JP2007009242A - 構造物製造方法及び構造物製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 堆積法により構造物を形成する際の条件を最適化することができる構造物を製造する構造物製造方法及び構造物製造装置を提供する。
【解決手段】 測定部20、記憶部22及び制御部24は、基板36上に形成された構造物(膜)の表面(成膜面)の物理特性をモニタし、このモニタ結果に基づいて、装置のパラメータを制御するブロックである。本実施形態では、例えば、メカノケミカル反応を発生させながら成膜(メカノケミカル成膜)が行われるようにすることにより、硬度が高い膜を成膜することができる。なお、本実施形態の構造物製造装置10は、メカノケミカル成膜が行われているかどうかについて、成膜面において黒色化の傾向が観察されるかどうかによって判断する。ここで、成膜面の黒色化とは、例えば、成膜面のSCE値が35%以下の状態をいう。
【選択図】 図1

Description

本発明は構造物製造方法及び構造物製造装置に係り、特に原料の粉体を基板に噴射して堆積させ、基板上に構造物を形成する技術に関する。
従来、セラミックスや金属等の表面に原料の粉体を噴射して堆積させ、構造物(膜)を形成する技術が開発されている。このような構造物の製造方法(成膜方法)は、堆積法又は噴射堆積法と呼ばれ、ガスデポジション法(Gas Deposition method)、エアロゾルデポジション法(Aerosol Deposition (AD) method)等が知られている。このうちエアロゾルデポジション法の例としては、特許文献1から3に、複合構造物の原料となる複合微粒子粉体を含むエアロゾルを発生させ、このエアロゾルを基板に向けて高速で噴射して基板の表面に堆積させて複合構造物を製造する方法について開示されている。
この堆積法では、高速に加速された原料の粉体が、基板や先に基板上に堆積して形成された構造物等に衝突する。この衝突の際に、原料の粉体や基板の表面において結晶格子のずれが生じるか、あるいは、これらの表面が破砕されて活性面が現れて、この活性面同士が互いに接合される。このような現象は、メカノケミカル反応と呼ばれている。上記のように、原料の粉体を基板に継続して噴射し、メカノケミカル反応を繰り返し引き起こすことにより、不純物を含まない、緻密で強固な構造物(膜)を形成することができる。
特開2003−183848号公報 特開2003−277948号公報 特開2003−277949号公報
ところで、上記のように、メカノケミカル反応を発生させながら成膜(メカノケミカル成膜)を行うためには、成膜条件を所定の範囲に保つ必要がある。成膜条件とは、例えば、(1)原料粉体に含有される水分量、(2)原料粉体の静電気力、(3)エアロゾル生成部内のエアロゾル濃度、(4)原料粉体粒子の粒径、(5)原料粉体粒子の形状、(6)原料の組成、(7)原料粉体のファンデルワールス力等である。しかしながら、この成膜条件は、原料の組成等によって変化することが多い。したがって、上記のような成膜条件を個別に制御しながらメカノケミカル成膜を行うことは困難であった。メカノケミカル反応が起こらない状態で成膜を行った場合には(非メカノケミカル成膜)、膜厚制御を行うことが困難となる。このため、膜厚にムラが生じたり、膜の平坦性を損なう等の問題が生じる。例えば、非メカノケミカル成膜によりアクチュエータを製造した場合、膜厚の不均一化によって特性がばらつく。このため、アクチュエータの圧電素子ごとに印加電圧が異なって、歩留りが悪く、コストがかさむ等の問題があった。また、エアロゾル中に凝集粒子が多く含まれている場合には、成膜された膜の中に気孔等を多く含むようになってしまう。このため、膜の耐圧性能や弾性率、ビッカース硬度の低下等が生じて、製造されたアクチュエータの絶縁破壊を招くおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、堆積法により構造物を形成する際の条件(成膜条件)を制御することにより、構造物の物理特性を制御することができる構造物製造方法及び構造物製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に係る構造物製造方法は、基板に向けて原料の粉体を噴射する構造物製造手段により前記基板上に構造物を製造するステップと、前記噴射された原料の粉体が前記基板の表面に堆積してなる構造物の物理特性をモニタするステップと、前記モニタされた構造物の物理特性に基づいて前記構造物製造手段を制御するステップとを備えることを特徴とする。
