JP3759284B2 - 熱可塑性樹脂とシリコーンゴムとの一体成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性、とりわけ耐加水分解性、耐熱老化性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物成形体とシリコーンゴムとを強固に複合一体化せしめた一体成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリエステル樹脂、とりわけポリブチレンテレフタレート樹脂は耐薬品性、耐熱性、機械的性質に優れ、工業用樹脂として広く用いられている。近年、耐久性として、耐加水分解性、耐熱老化性の要求が高まると共に、電気・電子分野、自動車分野において上記要求特性を満足し、且つ耐熱性、電気特性、耐候性に優れたシリコーンゴムと強固に接着した一体成形体の供給が望まれている。
【0003】
従来、付加硬化型シリコーンゴムと樹脂成形品を接着させる方法として、例えば樹脂成形品の表面にプライマーを塗布し、その上から未硬化シリコーンゴム材料を塗布し、これを硬化させて接着する方法や、自己接着性シリコーンゴム材料を樹脂成形時に成形品の上から硬化させ一体化する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、プライマーを用いて接着させる方法は、いったん成形した樹脂を金型より取り出しプライマーを塗布するという煩雑な工程を要する。
【0005】
また、自己接着性シリコーンゴム材料を樹脂成形品の上で硬化させる方法は、金型などを用いて樹脂及びシリコーンゴムの一体成形体を形成する場合、シリコーンゴム自身が金型に接着するという大きい難点がある。更に、自己接着性シリコーンゴム材料との接着性を改良する目的でポリブチレンテレフタレート樹脂に珪素原子に水素原子あるいはビニル基が直接結合した珪素含有化合物を添加することが知られているが、成形時の離型性を確保するために一般的に添加されている離型剤の影響でシリコーンゴムとポリブチレンテレフタレート樹脂成形物の接着性が不安定になることがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂の耐加水分解性、耐熱老化性を大幅に改良し、且つ該ポリブチレンテレフタレート樹脂に、成形品の金型に対する離型性確保のために、一般的に使われる離型剤が添加されていてもシリコーンゴムとに十分実用に耐えうる接着力を備え、さらにポリブチレンテレフタレート樹脂とシリコーンゴムとの成形体を簡単且つ確実に、短時間に成形、例えば、射出成形で得られるポリブチレンテレフタレート樹脂とシリコーンゴムとの一体成形体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる問題点を解決すべく鋭意検討した結果、チタン化合物を重合触媒とし、且つ末端カルボキシル基濃度の低いポリブチレンテレフタレート樹脂にフェノール系抗酸化剤とチオエーテル系抗酸化剤とポリエステル系エラストマーを添加し、更に特定の珪素含有化合物及び/又はその重合体を配合し、一方一体化するシリコーンゴムとして、トリビニルシリル基により末端を停止したオルガノポリシロキサンを接着性付与成分として含有する付加硬化型シリコーンゴムを使用することにより、樹脂中に離型剤が添加されていても安定した接着力をもってシリコーンゴムとの一体成形化ができ、特に射出成形法を用いて上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に対し短時間の硬化条件で接着し、しかもシリコーンゴム自身は成形金型から容易に剥離出来るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物とシリコーンゴムの一体成形体の得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(イ)(A)末端カルボキシル基濃度が15当量/ton以下で重合触媒としてチタン化合物を用いたポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部あたり、
(B)1分子中に少なくとも1個の珪素原子に直接結合した水素原子を有する珪素含有化合物及び/又はその重合体0.05〜3重量部、
(C)フェノール系抗酸化剤 0.01〜0.5重量部、
(D)チオエーテル系抗酸化剤0.01〜0.5重量部、
(E)ポリエステル系エラストマー0.5〜10重量部及び
(F)石炭系合成ワックス、ポリエチレンワックス、油脂系合成ワックスから選ばれた一種以上の離型剤0〜1.0重量部を
配合せしめたポリブチレンテレフテレート樹脂組成物からなる成形体の表面の少なくとも一部に、
(ロ)(G)1分子中に、珪素原子に結合するビニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、
(H)1分子中に、珪素原子に結合する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(I)白金化合物及び
