JP3927739B2 - プリント基板加工機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主軸を回転自在に支持し、サドル上を主軸の軸心方向に移動自在の主軸保持体を備え、主軸の先端に保持させたドリルによりプリント基板に穴明け加工をするプリント基板加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来のプリント基板加工機の一部を断面した斜視図である。図で、ベッド1には、1対のリニアガイド2(片方は図示省略)およびモータ3が固定されている。ボールねじ4はベッド1に回転自在に支持され、一端がモータ3に接続されている。テーブル5は、リニアガイド2に係合すると共に、不図示のナットがボールねじ4に螺合して、ベッド1上をX方向に移動自在である。テーブル5には、ワークであるプリント基板6が固定されている。
【0003】
コラム11は、ベッド1に一体に固定されている。一対のリニアガイド12とモータ13が、コラム11に固定されている。ボールねじ14はコラム11に回転自在に支持され、一端がモータ13に接続されている。サドル15は、リニアガイド12に係合すると共に、不図示のナットがボールねじ14に螺合して、コラム11上をY方向に移動自在である。
【0004】
一対のリニアガイド22(片方は図示省略)とモータ23が、サドル15に固定されている。ボールねじ24はサドル15に回転自在に支持され、一端がモータ23に接続されている。ハウジング25は、リニアガイド22に係合すると共に、背面に固定されたナット26がボールねじ24に螺合して、サドル15上をZ方向に移動自在である。
【0005】
ハウジング25にはスピンドル27が固定され、スピンドル27に回転自在に支持された主軸28の先端には、図示を省略するコレットを介してドリル29が保持されている。サドル15とハウジング25との間には復帰ばね30が配置され、ハウジング25を上方に付勢している。NC装置31は、モータ3、13、23等を制御する。
【0006】
次に、上記従来のプリント基板加工機の動作を説明する。
【0007】
NC装置31は、予め入力された加工プログラムに従って、モータ3、13を動作させ、先ず、ドリル29をプリント基板6の所定の位置に対向させる。その後、モータ23を動作させ、復帰ばね30に抗して、ドリル29の先端がプリント基板6の表面から所定の高さに到達するまでは高速で、ドリル29の先端がプリント基板6の表面から所定の高さに到達した後はドリル29の径に適した切り込み速度でハウジング25を所定の位置まで下降させ、プリント基板6に穴を明ける。穴明け終了後にドリル29を上昇させる際、復帰ばね30がハウジング25を付勢するから、ハウジング25を速やかに上昇させることができ、モータ23の駆動力を小さなものにすることができた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、主軸保持体であるハウジングを高速で上下させてドリルの移動を高速に行うことができれば、加工能率を向上させることができる。しかし、ハウジングの移動速度を速くするために、加速度の値を大きくすると、ハウジングの慣性力の変化に伴なってハウジングに振動が発生した。そして、ハウジングの振動が大きくなると、プリント基板加工機全体が振動し、例えば穴明け加工時にドリル折れが発生した。また、発生した振動が床を介して周辺に伝わり、プリント基板加工機の周辺に配置された他の装置を誤動作させたり他の装置の加工精度を低下させる等の悪影響が発生した。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、主軸保持体の加速度の値を大きくしても、プリント基板加工機に発生する振動を抑制することができるプリント基板加工機を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための請求項1の発明は、機体と、加工すべきプリント基板を設置自在なテーブルと、主軸を回転自在に保持した主軸保持体と、を備え、前記機体に対してこれらテーブル及び主軸保持体を互いに移動駆動自在とし、前記主軸の先端に保持させた工具によりプリント基板を加工するプリント基板加工機において、ばねにより挟持されて前記主軸保持体の移動方向に対して移動自在に支持されるカウンタを有する動吸振器を、前記カウンタを挟持する一方の前記ばねの端部を前記主軸保持体に接続し、他方の前記ばねの端部を前記機体又は前記主軸保持体に接続して設け、前記主軸保持体の慣性力の変化に伴なって発生する該主軸保持体の振動を前記動吸振器により吸収させる、ことを特徴とする。
【0011】
また請求項2の発明は、前記動吸振器は、2個のばねとカウンタとを有し、前記主軸保持体と前記カウンタとの間に前記ばねのうち一方を接続し、前記カウンタと前記機体との間に前記ばねのうち他方を接続した、ことを特徴とする。
【0012】
また請求項3の発明は、前記ばねは復帰ばねを兼ねており、前記復帰ばねが前記主軸保持体の位置復帰を行う、ことを特徴とする。
【0013】
また請求項4の発明は、前記動吸振器は、第1及び第2の部材を有し、これら部材間の伸縮動作エネルギーを粘性摩擦により吸収する振動減衰装置を備えており、前記第1及び第2の部材のうち、一方を前記カウンタに、他方を前記機体に、それぞれ接続した、ことを特徴とする。
[作用]
主軸保持体の慣性力の変化に伴って主軸保持体に発生する振動は、動吸振器によりカウンタの振動等として吸収され、プリント基板加工機に発生する振動を抑制できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係るプリント基板穴明機の要部側面図であり、図4と同じものまたは同一機能のものは同一符号を付して説明を省略する。なお本明細書の請求項で記載されている「機体」とは、テーブル5や主軸保持体(ハウジング25)等以外の主要構成部分を指すものであり、具体的には、ベッド1、コラム11、サドル15からなる。
【0016】
ハウジング25とサドル15との間には、復帰ばね30、その下にカウンタ50、更にその下にばね51が直列に配置されている。カウンタ50の上下には、復帰ばね30とばね51の内径に隙間を持って係合するボス50a、50aがそれぞれ設けられている。
【0017】
