JP2007022470A - 冷凍装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】庫内の空気と熱交換して温調する冷媒を圧縮して冷媒回路に循環させる圧縮機が専用のエンジンにより駆動される冷凍装置において、庫内温度を所望の設定値に維持するためのエンジン運転時間tnが、エンジン駆動用バッテリの充電完了までに必要なエンジン最小運転時間tmと、エンジン最小運転時間tmに加算したエンジン最適運転時間teとの間に設定された許容範囲内に入るように、冷媒回路の温調能力をフィードバック制御により可変制御する定温維持運転モードを設けた。
【選択図】図1
Description
このような陸上輸送用冷凍装置には、車両走行用の主エンジンとは別に、コンプレッサ駆動用として専用のサブエンジンを備えている「サブエンジン方式」と呼ばれるものがある。なお、サブエンジン方式においては、コンプレッサ駆動用のサブエンジンがオルタネータを駆動し、エンジン始動等に使用される電源を供給するバッテリの充電を行うようになっている。
これを防止する従来技術は、たとえば図6に示す庫内冷却運転時において、サブエンジンの最小運転時間tmを規定しておく。この最小運転時間tmは、たとえばバッテリの充電に必要な最小の運転時間を満足する値とされる。
この再冷却により庫内温度Tが低下して庫内設定温度Tsに到達するが、この時点でサブエンジンの運転時間tsは規定時間である最小運転時間tmより短い(ts<tm)ため、サブエンジンの運転及び庫内の冷却は、最小運転時間tmが経過するまで継続した後に停止される。このため、庫内温度Tは、庫内設定温度Tsよりさらに温度低下した冷却温度Twとなる。
このような対処方法では、サブエンジンを最小運転時間tmまで必ず運転を継続することにより、庫内温度Tは庫内設定温度Tsより低い冷却温度Twまで低下するので、庫内温度Tの振れ幅(TdとTwとの差)が大きくなって定温輸送の品質を低下させるという不具合があった。
なお、庫内を加熱する場合についても、自動発停運転モードにより同様の温調制御が行われている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バッテリの充電性能及びエンジンの良好な燃費を犠牲にすることなく定温輸送の精度を向上させることができるエンジン駆動方式の冷凍装置を提供することにある。
本発明の冷凍装置は、庫内の空気と熱交換させて温調する冷媒を圧縮し、冷媒回路に送出して循環させる圧縮機が専用のエンジンにより駆動される冷凍装置において、庫内温度を所望の設定値に維持するためのエンジン運転時間が、エンジン駆動用バッテリの充電完了までに必要な最小の充電運転時間と、該充電運転時間に加算した所定の許容時間との間に設定された許容範囲内に入るように、前記冷媒回路の温調能力をフィードバック制御により可変制御する定温維持運転モードを備えていることを特徴とするものである。
そして、エンジン運転時間がバッテリの充電完了までに必要な最小の運転時間以上の許容範囲内となるように、冷媒回路の温調能力をフィードバック制御により可変制御するので、エンジン運転時間がバッテリ充電時間を超え、さらに、エンジンの運転及び温調を継続することにより、庫内温度の設定値まで変動した時点でエンジンの運転を停止することが可能になる。すなわち、エンジンの充電に必要な最小のエンジン運転時間を満足するできるだけ短い運転時間とし、庫内温度を所望の設定値まで変化させることができる温調能力となるように可変制御すれば、バッテリ充電完了後のエンジン運転時間を0または最短とし、かつ、庫内温度の設定値と温度差をなくして実質的な庫内温度の振れ幅を小さくした定温制御が可能となる。
このような冷凍装置によれば、温度検出手段により庫内の吹出空気温度を検出し、この吹出空気温度と運転時間検出手段により検出したエンジン運転時間とに基づいて制御手段が吹出空気温度の目標設定値を変更するので、最小のバッテリ充電時間を満足する許容範囲内のエンジン運転時間で庫内の温調が可能となるように温調能力を可変制御することができる。すなわち、吹出空気温度をパラメータとし、温調能力を可変制御して庫内温度を所望の設定値に維持するエンジン運転時間の調整を行うフィードバック制御が可能となる。
