JP2007009119A - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及び一体成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】
シリコーン樹脂に対し、十分実用に耐える接着力を有し、しかも成形時の滞留安定性に優れる成形品を得ることが出来るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品、並びにシリコーン樹脂による一体成形品を提供する。
【解決手段】
(a)末端カルボン酸濃度が30eq/ton以下のポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、
(b)強化充填剤0〜150重量部
(c)水酸基及びエポキシ基を有するエポキシ化合物1.0〜60重量部
を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及び、該樹脂組成物を成形してなる(A)樹脂成形品、並びに、該(A)樹脂成形品、(B)硬化性シリコーン樹脂、及び、(C)基材からなり、(A)樹脂成形品と(C)基材とを、(B)硬化性シリコーン樹脂により、接着又はシーリングせしめてなることを特徴とする一体成形品。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及びこれから成形される樹脂成形品、並びに、該成形品と基材とを強固に接着又はシーリングせしめた一体成形品に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、耐薬品性、耐熱性、機械的性質に優れ、工業用樹脂として広く用いられている。近年、その多様な用途の中には、自動車用防水コネクターのように、電気回路部分をシーリング材で密封した製品や、ポリブチレンテレフタレート樹脂から成る成形品と他の部品を、接着剤により一体化させた製品も要求されている(特許文献1〜3)。その際、接着剤またはシーリング材としては、耐熱性、電気特性、耐候性に優れたシリコーン樹脂が用いられ、中でも、作業性の観点からは、室温で硬化する1液常温(湿気)硬化型シリコーン樹脂が用いられている。
例えば、特許文献1及び2においては、脂肪族不飽和基を含有する熱可塑性樹脂オリゴマーを配合した熱可塑性樹脂から成形される成形品について、加熱硬化型(付加反応硬化型)シリコーンゴムとの接着性が改良されることが示されている。また、特許文献3においては、末端カルボキシル濃度が15当量/10g以下のポリブチレンテレフタレート100重量部当たり、1分子中に少なくとも1個の珪素原子に直接結合した水素原子を有する珪素化合物及び/又はその重合体を配合せしめたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から成形される成形品が、加熱硬化型シリコーンゴムとの接着性に優れることが示されている。
しかし、これら特許文献1〜3において、接着性を改良するために配合されている該熱可塑性樹脂オリゴマー(特許文献1及び2)や該珪素化合物及び/又はその重合体(特許文献3)は、熱に対し不安定で、酸素または水と反応性があり、安定した接着性を得ることが困難であった。また、特許文献1〜3に示された樹脂組成物を使用しても、1液常温(湿気)硬化型シリコーン樹脂を使用した場合には、強い接着力を発現することは困難であった。
特開平9−165516号公報 特開平9−165517号公報 特開平9−165503号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂成形品と、接着剤又はシーリング剤としてのシリコーン樹脂とが十分実用に耐え得る接着力を有し、簡単且つ確実に他の基材と接着させることができ、同時に、成形時の滞留安定性に優れ、効率的に成形品を成形できる樹脂組成物、及びこれから得られる樹脂成形品、並びに一体成形品を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の末端カルボン酸濃度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂に、特定のエポキシ化合物を特定量配合した樹脂組成物を使用することにより、シリコーン樹脂に対し、十分実用に耐える接着力を有し、しかも成形時の滞留安定性に優れる成形品を得ることが出来、簡単且つ確実に接着又はシーリングせしめた一体成形品を得ることが出来ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、
(a)末端カルボン酸濃度が30eq/ton以下のポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、
(b)強化充填剤0〜150重量部
(c)水酸基及びエポキシ基を有するエポキシ化合物1.0〜60重量部
を含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及びこれを成形してなることを特徴とする(A)樹脂成形品、並びに、(A)樹脂成形品と(C)基材とを、(B)硬化性シリコーン樹脂により、接着又はシーリングせしめてなることを特徴とする一体成形品、に存する。
本発明の樹脂組成物により、シリコーン樹脂に対し、十分実用に耐える接着力を有し、しかも成形時の滞留安定性に優れる成形品を得ることが出来るため、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品と他の樹脂または金属製部品からなる基材とを、シリコーン樹脂を介して、簡単且つ確実に接着またはシーリングせしめた一体成形品を得ることが出来、自動車や電気電子分野などの広い範囲において利用可能である。特に、1液常温(湿気)硬化型シリコーン樹脂についても良好な接着力を有しており、接着作業の大幅な簡素化が可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂
本発明における(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂ともいう)とは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を用い、ジオール成分として1,4−ブタンジールを用いて重合することにより得られるポリエステルであり、樹脂中の全ジカルボン酸成分のうち50モル%以上をテレフタル酸が占め、全ジオール成分のうち50モル%以上を1,4−ブタンジオールが占める樹脂をいう。中でも、テレフタル酸は、全ジカルボン酸成分の80モル%以上、更には95モル%以上を占めることが好ましく、1,4−ブタンジオールは全ジオール成分の80モル%以上、更には95モル%以上を占める樹脂が好ましい。
本発明の(a)PBT樹脂は、その末端カルボン酸濃度が、30eq/ton以下である必要があり、中でも20eq/ton以下、更には15eq/ton以下、特には10eq/ton以下であるのが好ましい。末端カルボン酸濃度が30eq/tonより多いと、エポキシ化合物と末端カルボン酸が主に反応してしまい、結果としてシリコーン樹脂との接着性が低下する傾向がある。ここで、末端カルボン酸濃度の測定は、ベンジルアルコール25mlにポリブチレンテレフタレート0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液(0.01モル/l)を使用して滴定することにより行われる。