そして、カウンタ50と、サドル15のうち該カウンタ50下方に位置する箇所との間には、粘性摩擦式の振動減衰装置(以下、ダンパという。)52が設けられている。ダンパ52は、Z方向に伸びたロッド状の第1の部材52aと、該第1の部材52aが軸方向(Z方向)に摺動自在に係合したシリンダ状の第2の部材52bとを有しており、これら部材51a、52bが軸方向(Z方向)に相対的に移動するように構成されている。なお一方の部材(図では第1の部材52a)がカウンタ50に、他方の部材(図では第2の部材52b)がサドル15にそれぞれ接続されている。
【0018】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
【0019】
図2は、図1の構成をモデル化した図であり、M1はハウジング25、スピンドル27およびドリル29の質量の合計を、M2はカウンタ50の質量を、K1は復帰ばね30のばね定数を、K2はばね51のばね定数を、Cはダンパ52の減衰抵抗を示している。
【0020】
装置の構造で決まる質量M1に対し、質量M2、ばね定数K1、K2および減衰抵抗Cを適切に選定しておく。すると、質量M1の慣性力の変化量に起因する振動は質量M2の振動として吸収され、さらに質量M2の振動はダンパ52により減衰される。この結果、ハウジング25を移動させるときの加速度の値を大きくしても、プリント基板加工機全体が振動することを抑制できる。
【0021】
図3は、本発明の他の実施の形態を示す要部側面図であり、図1、4と同じものまたは同一機能のものは同一符号を付して説明を省略する。図で、60はリニアモータであり、サドル15に固定されている。ハウジング25はリニアモータ60を貫通するリニアモータシャフト61の下端に固定されている。リニアモータシャフト61の上端にはフランジ61aが形成されている。そして、フランジ61aとリニアモータ60との間には、復帰ばね30、その下にカウンタ50、更にその下にばね51が直列に配置されている。そして、ダンパ52の一方の部材(図では第1の部材52a)がカウンタ50に、他方の部材(図では第2の部材52b)がサドル15にそれぞれ接続されている。
【0022】
ここで、リニアモータシャフト61、ハウジング25、スピンドル27およびドリル29の質量の合計をM1とすると、この実施の形態の場合も、上記図1の場合と同様に、図2に示すようにモデル化することができる。なお、動作は図1の場合と同じであるため説明を省略するが、この場合も、ハウジング25を移動させるときの加速度の値を大きくしても、プリント基板加工機全体が振動することを抑制できる。
【0023】
なお上述した実施形態では、上記復帰ばね30、カウンタ50、ばね51、ダンパ52(ダンパ52は必須ではない)からなる動吸振器は、主軸保持体と機体の一部(上の例ではサドル15であったが、その他にもベッド1やコラム11等が採用可能である。)とを接続するように設けた。しかし別の例として、復帰ばね30の上端を主軸保持体(ハウジング25)の一部に、ばねの下端を主軸保持体(ハウジング25)の別の一部に、それぞれ接続すること、従って上記動吸振器を主軸保持体内に設けること、も可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、機体と、加工すべきプリント基板を設置自在なテーブルと、主軸を回転自在に保持した主軸保持体と、を備え、前記機体に対してこれらテーブル及び主軸保持体を互いに移動駆動自在とし、前記主軸の先端に保持させた工具によりプリント基板を加工するプリント基板加工機において、前記主軸保持体に動吸振器を設け、前記主軸保持体の慣性力の変化に伴なって発生する該主軸保持体の振動を前記動吸振器により吸収させる。これにより、主軸保持体を高速で移動させても、プリント基板加工機に発生する振動を抑制することができる。したがって、ドリルを高速で上下方向に移動させることができ、作業能率を向上させることができる。また、周辺に及ぼす影響も小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリント基板穴明機の要部側面図である。
【図2】図1の構成をモデル化した図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す要部側面図である。
【図4】従来のプリント基板加工機の一部を断面した斜視図である。
【符号の説明】
15 サドル
25 ハウジング
27 スピンドル
28 主軸
29 ドリル
30 復帰ばね
50 カウンタ
51 ばね
52 ダンパ
52a ダンパ52の一方の部材
52b ダンパ52の他方の部材

Claims (4)

  1. 機体と、加工すべきプリント基板を設置自在なテーブルと、主軸を回転自在に保持した主軸保持体と、を備え、前記機体に対してこれらテーブル及び主軸保持体を互いに移動駆動自在とし、前記主軸の先端に保持させた工具によりプリント基板を加工するプリント基板加工機において、
    ばねにより挟持されて前記主軸保持体の移動方向に対して移動自在に支持されるカウンタを有する動吸振器を、前記カウンタを挟持する一方の前記ばねの端部を前記主軸保持体に接続し、他方の前記ばねの端部を前記機体又は前記主軸保持体に接続して設け、
    前記主軸保持体の慣性力の変化に伴なって発生する該主軸保持体の振動を前記動吸振器により吸収させる、
    ことを特徴とするプリント基板加工機。
  2. 前記動吸振器は、2個のばねとカウンタとを有し、前記主軸保持体と前記カウンタとの間に前記ばねのうち一方を接続し、前記カウンタと前記機体との間に前記ばねのうち他方を接続した、
    ことを特徴とする請求項1記載のプリント基板加工機。
  3. 前記ばねは復帰ばねを兼ねており、
    前記復帰ばねが前記主軸保持体の位置復帰を行う、
    ことを特徴とする請求項2記載のプリント基板加工機。
  4. 前記動吸振器は、第1及び第2の部材を有し、これら部材間の伸縮動作エネルギーを粘性摩擦により吸収する振動減衰装置を備えており、
    前記第1及び第2の部材のうち、一方を前記カウンタに、他方を前記機体に、それぞれ接続した、
    ことを特徴とする請求項2又は3記載のプリント基板加工機。
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