(電気光学装置の第1実施形態)
以下、本発明に係る電気光学装置及びその電気光学装置の製造方法をその一実施形態を挙げて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。また、これからの説明で用いる図面では、特徴となる部分を分かり易く示すために、実際の寸法比率と異なる寸法比率で構成要素を図示することがあることに注意を要する。
図1は、本発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置1の行方向Xから見た列方向Yに沿った断面構造を示している。図2は、図1の要部を拡大して示している。また、図3は、図1のC−C線に従って液晶表示装置1の列方向Yから見た行方向Xに沿った断面構造を示している。また、図4は、図1に示す液晶表示装置を矢印A方向から平面的に見た図である。なお、図4においては、主要な構造を見易くするために主に素子や配線を図示し、その他の要素は必要に応じて図示を省略している。また、図5は、図3の矢印Eで示す部分を矢印I方向から平面的に見た場合を示している。
本実施形態は、3端子型のアクティブ素子であるTFT(Thin Film Diode)素子をスイッチング素子として用いるアクティブマトリクス方式であって、半透過反射型であって、さらにカラー表示が可能である液晶表示装置である。なお、TFT素子には、アモルファスシリコンTFT、低温ポリシリコンTFT、高温ポリシリコンTFT等のように各種の素子があるが、本実施形態ではアモルファスシリコンTFTを用いるものとする。もちろん、その他の種類のTFT素子を用いた液晶表示装置に対して本発明を適用することもできる。
図1において、本実施形態の液晶表示装置1は、電気光学パネルとしての液晶パネル2と、その液晶パネル2に実装された半導体要素としての駆動用IC3と、その液晶パネル2に付設された照明装置4とを有する。この液晶表示装置1に関しては、矢印Aが描かれた側が観察側であり、上記の照明装置4は、液晶パネル2に関して観察側と反対側に配置されてバックライトとして機能する。
照明装置4は、光源、具体的には点状光源としてのLED(Light Emitting Diode)6と、LED6から出射された点状の光を面状に変換して出射する導光体7とを有する。導光体7は、例えば透光性の樹脂によって形成される。各LED6は、その発光面が導光体7の1つの側面である光入射面7aに対向するように設けられる。各LED6から出た光は、光入射面7aから導光体7の内部へ導入され、その導光体7の光出射面7bから面状の光として出射して液晶パネル2へ供給される。なお、導光体7の光出射面7bには、必要に応じて光拡散膜8が設けられる。また、導光体7の光出射面7bと反対の面には、必要に応じて光反射膜9が設けられる。また、光源は、LED6以外の点状光源や、冷陰極管等といった線状光源によって構成することもできる。
液晶パネル2は、矢印A方向から見て枠状に形成されたシール材13によって互いに貼り合わされた一対の基板11及び12を有する。これらの基板11,12はいずれも矢印A方向から見て長方形又は正方形に形成されている。基板11はスイッチング素子が形成される素子基板である。また、基板12はカラーフィルタが形成されるカラーフィルタ基板である。
図4に示すように、シール材13はその一部に液晶注入口13aを有し、この液晶注入口13aを介して図1の素子基板11とカラーフィルタ基板12との間に電気光学物質としての液晶、例えばTN液晶が注入される。こうして、電気光学物質層としての液晶層14が形成される。図4の液晶注入口13aは液晶の注入が完了した後に樹脂によって封止される。なお、液晶のモードとしてはTN液晶の他に、必要に応じて種々の液晶を採用できる。例えば、負の誘電率異方性を持つ液晶、すなわち垂直配向モードの液晶でも良い。また、液晶の注入方法としては、上記のような注入口13aを介しての注入に限らず、注入口を持たない環状のシール材によって囲まれる領域内に液晶滴を供給するという方法も考えられる。
図1において、素子基板11は、基板又は対向基板としての第1の透光性の基板11aを有する。この第1透光性基板11aは、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって、観察側である矢印A側から見て長方形または正方形に形成される。また、この第1透光性基板11aの外側表面には偏光板15aが、例えば、貼着等によって装着される。必要に応じて、偏光板15a以外の光学要素、例えば位相差板を付加的に設けることもできる。
第1透光性基板11aの内側表面には、アクティブ素子又はスイッチング素子としてのTFT素子31が複数個形成される。これらのTFT素子31を覆うように絶縁膜としての層間絶縁膜25が形成されている。この層間絶縁膜25は、例えば、透光性、感光性、及び絶縁性を有する樹脂、例えばアクリル樹脂をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって形成される。
層間絶縁膜25の表面には複数の画素電極21aが設けられている。これらの画素電極21aは、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等といった金属酸化物を材料としてフォトエッチング処理によって形成される。複数の画素電極21aは、矢印Aが描かれた側から見て個々がドット状に形成されており、それらが縦横方向、すなわち行列方向、すなわちX−Y方向へマトリクス状に配列されている。
画素電極21aと層間絶縁膜25との間には、図2に示すように、光反射膜26が、例えばAl(アルミニウム)、Al合金等によって形成される。本実施形態において、光反射膜26は、複数の画素電極21aのそれぞれに対応した位置にドットマトリクス状に設けられる。また、個々の光反射膜26は、個々の画素電極21aのうちの一部に設けられている。つまり、個々の画素電極21aと層間絶縁膜25との間には、光反射膜26がある領域Rと光反射膜26が無い領域Tとが形成される。光反射膜26が有る領域Rは、外部光L0を用いて反射型表示を行う領域、すなわち反射表示領域Rである。一方、光反射膜26が無い領域Tは、照明装置4からの光L1を用いて透過型表示を行う領域、すなわち透過表示領域Tである。
層間絶縁膜25は、反射表示領域Rに対応する部分の表面に光散乱用の凹凸パターンを有している。そのため、この凹凸パターン上にある光反射膜26及び画素電極21aにも凹凸パターンが形成される。このため、光反射膜26で反射した光は散乱光となる。これにより、光反射膜26で鏡面反射が生じることを防止できる。
また、画素電極21aの下に層間絶縁膜25を設けることにより、画素電極21aの層とTFT素子31の層とを別の層に分けている。この構造は、画素電極21aとTFT素子31とを同じ層に形成する構造に比べて、素子基板11の表面を有効に活用できる。例えば、画素電極21aの面積、すなわち画素面積を大きくすることができるので、液晶表示装置1において表示を見易くできる。
