JP2007021606A - ドリル穴明機及びその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、門型コラムレールの変形又は振動を低減し、高速で高精度なドリル穴加工ができるドリル穴明機及びその方法を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、ベッドと、ベッドに固定された門型コラムレールと、ベッドに水平方向に移動可能に載置されたテーブルと、門型コラムレールにテーブルの移動方向と直交する方向に移動可能に取り付けられたスライダ板と、スライダ板にその鉛直方向に移動可能に取り付けられたスピンドルと、スピンドルに固定されたドリルとを備え、テーブルに載置された被加工物をドリルによって穴加工するドリル穴明機において、門型コラムレールのスライダ板の設置側に穴加工時に生じる門型コラムレールの変形又は振動を抑制する制御手段を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プリント基板等に穴明を行う新規なドリル穴明機及びその方法に関する。
図9は、従来のプリント基板用のドリル穴明機の斜視図である。以下の説明において、座標系は図中に示す通りである。ベッド1は機械の土台であり、床に設置される。このベッド1の上に、門型コラムレール2が固定される。テーブル3は、X軸案内レール8、これと対になるスライダ12を介して、X方向に移動可能にベッド1に載置される。門型コラムレール2には、Y軸案内レール9、これと対になる図示しないスライダを介して、Y方向に移動可能にスライド板4が取り付けられる。スライド板4には、Z軸案内レール10、これと対になる図示しないスライダを介して、Z方向に移動可能にハウジング5が取り付けられる。ハウジング5には、スピンドル6が固定され、スピンドル6の先端には図示しないドリルが装着される。この例では、スピンドル6が6軸取り付けられており、同時に6枚の基板の穴加工が可能である。
テーブル3の下部には、送りねじ7と螺合するテーブル送りナット15が固定されている。送りねじ7は、送りねじ受け11を介して、回転可能な状態でベッド1に固定されており、他端に取り付けられている図示しない駆動モータによって回転させられることにより、テーブル3をX方向に移動させる。同様に、スライド板4の背後には、図示しないY方向用送りねじがあり、スライド板4の裏面にはこの送りねじと螺合するナットが固定されており、図示しない駆動モータによってこの送りねじを回転させることにより、スライド板4をY方向に移動させる。また、ハウジング5は図示しない送りねじ、又は、リニアモータにより、Z方向に移動する。
このようなドリル穴明機において穴加工は次のように行われる。各スピンドル軸ごとに1枚ずつ、6枚の基板をテーブル3の上に載置する。スピンドル6にドリルを装着して、ドリルを所定の速度で回転させ、テーブル3をX方向の所定の位置に、又、スライド板4をY方向の所定の位置に移動させて、ドリルを基板上の所定の位置に位置決めした後、ハウジング5と共にスピンドル6を6軸同時にZ方向に下降させて、6枚の基板に同時に穴加工する。以下、この動作を繰り返し、6枚の基板に同一パターンの複数穴を加工する。
このようなドリル穴明機として、特許文献1が知られている。
特開平10−315091号公報
小型の携帯機器の需要増などによりプリント基板の穴の高密度化が進んでおり、ドリル穴明機には高生産性、高加工精度が求められている。高生産性を満足するため、ドリル穴明機のスピンドル軸数は徐々に増えており、現在では、図9のように6軸のスピンドルを備えたタイプが標準的になっている。また、スピンドルの下降、上昇速度を上げることで加工時間を短縮し、生産性の向上を図ってきた。
しかしながら、スピンドルの軸数が増加し、スパンが拡大したことにより、門型コラムレールの変形剛性が低下してきた。また、スピンドルの下降、上昇に伴う門型コラムレールへの負荷荷重も、下降、上昇速度の向上により、増大してきた。その結果、加工動作時の門型コラムレールの変形、振動が大きくなっており、高加工精度の要請を満足することが困難になってきた。