(a)PBT樹脂の固有粘度は、通常0.5〜3.0dl/gであり、好ましくは0.6から2.0dl/g、更に好ましくは0.7〜1.5dl/gである。固有粘度が0.5dl/gより小さいと機械的性質が低下する傾向があり、3.0より大きいと成形加工が困難となる傾向がある。ここで、固有粘度とは、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)の混合溶媒を用いて、温度30℃で測定した溶融粘度から求められる値である。本発明においては、異なる固有粘度を有する2種類以上のPBT樹脂を併用してもよい。
(a)PBT樹脂の降温結晶化温度は、成形性の点から、170℃以上が好ましく、175℃以上がより好ましい。本発明において、降温結晶化温度は、示差走査熱量計で、降温速度20℃/分の条件で測定した結晶化温度を意味し、この降温結晶化温度は、PBTが溶融した状態から降温速度20℃/分で冷却したときに現れる結晶化による発熱ピークの温度である。
(a)PBT樹脂の製造方法としては、任意の方法が採用される。例えば、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを直接エステル化反応させる直接重合法や、テレフタル酸ジメチルを主原料として使用するエステル交換法が挙げられる。前者は初期のエステル化反応で水が生成し、後者は初期のエステル交換反応でアルコールが生成する。また、原料供給またはポリマーの取り出し形態により、回分法及び連続法のいずれの方法でも可能である。初期のエステル化反応またはエステル交換反応を連続操作で行い、それに続く重縮合反応を回分操作で行う方法や、逆に、初期のエステル化反応またはエステル交換反応を回分操作で行い、それに続く重縮合反応を連続操作で行う方法が挙げられる。
上述した製造方法の中でも、本発明においては、原料の入手安定性、留出物の処理の容易さ、原料原単位の高さ、本発明による改良効果という観点から、直接重合法が好ましい。また、生産性や製品品質の安定性、本発明による改良効果の観点から、連続的に原料を供給し、連続的にエステル化反応またはエステル交換反応を行い、更にはこれに続く重縮合反応も連続的に行う、いわゆる連続法を採用するのが好ましい。
直接重合法を採用した連続法の一例は、次の通りである。すなわち、テレフタル酸を主成分とする前記ジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とする前記ジオール成分とを原料混合槽で混合してスラリーとし、1基又は複数基のエステル化反応槽内で、チタン触媒の存在下に、通常180〜260℃、好ましくは200〜245℃、更に好ましくは210〜235℃の温度、また、通常10〜133kPa、好ましくは13〜101kPa、更に好ましくは60〜90kPaの圧力下で、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間で、連続的にエステル化反応させる。次いで、得られたエステル化反応生成物としてのオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、1基又は複数基の重縮合反応槽内で、重縮合触媒の存在下に、好ましくは連続的に、通常210〜280℃、好ましくは220〜265℃の温度、また通常27kPa以下、好ましくは20kPa以下、更に好ましくは13kPa以下の減圧下で、攪拌下に、通常2〜10時間、好ましくは2〜5時間で重縮合反応させる。重縮合反応により得られたPBT樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部からポリマー抜き出しダイに移送されてストランド状に抜き出され、水冷されながら又は水冷後カッターで切断され、ペレット状、チップ状などの粒状体とされる。
更に、本発明における重縮合反応工程においては、一旦、溶融重縮合反応により比較的分子量の小さい、例えば、固有粘度が0.1〜0.9程度のPBT樹脂を製造した後、引き続き、固相重合(固相重縮合)を行うことが好ましい。斯かる方法は、末端カルボン酸濃度の低減化、オリゴマーの低減化及び色調改良などの点で効果的である。
固相重合は、PBT樹脂の酸化劣化を防止するため、通常、減圧下または不活性ガス気流下で行われ、その温度は、特に制限されないが、高すぎると末端カルボン酸の低減効果が小さくなる傾向があり、低すぎると実用的な速度で分子量が上昇しないため、通常120〜230℃、好ましくは150〜220℃、更に好ましくは180〜215℃、特に好ましくは190〜210℃であり、PBTの融点以下の温度が好ましい。
固相重合の時間は、特に制限されないが、末端カルボン酸濃度をより低減したい場合や融点が低い共重合系のPBTの場合には、低温で長時間の条件が選択され、生産効率を上げたい場合には高温で短時間の条件が選択される。一般的には、所定の温度に達した後、2〜20時間、好ましくは3〜15時間、特に好ましくは4〜12時間である。
本発明の(a)PBT樹脂の製造に際しては、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸(又はテレフタル酸ジアルキル)とのエステル化反応(又はエステル交換反応)の触媒として、チタン触媒を使用することが好ましい。
チタン触媒としては通常チタン化合物が使用され、その具体例としては、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等が挙げられる。これらの中ではテトラアルキルチタネート等のチタンアルコラートが好ましく、中でもテトラブチルチタネートが好ましい。
触媒としては、チタンの他に、スズが使用されていてもよい。スズは、通常、スズ化合物として使用され、その具体例としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などが挙げられる。
また、チタン触媒の他に、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等のマグネシウム化合物、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド、燐酸水素カルシウム等のカルシウム化合物の他、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、それらのエステルや金属塩などの燐化合物、水酸化ナトリウム、安息香酸ナトリウムなどの反応助剤を使用してもよい。
本発明の(a)PBT樹脂中の、触媒の残存量は、チタン原子として10〜90ppm、更には15〜85ppm、特には20〜80ppmであるのが好ましい。10ppmより少ないと重合の進行が遅く生産的でない傾向がある。また、90ppmより多いとポリブチレンテレフタレートの分解が促進され、末端カルボン酸濃度が増加する結果、該(c)エポキシ化合物との反応が進み、シリコーン樹脂との接着性改良効果が少なくなる傾向がある。なお、チタン原子の含有量は、湿式灰化などの方法でポリマー中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Induced Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明に使用される、(a)PBT樹脂中の残存テトラヒドロフラン量は、通常300ppm(重量比)以下であり、好ましくは200ppm(重量比)以下である。残存テトラヒドロフラン量は、PBTペレットを水に浸漬して120℃で6時間処理し、水中に溶出したテトラヒドロフラン量をガスクロマトグラフィーで定量することにより、求めることができる。PBT樹脂中の残存テトラヒドロフラン量が300ppm(重量比)を超えると、成形中のガス発生が多くなる傾向がある。
