、攪拌等の工程を通じて除去されやすい。これに対して成形直前、特に攪拌工程後に生じた泡は除去される機会が殆どなく、製品中に混入しやすい。そこで本発明では、攪拌後にガラス融液が雰囲気と接しないようにすることによって、この部分で反応Aが起こらないようにしている。その結果、反応Bを防止することができ、攪拌工程後の酸素泡の発生を効果的に抑制することができる。
以下、本発明のガラス製造装置を詳述する。
本発明のガラス製造装置は、ガラス原料を溶融する溶融槽と、溶融されたガラス融液を攪拌する攪拌槽と、ガラス融液を成形する成形装置とを含む。また必要に応じてガラス融液を清澄する清澄槽や、ガラス融液を成形に適した状態に調節する調整槽等を設けてもよい。
溶融槽と攪拌槽、攪拌槽と成形装置のように各槽間は、それぞれ供給経路で接続されているが、本発明の装置では、ガラス融液の汚染を防止するために、少なくとも攪拌槽と成形装置とを結ぶ供給経路は白金製の容器で形成されている。また極めて高い品位が要求される液晶ディスプレイ用基板ガラス等の製造装置では、溶融槽より下流側は全て白金容器を使用することが望ましい。なお本発明において、「白金」とは、白金族元素又は白金族元素合金を意味する。また「容器」とは、内部にガラス融液を保持し、或いは移送する槽状、ポット状、パイプ状等種々の形態を含み、白金で成形されたもののみならず、少なくともガラス融液の接触部分が白金箔で内張されたものも含む。
攪拌槽と成形装置とを結ぶ白金製の供給経路は、密閉構造を有している。ここで密閉構造とは、ガラス融液が全く雰囲気と接しない容器構造(図1参照)であるか、或いは雰囲気と接しているとしてもその雰囲気が外部雰囲気と連通していない容器構造(図2参照)であることを意味する。このような構造によって、供給経路内を通過するガラス融液は、酸素の供給を殆ど受けることなく攪拌槽から成形装置へと移送される。なお攪拌槽が複数存在する場合、最終の攪拌槽と成形装置間の供給経路が密閉状態であればよい。
成形装置は特に限定されるものではないが、例えば板ガラス成形装置であることが好ましい。特に液晶ディスプレイ用基板ガラス等の高品位の板ガラスを得たい場合には、オーバーフローダウンドロー装置を採用することが望ましい。
次に本発明のガラスの製造方法を詳述する。この製造方法は、上記したようなガラス製造装置を採用することによって好適に実施できる。
本発明の方法は、ガラス原料を溶融する工程と、ガラス融液を攪拌する工程と、ガラス融液を成形する工程とを含む。また必要に応じてガラス融液を清澄する工程や、ガラス融液の状態を成形に適した状態に調節する調整工程等を設けてもよい。
各工程間のガラスの移送は、供給経路を用いて行うが、本発明の方法ではガラス融液の汚染を防止するために、少なくとも攪拌工程と成形工程とを結ぶ供給経路には白金製の容器を採用する。また極めて高い品位が要求される液晶ディスプレイ用基板ガラス等の製造においては、溶融工程より下流工程は全て白金容器内で行うことが望ましい。
白金製の供給経路にて攪拌工程から成形工程へガラス融液を移送する場合、ガラス融液が外部雰囲気と接しないようにすることが重要である。ここでガラス融液が外部雰囲気に接しないようにするとは、ガラス融液が全く雰囲気と接しない状態(図1参照)であるか、或いは雰囲気と接しているとしてもその雰囲気が外部雰囲気と連通していない状態(図2参照)であることを意味する。このような状態を保つことによって、酸素の供給を殆ど受けることなくガラス融液を攪拌工程から成形工程へ移送することができる。
成形工程では、種々の方法によってガラス融液を板ガラス等、所望の形状に成形することができる。特に液晶ディスプレイ用基板ガラス等の高品位の板ガラスを得たい場合には、オーバーフローダウンドロー法にて板ガラス成形することが望ましい。
以下、実施例を用いて本発明の方法を説明する。図3は、本発明方法を実施するためのガラス製造装置の一例を示している。図中、1は溶融槽、2は清澄槽、3は攪拌槽、4は調整槽、5は成形装置、6、7、8、9は接続管である。また溶融装置1及び成形装置5は耐火物にて作製されているが、それ以外の装置、即ち清澄槽2、攪拌槽3、供給槽4,接続管6、7、8、9はすべて白金製である。
溶融槽1は、接続管6を介して清澄槽2に接続されている。溶融槽1に供給されたガラス原料は、溶融槽1内で溶解、ガラス化される。その後、ガラス融液は接続管6を通って清澄槽2に導かれる。
