JP6499250B2 - ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置 - Google Patents

ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置に関する。
ガラス基板は、一般的に、ガラス原料から熔融ガラスを生成させた後、熔融ガラスをガラス基板へと成形する工程を経て製造される。上記の工程中には、熔融ガラスが内包する微小な気泡を除去する工程(以下、清澄ともいう)が含まれる。清澄は、清澄槽の本体(清澄管)を加熱しながら、この清澄管に清澄剤を配合させた熔融ガラスを通過させ、清澄剤の酸化還元反応により熔融ガラス中の泡が取り除かれることで行われる。より具体的には、粗熔解した熔融ガラスの温度をさらに上げて清澄剤を機能させ泡を浮上脱泡させた後、温度を下げることにより、脱泡しきれずに残った比較的小さな泡は熔融ガラスに吸収させるようにしている。すなわち、清澄は、泡を浮上脱泡させる脱泡処理および小泡を熔融ガラスへ吸収させる吸収処理を含む。
成形前の高温の熔融ガラスに接する部材の内壁は、その部材に接する熔融ガラスの温度、要求されるガラス基板の品質等に応じ、適切な材料により構成する必要がある。たとえば、上述の清澄管を構成する材料には、通常、白金、白金合金等の白金族金属が用いられている(特許文献1)。白金族金属は、融点が高く、熔融ガラスに対する耐食性にも優れている。
特開2010−111533号公報
白金族金属が内壁面に用いられた清澄管を熔融ガラスが通過するとき、加熱された内壁面のうち気相空間に接する部分において白金族金属が酸化され、揮発する場合がある。一方、白金族金属の酸化物は、局所的に温度が低下した清澄管の位置で還元され、内壁面に付着する場合がある。内壁面に付着した白金族金属は落下して熔融ガラス中に混入し、ガラス基板内に異物として残存するおそれがある。このような異物を含んだガラス基板は、欠陥品として扱われるおそれがある。
このような白金族金属の揮発を抑制するために、清澄管内に不活性ガスを流して酸素濃度を下げることが知られている。しかし、不活性ガスを流しても酸素濃度が下がらない場合があることがわかった。
本発明は、清澄管内の酸素濃度を低減し、白金族金属の異物の熔融ガラスへの混入を抑えることを目的とする。
本発明は、以下の形態のガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置を含む。
(1):清澄管を用いて熔融ガラスの清澄を行う清澄工程を備え、
前記清澄工程では、前記熔融ガラスの液面の上方に気相空間が形成されるように前記熔融ガラスを前記清澄管内に流しながら前記清澄を行い、
前記清澄管は、白金族金属を含む材料で構成され、前記気相空間と接する壁部に、前記気相空間内の気体を排出する通気孔と、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを前記気相空間内に供給する供給孔と、を有し、前記通気孔および前記供給孔は、前記熔融ガラスの流れ方向に互いに離間して配置され、
前記清澄工程では、前記通気孔から排出される前記気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行う制御中に、前記酸素濃度が前記目標値より高い第1の許容値を超えた場合に、前記通気孔から前記不活性なガスを前記気相空間に供給することを特徴とするガラス基板の製造方法。
(2):前記清澄工程では、前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行う際、前記酸素濃度が前記第1の許容値を超える前に、前記第1の許容値より低く、前記目標値より高い酸素濃度である第2の許容値を超えた場合に、前記供給孔からの前記不活性なガスの供給量を、前記酸素濃度が前記目標値以下である場合の前記供給孔からの前記不活性なガスの供給量よりも増やす、上記(1)に記載のガラス基板の製造方法。
(3):前記清澄管の使用に伴って前記通気孔と前記供給孔との間の前記壁部の部分が変形
したことに起因して前記酸素濃度が前記流れ方向に不均一になることを抑制するように、
前記不活性なガスを供給する、上記(1)または上記(2)に記載のガラス基板の製造方法。
(4):前記清澄管の使用に伴って前記壁部に形成された開孔から前記気相空間内に流入する外気の流入量を低減するように前記不活性なガスを供給する、上記(1)〜上記(3)のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
(5):前記清澄管の使用に伴って前記壁部に形成された開孔の位置と、前記開孔に起因して変化する前記酸素濃度の変化との間の、予め求めた対応関係を用いて、前記通気孔における前記酸素濃度の計測値の変化の情報から前記開孔の位置を特定する、上記(1)〜上記(4)のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
(6):前記流れ方向に沿った、前記開孔と前記通気孔との距離の大きさに応じて、前記不活性なガスの供給量を調節する、上記(5)に記載のガラス基板の製造方法。
(7):さらに、前記位置を特定した前記開孔から前記不活性なガスを前記気相空間内に供給する、上記(5)または上記(6)に記載のガラス基板の製造方法。
(8):前記清澄工程では、前記酸素濃度が目標値以下となるよう、制御された供給量で前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行い、かつ制御された排出量で前記通気孔から前記気体を排出する制御中に、前記酸素濃度が前記第1の許容値を超えた場合に、前記通気孔からの前記気体の排出量を低減する、上記(1)〜上記(7)のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
(9):清澄管を用いて熔融ガラスの清澄を行う清澄工程を備え、
前記清澄工程では、前記熔融ガラスの液面の上方に気相空間が形成されるように前記熔融ガラスを前記清澄管内に流しながら前記清澄を行い、
前記清澄管は、白金族金属を含む材料で構成され、前記気相空間と接する壁部に、前記気相空間内の気体を排出する通気孔と、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを前記気相空間内に供給する供給孔と、を有し、前記通気孔および前記供給孔は、前記熔融ガラスの流れ方向に互いに離間して配置され、
前記清澄工程では、前記通気孔から排出される前記気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう制御された供給量で前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行い、かつ制御された排出量で前記通気孔から前記気体を排出する制御中に、前記酸素濃度が前記目標値より高い第3の許容値を超えた場合に、前記通気孔からの前記気体の排出量を低減することを特徴とするガラス基板の製造方法。
(10):前記清澄工程では、前記通気孔からの前記気体の排出量を低減した後、前記供給孔からの前記不活性なガスの供給量を、前記酸素濃度が前記目標値以下である場合の供給量よりも増やす、上記(9)に記載のガラス基板の製造方法。
(11):前記清澄管の使用に伴って前記壁部に形成された開孔から前記気相空間内に流入する外気の流入量を低減するように前記気体の排出量を低減する、上記(9)または上記(10)に記載のガラス基板の製造方法。
(12):前記清澄管の使用に伴って前記壁部に形成された開孔の位置と、前記開孔に起因して変化する前記酸素濃度の変化との間の、予め求めた対応関係を用いて、前記通気孔における前記酸素濃度の計測値の変化の情報から前記開孔の位置を特定する、上記(9)〜(11)のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