層間絶縁膜25はTFT素子31を覆うように形成される。画素電極21aは、この層間絶縁膜25の上に形成されている。この層間絶縁膜25には、画素電極21aとTFT素子31とを電気的に接続するためのコンタクトホール24が形成される。このコンタクトホール24は、層間絶縁膜25をフォトグラフィ処理によって形成する際に同時に形成される。このコンタクトホール24は、矢印A側から平面的に見て、すなわち平面視でTFT素子31とは重ならない位置であって、画素電極21aと重なる位置に形成される。
本実施形態で用いるTFT素子31はアモルファスシリコンTFTであり、このTFT素子31は、ゲート電極33、ゲート絶縁膜34、a−Si(アモルファスシリコン)等によって形成された半導体層35、ソース電極36、そしてドレイン電極32を有する。ドレイン電極32は、その一端が半導体層35に接続し、その他端が画素電極21aにコンタクトホール24を介して接続する。ソース電極36は図2の紙面垂直方向に延びるソース電極線36’の一部として形成されている。また、ゲート電極33は、ソース電極線36’と直角の方向すなわち図2の左右方向に延びるゲート電極線33’から延びている。
図1に示す断面を直角方向から見た断面図である図3において、複数の画素電極21aの間の領域、すなわち遮光領域又はブラックマスク領域であって層間絶縁膜25上には、スペーサ部材としての複数のフォトスペーサ22が適宜の間隔で形成されている。これらのフォトスペーサ22は、例えば、感光性樹脂をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって形成される。フォトスペーサ22は、例えば、立った状態の円柱又は角柱形状に形成されており、セルギャップGが均一な寸法を維持するように機能する。なお、スペーサ部材としては、フォトスペーサ以外に、例えば球状のスペーサを用いることもできる。この場合には、複数の球状スペーサを液晶層14内に分散させることによってスペーサ部材として機能させることができる。
画素電極21a及びフォトスペーサ22の上には配向膜23aが形成される。そして、この配向膜23aに配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、その配向膜23aの近傍の液晶分子の初期配向が決められる。配向膜23aは、例えば、ポリイミド溶液を塗布及び焼成して形成したり、オフセット印刷によって形成したりする。
図1において、素子基板11に対向するカラーフィルタ基板12は、基板又は対向基板としての第2の透光性の基板12aを有する。この第2透光性基板12aは、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって、矢印Aで示す観察側から見て長方形または正方形に形成される。また、この第2透光性基板12aの外側表面には偏光板15bが、例えば、貼着によって装着される。必要に応じて、偏光板15b以外の光学要素、例えば位相差板を付加的に設けることもできる。
第2透光性基板12aの内側表面には複数の着色要素42が設けられる。これらの着色要素42はB(青),G(緑),R(赤)又はC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)のいずれかに着色され、矢印A方向から見て所定の配列に並べられる。本実施形態では、図5に示すように、B,G,Rが縦1列に並べられるストライプ配列を採用するものとする。なお、その他の配列、例えば、モザイク配列、デルタ配列等を採用することもできる。図3に示すように、行方向Xに並ぶこれらの着色要素42の間には遮光部材41aが矢印A方向から見てストライプ状に設けられている。これらの遮光部材41aは、色の異なる着色要素42、例えばB,G,Rの3色の着色要素42を全て重ねることにより、又はそれらのうちの2色を重ねることによって形成することができる。なお、遮光部材41aは、Cr等といった遮光性の金属材料によって形成することもできる。
遮光部材41a及び着色要素42の上には第1のオーバーコート膜43aが設けられる。そしてその上に、絶縁膜としての第2のオーバーコート膜43bが設けられる。この第2オーバーコート膜43bは、図1に示すように、対向する素子基板11に形成された画素電極21aのうちの反射表示領域Rに対応する位置にのみ形成される。第1オーバーコート膜43a及び第2オーバーコート膜43bは、例えば、エポキシ系又はアクリル系の樹脂材料を塗布及び焼成して形成したり、あるいは、必要に応じて、エポキシ系又はアクリル系の樹脂材料にフォトリソグラフィー処理を施すことによって形成される。
第2オーバーコート膜43bは、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間で液晶層14の層厚を調整するための層厚調整膜として機能する。具体的には、図2において、光反射膜26が設けられる反射表示領域Rに所定の層厚を有する第2オーバーコート膜43bを設ける。これにより、反射表示領域Rに対応する液晶層14の層厚t0を薄く設定する。一方、光反射膜26が設けられない透過表示領域Tには第2オーバーコート膜43bを設けない。つまり透過表示領域Tには第1オーバーコート膜43aのみが設けられる。これにより、透過表示領域Tに対応する液晶層14の層厚t1をt0に比べて厚く、すなわちt1>t0に設定する。
反射型表示が行われる際、反射光L0は液晶層14を往復で2回通過する。これに対し、透過表示が行われる際、透過光L1は液晶層14を1回だけ通過する。従って、液晶層14がt1=t0に設定されていると、反射型表示と透過型表示との間で表示の濃さが不均一になるおそれがある。これに対し、本実施形態のようにt1>t0に設定すれば、反射光L0と透過光L1との間で液晶層14を通過する光路の長さを等しく又は近づけることができ、それ故、反射型表示と透過型表示との間で濃さが均一な表示を行うことができる。
なお、図2に示す実施形態では、透過表示領域Tにおいて第2オーバーコート膜43bを設けない、つまり第2オーバーコート膜43bの層厚をゼロとしたが、液晶層14の層厚をt1>t0に設定できれば、透過表示領域Tにおける第2オーバーコート膜43bの層厚は必ずしもゼロに限定されるものではない。また、本実施形態では、第1オーバーコート膜43aと第2オーバーコート膜43bの2つのオーバーコート膜を設けるようにしたが、液晶層14の層厚をt1>t0に設定できれば、オーバーコート膜は1層とすることもできる。要は、オーバーコート膜の層厚を反射表示領域Rに比べて透過表示領域Tで薄くすることにより、反射表示領域Rに対応する液晶層14の層厚を透過表示領域Tに比べて薄くなるようにすれば良いのである。