すなわち、従来構造のドリル穴明機では、高生産性を追及すると、門型コラムレールの変形剛性の低下、又は、負荷荷重の増大を招き、そのため機械の変形が増大して加工精度が低下するということになり、高生産性と高加工精度の両立が難しくなってきた。具体的には、スピンドルが下降、上昇するとき、駆動の反力がスライド板面の上下方向に作用する力により、門型コラムレールの中央部は、スピンドルが下降するときには上方へ、スピンドルが上昇するときには下方へ曲げ変形する。また同時に、この力は門型コラムレールを捻るように作用するので、門型コラムレールは、曲げと捻れの両方の変形を生じて、振動する。その結果、スライド板に取り付けられたスピンドル及びドリル先端も振動し、テーブルに載置されたプリント基板との間に相対位置誤差を生じ、加工穴の位置精度の低下、穴形状品質の低下、ドリルの折損などを招く。
本発明の目的は、門型コラムレールの変形又は振動を低減し、高速で高精度なドリル穴加工ができるドリル穴明機及びその方法を提供することにある。
本発明は、ベッドと、該ベッドに固定された門型コラムレールと、前記ベッドに水平方向に移動可能に載置されたテーブルと、前記門型コラムレールに前記テーブルの移動方向と直交する方向に移動可能に取り付けられたスライダ板と、該スライダ板にその鉛直方向に移動可能に取り付けられたスピンドルと、該スピンドルに固定されたドリルとを備え、前記テーブルに載置された被加工物を前記ドリルによって穴加工するドリル穴明機において、前記門型コラムレールの前記スライダ板の設置側に前記穴加工時に生じる前記門型コラムレールの変形又は振動を抑制する制御手段を有することを特徴とする。
前記制御手段は、前記ベッドと門型コラムレールの前記スライダ板の設置側との間に設けられた支柱と、前記穴明加工時に生じる前記門型コラムレールの変形又は振動を前記支柱を通して抑制する制御部材とを有し、前記テーブルにはその移動方向に沿って設けられその移動の妨げにならないように前記制御手段に対応した開口部を有することが好ましい。
前記支柱はピストン部材であり、前記制御部材は前記ピストン部材が移動可能であるシリンダ部材と該シリンダ部材内に設けられたアクチュエータとを有するものであり、前記門型コラムレールに設けられた変位及び加速度の少なくとも一方を検出する検出器の出力に基づいて前記アクチュエータの動作をフィードバック制御し前記門型コラムレールの振動をアクティブ制振する制御装置を有することが好ましい。
前記支柱はオリフィス絞り孔を設けたピストン部材であり、前記制御部材は前記ピストンが挿入されるシリンダ部材と該シリンダ部材内に充填された粘性流体とを有すること、又、前記支柱はピストン部材であり、前記制御部材は前記ピストン部材を介して両側に設けられたスタンド部材と該スタンド部材と前記ピストン部材との間に挿入固定された粘弾性体とを有することが好ましい。
前記スピンドルを多軸に複数有すること、前記制御手段は、隣り合う前記スピンドル軸間の中央近傍に配置されていること、前記テーブルは複数有し、前記制御手段は隣り合う前記テーブル間に設けられていること、又、前記制御手段は、前記門型コラムレールの中央近傍の前記スライダ板側に配置されていることが好ましい。
又、本発明は、門型コラムレールに移動可能に取り付けられたスピンドルに固定されたドリルによって前記被加工物を穴加工するドリル穴明方法において、前記穴明加工時に生じる前記門型コラムレールの変形又は振動を抑制しながら前記穴加工することを特徴とする。
前記抑制を前記門型コラムレールと前記テーブルとの間を粘性流体又は粘弾性体の緩衝によって行うこと、又、前記穴加工時に生じる前記門型コラムレールの変位及び加速度の少なくとも一方を検出し、該検出された出力に基づいて前記門型コラムレールをアクチュエータとによってアクティブ制振することが好ましい。
複数の前記スピンドルによって一度に複数の前記穴加工を行うこと、前記抑制を左右対称に配置した前記スピンドル軸間にて行うことが好ましい。
本発明によれば、門型コラムレールの変形及び振動を低減し、高速で、高精度なドリル穴加工を行うことができるドリル穴明機及びその方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的な実施例によって説明する。