清澄槽2は、接続管6を介して溶融槽1と、また接続管7を介して攪拌槽3と接続されている。溶融槽1から供給されたガラス融液は、清澄槽2内で脱泡、均質化される。その後、ガラス融液は接続管7を通って攪拌槽3へ導かれる。
攪拌槽3は、接続管7を介して清澄槽2と、また接続管8を介して調整槽4に接続されている。清澄槽2から導かれたガラス融液は、攪拌槽3内のスターラー10で攪拌され、均質化される。その後、ガラス融液は接続管8を通って調整槽4に導かれる。
調整槽4は、接続管8を介して攪拌槽3と、また接続管9を介して成形装置5に接続されている。攪拌槽3から導かれたガラス融液は、調整槽4内で成形に適した温度、粘度に調整される。その後、ガラス融液は接続管9を通って成形装置5に導かれる。
成形装置5は、接続管9を介して調整槽4と接続されている。成形装置5としては、例えばオーバーフローダウンドロー装置等の板ガラス成形装置が採用される。調整槽4から導かれたガラス融液は、成形装置5によって所定の形状、例えば板ガラスに成形された後、図示しない取り出し装置により取り出される。
さらに上記のガラス製造装置は、攪拌槽3と成形装置5を結ぶ供給経路、即ち接続管8、調整槽4、及び接続管9が密閉構造となっている。つまり攪拌槽3を出たガラス融液は、外部雰囲気との接触がない状態で接続管8、調整槽4及び接続管9を通過し、成形装置5に供給される。なお従来のガラス製造装置は、当該供給経路が密閉構造を有しておらず、例えば調整槽4上部がガス抜き等のために開口している。
次に、上記ガラス製造装置を用いてガラスを製造する方法を説明する。
まずガラス原料を溶融装置1に供給し、ガラス原料を溶解、ガラス化する。続いてガラス融液を清澄槽2内で清澄し、攪拌槽3に導く。攪拌槽3では、ガラス融液をスターラー10にて攪拌し均質化させる。ガラス溶融の初期で発生した泡の多くは、この清澄、攪拌工程を通して除去される。
続いて攪拌槽3から調整槽4にガラス融液を導き、成形に適した温度、粘度に調整し、成形装置5へ送る。このとき攪拌槽3から出たガラス融液は、密閉構造の接続管8、9及び調整槽4内を移動することになり、ガラス融液を外部雰囲気と接触させない状態で成形装置に供給できる。このため攪拌工程と成形工程との間で、白金との接触に起因する泡が発生しにくくなる。
その後、供給されたガラス融液を成形装置5にて板状に成形する。
なお、本実施例においては一つの工程を一つの装置(槽)で行う例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば一つの装置内で溶融工程、清澄工程が行われることもあれば、溶融工程を複数の溶融槽で行うこともある。
本発明の製造方法は、液晶ディスプレイ用基板等のディスプレイ用基板ガラスだけでなく、その他の電子デバイス用板ガラス、例えばCCDやLDのカバーガラス等を製造する場合にも適用できる。
攪拌槽と成形装置を結ぶ供給経路の説明図である。 攪拌槽と成形装置を結ぶ供給経路の説明図である。 本発明を実施するためのガラス製造装置の一例を示す説明図である。
符号の説明
1 溶融槽
2 清澄槽
3 攪拌槽
4 調整槽
5 成形装置
6、7、8、9 接続管
10 スターラー

Claims (6)

  1. ガラス原料を溶融する溶融槽と、溶融されたガラス融液を攪拌する攪拌槽と、ガラス融液を成形する成形装置とを含み、攪拌槽と成形装置とが白金製の供給経路にて接続されたガラス製造装置において、前記供給経路が密閉構造であることを特徴とするガラス製造装置。
  2. 成形装置が板ガラス成形装置であることを特徴とする請求項1のガラス製造装置。
  3. 成形装置がオーバーフローダウンドロー装置であることを特徴とする請求項1又は2のガラス製造装置。
  4. ガラス原料を溶融し、攪拌した後、白金製の供給経路でガラス融液を成形装置に供給し、成形するガラスの製造方法において、供給経路内のガラス融液を外部雰囲気と接することなく成形装置に供給することを特徴とするガラスの製造方法。
  5. 板ガラス成形することを特徴とする請求項4のガラスの製造方法。
  6. オーバーフローダウンドロー法にて板ガラス成形することを特徴とする請求項4又は5のガラスの製造方法。
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