(J)下記一般式(1)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R1は脂肪族不飽和結合を含有しない、置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、R1が複数存在する場合には、それらは異なっていても良い。kは0又は1以上の整数である)で表される末端トリビニルシリル停止オルガノポリシロキサンを含有してなるオルガノポリシロキサン組成物を硬化させたシリコーンゴムが複合一体化されているポリブチレンテレフタレート樹脂とシリコーンゴムの一体成形体である。
【0011】
本発明の(A)成分であるポリブチレンテレフタレート樹脂とはテレフタル酸を主たる酸成分とし、1、4ーブタンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルである。ここで、「主たる」とは、全酸成分又は全グリコール成分に対して80モル%以上を言い、好ましくは90モル%以上である。
【0012】
共重合可能な酸成分としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等、脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等、脂環族ジカルボン酸、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸等が例示される。
【0013】
1,4−ブタンジオール以外の共重合可能なグリコール成分としては、エチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール、キシリレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスヒドロキシエトキシビスフェノールA等が例示される。
【0014】
また、ポリエステルが実質的に成形性能を失わない範囲で多官能化合物、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等を共重合してもよい。
【0015】
また、本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂はチタン化合物を重合触媒として製造され、末端カルボキシル基濃度が15当量/ton以下であることが必要である。末端カルボキシル基濃度が15当量/tonを越えると、本発明の主要な効果の一つである耐加水分解性の大幅な向上は見られない。また、重合触媒として錫化合物を用いた場合、シリコーンゴムの硬化を阻害し好ましくない。
【0016】
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂は、固有粘度(35℃でのオルソクロロフェノール中での測定値をもとに算出された値)が0.3以上、好ましくは0.5以上のものである。これより固有粘度が低い場合は、強度が低く、また溶融粘度も低くて使用困難であり、本発明に適用する意味も少ないからである。
【0017】
本発明における(B)成分は、1分子中に少なくとも1個の珪素原子に直接結合した水素原子を有する珪素含有化合物及び/又はその重合体で、下式(2)に示すSiH基含有化合物である。
【0018】
【化3】
【0019】
(式中mは0又は1〜100の整数であり、nは1〜100の整数である)
【0020】
本発明の(C)成分であるフェノール系抗酸化剤は、ヒンダートフェノール化合物である。
【0021】
フェノール系抗酸化剤としては、2、6ージーtーブチルーpークレゾール、2、2’ーメチレンービスー(4ーメチルー6ージーtーブチルフェノール)、4、4’ーチオビス(3ーメチルーtーブチルフェノール)、1、1、3ートリス(2ーメチルー4ーヒドロキシー5ーtーブチルフェニル)ブタン、ペンタエリスリチルーテトラキス[3ー(3、5ージーtーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシルー3ー(3、5ージーtーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましく、特に好ましくはペンタエリスリチルーテトラキス[3ー(3、5ージーtーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
【0022】
フェノール系抗酸化剤は1種類、又は2種類以上を同時に用いる事が出来る。フェノール系抗酸化剤の配合量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部であることが必要であり、0.1〜0.3重量部が好ましい。0.01重量部より少ない場合は、耐熱性の改良効果が少なく、一方0.5重量部より多く配合しても耐熱老化性の改良効果は望めない。
【0023】
本発明の(D)成分であるチオエーテル系抗酸化剤としては、好ましくはジートリデシルーチオージプロピオネート、テトラキス[メチレンー3ー(ドデシルチオ)プロピオネート]、ビス[2ーメチルー4ー{3ーn−アルキル(C12又はC14)チオプロピオニルオキシ}ー5ーtーブチルフェニル]スルフィドが挙げられる。
【0024】
チオエーテル系抗酸化剤剤の配合量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、0.01〜0.5重量部であることが必要であり、0.1〜0.3重量部が好ましい。0.01重量部より少ない場合は、耐熱性の改良効果が望めない。
【0025】