残存テトラヒドロフラン量の下限は、特に限定されるものではないが、通常、50ppm(重量比)程度である。残存テトラヒドロフラン量が少ない方が、有機ガスの発生が少なくなる傾向はあるものの、残存量と、ガス発生量は必ずしも比例するものではない。
(b)強化充填剤
本発明においては、必要に応じ、(b)強化充填剤を配合することができる。(b)強化充填剤の配合により、剛性、強度等の機械的性質が向上するというメリットがある。
本発明で使用できる(b)強化充填材としては、繊維状、板状、粒状物およびこれらの混合物が挙げられる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維、金属繊維、セラミックスウイスカー、ワラストナイト等の繊維状物;ガラスフレーク、マイカ、タルクなどの板状物;シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、カーボンブラック、炭酸カルシウム等の粒状物など周知のものが挙げられる。これら強化充填剤の選定の基準は製品の必要とされる特性によるが、機械的強度や剛性が重要な場合は繊維状物、特にガラス繊維が好ましく、成形品の異方性およびソリの低減が重要な場合は板状物、特にマイカが好ましい。また、粒状物は成型時の流動性も加味された全体的なバランスのもとで最適なものが選ばれる。
ガラス繊維は、一般に樹脂強化用に使用されるものならば特に限定されないが、例えば、長繊維タイプ(ロービング)や短繊維タイプ(チョップドストランド)などから選択でき、繊維径は通常6〜15μmである。また、ガラス繊維は集束剤(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル等)、カップリング剤(例えば、シラン化合物、ボロン化合物等)、その他の表面処理剤等で処理されていてもよい。
本発明において、(b)強化充填材の配合量は、(a)PBT樹脂100重量部に対し、0〜150重量部であり、剛性または寸法安定性が必要とされる際には、5〜100重量部、更には20〜85重量部、特には40〜70重量部が好ましい。
(c)エポキシ化合物
本発明においては、樹脂組成物に特定の(c)エポキシ化合物を配合することを特徴とする。本発明で使用できる(c)エポキシ化合物は、水酸基及びエポキシ基を有するエポキシ化合物である。この(c)エポキシ化合物を配合することにより、成形時の滞留熱安定性が改良された樹脂組成物が得られ、また、シリコーン樹脂との接着性に優れる成形品を得ることができる。
本発明の(c)エポキシ化合物は、その水酸基当量が300〜1000に範囲となる化合物が好ましい。ここで、水酸基当量とは、エポキシ化合物の分子量を、エポキシ化合物中に存在する水酸基の数で除した値であり、本発明では、350〜800、更には400〜700、特には550〜650が好ましい。該置換基Pの当量が300未満であると熱安定性が悪く、成形品の機械的強度や接着強度などの物性が悪化する傾向がある。また、1000より大きいと接着性の改善効果が発揮されない場合がある。
また、本発明の(c)エポキシ化合物は、そのエポキシ当量が、通常1500〜20000であり、2000〜10000、更には2500〜8000、特には3000〜7000であるのが好ましい。ここで、エポキシ当量とは、エポキシ化合物の分子量を、エポキシ化合物中に存在するエポキシ基の数で除した数値である。エポキシ当量が20000を越えると、耐湿熱性が低下する傾向があり、一方、エポキシ当量が1500未満では、成形時の滞留安定性が低下する傾向がある。
本発明の(c)エポキシ化合物は、水酸基とエポキシ基が、各々少なくとも1つ存在すれば良いが、(c)エポキシ化合物中の両置換基の比(水酸基/エポキシ基)は、通常2〜50であり、更には5〜30、特には7〜15が好ましい。
本発明の(c)エポキシ化合物は、(a)PBT樹脂との相溶性や、樹脂組成物の製造時の耐熱性、価格などの点から、ハロゲン化エポキシ化合物であるのが好ましく、中でも下記一般式(1)で示されるハロゲン化エポキシ化合物であることが好ましい。
Figure 2007009119

(一般式(1)中、Xは、各々独立に、水素原子またはハロゲン原子を表し、Yは、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数3〜10のシクロアルキレン基、カルボニル基、−O−、−S−、−SO−または直接結合を表し、nは6〜20の数平均重合度を表す。)
該(c)エポキシ化合物のハロゲン化率は、5重量%以上、更には10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、特には30重量%以上が好ましい。ハロゲン化率が5重量%未満の場合は、成形時の滞留熱安定性が不十分となる傾向があり、成形時の樹脂の流動性に変動を起こしやすく、成形品不良率が高くなる傾向がある。
一般式(1)中、Xは、各々独立に、水素原子またはハロゲン原子を表すが、互いに異なっていても良く、ハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が挙げられ、臭素原子が好ましい。中でも、Xの少なくとも1つはハロゲン原子、特には臭素原子であるのが好ましく、特には、全てのXが臭素原子であるのが好ましい。また、Yは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数3〜10のシクロアルキレン基、カルボニル基、−O−、−S−、−SO−または直接結合を示すが、中でも、炭素数1〜10、更には炭素2〜7、特には炭素数3〜5のアルキレン基が好ましく、特には、機械的強度および価格の点から、−C(CH−が好ましい。nは6〜100の数平均重合度を示し、中でも10〜60が好ましい。nが60を越えると、耐湿熱性が低下する傾向があり、nが6未満では滞留成形時に外観が悪化する傾向がある。
該(c)エポキシ化合物の配合量は、そのハロゲン化率、エポキシ当量等によって異なるが、(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、1.0〜60重量部であり、好ましくは5〜50重量部、更に好ましくは10〜45重量部、特には20〜40重量部である。(c)エポキシ化合物の配合量が0.5重量部未満では接着性改善効果が不充分となる傾向があり、60重量部を越えると樹脂組成物の流動性の低下や、得られた成形体の外観が悪化する傾向がある。
また、(b)強化充填剤を配合する場合の、(b)強化充填剤に対する該(c)エポキシ化合物の配合比率(c)/(b)は、通常10/1〜1/20、好ましくは5/1〜1/12、更に好ましくは1/1〜1/5である。
(d)フェノール系酸化防止剤
本発明においては、上述した成分の他に、更に(d)フェノール系酸化防止剤を配合しても良い。樹脂組成物に(d)フェノール系酸化防止剤を配合することにより、耐熱老化性が向上するというメリットがある。