また、請求項2に係る構造物製造装置は、基板を保持する保持手段と、前記保持された基板に向けて原料の粉体を噴射する噴射手段とを備える構造物製造手段と、前記噴射された原料の粉体が前記基板の表面に堆積してなる構造物の物理特性をモニタするモニタ手段と、前記モニタされた構造物の物理特性に基づいて前記構造物製造手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る構造物製造装置によれば、構造物(膜)の製造中に構造物の物理特性をモニタして構造物製造手段を制御することにより、所望の物理特性を有する構造物を製造することができる。
請求項3に係る構造物製造装置は、請求項2において、前記モニタ手段は、前記構造物の表面の反射率を測定することを特徴とする。
請求項3に係る構造物製造装置によれば、反射率を測定しながら構造物の物理特性を制御することにより、構造物の表面の反射率を制御することができる。
請求項4に係る構造物製造装置は、請求項2において、前記モニタ手段は、前記構造物の表面の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像された構造物の表面の画像を解析する画像解析手段とを備えることを特徴とする。
請求項4に係る構造物製造装置によれば、構造物の表面の画像を解析して構造物の物理特性を制御することにより、構造物の表面の色や透明度を制御することができる。
請求項5に係る構造物製造装置は、請求項2から4において、前記構造物製造手段は、前記保持された基板又は前記噴射手段の少なくとも一方を駆動して相対位置を変化させる駆動手段を更に備え、前記制御手段は、前記相対位置を変化させる速度を制御することを特徴とする。
請求項5に係る構造物製造装置によれば、基板上の特定の位置に原料の粉体が噴射される時間や、噴射手段と基板との間の距離を制御することにより、製造される構造物の物理特性を制御することができる。
請求項6に係る構造物製造装置は、請求項2から5において、前記噴射手段は、原料の粉体を収める容器と、前記容器内にキャリアガスを導入して、前記原料の粉体を噴き上げるガス導入手段と、前記噴き上げられた原料の粉体を前記基板に向けて噴射するノズルとを備えることを特徴とする。請求項6は、請求項2等の噴射手段を具体的に示したものである。
請求項7に係る構造物製造装置は、請求項6において、前記制御手段は、前記ガス導入手段によって前記容器内に導入されるキャリアガスの流量又は流速のうち少なくとも一方を制御することを特徴とする。
請求項7に係る構造物製造装置によれば、キャリアガスの流量や流速を制御することにより、容器内において噴き上げられた原料の粉体の濃度や、容器内の圧力を制御することができる。これにより、基板に噴射される原料の粉体の濃度や、噴射される速度を制御することができる。
請求項8に係る構造物製造装置は、請求項6又は7において、前記構造物製造手段は、前記容器を駆動して、所定の運動又は振動のうち少なくとも一方を加える容器駆動手段を更に備え、前記制御手段は、前記容器に加えられる所定の運動又は振動のうち少なくとも一方を制御することを特徴とする。
請求項8に係る構造物製造装置によれば、容器を駆動して容器内の原料の粉体を攪拌することにより、容器内において噴き上げられた原料の粉体の濃度や、容器内の圧力を制御することができる。これにより、基板に噴射される原料の粉体の濃度や、噴射される速度を制御することができる。
請求項9に係る構造物製造装置は、請求項2から7において、前記制御手段は、前記構造物の表面の反射率が35%以下となるように前記構造物製造手段を制御することを特徴とする。
請求項9に係る構造物製造装置によれば、構造物の表面の反射率(SCE値)が35%以下(黒色化)になるようにすることにより、硬度が高い構造物を製造できる。これにより、圧電特性が高い圧電素子を製造することができる。
本発明によれば、構造物の製造中に、構造物の性質をモニタして、キャリアガスの流量や流速、基板と噴射手段の相対位置を変化させる速度、容器に加えられる所定の運動又は振動等の装置のパラメータを制御することにより、所望の物理特性を有する構造物を製造することができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る構造物製造方法及び構造物製造装置の好ましい実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の構造物製造装置により、アクチュエータを製造する例について記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の構造物製造装置は、堆積法を用いて構造物(膜)を製造する技術一般に適用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る構造物製造装置を模式的に示す図である。同図に示すように、本実施形態の構造物製造装置10は、シリコン(Si)等の基板上に構造物(膜)を形成するものであり、ガスボンベ12、搬送管14a〜14c、エアロゾル生成部16、成膜室(真空チャンバ)18、測定部20、記憶部22及び制御部24を備える。