なお、抗酸化剤として汎用的なリン系抗酸化剤は、シリコーンゴムの硬化を阻害するため使用すべきではない。
【0026】
本発明の(E)成分であるポリエステル系エラストマーはテレフタル酸、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールを主たる成分とするポリエーテルポリエステルブロック共重合体であり、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、テトラメチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体及びポリテトラメチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体との反応によって得られるブロック共重合体である。この共重合体には、所望により、テレフタル酸成分及びテトラメチレングリコール成分以外の第三成分(短鎖成分)が共重合されていてもよい。例えば、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸類等の芳香族ジカルボン酸類、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、ジクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸類などの一種以上を使用できる。また、エチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ハイドロキノン等の芳香族ジオールなどの一種以上も使用できる。これらの共重合比率は、ジカルボン酸成分を基準として、30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。これより多い共重合割合では、融点が低く、また成形の際粘着性が高くなり好ましくない。また、長鎖成分のポリテトラメチレングリコールとしては、平均分子量500〜3000のものが好ましく使用される。かかるブロック共重合体は、通常のポリエステルの重合法と同様の方法で製造される。
【0027】
本発明における(F)成分は石炭系合成ワックス、ポリエチレンワックス、油脂系合成ワックスから選ばれた一種以上の合成ワックスである。これらは、一般的にポリブチレンテレフタレート樹脂の離型剤として使われている。石炭系合成ワックスの種類としては酸ワックス、エステルワックス、乳化剤含有エステルワックス、部分けん化エステルワックス、金属塩等がある。ポリエチレンワックスの種類としては、高密度タイプ(密度0.96以上)、中密度タイプ(密度0.94〜0.95)、低密度タイプ(密度0.93以下)がある。油脂系合成ワックスとしては、硬化ひまし油系、アミド系、ケトン系、アミン系、イミド系、エステル系等がある。これらのうち石炭系合成ワックスのエステルワックスが特に好適であり、例えばモンタン酸エステルワックスが挙げられる。離型剤の配合量は成形時に支障が無ければ無添加でもかまわないが好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.05〜1.0重量部である。特に好ましくは0.1〜0.5重量部である。1.0重量部より多く配合してもより良い離型性は期待できずかえって成形時の計量安定性を阻害する。
【0028】
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には更に、ガラス繊維のような補強材、無機充填材、顔料、難燃剤、難燃助剤、結晶核剤、光安定剤を配合することが出来る。
【0029】
本発明におけるオルガノポリシロキサン組成物(シリコーンゴム形成用組成物)に用いる(G)成分のビニル基含有オルガノポリシロキサンは、1分子中に珪素原子に結合するビニル基を少なくとも2個有している。また、該ビニル基含有オルガノポリシロキサンの分子構造は、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、かつまた、ビニル基は分子の末端のみに存在していても、分子鎖の途中のみに存在していても、分子の末端及び分子鎖の途中に存在していてもよい。特に、下記一般式(3)
【0030】
【化4】
【0031】
(式中、複数のR2〜R8は同一でも異なってもよく、脂肪族不飽和結合を含有していない、置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、iは0又は1〜100の整数であり、jは0又は1〜100の整数である。)で表されるビニル基含有ジオルガノポリシロキサンが好適に用いられる。
【0032】
上記一般式(3)中のR2〜R8は、脂肪族不飽和結合を有しない、置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、通常、炭素原子数1〜10の基であり、好ましくは炭素原子1〜6の基である。R2〜R8としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基等のアリール基;例えば、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、これら基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等の置換基で置換した、クロロメチル基、シアノエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が例示される。