(d)フェノール系酸化防止剤とは、フェノール性ヒドロキシル基を有する酸化防止剤を意味し、中でも、安定ラジカルとなり易くラジカルトラップ剤として好適であるという点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、フェノール性ヒドロキシル基が結合した芳香環の炭素原子に隣接する1個または2個の炭素原子が、例えば、炭素数4以上の嵩高い置換基により置換されている酸化防止剤である。炭素数4以上の置換基は、芳香環の炭素原子と炭素−炭素結合により結合していてもよく、炭素以外の原子を介して結合していてもよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、スチレン化フェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2'−メチレンビス[4−メチル−6−(1,3,5−トリメチルヘキシル)フェノール]、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス[2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル]ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル]ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、チオビス(β−ナフトール)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
また、非ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、p−シクロヘキシルフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
本発明の(d)フェノール系酸化防止剤の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3000以下である。
本発明において、(d)フェノール系酸化防止剤の配合量は、(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、通常0.05〜1重量部であり、0.1〜0.8重量部、更には0.2〜0.6重量部、特には0.3〜0.6重量部が好ましい。
難燃剤
本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲内において、ハロゲン系難燃剤を使用できる。ハロゲン系難燃剤としては、分子中にハロゲン原子を有し、通常難燃剤として使用されている公知のものが使用できる。中でも、臭素原子を有するものが好ましく、臭素含有率が20重量%以上、更には30重量%以上のものが好ましい。
ハロゲン系難燃剤の好ましい具体例としては、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、N,N’−エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)等が挙げられる。なお、グリシジル臭素化ビスフェノールAは、上述した該(c)エポキシ化合物と難燃剤の両方の成分として機能する。
ハロゲン系難燃剤の配合量は、(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、通常5〜40重量部である。ハロゲン系難燃剤が5重量部未満では、十分な難燃性が得られにくく、40重量部を越えると物性、特に機械強度が低下しやすい傾向がある。ハロゲン系難燃剤の配合量は、難燃性と物性とのバランスの点から、(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、好ましくは7〜35重量部、より好ましくは8〜25重量部である。
本発明においては、難燃助剤としてのアンチモン化合物を併用してもよい。アンチモン化合物としては三酸化アンチモン(Sb23)、五酸化アンチモン(Sb25)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。
アンチモン化合物の配合量は、(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、通常2〜40重量部である。アンチモン化合物が2重量部未満では、十分な難燃性が得られにくく、40重量部を越えると物性が低下しやすい傾向がある。アンチモン化合物の配合量は、難燃性と物性とのバランスの点から、(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、好ましくは2〜30重量部、より好ましくは3〜20重量部である。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物(以下、PBT樹脂組成物ともいう)は、上記成分(a)〜(d)や難燃剤以外に、必要応じて、樹脂組成物の特性を阻害しない範囲で、周知の種々の添加剤を含有していても良い。例えば離型剤として、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸およびそのエステル、シリコンオイル等を含有していても良い。
また、ヒンダードフェノール系、亜燐酸エステル系、硫黄含有エステル化合物系等の熱安定剤;結晶化促進剤;紫外線吸収剤あるいは耐候性付与剤;染料、顔料、発泡剤等を含有しても良い。
更には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロンMXD6等の各種ナイロン、各種ナイロンエラストマー、液晶ポリマー、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ABS、AS、MS等のスチレン系樹脂、各種アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、エラストマーとして、イソブチレン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム−スチレン、エチレン−プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、アイオノマー樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカプロラクタム、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含有しても良い。
本発明のPBT樹脂組成物は、上述した各成分(a)〜(c)、及び必要に応じて用いられる各種添加成分を配合し、溶融混練することによって得ることができる。各成分の配合は通常用いられる方法、例えば、リボンブレンダー、ヘンセルミキサー、ドラムブレンダー等を用いて行われる。溶融混練には各種押出機、ブラベンダープラストグラフ、ラボプラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー等が使用される。溶融混練に際しての加熱温度は、通常230〜290℃であり、240〜270が好ましい。また、溶融混練時の分解を抑制する為、上述した熱安定剤を用いるのが好ましい。
各成分は、付加的成分を含め、混練機に一括して供給することが出来、また、順次供給することも出来る。また、付加的成分を含め、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合しておくことも出来る。ガラス繊維などの繊維状強化充填材は、他の成分が溶融した後に、押出機等の混練機の途中から添加することにより、破砕を避け、高い特性を発揮させることが出来る。
本発明のPBT樹脂組成物は、既知の種々の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等により、電機・電子機器分野、自動車分野、機械分野、医療分野等の成形品に成形することができる。特に好ましい成形方法は、流動性の良さの点から、射出成形である。射出成形に当たっては、樹脂温度を通常240〜280℃にするのがよい。
本発明のPBT樹脂組成物により得られる(A)樹脂成形品は、硬化性シリコーン樹脂に対し、優れた接着力を有するため、該(A)樹脂成形品と後述する(C)基材とを、以下に記載する(B)硬化性シリコーン樹脂を用いることにより、簡単且つ確実に、接着又はシーリングせしめた一体成形品を得ることが出来る。