ガスボンベ12には、キャリアガスとして酸素(O)が充填されている。このキャリアガスは、搬送管14a及び14bを介してエアロゾル生成部16に供給される。なお、キャリアガスの供給量は、ガスボンベ12に設けられた圧力調整部12aにより調整される。このキャリアガスとしては、上記酸素のほか、窒素(N)、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)等の希ガス、又は乾燥空気等を用いることができる。
エアロゾル生成部16は、成膜材料である原料の粉体が収容される容器である。ここで、原料としては、脆性材料一般、例えば、チタン酸ジルコン酸塩(PZT;Pb (lead) zirconate titanate)等の鉛系圧電材料や、ニオブ酸カリウム(KNbO)等の非鉛系圧電材料、チタン酸バリウム(BaTiO)等の誘電体材料、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ジルコニウム(ZrO)等の絶縁材料、ランタンドープジルコン酸チタン酸鉛(PLZT)等の光学材料等を用いることができる。
搬送管14a及び14bを介して供給されたキャリアガスは、巻き上げノズル26a及び圧調整ノズル26bからエアロゾル生成部16の内部に導入される。なお、巻き上げノズル26a及び圧調整ノズル26bから導入されるキャリアガスの流量は、圧力調整部12aによって個別に調整可能となっている。そして、巻き上げノズル26aから導入されるキャリアガスにより、原料の粉体が巻き上げられてエアロゾルが生成される。こうして生成されたエアロゾルは、搬送管14cを介して成膜室(真空チャンバ)18に供給される。また、圧調整ノズル26bから導入されるキャリアガスにより、エアロゾル生成部16内の圧力やエアロゾルの濃度が調整される。これにより、成膜室18に供給されるエアロゾルの供給量及び供給速度が調整される。
容器駆動部16aは、エアロゾル生成部16に微小な振動や、比較的ゆっくりとした運動を与える。エアロゾル生成部16内の原料の粉体(1次粒子)は、時間の経過に伴って、静電気力やファンデルワールス力によって凝集して2次粒子(凝集粒子)を形成する。こうして形成された凝集粒子は、数μm〜数mmの大きさにまで成長することがある。そして、このように成長した凝集粒子は自重によりエアロゾル生成部16の底部に溜まる。このような凝集粒子が、キャリアガスの出口付近(巻き上げノズル26a及び圧調整ノズル26bの出口付近)に溜まると、キャリアガスの導入を妨げて1次粒子を巻き上げることができなくなるおそれがある。このため、凝集粒子が1箇所に留まらないように、容器駆動部16aはエアロゾル生成部16に振動等を与えて、その内部の粉体を攪拌する。
図1に示すように、成膜室18の内部には、ノズル28、基板ホルダ30及び測定ユニット32が配置されている。成膜室18には排気ポンプ34が配設されており、成膜室18の内部はこの排気ポンプ34によって排気されて所定の真空度に維持されている。
ノズル28の先端には、所定の形状及び大きさを有する開口が形成されている。エアロゾル生成部16から供給されたエアロゾルは、このノズル28の開口から基板ホルダ30上の基板36に向けて高速で噴射される。以下の説明では、ノズル28から噴射されたエアロゾルをエアロゾルビームと記載する。
ここで、基板ホルダ30及び基板36について、図2を参照して説明する。図2は、基板ホルダ30及び基板36を拡大して示す図である。図2(a)は断面図であり、図2(b)は平面図である。図2(a)に示す基板ホルダ30は、ヒータ機能を有しており、基板ホルダ30の図中上面には、基板36が載置される。基板36の上にはマスク板40が配置される。そして、基板36は、ボルト42により、基板ホルダ30とマスク板40の間に挟持されて固定される。このマスク板40は、例えば、ジルコニア、アルミナ(Al)又はガラス等の絶縁物によって形成される。なお、基板36は、基板36と熱膨張係数が近い材質製(例えば、金属)の冶具によって基板ホルダ30に固定されるようにしてもよい。
基板36は、例えば、シリコン(Si)によって形成されており、基板36の図中上面には順に絶縁膜44及び下部電極46が形成されている。絶縁膜44は、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化イリジウム(IrO)により形成される。また、下部電極46は、例えば、チタン(Ti)、酸化チタン(TiO)、イリジウム(Ir)、酸化イリジウム(IrO)、酸化タンタル(TaO)又は白金(Pt)等の金属膜を含んでいる。
図2(b)に示すように、マスク板40には、開口40aが形成されており、ノズル28から噴射されたエアロゾルビームは、この開口40aを通過して基板36上の下部電極46に到達する。