なお、この場合のエンジン運転時間は、エンジンと一体に運転されるため同じ値となるオルタネータの発電時間を検出してもよい。
図4(a)に示す冷凍車1は、荷台に積載したコンテナ2内を冷却または加熱して所望の庫内設定温度Tsに維持する陸上輸送用冷凍装置10を装備している。なお、図示の陸上輸送用冷凍装置10は、コンテナ2内に設置されるエバポレータユニット3と、コンテナ2の外部に設置されるコンデンシングユニット4とに分割されたセパレート型であり、両ユニット3,4間が冷媒配管5、ホットガスバイパス配管6及び図示しない電気ケーブルで連結された構成とされる。
陸上輸送用冷凍装置10は、コンデンシングユニット4内に設置された圧縮機11からコンテナ2の庫内に設置されたエバポレータユニット3に冷媒を供給し、この冷媒と庫内の空気とを熱交換させて庫内の温調を行う装置である。この場合の圧縮機11は、車両走行用エンジンとは別に設けた圧縮機専用のエンジン(以下、「エンジン」と呼ぶ)12により駆動されるサブエンジン方式である。なお、以下の説明は、コンテナ2の庫内を冷却する場合の運転である。
コンデンサ14に供給された高温高圧のガス冷媒は、外気と熱交換して凝縮し、気液二相を含む液冷媒となる。なお、図中の符号15は、コンデンサ14を通過する冷媒と熱交換させる外気の流通を促進するコンデンサファンである。
コンデンサ14で凝縮した液冷媒は、冷媒配管5を通り、レシーバタンク16を経由して絞り機構の電子膨張弁17に導かれる。この液冷媒は、電子膨張弁17を通過して減圧されるため、低温低圧の液冷媒がエバポレータ32に供給される。なお、図中の符号33は、エバポレータ32を通過する冷媒と熱交換させる庫内の空気の流通を促進するエバポレータファンである。
このように、圧縮機11で圧縮されたガス冷媒は、コンデンサ14、電子膨張弁17及びエバポレータ32の順に循環して凝縮及び気化による状態変化を繰り返すので、圧縮機11で冷媒を循環させる閉回路の冷凍サイクルが構成される。
このホットガスバイパス配管6を用いてコンテナ2の庫内を加温する場合には、コンデンサ入口電磁弁13及び電子膨張弁17を全閉とし、ホットガス電磁弁7を全開にして圧縮機11を運転する。この結果、圧縮機11から送出された高温高圧のガス冷媒は、コンデンサ14及び電子膨張弁17を経由することなくバイパスし、そのままの状態でエバポレータ32に供給される。このため、エバポレータ32では、高温高圧のガス冷媒が庫内の空気と熱交換して放熱するので、庫内を加熱する加温運転が行われる。
一方、コンデンシングユニット4には、上述したエバポレータユニット3以外の構成要素である圧縮機11、エンジン12、コンデンサ13及びコントローラ20等が収納設置されている。
また、上述したエンジン12は、エンジン始動時等に使用する電源のエンジン駆動用バッテリ(以下、「バッテリ」と呼ぶ)25を充電するために設けられたオルタネータ26の駆動源ともなる。すなわち、エンジン12は、圧縮機11を駆動するのと同時にオルタネータ26も駆動することで、エンジン停止時の放電やエンジン始動等に消費した分がバッテリ25に充電されるようになっている。
なお、上述したエンジン運転時間tnは、コントローラ20内のタイマ23でカウントされる実際の運転時間である。
最初の庫内冷却運転により、吸込空気温度センサ34で検出される庫内温度Tが庫内設定温度Tsまで低下すると、エンジン12の運転及び庫内の冷却(以下、「冷却運転」と呼ぶ)が停止される。最初のエンジン停止時間は、庫外からの入熱等を受けて庫内温度Tが徐々に上昇し、庫内温度Tが予め設定された運転復帰温度Tdに到達するまでの時間t1となる。