(B)硬化性シリコーン樹脂
本発明で使用する(B)硬化性シリコーン樹脂は、既知のものが使用でき、加熱硬化型及び常温(湿気)硬化型(以下、常温硬化型という)のいずれでもよく、また1液型及び2液型のいずれのものでもよい。(B−1)加熱硬化型シリコーン樹脂としては、(イ)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと(ロ)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを、白金触媒等を用いて加熱硬化するタイプが使用できる。(B−2)常温硬化型シリコーン樹脂としては、末端にメトキシシリル基などの加水分解性シリル基を有するシリコーン樹脂が挙げられ、主鎖がポリオキシプロピレングリコールなどのポリエーテルで構成されている変性シリコーン等も使用できる。これらの中でも、作業の簡素化が可能であるという点から、1液常温硬化型のシリコーン樹脂が好ましい。
(B−1)加熱硬化型シリコーン樹脂
(B−1)加熱硬化型シリコーン樹脂の成分である、(イ)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとしては、通常の付加硬化型シリコーンゴムの主原料として使用されている公知のオルガノポリシロキサンが使用できる。常温(例えば25℃)で、0.1〜1000Pa・s、更には5〜500Pa・s、特には10〜100Pa・sの粘度を有するものであり、中でも平均組成式(2)RSiO(4−a)/2で表されるものが好ましい。
上記平均組成式(2)中、Rは、各々独立に、炭素数1〜10、特に炭素数1〜8の置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、キシリル基等のアリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等のハロゲン置換又はシアノ置換炭化水素基が挙げられる。各置換基Rは同一でも異なっていてもよいが、分子中には、置換基Rとして、少なくともアルケニル基を含んでいることが必要である。
具体的には、分子中の珪素原子に結合した置換基Rのうち、少なくとも2個、好ましくはRのうち0.01〜10モル%、特には0.1〜2モル%がアルケニル基であるのが良い。このアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子又は分子鎖途中の珪素原子のいずれに結合したものであっても良く、またそれらの両方に結合したものであってもよいが、硬化性或いは硬化したシリコーンゴムの機械的強度などの点から、少なくとも分子鎖両末端の珪素原子に結合したアルケニル基を含有するものが好ましい。
アルケニル基としては、炭素数2〜8、更には炭素数2〜5のアルケニル基が好ましく、中でもビニル基が好ましい。また、アルケニル基以外のRとしては、中でも、メチル基及びフェニル基が好ましい。平均組成式(2)中、aは1.9〜2.4、好ましくは1.93〜2.2、特には1.95〜2.05の範囲である。
(イ)オルガノポリシロキサンは、直鎖状であっても、RSiO3/2単位又ははSiO4/2単位を含んだ分岐状であってもよいが、中でも、主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位(RSiO2/2)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシリル基(RSiO1/2)で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。
(イ)オルガノポリシロキサンは公知の方法で製造することができ、オルガノシクロポリシロキサンとヘキサオルガノジシロキサンとを、アルカリ又は酸触媒の存在下に平衡化反応させることにより得ることができる。
一方、(ロ)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(イ)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン成分と反応し、架橋剤として作用するものであり、その分子構造に特に制限はなく、従来使用されているもの、例えば線状、環状、分岐状又は三次元網状構造等の各種のものが使用可能である。中でも、珪素原子に直結した水素原子を、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含むものが好ましい。
(ロ)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、具体的には、平均組成式(3)R’bHcSiO(4−b−c)/2で表されるものが好ましい。
ここで、平均組成式(3)中、R’は、炭素数1〜10、好ましくは脂肪族不飽和結合を除く炭素数1〜8の置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、キシリル基等のアリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等のハロゲン置換、シアノ置換炭化水素基が挙げられ、各置換基は同一でも異なっていてもよい。また、bは0.7〜2.1、好ましくは1〜2.0、cは0.002〜1、好ましくは0.01〜0.5であり、且つ、b+cは0.8〜3、好ましくは1.5〜2.6の正数である。)
(ロ)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンポリシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンポリシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C)SiO3/2単位とからなる共重合体などを挙げることができる。
上記(ロ)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、常温で液体であることが好ましく、その粘度は25℃において、0.0001〜0.5Pa・s、特に0.0005〜0.3Pa・sであることが好ましく、また分子中の珪素原子の数は、通常3〜300個、好ましくは4〜100個であるのが良い。
(ロ)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、(ロ)オルガノハイドロジェンポリシロキサンに由来する珪素原子に直結した水素原子が、(イ)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンに含まれるアルケニル基1個に対して、通常0.4〜5当量、好ましくは0.6〜3当量、更に好ましくは0.8〜2当量となる範囲である。0.4当量より少ない場合は、架橋密度が低くなりすぎて硬化したシリコーンゴムの耐熱性に悪影響を与える傾向があり、5当量より多い場合には脱水素反応による発泡の問題が生じたり、耐熱性に悪影響を与えるおそれが生じる可能性がある。
(ロ)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、公知の方法により製造することができる。例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るヘキサメチルジシロキサン等のトリオルガノシロキシ単位、又は、1,3−ジヒドロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のジオルガノハイドロジェンシロキシ単位を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に、−10℃〜+40℃程度の温度で平衡化させることにより容易に得ることができる。