図1は、本発明に係るプリント基板用ドリル穴明機の斜視図であり、図1(a)が全体斜視図及び(b)がテーブルを外した斜視図である。ベッド1は鋳鉄製で、機械の土台であり、床に設置される。このベッド1の上に、鋳鉄製の門型コラムレール2が固定される。ベッド1には、穴加工時に生じる門型コラムレール2の変形又は振動を抑制する制御手段13が固定されている。テーブル3は、X軸案内レール8、このX軸案内レール8と対になるスライダ12を介して、X方向に移動可能にベッド1に載置される。このテーブル3には開口部14が設けられ、この開口部14を通して制御手段13が突き出しており、制御手段13が門型コラムレール2とベッド1とを繋いでいる。
門型コラムレール2には、Y軸案内レール9、これと対になる図示しないスライダを介して、Y方向に移動可能にスライド板4が取り付けられる。スライド板4には、Z軸案内レール10、これと対になる図示しないスライダを介して、Z方向に移動可能にハウジング5が取り付けられる。ハウジング5には、スピンドル6が固定され、スピンドル6の先端には図示しないドリルが装着される。この例では、スピンドル6が6軸取り付けられており、同時に6枚の基板の穴加工が可能である。テーブル3の下部には、送りねじ7と螺合するテーブル送りナット15が固定されている。
送りねじ7は、送りねじ受け11を介して、回転可能な状態でベッド1に固定されており、他端に取り付けられている図示しない駆動モータによって回転させられることにより、テーブル3をX方向に移動させる。同様に、スライド板4の背後には、図示しないY方向用送りねじがあり、スライド板4の裏面にはこの送りねじと螺合するナットが固定されており、図示しない駆動モータによってこの送りねじを回転させることにより、スライド板4をY方向に移動させる。また、ハウジング5は図示しない送りねじ、又は、リニアモータによりZ方向に移動する。
このように、門型コラムレール2の中央近傍を制御手段13で支持したので、スピンドル6の上下動に伴って駆動反力が作用したとしても、門型コラムレール2の変形、振動を低減することができる。これにより、ドリル先端における誤差振動を低減し、加工精度を向上させることができる。また、テーブル3に開口部14を設けたので、制御手段13がテーブルの移動を妨げることは無い。
図2は、本発明に係るドリル穴明機の正面図(a)と上面図(b)である。本実施例では、加工する際の原点位置にスライド板4を静止させたときの6本のスピンドル6の軸間の中央部に、2つの制御手段13を対称に配置したものである。この条件を満足し、かつ、できるだけ門型コラムレール2の中央に近いところに、制御手段13を配置することにより、制御手段13を設けても、各スピンドル軸の加工領域はほとんど減少せず、各軸とも等しい加工領域を確保することができる。スピンドル6の軸間中央以外の場所に制御手段13を設けると、いずれかのスピンドル6軸の加工領域がY方向に狭くなってしまい、結果的に生産効率が低下する。
図3は、本発明係るドリル穴明機のテーブルの斜視図である。本発明係るドリル穴明機のテーブル3は、1枚の鋳鋼製からなり、その移動の妨げにならないように、テーブル3の移動方向に移動できるように制御手段13に対応した開口部14が設けられる。テーブル3の中央近傍に開口部14となる2本のスリットが切ってあり、スリットの一端は開放されている。開放されている部分に、補強プレート201を補強プレート固定ボルト202で剛的に固定する。このように補強プレート201は別部品として取り外し可能にしたので、機械の組立、又は、分解のとき、制御手段13がベッド1に取り付けられた状態であっても、テーブル3をベッド1に取り付け、取り外しすることができる。このような取り付け、取り外しを考慮しなくてよい場合には、補強プレート201を一体として、開口部14が開放端を持たないように、テーブル3を一体鋳造してもよい。開放端と反対側の端部にはその下部に薄肉の段差を有する。
以上のように、テーブル3に、開口部14を設けたので、制御手段13とテーブル3との干渉を避けることができ、門型コラムレール2の中央近傍に制御部材13を設けた構造を実現できる。
図4は、本実施例に係るドリル穴明機の正面図(a)と側面図(b)及び制御手段の正面図(c)と側面図(d)である。制御手段13は、ピストン部材101、シリンダ部材102、ピエゾアクチュエータ103から構成される。ピストン部材101の一端は、門型コラムレール2に設けられた取付端子108に、レール側取付ボルト109、レール側取付ナット110を用いて剛的に固定される。ピストン部材101の他端は、シリンダ部材102に摺動可能に挿入されている。シリンダ部材102は、ベッド側取付ボルト111でベッド1に固定されている。ピストン部材101の下面とシリンダ部材102の底面の間にセラミックス製のピエゾアクチュエータ103が設置され、コントローラからの電圧印加により力を発生し、ピストン部材101を上下動する。門型コラムレール2の中央上部には、加速度計112が取り付けられている。