上記のように、本実施形態の液晶表示装置1では、第2オーバーコート膜43bは反射表示領域Rのみに形成されるので、第1オーバーコート膜43aと第2オーバーコート膜43bとの間には段差Sが形成される。そして、この段差Sの部分には、突起49が形成される。この突起49に関しては後に詳しく説明する。
第1オーバーコート膜43a及び第2オーバーコート膜43bの上には共通電極21bが設けられ、さらにその上に配向膜23bが設けられる。共通電極21bは、例えば、ITOを材料としてフォトエッチング処理によって形成される。この共通電極21bは第2透光性基板12a上に一様な厚さで形成された面状電極である。上記の配向膜23bには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、その配向膜23bの近傍の液晶分子の初期配向が決められる。この配向膜23bは、例えば、ポリイミド溶液を塗布及び焼成して形成したり、オフセット印刷によって形成したりする。
図1において、素子基板11上に形成された複数の画素電極21aは矢印A方向から見てドットマトリクス状に配列される。これらの画素電極21aは矢印A方向から見て共通電極21bと重なっている。このように画素電極21aと共通電極21bとが重なる領域は表示のための最小領域であるサブ画素領域Dを構成する。カラーフィルタ基板12上の個々の着色要素42はサブ画素領域Dに対応して設けられている。着色要素42を用いない白黒表示の場合は1つのサブ画素領域Dによって1つの画素が形成されるが、本実施形態のように3色の着色要素42を用いてカラー表示を行う構造の場合には、B,G,R又はC,M,Yの3色の着色要素42の集まりによって1つの画素が形成される。図5に示すように、カラーフィルタ基板12の表面上においてサブ画素領域Dの長手方向(すなわち、図5の上下方向)の片側は対向基板側の光反射膜26(図2参照)によって規定される反射表示領域Rであり、残りの片側は光反射膜26が形成されない透過表示領域Tである。
図1において、素子基板11はカラーフィルタ基板12の外側へ張り出して、張出し部16を構成している。駆動用IC3はこの張出し部16の表面に実装されている。本実施形態では、図4に示すように、駆動用IC3として、1個の駆動用IC3aと2個の駆動用IC3bが実装されている。この実装は、例えば、ACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)46を用いたCOG技術を用いて行うことができる。
張出し部16の表面には、複数の配線47,48、及び複数の外部接続用端子44がフォトエッチング処理によって形成される。複数の配線47は、シール材13に囲まれた領域内に向けてY方向に延びるように形成されている。これらの配線47は、素子基板11上のゲート電極線33’(図2参照)に直接繋がって走査線として機能する。また、複数の配線48は、シール材13に囲まれた領域内において素子基板11の側辺11bに沿ってY方向に延びるように形成され、さらに折れ曲ってX方向に延びるように形成されている。これらの配線48は、素子基板11上のソース電極線36’(図2参照)に直接繋がってデータ線として機能する。
素子基板11上では、走査線47とデータ線48との交差部分にサブ画素領域Dが形成される。各サブ画素領域Dを電気的な等価回路で示すと、図4の矢印Fで拡大して示すように、TFT素子31と画素電極21aとが直列に接続されている。そして、TFT素子31には走査線47とデータ線48とが接続されている。各走査線47は駆動用IC3aによって構成される走査線駆動回路につながっている。一方、各データ線48は駆動用IC3bによって構成されるデータ線駆動回路につながっている。なお、走査線駆動回路及びデータ線駆動回路は共通の駆動用ICに構成しても良い。
張出し部16の辺端には、例えば、可撓性を備えた配線基板であるFPC(Flexible Printed Circuit)基板17が、例えばACF46を用いて接続されている。FPC基板17には、液晶パネル2を駆動するために必要となる複数の電子部品(図示せず)が実装される。この電子部品としては、例えば、抵抗、コイル、コンデンサ、電源IC等が考えられる。また、FPC基板17上には、外部の入力用機器(例えば、携帯電話機等といった電子機器の制御回路)や外部電源等が接続される。そして、液晶パネル2を駆動するための信号や電力が、FPC基板17を通して入力用機器や外部電源から供給される。
サブ画素領域Dは複数個がマトリクス状に並べられている。このように複数のサブ画素領域Dが並べられることにより有効表示領域Viが形成され、その有効表示領域Viに画像が表示される。この有効表示領域Viの周辺の領域であってシール材13の内側の領域が周辺領域Vcである。この周辺領域Vcは、配線48が配設される領域であって画像が表示されない領域である。周辺領域Vcは、有効表示領域Viの全周、つまり、図4に示す有効表示領域Viの上下及び左右に形成されている。
図4のB−B線に従った断面である図1において、第2透光性基板12a上における周辺領域Vcの全域には、遮光部材41bが設けられている。ここに示す周辺領域Vcは図4における上下の周辺領域Vcである。この遮光部材41bは、図3の着色要素42の間で列方向Yへ延びるストライプ状に設けられた遮光部材41aと同じく、色の異なる着色要素42、例えばB,G,Rの3色の着色要素42を全て重ねることにより、又はそれらのうちの2色を重ねることによって形成することができる。また、Cr等といった遮光性の金属材料によって形成しても良い。
また、図1において、周辺領域Vcに形成された第1オーバーコート膜43a上には、有効表示領域Vi内の反射表示領域Rと同じく、第2オーバーコート膜43bが設けられている。つまり、カラーフィルタ基板12の内側の表面に形成された積層構造の層厚は、周辺領域Vcと反射表示領域Rとで同じ厚さに形成されている。なお、反射表示領域Rに形成される第2オーバーコート膜43bと周辺領域Vc内に形成さる第2オーバーコート膜43bとは同じ材料を用いて同時に形成できる。
以上のように構成された液晶表示装置1によれば、図1において、液晶表示装置1が明るい室外や明るい室内に置かれる場合は、太陽光や室内光といった外部光を用いて反射型の表示が行われる。一方、液晶表示装置1が暗い室外や暗い室内に置かれる場合は、照明装置4をバックライトとして用いて透過型の表示が行われる。
上記の反射型表示を行う場合、観察側である矢印Aの方向からカラーフィルタ基板12を通して液晶パネル2内へ入射した外部光L0は、図2において液晶層14を通過して素子基板11へ入った後、反射表示領域Rにおいて光反射膜26で反射して再び液晶層14へ供給される。他方、上記の透過型表示を行う場合、照明装置4のLED6が点灯し、それからの光が導光体7の光入射面7aから導光体7へ導入され、さらに、光出射面7bから面状の光として出射する。この出射光は、符号L1で示すように透過表示領域Tにおいてカラーフィルタ基板12を透過して液晶層14へ供給される。