前記した(イ)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと(ロ)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加硬化反応(ハイドロサイレーション)を促進させるための触媒としては、白金又は白金系化合物が使用できる。白金又は白金系化合物としては、公知のものが使用でき、具体的には白金ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン、アセチレンアルコール類等との錯体などが例示される。更にロジウム錯体などの使用も可能である。
なお、白金又は白金系化合物等の触媒の添加量は、希望する硬化速度に応じて適宜増減することができるが、通常は(イ)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンに対して、白金量又はロジウム量で0.1〜1000ppm、特に1〜200ppmの範囲とすることが好ましい。
また、(B−1)加熱硬化型シリコーン樹脂の製造の際に、硬化時間の調整を行う必要がある場合には、制御剤としてビニルシクロテトラシロキサン等のビニル基含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン、シロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物などを使用してもよい。
更に、(B−1)加熱硬化型シリコーン樹脂を製造する際には、ヒュームドシリカ、石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム等の非補強性の充填剤、コバルトブルー等の無機顔料、有機染料などの着色剤、酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンガラ、酸化チタン、カーボンブラック等の耐熱性及び難燃性向上剤等を使用することも可能である。
本発明で使用できる(B−1)加熱硬化型シリコーン樹脂は、上述した(イ)及び(ロ)の所要量を、触媒と共に均一に混合し、上述した該(A)樹脂成形品と後述する(C)基材の接触面に塗布又はシーリングした後に加熱することにより容易に硬化して硬化物を形成する。硬化させる際の加熱温度は、通常80〜200℃、好ましくは100〜180℃であり、加熱時間は、加熱温度により異なるが、通常数分〜数時間である。
(B−2)常温硬化型シリコーン樹脂
本発明で使用できる(B−2)常温硬化型シリコーン樹脂は、(ハ)下記一般式(4)で表される両末端に水酸基を有するオルガノポリシロキサンと、(ニ)下記平均組成式(5)で表される加水分解性シランおよびその部分加水分解物とから、空気中の水分の作用により、脱オキシム、脱アルコール又は脱アセトン縮合反応が起こることにより、常温にて硬化するシリコーン樹脂である。
HO−〔Si(RO〕n−H・・・(4)
(一般式(4)中、Rは、各々独立に、置換または非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、nは1以上の整数である。)
(R2aSiX 4-a・・・(5)
(平均組成式(5)中、R2は、各々独立に、置換または非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、R2が複数存在する場合はそれらは同一でも異なってもよい。Xは加水分解性基であり、aは0〜2の整数である。)
前記一般式(4)において、R1 は、各々独立に、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、置換基を有していてもよい。また、複数のR1 は同一でも異なってもよい。R1 としては、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基、シクロヘキシル基などのアラルキル基、これらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した基、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが例示される。
また、一般式(4)中のnは、重合度を表し、1以上の整数であれば特に限定されないが、作業性を考慮して、25℃における粘度が、通常0.1〜1000Pa・s、好ましくは0.7〜100Pa・sとなるような重合度のものを使用するのがよい。
前記平均組成式(5)で表される化合物は、該(ハ)オルガノポリシロキサンを架橋するために使用される化合物である。前記平均組成式(5)において、R2 は、各々独立に、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、置換基を有していてもよい。また、R2 が複数存在する場合には、それらは同一でも異なってもよい。R としては、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基、シクロヘキシル基などのアラルキル基、これらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した基、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが例示されるが例示されるが、入手容易性を考慮すると、中でも、メチル、エチル、ビニルおよびフェニル基が好ましい。
前記平均組成式(5)において、Xは、各々独立に、加水分解性基であり、複数のXは同一でも異なってもよい。Xとしては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、メチルエチルケトオキシミノ基などのイミノキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケノキシ基、アセトキシ基などのアシルオキシ基などが例示される。
本発明において使用される(B−2)常温硬化型シリコーン樹脂を電気・電子部品に使用する場合には、平均組成式(5)中のXとしては、腐触性等に問題のない置換基という観点から、アルコキシ基又はアルケノキシ基が好ましい。
平均組成式(5)で表される該(ニ)加水分解性シラン及びその部分加水分解物としては、具体的には、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメチルエチルケトオキシミノシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリ(シクロヘキシルアミノ)シラン、メチルトリ(N−エチルアセトアミド)シラン、及びその部分加水分解物が例示される。
該(ニ)加水分解性シラン及びその部分加水分解物の添加量は、前記(ハ)オルガノポリシロキサン100重量部当たり、0.2〜40重量部の範囲であり、好ましくは3〜20重量部の範囲である。該添加量が0.2重量部未満では組成物が十分に硬化しないおそれがあり、40重量部を超えると得られる硬化物が硬く脆くなり、耐久性が悪くなる傾向がある。
また、(B−2)常温硬化型シリコーン樹脂を製造する際には、充填材、補強材又は増量材等の添加剤を配合してもよく、一般的な公知のもの、例えば、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、沈降性シリカなどが挙げられる。これら添加剤の添加量は、該(ハ)オルガノポリシロキサン100重量部当たり1〜200重量部、更には10〜150重量部が好ましい。