以下、再び図1を参照して説明する。基板ホルダ30には、基板ホルダ駆動部30aが配設されている。基板ホルダ30は、この基板ホルダ駆動部30aによって駆動されて、ノズル28と基板36との相対位置及び相対速度が3次元的に制御される。これにより、基板36の開口40aから露出している部分の全面にエアロゾルビームを照射することができる。また、ノズル28と基板36の間の距離を制御することができる。また、基板ホルダ30には、図示せぬ加熱手段(ヒータ)が配設されており、基板36は所定の温度に加熱される。
測定部20、記憶部22及び制御部24は、基板36上に成膜された膜の表面(成膜面)の物理特性(膜質)をモニタし、このモニタ結果に基づいて、メカノケミカル反応を発生させながら成膜(メカノケミカル成膜)が行われるように、成膜時の装置のパラメータを制御するブロックである。メカノケミカル成膜時には、成膜面における黒色化や、プラズマの発生に起因する電位の変動が観測される。本実施形態の構造物製造装置10は、メカノケミカル成膜が行われているかどうかについて、成膜面において黒色化の傾向が観察されるかどうかによって判断する。ここで、成膜面の黒色化とは、例えば、成膜面のSCE値(Specular Component Excluded;正反射光を除外した反射率)が所定の値(例えば、35%)以下の状態をいう。すなわち、制御部24は、成膜面の物理特性として成膜面の反射率又は色を測定部20を用いてモニタし、このモニタ結果に基づいて、メカノケミカル成膜が行われるように、装置のパラメータを制御する。
測定部20は、成膜面の反射率を測定する装置であり、例えば、分光測色計又は色センサである。測定部20の一部(測定ユニット32)は、成膜室18の内部に配置されており、成膜面の反射率をin−situで測定することができる。なお、本実施形態では、測定ユニット32が成膜室18の内部に配置されているが、成膜室18の外部に設置されるようにしてもよい。この場合、例えば、成膜室18に基板36を観察するための窓を配設して、この窓から基板36の反射率を測定するようにするとよい。
記憶部22には、原料のパラメータ及び成膜時の装置のパラメータごとに上記測定部20によって測定された成膜面の反射率のデータ(制御データ)が記憶される。ここで、原料のパラメータとは、例えば、原料の粉体に含有される水分量、粒径、粒子の形状、組成等である。また、装置のパラメータとは、例えば、成膜室18内の圧力、エアロゾル生成部16内の圧力、巻き上げノズル26aからのキャリアガスの流量(巻上流量)、圧調整ノズル26bからキャリアガスの流量(圧調整流量)、容器駆動部16aがエアロゾル生成部16を駆動する際のパターン(運動の種類、強度等)、基板ホルダ駆動部30aが基板36を駆動する際の駆動速度、基板36とノズル28との距離等である。
制御部24は、上記記憶部22によって記憶された制御データを参照して、圧力調整部12a、容器駆動部16a、基板ホルダ駆動部30a等を制御する。
ここで、装置のパラメータの具体例について説明する。図3は、圧調整流量を一定とした場合の巻上流量と反射率の関係を示す図である。図中の横軸は巻上流量であり、縦軸は反射率(SCE値)である。また、図中の黒色化領域は、SCE値が35%以下の領域である。なお、図3の測定では、測定部20として分光測色計CM−2500C(コニカミノルタ製)を用いた。また、原料のサンプルとしては、PZT−LQ(堺化学製)を用い、4種類のサンプルについて、圧調整流量を2.5l/minに固定して巻上流量を変化させて反射率の測定を行った。その結果、図3に示すように、巻上流量が約3.5l/min及び約4.5l/minの場合に、成膜面の黒色化が観察された。
上述のように、本実施形態の構造物製造装置は、装置のパラメータと成膜面の反射率の関係をパラメータごとに記憶している。これにより、成膜面の黒色化が起こるように、すなわち、メカノケミカル成膜が行われるように、装置のパラメータを制御することができる。
次に、本実施形態の構造物製造方法について、図4を参照して説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る構造物製造方法を示すフローチャートである。まず、絶縁膜44及び下部電極46等が形成された基板36が基板ホルダ30に載置され、マスク板40及びボルト42によって固定される。そして、排気ポンプ34によって成膜室18の内部が排気され、所定の真空度に維持される。また、エアロゾル生成部16内に原料の粉体が配置される。この原料の粉体は、含有される水分量が500ppm以下に、且つ、粒径が約0.1μm以上、数μm(約1〜3μm)以下になるように調整されている。そして、搬送管14a及び14bを介してガスボンベ12からキャリアガスが供給される。すると、エアロゾル生成部16において、このキャリアガスにより原料の粉体が巻き上げられてエアロゾルが生成される。このエアロゾルは、搬送管14cを介してノズル28に供給されて、ノズル28から基板36に向けて噴射される。これにより、エアロゾルに含まれる原料の粉体が下部電極46の表面に衝突して付着し、成膜が行われる(ステップS10)。