【0033】
また、上記一般式(3)中、iは0又は1〜100の整数であり、jは0又は1〜100の整数であり、i及びjは、0<m+j<j/(i+j)≦0.2を満たす整数である。
【0034】
(G)成分のビニル基含有オルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が10〜1,000,000センチストークス(cSt)であることが好ましく、更に、100〜10,000cStであることが好ましい。尚、(G)成分のビニル基含有オルガノポリシロキサンは、それ自体公知の方法で製造することができる。
【0035】
(H)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に、珪素原子に結合する水素原子を少なくとも2個有している。この(H)成分は、架橋剤として作用するものであり、本発明のシリコーンゴム形成用組成物は、この珪素原子に結合した水素原子と前記(G)成分のビニル基とが付加反応することにより硬化するものである。
【0036】
この(H)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造のものでもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度は、通常、0.5〜1000cStであり、好ましくは、1〜200cStである。
【0037】
(H)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(4):
【0038】
【化5】
【0039】
(式中、R9は脂肪族不飽和結合を含有しない、置換又は非置換の一価の炭化水素基であり、a及びbは、0<a<2、1≦b≦2及び、2≦a+b≦3を満たす数である。)で表されるものが好適に使用される。
【0040】
上記平均組成式(4)中のR9は脂肪族不飽和結合を含有しない、置換又は非置換の一価の炭化水素基であり、通常、炭素原子数1〜10の基であり、好ましくは1〜7の基である。R9としては、具体的には、上記R2〜R8として例示した基が例示される。
【0041】
また、a及びbは、それぞれ、0<a<2,1≦b≦2、2≦a+b≦3を満たす数であり、好ましくは0.3≦a≦1及び、2≦a+b≦2.7を満たす数である。
【0042】
(H)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、それ自体公知の方法で製造することができ、通常、R3SiHCl2、R8 3SiCl、R8 2SiCl2、R8 2SiHCl、(各式中、R3、R8は前記式(3)で説明したものと同じである。)等のクロロシランを加水分解するか、又は、このように加水分解して得られたシロキサンを平衡化することにより製造できる。
【0043】
(H)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、具体的には、下記式(5−1〜5−5)で示される化合物を例示する事ができる。
【0044】
【化6】
【0045】
(H)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、とくに限定されないが、前記(G)成分及び後述する(J)成分に含まれる珪素原子に結合するビニル基1個に対して(H)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの珪素原子に結合する水素原子が1〜5個となるような量であることが好ましい。
【0046】
(I)成分の白金化合物は、付加反応触媒であり、(G)成分のビニル基と(H)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの珪素原子に結合する水素原子との付加反応を促進させるために使用されるものである。
【0047】
この(I)成分の白金化合物としては、通常、オルガノポリシロキサン組成物の付加反応触媒として使用されているものを使用することができる。具体的には、単体の白金、及び、例えば、H2PtCl6・XH2O,NaHPtCl6・XH2O、KHPtCl6・XH2O、Na2PtCl6・XH2O、K2PtCl6・XH2O、PtCl4・XH2O、PtCl2、Na2PtCl4・XH2O、H2PtCl4・XH2O(ここで、Xは正の整数である。)等の白金化合物が挙げられる。また、前記白金化合物と、例えば、炭化水素、アルコール、ビニル基含有環状シロキサン等との錯体を用いることもできる。
【0048】
(I)成分の白金化合物の配合量は、前記(G)成分と前記(H)成分との付加反応を促進するに十分な量であればよく、通常、前記(G)成分と前記(H)成分との合計量に対して、白金金属に換算して0.1〜100ppmであることが望ましい。
【0049】
(J)成分は、前記一般式(1)で表される末端トリビニルシリル停止オルガノポリシロキサンである。本発明のシリコーンゴム形成用組成物は、この(J)成分を配合することにより、室温において適度の可使時間を有するものとなり、しかも加熱することにより速やかに硬化すると言う良好な硬化性を有する。また、この(J)成分は、従来公知の方法で製造できる。
【0050】