(13):前記流れ方向に沿った前記開孔と前記通気孔との距離の大きさに応じて、前記気体の排出量を調節する、上記(12)に記載のガラス基板の製造方法。
(14):さらに、前記位置を特定した開孔から前記不活性なガスを前記気相空間内に供給する、上記(12)または上記(13)に記載のガラス基板の製造方法。
(15):前記開孔の径は通気孔の径の50%以上の大きさである、上記(5)〜上記(7)及び上記(12)〜上記(14)のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
(16):前記不活性なガスの供給量は、前記清澄後の熔融ガラスに泡が発生しないように調節される、上記(1)〜上記(15)のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
(17):熔融ガラスの液面の上方に気相空間が形成されるように前記熔融ガラスを通過させながら前記熔融ガラスの清澄を行う清澄管であって、白金族金属を含む材料で構成され、前記気相空間と接する壁部に、前記気相空間内の気体を排出する通気孔と、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを前記気相空間内に供給する供給孔と、を有し、前記通気孔および前記供給孔は、前記熔融ガラスの流れ方向に互いに離間して配置された清澄管と、
前記不活性なガスを前記気相空間内に供給する不活性ガス供給装置と、
前記通気孔から排出される前記気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行う制御中に、前記酸素濃度が前記目標値より高い第1の許容値を超えた場合に、前記通気孔から前記不活性なガスを前記気相空間に供給するように、前記不活性ガス供給装置を制御する制御装置と、を備えることを特徴とするガラス基板製造装置。
(18):熔融ガラスの液面の上方に気相空間が形成されるように前記熔融ガラスを通過させながら前記熔融ガラスの清澄を行う清澄管であって、白金族金属を含む材料で構成され、前記気相空間と接する壁部に、前記気相空間内の気体を排出する通気孔と、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを前記気相空間内に供給する供給孔と、を有し、前記通気孔および前記供給孔は、前記熔融ガラスの流れ方向に互いに離間して配置された清澄管と、
前記不活性なガスを前記気相空間内に供給する不活性ガス供給装置と、
前記通気孔から排出される前記気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう制御された供給量で前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行い、かつ制御された排出量で前記通気孔から前記気体を排出する制御中に、前記酸素濃度が前記目標値より高い第3の許容値を超えた場合に、前記通気孔からの前記気体の排出量を低減するように、前記不活性ガス供給装置を制御する制御装置と、を備えることを特徴とするガラス基板製造装置。
本発明によれば、清澄管内の酸素濃度を低減し、白金族金属の異物の熔融ガラスへの混入を抑えることができる。
ガラス基板の製造方法を示すフロー図である。 ガラス基板製造装置の概略図である。 図2に示す清澄管の概略図である。 (a)は、第1実施形態における損傷した清澄管を説明する図であり、(b)は、第1実施形態における通気孔からの不活性ガスの供給を説明する図である。 (a)は、第2実施形態における損傷した清澄管を説明する図であり、(b)は、第2実施形態における通気孔からの気体の排出量の低減を説明する図である。
以下、本実施形態のガラス基板の製造方法およびガラス基板製造装置について説明する。
(ガラス基板の製造方法の全体概要)
図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。ガラス基板の製造方法は、熔解工程(ST1)、清澄工程(ST2)、均質化工程(ST3)、供給工程(ST4)、成形工程(ST5)、徐冷工程(ST6)、および、切断工程(ST7)を主に有する。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有してもよい。製造されたガラス基板は、必要に応じて梱包工程で積層され、納入先の業者に搬送される。
熔解工程(ST1)では、ガラス原料を加熱することにより熔融ガラスを作る。
清澄工程(ST2)では、熔融ガラスを昇温することにより、熔融ガラス中に含まれる酸素、COあるいはSOを含んだ泡を発生させる。この泡が、熔融ガラス中に含まれる清澄剤(酸化スズ等)の還元反応により生じた酸素を吸収して成長し、熔融ガラスの液面に浮上して放出される。その後、清澄工程では、熔融ガラスの温度を降温することにより、清澄剤の還元反応により生成した還元物質の酸化反応を促進させる。これにより、熔融ガラスに残存する泡中の酸素等のガス成分が熔融ガラス中に再吸収されて、泡が消滅する。
均質化工程(ST3)では、スターラを用いて熔融ガラスを撹拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。これにより、脈理等の原因であるガラスの組成ムラを低減することができる。均質化工程は、後述する撹拌槽において行われる。
供給工程(ST4)では、均質化された熔融ガラスが成形装置に供給される。
成形工程(ST5)及び徐冷工程(ST6)は、成形装置で行われる。
成形工程(ST5)では、熔融ガラスを所定の厚さの帯状ガラスであるシートガラスに成形し、シートガラスの流れを作る。成形には、フロート法やフュージョン法(オーバーフローダウンドロー法)等が用いられるが、フュージョン法では製造ライン上の徐冷装置を長くすることが困難であることから、オフラインにおける熱処理(後述)を含むガラス基板の製造方法には、フュージョン法が適している。
徐冷工程(ST6)では、成形されて流れるシートガラスが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、反りが生じないように冷却される。
切断工程(ST7)では、徐冷後のシートガラスを所定の長さに切断することで、板状のガラス基板を得る。シートガラスを、所定の長さの素板に切断することを採板ともいう。採板により得られたガラス基板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作られる。
なお、切断工程(ST7)において、採板により得られたガラス基板は、例えば、図示されない搬送機構により、ピンチング保持されつつ、熱処理工程を行う炉に誘導、搬送され、熱処理が行なわれてもよい。採板後あるいは熱処理後のガラス基板は、さらに切断を行う装置に搬送され、製品のサイズに切断され、ガラス基板が得られる。切断工程(ST7)によって得られたガラス基板は、例えば、以下の工程が行われる。
研削工程および研磨工程において、ガラス基板の端面の研削、研磨およびコーナカットを含む端面加工が行われる。端面加工後のガラス基板は、洗浄工程において、ガラス表面の微細な異物や汚れを取り除くために、洗浄(第1洗浄)される。第1洗浄後、例えば、ガラス基板に対して、粗面化工程及びすすぎ工程を含む表面処理が行われる。表面処理後、さらにガラス基板の洗浄(第2洗浄)を行い、洗浄されたガラス基板は、検査工程において、キズ、塵、汚れあるいは光学欠陥を含む傷が無いか、光学的検査が行われる。検査により品質の適合したガラス基板は、梱包工程において、ガラス基板を保護する紙と交互に積層された積層体としてパレットに積載されて梱包される。梱包されたガラス基板は納入先業者に出荷される。
(ガラス基板製造装置の全体概要)
図2は、本実施形態における熔解工程(ST1)〜切断工程(ST7)を行うガラス基板製造装置の概略図である。ガラス基板製造装置は、図2に示すように、主に熔解装置100と、成形装置200と、切断装置300と、を有する。熔解装置100は、熔解槽101と、清澄管102と、撹拌槽103と、移送管104、105と、ガラス供給管106と、を有する。