この加速度計112の出力をモニターし、ピエゾアクチュエータ103に電圧を印加するコントローラ113が備えられている。このような構成において、スピンドル6が上下動すると、駆動反力により門型コラムレール2が変形、振動する。この変形は中央近傍で最大になるので、中央上部に取り付けた加速度計112は効果的に変形に応じた電圧を出力する。コントローラ113は、この加速度信号をモニターして、加速度が小さくなるように、ピエゾアクチュエータ103の印加電圧をフィードバック制御して、ピストン部材101を上下動させて、門型コラムレール2の変形を抑制する。
このように門型コラムレール2の変形をアクティブに制御するようにしたので、スピンドル6を高速で上下動させた場合でも、門型コラムレール2の変形、振動を低減することができ、加工精度を向上させることができる。ここではアクチュエータとして、ピエゾアクチュエータ103を使用した例を示したが、これに限られるわけではなく、リニアモータなどの電磁アクチュエータ、油圧アクチュエータなどを用いてもよい。その場合においても、構成は同様であり、変形の大きい箇所において変位、又は、加速度をモニターし、これを小さくするようにアクチュエータの変位方向をフィードバック制御する。
以上、本実施例によれば、ベッドに固定した制御手段13によって門型コラムレール2の中央近傍を支持するので、スピンドル6の下降、上昇動作に伴う上下方向の荷重に対する門型コラムレール2の変形、振動を低減することができる。特に、制御手段13として、アクチュエータを設け、門型コラムレールの振動をアクティブ制振するようにしたので、振動を低減でき、加工精度を向上させることができる。更に、この制御手段13として振動減衰機能を有する支持部材としたので、共振のピークを下げることができ、精度の安定性を向上させることができる。又、制御手段13を隣り合うスピンドル6軸間の中央近傍に配置する構成にしたので、制御手段13を回避するためにテーブル3に設けた開口部14が加工領域の減少を招くことが無い。
従来構造のドリル穴明機では、高生産性を追及すると、門型コラムレール2の変形剛性の低下、負荷荷重の増大を招き、そのため、機械の変形が増大して加工精度が低下することになり、高生産性と高加工精度の両立が難しかったが、本実施例によればこれらの問題を解決できるものである。
以上の実施例では、プリント基板用のドリル穴明機の場合について説明したが、位置決めテーブルを有する一般的な工作機械、製造装置に本発明の構造を適用することも可能である。
図5は、本実施例に係るドリル穴明機の制御手段の正面図(a)と上面図(b)である。本実施例のドリル穴明機の全体構成は実施例1と同様であり、その制御手段が異なる。制御手段は、ピストン部材101、シリンダ部材102、シリコンオイル等の粘性を有する粘性流体105から構成される。ピストン部材101の一端は、門型コラムレール2に設けられた取付端子108に、レール側取付ボルト109、レール側取付ナット110を用いて剛的に固定される。ピストン部材101の他端は、シリンダ部材102に摺動可能に挿入されている。
シリンダ部材102は、ベッド側取付ボルト111でベッド1に固定されている。シリンダ部材102の中には粘性流体105が充填され、キャップ106で封止されている。また、ピストン部材101には、オリフィス絞り口104が設けられている。
このようなドリル穴明機において、スピンドルが上下動すると、駆動反力により門型コラムレール2が変形し振動する。この振動はピストン部材101に伝達され上下動するが、ピストン部材101にはオリフィス絞り口104を設けてあるので、ピストン部材101の上下動に伴って、運動エネルギーが粘性流体105による粘性抵抗によって消費され振動が減衰する。減衰の程度は、オリフィス絞り口104の径、個数、又は、粘性流体105の粘度により調整することができる。