以上のようにして液晶層14へ光が供給される間、素子基板11側の画素電極21aとカラーフィルタ基板12側の共通電極21bとの間には、走査信号及びデータ信号によって特定される所定の電圧が印加され、これにより、液晶層14内の液晶分子の配向がサブ画素領域D毎に制御され、この結果、液晶層14に供給された光がサブ画素領域Dごとに変調される。この変調された光が、カラーフィルタ基板12側の偏光板15bを通過するとき、その偏光板15bの偏光特性に従ってサブ画素領域Dごとに通過を許容又は通過を阻止され、これにより、カラーフィルタ基板12の表面に文字、数字、図形等といった像が表示され、これが矢印A方向から視認される。
以下、突起49に関して詳しく説明する。まず、図2において突起49は、カラーフィルタ基板12上であって透過表示領域Tに隣接する第2オーバーコート膜43bの角部上に設けられている。この突起49は、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に形成された段差Sに沿って図2の紙面垂直方向、すなわち、図5の紙面左右方向に延びて、反射表示領域Rと透過表示領域Tとを区画する部材である壁として形成される。
また、図2に示すように、突起49の配向膜23b側の表面は、第2オーバーコート膜43bの配向膜23b側の表面より高く、望ましくは第2オーバーコート膜43b上に設けられる配向膜23bの膜厚より高く形成される。なお、突起49とそれに対向する素子基板11とが接触しないように、突起49は、液晶層14の層厚より低く形成することが望ましい。このような突起49は、第1オーバーコート膜43a及び第2オーバーコート膜43bと同じく絶縁性を有した感光性樹脂をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることにより形成できる。
この突起49の幅W1は、配向膜23bの材料を共通電極21b上に塗布した際に、段差Sを形成する高い方の領域である反射表示領域Rから低い方の領域である透過表示領域T内に流れ込む配向膜23bの量によって決めることができる。具体的には、反射表示領域R上において幅W0で規定される領域内に在る配向膜23bが透過表示領域T内に流れ込むものとすれば、突起49の幅W1は、W1<W0とすることが望ましい。これは次の理由による。すなわち、W1≧W0とすれば、突起49上には、突起49を設けていない場合に透過表示領域Tへ流れ込むのと同じか又はそれより多い量の配向膜23bが塗布されていることになる。こうなれば、突起49の表面からは、突起49を設けない場合と同じか又はそれより多い量の配向膜23bの材料が透過表示領域T内に流れ込むことになり、配向膜23bの材料が段差Sを形成する低い方の領域に必要以上に流れ込むことを防止して配向膜を均一に形成するという本発明の目的に反する結果になるからである。
なお、上記の突起49は第2オーバーコート膜43bから突出しているので、厳密には、その突起49の部分で液晶層14の層厚が変化することがある。しかしながら、突起49の高さT1及び幅W1は他の要素の高さ及び幅に比べて非常に小さいものである。従って、突起49が設けられた部分においては、液晶層14の層厚の変化、又は液晶の配向が乱れることによる表示への影響は無視できる。
図3に示すフォトスペーサ22は、素子基板11上において複数の画素電極21aの間の領域、すなわち遮光領域又はブラックマスク領域であって層間絶縁膜25上に設けられていることは既に説明した通りである。しかしながら、反射表示領域R内には対向するカラーフィルタ基板12上に突起49が形成されているので、フォトスペーサ22は、反射表示領域R内の突起49が形成されていない領域に形成される。具体的には、フォトスペーサ22は、図3の矢印I側から平面的に見て、図5に破線で示すように、突起49に重ならない位置であって遮光部材41a上に設けられている。こうすれば、フォトスペーサ22は、突起49と接触することなくセルギャップGを確実に保持することができる。なお、フォトスペーサ22は、突起49が設けられていない領域であれば、反射表示領域R内に設けても良い。また、フォトスペーサ22は、周辺領域Vc内に設けることもできる。
ところで、図2に示す突起49を有していない従来の液晶表示装置を考えれば、カラーフィルタ基板上に配向膜を形成する際、段差を形成する高い方の領域である反射表示領域内に塗布された配向膜の材料が、段差を形成する低い方の領域である透過表示領域内に流れ込むことがあった。これにより、透過表示領域のうちの段差の近傍で配向膜が厚く形成されるおそれがあった。こうなると、有効表示領域において配向膜の厚さが不均一になり、配向膜が厚く形成された部分で配向不良が発生し、表示の輝度にムラが生じるおそれがあった。
これに対し、段差に沿って突起49を形成した本実施形態の液晶表示装置1によれば、図2の配向膜23bをカラーフィルタ基板12上に塗布した際、反射表示領域Rに塗布された配向膜23bの材料が流れることを突起49によって止めることができる。その結果、配向膜23bの材料が透過表示領域Tに必要以上に流れ込むことを防止できる。それ故、段差を形成する高い方の領域である反射表示領域Rと低い方の領域である透過表示領域Tの両者の間で配向膜23bを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。
(電気光学装置の第2実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置の他の実施形態である液晶表示装置を図6、図7、図8及び図9を用いて説明する。図6は、本発明に係る電気光学装置の他の実施形態である液晶表示装置51の列方向Yに沿った断面構造を示している。また、図7は、図6のC−C線に従って液晶表示装置51の行方向Xに沿った断面を示している。また、図8は、図6の要部を拡大して示している。また、図9は、図7の矢印Hで示す部分を矢印Aが描かれた側から平面的に見た場合を示している。
先の実施形態で図1に示す液晶パネル2と、本実施形態で図6に示す液晶パネル52とが異なる点は次の通りである。すなわち、図1の液晶パネル2では、カラーフィルタ基板12の第1オーバーコート膜43a上に第2オーバーコート膜43bを形成し、この第2オーバーコート膜43bによって液晶層14の層厚を異ならせるようにした。また、反射表示領域Rと透過表示領域Tが成す段差部分に、カラーフィルタ基板12上の第2オーバーコート膜上に突起49を形成した。これに対して、図6の液晶パネル52では、素子基板61の第1層間絶縁膜75a上に第2層間絶縁膜75bを形成し、この第2層間絶縁膜75bによって液晶層14の層厚を異ならせている。つまり、本実施形態では、カラーフィルタ基板62側で液晶層厚の調整を行うのではなく、素子基板61側でその調整を行っている。また、反射表示領域Rと透過表示領域Tが成す段差部分には、素子基板61上の第2層間絶縁膜75b上に突起99を形成した。