前記一般式(1)中、R1は、脂肪族不飽和結合を含有しない、置換または非置換の1価の炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1〜10の基であり、更に好ましくは1〜7の基である。R1としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基;例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基等のアリール基;たとえば、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等置換基で置換した、クロロメチル基、シアノエチル基、3、3、3ートリフルオロプロピル基等が例示される。
【0051】
また、前記一般式(1)中、kは0又は1以上の整数であり、好ましくは0又は1〜100の整数であり、更に好ましくは0又は1〜20の整数である。尚、kは、(J)成分の前記(G)成分に対する相溶性を考慮すれば、0又は1〜20の整数であることが望ましい。
【0052】
(J)成分の配合量は、(I)成分の白金化合物に含まれる白金金属1モルに対して、1〜20000モルの範囲が好ましく、更に10〜500モルの範囲が好ましい。
【0053】
本発明におけるシリコーンゴム成形用組成物には、実用化にあたって、上述した(G)〜(J)成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて種々の添加剤を配合する事ができる。例えば、前記シリコーンゴム形成用組成物には、硬化物の強度を補強するために、SiO2単位、(CH2=CH)R’2SiO0.5単位、及びR’2SiO0.5単位(ここで、R’は脂肪族不飽和結合を含有しない1価炭化水素基である。)からなるレジン構造のオルガノポリシロキサン(特公昭38ー26771号、特公昭45ー9476号公報参照)等を配合する事ができ、これらを配合した場合でも、やはり組成物中に含まれる全ての珪素原子に結合するビニル基1個に対して珪素原子に結合する水素原子1〜5個存在させる必要がある。
【0054】
また、本発明のシリコーンゴム形成用組成物には、硬化時における熱収縮の低減、硬化して得られる弾性体の熱膨張率の低下、熱安定性、耐候性、耐薬品性、難燃性、機械的強度等の向上、ガス透過率を下げる等の目的で、充填剤を配合しても良い。そのような充填剤としては、例えば、フュームドシリカ;石英粉末;ガラス繊維;カーボンブラック;例えば、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン等の金属化合物;例えば、炭酸カルシュウム、炭酸マグネシュウム等の金属炭酸塩が挙げられ、必要に応じて適当な顔料、染料、酸化防止剤等を添加する事も可能である。充填剤は、通常、(G)成分のオルガノポリシロキサン100重量部当たり5〜200重量部を配合する。
【0055】
本発明におけるシリコーンゴム形成用組成物は、通常、前記(G)成分及び(I)成分の混合物と、前記(H)成分及び(J)成分の混合物とを別包装とし、使用時にこれらを混合する2液型のものとして調製される。尚、前記(J)成分は(H)成分とではなく、前記(G)成分及び(I)成分と混合されていても良い。
【0056】
また、前記の組成物の使用時には、用途・目的に応じて、適当な有機溶媒、例えばトルエン、キシレン等に分散ないしは溶解して使用しても差し支えない。
【0057】
本発明における一体成形の手段としては2色成形機を使用した2色成形法、樹脂成形体をシリコーンゴムの成形用金型にセットしシリコーンゴム形成用組成物を成形して一体化させる方法、樹脂成形体の表面にシリコーンゴム形成用組成物を塗布し硬化させて一体化させる方法等従来公知の方法が使用できる。また、複合一体化された成形体の形状は特に限定されないが、電気・電子分野、自動車分野において使われるスイッチ、コネクター、各種ケース類等が例示される。
【0058】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお実施例中、部とあるのは重量部を表す。ポリマーの固有粘度[η]はオルソクロロフェノール中25℃で測定した溶液粘度から算出した値である。また、末端カルボキシル基濃度(COOH)はエイ・コニックス(A.Conix)の方法{(Makromol.Chem,26,226(1958)}によって測定したポリマー106g当たりの当量数である。
【0059】
[実施例1〜3、比較例1〜6]
重合触媒としてチタン酸テトラブトキサイドを用いたポリブチレンテレフタレート(固有粘度:0.90)を130℃×5時間乾燥し、珪素含有化合物としてメチルハイドロジェンシリコーンオイル、フェノール系抗酸化剤としてペンタエリスリチルーテトラキス[3ー(3、5ージーtーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオエーテル系抗酸化剤としてテトラキス[メチレンー3ー(ドデシルチオ)プロピオネート]を、表1に示す種々の割合でV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物を44mm径の2軸押出機でバレル温度250℃にて溶融混練し、ダイから吐出されるスレッドを冷却、切断して成形用ペレットを得た。
【0060】