図2に示す熔解槽101には、図示されないバーナー等の加熱手段が設けられている。熔解槽101には清澄剤が添加されたガラス原料が投入され、熔解工程(ST1)が行われる。熔解槽101で熔融した熔融ガラスは、移送管104を介して清澄管102に供給される。
清澄管102では、熔融ガラスMGの温度を調整して、清澄剤の酸化還元反応を利用して熔融ガラスの清澄工程(ST2)が行われる。具体的には、清澄管102内の熔融ガラスが昇温されることにより、熔融ガラス中に含まれる酸素、COあるいはSOを含んだ泡が、清澄剤の還元反応により生じた酸素を吸収して成長し、熔融ガラスの液面に浮上して気相空間に放出される。その後、熔融ガラスの温度を低下させることにより、清澄剤の還元反応により生成した還元物質が酸化反応を行う。これにより、熔融ガラスに残存する泡中の酸素等のガス成分が熔融ガラス中に再吸収されて、泡が消滅する。清澄後の熔融ガラスは、移送管105を介して撹拌槽103に供給される。
撹拌槽103では、スターラ103aによって熔融ガラスが撹拌されて均質化工程(ST3)が行われる。撹拌槽103で均質化された熔融ガラスは、ガラス供給管106を介して成形装置200に供給される(供給工程ST4)。
成形装置200では、例えばオーバーフローダウンドロー法により、熔融ガラスからシートガラスSGが成形され(成形工程ST5)、徐冷される(徐冷工程ST6)。
切断装置300では、シートガラスSGから切り出された板状のガラス基板が形成される(切断工程ST7)。
(清澄管の構成)
次に、図3を参照して、清澄管102の構成について説明する。図3は、清澄管102の構成を示す概略図である。
清澄管102は、白金族金属を含む材料で構成された管状の部材である。白金族金属とは、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)の6元素を指す。白金族金属を含む材料には、単一の元素からなる白金族金属または白金族金属の合金からなる材料が用いられる。例えば、白金または白金合金が用いられる。
清澄管102の外周面には、フランジ状の電極121a、121b、121cが接続されている。電極121a〜121cは、図3に示す例において、清澄管102の長手方向の両端および中央位置の3箇所に配置されている。電極121a〜121cは、電源装置122に接続されている。電極121a、121b間、および、電極121b、121c間のそれぞれに電圧が印加されることにより、電極121a、121b間、電極121b、121c間のそれぞれに電流が流れて、清澄管102が通電加熱される。
この通電加熱により、電極121a、121b間では、清澄管102の最高温度が例えば、1600℃〜1750℃、より好ましくは1630℃〜1750℃となるよう加熱され、清澄管102内を流れる熔融ガラスの最高温度は、脱泡に適した温度1600℃〜1720℃、より好ましくは1620℃〜1720℃に加熱される。また、電極121b、121c間では、清澄管102の最高温度が例えば、1590℃〜1670℃、より好ましくは1620℃〜1670℃となるよう加熱され、清澄管102内を流れる熔融ガラスの最高温度は、吸収に適した温度1590℃〜1640℃、より好ましくは1610℃〜1640℃に加熱される。
電源装置122は、制御装置123によって制御される。制御装置123は、電源装置122が清澄管102に通電させる電流量を制御し、これにより清澄管102を通過する熔融ガラスの温度を制御する。制御装置123は、CPU、メモリ等を含むコンピュータである。
また、電極121a〜121cは、水または空気を用いて冷却される。このため、清澄管102には、電極121a〜121cの配置位置と対応して、局所的に温度の下がった領域が形成される。
清澄管102に設けられる電極の数は、3個に制限されず、2個であってもよく、4個以上であってもよい。
清澄工程(ST2)では、熔融ガラスの液面の上方に気相空間120aが形成されるように熔融ガラスを清澄管102内に流しながら清澄が行われる。清澄管102は、気相空間120aと接する壁部に、図4(a)及び図4(b)に示されるように、気相空間内の気体を排出する通気孔102a、および、熔融ガラスに対して不活性なガス(以降、不活性ガスという)を気相空間内に供給する供給孔102bが形成されている。図4(a)及び図4(b)は、清澄管102の長手方向に沿った断面を示す鉛直断面図である。通気孔102aおよび供給孔102bは、熔融ガラスの流れ方向に互いに離間して配置されている。
なお、通気孔102aには、清澄管102の使用に伴って形成された孔(例えば、後述する開孔131)は含まれない。通気孔102aからの気体の排出は、清澄工程(ST2)の間、継続して行われてもよく、断続的に行われてもよい。例えば、後述する不活性ガスの供給を行う間は、通気孔102aからの気体の排出は行われなくてもよい。通気孔102aから排出される気体は、酸素を含んだ気体であり、不活性ガスが含まれていてもよい。
通気孔102aが位置する壁部の外周面には、通気管127が接続されている。通気管127は、気相空間120aと、清澄管102の外部空間(例えば大気)とを連通する。通気管127は、図3に示す例において、壁部の頂部から鉛直上方に延びるように設けられている。通気孔102aおよび通気管127は、例えば、清澄工程(ST2)において、熔融ガラスが最高温度となる位置、あるいは、その下流側近傍に配置される。通気孔102aおよび通気管127は、図3に示す例において、電極121a,121b間に設けられる。
通気管127には、気相空間120a内の気体および浮遊物を吸引する吸引装置129が設けられている。吸引装置129により通気管127側を減圧(大気圧よりも例えば10Pa程度減圧)することができる。吸引装置129は制御装置123により制御される。吸引装置129による吸引圧を制御することで、気相空間120a内の酸素の濃度を低減することができる。また、吸引圧を制御することで、後述する不活性ガス供給装置125,126から気相空間120aに供給される不活性ガスの量を調節することができる。
通気管127は、断熱部材(後述)に取り囲まれており、通気管127の上端近傍に配置された断熱部材の隙間の大きさを調整することで、通気管127の開度を調節することができる。通気孔102aからの気体の排出は、吸引装置129による吸引によって行われるほか、清澄管102の内外の気圧差によっても行われる。通気孔102aからの気体の排出量は、吸引装置129による吸引圧、あるいは、通気管127の開度を調節することで調節される。
通気管127には、酸素濃度計128が設けられている。酸素濃度計128は通気孔102aから排出される気体の酸素濃度を計測し、その計測信号を制御装置123に出力する。酸素濃度計128により計測された酸素濃度の信号が制御装置123に出力され、制御装置123は酸素濃度の信号に応じて、不活性ガス供給装置125,126を制御し、不活性ガスの供給量、供給圧力を調整する制御信号を生成する。また、制御装置123は酸素濃度の信号に応じて、吸引装置129による吸引圧、あるいは、通気管127の開度を調節するように制御信号を生成する。生成した制御信号は、不活性ガス供給装置125,126あるいは、吸引装置129あるいは通気管127の開度を調整する図示されない調整装置に送信される。これにより、不活性ガスの供給量、供給圧力を調整する、あるいは、通気孔102aからの気体の排出量を調整する。酸素濃度計128による酸素濃度の計測結果、すなわち、通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度を、以降、気相空間内の酸素濃度として説明する。