このように制御手段に減衰機能を持たせたので、門型コラムレールの振動を効果的に低減することができ、加工精度を向上することができる。この構成では、パッシブに振動を減衰する方式を採用したので、コントローラ、アクチュエータ、センサなどが不要であり、簡便で安価に実現できる。本実施例においても実施例1と同様の効果を有する。
図6は、本実施例に係るドリル穴明機の制御手段の正面図(a)と上面図(b)である。本実施例のドリル穴明機の全体構成は実施例1と同様であり、その制御手段が異なる。制御手段は、ピストン部材101、スタンド部材115、粘弾性体107から構成される。ピストン部材101の一端は、門型コラムレール2に設けられた取付端子108に、レール側取付ボルト109、レール側取付ナット110を用いて剛的に固定される。ピストン部材101と粘弾性体107、及びスタンド部材115と粘弾性体107は、それぞれ接着されている。粘弾性体107は、例えば振動減衰性の高いゴム、又は、複合材料のようなものである。門型コラムレール2が振動してピストン部材101が変位すると、粘弾性体107がせん断変形し、運動エネルギーが消費される。これにより門型コラムレール2の振動が低減して、加工精度が向上する。この構成では、パッシブに振動を減衰する方式を採用したので、コントローラ、アクチュエータ、センサなどが不要であり、簡便で安価に実現できる。本実施例においても実施例1と同様の効果を有する。
図7は、本実施例に係るドリル穴明機のテーブルの分解斜視図である。本実施例のドリル穴明機の全体構成は実施例1と同様であり、そのテーブルの構造が異なる。このテーブルは、鋳鉄製の一体鋳造したフレーム構造304の上に、天板プレート301をボルトにて一体に固定した構造になっている。このような構造は軽量化に有利である。通常、テーブルの移動距離を大きくしたいときは、制御手段13との干渉を避けるため、開口部14のX方向の長さを大きくする必要がある。しかし、単純な長方形形状のテーブルの構造において開口部14を長くすると、テーブル全体の寸法が大きくなり、質量の増加、設置スペースの増加が発生し、好ましくない。そこで、この実施例では、部分的に突き出し部302を設けた。これにより、テーブルの外形寸法をほとんど変えずに、突き出し部302による質量の増加、スペースの増加だけで、テーブルの移動距離を大きくすることができる。
又、一般に、テーブルに開口部14のような空間を設けると剛性が低下し変形が増大するが、本実施例では、開口部14の近傍に、スライダ12が取り付けられる脚部16を設け、開口部14とテーブルの支持点である脚部16を近接させることにより変形を小さくする。また、開口部14の周辺にテーブル厚さ増加部分303を設けることにより、テーブルの面外方向の剛性低下を補う。この開口部14の位置において突き出し部302を設けたので、この突き出し部302による断面2次モーメントの増加が、テーブルの面内方向の曲げ剛性の低下を補う。
このように、突き出し部302、テーブル厚さ増加部分303を設けたので、質量及び設置スペースの大幅な増加を招くこと無く、また、テーブルの変形を増大させること無く、門型コラムレール2に制御手段13を設けることができる。本実施例においては、テーブルの開口部14に開放端を設けず、一体鋳造した例を示したが、組立等の関係で、開口部14の一端を開放する必要がある場合には、図2のように補強プレート201を使用することができる。この場合、突き出し部302の部分を分割して別部品とし、これを補強プレート201として、ボルト等でテーブル3に剛的に固定する。
以上のように、テーブルに、開口部14を設けたので、制御手段13とテーブル3との干渉を避けることができ、門型コラムレール2の中央近傍に制御手段13を設けた構造を実現できる。本実施例においても実施例1と同様の効果を有する。