次いで、このペレットを130℃で5時間乾燥した後、5オンスの射出成形機を用い、金型温度40℃で引張試験片(ASTM4号)、衝撃試験片、及び接着試験片(図1参照)を成形した。
【0061】
耐加水分解性の試験は、122℃、湿度100%RHの条件で60時間の湿熱処理を行った試験片について引張強度及び破断伸度を測定する事によって行った。また、耐熱性の試験は、温度170℃の条件で500時間の熱処理を行った試験片について引張強度及び破断伸度を測定する事によって行った。
【0062】
表1において、PCTはプレッシャークッカーテストを意味する。
表1において、ポリエステルエラストマーは帝人(株)製B4032AN(ポリテトラメチレンテレフタレートからなるハードセグメント40重量%と分子量1000〜3000のポリテトラメチレングリコールからなるソフトセグメント60重量%からなるポリエーテルエステル)を用いた。
【0063】
シリコーンゴム形成用組成物の調製:
(G)成分として1分子中にメチルビニルシロキサン単位を2個有し、末端がジメチルビニルシロキシ基で停止しているジメチルポリシロキサン(25℃における粘度:1000cSt)100部、
(H)成分として珪素原子に結合する水素原子を、100gあたり0.739モル有するメチルハイドロジエンポリシロキサン4.6部、
(I)成分として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金含有量:0.5%)0.12部、
(J)成分として反応抑制剤で下記式(1)
【0064】
【化7】
【0065】
で表されるポリマー(k=8、従来公知の方法により製造、外観:無色透明、25℃における:13cSt)0.5部を混合して液状組成物を調製した。
【0066】
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂の接着試験片に、上記シリコーンゴム形成用組成物を、図1、2のように、幅25mm,長さ15mm、厚さ0.2mmの条件で塗布し、さらにクロムメッキした接着試験片と同寸の金属治具を重ね、130℃で1分間加熱して硬化させ、一体成形体を得た。
【0067】
接着試験は、図1及び図2に示す上記一体成形体を用い、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物とシリコーンゴムとの接着強度、及びシリコーンゴムとクロムメッキした接着試験片と同寸の金属治具との剥離性につき評価した。
得られた結果を表1に示した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示す如く、末端カルボキシル基濃度が35eq/tonのポリブチレンテレフタレート樹脂は、耐加水分解性(PCT)の結果が示す如く、耐加水分解性に劣り、一方末端カルボキシル基濃度が10eq/tonのポリブチレンテレフタレート樹脂は良好な結果を示すことが判る。また、熱老化性については、フェノール系抗酸化剤とチオエーテル系抗酸化剤を組み合わせることにより、大幅に改良されている。更に、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物にメチルハイドロジェンシリコーンオイルとポリエステル系エラストマーを配合し、そして付加硬化型シリコーンゴムに(J)成分である接着性付与成分を添加すると、離型剤の有無に係わらず、金属との剥離性が良好でポリブチレンテレフタレート樹脂にシリコーンゴムを強固に接着させることが可能である。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、耐加水分解性、耐熱老化性に優れ、かつシリコーンゴムとの密着性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂とシリコーンゴムとの一体成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接着試験片の説明図である。
【図2】接着試験片の説明図である。
Claims (1)
- (A)末端カルボキシル基濃度が15当量/ton以下で重合触媒としてチタン化合物を用いたポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部あたり、
(B)1分子中に少なくとも1個の珪素原子に直接結合した水素原子を有する珪素含有化合物及び/又はその重合体0.05〜3重量部、
(C)フェノール系抗酸化剤 0.01〜0.5重量部、
(D)チオエーテル系抗酸化剤0.01〜0.5重量部、
(E)ポリエステル系エラストマー0.5〜10重量部及び
(F)石炭系合成ワックス、ポリエチレンワックス、油脂系合成ワックスから選ばれた一種以上0〜1.0重量部を
配合せしめたポリブチレンテレフテレート樹脂組成物からなる成形体の表面の少なくとも一部に、
(G)1分子中に、珪素原子に結合するビニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、
(H)1分子中に、珪素原子に結合する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(I)白金化合物及び
(J)下記一般式(1)
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