更に、(B−2)常温硬化型シリコーン樹脂を製造する際には、触媒を使用するのが好ましい。触媒としては、当業者に一般的に知られているものが使用できる。例えば、スズ系触媒およびチタン系触媒等を用いることができる。具体的には、ナフテン酸スズ、カプリル酸スズ、オレイン酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレート、ジフェニルスズジアセテート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジブチルスズベンジルマレート等の有機スズ化合物、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラビス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステルまたはチタンキレート化合物等の有機チタン化合物が例示される。
これら触媒の添加量は、該(ハ)オルガノポリシロキサン100重量部当たり、通常0.01〜10重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜1重量部の範囲である。
(B−2)常温硬化型シリコーン樹脂を製造する際には、上述した該(ハ)オルガノポリシロキサンの代わりに、(ホ)下記一般式(6)で示されるシリル基を分子中に少なくとも1個有する重合体を使用することができ、具体的には、ポリエーテル、ポリエステル、エーテルエステルブロック共重合体、ビニル系重合体、ジアリルフタレート系共重合体が使用できる。
3−a−Si( R3 ) a−CH (R)− ・・・(6)
(一般式(6)中、R3及びRは、各々独立に、置換又は非置換の1価の炭素水素基であり、Xは、各々独立に、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基およびメルカプト基より選ばれる基であり、aは0〜2の整数である。)
上記一般式(6)中、R3及びRの1価の炭化水素基としては、水素、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。一般式(6)で示される重合体は、変成シリコーンポリマーとして知られており、中でも、ポリオキシプロピレングリコールを主鎖とし、加水分解性シリル基としてメチルジメトキシシリル基を有するものが好ましい(「先端接着接合技術 第1版」(発行者:倉田 崇))。
本発明で使用できる(B−2)常温硬化型シリコーン樹脂は、上述した(ハ)及び(ニ)、又は、(ホ)及び(ニ)の所要量を、触媒と共に均一に混合することにより容易に調製することができ、中でも、1液として調製することが好ましい。この(B−2)常温硬化型シリコーン樹脂を、上述した該(A)樹脂成形品と後述する(C)基材の接触面に塗布又はシーリングすることにより、空気中の湿気により室温で容易に硬化して硬化物を形成する。硬化させる際の条件は、常温であれば特に制限はないが、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃、湿度は30〜80%、好ましくは40〜70%、放置時間は通常24〜240時間、好ましくは72〜168時間である。
本発明の(B)硬化性シリコーン樹脂を、該(A)樹脂成形品と後述する(C)基材の接触面に塗布又はシーリングする際には、該(B)シリコーン樹脂の厚みは、通常0.3〜3.0mm、更には0.5〜2.0mmとするのがよい。
なお、ここで、該(A)樹脂成形品と該(C)基材をシーリングするとは、両者を接合させた部分を(B)硬化性シリコーン樹脂で覆うことにより、防水性などの密封性をもたせる操作である。
(C)基材
本発明で使用する(C)基材とは、(B)硬化性シリコーン樹脂を用いることにより、本発明のPBT樹脂組成物から得られる(A)樹脂成形品と接着又はシーリングさせて一体成形品を成形することができる基材であり、樹脂、金属、ガラス及びセラミックから選ばれる材料により成形される基材である。
(C)基材の材料である樹脂としては、本発明の(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物でもよいが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸エステル、ABS樹脂、スチレン樹脂、AS樹脂、HIPS、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイドや、ポリエチレンテレフタレート、本発明のPBT樹脂組成物以外のポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレレート、液晶ポリエステルなどのポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイド等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用することも出来る。
(C)基材の材料である金属としては、アルミニウム、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの金属またはこれらを含む合金が挙げられる。
なお、本発明の(C)基材は、シリコーン樹脂との接着性が不十分である場合は、シランカップリング剤などが配合されたプライマーで表面処理をしておくことにより、接着強度の改善が図られる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[原材料]
(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)
実施例及び比較例において使用したPBT樹脂は、以下に示す方法により、重合触媒としてチタン系触媒を使用し、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオールを、常法に従って連続的に直接重合することにより製造した。
(a1)PBT樹脂1の製造法
テレフタル酸1.0モルに対して1,4−ブタンジオールを1.8モルの割合で混合したスラリーを、温度230℃、圧力78kPaに調製したエステル化反応槽に連続的に供給すると共に、触媒としてテトラブチルチタネートを連続的に供給した(理論ポリマー収量に対し30ppm)。攪拌装置による攪拌下に、平均滞留時間3.3hrとしてエステル化反応させ、エステル化反応率97.5%のオリゴマーを得た。
エステル化反応により得られたオリゴマーを、温度240度、圧力2.1kPaに調整した第1重縮合反応槽に連続的に供給し、攪拌装置の攪拌下に滞留時間120分で重縮合反応させプレポリマーを得た。そのプレポリマーを温度238度、圧力110Paに調整した第2重縮合反応槽に連続的に供給し、攪拌装置の攪拌下に滞留時間40分で重縮合反応を更に進めて、ポリマー抜き出しダイに移送し、ダイスヘッドからストランド状に連続的に抜き出し、カッターでカッティングした。
カッティングしたポリマーを、100Lのダブルコーン型のジャケット付き固相重合装置に仕込み、減圧/窒素置換を3回繰り返した後、圧力50Paで195℃まで昇温させた。内温が195℃に達してから5時間後にジャケット熱媒を冷却し始め、内温が40℃以下になった時点で内容物を取り出し、PBT樹脂1を得た。PBT樹脂1の固有粘度は0.85dl/g、末端カルボン酸濃度は3eq/ton、Ti原子含有量は30ppmであった。
(a2)PBT樹脂2の製造法