以下、本実施形態を先の第1実施形態と異なる点を中心として説明する。本実施形態において先の実施形態と同じ構成要素は同じ符号を付して示すことにして、その説明は省略することにする。
行方向Xに沿った断面を示す図7において、カラーフィルタ基板62を構成する第2透光性基板62aの内側表面に、着色要素42と遮光部材41a,41bとが形成され、その上に第1オーバーコート膜43aが形成され、その上に共通電極21bが形成され、そしてその上に配向膜23bが形成される。これらの構成要素に関しては、図3の第2オーバーコート膜43bを形成せずに第1オーバーコート膜43aの1層のみが形成されていることを除いて、図1の実施形態の場合と同じである。
素子基板61を構成する第1透光性基板61aの内側表面には、TFT素子31が複数個形成される。これらのTFT素子31を覆うように第1層間絶縁膜75aが形成される。そしてその上に、絶縁膜としての第2の層間絶縁膜75bが所定のパターン、すなわち、図6に示すように反射表示領域Rに対応する位置に形成される。この第2層間絶縁膜75bの上に、図8に示すように、光反射膜26を形成し、さらに光反射膜26上及び第1層間絶縁膜75a上にわたって画素電極21aが形成される。第2層間絶縁膜75bの表面には、光散乱用の凹凸パターンが形成されている。そのため、この凹凸パターン上にある光反射膜26及び画素電極21aにも凹凸パターンが形成される。このため、光反射膜26で反射した光は散乱光となる。
第2層間絶縁膜75bは、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間で液晶層14の層厚を調整するための層厚調整膜として機能する。具体的には、光反射膜26が設けられる反射表示領域Rに所定の膜厚を有する第2層間絶縁膜75bを設ける。これにより、反射表示領域Rに対応する液晶層14の層厚t0を薄く設定する。一方、光反射膜26が設けられない透過表示領域Tには第2層間絶縁膜75bを設けない。つまり透過表示領域Tには第1層間絶縁膜75aのみが設けられる。これにより、透過表示領域Tに対応する液晶層14の層厚t1をt0に比べて厚く、すなわちt1>t0に設定する。これにより、反射光L0と透過光L1との間で液晶層14を通過する光路の長さを等しく又は近づけることができ、それ故、反射型表示と透過型表示との間で濃さが均一な表示を行うことができる。
図7において、互いに隣接する画素電極21aの間の領域(すなわち、遮光領域又はブラックマスク領域)であって第2層間絶縁膜75b上には、スペーサ部材としての複数のフォトスペーサ22が適宜の間隔で形成されている。画素電極21a及びフォトスペーサ22の上には配向膜23aが形成される。そして、この配向膜23aに配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、その配向膜23aの近傍の液晶分子の初期配向が決められる。
以下、突起99に関して詳しく説明する。まず、列方向Yに沿った断面である図8において突起99は、素子基板61上であって透過表示領域Tに隣接する第2層間絶縁膜75bの角部上に設けられている。この突起99は、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に形成された段差Sに沿って図8の紙面垂直方向、すなわち、図9の紙面左右方向に延びて、反射表示領域Rと透過表示領域Tとを区画する部材である壁として形成される。
また、図8に示すように、突起99の配向膜23a側の表面は、第2層間絶縁膜75bの配向膜23a側の表面より高く、望ましくは第2層間絶縁膜75b上に設けられる配向膜23bの厚さより高く形成される。なお、突起99とそれに対向するカラーフィルタ基板62とが接触しないように、突起99は、液晶層14の層厚より低く形成することが望ましい。このような突起99は、第1層間絶縁膜75a及び第2層間絶縁膜75bと同じく絶縁性を有した感光性樹脂をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることにより形成できる。
この突起99の幅W2は、配向膜23aの材料を画素電極21a上に塗布した際に、段差Sを形成する高い方の領域である反射表示領域Rから低い方の領域である透過表示領域T内に流れ込む配向膜23aの量によって決めることができる。具体的には、反射表示領域R上において幅W0で規定される領域内に在る配向膜23aが透過表示領域T内に流れ込むものとすれば、突起99の幅W2は、W2<W0とすることが望ましい。これは次の理由による。すなわち、W2≧W0とすれば、突起99上には、突起99を設けていない場合に透過表示領域Tへ流れ込むのと同じか又はそれより多い量の配向膜23aが塗布されていることになる。こうなれば、突起99の表面からは、突起99を設けない場合と同じか又はそれより多い量の配向膜23aの材料が透過表示領域T内に流れ込むことになり、配向膜23bの材料が段差Sを形成する低い方の領域に必要以上に流れ込むことを防止して配向膜を均一に形成するという本発明の目的に反する結果になるからである。
なお、上記の突起99は第2層間絶縁膜75bから突出しているので、厳密には、その突起99の部分で液晶層14の層厚が変化することがある。しかしながら、突起99の高さT2及び幅W2は他の要素の高さ及び幅に比べて非常に小さいものである。従って、突起99が設けられた部分においては、液晶層14の層厚の変化、又は液晶の配向が乱れることによる表示への影響は無視できる。
図7に示すフォトスペーサ22は、素子基板61上で互いに隣接する画素電極21aの間の領域、すなわち遮光領域又はブラックマスク領域であって第2層間絶縁膜75b上に設けられていることは既に説明した通りである。さらに、フォトスペーサ22は、同じ素子基板61上であって反射表示領域R内の突起99が形成されていない領域に形成される。具体的には、フォトスペーサ22は、素子基板61のうちの矢印Hで示す部分を矢印A側から平面的に見て、図9に示すように、突起99が設けられていない領域であって遮光領域に設けられている。こうすれば、フォトスペーサ22は、セルギャップGを安定して確実に保持することができる。なお、フォトスペーサ22は、突起99が設けられていない領域であれば、反射表示領域R内に設けても良い。また、フォトスペーサ22は、周辺領域Vc内に設けることもできる。
図6において、本実施形態の液晶表示装置51では、図8に示すように段差Sの部分に突起99を形成した。これにより、図8の配向膜23aを素子基板61上に塗布した際、反射表示領域Rに塗布された配向膜23aの材料が流れることを突起99によって止めることができる。その結果、配向膜23aの材料が透過表示領域Tに必要以上に流れ込むことを防止できる。それ故、段差を形成する高い方の領域である反射表示領域Rと低い方の領域である透過表示領域Tの両者の間で配向膜23aを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。