運転復帰温度Tdに到達したら、エンジン12の運転を再開して庫内の冷却運転を実施する。この場合の運転時間tは、第1回目の再冷却運転であるため、たとえば所定のエンジン最小運転時間tm等の運転初期条件に設定される。しかし、図示の例では、この冷却運転により、庫内温度Tは庫内設定温度Ts以下の冷却温度T1まで低下する。換言すれば、運転復帰温度Tdから庫内設定温度Tsまで温度低下するのに要した冷却運転時間tcは、エンジン最小運転時間tmより短い(tc<tm)値となる。なお、冷却運転の実施時間は、バッテリ充電に必要な最小の運転時間を確保するため、エンジン最小運転時間tmより短くなることはない。
この運転停止後、エンジン12の運転を再開して第2回目の再冷却運転を行うが、前回の再冷却運転において庫内温度Tが運転復帰温度Ts以下に冷却されているので、目標とする吹出温度を補正して冷却能力を低下させる必要がある。すなわち、運転時間tがエンジン最小時間tmに許容範囲として加算したエンジン適正運転時間teの範囲内に入るように、各種設定を吹出空気温度が高くなる方向に補正し、冷却能力を低下させて温度低下の傾きを緩やかにした状態で冷却運転を再開する。
こうしてエンジン最小運転時間tmの運転が完了すると、エンジン12の冷却運転は、庫内温度Tが冷却温度T2の状態から再度運転復帰温度Tdに上昇するまでエンジン停止時間t3の停止となる。
この結果、吸込空気温度センサ34が庫内設定温度Tsまで温度低下したことを検出すると、タイマ23でカウントされる運転時間tはエンジン運転時間tnとなり、このエンジン運転時間tnはエンジン最小運転時間tm以上であるため、この時点で冷却運転を停止する。また、このエンジン運転時間tnは、エンジン最小運転時間tmとの差(tn−tm)がエンジン適正運転時間teにより設定される適正運転の許容範囲内に入るため、次回の冷却運転では冷却能力の補正は不要と判断できる。
この運転停止後、エンジン12の運転を再開して第4回目の再冷却運転を行うが、前回の再冷却運転においては庫内温度Tが運転復帰温度Tsまで冷却されているので、今回は目標とする吹出温度を補正せず、同じ冷却能力に設定したまま冷却運転を開始する。
以下、同様にして、冷却運転及びエンジン停止を繰り返し、庫内温度Tを所望の温度範囲内に保つ定温維持運転モードが実施される。そして、外気温度等の諸条件に変化がなければ、同様の冷却能力を維持した定温維持運転が可能となるが、たとえば何らかの状況が変化するとエンジン運転時間tnは許容範囲から外れることもあり、このような場合は、吹出能力を補正して冷却能力を増減させる必要がある。
なお、上述した定温維持運転モードの説明は、庫内を冷却する冷却運転に関するものであったが、庫内を加熱する加温運転の場合は、庫内温度の上昇に要する時間がエンジン最小運転時間tm以上となるようにして、同様の自動発停運転による定温維持制御が行われる。
最初のステップS1で自動発停運転の制御が開始されると、次のステップ2に進む。このステップS2では、冷却運転または加温運転により庫内を所望の温度範囲内(庫内設定温度Tsから運転復帰温度Tdの範囲内)に維持する定温維持運転の停止条件となるサーモOFF条件を検出したか否かを判断する。
一方、ステップS3で「NO」と判断された場合には、エンジン12の運転時間Tが適正範囲外であるため、次のステップS4に進んで最小時間未満であるか否かを判断する。すなわち、運転時間Tについて、バッテリ25の充電に必要なエンジン最小運転時間tm以上であるか否かを判断する。
ステップS5では、目標とする吹出温度が補正済であるか否かを判断する。この結果、目標吹出温度が補正済である「YES」の場合には、次のステップS7に進んでエンジン12の運転を継続する。しかし、ステップS5で「NO」と判断された場合には、次のステップS6に進んで目標吹出温度の補正を行った後、次のステップS7に進んでエンジン12の運転を継続する。
一方、ステップS11で「YES」と判断された場合には、エンジン12の運転時間Tをカウントするためのカウンタであるタイマ23をリセットする。この後、次のステップS13に進んで目標吹出温度を補正し、さらに次のステップS7に進んでエンジン12の運転を継続する。