通気管127は、不活性ガス供給装置126と接続される。不活性ガス供給装置126は、不活性ガス供給装置126から通気管127を介して気相空間120aに不活性ガスを供給することができる。不活性ガス供給装置126が気相空間120aに不活性ガスを供給する場合、不活性ガス供給装置126は、制御装置123によって制御され、不活性ガスの供給量、供給圧力が調整される。通気孔102aからの不活性ガスの供給は、通気孔102aからの気体の排出と同時に行うことができる。不活性ガスを断続的に供給する場合は、吸引装置129による吸引を停止しているときに、通気管127内に吹き込むことで行うことができる。また、不活性ガスを連続的に供給する場合は、例えば、通気管127内を、気流方向と直交する断面において複数の流路に区画する仕切板または通気管127より径の小さい別の管を通気管127内に配置し、吸引装置129によって気体が吸引される区画と異なる区画から不活性ガスの供給を行ってもよい。なお、通気管127からの不活性ガスの供給量は、通気管127からの不活性ガスの排出量より多くてもよい。
供給孔102bが位置する壁部の外周面には、供給管124が接続されている。図3に示す例において、供給孔102bおよび供給管124は、電極121b,121c間に設けられている。供給管124は、不活性ガス供給装置125と接続されている。不活性ガス供給装置125は、制御装置123により制御され、不活性ガスの供給量、供給圧力が調整される。供給管124から導入された不活性ガスは、熔融ガラスの流れ方向に沿って、図3において右方から左方に流れる。
不活性ガス供給装置125,126から供給される不活性ガスは、熔融ガラスだけでなく白金族金属に対しても不活性であることが好ましい。例えば、窒素(N)、希ガス(例えばアルゴン(Ar))、一酸化炭素(CO)等を用いることができる。アルゴンや一酸化炭素は、窒素に比して、ガラス構造中において移動しやすい。そのため、熔融ガラス中に溶け込んだ不活性ガスが気泡として生じた場合でも、熔融ガラスの移送中に再度ガラス中に取り込まれやすい。したがって、泡品質の点からアルゴンが好適に用いられる。
清澄工程(ST2)では、気相空間120a内の酸素濃度が目標値以下となるよう、供給孔102bから不活性ガスの供給を行う。以降の説明では、気相空間120a内の酸素濃度として、酸素濃度計128による測定値を採用した場合を例に説明する。酸素濃度の目標値は、気相空間120aで白金族金属の揮発を好ましく抑制できる酸素濃度の上限値であり、例えば5%である。目標値の下限値は、不活性ガスが熔融ガラスに溶け込むのを抑制し、溶け込んだ不活性ガスの気泡が発生することを抑制する観点から、例えば0.1%、好ましくは1%である。
清澄管102は、キャスタブルセメント(図示せず)で被覆され、その外側には、耐火レンガ等の断熱部材(図示せず)が積み重ねられている。すなわち、清澄管102の周りには断熱部材が設けられている。断熱部材は、電極121a〜121c、通気管127、および供給管124のそれぞれと接するように配置される。
(清澄工程:第1実施形態)
次に、清澄工程(ST2)の第1実施形態で行われる不活性ガスの供給について説明する。
本実施形態では、気相空間120a内の酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)が目標値以下となるよう不活性ガスの供給を行っていても、酸素濃度が何らかの原因(例えば、壁部が変形すること、壁部に開孔が形成されて気相空間120a内に外気の酸素が入り込むこと)によって上昇し、第1の許容値を超えた場合に、通気孔102aから不活性ガスを気相空間120aに供給する。例えば、通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう、制御された供給量で供給孔102aから不活性なガスの供給を行い、かつ制御された排出量で通気孔102aから気体を排出する際に、酸素濃度が上昇し、第1の許容値を超えた場合に、通気孔102aから不活性ガスを気相空間120aに供給する。第1の許容値は、これを超えると、気相空間120aで白金族金属の揮発を抑制できない可能性が高くなる酸素濃度の値である。第1の許容値は、14〜21%であることが好ましく、例えば20%であり、好ましくは15%である。酸素濃度が第1の許容値を超えた場合、具体的には、通気孔102aから不活性ガスが供給されるよう、不活性ガス供給装置126および吸引装置129が制御される。このように、通常、気相空間120a内の気体を排出する排出口として用いられる通気孔102aから、不活性ガスを気相空間120a内に供給することによって、清澄管102内で高くなりすぎた酸素濃度を確実に低減し、白金族金族の揮発を抑制することができる。なお、酸素濃度が第1の許容値以下になった場合、通気孔102aからの不活性ガスの供給は、停止されてもよく、目標値以下となるまで継続されてもよい。
また、本実施形態では、酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)が第1の許容値を超える前に、第1の許容値より低く、目標値より高い第2の許容値を超えた場合に、供給孔102bからの不活性ガスの供給量を、酸素濃度が目標値以下である場合の供給量よりも増やすことが好ましい。第2の許容値は、気相空間120a内の酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)がこれを超えると、気相空間120aで白金族金属の揮発を十分に抑制できない可能性がある酸素濃度の値である。第2の許容値は、7〜11%であることが好ましく、例えば10%であり、好ましくは8%である。具体的に、酸素濃度が何らかの原因(例えば、壁部が変形すること、壁部に開孔が形成されること)によって第2の許容値を超えた場合、まず、供給孔102bからの不活性ガスの供給量が増えるよう、不活性ガス供給装置125および吸引装置129が制御される。この結果、供給孔102bからの不活性ガスの供給量を増やしたことで酸素濃度が低減した場合は、通気孔102aからの不活性ガスの供給は行われない。一方、供給孔102bからの不活性ガスの供給量を増やしても酸素濃度を低減できず、第1の許容値を超えた場合は、上述したように通気管127から不活性ガスの供給を行うよう、不活性ガス供給装置126が制御される。なお、通気孔102aからの不活性ガスの供給を行う間、第2の許容値を超えたことにより増加させた供給孔102bからの不活性ガスの供給量は、維持されてもよく、さらに増加されてもよい。また、酸素濃度が第2の許容値以下になった場合、供給孔102bからの不活性ガスの、増加させた供給量は、増加前の供給量に戻されてもよい。
ところで、清澄管102は、清澄工程(ST2)において、高温に維持されるため、使用に伴って損傷する場合がある。ここで、図4(a)および図4(b)を参照して、清澄管102が損傷した場合について説明する。図4(a)は、酸素濃度が第1の許容値を超えた場合を説明する図である。図4(b)は、酸素濃度が第1の許容値を超えた場合の不活性ガスの供給を説明する図である。
清澄管102は、使用に伴って、気相空間120aと接する壁部が内側に垂れ下がるように変形する場合がある。このように変形した部分(以降、変形部という)では、気相空間120a内の気体の流路の面積が小さくなるため、熔融ガラスの流れ方向に沿った気体の流れが滞りやすい。特に、変形部130の変形量が大きい場合や、熔融ガラスの液面が上昇した場合には、図4(a)に示すように、変形部130の下端が熔融ガラスの液面に届いて、熔融ガラスの流れ方向に沿った気体の流れが遮断されてしまう。この結果、気相空間120aのうち、変形部130に対して供給孔102bと反対側の部分、すなわち通気孔102aが位置する側の部分に不活性ガスが行き渡らずこの部分の酸素濃度が上昇し、気相空間120a内において流れ方向に沿った場所で酸素濃度が不均一になる。
また、清澄管102は、清澄工程(ST2)の条件によっては壁部からの白金族金属の揮発は避け難く、壁部が薄肉化する場合がある。薄肉化が進行すると、図4(a)に示すように、壁部を貫通した開孔131が形成される場合がある。開孔131が形成されると、通気孔102aからの気体の排出量を補うように、酸素を含んだ外気が開孔131を通過して気相空間120a内に入り込む。特に、吸引装置129による吸引や、通気孔102aの開度が大きいことによって、排出量が大きくなっている場合は、酸素を含んだ外気の流入量が多く、外気に含まれる酸素によって、気相空間120a内の酸素濃度が上昇しやすい。