(電気光学装置の第3実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態を説明する。図10は、さらに他の実施形態に係る液晶表示装置の主要部を示している。図10(a)は、図4の矢印Jの部分のカラーフィルタ基板12を図の裏側から見た図である。第1実施形態では、図2及び図5に示したように、カラーフィルタ基板12上であって透過表示領域Tに隣接する第2オーバーコート膜43bの角部上に突起49が設けられている。そして突起49は、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に形成された段差Sに沿って図2の紙面垂直方向(X方向)、すなわち、図5の紙面左右方向(X方向)に延びて、反射表示領域Rと透過表示領域Tとを区画する部材である壁として形成されている。本実施形態において、突起49以外の液晶表示装置の構成要素は、図1〜図5で示した第1実施形態の場合と同じとすることができる。
一方、本実施形態では、図10(a)に示すように、有効表示領域Viと周辺領域Vcの間に突起49を形成している。図10(a)では図4の左右の周辺領域Vcと有効表示領域Viとの間に設けられる突起49を示したが、この突起49は、図4の上下の周辺領域Vcと有効表示領域Viとの間にも同様に設けられる。すなわち、突起49は、周辺領域Vcと有効表示領域Viの境界の全周にわたって平面視で無端の環状に設けられている。また、突起49の断面は、直角又はそれに近い形状で起立していて、配向膜材料の流れを止めるのに有効な形状になっている。
図10(a)のP1−P1線に従った断面、すなわち、周辺領域Vcと反射表示領域Rとが隣接する部分の断面では、図10(b)に示すように、有効表示領域Viと周辺領域Vcの境界に段差は形成されず、両者にわたって同じ高さの第2オーバーコート膜43bが形成されている。一方、図10(a)のP2−P2線に従った断面、すなわち周辺領域Vcと透過表示領域Tとが隣接する部分の断面では、図10(c)に示すように、透過表示領域Tには第2オーバーコート膜43bが形成されないので、有効表示領域Viと周辺領域Vcの境界に段差Sが形成される。
本実施形態では、図10(a)に示すように、周辺領域Vcと有効表示領域Viの間に突起49を形成したので、図10(c)において配向膜23bをカラーフィルタ基板12上に塗布した際、周辺領域Vcに塗布された配向膜23bの材料が流れることを突起49によって止めることができる。その結果、配向膜23bの材料が有効表示領域Vi、特に透過表示領域Tに必要以上に流れ込むことを防止できる。それ故、段差を形成する高い方の領域である周辺領域Vcと低い方の領域である透過表示領域Tの両者の間で配向膜23bを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。
(電気光学装置の第4実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態を説明する。図11は、さらに他の実施形態に係る液晶表示装置の主要部を示している。図11(a)は、図4の矢印Jの部分の素子基板61を図の表側から見た図である。第2実施形態では、図8及び図9に示したように、素子基板61上であって透過表示領域Tに隣接する第2層間絶縁膜75bの角部上に突起99が設けられている。そして突起99は、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に形成された段差Sに沿って図8の紙面垂直方向(X方向)、すなわち、図9の紙面左右方向(X方向)に延びて、反射表示領域Rと透過表示領域Tとを区画する部材である壁として形成されている。本実施形態において、突起99以外の液晶表示装置の構成要素は、図6〜図9で示した第2実施形態の場合と同じとすることができる。
一方、本実施形態では、図11(a)に示すように、有効表示領域Viと周辺領域Vcの間に突起99を形成している。図11(a)では図4の左右の周辺領域Vcと有効表示領域Viとの間に設けられる突起99を示したが、この突起99は、図4の上下の周辺領域Vcと有効表示領域Viとの間にも同様に設けられる。すなわち、突起99は、周辺領域Vcと有効表示領域Viの境界の全周にわたって平面視で無端の環状設けられている。また、突起99の断面は、直角又はそれに近い形状で起立していて、配向膜材料の流れを止めるのに有効な形状になっている。
図11(a)のP3−P3線に従った断面、すなわち、周辺領域Vcと反射表示領域Rとが隣接する部分の断面では、図11(b)に示すように、有効表示領域Viと周辺領域Vcの境界に段差は形成されず、両者にわたって同じ高さの第2層間絶縁膜75bが形成されている。一方、図11(a)のP4−P4線に従った断面、すなわち周辺領域Vcと透過表示領域Tとが隣接する部分の断面では、図11(c)に示すように、透過表示領域Tには第2層間絶縁膜75bが形成されないので、有効表示領域Viと周辺領域Vcの境界に段差Sが形成される。
本実施形態では、図11(a)に示すように、周辺領域Vcと有効表示領域Viの間に突起99を形成したので、図11(c)において配向膜23aを素子基板61上に塗布した際、周辺領域Vcに塗布された配向膜23aの材料が流れることを突起99によって止めることができる。その結果、配向膜23aの材料が有効表示領域Vi、特に透過表示領域Tに必要以上に流れ込むことを防止できる。それ故、段差を形成する高い方の領域である周辺領域Vcと低い方の領域である透過表示領域Tの両者の間で配向膜23aを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。
(電気光学装置の第5実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態を説明する。図12は、さらに他の実施形態に係る液晶表示装置の主要部を示している。図12(a)は、図4の矢印Kの部分の素子基板61を図の表側から見た図である。本実施形態の全体的な構成は図6に示す構成と同様のものとすることができる。図6の実施形態と異なる点は、反射表示領域Rと透過表示領域Tの構造、すなわち、素子基板61の内側表面に形成される第2層間絶縁膜75b及び突起99の構造である。以下、本実施形態を先の第2実施形態と異なる点を中心として説明する。本実施形態において先の実施形態と同じ構成要素は同じ符号を付して示すことにして、その説明は省略することにする。
第2実施形態では、図9に平面的に示すように、1つのサブ画素領域Dの図示の上側に反射表示領域Rを形成し、図示の下側に透過表示領域Tを形成している。そして、突起99は、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に形成された段差Sに沿って図9の紙面左右方向(X方向)、すなわち、図8の紙面垂直方向(X方向)に延びて、反射表示領域Rと透過表示領域Tとを区画する部材である壁として形成されている。