PBT樹脂1の製造法において、エステル化反応槽の平均滞留時間を3.5hrとし、第2重縮合反応槽の温度を243℃、圧力を130Pa、滞留時間を90分に調整し、固相重合反応を行わなかったこと以外は、ほぼ同様にしてPBT樹脂2を製造した。PBT樹脂2の固有粘度は0.85dl/g、末端カルボン酸濃度は13eq/ton、Ti原子含有量は35ppmであった。
(a3)PBT樹脂3の製造法
PBT樹脂1の製造法において、エステル化反応槽の平均滞留時間を3.5hrとし、第1重縮合反応槽の圧力を2.7kPa、滞留時間を140分に調整し、第2重縮合反応槽の温度を247℃、圧力を160Pa、滞留時間を70分に調整し、第2重縮合反応槽で得られたポリマーを、温度242℃、圧力600Pa、滞留時間80分に調整した第3重縮合反応槽で反応させ、固相重合反応を行わなかったこと以外は、ほぼ同様にしてPBT樹脂3を製造した。PBT樹脂3の固有粘度は0.85dl/g、末端カルボン酸濃度は35eq/ton、Ti原子含有量は30ppmであった。
(b)強化充填材:ガラス繊維(日本電気硝子製、T−187、繊維径13μm)
(c)エポキシ化合物
(c1)テトラブロモビスフェノールA型固形エポキシ樹脂:坂本薬品工業製 SR−T5000、水酸基当量600、エポキシ当量5000、ハロゲン(Br)含有率52重量%
(c2)o−クレゾールノボラックのジグリシジルエーテル:東都化成製 YDCN−702、水酸基当量0、エポキシ当量195〜220、ハロゲン含有率=0重量%
(d)フェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバガイギー製 Irganox1010)
(B)硬化性シリコーン樹脂
(B1)加熱硬化型シリコーン樹脂:GE東芝シリコーン製 LSR2750
(B2)常温硬化型シリコーン樹脂:1液湿気硬化型のシリコーン樹脂(信越シリコーン製 KE4897)
(C)基材:アルミ試験片
アルミ板を切削し、接着性能評価用の試験片を作製した。なお、切削したアルミ板は、表面洗浄後、エポキシ系処理剤を含有したプライマーで表面処理した。
[実施例1〜5、比較例1〜3]
(a)PBT樹脂、(b)強化充填材、(c)エポキシ化合物及び(d)フェノール系酸化防止剤を、表1及び表2に示した比率となるよう配合し、シリンダー温度を250℃に設定したニ軸押出機により溶融混練した。次いで、得られたストランドを水槽により冷却し、樹脂組成物のチップを得た。得られた樹脂組成物は、下記に記す方法により滞留熱安定性及び接着性能を評価した。結果を表1及び表2に示す。
なお、実施例2においては、フェノール性酸化防止剤を配合することにより、樹脂組成物を150℃、2000hr処理した後でも、引張強度の低下が無く、熱老化性が向上していた。
[樹脂組成物及び成形品の特性評価法]
(1)成形時の滞留熱安定性
キャピラリーレオメーター(東洋精機製キャピログラフ1C)を使用し、以下の条件で3分後と40分後の溶融粘度の比(増粘倍率)を求めた。
キャピラリー:φ1.0×30mm、流入角:180°、樹脂温度:270℃、
せん断速度:91.2sec−1
(2)接着性能
実施例及び比較例の各々の樹脂組成物について、住友重機械(株)製射出成形機(型式SG−75SYCAP−MIII)を使用して、シリンダ温度250℃、金型温度80℃の条件で、接着性能評価用の試験片(長さ100mm×幅25mm×厚み3mm)を成形した。図1及び図2に示すように、試験片の端部の幅25mm×長さ12.5mmに、硬化性シリコーン樹脂を厚み0.5mmとなるよう塗布し、同じ試験片同士(a及びb)の端部を接着させた。
(B1)加熱硬化型シリコーン樹脂を用いた場合は、120℃において1時間加熱し硬化させることにより接着させた。また、(B2)常温硬化型シリコーン樹脂の場合は、23℃、50%の湿度で168時間保持することにより接着させた。これら接着させた一体成形品について、長手方向に引張試験を行い、引張破断荷重を接着面積で割ることにより、接着強度(kg/cm)を求め、結果を表1及び表2に示した。
また、同じ樹脂組成物から成形された試験片同士ではなく、実施例1の樹脂組成物から得られた試験片とアルミ試験片との接着性能について同様に引張試験を行い、シリコーン樹脂のアルミ剥離界面を観察することにより、接着性能を評価した。その結果、いずれの硬化性シリコーン樹脂を用いた場合でも、アルミ表面にシリコーン樹脂が残っており、接着性は十分であった。
Figure 2007009119
Figure 2007009119
表1及び表2の結果より、次のことが判明する。
(1)実施例1及び3と比較例1とを比べると、末端カルボン酸濃度が30eq/ton以下のPBT樹脂を用いることにより、加熱硬化型及び常温硬化型いずれのシリコーン樹脂に対しても、接着性が向上することが分かる。
(2)実施例5と比較例2とを比べると、水酸基を有するエポキシ化合物を用いると、成形時の滞留安定性を著しく低下させることなく、加熱硬化型及び常温硬化型いずれのシリコーン樹脂に対しても、接着性が向上することが分かる。
接着性能を評価するため、シリコーン樹脂を介して、2つの試験片a及びbを接着させた一体成形品の断面図である。 図1に示す一体成形品の平面図である。
符号の説明
a:ポリブチレンテレフタレート試験片
b:ポリブチレンテレフタレート試験片又はアルミ試験片
c,d:スペーサー
e:硬化性シリコーン樹脂

Claims (8)

  1. (a)末端カルボン酸濃度が30eq/ton以下のポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、
    (b)強化充填剤0〜150重量部
    (c)水酸基及びエポキシ基を有するエポキシ化合物1.0〜60重量部
    を含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. 該(c)エポキシ化合物の水酸基当量が、300〜1000の範囲である請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. 該(c)エポキシ化合物のエポキシ当量が、1500〜20000の範囲である請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. 該(c)エポキシ化合物が、下記一般式(1)で示される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
    Figure 2007009119
    (一般式(1)中、Xは、各々独立に、水素原子またはハロゲン原子を表し、Yは、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数3〜10のシクロアルキレン基、カルボニル基、−O−、−S−、−SO−または直接結合を表し、nは6〜20の数平均重合度を表す。)
  5. 該(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、(d)フェノール性酸化防止剤0.05〜1重量部を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする(A)樹脂成形品。
  7. 請求項6に記載の(A)樹脂成形品、(B)硬化性シリコーン樹脂、及び、(C)基材からなり、(A)樹脂成形品と(C)基材とを、(B)硬化性シリコーン樹脂により、接着又はシーリングせしめてなることを特徴とする一体成形品。
  8. 該(B)硬化性シリコーン樹脂が、常温硬化型のシリコーン樹脂である請求項7に記載の一体成形品。
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