このように清澄管102が損傷すると、供給孔102bから不活性ガスが供給されても、酸素濃度を目標値以内に維持することができず、第1の許容値を超える可能性が高くなる。
また、清澄管102の外周には、一般的に、上記した断熱部材が設けられているため、変形部130や開孔131が形成されても、そのことに気づき難く、変形部130や開孔131が形成されたことに気づいたとしても、それらの位置を知ることは困難である。このため、気相空間120a内の酸素濃度の上昇に関して、対策を立てることが困難であった。
本実施形態では、酸素濃度が第1の許容値を超えた場合に、図4(b)に示すように、通気孔102aから不活性ガスの供給を行うことによって、変形部130に対して供給孔102bと反対側の部分にも不活性ガスが供給され、変形部130に対して通気孔102a側の気相空間120a内の酸素濃度は低下し、これにより、気相空間120a内の酸素濃度の不均一さが改善される。また、通気孔102aからの不活性ガスの供給を行うことによって、開孔131からの外気の流入が抑えられる。これにより、気相空間120a内の酸素濃度を確実に低減でき、白金族金属の揮発を抑制することができる。このため、清澄管102が損傷しても、ガラス基板の製造(操業)を続けることができる。
このような通気孔102aからの不活性ガスの供給に加えて、供給孔102bからの不活性ガスの供給量を増加することが好ましい。これにより、例えば、形成される変形部130の、清澄管102の管軸方向(熔融ガラスの流れ方向)における位置が、通気孔102a及び供給孔102bからみて管軸方向の同じ側にある場合は、酸素濃度が第2の許容値を超えた場合に、供給孔102bからの不活性ガスの供給量を増やすことで、酸素濃度を低減できる。一方、形成される変形部130の、清澄管102の管軸方向の位置が、通気孔102a及び供給孔102bからみて異なる側にある場合は、酸素濃度が第2の許容値を超え、供給孔102bからの不活性ガスの供給量を増やしたにも関わらず酸素濃度が下がらなかったとしても、酸素濃度が第1の許容値を超えたときに通気孔102aから不活性ガスが供給されることで、酸素濃度を確実に低減することができる。
本実施形態では、清澄管102の使用に伴って壁部に形成された開孔の位置(清澄管102の管軸方向における位置)と、開孔131に起因して変化する酸素濃度の変化との間の、予め求めた関係を用いて、通気孔102aにおける酸素濃度の計測値の変化の情報から開孔131の位置(清澄管102の管軸方向における位置)を特定することができる。上述の開孔131の位置と、酸素濃度の変化との対応関係は、例えば、清澄工程(ST2)の条件を変化させたときの酸素濃度の変化から、清澄工程(ST2)の条件と酸素濃度との関係を求め、さらに、清澄管102の管軸方向に沿った開孔131の位置が異なる他の清澄管102を用いて同様に、清澄工程(ST2)の条件と酸素濃度との関係を求めることを行って、得られた複数の関係から求めることができる。そのような清澄工程(ST2)の条件として、例えば、不活性ガスの供給圧を用いることができる。この場合、供給孔102bからの不活性ガスの供給圧を変化させたときの酸素濃度の測定値の変化から、不活性ガスの供給圧と酸素濃度との関係が求められる。なお、酸素濃度の測定値として、損傷した清澄管102および熔融ガラスをモデル化し、不活性ガスの供給に伴う酸素濃度変化をシミュレーションすることによって求めた対応関係を用いてもよい。
本実施形態では、開孔131の位置を特定することで、さらに、流れ方向に沿った開孔131と通気孔102aとの距離の大きさに応じて、不活性ガスの供給量を調節することができる。本発明者の研究により、管軸方向(熔融ガラスの流れ方向)に沿った開孔131と通気孔102aとの距離が小さいほど、すなわち開孔131が通気孔102aに近い位置にあるほど、気相空間120a内の酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)が高くなることが明らかにされた。この理由として、通気孔102aに近い開孔131であるほど、通気孔102aから気体が排出される力(例えば吸引圧)が強く作用し、開孔131からの流入する外気の量が増えることが考えられる。したがって、位置を特定した開孔131と通気孔102aとの距離に基づいて、不活性ガスの供給量を調節することで、気相空間120a内の酸素濃度を適切に制御することができる。具体的には、開孔131と通気孔102aとの距離に基づいて、不活性ガス供給装置126による不活性ガスの供給量、供給圧力が制御される。
また、開孔131の位置を特定することで、さらに、位置を特定した開孔131から不活性ガスを気相空間内に供給することができる。具体的に、位置を特定した開孔131付近に配置された断熱部材を部分的に除去して、供給管124と同様の供給管(図示せず)を、開孔131が位置する清澄管102の壁部に接続するとともに、不活性ガス供給装置125と同様の不活性ガス供給装置(図示せず)をこの供給管に接続して、開孔131から不活性ガスの供給を行うことができる。これにより、気相空間120a内の酸素濃度をさらに低減することができる。
また、開孔131の位置を特定することで、さらに、位置を特定した開孔131付近の断熱部材を部分的に除去して、開孔131が形成された清澄管102の壁部を補修することもできる。
以上説明したように、清澄工程(ST2)において、気相空間120a内の酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)が目標値以下となるよう不活性ガスの供給を行っているにも関わらず、酸素濃度が何らかの原因によって上昇し、第1の許容値を超えた場合に、通気孔102aから不活性ガスを気相空間に供給する。これにより、清澄管102内で高くなりすぎた酸素濃度を確実に低減し、清澄管102からの白金族金族の揮発を抑制することができ、白金族金属の異物の熔融ガラスへの混入を抑えることができる。
また、酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)が第2の許容値を超えた場合に、供給孔102bからの不活性ガスの供給量を増やしても酸素濃度を低減できず、第1の許容値を超えた場合であっても、通気孔102aから不活性ガスを供給することで、酸素濃度を確実に低減することができる。
また、清澄管102の管軸方向(熔融ガラスの流れ方向)に沿った壁部における開孔131の位置と、開孔に起因して生じる酸素濃度の変化との間の、予め求めた対応関係を用いて、計測した酸素濃度の変化から開孔131の位置を特定することができる。また、位置を特定した開孔131から不活性ガスの供給を行うことで、さらに酸素濃度を下げることができる。
(清澄工程:第2実施形態)
次に、清澄工程(ST2)の第2実施形態で行われる通気管127からの排出について説明する。