これに対して、本実施形態では、図12(a)に平面的に示すように、1つのサブ画素領域Dの略中央に開口部103を設けることにより透過表示領域Tを形成し、その透過表示領域Tの周辺に反射表示領域Rを形成している。この開口部103は、第2層間絶縁膜75bを除去するか、又は第2層間絶縁膜75bの層厚を他の部分に比べて薄くすることにより設けることができる。そして、突起99は、開口部103の全周にその開口部103を囲むような無端の枠状に形成される。
図12(b)は、図12(a)のP5−P5線に従った断面の構造を示している。また、図12(c)は、図12(a)のP6−P6線に従った断面の構造を示している。図12(b)及び図12(c)に示すように、素子基板61は、透光性基板61aの上にTFT素子31及び配線47,48を形成し、その上に第1層間絶縁膜75aを形成している点で図8に示した実施形態と同じである。本実施形態では、第1層間絶縁膜75aの上であって開口部103以外の領域に第2層間絶縁膜75bを形成することにより、開口部103とその周辺の領域、すなわち反射表示領域Rとの間に段差Sを形成している。
本実施形態においては、開口部103とその周辺の領域を形成する第2層間絶縁膜75bとが成す段差Sに、開口部103を囲む無端の枠状に突起99を形成したので、配向膜23aを素子基板61上に塗布した際、反射表示領域Rに塗布された配向膜23aの材料が低い方へ流れることを突起99によって止めることができる。その結果、配向膜23aの材料が透過表示領域Tに必要以上に流れ込むことを防止できる。それ故、段差を形成する高い方の領域である反射表示領域Rと低い方の領域である透過表示領域Tの両者の間で配向膜23aを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。
(電気光学装置のその他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記の実施形態では、図2において、突起49は第2オーバーコート膜43bの表面上に設けられている。しかしながら、突起49は他の構成によって設けることもできる。例えば、図15(b)に示すように、基板201上に絶縁膜202Bを設けて段差Sを形成し、その段差Sに沿って絶縁膜202Bの側面に接触するように突起203Bを設けることもできる。また、図15(c)に示すように、基板201上に絶縁膜202Cを設けて段差Sを形成し、その段差Sに沿って絶縁膜202Cの側面及びそれに隣接する絶縁膜202Cの上面の一部にかかるように突起203Cを設けることもできる。また、図15(d)に示すように、基板201上に絶縁膜202Dを設けて段差Sを形成し、絶縁膜202Dのうちの202D’で示す部分を除去することにより、段差Sに沿った突起203Dを絶縁膜202Dと一体に形成することもできる。これらいずれの場合においても、絶縁膜の配向膜側の表面は基板の表面より高く、突起の配向膜側の表面は絶縁膜の配向膜側の表面よりも高い。
また、第1の実施形態では、図5に示すように、突起49を反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に設けるようにした。しかしながら、突起49は、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に加えて、周辺領域Vcと透過表示領域Tとの間にも設けることができる。すなわち、突起49は透過表示領域Tを囲むように設けることができる。
また、上記実施形態では、スイッチング素子として3端子型素子であるアモルファスシリコンTFTを用いたが、その他の3端子型素子、例えば低温ポリシリコンTFT、高温ポリシリコンTFTを用いることもできる。また、スイッチング素子として2端子型素子を用いることもできる。この2端子型素子としては、例えば、TFD(Thin Film Diode)素子を用いることができる。また、本発明は、スイッチング素子を用いない単純マトリクス方式の液晶表示装置にも適用できる。
(電気光学装置の製造方法の実施形態)
以下、本発明に係る電気光学装置の製造方法を、図2及び図3の液晶表示装置1を製造する場合を例に挙げて説明する。なお、この実施形態は本発明の一例を示すものであり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図3において、まず、第2透光性基板12a上に着色要素42を、例えば、B,G,R各色の顔料や染料を感光性樹脂に分散させてなる着色材料をフォトリソグラフィ処理によって所定の配列に形成する。このとき同時に、互いに隣接する2色の着色要素42を積層することにより、又は3色の着色要素42を積層することにより、各色の着色要素42の間に遮光部材41aを所定のパターンに形成する。本実施形態の場合は、異なる色の着色要素42の間にサブ画素領域Dの間を埋めるようなストライプ状のパターンに形成する。なお、遮光部材41aはCr等といった遮光性を有した金属を材料としてフォトエッチング処理によって所定のパターンに形成することもできる。
次に、図3の遮光部材41a及び着色要素42の上に第1オーバーコート膜43aをアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等といった感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成する。次に、図2の第1オーバーコート膜43a上に、絶縁膜である第2オーバーコート膜43bを形成する。この第2オーバーコート膜43bは、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等といった感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理によってサブ画素領域D内の反射表示領域Rに対応する位置に所定のパターンに形成される。第2オーバーコート膜43bを形成することにより、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に段差Sが形成される。
次に、第2オーバーコート膜43b上に突起49を形成する。この突起49は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等といった感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理を行うことにより、段差Sに沿って図2の紙面垂直方向に延びて、反射表示領域Rと透過表示領域Tとを区画する部材である壁として形成される。次に、第1オーバーコート膜43a、第2オーバーコート膜43b及び突起49の上に、共通電極21bを、ITOを材料としてフォトエッチング処理によって形成する。次に、共通電極21b上に配向膜23bを形成する。この配向膜23bは、例えばポリイミド等といった材料の溶液を印刷することによって塗布し、塗布した材料をその塗布後に焼成することにより膜状に形成される。さらに、その配向膜23bの表面に配向処理としてのラビング処理を行う。