この成膜時には、測定部20によって基板36上の成膜面の膜質(反射率)がin−situでモニタされる(ステップS14)。ここで、成膜面において黒色化傾向が観察された場合、すなわち、成膜面のSCE値が35%以下の場合には(ステップS16のYes)、ステップS10に戻って成膜が続行される。一方、成膜面において黒色化傾向が観察されなかった場合、すなわち、成膜面のSCE値が35%より大きい場合には(ステップS16のNo)、制御部24によって上記の装置のパラメータが制御されて(ステップS18)、ステップS10に戻る。そして、基板36上の所望の領域について成膜が終了すると(ステップS12のYes)、上記のループを終了する。
本実施形態によれば、成膜中に観測された成膜面のSCE値に基づいて、メカノケミカル成膜が行われるように、キャリアガスの流量や、エアロゾル生成部16に加えられる振動の強度、基板ホルダ30の駆動速度等の装置のパラメータを自動的に制御することができる。これにより、エアロゾル濃度を長時間均一に保つことが可能となり、膜厚ムラの解消等の効果が得られる。これにより、面積が大きい膜や、膜厚の厚い膜を形成でき、膜の設計自由度が向上する。
なお、本実施形態では、測定部20としてCCD等の撮像素子を用いて、成膜面を撮像し、成膜面の画像を解析して透明度測定することにより黒色化の有無を検出するようにしてもよい。
次に、本発明の構造物製造装置10によって成膜を行った例について、図5及び図6を参照して説明する。
Figure 2007009242
図5は、成膜面の黒色化とビッカース硬度の関係を示す図である。図5に示す例は、原料の粉体として粒径の平均が約1μm以下のPZTを用いて成膜を行ったものである。なお、装置のパラメータのうち主要なものについては表1に示す。
ここで、ビッカース硬度は、膜を構成する原子や分子等の粒子同士の結合強度を示すパラメータである。このビッカース硬度の値が大きいほど、粒子同士が強固に結合していて、膜の緻密度が高い。したがって、ビッカース硬度は、メカノケミカル成膜が行われていることを示唆するパラメータとして用いることができる。
図5に示すように、成膜時に黒色化が観察された膜では(図中の「有」)、ビッカース硬度Hvの値がバルクビッカース硬度(約350)以上であり、メカノケミカル成膜が行われていることが示唆される。一方、黒色化が観察されなかった膜では(図中の「無」)、ビッカース硬度Hvの値が約400未満となっている。このことから、黒色化傾向の有無とビッカース硬度との間には相関があることが確認される。
図6は、膜の圧電特性を示す図である。図6には、上記のようにして成膜された膜に1000℃でアニールを施したものについて、ビッカース硬度Hvとd31圧電特性比率の関係が示されている。なお、同図において、PZT_A及びPZT_Bは、原料の組成が異なるサンプルに対応している。
図6に示すように、各サンプルにおいて、ビッカース硬度Hvが高いほど、d31圧電特性比率が高くなっている。ビッカース硬度が低い膜(圧電膜)では、リークが多く、圧電特性の評価まで至らないことが多い等の問題がある。しかし、本実施形態の構造物製造装置10によれば、原料及び装置のパラメータを制御することにより、ビッカース硬度Hvが高く、圧電特性が高い膜を製造することができた。
本実施形態によれば、堆積法、特に、エアロゾルデポジション法における成膜過程において、成膜面において黒色化を生じさせることで、ビッカース硬度Hvが高く、緻密度が高い膜を成膜することができる。さらに、こうして成膜された膜についてd31圧電特性の向上が観測された。
したがって、本実施形態の構造物製造装置10をアクチュエータの製造に適用した場合、膜質が均一な圧電素子を作製することが可能となる。すなわち、製造された圧電素子の印加電圧が一定になるとともに、歩留まりの向上を図ることができる。これにより、最終製品の品質が安定することが期待できる。例えば、このような圧電素子を用いて超音波診断装置を製造することにより、鮮明な画像を得ることが期待できる。また、例えば、このような圧電素子を用いてインクジェットヘッドを構成することにより、プリントされる画像の高画質化が期待できる。
さらに、本発明の構造物製造装置10は、下記のような場合にも適用することができる。例えば、ビッカース硬度が350以下で成膜面が白く乱反射するような場合、膜は粉を押し固めたような圧粉体の状態となっている。この場合、成膜速度が非常に大きくなるとともに、成膜中に発生電位や黒色化は観察されない。このような場合、本実施形態の構造物製造装置10によれば、例えば、原料の種類や組成、粒径、密度等が変化した場合に、成膜中に膜質の変化を確認することができる。