本実施形態でも、上記清澄工程の第1実施形態の場合と同様に、気相空間120a内の酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)が目標値以下となるよう不活性ガスの供給を行っていても、酸素濃度が上昇する場合がある。本実施形態では、気相空間120a内の酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)が目標値より高い第3の許容値を超えた場合に、通気孔102aからの気体の排出量を低減する。例えば、通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう、制御された供給量で供給孔102bから気体を供給し、かつ制御された排出量で通気孔102aから気体を排出する際に、目標値より高い第3の許容値を超えた場合に、通気孔102aからの排出量を低減する。このような酸素濃度の上昇は、何らかの原因(例えば、壁部に開孔が形成されること)によって気相区間120a内に酸素が入り込むためと考えられる。この第3の許容値は、これを超えると、気相空間120aで白金族金属の揮発を抑制できない可能性が高くなる酸素濃度の値である。第3の許容値は、14〜21%であることが好ましく、例えば20%であり、好ましくは15%である。酸素濃度が許容値を超えた場合、具体的には、通気孔102aからの気体の排出量が低減されるよう、吸引装置129による吸引圧が制御され、あるいは、通気管127の開度が調節される。このように、通気管127からの排出量が低減されることによって、例えば、制御された排出量よりも低減されることによって、気相空間120aに入り込む酸素を含んだ外気の流入量が低減され、清澄管102内で高くなりすぎた酸素濃度を確実に低減し、白金族金族の揮発を抑制することができる。なお、酸素濃度が第3の許容値以下になった場合、通気孔102aからの気体の排出量は、第3の許容値を越える前の排出量まで増やしてもよく、維持されてもよい。ここで、第3の許容値は、第1実施形態における第1の許容値と同じであることが好ましい。したがって、第1実施形態を行う時に、第1の許容値(第3の許容値)を超えるとき、通気孔102aから不活性ガスを気相空間120aに供給するとともに、通気孔102aからの気体の排出量を低減することが好ましい。
また、本実施形態では、通気孔102aからの気体の排出量を低減した後、供給孔102bからの不活性なガスの供給量を、酸素濃度が目標値以下である場合の供給量よりも増やすことが好ましい。具体的には、通気孔102aからの気体の排出量を低減した後、供給孔102bからの不活性ガスの供給量が増えるよう、不活性ガス供給装置125および吸引装置129が制御される。通気孔102aからの気体の排出量が低減された後であれば、供給孔102bからの不活性ガスの供給量を増やしても、通気孔102aから排出される不活性ガスの量が少なく抑えられ、効率よく気相空間120a内の酸素濃度を下げることができる。
清澄管102は、清澄工程(ST2)において、高温に維持されるため、使用に伴って損傷する場合がある。ここで、図5(a)および図5(b)を参照して、清澄管102が損傷した場合について説明する。図4(a)は、酸素濃度が許容値を超えた場合を説明する図である。図4(b)は、酸素濃度が許容値を超えた場合の通気管127からの気体の排出量の低減を説明する図である。
清澄管102は、清澄工程(ST2)の条件によっては壁部からの白金族金属の揮発は避け難く、壁部が薄肉化する場合がある。薄肉化が進行すると、図4(a)に示すように、壁部を貫通した開孔131が形成される場合がある。開孔131が形成されると、通気孔102aからの気体の排出量を補うように、酸素を含む外気が開孔131を通過して気相空間120a内に入り込む。特に、吸引装置129による吸引や、通気孔102aの開度が大きいことによって、排出量が大きくなっている場合は、酸素を含む外気の流入量が多く、外気に含まれる酸素によって、気相空間120a内の酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)が上昇しやすい。
このように清澄管102が損傷すると、供給孔102bから不活性ガスが供給されても、酸素濃度を目標値以内に維持することができず、許容値を超える可能性が高くなる。
また、清澄管102の外周には、一般的に、断熱部材が設けられているため、開孔131が形成されても、そのことに気づき難く、開孔131が形成されたことに気づいたとしても、それらの位置を知ることは困難である。このため、気相空間120a内の酸素濃度の上昇に関して、対策を立てることが困難であった。
本実施形態では、酸素濃度が許容値を超えた場合に、図4(b)に示すように、通気孔102aからの気体の排出量を低減することによって、通気孔102aから排出される気体を補うように開孔131から流入する外気の量を減らすことができる。このため、気相空間120a内の酸素濃度を確実に低減でき、白金族金属の揮発を抑制することができる。このため、清澄管102が損傷しても、ガラス基板の製造(操業)を続けることができる。なお、このとき、通気孔102aからの気体の排出量の低減に加えて、供給孔102bからの不活性ガスの供給量を増加することが好ましい。
本実施形態でも、上記第1実施形態において説明したように、清澄管102の使用に伴って壁部に形成された開孔の位置(清澄管102の管軸方向における位置)と、開孔131に起因して変化する酸素濃度の変化との間の、予め求めた対応関係を用いて、通気孔102aにおける酸素濃度の計測値の変化の情報から開孔131の位置(清澄管102の管軸方向における位置)を特定することができる。
本実施形態でも、第1実施形態と同じように、開孔131の位置を特定することで、さ
らに、流れ方向に沿った開孔131と通気孔102aとの距離の大きさに応じて、気体の
排出量を調節することができる。
また、開孔131の位置を特定することで、さらに、位置を特定した開孔131から不活性ガスを気相空間内に供給することができる。具体的に、位置を特定した開孔131付近に配置された断熱部材を開けて、供給管124と同様の供給管(図示せず)を、開孔131が位置する清澄管102の壁部に接続するとともに、不活性ガス供給装置125と同様の不活性ガス供給装置(図示せず)をこの供給管に接続して、開孔131から不活性ガスの供給を行うことができる。これにより、気相空間120a内の酸素濃度をさらに低減することができる。
また、開孔131の位置を特定することで、さらに、位置を特定した開孔131付近の断熱部材を開けて、開孔131が形成された清澄管102の壁部を補修することもできる。
第2実施形態によれば、清澄工程(ST2)において、気相空間120a内の酸素濃度
(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)が目標値以下となるよう不活性ガスの供給を行っているにも関わらず、酸素濃度が上昇し、第3の許容値を超えた場合に、通気孔102aからの気体の排出量を低減する。これにより、何らかの原因によって外部から流入する酸素量を低減でき、清澄管102内で高くなりすぎた酸素濃度を確実に低減することができる。このため、清澄管102からの白金族金族の揮発を抑制することができ、白金族金属の異物の熔融ガラスへの混入を抑えることができる。
また、通気孔127からの気体の排出量を低減した後に、供給孔102bからの不活性なガスの供給量を、酸素濃度が目標値以下である場合の供給量よりも増やすことで、効率よく気相空間120a内の酸素濃度を下げることができる。
また、通気孔102aからの気体の排出量を低減することで、清澄管102の使用に伴って壁部に形成された開孔131から気相空間120a内に流入する外気の流入量を低減することができる。
また、流れ方向に沿った壁部における開孔131の位置と、酸素濃度の大きさとの予め求めた関係を用いて、酸素濃度から開孔の位置を特定することができる。
また、清澄管102の管軸方向(熔融ガラスの流れ方向)に沿った壁部における開孔の
位置と、開孔に起因して変化する酸素濃度の変化との間の、予め求めた対応関係を用いて、酸素濃度の変化から開孔131の位置を特定することができる。また、位置を特定した開孔131から不活性ガスの供給を行うことで、さらに酸素濃度を下げることができる。
また、流れ方向に沿った開孔131と通気孔102aとの距離の大きさに応じて、気体の排出量を調節することで、気相空間120a内の酸素濃度(通気孔102aから排出される気体中の酸素濃度)を適切に制御することができる。