しかし、ステップS22の判断が「NO」である場合には、次のステップS31に進んで運転初期条件を変更した後、次のステップS23に進んでサーモOFFを停止する。この場合の運転初期条件は、たとえば図3に示すように、エンジン12の運転開始から規定時間後、すなわちフィードバック制御の影響がないか、あるいは影響が小さい時間範囲の後に、目標値と実測値との偏差から判定して変更する。
図3は、吹出空気温度を制御パラメータとした場合の例であり、縦軸は吹出空気温度センサ34の温度検出値、横軸は冷却運転開始からの経過時間を表している。サーモOFFから冷却運転を再開する場合、吹出温度検出値は庫内空気温度から冷却能力の増加に応じて徐々に低下する。
運転初期条件の適否を判定する場合、運転初期条件での条件固定運転時間が短いと、経過時間は「判定1」のように初期条件適正判定タイミングが早くなり、逆に長いと「判定2」のように初期条件適正判定タイミングが遅くなる。図3からも判る通り、判定条件である吹出空気温度の適正レンジは判定タイミングにより変化し、たとえば判定タイミングが目標値への収束時間以上に長くなる「判定2」の場合は、吹出空気温度が目標値を挟む「適正レンジ2」に入れば適正と判断される。また、たとえば「判定1」のように判定タイミングが早くなればなるほど、運転初期条件の適否は「適正レンジ1」のように目標値から離れた吹出空気温度の設定範囲により判断される。
なお、運転初期条件の変更は、電子膨張弁17の開度や圧縮機12の回転数など、前回の運転収束値に変更する方式も可能である。
また、上述した目標設定値には、凍結障害や解凍障害を防止するため、各庫内設定温度Tsで許容される範囲の上限値及び下限値を設けておく。
また、吹出空気温度をパラメータとすることにより、凍結や解凍といった積荷障害防止との両立が可能になる。
さらに、設定温度に対する庫内温度のアンダーシュートやオーバーシュートを防止できるため、精度のよい庫内温度制御ができる。
また、上述した実施形態では、エバポレータユニット3及びコンデンシングユニット4を別体に構成したセパレート型の陸上輸送用冷凍装置に適用して説明したが、両ユニット3,4を一体化した構成の陸上輸送用冷凍装置に適用可能なことは言うまでもない。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、エンジンにより駆動される冷凍装置全般に広く適用可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
6 ホットガスバイパス配管
10 冷凍装置
11 圧縮機
12 圧縮機用エンジン
14 コンデンサ
17 電子膨張弁
20 コントローラ(制御手段)
21 入力部
22 演算部
23 タイマ(運転時間検出手段)
24 出力部
25 駆動用バッテリ
26 オルタネータ
32 エバポレータ
34 吸込空気温度センサ
35 吹出空気温度センサ
Claims (3)
- 庫内の空気と熱交換させて温調する冷媒を圧縮し、冷媒回路に送出して循環させる圧縮機が専用のエンジンにより駆動される冷凍装置において、
庫内温度を所望の設定値に維持するためのエンジン運転時間が、エンジン駆動用バッテリの充電完了までに必要な最小の充電運転時間と、該充電運転時間に加算した所定の許容時間との間に設定された許容範囲内に入るように、前記冷媒回路の温調能力をフィードバック制御により可変制御する定温維持運転モードを備えていることを特徴とする冷凍装置。 - 庫内の吹出空気温度を検出する温度検出手段と、前記エンジン運転時間をカウントする運転時間検出手段と、前記吹出空気温度の目標設定値を前記エンジン運転時間に応じて変更する制御手段とを具備し、
前記定温維持運転モードでは、庫内温度が前記設定値に到達するまで前記エンジンを運転して温調し、前記運転時間検出手段で検出した前記運転時間が前記許容範囲内から外れると、前記制御手段が前記目標設定値を変更して前記温調能力を可変制御するフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。 - 前記目標設定値に上限値及び下限値を設けたことを特徴とする請求項2に記載の冷凍装置。
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