以上のように、本実施形態では、配向膜23bの材料を印刷によって塗布するようにした。この場合には、段差Sを形成する高い方の領域である反射表示領域Rから低い方の領域である透過表示領域Tへ配向膜23bの材料が流動し易く、配向膜23bの厚さが不均一になり易い。しかしながら、本発明の製造方法によれば、配向膜23bの流動を抑制するように突起49を段差Sに沿って形成するようにしたので、第2オーバーコート膜43b上に配向膜23bを形成する際、反射表示領域Rに塗布された配向膜23bの材料が透過表示領域T流れ込むことを、突起49によって止めることができる。その結果、配向膜23bの材料が透過表示領域T内に必要以上に流れ込むことを防止できる。それ故、反射表示領域Rと透過表示領域Tの両者の間で配向膜23bを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。
(電子機器の実施形態)
以下、本発明に係る電子機器を実施形態を挙げて説明する。なお、この実施形態は本発明の一例を示すものであり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図13は、本発明に係る電子機器の一実施形態を示している。ここに示す電子機器は、液晶表示装置151と、これを制御する制御回路150とを有する。制御回路150は、表示情報出力源154、表示情報処理回路155、電源回路156及びタイミングジェネレータ157によって構成される。そして、液晶表示装置151は液晶パネル152及び駆動回路153を有する。
表示情報出力源154は、RAM(Random Access Memory)等といったメモリや、各種ディスク等といったストレージユニットや、ディジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ107により生成される各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路155に供給する。
次に、表示情報処理回路155は、増幅・反転回路や、ローテーション回路や、ガンマ補正回路や、クランプ回路等といった周知の回路を多数備え、入力した表示情報の処理を実行して、画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路153へ供給する。ここで、駆動回路153は、走査線駆動回路やデータ線駆動回路と共に、検査回路等を総称したものである。また、電源回路156は、上記の各構成要素に所定の電源電圧を供給する。
液晶表示装置151は、例えば、図1に示した液晶表示装置1や、図6に示した液晶表示装置51を用いて構成できる。図1の液晶表示装置1においては、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に第2オーバーコート43bによって形成される段差に沿って、その第2オーバーコート膜43bの配向膜23b側の表面から突出する突起49を形成したことにより、段差を形成する高い方の領域である反射表示領域Rと低い方の領域である透過表示領域Tの両者の間で配向膜23bを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。また、図6の液晶表示装置51においては、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に第2層間絶縁膜75bによって形成される段差に沿って、その第2層間絶縁膜75bの配向膜23a側の表面から突出する突起99を形成したことにより、反射表示領域Rと透過表示領域Tの両者の間で配向膜23aを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。従って、これらの液晶表示装置1,51を用いた電子機器においても、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。
図14は、本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機160は、本体部161と、これに開閉可能に設けられた表示体部162とを有する。液晶表示装置等といった電気光学装置によって構成された表示装置163は、表示体部162の内部に配置され、電話通信に関する各種表示は、表示体部162において表示画面164によって視認できる。本体部161には操作ボタン165が配列されている。
表示体部162の一端部にはアンテナ166が伸縮自在に取付けられている。表示体部162の上部に設けられた受話部167の内部には、図示しないスピーカが配置される。また、本体部161の下端部に設けられた送話部168の内部には図示しないマイクが内蔵されている。表示装置163の動作を制御するための制御部は、携帯電話機の全体の制御を司る制御部の一部として、又はその制御部とは別に、本体部161又は表示体部162の内部に格納される。
表示装置163は、例えば、図1に示した液晶表示装置1や、図6に示した液晶表示装置51を用いて構成できる。図1の液晶表示装置1においては、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に第2オーバーコート43bによって形成される段差に沿って、その第2オーバーコート膜43bの配向膜23b側の表面よりも高い突起49を形成したことにより、段差を形成する高い方の領域である反射表示領域Rと低い方の領域である透過表示領域Tの両者の間で配向膜23bを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。また、図6の液晶表示装置51においては、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間に第2層間絶縁膜75bによって形成される段差に沿って、その第2層間絶縁膜75bの配向膜23a側の表面よりも高い突起99を形成したことにより、反射表示領域Rと透過表示領域Tの両者の間で配向膜23aを均一に形成することができるので、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。従って、これらの液晶表示装置1,51を用いた電子機器においても、表示の輝度にムラが発生することを防止できる。
(変形例)
なお、電子機器としては、以上に説明した携帯電話機等の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。