上述した第1実施形態及び第2実施形態は、開孔131の径が大きい場合に大きな効果を発揮し好適である。開孔131は、清澄管102に形成された当初は径が小さくても、使用に伴って大きくなる場合がある。径の小さい開孔131は、そこから漏れ出した熔融ガラスが冷えて固まることで塞がる可能性があるが、径の大きい開孔131は塞がり難く、開いたままとなりやすい。このような径の大きい開孔131は、外気の流入量が増加しやすく、特に、通気孔102aと同程度以上の大きさである場合に顕著となることがわかった。上述した第1実施形態では、酸素濃度が第1の許容値を超えた場合に通気孔102aから不活性ガスの供給が行われることによって、径の大きい開孔131が形成された場合であっても、通気孔102aから不活性ガスの供給を行うことにより、気相空間120a内の酸素濃度を確実に低減することができる。また、第2実施形態では、上述したように、酸素濃度が第3の許容値を超えた場合に通気孔102aから不活性ガスの供給が行われることによって、径の大きい開孔131が形成された場合であっても、通気孔102aからの気体の排出量を低減することにより、気相空間120a内の酸素濃度を確実に低減することができる。なお、開孔131の径とは、清澄管102の壁部が延在する面に投影された開孔131の最大長さを指す。開孔131の径が大きい場合とは、具体的に、開孔131の径が、通気孔102aの径の50%以上であり、3mm以上である。開孔131の径の上限値は特に制限されないが、例えば、通気孔102aの径の2倍であり、10mmである。
上述した第1実施形態及び第2実施形態において、不活性ガスの供給量は、清澄後の熔融ガラスに泡が発生しないように調節されることが好ましい。脱泡処理後の熔融ガラスは、上述したように、清澄管102を通過した後、移送管105内を移送され、撹拌槽103において均質化工程(ST3)が行われる。この過程で、熔融ガラスは降温されるが、局部的に温度が上昇する結果、吸収処理によって熔融ガラスに吸収された気泡が再び脱泡される場合がある。このような泡は、撹拌槽103において熔融ガラスがスターラ103aと接触することによっても生じうる。このような泡は、清澄工程(ST2)において、気相空間120aに供給される不活性ガスの圧力が高い場合に発生しやすいことがわかった。本実施形態では、気相空間に供給する不活性ガスの圧力を、清澄後の熔融ガラスに泡が発生しないように調節することで、ガラス基板に泡が残存することを抑えることができる。例えば、通気孔102aと合わせて、供給孔102b、開孔131から分散して不活性ガスを供給することや、各孔の流路面積を大きくして供給圧を低い範囲内に抑えることが好ましい。
(ガラス基板)
第1実施形態及び第2実施形態において製造されるガラス基板の大きさは、特に制限されないが、例えば縦寸法及び横寸法のそれぞれが、500mm〜3500mm、1500mm〜3500mm、1800〜3500mm、2000mm〜3500mmであり、2000mm〜3500mmであることが好ましい。
ガラス基板の厚さは、例えば、0.1〜1.1mmであり、より好ましくは0.75mm以下の極めて薄い矩形形状の板であり、例えば、0.55mm以下、さらには0.45mm以下の厚さがより好ましい。ガラス基板の厚さの下限値は、0.15mmが好ましく、0.25mmがより好ましい。
<ガラス組成>
このようなガラス基板として、以下のガラス組成のガラス基板が例示される。つまり、以下のガラス組成のガラス基板が製造されるように、熔融ガラスの原料が調合される。
SiO2 55〜80モル%、
Al23 8〜20モル%、
23 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
SiO2は60〜75モル%、さらには、63〜72モル%であることが、熱収縮率を小さくするという観点から好ましい。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜15モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、SiO2、Al23、B23、及びROを少なくとも含み、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.5以上であるガラスであってもよい。また、MgO、CaO、SrO、及びBaOの少なくともいずれか含み、モル比(BaO+SrO)/ROは0.1以上であることが好ましい。
また、モル%表示のB23の含有率の2倍とモル%表示のROの含有率の合計は、30モル%以下、好ましくは10〜30モル%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As、Sb及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
また、第1実施形態及び第2実施形態によって製造されるガラス基板には、無アルカリのボロアルミノシリケートガラスあるいはアルカリ微量含有ガラスが用いられることが好ましい。
第1実施形態及び第2実施形態によって製造されるガラス基板は、例えば以下の組成を含む無アルカリガラスからなることが好ましい。
第1実施形態及び第2実施形態によって製造されるガラス基板のガラス組成として、例えば、次が挙げられる(質量%表示)。
SiO:50〜70%(好ましくは、57〜64%)、Al:5〜25%(好ましくは、12〜18%)、B:0〜15%(好ましくは、6〜13%)を含み、さらに、次に示す組成を任意に含んでもよい。任意で含む成分として、MgO:0〜10%(好ましくは、0.5〜4%)、CaO:0〜20%(好ましくは、3〜7%)、SrO:0〜20%(好ましくは、0.5〜8%、より好ましくは3〜7%)、BaO:0〜10%(好ましくは、0〜3%、より好ましくは0〜1%)、ZrO:0〜10%(好ましくは、0〜4%,より好ましくは0〜1%)が挙げられる。さらに、R’O:0.10%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
或いは、SiO:50〜70%(好ましくは、55〜65%)、B:0〜10%(好ましくは、0〜5%、1.3〜5%)、Al:10〜25%(好ましくは、16〜22%)、MgO:0〜10%(好ましくは、0.5〜4%)、CaO:0〜20%(好ましくは、2〜10%、2〜6%)、SrO:0〜20%(好ましくは、0〜4%、0.4〜3%)、BaO:0〜15%(好ましくは、4〜11%)、RO:5〜20%(好ましくは、8〜20%、14〜19%),を含有することが好ましい(ただし、RはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種である)。さらに、R’Oが0.10%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
<ヤング率>
第1実施形態及び第2実施形態によって製造されるガラス基板のヤング率として、例えば、72GPa以上が好ましく、75GPa以上がより好ましく、77GPa以上がより更に好ましい。
<歪点>
第1実施形態及び第2実施形態によって製造されるガラス基板の歪率として、例えば、650℃以上が好ましく、680℃以上がより好ましく、700℃以上、720℃以上が更により好ましい。
<熱収縮率>
第1実施形態及び第2実施形態によって製造されるガラス基板の熱収縮率は、例えば、50ppm以下であり、好ましくは40ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更により好ましくは20ppm以下である。熱収縮率を低減する前のガラス基板の熱収縮率の範囲としては、10ppm〜40ppmが好ましい。
第1実施形態及び第2実施形態で製造されるガラス基板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、カーブドパネルディスプレイ用ガラス基板を含むディスプレイ用ガラス基板として好適であり、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板あるいは、有機ELディスプレイ用のガラス基板として好適である。さらに、第1実施形態及び第2実施形態で製造されるガラス基板は、高精細ディスプレイに用いられる、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)等の酸化物半導体を使用した酸化物半導体ディスプレイ用ガラス基板、及びLTPS(低温度ポリシリコン)半導体を使用したLTPSディスプレイ用ガラス基板に好適である。