また、本実施形態によれば、例えば、成膜面の黒色化が起こらないように装置のパラメータ等を調整することにより、構造的に硬度が低い膜を成膜することができる。また、原料の粉体に凝集粒子を多く含ませることにより、内部に空孔を有する膜を成膜することができ、多孔体を短時間に作成することが可能である。
また、装置のパラメータを調整して成膜面の黒色化の度合を制御することにより、膜の硬度を傾斜的に変化させる(例えば、膜の硬度が徐々に高く又は低くなるようにする)ことも可能である。また、硬度の高い膜の内部に、硬度が低い膜からなる応力緩和層やバッファー層を形成することもできる。
さらに、本実施形態では、同じ原料の粉体を用いた場合でも、キャリアガスの流量やエアロゾル生成部16に加えられる振動等の装置のパラメータを調整することで、エアロゾル濃度を変化させて、膜の黒色化傾向をなくすことも可能であり、透明な膜を得たい場合にも応用することができる。
本発明の一実施形態に係る構造物製造装置を模式的に示す図 基板ホルダ30及び基板36を拡大して示す図 圧調整流量を一定とした場合の巻上流量と反射率の関係を示す図 本発明の一実施形態に係る構造物製造方法を示すフローチャート 成膜面の黒色化とビッカース硬度の関係を示す図 膜の圧電特性を示す図
符号の説明
10…構造物製造装置、12…ガスボンベ、12a…圧力調整部、14a、14b及び14c…搬送管、16…エアロゾル生成部、18…成膜室(真空チャンバ)、20…測定部、22…記憶部、24…制御部、26a…巻き上げノズル、26b…圧調整ノズル、28…ノズル、30…基板ホルダ、30a…基板ホルダ駆動部、32…測定ユニット、34…排気ポンプ、36…基板、40…マスク板、40a…マスク板の開口、42…ボルト、44…絶縁膜、46…下部電極

Claims (9)

  1. 基板に向けて原料の粉体を噴射する構造物製造手段により前記基板上に構造物を製造するステップと、
    前記噴射された原料の粉体が前記基板の表面に堆積してなる構造物の物理特性をモニタするステップと、
    前記モニタされた構造物の物理特性に基づいて前記構造物製造手段を制御するステップと、
    を備えることを特徴とする構造物製造方法。
  2. 基板を保持する保持手段と、前記保持された基板に向けて原料の粉体を噴射する噴射手段とを備える構造物製造手段と、
    前記噴射された原料の粉体が前記基板の表面に堆積してなる構造物の物理特性をモニタするモニタ手段と、
    前記モニタされた構造物の物理特性に基づいて前記構造物製造手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする構造物製造装置。
  3. 前記モニタ手段は、前記構造物の表面の反射率を測定することを特徴とする請求項2記載の構造物製造装置。
  4. 前記モニタ手段は、前記構造物の表面の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像された構造物の表面の画像を解析する画像解析手段とを備えることを特徴とする請求項2記載の構造物製造装置。
  5. 前記構造物製造手段は、前記保持された基板又は前記噴射手段の少なくとも一方を駆動して相対位置を変化させる駆動手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記相対位置を変化させる速度を制御することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の構造物製造装置。
  6. 前記噴射手段は、原料の粉体を収める容器と、前記容器内にキャリアガスを導入して、前記原料の粉体を噴き上げるガス導入手段と、前記噴き上げられた原料の粉体を前記基板に向けて噴射するノズルとを備えることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項記載の構造物製造装置。
  7. 前記制御手段は、前記ガス導入手段によって前記容器内に導入されるキャリアガスの流量又は流速のうち少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項6記載の構造物製造装置。
  8. 前記構造物製造手段は、前記容器を駆動して、所定の運動又は振動のうち少なくとも一方を加える容器駆動手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記容器に加えられる所定の運動又は振動のうち少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項6又は7記載の構造物製造装置。
  9. 前記制御手段は、前記構造物の表面の反射率が35%以下となるように前記構造物製造手段を制御することを特徴とする請求項2から8のいずれか1項記載の構造物製造装置。
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