図8は、本実施例に係るドリル穴明機の斜視図である。本実施例のドリル穴明機の全体構成は実施例1と同様であるが、独立した位置決め機構を持つテーブル3を複数用いると共に、互いのテーブルの間に制御手段13を設置した実施例である。図のように、2つのテーブル3a、3bがベッド1に載置され、各テーブルは独立した位置決め機構を有し、それぞれX軸送りねじ7a、7bによって移動する。X軸送りねじ7a、7bはX軸送りねじ受け11a、11bによって、回転自由にベッド1に取り付けられ、図示しないモータによって回転駆動される。二つのテーブル3a、3bの間には、図4〜6に示す制御手段13が設置できる間隔が設けてある。制御手段13の一端はベッド1に固定されており、他端は門型コラムレール2の中央に固定され、制御手段13は門型コラムレール2の中央部を支持している。この構成によると、各テーブルの位置決め機構が増えるのでコストが増加するが、各テーブルに開口部を設けなくともよいというメリットがある。また、一個当りのテーブルの質量が小さくなるので、駆動系のモータ等を小さくできるというメリットがある。コストの増加が問題にならない場合には、このような構成も可能である。本実施例では、2つのテーブルを用いた場合を示したが、3つ以上にすることも可能である。本実施例においても実施例1と同様の効果を有する。
本発明に係るドリル穴明機の斜視図。 本発明に係るドリル穴明機の正面図と上面図。 本発明係るドリル穴明機のテーブルの斜視図。 本発明に係るドリル穴明機の正面図と側面図及び制御手段の正面図と側面図。 本発明に係るドリル穴明機の制御手段の正面図及び側面図。 本発明に係るドリル穴明機の制御手段の正面図及び側面図。 本発明に係るドリル穴明機のテーブルの斜視図。 本発明に係るドリル穴明機の斜視図。 従来のドリル穴明機の斜視図。
符号の説明
1…ベッド、2…門型コラムレール、3…テーブル、4…スライド板、5…ハウジング、6…スピンドル、7…X軸送りねじ、8…X軸案内レール、9…Y軸案内レール、10…Z軸案内レール、11…X軸送りねじ受け、12…スライダ、13…制御手段、14…開口部、15…テーブル送りナット、16…脚部、101…ピストン部材、102…シリンダ部材、103…ピエゾアクチュエータ、104…オリフィス絞り口、105…粘性流体、107…粘弾性体、112…加速度計、113…コントローラ、201…補強プレート、301…天板プレート。

Claims (6)

  1. ベッドと、該ベッドに固定された門型コラムレールと、前記ベッドに水平方向に移動可能に載置されたテーブルと、前記門型コラムレールに前記テーブルの移動方向と直交する方向に移動可能に取り付けられたスライダ板と、該スライダ板にその鉛直方向に移動可能に取り付けられたスピンドルと、該スピンドルに固定されたドリルとを備え、前記テーブルに載置された被加工物を前記ドリルによって穴加工するドリル穴明機において、
    前記門型コラムレールの前記スライダ板の設置側に前記穴加工時に生じる前記門型コラムレールの変形又は振動を抑制する制御手段を有することを特徴とするドリル穴明機。
  2. 請求項1において、前記制御手段は、前記ベッドと門型コラムレールの前記スライダ板の設置側との間に設けられた支柱と、前記穴明加工時に生じる前記門型コラムレールの変形又は振動を前記支柱を通して抑制する制御部材とを有し、前記テーブルにはその移動方向に沿って設けられその移動の妨げにならないように前記制御手段に対応した開口部を有することを特徴とするドリル穴明機。
  3. 請求項2において、前記支柱はピストン部材であり、前記制御部材は前記ピストン部材が移動可能であるシリンダ部材と該シリンダ部材内に設けられたアクチュエータとを有するものであり、前記門型コラムレールに設けられた変位及び加速度の少なくとも一方を検出する検出器の出力に基づいて前記アクチュエータの動作をフィードバック制御し前記門型コラムレールの振動をアクティブ制振する制御装置を有することを特徴とするドリル穴明機。
  4. 請求項2において、前記支柱はオリフィス絞り孔を設けたピストン部材であり、前記制御部材は前記ピストン部材が挿入されるシリンダ部材と、該シリンダ部材内に充填された粘性流体とを有することを特徴とするドリル穴明機。
  5. 請求項2において、前記支柱はピストン部材であり、前記制御部材は前記ピストン部材を介して両側に設けられたスタンド部材と、該スタンド部材と前記ピストン部材との間に挿入固定された粘弾性体とを有することを特徴とするドリル穴明機。
  6. 門型コラムレールに移動可能に取り付けられたスピンドルに固定されたドリルによって前記被加工物を穴加工するドリル穴明方法において、前記穴明加工時に生じる前記門型コラムレールの変形又は振動を抑制しながら前記穴加工することを特徴とするドリル穴明方法。
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