また、第1実施形態及び第2実施形態で製造されるガラス基板は、カバーガラス、磁気ディスク用ガラス、太陽電池用ガラス基板などにも適用することが可能である。
以上、本発明のガラス基板の製造方法およびガラス基板製造装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
100 熔解装置
101 熔解槽
102 清澄管
102a 通気孔
102b 供給孔
103 撹拌槽
103a スターラ
104、 105 移送管
106 ガラス供給管
120a 気相空間
121a〜121c 電極
123 制御装置
124 供給管
125,126 不活性ガス供給装置
127 通気管
130 変形部
131 開孔
200 成形装置
300 切断装置
MG 熔融ガラス
SG シートガラス

Claims (12)

  1. 清澄管を用いて熔融ガラスの清澄を行う清澄工程を備え、
    前記清澄工程では、前記熔融ガラスの液面の上方に気相空間が形成されるように前記熔融ガラスを前記清澄管内に流しながら前記清澄を行い、
    前記清澄管は、白金族金属を含む材料で構成され、前記気相空間と接する壁部に、前記気相空間内の気体を排出する通気孔と、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを前記気相空間内に供給する供給孔と、を有し、前記通気孔および前記供給孔は、前記熔融ガラスの流れ方向に互いに離間して配置され、
    前記清澄工程では、前記通気孔から排出される前記気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行う制御中に、前記酸素濃度が前記目標値より高い第1の許容値を超えた場合に、前記通気孔から前記不活性なガスを前記気相空間に供給することを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記清澄工程では、前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行う際、前記酸素濃度が前記第1の許容値を超える前に、前記第1の許容値より低く、前記目標値より高い酸素濃度である第2の許容値を超えた場合に、前記供給孔からの前記不活性なガスの供給量を、前記酸素濃度が前記目標値以下である場合の前記供給孔からの前記不活性なガスの供給量よりも増やす、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記清澄管の使用に伴って前記壁部に形成された開孔の位置と、前記開孔に起因して変化する前記酸素濃度の変化との間の、予め求めた関係を用いて、前記通気孔における前記酸素濃度の計測値の変化の情報から前記開孔の位置を特定する、請求項1または2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. さらに、前記位置を特定した開孔から不活性なガスを前記気相空間内に供給する、請求項3に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記清澄工程では、前記酸素濃度が目標値以下となるよう、制御された供給量で前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行い、かつ制御された排出量で前記通気孔から前記気体を排出する制御中に、前記酸素濃度が前記第1の許容値を超えた場合に、前記通気孔からの前記気体の排出量を低減する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  6. 清澄管を用いて熔融ガラスの清澄を行う清澄工程を備え、
    前記清澄工程では、前記熔融ガラスの液面の上方に気相空間が形成されるように前記熔融ガラスを前記清澄管内に流しながら前記清澄を行い、
    前記清澄管は、白金族金属を含む材料で構成され、前記気相空間と接する壁部に、前記気相空間内の気体を排出する通気孔と、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを前記気相空間内に供給する供給孔と、を有し、前記通気孔および前記供給孔は、前記熔融ガラスの流れ方向に互いに離間して配置され、
    前記清澄工程では、前記通気孔から排出される前記気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう制御された供給量で前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行い、かつ制御された排出量で前記通気孔から前記気体を排出する制御中に、前記酸素濃度が前記目標値より高い第3の許容値を超えた場合に、前記通気孔からの前記気体の排出量を低減することを特徴とするガラス基板の製造方法。
  7. 前記清澄工程では、前記通気孔からの前記気体の排出量を低減した後、前記供給孔からの前記不活性なガスの供給量を、前記酸素濃度が前記目標値以下である場合の供給量よりも増やす、請求項6に記載のガラス基板の製造方法。
  8. 前記清澄管の使用に伴って前記壁部に形成された開孔から前記気相空間内に流入する外気の流入量を低減するように前記気体の排出量を低減する、請求項6または7に記載のガラス基板の製造方法。
  9. 前記開孔の位置と、前記開孔に起因して変化する前記酸素濃度の変化との間の、予め求めた関係を用いて、前記通気孔における前記酸素濃度の計測値の変化の情報から前記開孔の位置を特定する、請求項6〜8のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  10. 前記流れ方向に沿った前記開孔と前記通気孔との距離の大きさに応じて、前記気体の排出量を調節する、請求項9に記載のガラス基板の製造方法。
  11. 熔融ガラスの液面の上方に気相空間が形成されるように前記熔融ガラスを通過させながら前記熔融ガラスの清澄を行う清澄管であって、白金族金属を含む材料で構成され、前記気相空間と接する壁部に、前記気相空間内の気体を排出する通気孔と、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを前記気相空間内に供給する供給孔と、を有し、前記通気孔および前記供給孔は、前記熔融ガラスの流れ方向に互いに離間して配置された清澄管と、
    前記不活性なガスを前記気相空間内に供給する不活性ガス供給装置と、
    前記通気孔から排出される前記気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行う制御を行い、前記制御中、前記酸素濃度が前記目標値より高い第1の許容値を超えた場合に、前記通気孔から不活性なガスを前記気相空間に供給するように、前記不活性ガス供給装置を制御する制御装置と、を備えることを特徴とするガラス基板製造装置。
  12. 熔融ガラスの液面の上方に気相空間が形成されるように前記熔融ガラスを通過させながら前記熔融ガラスの清澄を行う清澄管であって、白金族金属を含む材料で構成され、前記気相空間と接する壁部に、前記気相空間内の気体を排出する通気孔と、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを前記気相空間内に供給する供給孔と、を有し、前記通気孔および前記供給孔は、前記熔融ガラスの流れ方向に互いに離間して配置された清澄管と、
    前記不活性なガスを前記気相空間内に供給する不活性ガス供給装置と、
    前記通気孔から排出される前記気体中の酸素濃度が目標値以下となるよう制御された供給量で前記供給孔から前記不活性なガスの供給を行い、かつ制御された排出量で前記通気孔から前記気体を排出する制御中に、前記酸素濃度が前記目標値より高い第3の許容値を超えた場合に、前記通気孔からの前記気体の排出量を低減するように、前記不活性ガス供給装置を制御する制御装置と、を備えることを特徴とするガラス基板製造装置。
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